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愛知医科大学 医学部 生物(2024年度)全問題・超図解解説

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理系担当 Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!愛知医科大学(2024年度)生物をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、愛知医科大学(2024年度)の生物について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

🩺 2024年度 愛知医科大学 生物 全体総括(ニックニ先生&Sora先生)

2024年度の愛知医科大学・生物は大問3題構成です。 大問Iは進化の学説史・最節約法による分子系統樹・分子時計の計算と眼の断面図作図、大問IIはマウスの嗅球破壊実験と条件づけ(味覚嫌悪学習の応用)の考察、大問IIIは酸化ストレス応答転写因子(Nrf2-Keap1系をモデルとしたタンパク質X・Y)のドメイン欠失実験とRNA干渉です。基礎知識の正確さに加え、「実験グラフの対照比較」と「簡潔で論理的な記述力」が合否を分けます!1ステップも省略せず完全解説していきます!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

最初に最終解答を確認!

【問題 I】進化・分子系統樹・眼

  • 問1:(あ) ダーウィン / (い) ド・フリース / (う) 木村資生
  • 問2:(a)
  • 問3:(c)
  • 問4:上段ペアが①と③、下段ペアが②と④(詳細は解説図参照)
  • 問5:解説内の眼の断面図(水晶体・虹彩・角膜・網膜・脈絡膜・強膜・ガラス体)を参照
  • 問6:(え) (i) / (お) (h) / (か) (a)
  • 問7:(b)
  • 問8:(き) ③ / (く) ② / (け) ③ / (こ) ①
  • 問9:非同義置換:3.6 個 / 同義置換:5.2 個(または 5.1 個)

【問題 II】嗅覚受容と行動・学習

  • 問1:(あ) 受容 / (い) 効果 / (う) 嗅上皮 / (え) 嗅細胞 / (お) 嗅毛 / (か) 受容体
  • 問2:生得的行動
  • 問3:(a) ① / (b) ① / (c) ② / (d) ② / (e) ① / (f) ②
  • 問4:学習(または 習得的行動)
  • 問5:ゴムのにおいを条件刺激、塩化リチウムによる腹部の不快感を無条件刺激とする条件づけ(連合学習)が成立したため。
  • 問6:(2), (4), (5)
  • 問7:腐敗臭の感知や条件づけによる忌避反応には関与せず、腐敗臭に対する生得的な忌避反応を引き起こすはたらき。

【問題 III】代謝・遺伝子発現調節

  • 問1:(あ) アセチルCoA / (い) 乳酸
  • 問2:$n =$ 6
  • 問3:(1) 制限酵素、DNAリガーゼ / (2) ベクター / (3) ウイルス(または バクテリオファージ)
  • 問4:RNA干渉(RNAi)
  • 問5:領域A:(オ) / 領域B:(カ) / 領域C:(ア) / 領域D:(ウ)
  • 問6:Yは細胞質でXと結合してXの核内移行を阻害し、応答遺伝子Rの発現を抑制している。Yの発現を抑制すると、酸化ストレスの有無にかかわらずXが常に核内に移動し、応答遺伝子Rの転写を促進し続けるため。

生物 問題 I :生物の進化・分子系統樹・眼の構造と分子時計

配点目安:約35%|目標解答時間:18分
Sora先生
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問題Iは【A】進化論の歴史と最節約法による分子系統樹、【B】脊椎動物の眼の構造とシリアヒメメクラネズミの $\alpha\text{A}$-クリスタリン遺伝子の分子進化です!
合否を分ける最大のポイントは問4「最節約法による系統樹作成」と問9「分子時計を用いた1000万年後の置換数の推定計算」の2つ!特に問9は「非同義置換がいつから起き始めたか(2500万年前の地中生活開始時!)」「同義置換はいつから蓄積しているか(4000万年前の分岐時!)」を見抜けるかどうかが勝負です。1ステップずつ丁寧に解き明かしましょう!

【問題文 A】

現代の進化説につながる考え方は( あ )によってはじめて提唱された。( あ )は①「生物集団のある個体に生じた遺伝的な変異のうち,生存や繁殖に有利な変異が選択される」とする自然選択説を1858年に発表した後,1859年には『種の起源』を出版した。( い )は植物の栽培実験から1900年にメンデルの法則を再発見するだけでなく,1901年には②「生物の進化は突然変異によって起こる」という突然変異説を唱えた。

遺伝子やタンパク質の分析技術の進歩に伴い,③生物集団はDNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列の変化など分子レベルで,たくさんの突然変異を抱えていることがわかってきた。様々な解析の結果,突然変異には自然選択を受けないものの方が非常に多いことや,生物種にかかわらず,特定の遺伝子やタンパク質に注目したとき,分子進化の速度はほぼ一定であることが明らかになった。このことから,( う )は1968年,「DNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列の変化は,自然選択に対して,有利でも不利でもない中立的なものが大部分である」という中立説を提唱し,分子レベルでの進化は中立な突然変異と遺伝的浮動によって起こっている場合がほとんどであると考えた。今日においては,生物集団の中で遺伝子の突然変異が起こり,それが自然選択や遺伝的浮動などの要因により集団内に広がることで,生物の進化が起こると考えられている。

問1.進化説の提唱者

( あ )〜( う )に当てはまる人名を下記の人名群から選び,それぞれ記せ。
[ ダーウィン / ド・フリース / モーガン / ラマルク / リンネ / 木村資生 / 利根川進 ]

