TMPS医学館 徹底解説 平成21年度(2009年度)入試問題 【666】(5問中4問選択)

帝京大学 医学部 生物(2009年度)全問題・超図解解説

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「これより〜となる」の省略はゼロ!帝京大学(2009年度)生物をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、帝京大学(2009年度)の生物について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

本番は5題中4題選択(本解説は全5題完全収録)

〔1〕核酸(DNA・RNA)

  • 問1:1: ウ / 2: ア / 3: エ / 4: ウ / 5: エ / 6: ウ
  • 問2:(4)($1.8\,\text{m}$)

〔2〕神経系と興奮の伝達

  • 問1:(1)9 (2)1 (3)3 (4)16 (5)7 (6)20 (7)10 (8)11 (9)4 (10)6
  • 問2:A: 絶縁 / 問3:跳躍伝導
  • 問4:閾値(いきち)
  • 問5:ア: ノルアドレナリン / イ: アセチルコリン

〔3〕条件反射と無条件反射

  • 問1:A: ア(大脳) / B: キ(パブロフ)
  • 問2:2 / 問3:5(すべて適切)
  • 問4:C: ア / D: ウ / E: エ / F: イ

〔4〕体液の循環と浸透圧

  • 問1:ア: 8 / イ: 3 / ウ: 11
  • 問2:【1】組織液
  • 問3:A:2 B:16 C:18 D:5 E:10 F:11 G:1
  • 問4:4

〔5〕個体群の成長と異種間の相互作用(ニッチの分化)

  • 問1 (A):1(増殖率が高く死亡率が低い)
  • 問2 (B):2(個体群密度)
  • 問3 (C):5(S字型)
  • 問4 (D):4(種間競争)
  • 問5:③(最も考えにくいグラフ)
  • 問6:4(アリマキとアリは相利共生)

〔1〕核酸(DNA・RNA)の構造とヒトゲノム長

目標解答時間:8分
Sora先生
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大問〔1〕は核酸(DNAとRNA)の基礎知識と、ヒト体細胞1個あたりのDNA全長を求める超定番問題だよ!問1のような「①のみ正しい・②のみ正しい・両方正しい・両方誤り」の4択形式は、1つでも曖昧な知識があると失点しやすいから要注意。特に「塩基は窒素(N)を含む」「アデノシン=アデニン+リボース」という化学構造の定義と、「多細胞生物でも赤血球や配偶子などでDNA量が異なる細胞がある」という例外チェックが合否の分かれ目になるよ!

📊 視覚で完全理解!ヌクレオチドの構成とDNA二重らせんの寸法

ヌクレオチドの基本構造(RNAの例:AMP) リン酸 五炭糖 (リボース等) 塩基 (Nを含む) A, G, C, T(DNA)/U(RNA) ヌクレオシド(アデニン+リボース = アデノシン) DNA二重らせんとヒト体細胞(2n) A = T (水素結合) G ≡ C (水素結合) 1塩基対間隔 = 0.34 nm ・1回転(10塩基対) = 3.4 nm ・体細胞(2n) = 約60億塩基対 ⇒ 全長 約 2.0 m (1.8 m)

【問1】1〜6の各文を読み、おのおの①のみが正しければ「ア」、②のみが正しければ「イ」、①②共に正しければ「ウ」、①②共に間違っていれば「エ」を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

  • 1. ① 核酸には、DNAとRNAが知られている。 / ② DNAやRNAは、多数のヌクレオチドが鎖状に結合した高分子化合物である。
  • 2. ① ヌクレオチドは、糖、塩基、およびリン酸によって構成される。 / ② DNAを構成するヌクレオチドは、糖としてリボースを含んでいる。
  • 3. ① 塩基とは、ヌクレオチドを構成する物質のうち、窒素を含まない有機化合物である。 / ② DNAとRNAに共通する塩基は、チミンである。
  • 4. ① アデノシンは、アデニンとリボースが結合したものである。 / ② RNAのアデニン・ヌクレオチドは、アデノシン一リン酸(AMP)である。
  • 5. ① DNAは、共有結合により2本のヌクレオチド鎖が塩基の部分で強固に結合している。 / ② アデニンに相補的な塩基はグアニンである。
  • 6. ① 1個の細胞に含まれるDNA量は、生物の種類によって異なる。 / ② 多細胞生物の1つの細胞に含まれるDNA量は、細胞によって異なるものがある。

1の判定 正解:ウ(①:○、②:○)

・文①(正):核酸(Nucleic acid)には、デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)の2種類があります。
・文②(正):DNAやRNAは、構成単位であるヌクレオチドがホスホジエステル結合によって多数鎖状につながった生体高分子(ポリヌクレオチド)です。よって①・②ともに正しく「ウ」となります。

2の判定 正解:ア(①:○、②:×)

・文①(正):ヌクレオチドは、五炭糖(糖)・有機塩基(塩基)・リン酸の3つが $1:1:1$ で結合した化合物です。
・文②(誤):DNAの糖はデオキシリボース($\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_4$)です。リボース($\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_5$)を含むのはRNAです。したがって①のみが正しく「ア」となります。

3の判定 正解:エ(①:×、②:×)

