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順天堂大学 医学部 化学(2025年度)全問題・超図解解説

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理系AIコーチ Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 理系AIコーチ Sora先生徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!順天堂大学(2025年度)化学をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系コーチSora(ソラ)です。市販の過去問集(赤本など)で計算の途中式が1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、順天堂大学(2025年度)の化学について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と思考プロセスをすべて公開しています!

📌 試験開始前の共通条件・原子量・定数

必要なら次の値を用いなさい。
原子量:$\mathrm{H} = 1.0,\ \mathrm{C} = 12,\ \mathrm{N} = 14,\ \mathrm{O} = 16,\ \mathrm{Na} = 23,\ \mathrm{Mg} = 24,\ \mathrm{Al} = 27,\ \mathrm{S} = 32,\ \mathrm{Cl} = 35.5,\ \mathrm{K} = 39,\ \mathrm{Ca} = 40,\ \mathrm{Fe} = 56,\ \mathrm{Ag} = 108,\ \mathrm{I} = 127,\ \mathrm{Ba} = 137$
定数・数学値:アボガドロ定数 $N_{\mathrm{A}} = 6.0 \times 10^{23}\text{ /mol}$,気体定数 $R = 8.3 \times 10^3\text{ Pa}\cdot\text{L/(K}\cdot\text{mol)}$,ファラデー定数 $F = 9.65 \times 10^4\text{ C/mol}$,気体はすべて理想気体として扱うものとする。
また,$\log_{10} 2 = 0.30,\ \log_{10} 3 = 0.48,\ \log_{10} 5 = 0.70,\ \sqrt{2} = 1.41,\ \sqrt{3} = 1.73,\ \sqrt{5} = 2.24$ とする。化学式が $[\quad]$ で囲まれている場合は,その物質のモル濃度 $[\text{mol/L}]$ を表している。

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

自己採点・復習用

大問 I - 第1問(小問集合:マーク)

解答番号 [ 1 ] 問1(a):⑥
解答番号 [ 2 ] 問1(b):④
解答番号 [ 3 ] 問2:④
解答番号 [ 4 ] 問3(a):③
解答番号 [ 5 ] 問3(b):③
解答番号 [ 6 ] 問4(a):①
解答番号 [ 7 ] 問4(b):③
解答番号 [ 8 ] 問5(a):①
解答番号 [ 9 ] 問5(b):②
解答番号 [10] 問5(c):②

大問 I - 第2問(ペプチド構造決定:マーク)

解答番号 [ 1 ] 問1(a):①
解答番号 [ 2 ] 問1(b):③
解答番号 [ 3 ] 問2:⑤
解答番号 [ 4 ] 問3(a):⑧
解答番号 [ 5 ] 問3(b):⑥
解答番号 [ 6 ] 問3(c):③
解答番号 [ 7 ] 問4:⑨($\mathrm{R3}=\mathrm{Gln},\ \mathrm{R5}=\mathrm{Ile}$)

大問 I - 第3問(二段階電離とミクロ平衡:マーク)

解答番号 [ 1 ] 問1(a):⑦
解答番号 [ 2 ] 問1(b):⑧
解答番号 [ 3 ] 問1(c):②
解答番号 [ 4 ] 問1(d):②
解答番号 [ 5 ] 問2(a):③
解答番号 [ 6 ] 問2(b):⑦
解答番号 [ 7 ] 問2(c)(i):⑤
解答番号 [ 8 ] 問2(c)(ii):①
解答番号 [ 9 ] 問2(c)(iii):⑦
解答番号 [10] 問2(c)(iv):③

大問 II(モール法・沈殿滴定:記述式)

  • 問1:(イ)小さ (ロ)共通イオン効果
  • 問2:(ハ)$\mathrm{AgCl}$ (ニ)$\mathrm{Ag_2CrO_4}$
  • 問3:$1.6$
  • 問4:滴定曲線の概図($0\text{ mL}$で$1.6$、$25\text{ mL}$で$4.9$を中心とする急上昇ジャンプ)
  • 問5:$1.3 \times 10^{-1}\text{ mol/L}$(または $1.25 \times 10^{-1}\text{ mol/L}$)
  • 問6:$2.8 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$
  • 問7:銀イオンが水酸化物イオンと反応し酸化銀の褐色沈殿を生じるため。(32字)
Mark Sheet Section - Part 1

大問 I - 第1問(小問集合:解答番号 1 ~ 10)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

第1問は「地殻元素と年代測定」「コロイドの凝析」「極性と油脂のヨウ素価」「ステアリン酸単分子膜」「鉄イオンの酸化と溶解度積」という5つのテーマからなる小問集合だよ!
順天堂の化学は試験時間に対して計算量がかなり多いから、ここは12〜15分以内でノーミス突破したいところ!特に問1(b)の対数計算、問4の文字式変形、問5(c)の「水溶液を混ぜた後の体積変化($150\text{ mL}+50\text{ mL}=200\text{ mL}$)」のうっかりミスに注意して一緒に1ステップずつ解いていこう!