Step 1各学説と科学者の対応を整理する

  • ( あ ):ダーウィン(1858年にウォレスとともに自然選択説を発表、1859年に『種の起源』を出版)。
  • ( い ):ド・フリース(1900年にコレンス、チェルマクとともにメンデルの法則を再発見。オオマツヨイグサの研究から1901年に突然変異説を提唱)。
  • ( う ):木村資生(きむら もとお)(1968年に分子進化の中立説を提唱)。

※その他の選択肢:モーガン(ショウジョウバエを用いた染色体説の実証)、ラマルク(用不用説)、リンネ(二名法)、利根川進(抗体遺伝子の再構成の解明)。

解答:(あ)ダーウィン / (い)ド・フリース / (う)木村資生

問2.自然選択による適応進化と遺伝的浮動の区別

下線部①について,自然選択による適応進化の例にあてはまらないものを (a) 〜 (e) から1つ選び,記号を記せ。
(a) アメリカ先住民の血液型にはO型が多い。
(b) クジャクの雄の飾り羽根は,雌より長くなった。
(c) ハナカマキリは,生息場所の花によく似た形態をもつ。
(d) 工業化に伴い,ガの一種オオシモフリエダシャクにおいて暗色型が増加した。
(e) マラリアが多発する地域では,かま状赤血球症の原因となる遺伝子の頻度が高い。

Step 1各選択肢の進化メカニズムを判定する

  • (a) 誤り(自然選択ではない):アジアからベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸へ移住した少数の集団にたまたまO型が多かったことで生じた創始者効果(遺伝的浮動の一種)の代表例です。O型が生存に有利だったわけではありません。
  • (b) 正しい:雌による配偶者選択(性選択、広義の自然選択・繁殖に有利な変異の選択)による進化です。
  • (c) 正しい:花に擬態(隠蔽的擬態・攻撃的擬態)することで捕食や採餌に有利となった自然選択の例です。
  • (d) 正しい:工業暗化と呼ばれ、煤煙で黒くなった樹皮上で鳥に捕食されにくい暗色型が自然選択で増えた例です。
  • (e) 正しい:ヘテロ接合体(遺伝子型 $\text{Hb}^\text{A}\text{Hb}^\text{S}$)がマラリア原虫に抵抗性をもつため、マラリア流行地域で生存に有利となって維持される平衡選択(超優性)の例です。
解答:(a)

問3.DNA複製における校正機能をもつ酵素

下線部②について,DNAの塩基単位の突然変異は主にDNAの複製過程で生じるが,誤ったヌクレオチドを取り除くことができる酵素はどれか。(a) 〜 (d) から1つ選び,記号を記せ。
(a) DNAリガーゼ  (b) DNAヘリカーゼ  (c) DNAポリメラーゼ  (d) RNAポリメラーゼ

Step 1DNAポリメラーゼの校正機能(プルーフリーディング)を確認する

DNA複製時に新しい鎖を合成するDNAポリメラーゼは、$5' \to 3'$ 方向の重合活性だけでなく、誤って対合したヌクレオチドを認識して $3' \to 5'$ 方向に削り取る校正機能(エキソヌクレアーゼ活性)をもっています。

解答:(c)

問4.最節約法による分子系統樹の作成

下線部③について,ある動物群の特定領域のDNA塩基配列を図1に示した。祖先型および動物①〜④の塩基情報をもとに,最節約法による分子系統樹を右の参考例の様式に従い作成せよ。なお,図1では祖先型と異なる塩基を下線で示した。

祖先型:T G G G T C A T A C A C T A A C G C A T T(計21塩基)
動物①:T G G G A C A T A C A C T A A C C C A T T
動物②:T G G G T C A T T C A C T A A C G C T T T
動物③:T G A G T C A T T C A C T A A C G C A T A
動物④:T G G G T C A A T C A C C A A C G C T T T

Step 1祖先型から何番目の塩基がどのように変化したかをリストアップする

左端のTを1番目、右端のTを21番目として、祖先型からの塩基置換の位置を整理します。

  • 動物①:5番目($\text{T} \to \text{A}$)、17番目($\text{G} \to \text{C}$)の計2か所(他の動物と共有する変異はなし)
  • 動物②:9番目($\text{A} \to \text{T}$)、19番目($\text{A} \to \text{T}$)の計2か所
  • 動物③:3番目($\text{G} \to \text{A}$)、9番目($\text{A} \to \text{T}$)、21番目($\text{T} \to \text{A}$)の計3か所
  • 動物④:8番目($\text{T} \to \text{A}$)、13番目($\text{T} \to \text{C}$)、19番目($\text{A} \to \text{T}$)の計3か所

Step 2複数の動物が共有する派生形質(共有派生形質)に注目して最節約な系統関係を特定する

参考例の樹形は、祖先型から上下2つのグループ(2種ずつのペア)に分岐する形です。3通りのペアリング([①②と③④]、[①③と②④]、[①④と②③])における総変異数(塩基置換の最小回数)を比較します。

・19番目の変異($\text{A} \to \text{T}$)は動物②と動物④だけが共通してもっています!したがって、動物②と動物④が共通祖先をもつペアとすれば、19番目の変異はこの共通祖先で1回だけ起きたと説明できます。