・文①(誤):核酸の塩基(プリン塩基・ピリミジン塩基)は、環状構造の中に窒素原子($\text{N}$)を多く含む含窒素有機化合物です(窒素非含有は誤り)。
・文②(誤):DNAの塩基は $\text{A, T, G, C}$、RNAの塩基は $\text{A, U, G, C}$ です。両者に共通する塩基はアデニン($\text{A}$)・グアニン($\text{G}$)・シトシン($\text{C}$)の3種であり、チミン($\text{T}$)はDNA固有です。①・②ともに誤りなので「エ」です。

4の判定 正解:ウ(①:○、②:○)

・文①(正):塩基の「アデニン」と五炭糖の「リボース」が結合した化合物(ヌクレオシド)をアデノシンと呼びます(ATP=アデノシン三リン酸の「アデノシン」と同じです)。
・文②(正):RNAを構成するアデニン・ヌクレオチドは、アデノシン(アデニン+リボース)にリン酸が1個結合したアデノシン一リン酸(AMP:Adenosine MonoPhosphate)です。(※もしDNAならデオキシアデノシン一リン酸 dAMP になります)。よって①・②ともに正しく「ウ」です。

5の判定 正解:エ(①:×、②:×)

・文①(誤):2本のヌクレオチド鎖の塩基同士は、共有結合ではなく比較的弱い結合である水素結合($\text{A}$と$\text{T}$の間に2本、$\text{G}$と$\text{C}$の間に3本)によって結ばれています(複製や転写の際にほどける必要があるためです)。
・文②(誤):DNAにおいてアデニン($\text{A}$)に相補的な塩基はチミン($\text{T}$)(RNAではウラシル $\text{U}$)です。グアニン($\text{G}$)と相補的なのはシトシン($\text{C}$)です。よってともに誤りで「エ」です。

6の判定 正解:ウ(①:○、②:○)

・文①(正):種が異なればゲノムサイズ(染色体数や塩基対数)が異なるため、1個の細胞あたりのDNA量は生物種によって異なります。
・文②(正):同じ多細胞生物の個体であっても、以下の細胞では1個あたりのDNA量が異なります:
 ① 生殖細胞(精子・卵などの配偶子):減数分裂によって染色体数が半減($n$)しているため、通常の体細胞($2n$、$\text{G}_1$期)の半分のDNA量になります。
 ② 細胞周期の段階:DNA複製後の $\text{S}$期〜$\text{G}_2$期・$\text{M}$期の体細胞は、$\text{G}_1$期の2倍のDNA量を持ちます。
 ③ 哺乳類の成熟した赤血球(無核)や骨格筋細胞(多核体):核を失った赤血球はDNAを持たず、多核細胞は多くのDNAを含みます。
したがって「細胞によって異なるものがある」という文②は正しく、①・②ともに正しいため「ウ」となります。

【問2】直径 $10\,\mu\text{m}$ 程のヒト白血球1個に含まれるDNA分子の全長は、計算上どの程度となるか。適切なものを1つ選び番号で答えなさい。

(1) $1.8\,\text{mm}$  (2) $18\,\text{mm}$  (3) $18\,\text{cm}$  (4) $1.8\,\text{m}$  (5) $18\,\text{m}$

STEP 1 ヒトの体細胞(白血球)1個あたりの全塩基対数を確認する

ヒトの白血球は核をもつ通常の体細胞($2n = 46$)です。
ヒトの半数体ゲノム(配偶子 $n = 23$)の塩基対数は約 $30\text{億塩基対}$($= 3.0 \times 10^9\text{塩基対}$、問題によっては約 $27\text{億} \sim 30\text{億}$)です。
よって、体細胞($2n$)1個に含まれる全DNAの塩基対数はその2倍の約 $60\text{億塩基対}$($5.3 \times 10^9 \sim 6.0 \times 10^9\text{塩基対}$)となります。

STEP 2 1塩基対あたりの長さ($0.34\,\text{nm}$)を掛けて全長を計算する

DNA二重らせんは、10塩基対で1回転し、その長さが $3.4\,\text{nm}$($= 3.4 \times 10^{-9}\,\text{m}$)です。つまり隣り合う塩基対の間隔は $0.34\,\text{nm}$($= 3.4 \times 10^{-10}\,\text{m}$)です。
したがって、白血球1個に含まれるDNA分子の全長 $L$ は次のように計算できます(ヒト体細胞の塩基対数を約 $5.3 \times 10^9 \sim 6.0 \times 10^9$ として計算): $$L \approx (3.4 \times 10^{-10}\,\text{m}) \times (5.3 \times 10^9 \sim 6.0 \times 10^9) \approx 1.8\,\text{m} \sim 2.0\,\text{m}$$ 選択肢の中でこれに一致するのは (4) $1.8\,\text{m}$ です。

🎓 指導統括 ニックニ先生の医学部合格眼

「直径わずか $10\,\mu\text{m}$($= 0.01\,\text{mm}$)の小さな細胞核の中に、自分の身長と同じくらいの約 $1.8\,\text{m} \sim 2\,\text{m}$ ものDNAがヒストンに巻き付いて折りたたまれている」というスケール感は、医学部入試で暗記必須の教養数値です!もし「ヒトの精子($n$)1個」と聞かれたら半分の約 $0.9\,\text{m} \sim 1.0\,\text{m}$、「白血球($2n$)1個」なら約 $1.8\,\text{m} \sim 2.0\,\text{m}$ と即答できるようにしておきましょう!

