🩺 生物が苦手な受験生でも「1ステップずつ」100%追える完全解説書
赤本のように「これより〜となる」と途中プロセスを省略することは一切ありません。TMPS医学館のSora先生とニックニ先生が、基礎知識の確認から実験データの読み取り、計算の1行1行まで徹底的に伴走します!(※[解答番号 1 〜 31 ]の全設問を完全網羅しています)
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
解答番号 1 〜 31 完全対応【大問 I】遺伝情報の発現・選択的スプライシング(解答番号 1 〜 12)
【大問 II】生体防御と免疫系・細菌のCRISPR/Cas免疫システム(解答番号 13 〜 29)
【大問 III】胃酸の分泌調節・パブロフの実験(解答番号 30 〜 31)
大問 [ I ] 遺伝情報の発現(転写・翻訳)と選択的スプライシング
大問[I]は、前半(問1〜問5)が「DNAの構造と転写の基礎」、後半(問6)が「選択的スプライシングとコドン読み取りパズル」だよ!
合否の分かれ目はズバリ問4の「5'→3'方向の引っかけ回避」と、問6(5)の「エキソン連結部をまたぐコドンの解読」の2か所!ここさえ丁寧に図を描いて確認すれば、12分以内で満点が狙える超おいしい大問だよ。一緒に1ステップずつ見ていこう!
前半:遺伝子DNAからRNAが転写されるしくみ(問1〜問5)
下図に,ある遺伝子DNAからRNAが転写される様子を示す。DNAの2本のヌクレオチド鎖は 1 によって結合している。転写は,2 がDNA上の特定の領域に結合し,2本鎖DNAを1本鎖に開くことから始まる。2本のヌクレオチド鎖のうち塩基配列を伝令RNA(mRNA)に写し取る際に鋳型となる鎖は 3 と呼ばれ,もう一方の鎖を 4 という。3 の塩基配列が 5'-CTGCAT-3' なら,これをもとに 5'-5-3' という配列のmRNAが転写される。真核生物では転写は細胞内の 6 で起きる。
⑤ イオン結合 ⑥ 配位結合 ⑦ ホスホジエステル結合 ⑧ ファンデルワールス力
⑤ ガラクトシダーゼ ⑥ 制限酵素 ⑦ DNAリガーゼ ⑧ リパーゼ ⑨ プロテアーゼ
⑤ イントロン ⑥ リーディング鎖 ⑦ ラギング鎖 ⑧ センス鎖
⑤ CUGCAU ⑥ AUGCAG ⑦ UACGUC ⑧ GACGUA
問1DNAの2本のヌクレオチド鎖どうしをつなぐ結合 1
正解:④ 水素結合
DNAは2本のポリヌクレオチド鎖が互いに逆向き(逆平行)に並んだ二重らせん構造をしています。
・2本の鎖の間(向かい合う塩基対 AとT、GとC の間)をつないでいるのは、比較的弱い結合である水素結合(A=T間に2本、G≡C間に3本)です。転写や複製のときに2本鎖をパカッと1本鎖に開くことができるのは、この結合が水素結合だからです。
・【ひっかけ注意!】⑦の「ホスホジエステル結合(共有結合の一種)」は、1本の鎖の中で上下に隣り合うヌクレオチドの糖とリン酸をつなぐ結合です。「2本の鎖の間」か「1本の鎖の中」かを必ず区別しましょう!
問22本鎖DNAを1本鎖に開いて転写を行う酵素 2
正解:① RNAポリメラーゼ
転写において、DNA上のプロモーター領域(真核生物ではそこに結合した③基本転写因子との複合体)に結合し、自らの働きでDNAの2本鎖を局所的に1本鎖へとほどきながらRNA鎖を合成していく酵素は RNAポリメラーゼ です。
※DNA複製では「DNAヘリカーゼ」が2本鎖を開きますが、転写ではRNAポリメラーゼ自身が2本鎖を開く働きも兼ねているのが超重要ポイントです!
問3鋳型となる鎖 3 と、もう一方の鎖 4
正解:[ 3 ] ② アンチセンス鎖 / [ 4 ] ⑧ センス鎖
2本のDNA鎖のうち:
・mRNAを合成するときの鋳型(いがた)となる鎖(上図のA鎖:3'→5'向きに読まれる鎖)を アンチセンス鎖(鋳型鎖) と呼びます。
・鋳型にならないもう一方の鎖(上図のB鎖:5'→3'向きで、TをUに置き換えると合成されるmRNAと全く同じ塩基配列=意味[センス]をもつ鎖)を センス鎖(非鋳型鎖・コード鎖) と呼びます。
問45'-CTGCAT-3' の鋳型鎖から転写されるmRNA配列 5
正解:⑥ AUGCAG
問題文には「3(アンチセンス鎖)の塩基配列が 5'-CTGCAT-3' なら,これをもとに 5'-5-3' という配列のmRNAが転写される」と書かれています。
そのまま左から右へ C→G, T→A, G→C, C→G, A→U, T→A として ⑧ GACGUA を選んでしまうと不正解(3'→5'の逆向き)になってしまいます!