・このとき残りのペアは動物①と動物③になります(※9番目の変異 $\text{A} \to \text{T}$ は②と③がもっていますが、もし②と③をペアにすると19番目の変異が②と④で独立に2回起きたことになり、どの樹形でも総置換数は最小で9回となりますが、参考例の「2種+2種」の対称分岐において共有変異が成立するのは [①, ③] と [②, ④] または [①, ④] と [②, ③] です。特に②は9番目(③と共有)と19番目(④と共有)の2つのみをもつため、どちらのペアリングも9回の置換で最節約となります)。

【解答図(パターンA:19番目共有)】
祖先型 ① ③ ② ④
【解答図(パターンB:9番目共有)】
祖先型 ① ④ ② ③

※上下の枝の入れ替えや、同一クレード内の番号の上下入れ替えもすべて正解となります。

【問題文 B】

最初の眼は,明暗だけがわかる単純な眼点であったと考えられている。その後,④像を結ぶことができる水晶体(レンズ)が進化した。脊椎動物の水晶体は( え )に由来し,哺乳類の水晶体は主に $\alpha$-クリスタリン,$\beta$-クリスタリン,$\gamma$-クリスタリンという3種類のタンパク質から構成されている。哺乳類の $\alpha$-クリスタリンには,遺伝子の( お )により生じた相同性が高い $\alpha\text{A}$-クリスタリン,$\alpha\text{B}$-クリスタリンがある。以下に,【A】で説明した生物の進化のうち,( か )にあてはまる例を示す。

げっ歯類メクラネズミ属のシリアヒメメクラネズミ種(図2)は,およそ4000万年前に共通祖先から分岐し,およそ2500万年前に地中で生活するようになった。このメクラネズミの眼は視覚機能を失っているが,明暗の識別や概日リズムの制御には必要とされている。メクラネズミの視覚機能の喪失が $\alpha\text{A}$-クリスタリン遺伝子の分子進化に及ぼす影響を調べるために,$\alpha\text{A}$-クリスタリンのアミノ酸を指定する塩基配列について,メクラネズミを含む4種のげっ歯類の間で比較した。遺伝子に生じた塩基置換はアミノ酸配列の変化を起こすもの(非同義置換)と,起こさないもの(同義置換)に分類することができる。その結果を同義置換と非同義置換の数として表1に示す。ただし,4種の共通祖先とマウス,ラット,ハムスターとの間に非同義置換はなかった。

表1 $\alpha\text{A}$-クリスタリンの同義置換と非同義置換の数(右上:非同義置換 / 左下:同義置換)
同義置換 \ 非同義置換 マウス ラット ハムスター メクラネズミ
マウス ― 0 0 9
ラット 19 ― 0 9
ハムスター 25 28 ― 9
メクラネズミ 45 38 38 ―

問5.ヒトの眼の断面構造の作図

下線部④について,ヒトの眼を例として下記の部位をすべて含む構造(断面)を,答案用紙に記載の構造の一部に加えて描き,完成せよ。また,描いた図中の水晶体を矢印で示せ。ただし,描いた図中に下記の名称を記載する必要はない。
部位:角膜  虹彩  水晶体(レンズ)  ガラス体  網膜  脈絡膜  強膜

Step 1作図で採点されるポイントを押さえる

  • 眼球の壁が外側から順に「強膜(前方で角膜につながる)」「脈絡膜(前方で毛様体・虹彩につながる)」「網膜」の3層構造として描かれていること。
  • 角膜の内側、水晶体の前面に虹彩が上下から伸びて瞳孔を形成していること。
  • 水晶体(凸レンズ状の楕円体)が毛様体(チン小帯)に支えられて配置され、その水晶体を指す矢印が明確に描かれていること。
  • 水晶体の後方の眼球内部を満たすガラス体の領域が閉じた空間として表現されていること。
【ヒトの眼の断面図(解答作図イメージ+確認用ラベル)】
水晶体を示す矢印 (角膜) (虹彩) (ガラス体) (網膜) (脈絡膜) (強膜)

問6.水晶体の発生由来・遺伝子重複・遺伝的浮動

( え )〜( か )に当てはまる最も適切な語句はどれか。(a) 〜 (j) から選び,それぞれ記号を記せ。
(a) 遺伝的浮動 (b) 眼胞 (c) 生殖的隔離 (d) 性選択 (e) 自然選択 (f) 修復 (g) 神経管 (h) 重複 (i) 表皮 (j) 誘導
  • ( え ):(i) 表皮 … 脊椎動物の眼の発生では、間脳(神経管)から突出した眼胞が外胚葉の表皮に働きかけ、表皮が肥厚・陥入して水晶体(レンズ)に分化します(眼胞は網膜に分化します)。
  • ( お ):(h) 重複 … 1つの祖先遺伝子が遺伝子重複を起こし、それぞれに塩基置換が蓄積することで、相同性が高い $\alpha\text{A}$-クリスタリン遺伝子と $\alpha\text{B}$-クリスタリン遺伝子が生じました。
  • ( か ):(a) 遺伝的浮動 … 地中生活によって視覚が不要となったメクラネズミでは、$\alpha\text{A}$-クリスタリンに対する機能的制約が緩み、生存に有利でも不利でもない中立な変異が遺伝的浮動によって集団内に蓄積・固定しました。
解答:(え)(i) / (お)(h) / (か)(a)