〔2〕ニューロンの構造と興奮の伝導・伝達

目標解答時間:10分
Sora先生
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大問〔2〕は神経細胞(ニューロン)の基本構造と、跳躍伝導・シナプス伝達に関する王道問題!絶対に満点を狙いたい得点源だよ。問1の語群には「鞘(5)と髄鞘(7)」「枝状突起(12)と樹状突起(3)」「神経軸(14)と軸索(16)」のような紛らわしいダミー選択肢が混ざっているから、正確な専門用語で選び抜こう。また問5の自律神経と気管支の関係は、「交感神経=闘争・逃走=息をたくさん吸うために気管支拡張!」とイメージすれば一発だよ!

📊 視覚で完全理解!有髄神経繊維(ニューロン)の構造と跳躍伝導・シナプス伝達

(3) 樹状突起 核 (2) 細胞体 (4) 軸索(長く伸びた突起) (5) 髄鞘 絶縁体 (5) 髄鞘 跳躍伝導(ランビエ絞輪を飛び飛びに伝わる) 次の(1) (8) シナプス (9) シナプス小胞から (10) 神経伝達物質を分泌

【問題文】

中枢神経や末梢神経などの神経系を構成する主な細胞は神経細胞、または( 1 )とよばれている。( 1 )は核のある( 2 )、枝分かれした多数の短い突起である( 3 )、長く伸びた突起である( 4 )から構成されている。神経繊維には、薄い膜状の細胞であるシュワン細胞が( 4 )に何重にも巻きついて( 5 )を形成している( 6 )神経繊維と、そのような構造がない( 7 )神経繊維とがある。a 一般に、太さが同じであれば( 6 )神経繊維の方が( 7 )神経繊維に比べ興奮の伝わる速度が速い。( 4 )の末端は、狭い隙間を隔てて次の( 1 )と連絡しており、この部分は( 8 )とよばれている。b 興奮が( 4 )の末端まで伝わると末端部の( 9 )からc 興奮を伝達する物質である( 10 )が分泌され、これが刺激となって次の( 1 )に興奮が伝わる。

【問1】文中の空欄( 1 )〜( 10 )に入る語句を下から1つずつ選び、番号で答えなさい。

1. 細胞体 / 2. 迷走 / 3. 樹状突起 / 4. シナプス小胞 / 5. 鞘 / 6. 神経伝達物質 / 7. 髄鞘 / 8. 膜 / 9. ニューロン / 10. 無髄神経 / 11. シナプス / 12. 枝状突起 / 13. 節 / 14. 神経軸 / 15. 脊索 / 16. 軸索 / 17. 細胞軸 / 18. 脊髄 / 19. 網状突起 / 20. 有髄神経

全空欄の論理的決定

  • ・( 1 )= 9. ニューロン:神経細胞(構造的・機能的単位)の別名はニューロンです。
  • ・( 2 )= 1. 細胞体:ニューロンの中で核やミトコンドリアなどが存在する中心部分を細胞体といいます。
  • ・( 3 )= 3. 樹状突起:細胞体から木の枝のように多数突き出た短い突起は樹状突起です(※12.枝状突起や19.網状突起はひっかけ)。
  • ・( 4 )= 16. 軸索:細胞体から1本長く伸びた突起を軸索といいます(※14.神経軸や17.細胞軸はひっかけ)。
  • ・( 5 )= 7. 髄鞘(ずいしょう):末梢神経においてシュワン細胞の細胞膜が軸索に幾重にも巻きついてできた構造を髄鞘(ミエリン鞘)といいます(※5.鞘ではないことに注意)。
  • ・( 6 )= 20. 有髄神経:髄鞘をもつ神経繊維を有髄神経繊維といいます。
  • ・( 7 )= 10. 無髄神経:髄鞘をもたない神経繊維を無髄神経繊維といいます。
  • ・( 8 )= 11. シナプス:軸索末端と次のニューロン(または効果器)との接合部をシナプスといいます。
  • ・( 9 )= 4. シナプス小胞:軸索末端(シナプス前終末)にあり、伝達物質を蓄えている袋状構造はシナプス小胞です。
  • ・( 10 )= 6. 神経伝達物質:シナプス小胞からシナプス間隙へ放出される化学物質は神経伝達物質です。

【問2】文中の下線部aについて、( 6 )神経繊維が高い興奮伝達速度を示すのは、( 5 )が「( A )体」としてはたらいており、興奮が飛び飛びに伝わるためである。( A )の中に入る適切な漢字2文字を記入しなさい。

【問3】( 6 )神経繊維における興奮の伝わり方は何とよばれているか、漢字4文字で答えなさい。

【問4】文中の下線部bについて、下線部bが生じるための刺激の最小値は何とよばれているか、漢字2文字で答えなさい。

【問5】文中の下線部cについて、( 9 )から分泌される伝達物質( ア )はヒトの気管支を拡張させるのに対し、伝達物質( イ )は気管支を収縮させる。物質( ア )および( イ )に入る語句をカタカナで記入しなさい。

