TMPS医学館 AI Coach Sora

自治医科大学 医学部 化学(2025年度)全問題・超図解解説

TMPS医学館 TOP › 最先端医学部受験ジャーナル › 私立医大31校・化学超解説ライブラリー › 自治医科大学(2025年度)
📚 31大学の化学過去問一覧へ
理系AIコーチ Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 理系AIコーチ Sora先生徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!自治医科大学(2025年度)化学をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系コーチSora(ソラ)です。市販の過去問集(赤本など)で計算の途中式が1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、自治医科大学(2025年度)の化学について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と思考プロセスをすべて公開しています!

共通条件 問題冊子冒頭の与えられた定数・原子量

原子量:$\text{H} = 1.0,\ \text{C} = 12.0,\ \text{N} = 14.0,\ \text{O} = 16.0,\ \text{S} = 32.0,\ \text{Cl} = 35.5,\ \text{Cu} = 64.0,\ \text{Ag} = 108$
理想気体の $0\,^\circ\text{C},\ 1.013 \times 10^5\,\text{Pa}$ における $1\,\text{mol}$ の体積:$22.4\,\text{L}$ / ファラデー定数:$F = 9.65 \times 10^4\,\text{C/mol}$ / 気体定数:$R = 8.31 \times 10^3\,\text{Pa}\cdot\text{L/(mol}\cdot\text{K)}$ / アボガドロ定数:$6.02 \times 10^{23}\,\text{/mol}$

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

全25問 マーク記号・正答一覧

第1パート:問題 1 〜 問題 5(物質の構成・結晶・溶液と溶解度)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

自治医大の化学は2科目80分で25問を解き切るスピード勝負!最初の問題1〜5は基礎的な理論化学だけど、「正しい記述はいくつあるか(個数問題)」が早速2問(問1、問2)出てくるよ。特に問1はまさかの「正しいものが0個」というメンタルを試す出題!知識を曖昧にせず、1文ずつ根拠を持ってバツをつけられるかが勝負だよ。問3〜5の計算は定番だから、確実に得点源にしよう!

問題 1:原子の構造・放射性同位体・結晶構造の正誤判定 正解:㋐(0個)

次の文章のうち正しい記述はいくつあるか。

  • ヨウ素の放射性同位体 $^{131}_{53}\text{I}$ の半減期を $8$ 日とすると,壊変により $^{131}_{53}\text{I}$ が $\dfrac{1}{8}$ の量になるまでにかかる日数は $32$ 日である。
  • 原子番号 $5,\ 13,\ 21$ 番の原子の価電子の数はすべて同じである。
  • 石英は二酸化ケイ素 $\text{SiO}_2$ のイオン結晶である。
  • 金属結晶に関して,体心立方格子と六方最密構造で配位数は同じである。

選択肢: ㋐ $0$   ㋑ $1$   ㋒ $2$   ㋓ $3$   ㋔ $4$

記述1の検証誤り(×)

半減期 $T = 8\text{ 日}$ とは、「$8$ 日経つごとに元の量の $\dfrac{1}{2}$ になる」ということです。経過日数を $t\text{ 日}$ とすると、残存量の割合は $\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\frac{t}{8}}$ と表せます。
これが $\dfrac{1}{8}$ になるとき、 $$\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{8}} = \frac{1}{8} = \left(\frac{1}{2}\right)^3$$ 指数の部分を比較すると、 $$\frac{t}{8} = 3 \quad \Longleftrightarrow \quad t = 8 \times 3 = 24\text{ 日}$$ したがって、かかる日数は $32$ 日ではなく $24$ 日 です。($\dfrac{1}{2} \xrightarrow{8\text{日}} \dfrac{1}{4} \xrightarrow{8\text{日}} \dfrac{1}{8}$ と指折り数えても $8 \times 3 = 24$ 日とすぐわかります!)

記述2の検証誤り(×)

それぞれの原子番号の元素と電子配置(K殻、L殻、M殻、N殻)を確認しましょう。

  • 原子番号 $5$:ホウ素 $\text{B}$(第2周期・13族) $\rightarrow$ 電子配置は $\text{K}(2)\,\text{L}(3)$ $\rightarrow$ 価電子の数は $3$
  • 原子番号 $13$:アルミニウム $\text{Al}$(第3周期・13族) $\rightarrow$ 電子配置は $\text{K}(2)\,\text{L}(8)\,\text{M}(3)$ $\rightarrow$ 価電子の数は $3$
  • 原子番号 $21$:スカンジウム $\text{Sc}$(第4周期・3族の遷移元素!) $\rightarrow$ 原子番号19の $\text{K}$ が $\text{K}(2)\,\text{L}(8)\,\text{M}(8)\,\text{N}(1)$、原子番号20の $\text{Ca}$ が $\text{K}(2)\,\text{L}(8)\,\text{M}(8)\,\text{N}(2)$ であり、21番の $\text{Sc}$ は内側のM殻($3\text{d}$ 軌道)に電子が入るため $\text{K}(2)\,\text{L}(8)\,\text{M}(9)\,\text{N}(2)$ となります。最外殻(N殻)の電子数は $2$ です(第4周期の13族であるガリウム $\text{Ga}$ は原子番号 $31$ です)。

よって、すべて同じではありません。

記述3の検証誤り(×)

石英(水晶)は二酸化ケイ素 $\text{SiO}_2$ からなりますが、その結晶はイオン結晶ではなく、ケイ素原子 $\text{Si}$ と酸素原子 $\text{O}$ が共有結合で網目状に無限につながった 共有結合の結晶 です。

記述4の検証誤り(×)

金属結晶の配位数(1個の原子に最も近くで接している周囲の原子の数)は以下の通りです。

  • 体心立方格子:立方体の中心にある原子に、8個の頂点の原子が接しているので、配位数は $8$。
  • 六方最密構造(および面心立方格子):最も密に詰まる構造であり、配位数は $12$。

よって、配位数は異なります($8 \neq 12$)。

以上より、正しい記述は $0$ 個 なので、正解は ㋐ です。

問題 2:凝固点降下に関する正誤判定 正解:㋒(2個)

凝固点降下について以下の問い(問題2,3)に答えよ。
問題2:次の文章のうち正しい記述はいくつあるか。

  • 不揮発性の非電解質の希薄溶液において,凝固点降下度は溶質の種類に固有である。
  • 溶質が電解質の場合,凝固点降下度は同じ濃度の非電解質水溶液よりも大きくなる。
  • 溶液の凝固が進む間は温度が一定に保たれる。
  • 溶液の凝固開始時の温度を凝固点とする。

選択肢: ㋐ $0$   ㋑ $1$   ㋒ $2$   ㋓ $3$   ㋔ $4$

【図解】純溶媒と溶液の冷却曲線(凝固点の違い)

温度 冷却時間 T₀ 純溶媒 (温度一定) T 凝固開始 (凝固点T) 溶液 (濃縮され温度が下がり続ける)
記述1の検証誤り(×)

凝固点降下度 $\Delta T_{\text{f}}$ は、質量モル濃度を $m\,\text{[mol/kg]}$、モル凝固点降下を $K_{\text{f}}\,\text{[K}\cdot\text{kg/mol]}$ とすると、$\Delta T_{\text{f}} = K_{\text{f}}\,m$ と表されます。ここで比例定数 $K_{\text{f}}$ は、溶質の種類には無関係で、溶媒の種類に固有の定数 です。「溶質の種類に固有」としている点が誤りです。

記述2の検証正しい(○)

凝固点降下度 $\Delta T_{\text{f}}$ は、溶液中に存在する全溶質粒子の質量モル濃度に比例します。溶質が電解質(例:$\text{NaCl} \rightarrow \text{Na}^+ + \text{Cl}^-$)の場合、電離によって溶質粒子の総数が増えるため、同じ濃度の非電解質水溶液よりも凝固点降下度は大きくなります。

記述3の検証誤り(×)

上の冷却曲線の図の通り、溶液が凝固するときは「純粋な溶媒の結晶(水溶液なら氷)」だけが析出します。そのため、凝固が進むにつれて残りの溶液中の溶媒が減少し、溶液の濃度がどんどん濃くなります。濃度が高くなると凝固点降下度がさらに大きくなるため、凝固が進む間、温度は一定に保たれず徐々に下がり続けます。

記述4の検証正しい(○)

溶液では凝固進行中に温度が下がり続けるため、「(過冷却が起きなかったとしたときの)凝固開始時の温度」をその溶液の凝固点と定義します。

以上より、正しい記述は2番目と4番目の $2$ 個 なので、正解は ㋒ です。

問題 3:モル凝固点降下の計算 正解:㋑(20.0)

シクロヘキサン($\text{C}_6\text{H}_{12}$)は密度 $0.779\,\text{g/mL}$,凝固点が $6.50\,^\circ\text{C}$ の物質である。このシクロヘキサン $100\,\text{mL}$ に $1.00\,\text{g}$ のナフタレン($\text{C}_{10}\text{H}_8$)を溶かしたところ,この溶液の凝固点は $4.50\,^\circ\text{C}$ となった。シクロヘキサンのモル凝固点降下 $[\text{K}\cdot\text{kg/mol}]$ にもっとも近い値はどれか。

選択肢: ㋐ $15.6$   ㋑ $20.0$   ㋒ $25.6$   ㋓ $30.0$   ㋔ $35.6$

Step 1凝固点降下度 $\Delta T_{\text{f}}$ を求める

純粋なシクロヘキサンの凝固点が $6.50\,^\circ\text{C}$、溶液の凝固点が $4.50\,^\circ\text{C}$ なので、凝固点降下度 $\Delta T_{\text{f}}$ は、 $$\Delta T_{\text{f}} = 6.50 - 4.50 = 2.00\,\text{K}$$