問7.次世代に受け継がれる突然変異が生じる細胞

$\alpha\text{A}$-クリスタリンのアミノ酸に遺伝的変化をもたらした遺伝子突然変異が生じた細胞として最も適切なものはどれか。(a) 〜 (f) から1つ選び,記号を記せ。
(a) 錐体細胞 (b) 生殖細胞 (c) 角膜の細胞 (d) 視神経細胞 (e) 水晶体の細胞 (f) 神経管の細胞

Step 1体細胞突然変異と生殖細胞系列の突然変異を区別する

水晶体や網膜などの体細胞に生じた突然変異はその個体一代限りで消滅し、子孫には遺伝しません。生物集団の進化として子孫へ受け継がれる遺伝子突然変異は、すべて(b) 生殖細胞(または生殖細胞系列)で生じたものです。

解答:(b)

問8.メクラネズミにおける機能的制約の緩和と進化速度

メクラネズミの $\alpha\text{A}$-クリスタリン遺伝子について,地中で生活するようになってからの進化を説明した説を下記に示す。( き )〜( こ )に当てはまる最も適切な語句はどれか。それぞれ ① 〜 ③ から1つ選び,記号を記せ。
一般的な分子時計の考え方にもとづくと,メクラネズミの $\alpha\text{A}$-クリスタリン遺伝子において,遺伝子突然変異の頻度は他のげっ歯類と比べて( き:①高かった,②低かった,③等しかった )が,機能的制約が( く:①多かった,②少なかった,③等しかった )ことから,遺伝子突然変異の結果は生存に( け:①有利であった,②不利であった,③有利でも不利でもなかった )。よって,$\alpha\text{A}$-クリスタリンのアミノ酸配列が変化する速度は他のげっ歯類と比べて( こ:①大きかった,②小さかった,③変わらなかった )。
  • ( き ):③ 等しかった … DNA複製時のエラー等によって生じる遺伝子突然変異そのものの発生頻度は、どのげっ歯類でもほぼ等しいと考えられます。
  • ( く ):② 少なかった … 通常のげっ歯類では、水晶体の透明性や屈折率を保つために $\alpha\text{A}$-クリスタリンのアミノ酸配列が変化すると生存に不利となり自然選択で排除されます(表1でマウス・ラット・ハムスター間の非同義置換がすべて $0$ なのはこのためです)。しかし地中生活で視覚を失ったメクラネズミでは、この機能的制約が少なかった(緩んだ)のです。
  • ( け ):③ 有利でも不利でもなかった … 機能的制約がなくなったため、アミノ酸配列を変える変異(非同義置換)も自然選択に対して中立(有利でも不利でもない)となりました。
  • ( こ ):① 大きかった … 非同義置換が排除されずに集団内に蓄積するようになったため、アミノ酸配列が変化する速度は他のげっ歯類(速度 $0$)と比べて大きかったといえます。
解答:(き)③ / (く)② / (け)③ / (こ)①

問9.1000万年後に増えると推定される非同義置換数・同義置換数の計算

今から1000万年後に,メクラネズミの $\alpha\text{A}$-クリスタリン遺伝子の非同義置換数は今からさらにいくつ増えると推定されるか。また,同義置換数はいくつ増えると推定されるか。それぞれ計算過程を記載し,小数点以下1桁で答えよ。ただし,この1000万年の間に,メクラネズミの生活環境が大きく変化することや,変異をさらに誘発する要因は増えないと仮定する。

Step 1【非同義置換数】の計算プロセス

1. リード文より、「4種の共通祖先とマウス、ラット、ハムスターとの間に非同義置換はなかった」とあります。したがって、表1にあるメクラネズミと他3種との間の非同義置換数 $9$ 個は、すべてメクラネズミの系統で生じたものです。

2. では、この $9$ 個の非同義置換は何年間で蓄積したでしょうか?メクラネズミは4000万年前に共通祖先から分岐しましたが、地中で生活するようになって視覚機能を失ったのは「およそ2500万年前」です。それ以前の地上生活時代(4000万年前〜2500万年前)は他のげっ歯類と同様に強い機能的制約を受けていたため、非同義置換は $0$ 個であり、2500万年前に地中生活を開始してから現在までの2500万年間で $9$ 個の非同義置換が蓄積したと考えられます。

3. よって、1000万年あたりに増加する非同義置換数は:

$$9 \text{ 個} \times \frac{1000 \text{ 万年}}{2500 \text{ 万年}} = 9 \times 0.4 = 3.6 \text{ 個}$$

(※仮に4000万年間で9個と計算した場合は $9 \times \frac{1000}{4000} = 2.25 \fallingdotseq 2.3$ 個となりますが、問8の「地中で生活するようになってからの進化」の考察を踏まえると、2500万年間で9個と計算する 3.6個 が本質的です。)

Step 2【同義置換数】の計算プロセス

1. 同義置換はアミノ酸配列を変化させないため、機能的制約を受けず、4000万年前の共通祖先からの分岐以降、すべての系統で一定の速度(分子時計)で蓄積しています。

2. 表1の左下半分の同義置換数を見ると、メクラネズミと他の3種(マウス・ラット・ハムスター)との間の同義置換数はそれぞれ $45$ 個、$38$ 個、$38$ 個 です。

3. この3つの値の平均を求めると、メクラネズミと他種との間の平均同義置換数は:

$$\frac{45 + 38 + 38}{3} = \frac{121}{3} \fallingdotseq 40.33 \text{ 個}$$

4. ここで超重要ポイント!2種間の置換数は「共通祖先からメクラネズミまでの4000万年」+「共通祖先から他のげっ歯類までの4000万年」= 合計8000万年分($4000 \times 2$ 万年分)の進化時間で両系統に蓄積した置換数の和です!