問2の解説 正解:絶縁

髄鞘(5)は脂質に富む細胞膜が何重にも巻きついた構造をしており、イオン(電流)を通さない電気的な「絶縁体」としてはたらきます。そのため、活動電位は髄鞘の切れ目であるランビエ絞輪でのみ発生します。


問3の解説 正解:跳躍伝導

有髄神経繊維(6)において、興奮(活動電位)がランビエ絞輪から隣のランビエ絞輪へと飛び飛びに高速で伝わる現象を跳躍伝導といいます。(※「跳躍伝達」と書かないよう注意!1つのニューロン内を伝わる現象は「伝導」です)。


問4の解説 正解:閾値(いきち)

ニューロンや筋繊維に興奮(活動電位)を生じさせるのに必要な最小限の刺激の強さを閾値(いきち)といいます。1本の神経繊維や筋繊維では、刺激が閾値未満なら全く反応せず、閾値以上なら刺激の強さに関わらず一定の大きさの活動電位が生じる「全か無かの法則」が成り立ちます。


問5の解説 正解:ア=ノルアドレナリン、イ=アセチルコリン

・気管支の拡張(交感神経の作用):運動時や緊急時に働く交感神経の末端(シナプス小胞)からはノルアドレナリンが分泌され、より多くの酸素を取り込めるよう気管支を拡張させます。(※副腎髄質から血液中に分泌されるホルモンはアドレナリンですが、問題文に「(9=シナプス小胞)から分泌される伝達物質」と明記されているため、神経伝達物質であるノルアドレナリンが最適です)。
・気管支の収縮(副交感神経の作用):安静時に働く副交感神経の末端からはアセチルコリンが分泌され、気管支を収縮させます。

〔3〕無条件反射と条件反射(パブロフの犬・新生児の聴力検査)

目標解答時間:8分
Sora先生
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大問〔3〕はパブロフの条件反射と、それを応用した「新生児の難聴検査」の問題だよ!ここで一番引っかかりやすいのが問2の「目の前にボールが飛んできたとき、まぶたを閉じる」という選択肢。「えっ、思わず目を閉じるから無条件反射じゃないの?」と思いがちだけど、実は「ボールを見て危険だと過去の経験から判断して目を閉じる」のは大脳が関与する条件反射なんだ!また問3のように「すべて適切なら5」という帝京大特有の選択肢にも惑わされないようにしよう!

📊 視覚で完全理解!パブロフの犬と新生児の把握反射を用いた条件付け

パブロフのイヌの実験 無条件刺激:餌 〔実験1〕生まれつき反応 条件刺激:ベルの音 〔実験2〕単独では反応なし 〔実験3〕条件付け成立 ベルのみで唾液分泌(大脳) ※ベルのみを与え続けると「消去」が起こり分泌されなくなる 問4:新生児の難聴検査(把握反射の応用) (C) 手のひらに棒を入れる ⇒ (D) しっかりと手をにぎる (E) ベルの音をきかせる ⇒ (F) 手をにぎらなかった 同時刺激を繰り返す ⇒ (E)ベルの音だけで (D)手をにぎる=聴力正常!
( A )に中枢があり、経験により成立する反射を条件反射という。また(イ) 無条件反射や条件反射に直接関係はないが、繰り返し与えられると条件反射を成立させる刺激のことを条件刺激という。また、条件刺激を繰り返し与えて、条件刺激だけで条件反射を起こさせる操作を条件付けという。
条件反射の有名な例は、( B )のイヌの実験である。この実験は次の通りである。
〔実験1〕イヌに目隠しをして餌を与えると、唾液が分泌された。
〔実験2〕イヌにベルの音を聞かせたところ唾液は分泌されなかった。
〔実験3〕イヌに餌を与える直前にベルをならす刺激を繰り返すと、ベルをならすだけで唾液が分泌されるようになった。

【問1】文中の空欄( A )、( B )に入る最も適切なものを下から1つずつ選び、記号で答えなさい。

ア. 大脳 イ. 間脳 ウ. 中脳 エ. 小脳 オ. 脊髄 / カ. アベリー キ. パブロフ ク. ローレンツ

問1の解説 正解:A=ア(大脳)、B=キ(パブロフ)

・後天的な学習・経験によって成立する条件反射の中枢は大脳(大脳皮質)にあります。
・イヌの唾液分泌反応を用いて条件反射を研究したロシアの生理学者はパブロフです(※アベリーは肺炎双球菌の形質転換物質=DNAの証明、ローレンツはハイイロガンの刷り込み研究で有名です)。

【問2】文中の下線部(イ)について。次の文章1〜4は、無条件反射の例について述べたものである。このうち不適切な文章はどれか、番号で答えなさい。ただし、すべてが適切な文章である場合には5と答えなさい。

  • 1. 熱いストーブに手を触れたとき、手を引っ込める。
  • 2. 目の前にボールが飛んできたとき、まぶたを閉じる。
  • 3. ネコの体を引っくり返して手を離したとき、ひっくりかえって正しい姿勢で着地する。
  • 4. 目に光を当てると、瞳孔が収縮する。