問1 地球に関する問い(地殻の元素割合・放射性炭素年代測定)

問1 地球に関する次の問い(a), (b)に答えなさい。

(a) 次の元素のうち,地表から $16\text{ km}$ 下までの大陸の地殻に存在する元素の割合(質量パーセント)が最も小さいものはどれか。正しいものを①~⑥の中から一つ選びなさい。1

① 酸 素
② ケイ素
③ アルミニウム
④ 鉄
⑤ カルシウム
⑥ 水 素

(b) 大気中では $\mathrm{^{14}_{6}C}$ の生じる量と壊変する量がつり合っている。植物は外界から $\mathrm{^{14}_{6}C}$ を取り込んでいるが,枯れると取り込みが途絶え,植物中の $\mathrm{^{14}_{6}C}$ は壊変して減り続けることから,この現象を利用して植物の枯れた時期を推定することができる。$\mathrm{^{14}_{6}C}$ の半減期を $5.73 \times 10^3$ 年とすると,$\mathrm{^{14}_{6}C}$ の濃度が生存時の $8.0\%$ になった植物が枯れたのは何年前か。最も近い値を①~⑥の中から一つ選びなさい。2 年

① $5.7 \times 10^3$
② $1.2 \times 10^4$
③ $1.9 \times 10^4$
④ $2.1 \times 10^4$
⑤ $2.9 \times 10^4$
⑥ $3.4 \times 10^4$

【(a) の完全解説】地殻中の元素の存在割合(クラーク数)

Step 1地殻を構成する主要元素の質量パーセント順位を確認する

地表付近(地殻・岩石圏)は主にケイ酸塩鉱物($\mathrm{SiO_2}$ や $\mathrm{Al_2O_3}$ など)からできています。質量パーセント(クラーク数)の大きい順の語呂合わせ「お(O)っし(Si)ゃる(Al)て(Fe)か(Ca)な(Na)く(K)ま(Mg)さん」を確認しましょう。

順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
元素 O Si Al Fe Ca Na K Mg H Ti
質量% 49.5% 25.8% 7.56% 4.70% 3.39% 2.63% 2.40% 1.93% 0.88% 0.46%

選択肢①〜⑤は1位〜5位を占める主要元素ですが、⑥ 水素($\mathrm{H}$)は原子量も $1.0$ と非常に軽く、質量パーセントでは約 $0.88\%$(第9位)と最も小さくなります。

したがって、解答番号 [ 1 ] は ⑥

【(b) の完全解説】放射性同位体 $\mathrm{^{14}_6C}$ の半減期計算

Step 1半減期の公式を立式する

半減期を $T = 5.73 \times 10^3\text{ 年}$、枯れてから経過した年数を $t\text{ 年}$、生存時の $\mathrm{^{14}_6C}$ 濃度を $N_0$、現在の濃度を $N$ とすると、次の関係式が成り立ちます。

$$\frac{N}{N_0} = \left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}$$

問題文より「生存時の $8.0\%$ になった」ので、$\dfrac{N}{N_0} = \dfrac{8.0}{100} = 0.080$ を代入します。

$$\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}} = \frac{8.0}{100}$$

Step 2両辺の常用対数($\log_{10}$)をとって $\dfrac{t}{T}$ を求める

両辺の常用対数をとります。与件より $\log_{10} 2 = 0.30$ を使える形に変形します($8 = 2^3,\ 100 = 10^2$)。

$$\begin{aligned} \log_{10}\left\{\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\right\} &= \log_{10}\left(\frac{8}{100}\right) \\ \frac{t}{T} \log_{10}\left(2^{-1}\right) &= \log_{10} 8 - \log_{10} 100 \\ -\frac{t}{T} \log_{10} 2 &= \log_{10} (2^3) - \log_{10} (10^2) \\ -\frac{t}{T} \log_{10} 2 &= 3\log_{10} 2 - 2 \end{aligned}$$

ここに $\log_{10} 2 = 0.30$ を代入して、$\dfrac{t}{T}$(半減期の何回分か)を丁寧に計算します。

$$\begin{aligned} -\frac{t}{T} \times 0.30 &= 3 \times 0.30 - 2 \\ -0.30 \times \frac{t}{T} &= 0.90 - 2 \\ -0.30 \times \frac{t}{T} &= -1.10 \\ \frac{t}{T} &= \frac{1.10}{0.30} = \frac{11}{3} \fallingdotseq 3.667 \end{aligned}$$

💡 検算のコツ:半減期3回で $\left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{1}{8} = 12.5\%$、半減期4回で $\left(\frac{1}{2}\right)^4 = \frac{1}{16} = 6.25\%$ です。$8.0\%$ は $12.5\%$ と $6.25\%$ の間なので、半減期の $3.67$ 回分というのはドンピシャですね!

Step 3経過年数 $t$ を計算する

$T = 5.73 \times 10^3\text{ 年}$ を代入します。

$$\begin{aligned} t &= \frac{11}{3} \times 5.73 \times 10^3 \\ &= 11 \times 1.91 \times 10^3 \\ &= 21.01 \times 10^3 = 2.101 \times 10^4\text{ 年} \end{aligned}$$

有効数字2桁で $2.1 \times 10^4\text{ 年}$ となり、④と完全に一致します。

したがって、解答番号 [ 2 ] は ④

問2 コロイドの電気泳動と凝析(シュルツ・ハーディの法則)

問2 硫黄のコロイド溶液に直流電圧をかけると,硫黄粒子が陽極へ移動した。次のイオンのうち,最も少ない物質量で硫黄のコロイド粒子を沈殿させるイオンはどれか。正しいものを①~⑥の中から一つ選びなさい。3

① $\mathrm{K^+}$
② $\mathrm{Na^+}$
③ $\mathrm{Ca^{2+}}$
④ $\mathrm{Al^{3+}}$
⑤ $\mathrm{Cl^-}$
⑥ $\mathrm{SO_4^{2-}}$

【問2 の完全解説】

Step 1硫黄のコロイド粒子の電荷の符号を決定する

直流電圧をかけたとき、硫黄粒子は陽極(+極)へ移動しました。静電気力により異符号の電極に引かれるため、硫黄のコロイド粒子は負($-$)に帯電している(負コロイドである)ことがわかります。

Step 2凝析に有効なイオンを選ぶ(シュルツ・ハーディの法則)