したがって、メクラネズミ1系統において4000万年間で蓄積した同義置換数はその半分の $\dfrac{121}{3} \div 2 = \dfrac{121}{6}$ 個であり、これから1000万年後にメクラネズミの系統でさらに増える同義置換数は:

$$\frac{121}{3} \times \frac{1}{2} \times \frac{1000 \text{ 万年}}{4000 \text{ 万年}} = \frac{121}{24} \fallingdotseq 5.04 \to 5.0 \text{ 個}$$

【別解(メクラネズミ系統固有の枝長を3種間比較から求める方法またはメクラネズミの枝の置換数を求める方法)】:
マウス・ラット・ハムスターの3種間の同義置換数($19, 25, 28$)から他系統の枝長を差し引くか、あるいは表1においてメクラネズミとラット・ハムスター間の同義置換数が $38$ 個、マウスとの間が $45$ 個であることから、メクラネズミ系統の4000万年間の同義置換数を「(メクラネズミと他2種の平均距離 $41.5$)$\div 2$」として計算すると:

$$\frac{45 + 38}{2} \div 2 \times \frac{1000}{4000} = \frac{83}{16} = 5.1875 \to 5.2 \text{ 個}$$

※計算過程を明記する形式のため、「3種との平均 $\frac{45+38+38}{3} = \frac{121}{3}$ を8000万年($4000\times 2$ 万年)で割って1000万年倍する($\fallingdotseq 5.0$ 個)」または「マウスとラット/ハムスターの平均 $\frac{45+38}{2}=41.5$ を8000万年で割って1000万年倍する($\fallingdotseq 5.2$ 個)」のいずれの立式でも、論理的な計算過程が書かれていれば満点となります。

解答例:
・非同義置換数:3.6 個(計算過程:$9 \div 2500 \times 1000 = 3.6$)
・同義置換数:5.0 個(計算過程:$\dfrac{45+38+38}{3} \div (4000 \times 2) \times 1000 \fallingdotseq 5.0$)または 5.2 個($\dfrac{45+38}{2} \div (4000 \times 2) \times 1000 \fallingdotseq 5.2$)

生物 問題 II :嗅覚器の構造とマウスのにおい識別・条件づけ実験

配点目安:約30%|目標解答時間:15分
Sora先生
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問題IIは有名な「マウスの嗅球における先天的忌避行動と学習(条件づけ)の神経回路」の実験が題材です!
グラフを読むときの鉄則は「水を嗅いだ時間(約5秒)= 基準(好きでも嫌いでもない)」と置くこと!
・水より嗅ぐ時間が極端に短い(約0.5〜1秒)= 忌避反応(嫌い・逃げる)
・水より嗅ぐ時間が長い(約11秒)= 誘引反応(好き・寄ってくる)
この基準さえ押さえれば、領域Yと小領域yを壊したときにどの反応が消えたかが一瞬で読み取れますよ!

【問題文・実験1〜3の概要】

動物は,光,音,においなどの外界からの物理的,または化学的な刺激を,眼や耳,鼻などの( あ )器で感知する。受け取った刺激の情報は,中枢神経で処理された後,神経細胞を介して骨格筋や分泌腺などの( い )器に伝わり,その結果,刺激に応じた反応や行動が起こる。
鼻腔の奥にある( う )には,( え )とよばれる感覚細胞が存在する。( え )は( う )の表面の粘液中に,多数の( お )をのばしており,その細胞膜上に,におい物質と結合できる( か )をもっている。

【実験1:図2の読み取り】

正常マウス、嗅球内の領域Y破壊マウス、領域Y内の小領域y破壊マウスに、におい物質を浸み込ませた綿棒を提示し、綿棒を嗅ぐ行動をした合計時間(秒)を計測した。

15 10 5 0 水 ゴム 天敵臭 腐敗臭 アーモンド 正常 領域Y破壊 小領域y破壊
【実験2・実験3の要点】

・実験2(図3):正常マウスに「ゴムのにおい」を提示した直後、腹部の不快感を生じさせる塩化リチウムを腹腔内投与した。48時間後に再びゴムのにおいを提示すると、嗅ぐ時間が約5秒から約0.5秒へと激減した(忌避反応を示すようになった)。

・実験3(図4):腐敗臭に対して生得的な忌避反応を示さなくなった領域y破壊マウスに「腐敗臭」を提示(1回目は約5秒嗅ぐ)した直後、塩化リチウムを腹腔内投与した。48時間後に再び腐敗臭を提示すると、腐敗臭を嗅ぐ時間が約0.5秒へと激減した(条件づけによる忌避反応は成立した!)。

問1.受容器・効果器と嗅上皮の構造

( あ )〜( か )に当てはまる語句を記せ。

Step 1感覚受容から反応までの経路と鼻腔内の構造を確認する

  • 刺激を受け取る器官は (あ)受容 器、反応を引き起こす筋肉や腺は (い)効果 器(作動体)。
  • 鼻腔の奥にある粘膜組織は (う)嗅上皮 と呼ばれ、そこに感覚細胞である (え)嗅細胞 が並んでいます。
  • 嗅細胞の先端からは粘液中に多数の微絨毛(繊毛)である (お)嗅毛 が伸びており、その細胞膜上ににおい物質と結合する (か)受容体(嗅覚受容体) が存在します。
解答:(あ)受容 / (い)効果 / (う)嗅上皮 / (え)嗅細胞 / (お)嗅毛 / (か)受容体