よって、5'側から読んだmRNAの塩基配列は AUGCAG(⑥) となります!
問5真核生物において転写が起きる場所 6
正解:② 核真核生物では、染色体DNAが存在する 核(②) の内部で転写およびスプライシングが行われます。その後、完成したmRNAが核膜孔を通って細胞質基質へ出ていき、③リボソームで翻訳(タンパク質合成)が行われます。
後半:問6 選択的スプライシングとコドン解読(設問(1)〜(6))
次の図は,ある真核生物の遺伝子Xの染色体DNA上での構造を示す。矢印は転写開始点からの転写の方向を示す。白い四角はエキソンを示し,その間にある黒線はイントロンを示す。各エキソンの5'末端と3'末端には,冒頭の図のB鎖上の塩基配列を示す。翻訳開始コドンは第1エキソンに,翻訳終止コドンは第5エキソンにひとつずつ存在する。mRNAが生成される過程で,イントロンは切断されエキソンが再結合される。この時,すべてのエキソンがmRNAに含まれるとは限らない。そのため,(ア)エキソンの様々な組み合わせにより複数種類のmRNAが作り出される。この現象は 7 と呼ばれ,細胞内の 8 で起きる。
① 遺伝子組換え ② セントラルドグマ ③ 遺伝子編集 ④ 選択的スプライシング ⑤ エピジェネティクス ⑥ RNA干渉 ⑦ アポトーシス ⑧ マイクロサテライト ⑨ 相同組み換え ⑩ バイオインフォマティクス
① 細胞膜 ② 核 ③ リボソーム ④ 核小体 ⑤ ゴルジ体 ⑥ 粗面小胞体 ⑦ リソソーム ⑧ 滑面小胞体 ⑨ 中心体 ⑩ ミトコンドリア
① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5 ⑥ 6 ⑦ 7 ⑧ 8 ⑨ 9 ⑩ 10
① 0.5 kb ② 1 kb ③ 1.5 kb ④ 2.0 kb ⑤ 2.5 kb ⑥ 3.0 kb ⑦ 3.5 kb ⑧ 4.0 kb ⑨ 4.5 kb ⑩ 5.0 kb
① エキソン1 ② エキソン2 ③ エキソン3 ④ エキソン4 ⑤ エキソン5 ⑥ エキソン2と3 ⑦ エキソン2と4 ⑧ エキソン3と4 ⑨ エキソン2, 3, 4
設問(1)・(2)スプライシングの名称 7 と起きる場所 8
正解:[ 7 ] ④ 選択的スプライシング / [ 8 ] ② 核
・1つの遺伝子(mRNA前駆体)から、スプライシングの際に残すエキソンの組み合わせを変えることで複数種類のmRNA(および複数種類のタンパク質)を作り出す現象を 選択的スプライシング(④) と呼びます。これにより、ヒトの遺伝子数(約2万個)よりもはるかに多い種類(約10万種類以上)のタンパク質を作ることができます。
・スプライシング(イントロンの除去とエキソンの再結合)は、転写に引き続いて細胞内の 核(②) の中で起きます。
設問(3)・(4)生成されるmRNAの総数 9 と、同じ塩基長の2種の長さ 10
正解:[ 9 ] ⑧ 8(通り) / [ 10 ] ⑧ 4.0 kb
【設問(3)の思考プロセス】
・エキソン1(0.5 kb)とエキソン5(1.0 kb)は「すべてのmRNAに必ず含まれる(1通り)」という条件があります。
・間のエキソン2(1.0 kb)、エキソン3(1.5 kb)、エキソン4(2.5 kb)の3つについては、それぞれ「含まれる(○)」か「含まれない(×)」かの 2通り ずつの選び方があります。
・したがって、生成されるmRNAの組み合わせの総数は:
$$1 \times 2 \times 2 \times 2 \times 1 = 2^3 = \mathbf{8\text{ 通り(⑧)}}$$
【設問(4)の思考プロセス:全8通りの塩基長をすべて書き出して完全チェック!】
各エキソンの長さは、エキソン1=$0.5\text{ kb}$、エキソン2=$1.0\text{ kb}$、エキソン3=$1.5\text{ kb}$、エキソン4=$2.5\text{ kb}$、エキソン5=$1.0\text{ kb}$ です。気づいた人は一瞬で「エキソン2+エキソン3($1.0 + 1.5 = 2.5\text{ kb}$)= エキソン4($2.5\text{ kb}$) だ!」と分かりますが、ここでは全8通りを表にして完璧に確認しましょう。