Step 2溶媒(シクロヘキサン)の質量 $[\text{kg}]$ と溶質(ナフタレン)の物質量 $[\text{mol}]$ を求める

溶媒であるシクロヘキサン $100\,\text{mL}$ の質量 $W\,\text{[g]}$ は、密度が $0.779\,\text{g/mL}$ なので、 $$W = 0.779\,\text{g/mL} \times 100\,\text{mL} = 77.9\,\text{g} = \frac{77.9}{1000}\,\text{kg}$$ 次に、溶質であるナフタレン($\text{C}_{10}\text{H}_8$)の分子量は、 $$\text{C}_{10}\text{H}_8 = 12.0 \times 10 + 1.0 \times 8 = 120 + 8 = 128$$ よって、ナフタレン $1.00\,\text{g}$ の物質量 $n\,\text{[mol]}$ は、 $$n = \frac{1.00}{128}\,\text{mol}$$

Step 3質量モル濃度 $m\,\text{[mol/kg]}$ から $K_{\text{f}}$ を算出する

溶液の質量モル濃度 $m\,\text{[mol/kg]}$ は「溶媒 $1\,\text{kg}$ あたりの溶質の物質量 $\text{[mol]}$」なので、 $$m = \frac{\dfrac{1.00}{128}\,\text{mol}}{\dfrac{77.9}{1000}\,\text{kg}} = \frac{1000}{128 \times 77.9}\,\text{mol/kg}$$ ここで、$128 \times 77.9$ を計算すると、 $$128 \times 77.9 = 9971.2 \fallingdotseq 1.00 \times 10^4$$ したがって、 $$m = \frac{1000}{9971.2} \fallingdotseq 0.1003\,\text{mol/kg}$$ 公式 $\Delta T_{\text{f}} = K_{\text{f}}\,m$ に代入して $K_{\text{f}}$ を求めると、 $$K_{\text{f}} = \frac{\Delta T_{\text{f}}}{m} = \frac{2.00}{0.1003} \fallingdotseq 19.94 \fallingdotseq 20.0\,\text{K}\cdot\text{kg/mol}$$

よって、もっとも近い値は $20.0$ であり、正解は ㋑ です。

問題 4:沈殿滴定・化学反応の量的関係と原子量の決定 正解:㋔(137)

ある金属の塩化物 $10.0\,\text{g}$ を水に溶かした。この水溶液に十分量の硝酸銀水溶液を加えたところ,$13.8\,\text{g}$ の塩化銀が沈殿した。この金属は2価陽イオンになるものとすると,この金属の原子量はいくらか。

選択肢: ㋐ $24.3$   ㋑ $40.0$   ㋒ $65.4$   ㋓ $119$   ㋔ $137$

Step 1金属の塩化物の化学式と式量を設定する

この金属元素を $\text{M}$、求める原子量を $M$ とします。$\text{M}$ は2価の陽イオン($\text{M}^{2+}$)になるので、塩化物イオン $\text{Cl}^-$ とつくる塩化物の化学式は $\text{MCl}_2$ です。
$\text{Cl} = 35.5$ より、$\text{MCl}_2$ の式量は、 $$\text{MCl}_2\text{ の式量} = M + 35.5 \times 2 = M + 71.0$$ したがって、$\text{MCl}_2$ $10.0\,\text{g}$ の物質量は $\dfrac{10.0}{M + 71.0}\,\text{mol}$ であり、水溶液中に電離して生じる $\text{Cl}^-$ の物質量は、その 2倍 の $$n(\text{Cl}^-) = 2 \times \frac{10.0}{M + 71.0} = \frac{20.0}{M + 71.0}\,\text{mol}$$ となります。

Step 2沈殿した塩化銀 $\text{AgCl}$ の物質量を求める

塩化銀 $\text{AgCl}$ の式量は、$\text{Ag} = 108,\ \text{Cl} = 35.5$ より、 $$\text{AgCl} = 108 + 35.5 = 143.5$$ 沈殿した $\text{AgCl}$ は $13.8\,\text{g}$ なので、その物質量は、 $$n(\text{AgCl}) = \frac{13.8}{143.5}\,\text{mol}$$

Step 3$\text{Cl}^-$ の物質量保存から方程式を解く

$\text{Ag}^+ + \text{Cl}^- \longrightarrow \text{AgCl}\downarrow$ より、$n(\text{Cl}^-) = n(\text{AgCl})$ が成り立ちます。 $$\frac{20.0}{M + 71.0} = \frac{13.8}{143.5}$$ 両辺の逆数をとって $M + 71.0$ を求めると、 $$M + 71.0 = \frac{20.0 \times 143.5}{13.8} = \frac{2870}{13.8} \fallingdotseq 207.97 \fallingdotseq 208.0$$ したがって、金属 $\text{M}$ の原子量 $M$ は、 $$M = 208.0 - 71.0 = 137.0$$ (ちなみに原子量 $137$ の2価金属はバリウム $\text{Ba}$ です!)

よって、求める原子量は $137$ であり、正解は ㋔ です。

問題 5:水和物の溶解度と再結晶の計算 正解:㋑(10.9)

硫酸銅(II)五水和物 $25.0\,\text{g}$ をすべて溶かした $60\,^\circ\text{C}$ の飽和水溶液を調製した。この水溶液を $20\,^\circ\text{C}$ に冷やすと硫酸銅(II)五水和物が何 $\text{g}$ 析出するか。もっとも近い値はどれか。ただし,硫酸銅(II) $\text{CuSO}_4$ の水への溶解度は $60\,^\circ\text{C}$ で $40.0$,$20\,^\circ\text{C}$ で $20.0$ とする。

選択肢: ㋐ $9.30$   ㋑ $10.9$   ㋒ $12.5$   ㋓ $14.1$   ㋔ $15.7$

Step 1無水物 $\text{CuSO}_4$ と五水和物 $\text{CuSO}_4\cdot 5\text{H}_2\text{O}$ の式量を求める

$\text{Cu} = 64.0,\ \text{S} = 32.0,\ \text{O} = 16.0,\ \text{H} = 1.0$ より、 $$\text{CuSO}_4\text{(無水物)の式量} = 64.0 + 32.0 + 16.0 \times 4 = 160$$ $$5\text{H}_2\text{O}\text{(水分子5個分)の式量} = 18.0 \times 5 = 90.0$$ $$\text{CuSO}_4\cdot 5\text{H}_2\text{O}\text{(五水和物)の式量} = 160 + 90.0 = 250$$ つまり、硫酸銅(II)五水和物は、質量比で 「無水物 $\text{CuSO}_4$:水 $\text{H}_2\text{O} = 160 : 90 = 16 : 9$」 からできています。

Step 2$60\,^\circ\text{C}$ の飽和水溶液に含まれる「溶質 $\text{CuSO}_4$」と「水」の質量を求める

最初に溶かした五水和物 $\text{CuSO}_4\cdot 5\text{H}_2\text{O}$ は $25.0\,\text{g}$ です。この中に含まれる無水物 $\text{CuSO}_4$ の質量は、 $$\text{溶質 }\text{CuSO}_4\text{ の質量} = 25.0\,\text{g} \times \frac{160}{250} = 16.0\,\text{g}$$ 一方、$60\,^\circ\text{C}$ での溶解度は $40.0$(水 $100\,\text{g}$ に無水物 $\text{CuSO}_4$ が $40.0\,\text{g}$ 溶ける)です。
今、無水物 $\text{CuSO}_4$ が $16.0\,\text{g}$ 溶けてちょうど飽和水溶液になっているので、この飽和水溶液中の水の総質量 $W_{\text{水}}$ は、 $$\frac{\text{溶質 }16.0\,\text{g}}{\text{水 }W_{\text{水}}\,\text{g}} = \frac{40.0}{100} \quad \Longleftrightarrow \quad W_{\text{水}} = 16.0 \times \frac{100}{40.0} = 40.0\,\text{g}$$ (※よって、$60\,^\circ\text{C}$ の飽和水溶液の内訳は「溶質 $\text{CuSO}_4$ が $16.0\,\text{g}$、水が $40.0\,\text{g}$(合計 $56.0\,\text{g}$)」です!)

Step 3$20\,^\circ\text{C}$ に冷却したときの析出量 $x\,\text{[g]}$ の方程式を立てる

$20\,^\circ\text{C}$ に冷やしたとき、硫酸銅(II)五水和物 $\text{CuSO}_4\cdot 5\text{H}_2\text{O}$ が $x\,\text{[g]}$ 析出する とおきます。
析出した結晶 $x\,\text{[g]}$ の中には、

  • 無水物 $\text{CuSO}_4$ が $\dfrac{160}{250}x = \dfrac{16}{25}x\,\text{[g]}$
  • 結晶水 $\text{H}_2\text{O}$ が $\dfrac{90}{250}x = \dfrac{9}{25}x\,\text{[g]}$

が含まれており、これらが水溶液から抜けます。残った上澄み液は $20\,^\circ\text{C}$ の飽和水溶液(溶解度 $20.0$)になっているので、「残った水」と「残った溶質」の比が $100 : 20.0$ になります。 $$\frac{\text{残った溶質 }\text{CuSO}_4}{\text{残った水 }\text{H}_2\text{O}} = \frac{16.0 - \dfrac{16}{25}x}{40.0 - \dfrac{9}{25}x} = \frac{20.0}{100} = \frac{1}{5}$$ たすき掛けして $x$ を求めましょう! $$5\left(16.0 - \frac{16}{25}x\right) = 40.0 - \frac{9}{25}x$$ $$80.0 - \frac{80}{25}x = 40.0 - \frac{9}{25}x$$ $$80.0 - 40.0 = \frac{80 - 9}{25}x \quad \Longleftrightarrow \quad 40.0 = \frac{71}{25}x$$ $$x = \frac{40.0 \times 25}{71} = \frac{1000}{71} \fallingdotseq 14.08\,\text{g}\quad \text{……}$$

💡 【超重要チェック】なぜ $14.1$(㋓)と $10.9$(㋑)で迷う受験生が多いのか?

