「久留米医の生物は、基礎知識の正確さ+実験考察の論理力で高得点が狙える!」
こんにちは、TMPS医学館の理系担当Sora先生です!指導統括のニックニ先生と一緒に、2025年度の久留米大学医学部・生物の全4大問を徹底解説します。
今年のセットは、大問1の「RT-PCRと実験対照(コントロール)」、大問2の「感覚器・視神経切断」、大問3の「心周期(左心室圧・大動脈圧グラフ)」、大問4の「TLC(薄層クロマトグラフィー)と藻類の系統進化・二次共生」という王道かつ医学部らしい良問揃いです。25字〜50字の短文論述も「1文字単位のマス目付き」で完全解答を作ったので、記述の型まで一気にマスターしましょう!
SPEED CHECK 全大問・最終解答一覧(自己採点&スピード確認用)
制限時間:理科2科目 120分(生物目安 60分)大問 1:RT-PCR法と遺伝子発現解析
- 問1:イントロンを含まずエキソンのみからなる点。(21字)
- 問2:mRNAの3'末端にあるポリA尾部と相補的に結合する、チミン(T)が連続した配列。(42字)
- 問3:(C), (G), (H)
- 問4:(E)
- 問5:どの組織や細胞でも常に一定量発現しているという特徴。(26字)
- 問6:(A), (C)
大問 2:感覚受容器・瞳孔反射・視覚経路
- 問1:(ア) (B), (E) / (イ) (A) / (ウ) (C) / (エ) (A) / (オ) (D)
- 問2:(A) 水晶体 / (B) 虹彩 / (C) 瞳孔 / (D) 副交感 / (E) 縮小 / (F) 減少 / (G) 交感 / (H) 拡大 / (I) 増加
- 問3:右眼の鼻側の視野:(A) / 右眼の耳側の視野:(B)
- 問4:① (A) / ② (C) / ③ (E)
大問 3:心臓の構造・刺激伝導系・圧容積曲線
- 問1:全身に血液を送り出すため強い収縮力をもつ関係。(23字)
- 問2:右心房
- 問3:心音I:房室弁 / 心音II:動脈弁(大動脈弁)
- 問4:閉じていた動脈弁が開き、左心室から大動脈へと血液が急速に送り出されるようになる。(40字)
大問 4:光合成色素の分離(TLC)と藻類の進化
- 問1:B:エ / C:イ / D:ウ / E:ア
- 問2:(a) (オ) / (b) (エ) / (c) (イ) / (d) (ウ)
- 問3:ミドリムシの祖先となる従属栄養性の真核生物が、緑藻類を細胞内に取り込み二次共生することで獲得した。(49字)
RT-PCR法を用いた遺伝子発現解析と実験操作
大問1はバイオテクノロジーの超重要テーマ「RT-PCR(逆転写PCR)」です!
最大のポイントは、「真核生物のmRNAはスプライシングを受けてイントロンが除去され、3'末端にポリA尾部(AAAAA…)が付加されている」という分子生物学の基本と実験操作を結びつけること!
とくに問3の「ゲノムDNAの混入(コンタミネーション)を見分ける方法」と、問4の「タンパク質変性処理を飛ばしたらどうなるか?」は、実験の意味を本質的に理解しているかを問う医学部らしい名問です。図解で一気にイメージを掴みましょう!