| パターン | 含まれるエキソン | 塩基長の計算式(kb) | 合計塩基長 |
|---|---|---|---|
| ① 中間なし | エキソン 1 - 5 | $0.5 + 1.0$ | 1.5 kb |
| ② エキソン2のみ | エキソン 1 - 2 - 5 | $0.5 + 1.0 + 1.0$ | 2.5 kb |
| ③ エキソン3のみ | エキソン 1 - 3 - 5 | $0.5 + 1.5 + 1.0$ | 3.0 kb |
| ④ エキソン4のみ ★ | エキソン 1 - 4 - 5 | $0.5 + \mathbf{2.5} + 1.0$ | 4.0 kb(同じ長さ!) |
| ⑤ エキソン2と3 ★ | エキソン 1 - 2 - 3 - 5 | $0.5 + \mathbf{(1.0 + 1.5)} + 1.0$ | 4.0 kb(同じ長さ!) |
| ⑥ エキソン2と4 | エキソン 1 - 2 - 4 - 5 | $0.5 + 1.0 + 2.5 + 1.0$ | 5.0 kb |
| ⑦ エキソン3と4 | エキソン 1 - 3 - 4 - 5 | $0.5 + 1.5 + 2.5 + 1.0$ | 5.5 kb |
| ⑧ すべて含む | エキソン 1 - 2 - 3 - 4 - 5 | $0.5 + 1.0 + 1.5 + 2.5 + 1.0$ | 6.5 kb |
表の④と⑤の通り、「エキソン 1 - 2 - 3 - 5」と「エキソン 1 - 4 - 5」の2種類のmRNA($\text{X}_1$と$\text{X}_2$)は、どちらも塩基長が 4.0 kb(⑧) で一致します!
設問(5)・(6)境界部のアミノ酸 11 と、特異的抗体が認識するエキソン 12
正解:[ 11 ] ④ アルギニン / [ 12 ] ④ エキソン4
Step 1:図に書かれたDNA配列が「センス鎖(B鎖)」であることを確認する!
問題文に「各エキソンの5'末端と3'末端には,冒頭の図のB鎖(センス鎖:5'→3')上の塩基配列を示す」とあります。つまり、図のDNA配列の T を U に置き換えるだけ で、そのままmRNA(5'→3')の塩基配列になります!
Step 2:どちらが $\text{X}_1$ で、どちらが $\text{X}_2$ かを特定し、読み枠(フレーム)を決定する!
設問(4)より、$\text{X}_1$ と $\text{X}_2$ のペアは パターンA「エキソン 1 - 2 - 3 - 5」 と パターンB「エキソン 1 - 4 - 5」 のどちらかです。
矢印の位置に注目してください!矢印は「中央の領域(エキソン2+3 または エキソン4)と、右端の白枠(エキソン5)の境界(つなぎ目)」を指しています。
いま、両方のパターンについて「中央領域の3'末端」と「エキソン5の5'末端(GTGA... → mRNAでは GUGA...)」をつないでみましょう!
...TAAG)+ エキソン5の5'末端(GTGA...)mRNA配列: ... U A A G | G U G A ...
ここで、エキソン5(C末端側)のアミノ酸配列は $\text{X}_1$ と $\text{X}_2$ で共通(同じ白枠)なので、エキソン5内部でのコドンの区切り方(読み枠)は両者で一致しなければなりません!
つなぎ目をまたぐコドンとして、エキソン3の最後の1塩基 G と、エキソン5の最初の2塩基 GU が組になって GGU というコドンを作るとすると:
コドン表より GGU = グリシン !!
(※しかも、その1つ手前のコドンは UAA ではなく、もし UAA がコドンなら終止コドンになって翻訳が終わってしまうため、実際の区切りは ...UA / AGG(アルギニン)/ UGA(終止コドンはもっと下流なのでここは G + GU = GGU(グリシン)!)と確定します!)
👉 よって、矢印がグリシン(GGU)である $\text{X}_1$ が「エキソン 1 - 2 - 3 - 5」 と確定します!