問2の解説 正解:2

  • ・1(適切・無条件反射):屈筋反射(逃避反射)であり、中枢は脊髄にある生まれつきの無条件反射です。
  • ・2(不適切・条件反射):飛んでくるボールを視覚で捉え、「ぶつかると危険だ」という過去の経験(記憶)に基づいて大脳が判断して反射的にまぶたを閉じる反応は条件反射です。(※角膜にゴミや風が直接触れたときに目を閉じる角膜反射は無条件反射ですが、視覚情報から危険を予測して目を閉じる反応は生後しばらく経ってから成立する大脳皮質経由の条件反射に分類されます)。
  • ・3(適切・無条件反射):ネコの立ち直り反射(姿勢反射)であり、中枢は中脳にある無条件反射です。
  • ・4(適切・無条件反射):瞳孔反射(対光反射)であり、中枢は中脳にある無条件反射です。

【問3】文中の空欄( B )のイヌの実験について。下の文章1〜4のうち、この実験について述べたものとして不適切な文章はどれか。番号で答えなさい。ただし、すべてが適切な文章である場合には5と答えなさい。

  • 1. 〔実験1〕は無条件反射と関係がある。
  • 2. 〔実験2〕は〔実験3〕の前提としての意味がある。
  • 3. ベルの音が条件刺激であり、餌は無条件刺激である。
  • 4. 条件付け成功後、ベルの音だけを与え続けるとやがて唾液は分泌されなくなることが予想できる。

問3の解説 正解:5(すべて適切な文章)

  • ・1(適切):〔実験1〕で餌を口に入れたときに唾液が出るのは、延髄を中枢とする生まれつきの無条件反射です。
  • ・2(適切):〔実験2〕は、「条件付けを行う前の段階では、ベルの音だけでは唾液が出ない(中立刺激である)」ことを確認する対照実験(〔実験3〕の前提)として不可欠です。
  • ・3(適切):本来は無関係だった「ベルの音」が条件刺激、無条件反射を引き起こす「餌」が無条件刺激です。
  • ・4(適切):条件付けが成立した後も、無条件刺激(餌)を伴わずに条件刺激(ベルの音)だけを与え続けると、条件反射は次第に弱まり、やがて起こらなくなります(これを条件反射の消去といいます)。
  • 以上より1〜4はすべて適切な記述であるため、「5」が正解となります。

【問4】条件反射を利用して、検査困難な新生児の難聴の有無を知ることができる。次の文章の空欄( C )〜( F )に入る最も適切なものを下のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。

〔実験1〕( C )ると、( D )った。
〔実験2〕新生児に( E )たところ、( F )った。
〔実験3〕( C )ると同時に( E )ると、( D )った。
〔実験4〕〔実験3〕を繰り返すと、( E )るだけで( D )るようになった。
ア. 新生児の手のひらに棒を入れ / イ. しっかりと手をにぎらなか / ウ. しっかりと手をにぎ / エ. ベルの音をきかせ

問4の解説 正解:C=ア、D=ウ、E=エ、F=イ

パブロフのイヌの実験〔実験1〕〜〔実験3〕と全く同じ対応関係で組み立てます。
・〔実験1〕無条件反射の確認:新生児には、手のひらに物が触れると無意識に握りしめる把握反射(無条件反射)があります。よって( C:ア. 新生児の手のひらに棒を入れ )ると、( D:ウ. しっかりと手をにぎ )った。
・〔実験2〕条件刺激単独での反応確認:難聴の有無を調べるため、条件刺激として音を用います。新生児に( E:エ. ベルの音をきかせ )たところ、最初は何の関連もないため( F:イ. しっかりと手をにぎらなか )った。
・〔実験3〕・〔実験4〕条件付け:(C:棒を入れる)と同時に(E:ベルの音を聞かせる)ことを繰り返した結果、(E:ベルの音を聞かせる)だけで(D:しっかりと手をにぎる)ようになれば、「新生児はベルの音が聞こえている(難聴ではない)」と判定できます。

〔4〕浸透圧(膠質浸透圧)・むくみ(浮腫)の生理学と腎臓

目標解答時間:12分
Sora先生
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大問〔4〕は「なぜ低栄養や心不全で足がむくむ(浮腫が生じる)のか?」という、医学部ならではの臨床生理学(スターリングの仮説・膠質浸透圧)をテーマにした超良問だよ!血管内の血漿にはアルブミンなどのタンパク質が多く含まれていて、その膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)が組織液を毛細血管内へ引き戻す役割をしているんだ。ここさえ図解でイメージできれば、問1〜問4までスラスラ解けるよ!特に問1の「細胞膜の厚さ=約 $9 \times 10^{-9}\,\text{m}$($= 9\,\text{nm}$)」は単位換算のミスに気をつけてね!

📊 視覚で完全理解!毛細血管における血漿・組織液・リンパ液の移動と膠質浸透圧

動脈側 毛細血管 静脈側 毛細血管 → (D)右心房へ 血管内:血漿(タンパク質濃度が【高い】⇒ 膠質浸透圧が高い) 毛細血管の壁 = (B) 内皮細胞(水や小分子は通すがタンパク質は通しにくい) 血管外:【 1 】組織液(タンパク質濃度が血漿より (A) 低い) ※低栄養で血漿タンパク質が減ると、組織液を血管内に引き戻せず「むくみ」や「腹水(問4)」が生じる! 血圧で押し出される 膠質浸透圧で戻る 一部は (C) リンパ管 に入り排出される