実験手順 (1)〜(6) の全体フロー図解
(1) 目的の遺伝子発現を調べたい細胞や組織からRNAを抽出する。
(2) RNA試料をDNA分解酵素(DNase)で処理する。
(3) タンパク質変性処理を行いRNA試料を精製する。
(4) 精製したRNA試料に、(a) 逆転写酵素とプライマーを加え逆転写反応を行い、cDNAを合成する。
(5) (b) 得られたcDNA試料を用いてPCRを行う。
(6) (c) PCR産物をゲル電気泳動し、目的の長さのDNA(バンド)が増幅されているかを確認する。
▼ 真核生物のゲノムDNAからmRNA・cDNA合成までの構造変化とRT-PCRの流れ
問1:cDNAがゲノムDNAと比べたときに持つ特徴(25字以内)
記述・25字以内STEP 1真核生物の遺伝子発現プロセスを確認する
真核生物の核内にあるゲノムDNAの遺伝子領域には、アミノ酸配列を指定するエキソンと、翻訳されない介在配列であるイントロンの両方が含まれています。
STEP 2mRNAとcDNAの構造を導く
ゲノムDNAから転写されたmRNA前駆体は、核内でスプライシングを受けてイントロンが取り除かれ、エキソンのみが連結した成熟mRNAになります。cDNAはこの成熟mRNAを鋳型として逆転写酵素で合成されるため、「イントロンを含まず(持たず)、エキソンのみからなる」という特徴を持ちます(また、プロモーターやエンハンサーなどの転写調節領域も含みません)。
【最終解答(21字)】
※別解:「イントロンを含まないという特徴。」(16字)、「スプライシング後のmRNAに由来しイントロンがない点。」(25字)なども正解です。
問2:逆転写反応で鋳型をmRNAに限定するプライマーの配列(50字以内)
記述・50字以内STEP 1細胞内のRNAの種類とmRNA固有の構造を考える
細胞から抽出した全RNA(total RNA)の大部分(約80〜90%)はrRNA(リボソームRNA)やtRNA(運搬RNA)であり、mRNAは数%しかありません。しかし、真核生物の成熟mRNAには、転写後の修飾として3'末端にアデニン(A)が多数(数十〜数百個)連続した「ポリA尾部(ポリAテール)」が付加されるという固有の特徴があります。
STEP 2相補的に結合するDNAプライマーの塩基配列を答える
逆転写反応で作るのはDNA(cDNA)なので、用いるプライマーも1本鎖DNAです。mRNAのポリA尾部(AAAAA…)と相補的に水素結合するDNA塩基はチミン(T)です(ウラシルUではない点に注意!)。したがって、「チミン(T)が連続した配列(オリゴdTプライマー)」を用いれば、mRNAのポリA尾部に特異的に結合してmRNAのみを鋳型としてcDNAを合成できます。
【最終解答(42字)】
※「3'末端」を1マスまたは2マスと数えても38〜42字で、50字以内に余裕で収まります。「mRNAのポリA尾部と相補的な、チミン(T)が連続した配列。」(30字)でも満点です。
問3:PCR産物がcDNA由来か(ゲノムDNA由来でないか)を判定する有効な手段
すべて選択(A) cDNA試料をDNA分解酵素処理した後にPCRを行う。
(B) cDNAを合成した後、RNA分解酵素処理を行ってからPCRを行う。
(C) 逆転写酵素を含まずに逆転写反応を行った試料を用いてPCRを行う。
(D) PCRの増幅サイクルを、通常(〜30サイクル前後)よりも多く行う。
(E) PCRの増幅サイクルを、通常(〜30サイクル前後)よりも少なく行う。
(F) 2つ(両側)のPCRプライマーのうち、片側だけでPCRを行う。
(G) 2つ(両側)のPCRプライマーをイントロンをはさむように設計する。
(H) PCRプライマーの配列を連続する2つのエキソンにまたがるように設計する。
(I) PCRの時、プライマーとのアニーリング温度を高くする。
(J) PCRの時、プライマーとのアニーリング温度を低くする。
STEP 1全選択肢(A)〜(J)を1つずつ徹底検証する!