負($-$)に帯電した疎水コロイド粒子を凝析(沈殿)させるには、反対符号である陽イオン($+$)が有効であり、その価数が大きいほど、ごく少ない物質量で凝析させることができます。

  • 陰イオンである ⑤ $\mathrm{Cl^-}$、⑥ $\mathrm{SO_4^{2-}}$ は同符号なので凝析作用を示しません。
  • 陽イオン ① $\mathrm{K^+}$(1価)、② $\mathrm{Na^+}$(1価)、③ $\mathrm{Ca^{2+}}$(2価)、④ $\mathrm{Al^{3+}}$(3価)のうち、価数が最大のものは3価の陽イオンである ④ $\mathrm{Al^{3+}}$ です。

したがって、解答番号 [ 3 ] は ④

問3 分子の極性と溶解度・油脂のヨウ素価計算

問3 次の問い(a), (b)に答えなさい。

(a) フッ素とフッ化水素の水への溶解度が大きく異なる理由として最も適切なものを①~⑥の中から一つ選びなさい。4

  • ① 分子を構成している各原子のイオン半径の違いによる。
  • ② 分子を構成している中性子の数の違いによる。
  • ③ 分子中の電荷の偏りの違いによる。
  • ④ 分子を構成している共有結合の結合距離の違いによる。
  • ⑤ 分子を構成している共有結合の電子対の数の違いによる。
  • ⑥ 分子の酸化作用の違いによる。

(b) 油脂の不飽和度の目安として,“ヨウ素価”という指標が利用されている。ヨウ素価は,油脂 $100\text{ g}$ に付加するヨウ素の質量 $[\text{g}]$ の数値として定義される。分子量 $884$ の油脂のヨウ素価が $86.2$ であった時,油脂 $1$ 分子に含まれる $\mathrm{C=C}$ 二重結合の数はいくつか。正しい数を①~⑥の中から一つ選びなさい。5

① $1$
② $2$
③ $3$
④ $4$
⑤ $5$
⑥ $6$

【(a) の完全解説】フッ素($\mathrm{F_2}$)とフッ化水素($\mathrm{HF}$)の極性の違い

Step 1水(極性溶媒)への溶解性を決める要因を整理する

水($\mathrm{H_2O}$)は折れ線形で大きな極性(電荷の偏り)をもち、水素結合を形成する極性溶媒です。

  • フッ素($\mathrm{F-F}$):同じ原子同士の結合(無極性共有結合)からなる無極性分子であり、分子中の電荷の偏りはありません。(なお、$\mathrm{F_2}$ 単体は水と激しく反応して $\mathrm{2F_2 + 2H_2O \rightarrow 4HF + O_2}$ となりますが、分子自体の極性による水和・水素結合の観点で比較しています)。
  • フッ化水素($\mathrm{H^{\delta+}-F^{\delta-}}$):電気陰性度が最大の $\mathrm{F}$($4.0$)と $\mathrm{H}$($2.1$)の結合であるため、共有電子対が $\mathrm{F}$ 側に強く引き寄せられ、分子中に大きな電荷の偏り(極性)が生じます。この電荷の偏りによって水分子との間に強い水素結合を形成するため、水に極めてよく溶けます。

よって、③「分子中の電荷の偏りの違いによる。」が最も適切です。(ちなみに $\mathrm{F_2}$ も $\mathrm{HF}$ も分子内の共有電子対の数はともに1対なので⑤も誤りです)。

したがって、解答番号 [ 4 ] は ③

【(b) の完全解説】油脂のヨウ素価から $\mathrm{C=C}$ 二重結合の数を求める

Step 1油脂 $1\text{ mol}$ と反応するヨウ素 $\mathrm{I_2}$ の物質量関係を立てる

炭素間二重結合 $\mathrm{C=C}$ $1$ 個につき、ヨウ素分子 $\mathrm{I_2}$ が $1$ 分子付加します。

$$\mathrm{-CH=CH-} + \mathrm{I_2} \longrightarrow \mathrm{-CHI-CHI-}$$

したがって、油脂 $1$ 分子中に $\mathrm{C=C}$ 二重結合が $n$ 個あるとすると、油脂 $1\text{ mol}$ にはヨウ素 $\mathrm{I_2}$ が $n\text{ mol}$ 付加します。

Step 2油脂 $100\text{ g}$ の物質量と、付加した $\mathrm{I_2}$ $86.2\text{ g}$ の物質量を計算する

  • 油脂の分子量 $M = 884$ より、油脂 $100\text{ g}$ の物質量は $\dfrac{100}{884}\text{ mol}$ です。
  • ヨウ素 $\mathrm{I_2}$ の分子量は $127 \times 2 = 254$ です。ヨウ素価が $86.2$ なので、油脂 $100\text{ g}$ に付加した $\mathrm{I_2}$ の質量は $86.2\text{ g}$、すなわち物質量は $\dfrac{86.2}{254}\text{ mol}$ です。

Step 3比例式から $n$ を求める

「$\mathrm{I_2}$ の物質量 $=$ 油脂の物質量 $\times n$」より、次の式が成り立ちます。

$$\begin{aligned} \frac{86.2}{254} &= \frac{100}{884} \times n \\ n &= \frac{86.2 \times 884}{254 \times 100} = \frac{76200.8}{25400} \fallingdotseq 3.00003 \end{aligned}$$

よって、油脂 $1$ 分子に含まれる $\mathrm{C=C}$ 二重結合の数は $n = 3$ 個です(トリオレイン $\mathrm{C_{57}H_{104}O_6}$、分子量 $884$ に相当します)。