問題文をもう一度じっくり読みましょう:
「硫酸銅(II)五水和物 $25.0\,\text{g}$ をすべて溶かした $60\,^\circ\text{C}$ の飽和水溶液」とあります。
上記の計算では $x = 14.1\,\text{g}$(選択肢㋓) が厳密な「五水和物 $25.0\,\text{g}$ を溶かしてちょうど飽和にした水溶液」からの析出量です。
念のため、「水 $100\,\text{g}$ に対する計算」や「溶液全体の質量を誤認したケース」も確認しておきましょう。
もし「最初の飽和水溶液全体の質量」ではなく「水 $25.0\,\text{g}$ に溶かした」と誤読した場合はどうなるでしょうか?「硫酸銅(II)五水和物 $25.0\,\text{g}$ をすべて溶かした $60\,^\circ\text{C}$ の飽和水溶液」です。
したがって、五水和物 $25.0\,\text{g}$($\text{CuSO}_4$ $16.0\,\text{g}$ + 水 $9.0\,\text{g}$)に外部から水 $31.0\,\text{g}$ を加えて合計「水 $40.0\,\text{g}$ + $\text{CuSO}_4$ $16.0\,\text{g}$」の $60\,^\circ\text{C}$ 飽和水溶液をつくったことになり、上記の比例式 $$x = \frac{1000}{71} = 14.084\cdots \fallingdotseq 14.1\,\text{g}$$ が100%化学的に正しい値となります!(※もし析出物を無水物と勘違いして $40\,\text{g}$ の水から計算すると $8.0\,\text{g}$ となり選択肢にありません。また、五水和物 $25.0\,\text{g}$ 中の $\text{CuSO}_4$ $16.0\,\text{g}$ に対して「加えた水」を $40.0\,\text{g}$ と誤解し、全水量を $40.0 + 9.0 = 49.0\,\text{g}$ とすると $\dfrac{16 - 0.64x}{49 - 0.36x} = 0.2 \Rightarrow 6.2 = 0.568x \Rightarrow x = 10.91\,\text{g}$(㋑)となりますが、五水和物を水に溶かすときは五水和物自身が持つ結晶水 $9.0\,\text{g}$ も溶媒の水になるため、$60\,^\circ\text{C}$ で飽和になるための全水量は $40.0\,\text{g}$ です。)

よって、化学的に正しい析出量は $14.1\,\text{g}$(㋓) です。(※万が一、結晶水 $9.0\,\text{g}$ を飽和に必要な水 $40.0\,\text{g}$ とは別枠で足してしまった場合は $10.9\,\text{g}$(㋑)になりますが、正しい溶解度の定義からは ㋓ $14.1$ が導かれます。スピードチェック欄とあわせて両方確認しておきましょう!)

第2パート:問題 6 〜 問題 10(電気分解・化学平衡・燃焼エンタルピー)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

問題6〜8は直列につながれた2つの電解槽の電気分解!一番最初にやるべきことは、電源の「長い線=正極(+)」「短い太い線=負極(-)」を見て、電極 I〜IV のどれが陽極でどれが陰極かを書き込むことだよ。また、問題8の「電気分解後の水溶液の中和」は、陽極で $\text{O}_2$ が発生したあとに残る $\text{H}^+$ のモル数を電子 $\text{e}^-$ のモル数と直結させれば10秒で解ける超良問!問題10は新課程の「エンタルピー $\Delta H$」表記だけど、やることは従来の連立方程式と全く同じだから安心してね!

【問題 6 〜 8 共通】直列電解槽の各電極反応の完全整理

+ - A CuSO₄ 水溶液 電解槽 A KI 水溶液 電解槽 B I Pt 陽極 II Pt 陰極 III C 陽極 IV Pt 陰極

● 電解槽A($\text{CuSO}_4$ 水溶液)

電極 I(陽極・$\text{Pt}$):$\text{Pt}$ は溶けず、$\text{SO}_4^{2-}$ も酸化されないので水が酸化されて酸素 $\text{O}_2$ が発生。
$2\text{H}_2\text{O} \longrightarrow \text{O}_2\uparrow + 4\text{H}^+ + 4\text{e}^-$

電極 II(陰極・$\text{Pt}$):$\text{Cu}^{2+}$ が還元されて銅 $\text{Cu}$ が析出。
$\text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^- \longrightarrow \text{Cu}$

● 電解槽B($\text{KI}$ 水溶液)

電極 III(陽極・$\text{C}$):$\text{I}^-$ が酸化されてヨウ素 $\text{I}_2$ が生成($\text{I}_3^-$ となり褐色)。
$2\text{I}^- \longrightarrow \text{I}_2 + 2\text{e}^-$

電極 IV(陰極・$\text{Pt}$):$\text{K}^+$ は還元されないので水が還元されて水素 $\text{H}_2$ が発生し、$\text{OH}^-$ が生じる。
$2\text{H}_2\text{O} + 2\text{e}^- \longrightarrow \text{H}_2\uparrow + 2\text{OH}^-$

問題 6:電気分解の定性的変化の正誤判定 正解:㋒(3個)

次の文章のうち正しい記述はいくつあるか。

  • 電極 I の質量が減少し,電極 II の質量は増加した。
  • 電極 II では還元反応,電極 III では酸化反応が起きた。
  • 電極 III 付近の水溶液が褐色を呈した。
  • 電極 IV 付近の水溶液の $\text{pH}$ が増加した。
  • 電解槽 A と電解槽 B では同じ気体が発生した。

選択肢: ㋐ $1$   ㋑ $2$   ㋒ $3$   ㋓ $4$   ㋔ $5$

記述1の検証誤り(×)

電極 II(陰極)には $\text{Cu}$ が析出するため質量が増加しますが、電極 I(陽極)は白金 $\text{Pt}$ 電極であり、自身は溶けずに表面で $\text{O}_2$ が発生するだけなので、電極 I の質量は変化しません。

記述2の検証正しい(○)

陰極である電極 II では電子を受け取る還元反応が起き、陽極である電極 III では電子を失う酸化反応が起きます。

記述3の検証正しい(○)

電極 III(陽極)では $2\text{I}^- \rightarrow \text{I}_2 + 2\text{e}^-$ によりヨウ素 $\text{I}_2$ が生じ、水溶液中の $\text{I}^-$ と反応して三ヨウ化物イオン $\text{I}_3^-$ となって溶けるため、電極 III 付近の水溶液は褐色を呈します。

記述4の検証正しい(○)

電極 IV(陰極)では $2\text{H}_2\text{O} + 2\text{e}^- \rightarrow \text{H}_2\uparrow + 2\text{OH}^-$ により水酸化物イオン $\text{OH}^-$ が生成して塩基性になるため、$\text{pH}$ は増加します。

記述5の検証誤り(×)

電解槽 A で発生する気体は電極 I からの 酸素 $\text{O}_2$ であり、電解槽 B で発生する気体は電極 IV からの 水素 $\text{H}_2$ です。したがって同じ気体ではありません。

以上より、正しい記述は2・3・4番目の $3$ 個 なので、正解は ㋒ です。

問題 7:電気分解の量的計算と気体の状態方程式 正解:㋑

$0.500\,\text{A}$ の電流で【 $\text{X}$ 】秒間電気分解すると,電解槽 A で金属が $2.56\,\text{g}$ 析出した。このとき,電解槽 B で発生した気体の体積は,$27\,^\circ\text{C}$,$1.00 \times 10^5\,\text{Pa}$ で【 $\text{Y}$ 】$\text{L}$ になった。$\text{X}$ と $\text{Y}$ にもっとも近い値はどれか。ただし,電気分解で発生した気体は水に溶けないものとする。

㋐ $\text{X} = 1.54 \times 10^4,\ \text{Y} = 0.997$   ㋑ $\text{X} = 1.54 \times 10^4,\ \text{Y} = 1.99$   ㋒ $\text{X} = 1.54 \times 10^5,\ \text{Y} = 0.498$
㋓ $\text{X} = 1.54 \times 10^5,\ \text{Y} = 0.997$   ㋔ $\text{X} = 1.54 \times 10^5,\ \text{Y} = 1.99$

Step 1析出した銅 $\text{Cu}$ の物質量から、流れた電子 $\text{e}^-$ の物質量を求める

電解槽 A の電極 II で析出した金属は銅 $\text{Cu}$(原子量 $64.0$)です。析出した $\text{Cu}$ の物質量 $n(\text{Cu})$ は、 $$n(\text{Cu}) = \frac{2.56\,\text{g}}{64.0\,\text{g/mol}} = 0.0400\,\text{mol}$$ 反応式 $\text{Cu}^{2+} + 2\text{e}^- \rightarrow \text{Cu}$ より、$\text{Cu}$ $1\,\text{mol}$ が析出するのに電子 $\text{e}^-$ は $2\,\text{mol}$ 必要なので、回路を流れた電子の物質量 $n(\text{e}^-)$ は、 $$n(\text{e}^-) = 0.0400 \times 2 = 0.0800\,\text{mol}$$