- (A) ×:cDNA自体もDNAなので、DNA分解酵素(DNase)で処理すると肝心のcDNAまで分解されてしまい、何も増幅されなくなります。
- (B) ×:RNA分解酵素(RNase)でRNAを分解しても、すでに混入している「ゲノムDNA」は分解されないため、ゲノムDNA由来かcDNA由来かの区別はできません。
- (C) ○(有効!):これは実験で必須の「逆転写酵素マイナス対照(RT(-)コントロール)」です!逆転写酵素を入れなければmRNAからcDNAは絶対に作られません。もしこの試料でPCRを行ってバンドが出たなら「ゲノムDNAが混入していた」と分かり、バンドが出なければ「本番のバンドは100% cDNA由来である」と証明できます。
- (D)・(E) ×:サイクル数を変えても増幅量が変わるだけで、鋳型がゲノムDNAかcDNAかは区別できません(同じエキソン内プライマーなら同じ長さの産物が増えるため)。
- (F) ×:片側のプライマーだけではPCR(指数関数的増幅)自体が起こりません。
- (G) ○(有効!):2つのプライマーをイントロンをはさむように(別々のエキソン上に)設計すると、ゲノムDNAを鋳型にした場合は「イントロンを含む長いDNA断片」が増幅され、cDNAを鋳型にした場合は「イントロンを含まない短いDNA断片」が増幅されます。電気泳動のバンドの位置(長さ)の違いで明確に判定できます!
- (H) ○(有効!):プライマーの配列を「連続する2つのエキソンの境界(ジャンクション)にまたがるように」設計すると、スプライシング後のcDNAにはエキソン同士が直結しているためプライマーが結合できますが、ゲノムDNAでは間にイントロンが割り込んでいるためプライマーが結合できず、cDNAのみを選択的に増幅できます!
- (I)・(J) ×:アニーリング温度はプライマーの結合特異性に関わりますが、ゲノムDNAとcDNAのエキソン配列は全く同じなので、温度を変えても両者は区別できません。
問4:手順(3)「タンパク質変性処理」を行わなかった場合の結果
1つ選択(A) 目的のバンドよりも長い増幅産物のバンドが得られる。
(B) 目的のバンドよりも短い増幅産物のバンドが得られる。
(C) 目的のバンドに加え、さらに長い増幅産物のバンドが得られる。
(D) 目的のバンドに加え、さらに短い増幅産物のバンドが得られる。
(E) 電気泳動でバンドは見られない。
STEP 1手順(2)と手順(3)の役割のつながりを考える
・手順(2):RNA試料にDNA分解酵素(DNase:タンパク質)を加えて、混入したゲノムDNAを分解します。
・手順(3):タンパク質変性処理を行い、RNA試料を精製します。この操作の目的は、手順(2)で加えた「DNA分解酵素(DNase)」を変性させて失活・除去することです!
STEP 2手順(3)を飛ばして手順(4)に進むと何が起きるか?
手順(3)を行わないと、試料中に活性を持ったままのDNA分解酵素(DNase)が残存します。そのまま手順(4)で逆転写反応を行うと、合成されたcDNA(およびDNAであるプライマー)がDNA分解酵素によって片っ端から分解されてしまいます!その結果、手順(5)のPCRで鋳型となるcDNAが存在しないため増幅は起こらず、手順(6)の電気泳動ではバンドは見られなくなります。
問5:対照として望まれるハウスキーピング遺伝子の特徴(30字以内)
記述・30字以内STEP 1ハウスキーピング遺伝子(内部標準)とは何か?
アクチン($\beta$-アクチン)やGAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素)など、細胞の生存・維持に不可欠な機能を持ち、「どの組織や細胞でも(細胞の種類や環境条件によらず)常に一定量発現(転写)している遺伝子」をハウスキーピング遺伝子と呼びます。
STEP 2なぜポジティブコントロール(陽性対照)になるのか?
目的の遺伝子のバンドが出なかったとき、「その組織で本当に発現していなかった」のか、「RNA抽出や逆転写反応に失敗した」のかを区別する必要があります。どの組織・細胞でも常に一定量発現しているハウスキーピング遺伝子がしっかり増幅されていれば、「実験操作は正常に行われていた」と確認できます。
【最終解答(26字)】
問6:RT-PCRが用いられる検査や研究操作の選択
すべて選択(A) コロナウイルスの遺伝子検査
(B) 親子のDNA型鑑定
(C) ヒトタンパク質を発現する遺伝子組換え大腸菌の作製
(D) メタゲノム解析
(E) DNAマイクロアレイ解析
(F) 遺伝病の原因となるSNPの同定
STEP 1「RNAを鋳型としてcDNAを作り、PCRで増幅する」必要があるものを選ぶ!