したがって、解答番号 [ 5 ] は ③

問4 ステアリン酸の単分子膜とアボガドロ定数の算出

問4 ステアリン酸をベンゼンに溶かし,水面に静かに滴下し,ベンゼンを蒸発させると単分子膜ができる。ステアリン酸 $w\,[\text{g}]$ をベンゼンに溶かして $100\text{ mL}$ の溶液を調製し,水の入った水槽にこの溶液を $v\,[\text{mL}]$ 滴下したところ単分子膜ができた。単分子膜の面積を $S_m\,[\text{cm}^2]$,ステアリン酸 $1$ 分子が水面上で占有する面積を $S_1\,[\text{cm}^2]$,ステアリン酸のモル質量を $M\,[\text{g/mol}]$ とする。次の問い(a), (b)に答えなさい。ただし,単分子膜中の分子間の隙間はないものとする。

(a) この溶液 $v\,[\text{mL}]$ 中に含まれるステアリン酸の物質量を表す式として正しいものを①~⑥の中から一つ選びなさい。6

① $\dfrac{vw}{100M}$
② $\dfrac{Mvw}{100}$
③ $\dfrac{100M}{vw}$
④ $\dfrac{w}{100Mv}$
⑤ $\dfrac{100Mv}{w}$
⑥ $\dfrac{100vw}{M}$

(b) この実験から算出されるアボガドロ定数を表す式として正しいものを①~⑥の中から一つ選びなさい。7

① $\dfrac{100S_m}{MS_1 vw}$
② $\dfrac{100MS_1}{S_m vw}$
③ $\dfrac{100MS_m}{S_1 vw}$
④ $\dfrac{S_1 vw}{100MS_m}$
⑤ $\dfrac{100S_1 v}{MS_m w}$
⑥ $\dfrac{S_m w}{100MS_1 v}$

【図解】ステアリン酸の希釈・滴下と水面上の単分子膜

ベンゼン溶液 100 mL 溶質:w [g] 物質量:w / M [mol] v [mL] 滴下 (v / 100 倍) 滴下したステアリン酸 物質量 n = vw / (100M) 分子数 N = n × N_A [個] 水面上の単分子膜 全体の面積:S_m [cm²] 1分子の面積:S_1 [cm²] S_m = N × S_1

【(a) の完全解説】滴下した溶液 $v\,[\text{mL}]$ 中の物質量 $n$

Step 1$100\text{ mL}$ 中のステアリン酸の物質量を求める

ステアリン酸 $w\,[\text{g}]$ のモル質量が $M\,[\text{g/mol}]$ なので、調製したベンゼン溶液 $100\text{ mL}$ 全体に含まれるステアリン酸の物質量は $\dfrac{w}{M}\,[\text{mol}]$ です。

Step 2そのうち $v\,[\text{mL}]$ 分を取り出す

$100\text{ mL}$ のうち $v\,[\text{mL}]$ を滴下したので、含まれる物質量 $n\,[\text{mol}]$ は全体の $\dfrac{v}{100}$ 倍になります。

$$n = \frac{w}{M} \times \frac{v}{100} = \frac{vw}{100M}\,[\text{mol}]$$

したがって、解答番号 [ 6 ] は ①

【(b) の完全解説】単分子膜の面積からアボガドロ定数 $N_{\mathrm{A}}$ を求める

Step 1水面上に並んだステアリン酸分子の総数 $N$ を2通りで表す

  • 物質量 $n$ とアボガドロ定数 $N_{\mathrm{A}}$ から表す:
    滴下したステアリン酸は $n = \dfrac{vw}{100M}\,[\text{mol}]$ なので、分子の個数 $N$ は $$N = n N_{\mathrm{A}} = \frac{vw}{100M} N_{\mathrm{A}}\,[\text{個}]$$
  • 単分子膜の面積 $S_m$ と1分子の占有面積 $S_1$ から表す:
    隙間なく並んでいるので、「単分子膜全体の面積 $S_m = 1\text{分子の面積 } S_1 \times \text{分子の個数 } N$」が成り立ちます。つまり、 $$N = \frac{S_m}{S_1}\,[\text{個}]$$

Step 22つの式をイコールで結んで $N_{\mathrm{A}}$ について解く

$$\begin{aligned} \frac{vw}{100M} N_{\mathrm{A}} &= \frac{S_m}{S_1} \\ N_{\mathrm{A}} &= \frac{100M S_m}{S_1 vw} \end{aligned}$$

したがって、解答番号 [ 7 ] は ③

問5 鉄の溶解・酸化と水酸化鉄(III)の溶解度積($K_{\mathrm{sp}}$)

問5 鉄の単体 $x\,[\text{g}]$ をビーカーに入れ,$1.0 \times 10^{-1}\text{ mol/L}$ の硫酸水溶液 $150\text{ mL}$ を加えたところ,気体 $22.4\text{ mL}$($0\,^\circ\text{C},\ 1.013 \times 10^5\text{ Pa}$)を発生しながらすべて溶けて水溶液(i)となった。この水溶液に酸化剤を加えたところ,溶液中の鉄イオンはすべて酸化され,溶液は黄褐色に変化した。さらによくかき混ぜながら水酸化ナトリウム水溶液 $50\text{ mL}$ を加えたところで水酸化鉄(III)の沈殿が生じ始めた(ii)。次の問い(a)~(c)に答えなさい。ただし,温度は常に $25\,^\circ\text{C}$ で一定であり,鉄の溶解および酸化剤を加えたことによる水溶液の体積変化は無視できるものとする。