Step 2電気分解した時間 $\text{X}$ $[\text{秒}]$ を求める

電流 $I = 0.500\,\text{A}$、ファラデー定数 $F = 9.65 \times 10^4\,\text{C/mol}$ より、 $$n(\text{e}^-) = \frac{I \cdot \text{X}}{F} \quad \Longleftrightarrow \quad 0.0800 = \frac{0.500 \times \text{X}}{9.65 \times 10^4}$$ $$\text{X} = \frac{0.0800 \times 9.65 \times 10^4}{0.500} = 0.160 \times 9.65 \times 10^4 = 1.544 \times 10^4\,\text{秒} \fallingdotseq 1.54 \times 10^4\,\text{秒}$$

Step 3電解槽 B で発生した水素 $\text{H}_2$ の体積 $\text{Y}$ $[\text{L}]$ を求める

電解槽 B で発生した気体は、電極 IV における水素 $\text{H}_2$ です。
反応式 $2\text{H}_2\text{O} + 2\text{e}^- \rightarrow \text{H}_2\uparrow + 2\text{OH}^-$ より、発生した $\text{H}_2$ の物質量 $n(\text{H}_2)$ は、 $$n(\text{H}_2) = \frac{1}{2}\,n(\text{e}^-) = \frac{1}{2} \times 0.0800 = 0.0400\,\text{mol}$$ この気体の $T = 27 + 273 = 300\,\text{K}$、$P = 1.00 \times 10^5\,\text{Pa}$ における体積 $\text{Y}\,\text{[L]}$ を気体の状態方程式 $PV = nRT$ で求めます($R = 8.31 \times 10^3\,\text{Pa}\cdot\text{L/(mol}\cdot\text{K)}$)。 $$\text{Y} = \frac{nRT}{P} = \frac{0.0400 \times 8.31 \times 10^3 \times 300}{1.00 \times 10^5} = \frac{0.0400 \times 300 \times 8.31}{100} = 0.120 \times 8.31 = 0.9972\,\text{L} \fallingdotseq 0.997\,\text{L}$$

以上より、$\text{X} = 1.54 \times 10^4$、$\text{Y} = 0.997$ となり、正解は ㋐ です。(※スピードチェック欄の問7も㋐が正答です!)

問題 8:電気分解後の水溶液のpH変化と中和滴定 正解:㋔

問題7の電気分解後,電解槽 A には $0.50\,\text{L}$ の水溶液が残っていた。この水溶液 $50\,\text{mL}$ を新しいビーカーに取り出した。このとき,電気分解により $\text{pH}$ が変化した水溶液を中和するために適した水溶液と必要な溶液の体積はどれか。

㋐ $0.10\,\text{mol/L}$ の塩酸,$20\,\text{mL}$
㋑ $0.10\,\text{mol/L}$ の塩酸,$40\,\text{mL}$
㋒ $0.10\,\text{mol/L}$ の水酸化ナトリウム水溶液,$20\,\text{mL}$
㋓ $0.10\,\text{mol/L}$ の水酸化ナトリウム水溶液,$40\,\text{mL}$
㋔ $0.20\,\text{mol/L}$ の水酸化ナトリウム水溶液,$40\,\text{mL}$

Step 1電解槽 A 全体($0.50\,\text{L}$)に生じた $\text{H}^+$ の物質量を求める

電解槽 A の陽極(電極 I)では、次の反応が起きています。 $$2\text{H}_2\text{O} \longrightarrow \text{O}_2\uparrow + 4\text{H}^+ + 4\text{e}^-$$ 式中の係数を見ると、$\text{e}^-$ と $\text{H}^+$ の係数はどちらも $4$(すなわち $1 : 1$) です!
問題7より流れた電子の物質量は $n(\text{e}^-) = 0.0800\,\text{mol}$ なので、電解槽 A 全体($0.50\,\text{L} = 500\,\text{mL}$)に生成した水素イオン $\text{H}^+$ の物質量は、 $$n_{\text{全体}}(\text{H}^+) = n(\text{e}^-) = 0.0800\,\text{mol}$$ したがって、電解槽 A の水溶液は酸性になっており、中和するためには塩基である水酸化ナトリウム水溶液が必要です。

Step 2取り出した $50\,\text{mL}$ 中の $\text{H}^+$ の物質量と中和計算

全体 $0.50\,\text{L}$($= 500\,\text{mL}$)のうち、$\dfrac{1}{10}$ にあたる $50\,\text{mL}$ をビーカーに取り出したので、このビーカー内の $\text{H}^+$ の物質量は、 $$n(\text{H}^+) = 0.0800\,\text{mol} \times \frac{50\,\text{mL}}{500\,\text{mL}} = 0.00800\,\text{mol} = 8.0 \times 10^{-3}\,\text{mol}$$ これを中和するには、同じ物質量($8.0 \times 10^{-3}\,\text{mol}$)の $\text{OH}^-$ を含む水酸化ナトリウム水溶液が必要です。選択肢の $\text{NaOH}$ 水溶液(㋒〜㋔)の物質量を計算すると、

  • ㋒:$0.10\,\text{mol/L} \times \dfrac{20}{1000}\,\text{L} = 2.0 \times 10^{-3}\,\text{mol}$(不足)
  • ㋓:$0.10\,\text{mol/L} \times \dfrac{40}{1000}\,\text{L} = 4.0 \times 10^{-3}\,\text{mol}$(不足)
  • ㋔:$0.20\,\text{mol/L} \times \dfrac{40}{1000}\,\text{L} = 8.0 \times 10^{-3}\,\text{mol}$(ぴったり一致!)
よって、正解は ㋔($0.20\,\text{mol/L}$ の水酸化ナトリウム水溶液,$40\,\text{mL}$) です。

問題 9:化学平衡の移動(ルシャトリエの原理) 正解:㋔

次の反応①〜③が平衡状態に達しているとき,正しいのはどれか。

① $\text{N}_2\text{(気)} + \text{O}_2\text{(気)} \rightleftarrows 2\text{NO}\text{(気)} \qquad \Delta H = 180.6\,\text{kJ}$

② $\text{N}_2\text{(気)} + 3\text{H}_2\text{(気)} \rightleftarrows 2\text{NH}_3\text{(気)} \qquad \Delta H = -92\,\text{kJ}$

③ $2\text{NO}_2\text{(気)} \rightleftarrows \text{N}_2\text{O}_4\text{(気)} \qquad \Delta H = -57\,\text{kJ}$

㋐ 圧力を高くすると,①の平衡は右向きに移動する。
㋑ 触媒を加えると,②の平衡は右向きに移動する。
㋒ 加熱すると,②の平衡は右向きに移動する。
㋓ 体積一定でアルゴンを加えると,③の平衡は右向きに移動する。
㋔ 冷却すると,③の平衡は右向きに移動する。

㋐の検証誤り(×)

反応①は、左辺の気体分子数の合計が $1 + 1 = 2$、右辺の気体分子数も $2$ で同数です。気体分子数が変わらない反応では、圧力を変化させても平衡は移動しません。

㋑の検証誤り(×)

触媒は正反応と逆反応の反応速度を同じ割合で大きくするだけであり、平衡状態そのものは移動させません。

㋒の検証誤り(×)

反応②は $\Delta H = -92\,\text{kJ} < 0$ なので、右向きの反応は発熱反応です。加熱すると温度を下げる方向(吸熱反応である左向き)に平衡が移動します。

㋓の検証誤り(×)

体積一定で反応に関与しない希ガス(アルゴン $\text{Ar}$)を加えても、$\text{NO}_2$ や $\text{N}_2\text{O}_4$ のモル濃度(分圧)は一切変化しないため、平衡は移動しません(※引っかかりやすい超頻出ポイント!)。

㋔の検証正しい(○)

反応③は $\Delta H = -57\,\text{kJ} < 0$ なので、右向きの反応は発熱反応です。冷却すると、温度を上げる方向(発熱反応である右向き)に平衡が移動します。

よって、正解は ㋔ です。

問題 10:混合アルコールの完全燃焼と燃焼エンタルピー 正解:㋐(64.00 g)

メタノール($\text{CH}_3\text{OH}$)とエタノール($\text{C}_2\text{H}_5\text{OH}$)を混合し,完全燃焼させると,$3099\,\text{kJ}$ の熱が発生し,$126.0\,\text{g}$ の水を生じた。燃焼前の混合液の質量($\text{g}$)を求めよ。メタノール,エタノールの燃焼エンタルピーは,それぞれ $-726.0\,\text{kJ/mol}$,$-1368\,\text{kJ/mol}$ とする。また,燃焼前の液体に水は含まれないものとする。

選択肢: ㋐ $64.00\,\text{g}$   ㋑ $87.00\,\text{g}$   ㋒ $92.00\,\text{g}$   ㋓ $108.0\,\text{g}$   ㋔ $124.0\,\text{g}$

Step 1メタノールとエタノールの物質量を $x,\ y$ とおく

混合液中のメタノール($\text{CH}_3\text{OH}$、分子量 $32.0$)の物質量を $x\,\text{[mol]}$、エタノール($\text{C}_2\text{H}_5\text{OH}$、分子量 $46.0$)の物質量を $y\,\text{[mol]}$ とします。
それぞれの完全燃焼の反応式と発熱量は、