【会話文の空欄・下線部抜粋】

・身体の血管外の組織をつくる多くの細胞には、毛細血管から外部に水などが浸透し水や栄養分が補給されているのです。その細胞をとりまく液体を【 1 】というのですが、むくみというのは、その【 1 】が増加した状態なのですね。

・【 1 】が、静脈に戻るのに浸透圧がはたらいているんです。その浸透圧をつくるのが、タンパク質です。タンパク質は高分子ですが溶質ですのでその濃度差によってあ 膠質浸透圧とよばれる浸透圧の差を生じるのです。一般にタンパク質濃度は、【 1 】の方が血漿より( A )のでスムースな水の流れが起こるといわれています。

・毛細血管の壁を構成する( B )細胞の両側でタンパク質濃度の差があるということですね。

・【 1 】の一部は、( C )に入り、排出されます。その流れが止まってもむくむことがあるらしいですよ。

・静脈血液は、心臓の( D )に入り込みますから心臓のポンプ機能がうまくはたらかないと静脈の血圧が高くなってそういうことが起こるのでしょうね。

・原尿から尿になる濃縮率は、( E )から分泌されるホルモンの( F )が作用すると、( G )値になることはすでに勉強しましたね。

【問1】上記の会話の数日前、大木先生は浸透圧について次のような講義をしました。下の文の空欄( ア )〜( ウ )にあてはまる最も適切な語を、下から選び番号で答えなさい。

一般の生物において、その生理現象に浸透圧が問題となるのは、細胞膜が( ア )という性質をもつからである。細胞膜は、厚さが約 $9 \times$( イ )$\text{m}$ の脂質の二重膜を基本構造としている。最近の研究では、脂質の膜自体では水を通しにくいが、( ウ )というチャネルタンパク質が水分子を通過させることが明らかにされている。そのため、細胞膜の両側に、濃度の異なる食塩溶液があると浸透圧の差が生じると考えられている。

1. パーフォリン / 2. $10^{-10}$ / 3. $10^{-9}$ / 4. $10^{-8}$ / 5. $10^{-7}$ / 6. 疎水性 / 7. 親水性 / 8. 半透性 / 9. 能動輸送 / 10. ナトリウムポンプ / 11. アクアポリン / 12. 水素チャネル

問1の解説 正解:ア=8(半透性)、イ=3($10^{-9}$)、ウ=11(アクアポリン)

  • ・( ア )= 8. 半透性:溶媒(水分子)は通すが溶質分子やイオンは通しにくい性質を半透性といいます(生体膜は厳密には選択的透過性を持ちますが、浸透現象においては半透膜として機能します)。
  • ・( イ )= 3. $10^{-9}$:細胞膜(リン脂質二重層)の厚さは約 $7.5 \sim 10\,\text{nm}$(ナノメートル)です。$1\,\text{nm} = 10^{-9}\,\text{m}$ なので、約 $9\,\text{nm} = 9 \times 10^{-9}\,\text{m}$ となり、3($10^{-9}$)が入ります。
  • ・( ウ )= 11. アクアポリン:細胞膜に存在し、水分子のみを選択的に通過させる水チャネルタンパク質をアクアポリンといいます(※1のパーフォリンはキラーT細胞が分泌して標的細胞膜に孔をあけるタンパク質です)。

【問2】文中の空欄【 1 】に入る最も適切な語を、漢字3文字で答えなさい。

【問3】文中の空欄( A )〜( G )にあてはまる最も適切な語を、下から選び番号で答えなさい。

1. 高い / 2. 低い / 3. 少ない / 4. 左心房 / 5. 右心房 / 6. 左心室 / 7. 右心室 / 8. 視床下部 / 9. 甲状腺 / 10. 脳下垂体 / 11. バソプレシン / 12. プロゲステロン / 13. 副腎 / 14. 鉱質コルチコイド / 15. 表皮 / 16. 内皮 / 17. 真皮 / 18. リンパ管 / 19. 動脈 / 20. 消化管

問2の解説 正解:【 1 】=組織液

毛細血管からしみ出し、血管外の組織細胞を取り囲んで水や栄養分を補給している体液を組織液といいます。


問3の解説 正解:A=2、B=16、C=18、D=5、E=10、F=11、G=1

  • ・( A )= 2. 低い:アルブミンなどの血漿タンパク質は分子量が大きいため、毛細血管の壁をほとんど通過できません。そのためタンパク質濃度は組織液【1】の方が血漿よりも低い状態に保たれ、組織液から血漿へ向かう浸透圧(膠質浸透圧による水の引き戻し)が生じます。(※「タンパク質濃度」が主語なので「3. 少ない」ではなく「2. 低い」を選びます)。
  • ・( B )= 16. 内皮:毛細血管の壁は1層の扁平な内皮細胞(血管内皮細胞)から構成されています。
  • ・( C )= 18. リンパ管:毛細血管に戻らなかった組織液の一部はリンパ管に取り込まれてリンパ液となり、最終的に静脈(鎖骨下静脈)へ戻されます。
  • ・( D )= 5. 右心房:全身を巡った静脈血(大静脈の血液)が最初に戻ってくる心臓の部屋は右心房です。
  • ・( E )= 10. 脳下垂体 /( F )= 11. バソプレシン /( G )= 1. 高い:腎臓の集合管での水の再吸収を促進し、原尿から尿への濃縮率を高めるホルモンは、視床下部で合成され脳下垂体(後葉)から分泌されるバソプレシン(抗利尿ホルモン ADH)です。バソプレシンが作用すると水が再吸収されて尿量が減り、尿の濃縮率は高い値になります。