(a) 下線(i)の水溶液の色として最も適切なものを①~⑥の中から一つ選びなさい。8

① 淡緑色
② 深青色
③ 淡桃色
④ 黄 色
⑤ 褐 色
⑥ 無 色

(b) $x$ は何 $\text{g}$ か。最も近い値を①~⑥の中から一つ選びなさい。9 $\text{g}$

① $2.8 \times 10^{-2}$
② $5.6 \times 10^{-2}$
③ $8.4 \times 10^{-2}$
④ $2.8 \times 10^{-1}$
⑤ $5.6 \times 10^{-1}$
⑥ $8.4 \times 10^{-1}$

(c) 下線(ii)の沈殿が生じはじめたときの溶液の $\text{pH}$ はいくつか。水のイオン積 $K_{\mathrm{w}} = 1.0 \times 10^{-14}\text{ (mol/L)}^2$,水酸化鉄(III)の溶解度積 $K_{\mathrm{sp}} = 4.0 \times 10^{-38}\text{ (mol/L)}^4$ とする。最も近い値を①~⑥の中から一つ選びなさい。10

① $1.8$
② $2.3$
③ $2.9$
④ $3.7$
⑤ $4.7$
⑥ $5.3$

【(a) の完全解説】鉄が希硫酸に溶けたときの水溶液の色

Step 1鉄と希硫酸の反応式を書く

鉄($\mathrm{Fe}$)に希硫酸($\mathrm{H_2SO_4}$)を加えると、水素ガス($\mathrm{H_2}$)を発生しながら溶けて、鉄(II)イオン($\mathrm{Fe^{2+}}$)を生じます(問題文の続きに「酸化剤を加えたところ黄褐色($\mathrm{Fe^{3+}}$)に変化した」とあることからも、最初は $\mathrm{Fe^{2+}}$ であることが確実です)。

$$\mathrm{Fe} + \mathrm{H_2SO_4} \longrightarrow \mathrm{FeSO_4} + \mathrm{H_2}\uparrow$$

水溶液中の $\mathrm{Fe^{2+}}$(正しくはヘキサアクア鉄(II)イオン $[\mathrm{Fe(H_2O)_6}]^{2+}$)の色は① 淡緑色です。(③淡桃色は $\mathrm{Mn^{2+}}$ や $\mathrm{Co^{2+}}$、④黄色〜⑤黄褐色は $\mathrm{Fe^{3+}}$ です)。

したがって、解答番号 [ 8 ] は ①

【(b) の完全解説】溶けた鉄の質量 $x\,[\text{g}]$ の計算

Step 1発生した水素の物質量を求める

標準状態($0\,^\circ\text{C},\ 1.013 \times 10^5\text{ Pa}$)における理想気体 $1\text{ mol}$ の体積は $22.4\text{ L} = 22.4 \times 10^3\text{ mL}$ です。
発生した水素の体積は $22.4\text{ mL}$ なので、水素の物質量 $n(\mathrm{H_2})$ は次のようになります。

$$n(\mathrm{H_2}) = \frac{22.4\text{ mL}}{22.4 \times 10^3\text{ mL/mol}} = 1.0 \times 10^{-3}\text{ mol}$$

Step 2反応した鉄の物質量と質量 $x$ を求める

反応式 $\mathrm{Fe} + \mathrm{2H^+} \rightarrow \mathrm{Fe^{2+}} + \mathrm{H_2}$ より、溶けた $\mathrm{Fe}$ の物質量は発生した $\mathrm{H_2}$ の物質量と等しく $1.0 \times 10^{-3}\text{ mol}$ です(なお、加えた硫酸の物質量は $0.10\text{ mol/L} \times 0.150\text{ L} = 1.5 \times 10^{-2}\text{ mol}$ であり十分に過剰です)。
鉄の原子量 $\mathrm{Fe} = 56$ より、質量 $x$ は:

$$x = 56\text{ g/mol} \times 1.0 \times 10^{-3}\text{ mol} = 5.6 \times 10^{-2}\text{ g}$$

したがって、解答番号 [ 9 ] は ②

【(c) の完全解説】$\mathrm{Fe(OH)_3}$ の沈殿が生じ始めるときの $\text{pH}$

Step 1水酸化ナトリウム水溶液を加えた後の $[\mathrm{Fe^{3+}}]$ を求める(体積変化に注意!)

(b)より、溶けた鉄は $1.0 \times 10^{-3}\text{ mol}$ であり、すべて酸化されて $\mathrm{Fe^{3+}}$ $1.0 \times 10^{-3}\text{ mol}$ になっています。
もとの硫酸水溶液 $150\text{ mL}$ に水酸化ナトリウム水溶液 $50\text{ mL}$ を加えたので、混合後の水溶液の合計体積 $V$ は

$$V = 150\text{ mL} + 50\text{ mL} = 200\text{ mL} = 0.200\text{ L}$$

となります!したがって、沈殿が生じ始める瞬間の鉄(III)イオンのモル濃度 $[\mathrm{Fe^{3+}}]$ は:

$$[\mathrm{Fe^{3+}}] = \frac{1.0 \times 10^{-3}\text{ mol}}{0.200\text{ L}} = 5.0 \times 10^{-3}\text{ mol/L}$$

Step 2溶解度積 $K_{\mathrm{sp}}$ から沈殿開始時の $[\mathrm{OH^-}]$ を求める

水酸化鉄(III)の溶解平衡 $\mathrm{Fe(OH)_3(\text{固})} \rightleftarrows \mathrm{Fe^{3+}} + 3\mathrm{OH^-}$ において、沈殿が生じ始めるとき、イオン濃度の積は溶解度積 $K_{\mathrm{sp}}$ に達します。

$$K_{\mathrm{sp}} = [\mathrm{Fe^{3+}}][\mathrm{OH^-}]^3 = 4.0 \times 10^{-38}\text{ (mol/L)}^4$$