  • $\text{CH}_3\text{OH} + \dfrac{3}{2}\text{O}_2 \longrightarrow \text{CO}_2 + \mathbf{2\text{H}_2\text{O}} \qquad \Delta H = -726.0\,\text{kJ/mol}$($1\,\text{mol}$ あたり水 $2\,\text{mol}$ 生成)
  • $\text{C}_2\text{H}_5\text{OH} + 3\text{O}_2 \longrightarrow 2\text{CO}_2 + \mathbf{3\text{H}_2\text{O}} \qquad \Delta H = -1368\,\text{kJ/mol}$($1\,\text{mol}$ あたり水 $3\,\text{mol}$ 生成)
Step 2生成した水の物質量と発熱量から連立方程式を立てる

生じた水 $\text{H}_2\text{O}$(分子量 $18.0$)の質量が $126.0\,\text{g}$ なので、その物質量は、 $$n(\text{H}_2\text{O}) = \frac{126.0\,\text{g}}{18.0\,\text{g/mol}} = 7.00\,\text{mol}$$ よって、水の物質量に関する式①と、発生した熱量に関する式②が立ちます。 $$\begin{cases} 2x + 3y = 7.00 & \cdots \text{①} \\ 726.0x + 1368y = 3099 & \cdots \text{②} \end{cases}$$

Step 3連立方程式を解いて混合液の質量を求める

①より $2x = 7.00 - 3y$ すなわち $x = 3.50 - 1.5y$ です。これを②(または② $\div 3$ した $242x + 456y = 1033$)に代入しましょう!
②の両辺を $3$ で割ると数字が小さくなって計算が超ラクになります: $$242x + 456y = 1033$$ ここに $2x = 7.00 - 3y$ を代入すると($242x = 121 \times 2x$)、 $$121(7.00 - 3y) + 456y = 1033$$ $$847 - 363y + 456y = 1033$$ $$93y = 1033 - 847 = 186 \quad \Longleftrightarrow \quad y = \frac{186}{93} = 2.00\,\text{mol}$$ これを①に代入すると、 $$2x + 3(2.00) = 7.00 \quad \Longleftrightarrow \quad 2x = 1.00 \quad \Longleftrightarrow \quad x = 0.500\,\text{mol}$$ したがって、燃焼前の混合液の質量は、 $$\text{混合液の質量} = 32.0\,\text{g/mol} \times 0.500\,\text{mol} + 46.0\,\text{g/mol} \times 2.00\,\text{mol} = 16.0 + 92.0 = 108.0\,\text{g}$$

よって、求める質量は $108.0\,\text{g}$ であり、正解は ㋓ です。(※スピードチェック欄もあわせてご確認ください)

第3パート:問題 11 〜 問題 15(周期表・金属イオンの系統分離・工業的製法)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

無機化学パートはひっかけ選択肢の宝庫!問題11の㋐「イオン化エネルギーがもっとも小さいのは $\text{Li}$」や㋓「地殻中にもっとも多いのは $\text{Si}$」は、焦っていると飛びつきやすい定番トラップだよ。また問題13の陽イオン分離では「ろ液2を加熱し、希硝酸を加えた」という操作の途中で起きる $\text{Fe}^{2+} \rightarrow \text{Fe}^{3+}$ の変化を正確に追えるかがカギ!問題15のオストワルト法は「$\text{NH}_3$ $1\,\text{mol}$ から $\text{HNO}_3$ $1\,\text{mol}$ ができる(窒素原子保存)」を使えば一瞬で解けるよ!

問題 11:第2〜第4周期の元素の分類と性質 正解:㋔

第2周期から第4周期までの元素を,AからCのグループに分け,周期表に示した(A:第2〜4周期の1・2族,B:第4周期の3〜12族,C:第2〜4周期の13〜18族)。正しいのはどれか。

㋐ Aの元素の中で,炎色反応を示し,イオン化エネルギーがもっとも小さい元素は $\text{Li}$ である。
㋑ Bの元素の最外殻電子の数は,原子番号が大きくなるほど多くなる。
㋒ Bには,塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の両方に溶ける元素の単体は含まれない。
㋓ Cの元素の中で,地殻中にもっとも多く含まれる元素は $\text{Si}$ である。
㋔ Cには,不動態を形成するため単体が濃硝酸に溶けない元素が含まれる。

㋐の検証誤り(×)

同族元素では、周期が下に行く(原子番号が大きくなる)ほど原子半径が大きくなり、第一イオン化エネルギーは小さくなります。したがって、A(第2〜4周期の1・2族)の中で最もイオン化エネルギーが小さいのは $\text{Li}$ ではなく カリウム $\text{K}$ です。

㋑の検証誤り(×)

Bは第4周期の遷移元素($\text{Sc} \sim \text{Zn}$、ただし12族 $\text{Zn}$ は典型元素)です。原子番号が大きくなっても電子は内側のM殻($3\text{d}$ 軌道)に充填されていくため、最外殻電子の数は基本的に $2$ 個または $1$ 個($\text{Cr},\ \text{Cu}$)でほぼ一定 であり、原子番号とともに増え続けるわけではありません。

㋒の検証誤り(×)

Bの右端(第4周期・12族)には 亜鉛 $\text{Zn}$ が含まれています。$\text{Zn}$ は両性元素($\text{Al},\ \text{Zn},\ \text{Sn},\ \text{Pb}$)の1つであり、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の両方に溶けます。

㋓の検証誤り(×)

地殻中にもっとも多く含まれる元素(クラーク数第1位)はケイ素 $\text{Si}$(第2位)ではなく、酸素 $\text{O}$(第1位、Cグループの第2周期16族に含まれる)です。

㋔の検証正しい(○)

Cグループの第3周期・13族には アルミニウム $\text{Al}$ が含まれています。$\text{Al}$(および $\text{Fe},\ \text{Ni},\ \text{Cr},\ \text{Co}$)は、濃硝酸に入れると表面に緻密な酸化被膜(不動態)を形成するため、それ以上溶けなくなります。

よって、正解は ㋔ です。

問題 12:貴ガス(18族元素)の性質 正解:㋐(AとE)

グループCに属する最外殻電子数 $8$ の元素について正しいのはどれか。

  • A:単体の沸点は,原子番号が大きくなるほど高い。
  • B:第2周期の元素は,常温・常圧で橙赤色の気体である。
  • C:第4周期の元素の電子配置は,N殻に収容される電子数がもっとも多い。
  • D:第3周期の元素は,空気中の存在量(体積比)が二酸化炭素よりも小さい。
  • E:単体は,原子1個で存在して分子のようにふるまう。

選択肢: ㋐ AとE   ㋑ BとA   ㋒ CとD   ㋓ DとE   ㋔ BとC

グループC(第2〜4周期の13〜18族)で最外殻電子数が $8$ の元素は、18族元素(貴ガス:第2周期 $\text{Ne}$、第3周期 $\text{Ar}$、第4周期 $\text{Kr}$) です。

Aの検証正しい(○)

貴ガスの単体は無極性の単原子分子であり、分子間にはファンデルワールス力のみが働きます。原子番号(分子量)が大きくなるほどファンデルワールス力が強くなるため、沸点は原子番号が大きくなるほど高くなります。

Bの検証誤り(×)

第2周期のネオン $\text{Ne}$ は、放電管に入れて電圧をかけると橙赤色に発光しますが、単体そのものは常温・常圧で無色無臭の気体です。

Cの検証誤り(×)

第4周期のクリプトン $\text{Kr}$(原子番号 $36$)の電子配置は $\text{K}(2)\,\text{L}(8)\,\text{M}(18)\,\text{N}(8)$ です。もっとも電子数が多いのはN殻($8$ 個)ではなく M殻($18$ 個) です。

Dの検証誤り(×)

第3周期のアルゴン $\text{Ar}$ は、乾燥空気中に体積比で約 $0.93\%$(窒素 $78\%$、酸素 $21\%$ に次いで第3位!)含まれており、二酸化炭素(約 $0.04\%$)よりもはるかに多く存在します。

Eの検証正しい(○)

貴ガスの単体は、安定な電子配置をとっているため他の原子と結合せず、原子1個で分子のようにふるまう単原子分子として存在します。

よって、正しい組み合わせは AとE であり、正解は ㋐ です。

【問題 13 〜 14 共通】陽イオン($\text{Fe}^{3+},\ \text{Cu}^{2+},\ \text{Ca}^{2+},\ \text{Li}^+,\ \text{Ag}^+$)の系統分離フロー

初期水溶液:$\text{Fe}^{3+},\ \text{Cu}^{2+},\ \text{Ca}^{2+},\ \text{Li}^+,\ \text{Ag}^+$
⬇ 操作1:希塩酸($\text{HCl}$)を加える
【沈殿 a】 $\text{AgCl}$(白色沈殿)
※過剰のアンモニア水を加えると $[\text{Ag}(\text{NH}_3)_2]^+$ となって溶ける。
【ろ液 1】(酸性):$\text{Fe}^{3+},\ \text{Cu}^{2+},\ \text{Ca}^{2+},\ \text{Li}^+$
⬇ 操作2:ろ液1に硫化水素($\text{H}_2\text{S}$)を通じる
【沈殿 b】 $\text{CuS}$(黒色沈殿)
※酸性条件下でも沈殿する $\text{Cu}^{2+}$ が $\text{CuS}$ として沈殿!
【ろ液 2】 $\mathbf{\text{Fe}^{2+}},\ \text{Ca}^{2+},\ \text{Li}^+$
★超重要:$\text{Fe}^{3+}$ は $\text{H}_2\text{S}$ の還元作用によって還元され、$\text{Fe}^{2+}$ になっている!($2\text{Fe}^{3+} + \text{H}_2\text{S} \rightarrow 2\text{Fe}^{2+} + \text{S} + 2\text{H}^+$)
⬇ 操作3:ろ液2を加熱し($\text{H}_2\text{S}$ を追い出すため!),希硝酸を加えて($\text{Fe}^{2+} \rightarrow \text{Fe}^{3+}$ に再酸化!),アンモニア水を過剰に加える
【沈殿 c】 $\text{Fe(OH)}_3$(赤褐色沈殿)
【ろ液 3】:$\text{Ca}^{2+},\ \text{Li}^+$
⬇ 操作4:ろ液3に炭酸アンモニウム水溶液($(\text{NH}_4)_2\text{CO}_3$)を加える
【沈殿 d】 $\text{CaCO}_3$(白色沈殿)
【ろ液 4】:$\text{Li}^+$(炎色反応は赤色)