問2.経験なしに生まれつき示す行動の名称

実験1のような天敵臭や腐敗臭,食物のにおいに対する行動は,生まれてから一度もそれらのにおいを嗅いだことがないマウスにおいても観察される。このような行動を何というか,記せ。

経験や学習によらず、遺伝的にプログラムされて生まれつき備わっている行動を生得的行動(本能行動)といいます。

解答:生得的行動

問3.実験1(図2)からの領域Y・小領域yの役割の判定

実験1で観察されたマウスの反応において,領域Yと領域yは,それぞれどのような役割をしているか。( a )〜( f )に入る適切な語句を,①「必須」,②「必須でない」から選び,記号で記せ。
領域Y;天敵臭に対する忌避反応に( a )。腐敗臭に対する忌避反応に( b )。アーモンドのにおいに対する誘引反応に( c )。
領域y;天敵臭に対する忌避反応に( d )。腐敗臭に対する忌避反応に( e )。アーモンドのにおいに対する誘引反応に( f )。

Step 1破壊したときに反応が消えていれば「① 必須」、正常と同じ反応が保たれていれば「② 必須でない」と判定する

  • 領域Y破壊マウス(黒棒):天敵臭でも腐敗臭でも嗅ぐ時間が約5秒(水と同じ=忌避反応が消失!)になっているため、領域Yは天敵臭の忌避に①必須 (a)、腐敗臭の忌避にも①必須 (b) です。一方、アーモンドでは正常と同じく約11秒嗅いでいる(誘引反応が正常に起きている)ため、アーモンドの誘引には②必須でない (c) です。
  • 領域y破壊マウス(灰色棒):天敵臭では正常と同じく嗅ぐ時間がごく短い(忌避反応が正常に起きている!)ため、天敵臭の忌避には②必須でない (d) です。しかし、腐敗臭では嗅ぐ時間が約5秒になり忌避反応が消失しているため、腐敗臭の忌避には①必須 (e) です。アーモンドでは正常と同じく誘引反応が起きているため、アーモンドの誘引には②必須でない (f) です。
解答:(a) ① / (b) ① / (c) ② / (d) ② / (e) ① / (f) ②

問4.生後の経験によって変化する行動の名称

実験2で観察されたような反応をはじめ,生まれてからの経験によって変化する行動を何というか,記せ。

生後の経験によって行動が持続的に変化する過程(またはその行動)を学習(または習得的行動)といいます。

解答:学習(または 習得的行動)

問5.実験2でゴムのにおいに忌避反応を示すようになった理由

実験1と2の結果から,本来,マウスにとってゴムのにおいは誘引反応も忌避反応も示さない刺激であったと考えられるが,実験2において,マウスはゴムのにおいに忌避反応を示すようになった。その理由を簡潔に説明せよ。

Step 1古典的条件づけ(連合学習)の仕組みで説明する

ゴムのにおい(本来は反応を引き起こさない中性刺激=条件刺激)と、塩化リチウム投与によって生じる腹部の不快感(無条件刺激)が同時に(連続して)与えられたことで、両者が結びつく条件づけ(連合学習)が成立し、ゴムのにおいに対して忌避反応(条件反応)を示すようになりました。

解答例:ゴムのにおいと、塩化リチウム投与による腹部の不快感とが結びつく条件づけ(連合学習)が成立したため。

問6.実験3の結果に関する正誤判定(すべて選ぶ)

実験3の結果に関して,次の (1) 〜 (5) の中で誤っているものをすべて選び,数字を記せ。
(1) 領域y破壊マウスは,腐敗臭を感知することができた。
(2) 領域y破壊マウスは,どのような条件でも忌避反応を示さなかった。
(3) 領域y破壊マウスにおいて,塩化リチウムを用いた条件づけが成立している。
(4) 塩化リチウムの投与により生じた腹部の不快感は,条件反応を引き起こす条件刺激となっている。
(5) 塩化リチウムの投与後に腐敗臭を嗅ぐ時間が短くなったのは,領域y破壊マウスが腐敗臭に対して慣れたためである。

Step 1選択肢 (1)〜(5) を1つずつ検証する

  • (1) 正しい:領域y破壊マウスでも、腐敗臭を提示した後に塩化リチウムを投与すると「腐敗臭に対してのみ」忌避反応が成立した(=腐敗臭を他のにおいと識別・感知できていた)ことがわかります。
  • (2) 誤り:実験1でも天敵臭に対しては忌避反応を示していますし、実験3でも塩化リチウムで条件づけした後は腐敗臭に対して忌避反応を示しています。
  • (3) 正しい:図4のとおり、塩化リチウム投与ありの2回目で嗅ぐ時間が短くなっており、条件づけが成立しています。
  • (4) 誤り:塩化リチウムによる腹部の不快感は生まれつき嫌悪を引き起こす無条件刺激であり、条件反応を引き起こす条件刺激となっているのは「腐敗臭」です!
  • (5) 誤り:これは不快感を伴う刺激との連合学習(条件づけ・鋭敏化的な忌避学習)であり、刺激の反復によって反応が弱まる「慣れ(馴化)」ではありません(もし慣れであれば、塩化リチウム投与なしの2回目でも短くなるはずです)。
解答:(2), (4), (5)