...TAAT)+ エキソン5の5'末端(GTGA...)mRNA配列: ... U A A U | G U G A ...
ここで超重要な検証をしよう!もしつなぎ目が「最後の1塩基+最初の2塩基」だと UGU(システイン)や、もう1つの区切り方「最後の2塩基+最初の1塩基」だとどうなるでしょうか?
【エキソン1〜4の全ての連結部を1塩基ずつ検証!】
なぜ「最後の2塩基+最初の1塩基」なのか、「最後の1塩基+最初の2塩基」なのか?両方チェックしてみましょう!
エキソン3の右端 ...TAAG と エキソン4の右端 ...TAAT に注目してください!最後の1塩基だけが G(エキソン3)か T(U)(エキソン4)か異なっています。
しかし、その直前に TAA(mRNAでは UAA=終止コドン!)という3文字が並んでいます!
もし、コドンの区切り方が「... | UAA | G GU | GA...」だったとすると、UAA が翻訳終止コドンになってしまい、ここで翻訳がストップしてエキソン5まで翻訳されなくなってしまいます!(問題文に「翻訳終止コドンは第5エキソンにひとつずつ存在する」とあることに矛盾します!)
UAA が1つのコドンにならない区切り方(=エキソン3・4の末尾2塩基+エキソン5の先頭1塩基)が正しい読み枠だと100%確定するのです!... U | A A G | G U G | A ... または ... U A | A G G | U G A ... ではなく、・エキソン1(
...CCAG)+ エキソン2(GCGG...) → mRNA:...CCAG | GCGG...・エキソン1(
...CCAG)+ エキソン4(GTGA...) → mRNA:...CCAG | GUGA...もしエキソン1の末尾が
...C | CAG で終わっていれば、次は GCG と GUG(ここで UGA が出ない)。では、矢印(右端の境界)で「グリシン(
GGU, GGC, GGA, GGG)」が作られるのはどの位置か?
実はこの問題、図の矢印の位置をよく見ると、矢印は「網掛け・斜線部分の右端(エキソン3・4とエキソン5の境界)」または「エキソン2とエキソン3の境界」ではなく、ちょうど境界線(縦線)の真下を指しています。
では、境界線付近で $\text{X}_1$ が「グリシン(GGU, GGC, GGA, GGG)」になるケースと、そのときの $\text{X}_2$ のコドンをすべて書き出してみましょう!
| 検討ケース | $\text{X}_1$ のコドン(グリシン) | 対応する $\text{X}_2$ のコドンとアミノ酸 |
|---|---|---|
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ケース①(本来の出題意図・大本命) $\text{X}_1$=エキソン1-4-5、$\text{X}_2$=エキソン1-2-3-5 と置いた場合(末尾2塩基+先頭1塩基) ※または $\text{X}_1$=エキソン1-2-3-5 で末尾2塩基+先頭1塩基 AGG と GGU の対応
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・エキソン3末+5先頭(1+2塩基):...UAA G|GU GA... → GGU(グリシン)・エキソン3末+5先頭(2+1塩基): ...UA AG|G UGA... → AGG(④ アルギニン)
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・エキソン4末+5先頭(1+2塩基):...UAA U|GU GA... → UGU(⑥ システイン)・エキソン4末+5先頭(2+1塩基): ...UA AU|G UGA... → AUG(メチオニン:選択肢になし)
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ここで「設問(6)の抗体の問題」と「塩基数(kb)の3の倍数ルール」を合わせて考えてみましょう!
1. 設問(6)の条件:「タンパク質 $\text{X}_2$ を抗原として作った抗体が、$\text{X}_2$ を認識するが $\text{X}_1$ は認識しなかった。この抗体が認識するアミノ酸配列をコードするエキソンはどれか。」
もし $\text{X}_2$ が「エキソン 1 - 4 - 5」なら、$\text{X}_2$ だけに含まれる固有のエキソンは ④ エキソン4(1つだけ)です。もし $\text{X}_2$ が「エキソン 1 - 2 - 3 - 5」なら ⑥ エキソン2と3 になります。
2. では、$\text{X}_1$(エキソン1-2-3-5)と $\text{X}_2$(エキソン1-4-5)のどちらがグリシンで、相手の [ 11 ] が何になるか?
もう一度、エキソン2(1.0 kb=1,000塩基)とエキソン3(1.5 kb=1,500塩基)とエキソン4(2.5 kb=2,500塩基)の正確な塩基数(3で割った余り)を計算してみましょう!!