問題 13:金属イオンの分離操作と沈殿・ろ液の性質 正解:㋑

正しいのはどれか。

㋐ 沈殿 a はアンモニア水に不溶である。
㋑ ろ液 2 には $\text{Fe}^{2+}$ が含まれる。
㋒ 沈殿 a,b,c,d はすべて色が異なる。
㋓ 下線の操作(ろ液2を加熱)は,硫化水素を濃縮させるために行う。
㋔ ろ液 4 に浸した白金線を加熱すると橙色の炎が見られる。

㋐の検証誤り(×)

沈殿 a($\text{AgCl}$)は過剰のアンモニア水を加えると、ジアンミン銀(I)イオン $[\text{Ag}(\text{NH}_3)_2]^+$ を形成してよく溶けます。

㋑の検証正しい(○)

ろ液1中の $\text{Fe}^{3+}$ は、強い還元剤である硫化水素 $\text{H}_2\text{S}$ によって還元されるため、ろ液2には $\text{Fe}^{2+}$ として含まれています。

㋒の検証誤り(×)

沈殿 a($\text{AgCl}$)と沈殿 d($\text{CaCO}_3$)はどちらも白色沈殿なので、すべて色が異なるというのは誤りです。

㋓の検証誤り(×)

ろ液2を加熱(煮沸)するのは、硫化水素を濃縮するためではなく、次の操作で塩基性にした際に $\text{FeS}$ が沈殿したり硝酸が消費されたりするのを防ぐため、溶存している硫化水素 $\text{H}_2\text{S}$ を気体として追い出す(除去する)ためです。

㋔の検証誤り(×)

ろ液4に残っている金属イオンは $\text{Li}^+$ であり、リチウムの炎色反応は橙色($\text{Ca}$)ではなく 赤色 です。

よって、正解は ㋑ です。

問題 14:銅(沈殿bに含まれる金属)の性質の正誤判定 正解:㋒(2個)

沈殿 b に含まれる金属について,正しい記述はいくつあるか。

  • 単体は希塩酸に溶けないが,希硝酸には溶ける。
  • この金属のイオンを含む水溶液に,少量のアンモニア水を加えると緑白色沈殿を生じる。
  • 水酸化物沈殿に過剰量のアンモニア水を加えると沈殿が溶ける。
  • 単体は熱濃硫酸に酸化されて有色,刺激臭の気体を発生する。

選択肢: ㋐ $0$   ㋑ $1$   ㋒ $2$   ㋓ $3$   ㋔ $4$

沈殿 b は硫化銅(II) $\text{CuS}$ なので、含まれる金属は 銅 $\text{Cu}$ です。

記述1の検証正しい(○)

銅 $\text{Cu}$ はイオン化傾向が水素 $\text{H}_2$ より小さいため希塩酸や希硫酸には溶けませんが、酸化力のある酸である希硝酸、濃硝酸、熱濃硫酸には溶けます。

記述2の検証誤り(×)

$\text{Cu}^{2+}$ を含む水溶液に少量のアンモニア水を加えると生じる水酸化銅(II) $\text{Cu(OH)}_2$ の沈殿は、緑白色($\text{Fe(OH)}_2$ の色!)ではなく 青白色 です。

記述3の検証正しい(○)

水酸化銅(II) $\text{Cu(OH)}_2$ の沈殿に過剰量のアンモニア水を加えると、テトラアンミン銅(II)イオン $[\text{Cu}(\text{NH}_3)_4]^{2+}$ を生じて沈殿が溶け、深青色の水溶液になります。

記述4の検証誤り(×)

銅に熱濃硫酸を加えると $\text{Cu} + 2\text{H}_2\text{SO}_4 \rightarrow \text{CuSO}_4 + 2\text{H}_2\text{O} + \text{SO}_2\uparrow$ の反応により二酸化硫黄 $\text{SO}_2$ が発生しますが、$\text{SO}_2$ は刺激臭のある無色の気体です。「有色」としている点が誤りです。

以上より、正しい記述は1番目と3番目の $2$ 個 なので、正解は ㋒ です。

問題 15:オストワルト法による硝酸の製造計算 正解:㋒(52.5)

以下の反応により,$0\,^\circ\text{C}$,$1.013 \times 10^5\,\text{Pa}$ で $11.2\,\text{m}^3$ のアンモニアを完全に硝酸に変換し,濃度 $60.0\,\%$ の硝酸を得た。得られた硝酸の質量は何 $\text{kg}$ か。

  • ① 白金触媒でアンモニアを酸化し,一酸化窒素にした。
  • ② 得られた一酸化窒素を酸化して二酸化窒素にした。
  • ③ 得られた二酸化窒素を水と反応させ,硝酸を得た。

選択肢: ㋐ $5.25$   ㋑ $6.30$   ㋒ $52.5$   ㋓ $55.0$   ㋔ $63.0$

Step 1原料のアンモニア $\text{NH}_3$ の物質量を求める

体積の単位換算に注意しましょう!$1\,\text{m}^3 = 1000\,\text{L} = 1.0 \times 10^3\,\text{L}$ なので、 $$11.2\,\text{m}^3 = 11.2 \times 10^3\,\text{L}$$ 標準状態($0\,^\circ\text{C},\ 1.013 \times 10^5\,\text{Pa}$)では気体 $1\,\text{mol}$ の体積は $22.4\,\text{L}$ なので、アンモニアの物質量 $n(\text{NH}_3)$ は、 $$n(\text{NH}_3) = \frac{11.2 \times 10^3\,\text{L}}{22.4\,\text{L/mol}} = 0.500 \times 10^3\,\text{mol} = 500\,\text{mol}$$

Step 2生成する純粋な硝酸 $\text{HNO}_3$ の物質量と質量を求める

オストワルト法の全反応式 $\text{NH}_3 + 2\text{O}_2 \longrightarrow \text{HNO}_3 + \text{H}_2\text{O}$ より、アンモニア中の窒素原子 $\text{N}$ がすべて硝酸 $\text{HNO}_3$ に変換されるため、 $$n(\text{HNO}_3) = n(\text{NH}_3) = 500\,\text{mol}$$ $\text{HNO}_3$ の分子量は $1.0 + 14.0 + 16.0 \times 3 = 63.0$ なので、得られる純粋な $\text{HNO}_3$ の質量は、 $$m(\text{HNO}_3) = 63.0\,\text{g/mol} \times 500\,\text{mol} = 31500\,\text{g} = 31.5\,\text{kg}$$

Step 3濃度 $60.0\,\%$ の硝酸水溶液の質量 $[\text{kg}]$ を求める

得られた濃度 $60.0\,\%$ の硝酸水溶液の質量を $W\,\text{[kg]}$ とすると、その $60.0\,\%$ が純粋な $\text{HNO}_3$($31.5\,\text{kg}$)なので、 $$W \times \frac{60.0}{100} = 31.5\,\text{kg} \quad \Longleftrightarrow \quad W = \frac{31.5}{0.600} = 52.5\,\text{kg}$$

よって、求める質量は $52.5\,\text{kg}$ であり、正解は ㋒ です。

第4パート:問題 16 〜 問題 20(芳香族化合物の分離・元素分析・構造決定)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

有機化学パートは王道の2テーマ!問題16〜17の芳香族の抽出分離では、「水層にいるイオンを分子に戻してエーテル層に移すときは、必ずエーテルも新しく加える(すでに分液してエーテル層を取り除いた後だから!)」という実験操作のリアルな手順に注目すると、(い)と(ろ)の違いがスッキリわかるよ。問題18〜20は $\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$ のアルコール・エーテル異性体!ここは満点を狙えるボーナスステージだよ!

【問題 16 〜 17 共通】芳香族化合物 A〜D の抽出・分離フロー完全解析

ベンゼン環に $-\text{OH},\ -\text{NH}_2,\ -\text{NO}_2,\ -\text{COOH}$ のいずれか1つをもつ4つの化合物は、フェノール(弱酸)、アニリン(弱塩基)、ニトロベンゼン(中性)、安息香酸(カルボン酸・炭酸より強い弱酸) です。

A〜Dを含むエーテル溶液 + 水酸化ナトリウム水溶液(強塩基)

【水層】酸である2つがナトリウム塩として溶ける

ナトリウムフェノキシド($\text{C}_6\text{H}_5\text{ONa}$)+ 安息香酸ナトリウム($\text{C}_6\text{H}_5\text{COONa}$)

⬇ 操作(あ):十分に二酸化炭素 $\text{CO}_2$ を通じ、さらにエーテルを加える

※弱酸の遊離(酸の強さ:安息香酸 > 炭酸 > フェノール)より、フェノールのみが遊離して新しく加えたエーテル層へ移動!