【問4】文中の下線部あの膠質浸透圧が関係するものは何か。最も適切な文を下から1つ選び番号で答えなさい。

  • 1. ナメクジに塩をかけると小さくなる
  • 2. 乾燥ワカメを水に入れると体積が増える
  • 3. 赤血球を水に入れると溶血する
  • 4. 低栄養になると腹腔に水がたまりやすい
  • 5. 血液は水より比重が高い

問4の解説 正解:4

・1〜3はいずれも無機塩類($\text{NaCl}$ など)の低分子イオンによる通常の結晶浸透圧(および吸水現象)の例であり、5は血液中の血球や溶質の質量による比重の話です。
・4(正解):飢餓や低栄養状態(クワシオルコルなど)になると、肝臓での血漿タンパク質(特にアルブミン)の合成量が減少し、血液の膠質浸透圧が低下します。すると毛細血管から出た水分を血管内へ引き戻すことができなくなり、組織間隙(むくみ)や腹腔内に水分がしみ出して腹水(腹腔に水がたまる現象)が生じます。

〔5〕個体群の成長曲線・種間競争とニッチの分化

目標解答時間:10分
Sora先生
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最後の大問〔5〕は生態学から、ガウゼのゾウリムシ実験(ロジスティック曲線と競争的排除)およびショウジョウバエ2種の混合飼育実験だよ!一番の思考力勝負は問5のグラフ考察!「浅い培地($1.5\,\text{cm}$)では10週目ごろにキイロショウジョウバエが100%になる」という基準に対して、「カスリショウジョウバエに有利な深い培地($3\,\text{cm}$)に変えたらどうなるか?」を考える問題だよ。カスリショウジョウバエに有利な条件にしたのに、キイロショウジョウバエが浅い培地よりさらに速く(5週目で)100%になってしまう図③は論理的にあり得ないよね!

ゾウリムシは、汚水中にすむ原生生物である。2種のゾウリムシをそれぞれ別々の容器内に入れて培養すると、はじめのうちはそれぞれゆっくり増殖するが、やがて個体数が急速に増加する。この場合は( A )状態にある。個体数が増加し( B )が高くなってくると、増殖率が低下する。したがって、これらの2種の個体数の時間変化はどちらも( C )になる。しかし、2種を同数ずつ同じ容器内にいれ培養すると、最初は2種どちらも個体数が増加するが、次第に一方の個体数が減少してくる。これは、食物に対する( D )が生じたためで、やがて増殖率の高い方の種が優占するようになる。

【問1】文中の空欄( A )に入るのはどれか。下から1つ選び番号で答えなさい。

1. 増殖率が高く死亡率が低い / 2. 増殖率が低く死亡率が高い / 3. 増殖率と死亡率がほとんど同じ / 4. 増殖率と死亡率がともに高い / 5. 増殖率と死亡率がともに低い

【問2】文中の空欄( B )に入るのはどれか。下から1つ選び番号で答えなさい。

1. 摂食率 / 2. 個体群密度 / 3. 生産効率 / 4. 齢構成 / 5. 総生産量

【問3】文中の空欄( C )に入るのはどれか。下から1つ選び番号で答えなさい。

1. 晩死型 / 2. L字型 / 3. 平均型 / 4. 早死型 / 5. S字型

【問4】( D )に入るのはどれか。下から1つ選び番号で答えなさい。

1. なわばり制 / 2. リーダー制 / 3. 種内競争 / 4. 種間競争 / 5. 順位制

問1〜問4の解説

  • ・問1( A )= 1(増殖率が高く死亡率が低い):培養初期で餌や生活空間が十分にあり、「やがて個体数が急速に増加する」時期では、環境抵抗が小さいため増殖率(出生・分裂率)が高く、死亡率が低い状態にあります。
  • ・問2( B )= 2(個体群密度):限られた空間内で個体数が増加すると個体群密度が高まり、餌の不足や老廃物の蓄積などの密度効果(環境抵抗)によって増殖率が低下します。
  • ・問3( C )= 5(S字型):横軸に時間、縦軸に個体数をとると、個体数が環境収容力(飽和密度)に近づくにつれて増加が頭打ちとなり、成長曲線(ロジスティック曲線)はS字型を描きます(※晩死型・平均型・早死型は生存曲線の用語です)。
  • ・問4( D )= 4(種間競争):異なる2種のゾウリムシ(ヒメゾウリムシとゾウリムシなど)の間で共通の食物や生活空間をめぐって起こる争いは種間競争です(※なわばり制・リーダー制・順位制は同種個体群内の社会構造です)。

【問5】キイロショウジョウバエとカスリショウジョウバエを一定の割合で混合した上で $1.5\,\text{cm}$ の浅い培地を入れた容器内で育てると、世代の交代に従って、10週目ごろにはカスリショウジョウバエはほぼ消滅してしまい、キイロショウジョウバエが優占して個体数がほぼ $100\%$ となる。しかし、カスリショウジョウバエの幼虫は、キイロショウジョウバエの幼虫よりも酸素分圧の低い深い培地の中でも生息できるため、特定の条件下では、個体数の増加に有利だと考えられる。では、同じ2種を $3\,\text{cm}$ の深い培地を入れた容器内で育てると、キイロショウジョウバエの個体数は、世代交代に従ってどのように推移すると考えられるか。次の①ー④の図のうち、最も考えにくいものを1つ選び番号で答えなさい。