- (A) ○(RT-PCRを用いる!):コロナウイルス(SARS-CoV-2など)はゲノムとしてRNAをもつRNAウイルスです。そのため、ウイルスRNAを逆転写(RT)してcDNAにしてからPCRで増幅するRT-PCR検査が行われます。
- (B) ×:親子のDNA型鑑定(STR解析など)は、核内のゲノムDNA(イントロンや非コード領域の反復配列)を直接鋳型にして通常のPCRを行います。
- (C) ○(RT-PCRを用いる!):原核生物である大腸菌はスプライシング機構を持たないため、イントロンを含むヒトのゲノムDNAをそのまま導入しても正しいヒトタンパク質を合成できません。そこで、ヒトのmRNAからRT-PCRによってイントロンを含まないcDNAを合成・増幅し、それをプラスミドに組み込んで大腸菌に導入します!
- (D) ×:メタゲノム解析は、環境中(土壌や腸内など)の微生物群集からゲノムDNAを直接抽出して塩基配列を解析する手法です。
- (E) ×:DNAマイクロアレイ解析では、mRNAから逆転写によって蛍光標識したcDNAを合成して基板上のプローブとハイブリダイゼーションさせますが、数万種類の遺伝子の発現量を網羅的に比較するため、特定遺伝子のみを増幅するPCR(RT-PCR)ではなく逆転写(RT)反応のみ(またはin vitro転写)で標識プローブを作製するのが基本です。
- (F) ×:遺伝病の原因となるSNP(一塩基多型)はエクソンだけでなくイントロンやプロモーター領域などのゲノムDNA全体にわたって存在するため、ゲノムDNAを直接用いてPCRやシークエンスを行います。
感覚受容器・瞳孔の自律神経調節・視覚経路と視野欠損
大問2は動物の反応と行動から「感覚細胞の特徴」「虹彩と瞳孔の明暗調節」「視神経交叉と視野欠損」の3点セットです!
ここは知識が整理されていれば5分以内で満点が取れる超得点源です。特に【III】の視覚経路では、「レンズ(水晶体)を通ると光の像は左右が逆転して網膜に映る」というルールさえ図に書き込めば、どこの視神経が切れても100%迷わず解けますよ!
問1:【I】感覚細胞の特徴と分類
すべて選択問1 以下の(ア)から(オ)の特徴をもつ感覚細胞を選択肢より全て選び、それぞれ記号で答えなさい。
(ア) 適刺激となる化学物質が結合する受容体を持っている。
(イ) 振動により曲がる感覚毛を持っている。
(ウ) 細胞内にロドプシンを含んでいる。
(エ) うずまき管内のコルチ器に分布する。
(オ) 網膜の中央部の黄斑に多く分布する。
【選択肢】 (A) 聴細胞 (B) 嗅細胞 (C) 桿体細胞 (D) 錐体細胞 (E) 味細胞
STEP 15つの感覚細胞の適刺激・構造・分布を整理する
- (ア) 化学物質が結合する受容体(化学受容器):気体の化学物質を受容する(B) 嗅細胞と、液体の化学物質を受容する(E) 味細胞の2つです!