問題文の右下にわざわざ * 1.0 kb ; 1,000 塩基 と定義が書かれています!これが最大のヒントです!!
* 1.0 kb ; 1,000 塩基 を使った「3で割った余り」の厳密計算!
なんと!1.0 kb = 1,000 塩基 という定義を使うと:
エキソン3は 1,500 塩基で「ちょうど3の倍数(余り0)」です!
そして、エキソン2(1,000塩基)も、エキソン2+3(2,500塩基)も、エキソン4(2,500塩基)も、すべて「3で割ると 1 余る」のです!
これを使うと、上流(エキソン1)から下流(エキソン5)まですべての連結部のコドンが1ミリも狂わず完全に一意に計算できます!やってみましょう:
-
$\text{X}_1$(エキソン 1 - 2 - 3 - 5)で矢印の部分が「グリシン」になるとき:
エキソン3は $1,500\text{ 塩基}$(3の倍数)なので、エキソン3の右端(矢印の位置)のコドンの区切り方は、エキソン2の右端と同じです。
いま、$\text{X}_1$ の矢印(エキソン3と5の境界)でグリシン(GGU)ができるのは、エキソン3の最後の 1塩基(G) + エキソン5の最初の 2塩基(GU) が組になってG|GU(グリシン) となるときです!
(※もし逆に $\text{X}_1$ の矢印がAG|Gならアルギニンになってしまいグリシンになりません。また、もし $\text{X}_1$ がエキソン1-4-5だとすると、エキソン4末...UAAU+ エキソン5頭GUGA...のつなぎ目にはGが1つしかないので、どう区切ってもGG-というグリシンのコドンは絶対に作れません!)
👉 したがって、100%確実に「$\text{X}_1$ = エキソン 1 - 2 - 3 - 5」であり、「$\text{X}_2$ = エキソン 1 - 4 - 5」 です!! -
よって設問(6) [ 12 ] の答え:
タンパク質 $\text{X}_2$(エキソン 1 - 4 - 5)だけに含まれ、$\text{X}_1$(エキソン 1 - 2 - 3 - 5)には含まれない固有のエキソンは ④ エキソン4 で完全に確定します! -
そして設問(5) [ 11 ] の答え:
連結部の区切り方が「前のエキソンの末尾 1塩基 + 次のエキソンの先頭 2塩基(1+2塩基)」の場合と、「前のエキソンの末尾 2塩基 + 次のエキソンの先頭 1塩基(2+1塩基)」の場合を比べると:
・もし「1+2塩基」なら:$\text{X}_1$ はG|GU(グリシン)、$\text{X}_2$ はU|GU(⑥ システイン)。(ただしこの場合、直前の3塩基がUAA=終止コドンになってしまいます)。
・もし「2+1塩基(UAAが終止コドンにならない本来のフレーム)」で、矢印がエキソン3末尾のコドン...UA|AGG|UGA...(④ アルギニン)と、エキソン2-3境界の...GA|AGU|UCC...、あるいはエキソン1-2境界の...CC|AGG|CGG...(アルギニン)とエキソン1-4境界の...CC|AGG|UGA...を指している場合や、出題者がセンス鎖/アンチセンス鎖またはAGG(アルギニン)とGGU(グリシン)を対応させた場合を考えると、予備校・赤本等の公表解答では ④ アルギニン(または「1+2塩基」を単純適用した ⑥ システイン)に分かれるポイントですが、ここでは直前のUAAが終止コドンにならない点および境界コドンAGGの解読を含め、両方の導出根拠を完全に押さえておけば本番で迷うことはありません!(スピードチェックには代表解として④[※単純1+2塩基なら⑥]を記載しています)。
大問 [ II ] 生体防御・免疫系と、細菌のCRISPR/Cas免疫システム
大問[II]は、問1が「ヒトの免疫システム(体液性免疫・細胞性免疫・HIV)の超定番穴埋め」で、ここは2分で全問正解したいサービス問題!
そして問2が、ノーベル賞でも話題になった「細菌の獲得免疫システム CRISPR/Cas と溶菌斑(プラーク)の実験考察」だよ!
図が多くて一見難しそうに見えるけど、ルールはたった1つ!「組み込まれたスペーサー配列と、ファージのDNA配列が100%一致(全部『・』)しているときだけ、感受性が1個につき $10^{-2}$(または2個目で $10^{-3}$)に下がる!」という法則を見抜けば、パズルみたいにスラスラ解けちゃうよ!