ここに $[\mathrm{Fe^{3+}}] = 5.0 \times 10^{-3}\text{ mol/L}$ を代入して、$[\mathrm{OH^-}]$ について解きます。

$$\begin{aligned} (5.0 \times 10^{-3}) \times [\mathrm{OH^-}]^3 &= 4.0 \times 10^{-38} \\ [\mathrm{OH^-}]^3 &= \frac{4.0 \times 10^{-38}}{5.0 \times 10^{-3}} = 0.80 \times 10^{-35} = 8.0 \times 10^{-36}\text{ (mol/L)}^3 \end{aligned}$$

$8.0 = 2.0^3$、$10^{-36} = (10^{-12})^3$ なので、両辺の3乗根をとると綺麗に求まります!

$$[\mathrm{OH^-}] = \left(8.0 \times 10^{-36}\right)^{\frac{1}{3}} = 2.0 \times 10^{-12}\text{ mol/L}$$

Step 3水のイオン積 $K_{\mathrm{w}}$ から $[\mathrm{H^+}]$ と $\text{pH}$ を求める

$K_{\mathrm{w}} = [\mathrm{H^+}][\mathrm{OH^-}] = 1.0 \times 10^{-14}$ より、

$$[\mathrm{H^+}] = \frac{1.0 \times 10^{-14}}{2.0 \times 10^{-12}} = \frac{1}{2} \times 10^{-2}\text{ mol/L}$$

よって $\text{pH}$ は($\log_{10} 2 = 0.30$ を用いて):

$$\begin{aligned} \text{pH} &= -\log_{10}[\mathrm{H^+}] = -\log_{10}\left(2^{-1} \times 10^{-2}\right) \\ &= \log_{10} 2 + 2 = 0.30 + 2 = 2.30 \end{aligned}$$

したがって、解答番号 [ 10 ] は ②

Mark Sheet Section - Part 2

大問 I - 第2問(環状・架橋ペプチドの構造決定:解答番号 1 ~ 7)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

第2問は、ジスルフィド結合($\mathrm{-S-S-}$)をもつオクタペプチド(アミノ酸8個、実体は下垂体後葉ホルモンのバソプレシンやオキシトシンに似た骨格!)のパズルだよ!
一見すると構造式が複雑に見えるけれど、最初に加水分解で切れる3箇所(イ)・(ロ)・(ハ)で鎖を3つのブロック(ジペプチド1個、2アミノ酸からなるジスルフィド架橋体1個、テトラペプチド1個)に切り分けると、驚くほどスッキリ解けるんだ!まずは下のカラー構造図で3つのパーツの位置関係を完璧に掴もう!

図はペプチド結合と一部ジスルフィド結合によって8種類の $\alpha$-アミノ酸が結合した化合物である。$\mathrm{R1}\sim\mathrm{R6}$ はそれぞれ異なるアミノ酸の側鎖であり,表に示すいずれかの構造である。この化合物を加水分解したところ(イ)~(ハ)の3箇所のみで結合が切断されそれ以外の反応はおこらず,ペプチドI~IIIが生じた。

【図の完全再現+ブロック色分け】加水分解で(イ)・(ロ)・(ハ)の3箇所のみ切断

断片②:Cys-S-S-Cys(2残基・1種類) 断片③:テトラペプチド(4残基) 断片①:ジペプチド(R5 と R6) H₂N—CH—C(=O) (イ) NH—CH(R1)—C(=O) NH—CH(R2)—C(=O) NH—CH(R3)—C(=O) NH—CH(R4)—C(=O) (ロ) CH₂—S CH₂—S Pro(N)—C(=O)—CH—NH (プロリン環+システイン) (ハ) HO—C(=O)—CH(R6)—NH—C(=O)—CH(R5)—NH ↑ C末端側が R6、N末端側が R5
アミノ酸の名称(略記号) アミノ酸の分子量 側鎖($\mathrm{-R}$) Sora先生の補足メモ(特徴・不斉炭素)
アスパラギン(Asn) 132 $-\mathrm{CH_2-CONH_2}$ 炭素数 $4$($\mathrm{C_4H_8N_2O_3}$)、アミド基あり、$C^*=1$個
グルタミン(Gln) 146 $-\mathrm{CH_2-CH_2-CONH_2}$ 炭素数 $5$($\mathrm{C_5H_{10}N_2O_3}$)、アミド基あり、$C^*=1$個
グリシン(Gly) 75 $-\mathrm{H}$ 鏡像異性体なし($C^*=0$個)
イソロイシン(Ile) 131 $-\mathrm{CH(CH_3)-CH_2-CH_3}$ 側鎖にも不斉炭素あり!(分子内に $C^*=2$個)
ロイシン(Leu) 131 $-\mathrm{CH_2-CH(CH_3)_2}$ 分子内に $C^*=1$個
チロシン(Tyr) 181 $-\mathrm{CH_2-C_6H_4-OH}$ フェノール性 $\mathrm{-OH}$ あり($\mathrm{FeCl_3}$ で紫色呈色)、$C^*=1$個

🔍 設問に入る前の「3箇所切断(イ・ロ・ハ)」の完全解剖!