- (イ) 振動により曲がる感覚毛(機械受容器):音波による基底膜の振動でおおい膜と触れ合い、感覚毛(聴毛)が曲がることで興奮するのは(A) 聴細胞(有毛細胞)です。(※嗅細胞にあるのは「嗅毛」で、化学物質を受容するための構造であり振動で曲がるものではありません)。
- (ウ) 細胞内にロドプシンを含む:薄暗いところで働く視物質ロドプシンを含むのは(C) 桿体細胞です(錐体細胞が含むのはフォトプシン/ヨードプシン)。
- (エ) うずまき管内のコルチ器に分布する:内耳のうずまき管の基底膜上にあるコルチ器に並ぶのは(A) 聴細胞です。
- (オ) 網膜の中央部の黄斑に多く分布する:明所で色彩や形を鮮明に見分ける黄斑(中心窩)に密集しているのは(D) 錐体細胞です(桿体細胞は黄斑の周辺部に多く分布します)。
問2:【II】瞳孔反射(虹彩の平滑筋と自律神経による光量調節)
語句補充問2 文中の(A)〜(I)に当てはまる適切な語句を答えなさい。
▼ 明所と暗所における虹彩(B)の筋肉の収縮と瞳孔(C)の変化
STEP 1眼の構造名称 (A)〜(C) を確定する
レンズの役割をする(A) 水晶体の前方には、ドーナツ状の膜である(B) 虹彩があり、その中央の穴である(C) 瞳孔の大きさを変えて光量を調節しています。
STEP 2明所と暗所の自律神経と瞳孔変化 (D)〜(I) を確定する
・明所:中脳から出る(D) 副交感神経が働き、虹彩の輪状に走る筋肉(瞳孔括約筋:巾着袋の紐と同じ!)が収縮して、瞳孔を(E) 縮小させ、眼に入る光量を(F) 減少させます。
・暗所:脊髄から出る(G) 交感神経が働き、虹彩の放射状に走る筋肉(瞳孔散大筋:外側から引っ張るゴムと同じ!)が収縮して、瞳孔を(H) 拡大させ、眼に入る光量を(I) 増加させます。
問3・問4:【III】ヒトの視覚経路(視交叉)と視神経切断による視野欠損
図表考察・選択問3 通常、右眼の鼻側の視野と耳側の視野からの情報は、大脳の(A)左視覚野と(B)右視覚野のどちらに伝えられるか、それぞれ記号で答えなさい。
問4 図1の、①、②または③の位置で視神経が切断された場合に、左右の眼の見え方にどのような影響が生じることが考えられるか、以下の(A)から(F)よりそれぞれ1つずつ選び記号で答えなさい。
(A) 左眼で見ていた視野が全て欠損する。
(B) 右眼で見ていた視野が全て欠損する。
(C) 両眼の耳側の視野が欠損する。
(D) 両眼の鼻側の視野が欠損する。
(E) 左眼の鼻側の視野と右眼の耳側の視野が欠損する。
(F) 左眼の耳側の視野と右眼の鼻側の視野が欠損する。
▼ 図1の完全色分けトレース:視野と網膜の対応&切断位置 ①・②・③
問3の解説右眼の鼻側視野と耳側視野はどちらの視覚野へ行くか?
- 右眼の鼻側の視野(左側の景色・青色):レンズを通って右眼の耳側の網膜に投射されます。耳側の網膜から出た視神経は視交叉で交差しないため、そのまま同じ側の(B) 右視覚野に伝えられます。
- 右眼の耳側の視野(右側の景色・赤色):レンズを通って右眼の鼻側の網膜に投射されます。鼻側の網膜から出た視神経は視交叉で交差するため、反対側の(A) 左視覚野に伝えられます。
問4の解説切断位置 ①・②・③ による視野欠損を1本ずつ追跡する!
- 位置 ① の切断:左眼球のすぐ後ろ(視交叉より前)で、左眼の鼻側網膜・耳側網膜から出るすべての視神経が切断されています。したがって、(A) 左眼で見ていた視野が全て欠損することになります。
- 位置 ② の切断:視交叉の中央が縦に切断されています。ここを通るのは「左眼の鼻側網膜からの視神経」と「右眼の鼻側網膜からの視神経」です。鼻側網膜にはそれぞれ耳側の視野が投射されているため、(C) 両眼の耳側の視野が欠損する(両耳側半盲)ことになります。
- 位置 ③ の切断:視交叉より後ろで、(B)右視覚野へ向かう視索がすべて切断されています。ここを通るのは「左眼の鼻側網膜からの視神経(=左眼の耳側の視野)」と「右眼の耳側網膜からの視神経(=右眼の鼻側の視野)」... ではなく、図1の③の位置をよく見ましょう!