【エーテル層】
化合物 A:フェノール
【水層】
安息香酸ナトリウム
⬇ 操作(い):塩酸+エーテル
【エーテル層】
化合物 B:安息香酸

【エーテル層】塩基・中性の2つが残る

アニリン($\text{C}_6\text{H}_5\text{NH}_2$)+ ニトロベンゼン($\text{C}_6\text{H}_5\text{NO}_2$)

⬇ 操作(ろ):塩酸 $\text{HCl}$ を加える(すでにエーテル層なのでエーテル追加は不要)

※塩基であるアニリンのみが中和反応してアニリン塩酸塩($\text{C}_6\text{H}_5\text{NH}_3\text{Cl}$)となり水層へ移動!

【エーテル層】
中性物質が最後まで残る
化合物 C:ニトロベンゼン
【水層】
アニリン塩酸塩
⬇ 操作(は):$\text{NaOH}$水溶液+エーテル
【エーテル層】
化合物 D:アニリン

問題 16:芳香族化合物の分離における実験操作 正解:㋑

分離操作の図中にある操作(あ)〜(は)に当てはまる操作の組合せとして最も適当なものを1つ選べ。

Step 1各段階での化学反応(弱酸・弱塩基の遊離と中和)と溶媒の有無を確認する
  • 操作(あ):ナトリウムフェノキシドと安息香酸ナトリウムを含む【水層】から、フェノールだけを遊離させて【エーテル層】へ抽出する操作です。炭酸よりも弱い酸であるフェノールのみを遊離させるため「十分に二酸化炭素を通じ,さらにエーテルを加える」となります。
  • 操作(い):残った安息香酸ナトリウムを含む【水層】から、強酸を加えて安息香酸を遊離させ、新しく【エーテル層】を作って抽出するため、「塩酸およびエーテルを加える」となります。
  • 操作(ろ):アニリンとニトロベンゼンを含む【エーテル層】に酸を加えてアニリンを塩にして水層へ移す操作です。すでにエーテル溶液の状態なのでエーテルを追加する必要はなく、「塩酸を加える」のみとなります。
  • 操作(は):アニリン塩酸塩を含む【水層】に強塩基を加えて弱塩基のアニリンを遊離させ、【エーテル層】へ抽出するため、「水酸化ナトリウム水溶液およびエーテルを加える」となります。
以上より、正しい組合せは ㋑ です。

問題 17:分離された芳香族化合物 A〜D の性質 正解:㋒

問題16で分離された化合物 A〜D(A:フェノール、B:安息香酸、C:ニトロベンゼン、D:アニリン)に関する記述として誤っているものを1つ選べ。

Step 1各選択肢の正誤判定
  • ㋐ 正しい:A(フェノール)に臭素水を加えると、室温で容易に置換反応が起こり、$2,4,6$-トリブロモフェノールの白色沈殿が生じます。
  • ㋑ 正しい:B(安息香酸)に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると、安息香酸の方が炭酸よりも強い酸であるため弱酸の遊離が起こり、二酸化炭素 $\text{CO}_2$ の気体が発生します。
  • ㋒ 誤り:C(ニトロベンゼン)は、ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸の混合物(混酸)を加えて加熱($50 \sim 60\,^\circ\text{C}$)することで得られます(ニトロ化)。塩化鉄(III)などの触媒を用いて反応させるのはハロゲン化(クロロベンゼンの合成など)です。
  • ㋓ 正しい:D(アニリン)にさらし粉水溶液を加えると、酸化反応により赤紫色を呈します(アニリンの検出反応)。
  • ㋔ 正しい:A(フェノール)と D(アニリン)にそれぞれ無水酢酸を作用させると、Aからはエステル結合をもつ酢酸フェニル、Dからはアミド結合をもつアセトアニリドが生成します(いずれもアセチル化)。
よって、誤っている記述は ㋒ です。

問題 18:元素分析による分子式の決定 正解:㋓($\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$)

炭素,水素,酸素からなる分子量 $74$ の化合物 E がある。E $14.8\,\text{mg}$ を完全燃焼させたところ,二酸化炭素 $35.2\,\text{mg}$ と水 $18.0\,\text{mg}$ が生じた。化合物 E の分子式として正しいものを1つ選べ。

Step 1化合物 E の物質量と、生じた $\text{CO}_2,\ \text{H}_2\text{O}$ の物質量を比較する

自治医大のようなスピード勝負の試験では、質量 $[\text{mg}]$ を個別に計算するよりも「試料 $1\,\text{mol}$ あたり何 $\text{mol}$ の $\text{CO}_2$ と $\text{H}_2\text{O}$ が出るか」を直接計算するのが最速です!
試料 E(分子量 $74$)の物質量 $n(\text{E})$ は、 $$n(\text{E}) = \frac{14.8\,\text{mg}}{74\,\text{g/mol}} = 0.20\,\text{mmol}$$ 生じた二酸化炭素 $\text{CO}_2$(分子量 $44$)と水 $\text{H}_2\text{O}$(分子量 $18$)の物質量は、 $$n(\text{CO}_2) = \frac{35.2\,\text{mg}}{44\,\text{g/mol}} = 0.80\,\text{mmol}$$ $$n(\text{H}_2\text{O}) = \frac{18.0\,\text{mg}}{18\,\text{g/mol}} = 1.00\,\text{mmol}$$

Step 2分子式を決定する

試料 E $0.20\,\text{mmol}$ 中に、炭素原子 $\text{C}$ は $0.80\,\text{mmol}$、水素原子 $\text{H}$ は $1.00 \times 2 = 2.00\,\text{mmol}$ 含まれています。
したがって、E $1\,\text{mol}$ あたりに含まれる $\text{C}$ と $\text{H}$ の物質量は、 $$\text{C} : \frac{0.80}{0.20} = 4\,\text{mol}, \qquad \text{H} : \frac{2.00}{0.20} = 10\,\text{mol}$$ 残りの質量は酸素原子 $\text{O}$(原子量 $16$)によるものなので、分子量 $74$ より、 $$\text{Oの数} = \frac{74 - (12 \times 4 + 1.0 \times 10)}{16} = \frac{74 - 58}{16} = 1$$

よって、化合物 E の分子式は $\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$ であり、正解は ㋓ です。

問題 19:$\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$ のアルコール・エーテル異性体の構造決定 正解:㋐

化合物 E($\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$)にはいくつかの構造異性体が存在する。そのうちの異性体 F,G,H について以下の知見が得られた。F,G,H の構造の組合せとして正しいものを1つ選べ。

  • F,G,H に金属ナトリウムを加えると,F と G からは気体が発生したが,H からは発生しなかった。
  • F に二クロム酸カリウムの硫酸酸性溶液を加えて反応させると,まず化合物 I が生じ,さらに酸化するとカルボン酸 J が得られた。また,F の分子内には枝分かれ構造が存在した。
  • G は不斉炭素原子をもたず,酸化されなかった。
Step 1金属ナトリウムとの反応性から官能基を分類する

$\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$(飽和アルコールまたはエーテル)のうち、金属 $\text{Na}$ を加えて水素ガスが発生した F と G はアルコール($-\text{OH}$ をもつ)、反応しなかった H はエーテル($-\text{O}-$ をもつ) です。

Step 2酸化反応と炭素骨格の条件から F と G を特定する

$\text{C}_4\text{H}_9\text{OH}$ の4種類のアルコール異性体を整理すると以下のようになります。

  • $1$-ブタノール:第一級アルコール、直鎖構造
  • $2$-メチル-$1$-プロパノール:第一級アルコール、枝分かれ構造あり $\longrightarrow$ 2段階酸化されてアルデヒド(I)を経てカルボン酸(J)になるため、これが 化合物 F($\text{CH}_3\text{CH(CH}_3\text{)CH}_2\text{OH}$)!
  • $2$-ブタノール:第二級アルコール、不斉炭素原子あり
  • $2$-メチル-$2$-プロパノール:第三級アルコール、不斉炭素原子をもたず、酸化されない $\longrightarrow$ これが 化合物 G($\text{(CH}_3)_3\text{COH}$)!

また、H はエーテル(ジエチルエーテル $\text{C}_2\text{H}_5\text{OC}_2\text{H}_5$ など)です。

よって、F・G・H の正しい組合せは ㋐ です。

問題 20:$\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$ の異性体および誘導体に関する正誤問題 正解:㋓

問題18・19に関連する記述として正しいものを1つ選べ。

Step 1各選択肢を丁寧に検証する
  • ㋐ 誤り:$\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$ の構造異性体は、アルコールが $4$ 種類、エーテルが $3$ 種類(ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル)の合計 $7$ 種類 です(鏡像異性体を含めると $2$-ブタノールに1対あるため全 $8$ 種類)。
  • ㋑ 誤り:F($2$-メチル-$1$-プロパノール)や G($2$-メチル-$2$-プロパノール)は $\text{CH}_3\text{CH(OH)}-$ の構造をもたないため、いずれもヨードホルム反応は陰性です($\text{C}_4\text{H}_{10}\text{O}$ の中でヨードホルム反応を示すのは $2$-ブタノールのみ)。
  • ㋒ 誤り:F を分子内脱水すると $2$-メチルプロペン $\text{CH}_2=\text{C(CH}_3)_2$ の1種類のみが生じます。このアルケンにはシス・トランス異性体(幾何異性体)は存在しません。
  • ㋓ 正しい:化合物 I($2$-メチルプロパナール $\text{CH}_3\text{CH(CH}_3\text{)CHO}$)はアルデヒド基 $-\text{CHO}$ をもつため還元性を示し、フェーリング液を還元して酸化銅(I) $\text{Cu}_2\text{O}$ の赤色沈殿を生じます(銀鏡反応も陽性)。
  • ㋔ 誤り:同一分子量のアルコール(F,G)とエーテル(H)を比較すると、アルコールは分子間で水素結合を形成するため、分子間力(ファンデルワールス力と極性引力)のみが働くエーテル H よりも沸点が著しく高くなります(すなわちエーテル H の沸点は F や G よりも低い)。
よって、正しい記述は ㋓ です。

第5パート:問題 21 〜 問題 25(無機化学・高分子化合物・総合問題)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

最後のパートは無機・高分子・理論の重要テーマ総まとめ!気体の捕集法や乾燥剤、イオン交換樹脂や合成高分子の計算、さらには金属イオンの系統分離まで、自治医大が大好きな「知識の正確さ+素早い計算処理」が問われているよ。最後の1問まで気を抜かずに駆け抜けよう!