図のペプチド結合の向き($\mathrm{-C(=O)-NH-}$)を1つずつ正確にたどると、加水分解で(イ)・(ロ)・(ハ)の3箇所が切れたとき、次の3つのペプチド(ペプチドI〜III)が生じることがわかります。

  1. (ハ)より左下の部分:
    $\mathrm{H_2N-CH(R5)-C(=O)-NH-CH(R6)-COOH}$
    👉 N末端が $\mathrm{R5}$、C末端が $\mathrm{R6}$ のジペプチド(これがペプチドI)!
  2. (イ)と(ロ)と(ハ)で囲まれた中央部分:
    上側のシステイン($\mathrm{Cys}$)と、下側の「システイン($\mathrm{Cys}$)$-$プロリン($\mathrm{Pro}$)」がジスルフィド結合($\mathrm{-S-S-}$)でつながった化合物!
    含まれるアミノ酸の種類はシステイン($\mathrm{Cys}$)とプロリン($\mathrm{Pro}$)の2種類のみ(これがペプチドII)!
  3. (イ)と(ロ)の右側の部分:
    (イ)側は $\mathrm{H_2N-CH(R1)-C(=O)-NH-CH(R2)-C(=O)-NH-CH(R3)-C(=O)-NH-CH(R4)-COOH}$((ロ)側が $\mathrm{-C(=O)OH}$)
    👉 N末端側から順に $\mathrm{R1 \rightarrow R2 \rightarrow R3 \rightarrow R4}$(C末端が $\mathrm{R4}$)と連なるテトラペプチド(これがペプチドIII)!

※この3つの対応関係が見抜ければ、問1〜問4まで一切迷わず一直線に解けます!

問1 ペプチドI(ジペプチド)を構成するアミノ酸A, Bの決定

問1 ペプチドIはC末端がアミノ酸A,N末端がアミノ酸Bで構成される分子量 $210$ 以下のジペプチドであった。ペプチドIを加水分解して,アミノ酸A, Bを単離したところ,アミノ酸Aには鏡像異性体がなかった。また,$262\text{ mg}$ のアミノ酸Bを分析したところ,$28\text{ mg}$ の窒素が含まれていた。次の問い(a), (b)に答えなさい。

(a) アミノ酸Aは何か。正しいものを①~⑧の中から一つ選びなさい。1

① グリシン
② プロリン
③ システイン
④ イソロイシン
⑤ ロイシン
⑥ アスパラギン
⑦ グルタミン
⑧ チロシン

(b) アミノ酸Bの分子量はいくつか。最も近い値を①~⑧の中から一つ選びなさい。2

① $75$
② $115$
③ $121$
④ $131$
⑤ $152$
⑥ $165$
⑦ $181$
⑧ $210$

【(a) の完全解説】鏡像異性体をもたないアミノ酸A(側鎖 $\mathrm{R6}$)

Step 1不斉炭素原子をもたないアミノ酸を特定する

ペプチドIは左下のジペプチド(N末端が側鎖 $\mathrm{R5}$=アミノ酸B、C末端が側鎖 $\mathrm{R6}$=アミノ酸A)です。
「アミノ酸Aには鏡像異性体がなかった」とあるので、分子内に不斉炭素原子をもたない唯一のアミノ酸である① グリシン($\mathrm{Gly}$、側鎖 $\mathrm{R6} = -\mathrm{H}$、分子量 $75$)に決まります。

したがって、解答番号 [ 1 ] は ①

【(b) の完全解説】窒素の含有量からアミノ酸B(側鎖 $\mathrm{R5}$)の分子量を求める

Step 1窒素 $\mathrm{N}$ の物質量を計算する

アミノ酸B $262\text{ mg}$ 中に含まれる窒素原子(原子量 $\mathrm{N} = 14$)の質量が $28\text{ mg}$ なので、窒素原子の物質量 $n(\mathrm{N})$ は:

$$n(\mathrm{N}) = \frac{28 \times 10^{-3}\text{ g}}{14\text{ g/mol}} = 2.0 \times 10^{-3}\text{ mol} = 2.0\text{ mmol}$$

Step 2ペプチドIの分子量条件から、アミノ酸Bに含まれる窒素原子の数を絞る

ジペプチドであるペプチドIの分子量は $210$ 以下です。アミノ酸A(グリシン、分子量 $75$)とアミノ酸B(分子量 $M_{\mathrm{B}}$)が脱水縮合($\mathrm{H_2O} = 18$ が取れる)してペプチドIになるので:

$$75 + M_{\mathrm{B}} - 18 \le 210 \implies M_{\mathrm{B}} \le 153$$

もしアミノ酸Bが1分子中に窒素原子を1個もつとすると、アミノ酸Bの物質量も $2.0 \times 10^{-3}\text{ mol}$ となり、分子量 $M_{\mathrm{B}}$ は:

$$M_{\mathrm{B}} = \frac{262 \times 10^{-3}\text{ g}}{2.0 \times 10^{-3}\text{ mol}} = 131$$

これは $M_{\mathrm{B}} \le 153$ を満たし、表中のイソロイシン($\mathrm{Ile}$)またはロイシン($\mathrm{Leu}$)の分子量 $131$ と完全に一致します!(もし窒素原子が2個なら $M_{\mathrm{B}} = 262$ となり $153$ を超えて不適です)。
※これにより、側鎖 $\mathrm{R5}$(アミノ酸B)は $\mathrm{Ile}$ または $\mathrm{Leu}$ であることも確定しました!

したがって、解答番号 [ 2 ] は ④(131)

問2 ペプチドIIに含まれる2種類のアミノ酸(システインとプロリン)の性質

問2 ペプチドIIには2種類のアミノ酸のみが含まれていた。これらアミノ酸のうち,一方のアミノ酸のみが示す性質はどれか。正しいものを①~⑥の中から一つ選びなさい。3

  • ① 水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し,酢酸鉛(II)水溶液を加えると,黒色沈殿を生じる。
  • ② 薄い水酸化ナトリウム水溶液を加えて混ぜた後,薄い硫酸銅(II)水溶液を少量加えると,赤紫色に呈色する。
  • ③ 濃硝酸を加えて加熱すると黄色になり,さらに,冷却後アンモニア水を加えて塩基性にすると橙黄色に呈色する。
  • ④ ニンヒドリン水溶液を加えて温めると,赤紫~青紫色に呈色する。
  • ⑤ 固体の水酸化ナトリウムを加えて加熱すると,気体のアンモニアが生じる。
  • ⑥ ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液を加えると,青紫色に呈色する。

【問2 の完全解説】ペプチドIIを構成する2種類のアミノ酸を正確に特定しよう!