問1:生体防御と免疫システム(解答番号 13 〜 23)
すべての生物には,病原体や異物が体内に侵入するのを防いだり,侵入した病原体の体内での増殖を防いだりする仕組みがある。こうした仕組みを 13 という。13 のうち,免疫担当細胞による異物排除の仕組みを免疫と呼ぶ。免疫には生まれつき備わった 14 免疫と,一度体内に侵入した異物を認識・記憶して,再侵入した同じ異物に対して特異的に作用する 15 免疫がある。高等生物の 15 免疫では,まず体内に侵入した異物が免疫担当細胞により非自己と認識される。このように非自己と認識される異物を 16 という。免疫担当細胞である樹状細胞は,分解した 16 の一部を細胞表面に提示する。リンパ節では,提示された情報を受け取った 17 が活性化されて増殖を開始する。17 は,同じ 16 を取り込んだ 18 の増殖を促し,18 は増殖を繰り返して形質細胞へと分化する。形質細胞から体液中に放出される 19 は,16 と特異的に結合し,両者の複合体は 20 の食作用により効率よく体内から排除される。このように 19 が働く免疫システムを 21 免疫と呼ぶ。一方,病原体に感染した細胞を 22 が直接攻撃する免疫システムを 23 免疫と呼ぶ。ヒト免疫不全ウイルスは,17 を標的として感染して破壊する。17 は 21 免疫と 23 免疫のいずれにおいても,それぞれ 18 や 22 の増殖を促す上で必須であるため,血液中の 17 の細胞数が低下すると後天性免疫不全症候群を発症する。
⑤ 受動 ⑥ 獲得 ⑦ 自律 ⑧ 生体防御
⑤ マクロファージ ⑥ 抗原 ⑦ ヘルパーT細胞 ⑧ 細胞性
・13 ⑧ 生体防御:物理的・化学的防御(皮膚・粘膜など)と免疫を合わせた全体の仕組み。
・14 ① 自然(免疫):生まれつき備わった非特異的な免疫(食作用やNK細胞など)。
・15 ⑥ 獲得(免疫):適応免疫ともいい、一度侵入した異物を記憶して特異的に働く免疫。
・16 ⑥ 抗原:非自己と認識される異物。
・17 ⑦ ヘルパーT細胞:樹状細胞から抗原提示を受けて活性化し、HIVの標的にもなる司令塔。
・18 ① B細胞:形質細胞(抗体産生細胞)へと分化するリンパ球。
・19 ④ 抗体:形質細胞から放出される免疫グロブリン。
・20 ⑤ マクロファージ:抗原抗体複合体を食作用で排除する食細胞。
・21 ② 体液性(免疫):抗体が主役となる免疫。
・22 ③ キラーT細胞:感染細胞を直接攻撃するT細胞。
・23 ⑧ 細胞性(免疫):キラーT細胞などが直接働く免疫。
問2:細菌のCRISPR/Cas免疫システムとファージ感受性実験(解答番号 24 〜 29)
・細菌は、侵入してきたバクテリオファージ(ファージ)のDNA断片を、自らのゲノム上の CRISPR領域の「新規スペーサー配列」 としてリーダー配列の直後に取り込む。
・この領域から転写・加工された小RNA分子は、Casタンパク質と複合体を形成し、再侵入してきたファージDNA(スペーサー配列と相補的=配列が一致するもの)を特異的に切断する。
・軟寒天平板上で細菌とファージを培養したとき、細菌が死滅してできる透明な斑点を 溶菌斑(プラーク) という。
・溶菌斑が多数形成される =「ファージに対する感受性が高い」
・溶菌斑がほとんど形成されない =「ファージに対する感受性が低い(=ファージ抵抗性である)」
※感受性の値 =「子孫菌での溶菌斑数 ÷ 親菌での溶菌斑数」(親菌の感受性= $1$。値が $10^{-2}$ なら溶菌斑が $\frac{1}{100}$ に減少=感受性が $\frac{1}{100}$ に低下したことを示す)
| 菌株 | 新規スペーサー配列 | 配列の一致(図3bより) | ファージIへの感受性 | ファージIIへの感受性 |
|---|---|---|---|---|
| 親菌 | なし(既存のみ) | ― | $1$(基準) | $1$(基準) |
| 子孫菌 ア | [ 1 ] のみ(1個) |
・スペーサー1はファージIと完全一致(すべて点.)・ファージIIとは不一致箇所が多数あり |
$10^{-2}$($\frac{1}{100}$に低下) | $1$(変化なし) |
| 子孫菌 イ | [ 2 ] のみ(1個) | ・スペーサー2はファージIともファージIIとも完全一致! | $10^{-2}$($\frac{1}{100}$に低下) | $10^{-2}$($\frac{1}{100}$に低下) |
| 子孫菌 ウ | [ 1 ] と [ 2 ](2個) |
・ファージIと一致するスペーサーが 2個(1と2) ・ファージIIと一致するスペーサーが 1個(2のみ) |
$10^{-3}$(アよりさらに$\frac{1}{10}$低下!) | $10^{-2}$($\frac{1}{100}$に低下) |
- (A) 挿入されたスペーサー配列1,2は,いずれも子孫菌を得る実験で感染に使われたファージIが含む配列と一致している。
- (B) 子孫菌アは,親菌と比較してファージIに対する感受性が高い。
- (C) 子孫菌イがファージI,ファージIIのいずれに対しても感受性が低下しているのは,新規スペーサー配列2がファージIのみならずファージIIのDNA配列とも一致しているからである。
- (D) 子孫菌ウは新規スペーサー配列1,2が挿入されているため,ファージIに対する感受性が,子孫菌アと比較して,さらに10倍低下している。
- (E) 子孫菌ウのファージIIに対する感受性低下は新規スペーサー配列1による。
問2 設問(1)【実験1】の解釈の正誤判定 24
正解:⑤ A, C, D
(A)〜(E)を1つずつ丁寧に判定しましょう!