【超重要・図1の網膜との結線を厳密に確認!】
問題文の図1の線を拡大して追跡すると:
・左眼の内側(鼻側)から出た線は交差して右側の③を通っていますか?いいえ、図1をよく見ると、左眼の外側(耳側)から出た線が真ん中で交差して③を通っており、右眼の内側(鼻側)から出た線が交差せずに③を通っていますか?
図1では、各眼球の後ろから2本の線が出ています。
・左眼の左側(耳側網膜)から出た線:交差せずにそのまま左側((A)左視覚野)へ進んでいます。
・左眼の右側(鼻側網膜)から出た線:視交叉で交差して右側へ進み、③の位置を通って(B)右視覚野へ入っています!
・右眼の左側(鼻側網膜)から出た線:視交叉で交差して左側へ進み、(A)左視覚野へ入っています。
・右眼の右側(耳側網膜)から出た線:交差せずにそのまま右側へ進み、③の位置を通って(B)右視覚野へ入っています!
したがって、③の位置を通っている視神経は、「左眼の鼻側網膜(=左眼の耳側の視野)」と「右眼の耳側網膜(=右眼の鼻側の視野)」の2本です!
よって、③が切断されると、(F) 左眼の耳側の視野と右眼の鼻側の視野が欠損する(左同名半盲)となります!
👨🏫 ニックニ先生の「引っかけ回避」チェック!
問4の③は、(E)と(F)の2択で焦ると「網膜の鼻側・耳側」と「視野の鼻側・耳側」を取り違えやすいポイントです!
③は「右視覚野(B)に入るルート」の切断です。右視覚野(B)が見ているのは「両眼の左半分の視野」です。
・左眼にとって「左半分」= 左眼の耳側の視野
・右眼にとって「左半分」= 右眼の鼻側の視野
だから「左眼の耳側の視野と右眼の鼻側の視野が欠損する」= (F) と1秒で検算できます!
((F)です!)
右眼の鼻側の視野:(B) / 右眼の耳側の視野:(A)
①:(A) / ②:(C) / ③:(F)
ヒトの心臓の断面構造・刺激伝導系と心周期(内圧・容積・心電図・心音)
大問3は医学部入試で超頻出の「心臓の生理学(ウィガーズ図:圧力・容積・心電図・心音の同時記録グラフ)」です!
受験生が一番苦手とするのが、図3のタイミング1〜6で「どの弁が開き、どの弁が閉じるか」の読み取りですが、実はたった1つの原則で解けます。
それは、「弁はすべて逆流防止の扉であり、上流の圧力 > 下流の圧力 になった瞬間に開き、上流の圧力 < 下流の圧力 になった瞬間に閉じる(そして閉じるときに心音が鳴る!)」ということです。グラフの交点に注目して完璧に攻略しましょう!
図2・図3(心周期グラフ)の完全メカニズム図解
(中略)心房と心室の間に房室弁、心室と動脈の間に動脈弁があり、血液の逆流を防いでいる。
心房と心室の収縮のタイミングのずれは、心臓での興奮の伝達を担う特殊な心筋によって担われている。(b) 心臓の自動能を担うペースメーカーで発生した心筋細胞の興奮は房室結節に到達する。(中略)
図3には、左心房、左心室、およびそれにつながる大動脈の内圧と、左心室の容積、心音、心電図の時間変化を示している。
▼ 図3のタイミング 1〜6 における圧力交点・弁の開閉・心音・血液移動の完全対応図
問1:左心室壁が右心室壁に比べて厚いことと心臓の収縮力の関係(25字以内)
記述・25字以内STEP 1体循環(左心室)と肺循環(右心室)の役割の違いを考える