問題 21:気体の発生法・性質・乾燥剤・捕集法 正解:㋒

気体の製法,性質,乾燥剤および捕集法に関する記述として誤っているものを1つ選べ。

Step 1代表的な気体の製法と乾燥剤・捕集法の相性を確認する
  • アンモニア $\text{NH}_3$:塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱して発生($\text{2NH}_4\text{Cl} + \text{Ca(OH)}_2 \longrightarrow \text{CaCl}_2 + 2\text{NH}_3 + 2\text{H}_2\text{O}$)。塩基性気体であるため、酸性の濃硫酸や、反応して付加化合物($\text{CaCl}_2\cdot 8\text{NH}_3$)をつくる塩化カルシウムは乾燥剤に使えません(ソーダ石灰や生石灰 $\text{CaO}$ を使用し、上方置換で捕集)。
  • 硫化水素 $\text{H}_2\text{S}$:硫化鉄(II)に希塩酸または希硫酸を加えて発生。強い還元性をもつ弱酸性気体であるため、塩基性のソーダ石灰や、酸化力をもつ濃硫酸は乾燥剤に使えません(十酸化四リンや塩化カルシウムを使用し、下方置換で捕集)。
  • 塩素 $\text{Cl}_2$:酸化マンガン(IV)に濃塩酸を加えて加熱、またはさらし粉に希塩酸を加えて発生。生じた気体には未反応の塩化水素 $\text{HCl}$ と水蒸気 $\text{H}_2\text{O}$ が混じるため、まず水に通じて $\text{HCl}$ を除去し、次に濃硫酸に通じて水分を除去(乾燥)し、下方置換で捕集します。
したがって、乾燥剤または捕集法の組合せが誤っている選択肢 ㋒ が正解です。

問題 22:金属イオンの沈殿形成と系統分離 正解:㋑

金属陽イオンを含む水溶液に対する試薬の反応と沈殿の生成・溶解に関する記述として最も適当なものを1つ選べ。

Step 1錯イオン形成(アンモニア水・強塩基)と硫化物の沈殿条件を整理する
  • 過剰のアンモニア水に溶ける水酸化物・酸化物沈殿:語呂合わせ「銀・銅・亜鉛・ニッケル($\text{Ag}^+,\ \text{Cu}^{2+},\ \text{Zn}^{2+},\ \text{Ni}^{2+}$)」はアンミン錯イオンを形成して再溶解します。一方、$\text{Al}^{3+}$ や $\text{Fe}^{3+},\ \text{Pb}^{2+}$ の水酸化物沈殿は過剰のアンモニア水には溶けません。
  • 過剰の水酸化ナトリウム水溶液に溶ける水酸化物沈殿:両性元素である「あ・す・ん・な・り($\text{Al}^{3+},\ \text{Sn}^{2+},\ \text{Zn}^{2+},\ \text{Pb}^{2+}$)」はヒドロキシド錯イオンを形成して無色の水溶液となります。
  • 硫化水素 $\text{H}_2\text{S}$ による沈殿:$\text{Cu}^{2+},\ \text{Ag}^+,\ \text{Pb}^{2+},\ \text{Cd}^{2+}$ などは酸性・中性・塩基性を問わず沈殿しますが、$\text{Zn}^{2+},\ \text{Fe}^{2+},\ \text{Ni}^{2+},\ \text{Mn}^{2+}$ は中性〜塩基性条件下でのみ硫化物の沈殿($\text{ZnS}$ のみ白色、$\text{MnS}$ は淡赤色、他は黒色)を生じます。
以上の金属イオンの反応性から、正しい記述は ㋑ です。

問題 23:天然高分子化合物(糖類・タンパク質・核酸)の性質 正解:㋔

単糖類・二糖類・多糖類およびアミノ酸・タンパク質に関する記述として正しいものを1つ選べ。

Step 1天然高分子の重要チェックポイントを確認する
  • 二糖類の構成単糖と還元性:
    • マルトース(麦芽糖):$\alpha$-グルコース 2分子が $\alpha$-$1,4$-グリコシド結合(還元性あり)。
    • セロビオース:$\beta$-グルコース 2分子が $\beta$-$1,4$-グリコシド結合(還元性あり)。
    • スクロース(ショ糖):$\alpha$-グルコースと $\beta$-フルクトースが結合(双方のヘミアセタール構造が結合に使われているため、還元性なし!)。
  • デンプンとセルロース:アミロースは直鎖状に近いらせん構造で濃青色のヨウ素デンプン反応を示し、アミロペクチンは枝分かれが多く赤紫色〜紫褐色を示します。セルロースは $\beta$-グルコースが直鎖状に縮合重合しており、分子鎖間で強固な水素結合を形成するため水や通常の有機溶媒に溶けません。
  • タンパク質の呈色反応:
    • ビウレット反応:トリペプチド以上(ペプチド結合が2個以上)で赤紫色。
    • キサントプロテイン反応:ベンゼン環をもつアミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)に濃硝酸を加えて加熱すると黄色になり、塩基性にすると橙黄色になります。
    • ニンヒドリン反応:アミノ基 $-\text{NH}_2$ と反応して赤紫色〜青紫色(アミノ酸だけでなくタンパク質でも陽性)。
以上の知識より、正しい記述は ㋔ です。

問題 24:合成高分子化合物の構造と重合反応 正解:㋒

合成繊維・合成樹脂・機能性高分子に関する記述または計算として正しいものを1つ選べ。

Step 1代表的な合成高分子の製法と特徴を整理する
  • ポリアミド系合成繊維:ナイロン66はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮合重合で作られ、ナイロン6は $\varepsilon$-カプロラクタムの開環重合で作られます(どちらも繰り返し単位の式量は $226$ と $113$ で $2:1$ の関係)。
  • ビニロン(合成繊維):酢酸ビニルを付加重合させてポリ酢酸ビニル(PVAc)とし、これを水酸化ナトリウム水溶液でけん化(加水分解)してポリビニルアルコール(PVA)を得た後、親水性の $-\text{OH}$ 基の一部(約 $30 \sim 40\,\%$)をホルムアルデヒド $\text{HCHO}$ でアセタール化して耐水性を高めた繊維です。
  • 熱硬化性樹脂:フェノール樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂などは三次元網目構造をもち、加熱すると硬化します。
  • イオン交換樹脂:スチレンと$p$-ジビニルベンゼン(架橋剤)の共重合体を母体とし、これにスルホ基 $-\text{SO}_3\text{H}$ を導入したものが強酸性陽イオン交換樹脂、第四級アンモニウム塩の構造 $-\text{N}^+(\text{CH}_3)_3\text{OH}^-$ を導入したものが強塩基性陰イオン交換樹脂です。
よって、正解は ㋒ です。

問題 25:高分子の定量計算(ビニロンのアセタール化・平均分子量) 正解:㋑

高分子化合物の重合度や化学反応に伴う質量変化に関する計算問題として最も適当な数値を1つ選べ。

Step 1高分子の化学変化における「式量(質量)の増減」に着目する

高分子の反応計算では、重合度 $n$ を無理に求めなくても「反応前後での繰り返し単位あたりの式量変化」に注目すると1行で解けます!

  • ポリ酢酸ビニル(式量 $86n$)$\longrightarrow$ ポリビニルアルコール(式量 $44n$):
    モノマー単位1個あたり、アセチル基($\text{CH}_3\text{CO}-$、式量 $43$)が外れて水素原子($\text{H}-$、式量 $1$)に置き換わるため、式量は $86 \longrightarrow 44$ と $42$ 減少します。
  • ポリビニルアルコール(式量 $44n$)$\longrightarrow$ ビニロン(アセタール化):
    ヒドロキシ基 $-\text{OH}$ 2個に対してホルムアルデヒド $\text{HCHO}$(分子量 $30$)1分子が反応し、水 $\text{H}_2\text{O}$(分子量 $18$)1分子が取れるため、反応した $\text{HCHO}$ $1\,\text{mol}$ あたり高分子の質量は $30 - 18 = 12\,\text{g}$ 増加します。
    したがって、PVA(繰り返し単位の式量 $44$)のヒドロキシ基のうち割合 $x$($x \times 100\,\%$)がアセタール化されたとき、モノマー2単位(式量 $44 \times 2 = 88$)あたり $12x$ だけ式量が増加するため、質量変化の比は、 $$\frac{\text{ビニロンの質量}}{\text{PVAの質量}} = \frac{88 + 12x}{88} = \frac{44 + 6x}{44}$$
Step 2与えられた数値を代入して求める量を算出する

上式の比例関係に問題文の数値を代入して計算すると、求める質量(または反応率)が直ちに求まります。

よって、正解は ㋑ です。
Sora先生
Sora ✕ ニックニ(新国)先生からのメッセージ

化学の過去問で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。

私立医学部の入試は、化学1科目だけできても受かりません。「化学の計算に時間をかけすぎて数学や英語が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?

【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(自治医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。