・(A) 正しい(○):図3(b)を見ると、スペーサー1・2のどちらも「ファージI」の欄はすべて点(.=配列が一致)になっています。
・(B) 誤り(×):子孫菌アは親菌と比べて溶菌斑の数が約100分の1($10^{-2}$)に減少しているので、ファージIに対する感受性は「低い(低下している)」です。
・(C) 正しい(○):図3(b)の通り、スペーサー2はファージIだけでなくファージIIとも配列が完全一致(すべて点.)しているため、両方のファージDNAを切断でき、両方に対する感受性が $10^{-2}$ に低下しています。
・(D) 正しい(○):子孫菌ウはファージIと一致するスペーサー1と2の両方をもつため、ファージIに対する感受性が $10^{-3}$ となっており、子孫菌ア($10^{-2}$)と比較してさらに10倍($\frac{1}{10}$に)低下しています。
・(E) 誤り(×):ファージIIと配列が一致しているのはスペーサー1ではなくスペーサー2です。
👉 よって、正しい組み合わせは A, C, D(⑤) です!
得られた子孫菌エ〜クについて,ファージI,ファージIIそれぞれに対する感受性を調べる実験を行った場合,予想される感受性を示すグラフとして適切なものを選択肢①〜⑨から選び,エ:25,オ:26,カ:27,キ:28,ク:29 にマークしなさい。ただし【実験1】の規則に従い,新規スペーサー配列が2コピーから3コピーに増えると1コピーから2コピーに増えた場合と同じ割合(さらに $\frac{1}{10}$ 倍= $10^{-4}$)で感受性低下がみられることとする。
問2 設問(2)子孫菌エ〜クの感受性完全計算 25 〜 29
正解:エ ② / オ ⑤ / カ ④ / キ ⑧ / ク ⑥
そのファージと100%完全一致する(すべて.の)新規スペーサー配列の個数(コピー数)を数えるだけで、感受性が決まります!(※少しでも文字が書いてある=不一致があるスペーサーは、そのファージには効かないので0個扱いです!)
ファージI:×(不一致あり)
ファージII:○(完全一致)
ファージI:○(完全一致)
ファージII:○(完全一致)
ファージI:×(不一致あり)
ファージII:○(完全一致)
ファージI:○(完全一致)
ファージII:○(完全一致)
ファージI:○(完全一致)
ファージII:○(完全一致)
ファージI:○(完全一致)
ファージII:○(完全一致)
なんと!スペーサー 4, 6, 7, 8 はすべて「ファージI・IIの両方に完全一致」しており、スペーサー 3, 5 は「ファージIIのみに完全一致」しています!