右心室はすぐ隣の「肺」にのみ血液を送り出す(肺循環)のに対し、左心室は大動脈を通じて「全身の隅々」まで血液を送り出す(体循環)必要があります。
STEP 2心室壁(心筋)の厚さと収縮力の関係を25字以内でまとめる
全身の血管抵抗に打ち勝って高い圧力で全身へ血液を送り出すため、左心室壁は心筋が発達して厚くなっており、強い収縮力を生み出す(発揮する)という関係があります。
【最終解答(23字)】
※別解:「左心室は強い収縮力で全身へ血液を送り出す関係。」(23字)なども満点です。
問2・問3:ペースメーカーが存在する部屋と、心音I・心音IIを生じる弁
知識・グラフ読解問3 心音は心臓の弁が閉じるときに発生する。心音I、心音IIはそれぞれどの弁が閉じるときに生じるか答えなさい。
問2の解説ペースメーカー(洞房結節)の位置
心臓の拍動リズムを自動的に作り出すペースメーカーである洞房結節は、大静脈が流れ込む部屋である「右心房」の上壁に存在します(設問は「心臓の4つの部屋のうちのどれか」と聞いているので「洞房結節」ではなく「右心房」と答えます!)。
問3の解説心音Iと心音IIが発生するタイミングと閉じる弁
・心音I(タイミング2の直後):心室が収縮を始めて心室圧 > 心房圧となった瞬間に、血液が心房へ逆流するのを防ぐために「房室弁」が閉じるときに生じる音です。
・心音II(タイミング4の直後):心室が弛緩を始めて心室圧 < 大動脈圧となった瞬間に、大動脈から心室へ血液が逆流するのを防ぐために「動脈弁(大動脈弁・肺動脈弁)」が閉じるときに生じる音です(リード文第2段落に「心房と心室の間に房室弁、心室と動脈の間に動脈弁があり」と明記されているため、リード文の表記に合わせて答えましょう)。
右心房
心音I:房室弁 / 心音II:動脈弁
問4:タイミング3の後の「心臓の弁の変化」と「血液の流れの変化」(50字以内)
記述・50字以内STEP 1タイミング2〜3(等容性収縮期)からタイミング3〜4(駆出期)への変化を追う
・タイミング2〜3の間は、房室弁も動脈弁も閉じた状態で左心室が収縮し、左心室の容積は変わらずに内圧だけが急上昇しています(等容性収縮期)。
・タイミング3に達すると、左心室の内圧が大動脈の内圧(約80 mmHg)と等しくなり、その直後に左心室の内圧 > 大動脈の内圧となります。
STEP 2「弁の変化」と「血液の流れの変化」の2要素を漏らさず記述する
1. 心臓の弁の変化:左心室圧が大動脈圧を上回るため、閉じていた動脈弁が開く(房室弁は閉じたまま)。
2. 血液の流れの変化:左心室から大動脈へと血液が(急速に)送り出される(流出する)ようになる(その結果、図3の心室容積が130 mLから50 mLへと急減しています)。
【最終解答(40字)】
薄層クロマトグラフィー(TLC)による光合成色素の分離と藻類の系統進化・二次共生
最後の大問4は、「光合成色素のRf値(移動率)の読み取り」と「シアノバクテリア・紅藻・褐藻・緑藻・種子植物の系統樹」、さらに「ミドリムシの二次共生(3重膜の葉緑体)」を融合させた総合問題です!
たとえ色素の組み合わせをうっかり忘れていても、図4のTLCのスポット位置と表1のRf値を照らし合わせるだけで、どの生物がどの色素を持っているかがその場で100%特定できる親切設計になっています。データ照合の手順を一緒に確認しましょう!