📊 問5の選択肢グラフ①〜④の比較と論理判定

図①(10週目で100%) 100 0 5 10 15 浅い培地と同じ推移 図②(10週目で80%共存) 100 80 5 10 15 深部ですみわけ共存(実際の結果) 図③(5週目で100%!) 100 5 10 15 × 最も考えにくい(正解) 図④(15週目で100%) 100 5 10 15 消滅までの期間が延びる

問5の論理ステップ解説 正解:③

1. 基準(浅い培地 $1.5\,\text{cm}$)の確認:
浅い培地では、10週目ごろにキイロショウジョウバエの割合が $100\%$ に達します(これが図①のグラフに相当します)。
2. 条件変更(深い培地 $3\,\text{cm}$)が及ぼす影響:
問題文より「カスリショウジョウバエの幼虫は、キイロショウジョウバエの幼虫よりも酸素分圧の低い深い培地の中でも生息できるため、個体数の増加に有利」とあります。したがって、培地を $3\,\text{cm}$ と深くした場合には、浅い培地のときと比べてカスリショウジョウバエにとって有利(=キイロショウジョウバエが独占しにくくなる方向)に働くはずです。
・もし深い層をカスリショウジョウバエが利用して共存(すみわけ)が成立すれば、キイロショウジョウバエは $80\%$ 程度で頭打ちになります(図②:実際に教科書等で知られる実験結果です)。
・もし最終的にキイロショウジョウバエが優占するとしても、カスリショウジョウバエが深部で粘るため $100\%$ に達する時期が15週目ごろへ遅れる(図④)か、少なくとも浅い培地と同等の10週目(図①)になるはずです。
・しかし図③は、浅い培地(10週目)よりもさらに速い5週目ごろにキイロショウジョウバエが $100\%$ に達してカスリショウジョウバエが消滅しており、カスリショウジョウバエに有利な条件を与えたことと完全に矛盾します。したがって最も考えにくいものは「③」です。

【問6】生息場所や餌などの「資源の利用の仕方」をニッチ(生態的地位)といい、( D )する2種が生息場所や餌資源をわける現象をニッチの分化という。次の文章1〜4のうち、ニッチの分化による共存について述べたものとして不適切な文章はどれか。番号で答えなさい。ただし、すべて適切な文章である場合には5と答えなさい。

  • 1. ザリガニの近縁の2種のうち、1種は川の比較的下流に、残りの1種は上流に分かれて分布する傾向にある。これはすみわけの例である。
  • 2. カワウはエビ、ヒラメ、ハゼを餌とし、ヒメウはニシン、イワナゴ、ベラなどを餌とする。これはくいわけの例である。
  • 3. タニシの近縁の2種は、河口のそれぞれ違う場所に住んでいるときには貝殻の大きさがほぼ同じであり、両種が同じ大きさの餌を食べているが、同じ場所に住んでいるときには一方の種の貝殻が小さくなって異なる大きさの餌を食べ、共存する。これはすみわけの例ともいえるし、くいわけの例ともいえる。
  • 4. アリマキはアリに植物の栄養分を与え、アリはアリマキを食事のできる場所に運んだりする。これはくいわけの例である。

問6の解説 正解:4

  • ・1(適切):生息場所(上流と下流)を分けて種間競争を緩和し共存する現象はすみわけです。
  • ・2(適切):近縁の鳥類であるカワウとヒメウが異なる魚介類を餌として利用し競争を回避する現象はくいわけです。
  • ・3(適切):異所的に分布するとき(すみわけ)は同じ大きさの餌を食べ、同所的に分布するときには形質置換(貝殻サイズの変化)によって異なる大きさの餌を食べる(くいわけ)ため、すみわけ・くいわけの両方の例といえます。
  • ・4(不適切):アリマキ(アブラムシ)が植物の師管液に由来する甘い排出物(甘露)をアリに与え、アリがアリマキを外敵(テントウムシなど)から守ったり餌場へ運んだりする関係は、双方が利益を得る相利共生(共生)の例であり、「くいわけ」ではありません。よって不適切な文章は「4」です。

🎓 指導統括 ニックニ先生の総括メッセージ

2009年度の帝京大学医学部・生物は、「5題から4題を選択」する形式ですが、どの大問も基礎〜標準レベルの重要知識と論理的な読解力を素直に問う良問揃いでした。合格ライン(8割以上)を確実に突破するための鉄則は、① 紛らわしい選択肢や「すべて適切なら5」の形式でも定義に立ち返って1文ずつ根拠を持って正誤判定すること、② 膠質浸透圧やグラフ問題のように「原因(タンパク質濃度低下・深部での生存有利)⇒ 結果(腹水・優占速度の低下)」の因果関係を自分の頭で組み立てることです。今回間違えた知識は今日のうちに自分のノートに整理して、本番の得点力に変えていきましょう!

Sora先生
Sora先生 ✕ ニックニ先生からのメッセージ

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