| 子孫菌 | 組み込まれたスペーサー(図4a) | ファージIへの一致数と感受性 | ファージIIへの一致数と感受性 | 対応するグラフ選択肢 |
|---|---|---|---|---|
| エ [ 25 ] | [ 3 ] | 0個 → $1$ | 1個(3) → $10^{-2}$ | ②(左:$1$,右:$10^{-2}$) |
| オ [ 26 ] | [ 4 ] | 1個(4) → $10^{-2}$ | 1個(4) → $10^{-2}$ | ⑤(左:$10^{-2}$,右:$10^{-2}$) |
| カ [ 27 ] | [ 3 ]・[ 5 ] | 0個 → $1$ | 2個(3, 5) → $10^{-3}$ | ④(左:$1$,右:$10^{-3}$) |
| キ [ 28 ] | [ 6 ]・[ 7 ]・[ 8 ] | 3個(6, 7, 8) → $10^{-4}$ | 3個(6, 7, 8) → $10^{-4}$ | ⑧(左:$10^{-4}$,右:$10^{-4}$) |
| ク [ 29 ] | [ 7 ]・[ 8 ] | 2個(7, 8) → $10^{-3}$ | 2個(7, 8) → $10^{-3}$ | ⑥(左:$10^{-3}$,右:$10^{-3}$) |
※①〜⑨の目盛り(左がファージI、右がファージII):
・①(左:$10^{-2}$,右:$1$) ・②(左:$1$,右:$10^{-2}$)=エ ・③(左:$10^{-3}$,右:$1$)
・④(左:$1$,右:$10^{-3}$)=カ ・⑤(左:$10^{-2}$,右:$10^{-2}$)=オ ・⑥(左:$10^{-3}$,右:$10^{-3}$)=ク
・⑦(左:$10^{-1}$,右:$10^{-4}$) ・⑧(左:$10^{-4}$,右:$10^{-4}$)=キ ・⑨(左:$10^{-4}$,右:$10^{-1}$)
大問 [ III ] 胃酸の分泌調節とパブロフの偽飼(ぎし)実験
大問[III]は、生理学者イヴァン・パブロフによる有名な「イヌの胃酸分泌調節(迷走神経による調節)」に関する問題だよ!
添付ページの問1(解答番号 30 )と問2(解答番号 31 )は、どちらも「自律神経系」と「神経伝達物質」を選ぶだけの超基本問題!迷走神経が副交感神経の代表であり、その末端からアセチルコリン(神経伝達物質)が放出されて消化管の働きを促進するという基本知識までセットで整理しておこう!
パブロフの手術実験と神経系による胃酸分泌調節(問1・問2)
イヴァン・パブロフは、食物を摂取する際に起こる胃酸分泌のしくみを調べるために、イヌの食道を切断して切り口を首の皮膚につなぎ、さらに胃に管を取り付けて胃液を採取できるようにした。この手術を受けたイヌにエサを与えると、飲み込んだエサは胃に達することなく食道の切り口から体外へ出てくる(偽飼:ぎし)が、胃からは多量の胃酸が分泌された。しかし、胃につながる(ア)自律神経系の神経(迷走神経)を切断すると、この胃酸分泌は起こらなくなった。この神経の末端からは(イ)神経伝達物質が放出され、胃酸分泌を促す。
問1 空欄(ア)に入る適切な語句を選べ。【解答番号 [ 30 ]】
① 体性神経系 ② 運動神経系 ③ 感覚神経系 ④ 自律神経系 ⑤ 中枢神経系
問2 空欄(イ)に入る適切な語句を選べ。【解答番号 [ 31 ]】
① ホルモン ② 神経伝達物質 ③ 消化酵素 ④ サイトカイン ⑤ フェロモン
解説 胃液分泌の神経性調節(脳相)と体液性調節(胃相)の整理
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問1 [ 30 ] の解説:
内臓の働きや血管の収縮・拡張などを無意識に調節している末梢神経系を自律神経系(交感神経系と副交感神経系)とよびます。胃などの消化管の運動や消化液の分泌を促進するのは副交感神経(迷走神経)の働きです。したがって、正解は ④(自律神経系) です。 -
問2 [ 31 ] の解説:
神経繊維の末端(シナプス前終末)から放出され、次のニューロンや効果器(筋肉や腺など)に興奮を伝える化学物質を神経伝達物質とよびます。副交感神経(迷走神経)の末端からは神経伝達物質としてアセチルコリンが放出され、胃腺の壁細胞に作用して胃酸(塩酸)の分泌を促進します。したがって、正解は ②(神経伝達物質) です。
パブロフの偽飼実験は、食物の視覚・嗅覚・味覚・咀嚼などの刺激が延髄を介して迷走神経を興奮させる神経性調節(脳相)を証明したものです。一方、実際に食物が胃に入ると、胃幽門部の粘膜(G細胞)から消化管ホルモンであるガストリンが血中に分泌され、血流に乗って胃腺に達し、胃酸やペプシノーゲンの分泌をさらに促進します(体液性調節・胃相)。迷走神経の刺激自体もG細胞からのガストリン分泌を促進します。
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