図4(TLCスポット)・表1(Rf値)・図5(系統樹)の完全照合マトリックス
A:種子植物 B:シアノバクテリア C:緑藻 D:褐藻 E:紅藻
またこの分離条件下で、さまざまな光合成色素の原点からの移動率(Rf値)は表1のとおりである。
【表1】クロロフィル $a$:$0.77$ / カロテン:$0.97$ / クロロフィル $b$:$0.68$ / キサントフィル:$0.65$ / クロロフィル $c$:$0.14$ / フコキサンチン:$0.57$ / フィコビリン:$0.01$
| Rf値(上から順) | 光合成色素の名称 | A:種子植物 | B:シアノバクテリア | C:緑藻 | D:褐藻 | E:紅藻 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.97(最上部) | (カ) カロテン | ● | ● | ● | ● | ● |
| 0.77(上から2番目) | (ア) クロロフィル $a$ | ● | ● | ● | ● | ● |
| 0.68(中段上) | (イ) クロロフィル $b$ | ● | ー | ● | ー | ー |
| 0.65(中段) | (オ) キサントフィル | ● | ー | ● | ● | ● |
| 0.57(中段下) | フコキサンチン | ー | ー | ー | ● | ー |
| 0.14(下部) | (ウ) クロロフィル $c$ | ー | ー | ー | ● | ー |
| 0.01(原点直上) | (エ) フィコビリン | ー | ● | ー | ー | ● |
▼ 図5:光合成色素の獲得・喪失に基づく系統樹の完全復元
問1・問2:系統樹の生物(ア〜エ)と獲得・喪失した光合成色素(a〜d)の特定
データ考察・選択問2 図5の(a)から(d)にあてはまる光合成色素の名称を以下の(ア)から(カ)の中から各々一つ選び記号で答えなさい。
(ア) クロロフィル $a$ (イ) クロロフィル $b$ (ウ) クロロフィル $c$ (エ) フィコビリン (オ) キサントフィル (カ) カロテン
STEP 1図4のTLCバンドから各生物(A〜E)の色素構成を読み取る
・すべての生物(A〜E)に共通する上2本のバンド(Rf値 $0.97$ と $0.77$)はカロテンとクロロフィル $a$ です。
・B(シアノバクテリア)は、上2本と最下部のRf値 $0.01$(フィコビリン)の計3本しか持っていません。系統樹で最も早く分岐した「エ」が B(シアノバクテリア)です!
・その後、(a) キサントフィル(Rf値 $0.65$:B以外のA, C, D, Eすべてが持つ中段のバンド)を獲得し、そこから分岐してフィコビリンをまだ保持している「ア」が E(紅藻)です!
STEP 2フィコビリンの喪失と、緑藻・褐藻への分岐を特定する
・紅藻(ア)が分岐した後、A(種子植物)・C(緑藻)・D(褐藻)の共通祖先で Rf値 $0.01$ のバンドが消えているので、(b) フィコビリン の喪失が起こっています。
・その後、種子植物と同じ枝に分かれて Rf値 $0.68$ のバンドを獲得しているグループが(c) クロロフィル $b$ の獲得であり、種子植物とペアになっている「イ」が C(緑藻)です!
・もう一方の枝に分かれて Rf値 $0.14$(およびフコキサンチン $0.57$)を獲得しているのが「ウ」= D(褐藻)であり、選択肢にある色素から選ぶと(d) クロロフィル $c$ の獲得となります!
B:エ / C:イ / D:ウ / E:ア
(a):(オ) / (b):(エ) / (c):(イ) / (d):(ウ)
問3:ミドリムシが3枚の膜をもつ葉緑体を獲得した進化の過程(50字以内)
記述・50字以内▼ 一次共生(緑藻:2重膜)と二次共生(ミドリムシ:緑藻を取り込み3重膜の葉緑体へ)
STEP 1色素の種類から「共生した藻類」を特定する
ミドリムシの葉緑体に含まれる光合成色素は「種子植物と同じ(クロロフィル $a, b$ などを有し、フィコビリンを持たない)」です。単細胞あるいは微小な真核藻類で種子植物と同じ色素構成をもつのは「緑藻」です。
STEP 23重膜になった理由(二次共生)を50字以内でまとめる
もともと葉緑体をもたないミドリムシの祖先(真核生物)が、すでに一次共生によって2重膜の葉緑体をもっていた緑藻を細胞内に取り込んで共生(二次共生)させ、緑藻の核や細胞膜などが退化・消失した結果、3枚の膜をもつ葉緑体として定着したと考えられます。
ミドリムシの祖先が、種子植物と同じ色素をもつ緑藻を細胞内に取り込み共生させる二次共生を経た。(46字)
※別解例:「葉緑体をもたない真核生物が、緑藻を細胞内に取り込んで共生させ、自身の葉緑体とする二次共生を経た。」(49字)
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