問7.小領域yのはたらきの総合記述(指定語句3語)

実験1〜3の結果を総合して,小領域yは腐敗臭に対する反応において,どのようなはたらきをしていると考えられるか。「忌避反応」「感知」「条件づけ」の3語を用いて簡潔に説明せよ。

Step 1実験1と実験3の対比から小領域yの役割を整理する

  • 実験1より:小領域yを破壊すると、腐敗臭に対する生得的な忌避反応が起きなくなる(=生得的な忌避反応に必須)。
  • 実験3より:小領域yを破壊しても、腐敗臭の感知は可能であり、塩化リチウムを用いた条件づけによる後天的な忌避反応は正常に成立する(=別の神経経路が担っている)。
解答例:腐敗臭の感知や条件づけによる後天的な忌避反応には必須ではなく、腐敗臭に対する生得的な忌避反応を引き起こすはたらきをしている。

生物 問題 III :低酸素応答・酸化ストレスに対する遺伝子発現制御(XとY)

配点目安:約35%|目標解答時間:17分
Sora先生
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問題IIIは生体の酸化ストレス防御の主役である「Nrf2(タンパク質X)とKeap1(タンパク質Y)」をモデルにした超良問です!
実験1・2からまず全体像を掴みましょう:
① X(転写因子)は単独なら核内に入って応答遺伝子Rの転写(mRNA合成)を促進する。
② Y(抑制因子)が一緒にいると、Yは細胞質でXと結合してXを細胞質につなぎ止め、転写をOFFにする。
③ ここに酸化ストレス剤が来ると、XがYから離れて核内へ移動し、応答遺伝子Rの転写がONになる!
この①〜③のストーリーが頭に入れば、実験3の欠失変異型I〜IV(領域A〜Dの役割)はパズルのように100%解けます!

【問題文・実験1〜4の核心整理】

激しい運動をしているときの筋肉では,細胞は酸素が足りないことに適応して,ピルビン酸から( あ )への変換が抑制され,( い )への変換が促進される。また,生体は低酸素状態を感知すると,①赤血球の産生を促進するなどの防御応答を示す。一方,活性酸素が過剰に産生されると細胞は“酸化ストレス”にさらされる。
酸化ストレスに応答して発現が誘導される応答遺伝子Rと,その発現誘導に関わるタンパク質XとYについて調べるため,②XまたはYを発現するプラスミド(pX, pY)を培養細胞に導入する実験1〜3と,③短い2本鎖RNAを導入して特定の遺伝子の発現を抑制する実験4をおこなった。

【実験1・2の結果(図1・図2)】
  • X単独発現:Xは核内に存在 $\to$ 応答遺伝子RのmRNA量が大(約35)。
  • X+Y同時発現(ストレスなし):XとYはともに細胞質に存在 $\to$ 応答遺伝子RのmRNA量は小(1)。
  • X+Y同時発現(酸化ストレス剤添加):Yは細胞質のままだが、Xは核内に移動 $\to$ 応答遺伝子RのmRNA量が大(約30)。
【実験3:Xの欠失変異型I〜IV(図3・図4・問5)】
  • 変異型I(領域A欠失):Yを同時発現しても抑制されず、ストレスなしでもmRNA量が常に大(約30)!
  • 変異型II(領域B欠失):X単独ではmRNA量が大だが、Yを同時発現すると抑制され、酸化ストレス剤を添加してもmRNA量が増えない(小のまま)!
  • 変異型III(領域C欠失):X単独でもどの条件でもmRNA量が常に小(1)!ただし問5より細胞内の存在場所は正常型と同じ。
  • 変異型IV(領域D欠失):X単独でもどの条件でもmRNA量が常に小(1)!さらに問5よりすべての条件で細胞質に存在(核へ移動できない)。

問1.筋肉における嫌気的代謝(解糖系・乳酸発酵)

本文中の( あ )と( い )に最も当てはまる語句を記せ。

Step 1好気呼吸(クエン酸回路への流入)と嫌気的な乳酸生成を比較する

十分な酸素があるときは、解糖系で生じたピルビン酸はミトコンドリア内で(あ)アセチルCoAに変換されてクエン酸回路に入ります。一方、激しい運動時などで酸素が不足すると、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化が滞るため、ピルビン酸からアセチルCoAへの変換が抑制され、細胞質基質で $\text{NADH}$ を用いてピルビン酸を(い)乳酸へ還元する反応(解糖によるATP合成の維持)が促進されます。

解答:(あ)アセチルCoA / (い)乳酸

問2.ヒト正常血液 $1\text{ mm}^3$ 中の赤血球数

下線部①の赤血球は,ヒト正常血液 $1\text{ mm}^3$ 中に $4.5 \sim 5 \times 10^n$ 個含まれている。$n$ に当てはまる数字(整数)を記せ。

Step 1血球数の基礎数値を指数に変換する

ヒトの血液 $1\text{ mm}^3$($= 1\ \mu\text{L}$)あたりの血球数は、医学部入試の必須暗記項目です!

  • 赤血球:約450万〜500万個 $= 4.5 \sim 5 \times 10^6$ 個(よって $n = 6$)
  • 血小板:約15万〜40万個($1.5 \sim 4 \times 10^5$ 個)
  • 白血球:約4000〜9000個($4 \sim 9 \times 10^3$ 個)
解答:6

問3.遺伝子組換え技術とベクター

下線部②のプラスミドについて,以下の問に答えよ。
(1) 目的の遺伝子をプラスミドに組み込むために利用されている主要な2つの酵素名を記せ。
(2) プラスミドのような組換え遺伝子の運び手は何と呼ばれるか,名称を記せ。
(3) プラスミドの他に,組換え遺伝子の運び手として用いられるものを1つあげて,名称を記せ。
  • (1) 制限酵素、DNAリガーゼ … 特定の塩基配列を認識してDNAを切断する制限酵素と、切断されたDNA断片のリン酸ジエステル結合をつなぎ合わせるDNAリガーゼの2つです。
  • (2) ベクター … 外来遺伝子を細胞内に導入するための「運び手」となるDNA分子をベクターと呼びます。
  • (3) ウイルス(または バクテリオファージ/ファージ) … プラスミドのほか、感染力を利用して遺伝子を導入するウイルス(レトロウイルス、アデノウイルスや、細菌に感染するバクテリオファージなど)がベクターとして用いられます。
解答:(1) 制限酵素、DNAリガーゼ / (2) ベクター / (3) ウイルス(または バクテリオファージ)

問4.短い2本鎖RNAによる遺伝子発現抑制

下線部③の現象は,細胞に備わる遺伝子発現調節のしくみの1つである。このしくみは何と称されるか。

標的mRNAの一部と相補的な塩基配列をもつ短い2本鎖RNA(siRNAやmiRNA)を導入すると、そのmRNAが特異的に分解されて翻訳(遺伝子発現)が抑制される現象をRNA干渉(RNAi:RNA interference)と呼びます。

解答:RNA干渉(または RNAi)

問5.タンパク質Xの領域A〜Dの機能決定

変異型IIIと変異型IVについて,実験2の条件でXの細胞内の存在場所を調べた。変異型IIIは各条件で正常型と同じ場所に,変異型IVはすべての条件で細胞質に存在した。これらの結果から推察される領域A〜Dの役割として,最も適当なものを下記の (ア) 〜 (カ) から1つずつ選び,それぞれ記号で記せ。
(ア) mRNAの合成を促進する  (イ) mRNAの合成を抑制する  (ウ) Xを核に移動させる
(エ) Yを核に移動させる    (オ) Yと結合する       (カ) 酸化ストレスに応答する

Step 1欠失したときに「どの機能が失われたか」を1つずつ対応させる

① 領域A(変異型Iで欠失)$\to$ (オ) Yと結合する

領域Aを欠失すると、Yを同時に発現させてもまったく抑制されず、酸化ストレス剤なしでもmRNAが大量に合成されました。つまり、Yに捕まらなくなったことから、領域Aは「(オ) Yと結合する」領域です。

② 領域B(変異型IIで欠失)$\to$ (カ) 酸化ストレスに応答する

領域Bを欠失すると、X単独では転写を促進でき、Yによる抑制も受けますが、酸化ストレス剤を添加してもYの抑制が解除されずmRNAが増えません。つまり、領域Bは「(カ) 酸化ストレスに応答する」領域です。

③ 領域C(変異型IIIで欠失)$\to$ (ア) mRNAの合成を促進する

変異型IIIは「各条件で正常型と同じ場所に存在する(=核への移動もYとの結合・解離も正常)」にもかかわらず、mRNAの合成がまったく増えません。つまり、核内に入った後に転写を活性化する「(ア) mRNAの合成を促進する」領域です。

④ 領域D(変異型IVで欠失)$\to$ (ウ) Xを核に移動させる

変異型IVは「すべての条件(X単独でも!)で細胞質に存在した」ことから、核局在化シグナル(NLS)を含む「(ウ) Xを核に移動させる」領域です。核に入れないため転写も促進できません。

解答:領域A:(オ) / 領域B:(カ) / 領域C:(ア) / 領域D:(ウ)

問6.Yの発現を抑制すると応答遺伝子Rの発現が常に高く維持される理由

実験結果から推察できるXとYの機能にもとづいて,下線部④「Yの発現を抑制した細胞では,応答遺伝子Rの発現が常に高く維持されている」が観察された理由を説明せよ。

Step 1通常時のYの役割と、YがなくなったときのXの挙動を論理的につなぐ

  1. 本来のYの機能:酸化ストレスがない状態では、Yは細胞質でXと結合してXを細胞質にとどめ(Xの核内への移動を妨げ)、応答遺伝子Rの発現を抑制している。
  2. 本来のXの機能:Xは核内に移動して応答遺伝子Rの転写(mRNA合成)を促進するはたらきをもつ。
  3. Yの発現を抑制した結果:Xと結合して細胞質にとどめるYが存在しなくなるため、酸化ストレスの有無にかかわらずXが常に核内に移動し、応答遺伝子Rの発現(転写)を促進し続けるため。
解答例:本来、Yは細胞質でXと結合してXの核への移動を阻害し、応答遺伝子Rの発現を抑制している。そのため、Yの発現を抑制すると、酸化ストレスの有無にかかわらずXが常に核内に移動してmRNAの合成を促進し、応答遺伝子Rの発現が常に高く維持されるから。
Sora先生
Sora先生 ✕ ニックニ先生からのメッセージ

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