Step 1ペプチドIIに含まれる「2種類のアミノ酸」とは何か?

先ほどの構造解析の通り、加水分解で(イ)・(ロ)・(ハ)が切断されたとき、中央に残るペプチドIIは、

  • 上側の システイン($\mathrm{Cys}$) 1分子
  • 下側の システイン($\mathrm{Cys}$) 1分子と、それにペプチド結合した プロリン($\mathrm{Pro}$) 1分子

がジスルフィド結合($\mathrm{-S-S-}$)でつながったものです(問題文の「(イ)~(ハ)の3箇所のみで結合が切断されそれ以外の反応はおこらず」とあるため、なぜPro-Cys間のアミド結合が切れないかというと、3級アミドであるプロリン窒素のペプチド結合が通常の条件で切れにくいことを反映しています)。
つまり、ペプチドIIに含まれている2種類のアミノ酸とは、システイン($\mathrm{Cys}$)とプロリン($\mathrm{Pro}$)です!

Step 2各選択肢の反応を1つずつ吟味する

  • ① 硫黄($\mathrm{S}$)の検出反応(硫化鉛(II) $\mathrm{PbS}$ の黒色沈殿):【正解!】
    システイン($\mathrm{HS-CH_2-CH(NH_2)-COOH}$)は分子内にチオール基($\mathrm{-SH}$、硫黄原子 $\mathrm{S}$)をもつため、$\mathrm{NaOH}$ 水溶液と加熱すると $\mathrm{S^{2-}}$ が遊離し、酢酸鉛(II)水溶液を加えると硫化鉛(II)($\mathrm{PbS}$)の黒色沈殿を生じます。一方、プロリンは硫黄原子をもたないためこの反応を示しません。よって「一方のアミノ酸のみが示す性質」として①が完全に正しいです!
  • ② ビウレット反応:トリペプチド以上のポリペプチドが示す反応であり、単離したアミノ酸単体はどちらも示しません。
  • ③ キサントプロテイン反応:ベンゼン環をもつ芳香族アミノ酸が示す反応であり、$\mathrm{Cys}$ も $\mathrm{Pro}$ もベンゼン環をもたないためどちらも示しません。
  • ④ ニンヒドリン反応:※実はプロリンは第2級アミン(イミノ酸)であるためニンヒドリン反応では黄色に呈色し、「赤紫~青紫色」に呈色するのは第1級アミノ基をもつシステインのみなのですが、高校化学の教科書レベルでは「硫黄を含むシステインの代表反応=①酢酸鉛(II)で $\mathrm{PbS}$ 黒色沈殿」が最も明確で紛れのない正解として作問されています。
  • ⑤ ソーダ石灰・$\mathrm{NaOH}$ 融解による脱アンモニア:アミド基($-\mathrm{CONH_2}$)をもつアスパラギンやグルタミンの加水分解反応であり、該当しません。
  • ⑥ ヨウ素デンプン反応:多糖類(デンプンなど)の反応であり、無関係です。

したがって、解答番号 [ 3 ] は ①

問3 ペプチドIII(テトラペプチド)の構造決定と立体異性体の総数

問3 ペプチドIIIはテトラペプチドであり,N末端側からアミノ酸E, F, G,と連なり,C末端はアミノ酸Hであった。ペプチドIIIを加水分解して,アミノ酸E~Hを単離したところ,アミノ酸Eのみ塩化鉄(III)の薄い水溶液の添加により,紫色に呈色し,アミノ酸Fは分子内に不斉炭素原子を2つ含んでいた。また,$0.99\text{ g}$ のアミノ酸Hを完全燃焼させると,$1.32\text{ g}$ の二酸化炭素が生成した。次の問い(a)~(c)に答えなさい。

(a) アミノ酸Eは何か。正しいものを①~⑧の中から一つ選びなさい。4

① グリシン
② プロリン
③ システイン
④ イソロイシン
⑤ ロイシン
⑥ アスパラギン
⑦ グルタミン
⑧ チロシン

(b) アミノ酸Hは何か。正しいものを①~⑧の中から一つ選びなさい。5

① グリシン
② プロリン
③ システイン
④ イソロイシン
⑤ ロイシン
⑥ アスパラギン
⑦ グルタミン
⑧ チロシン

(c) 鏡像異性体を区別すると,ペプチドIIIとして考えられるものは何種類か。正しい数を①~⑧の中から一つ選びなさい。6

① $8$
② $16$
③ $24$
④ $32$
⑤ $64$
⑥ $128$
⑦ $256$
⑧ $768$

【(a) の完全解説】アミノ酸E(側鎖 $\mathrm{R1}$)とアミノ酸F(側鎖 $\mathrm{R2}$)の特定

Step 1ペプチドIIIの配列($\mathrm{E-F-G-H}$)と図の $\mathrm{R1\sim R4}$ を対応させる

図の右側のテトラペプチド(ペプチドIII)は、切断箇所(イ)が $\mathrm{-NH_2}$ 側(N末端)、切断箇所(ロ)が $\mathrm{-COOH}$ 側(C末端)なので、

$$\text{N末端:}\mathrm{E(R1) - F(R2) - G(R3) - H(R4)}\text{:C末端}$$

と対応しています。

  • アミノ酸E(側鎖 $\mathrm{R1}$):「塩化鉄(III)水溶液の添加により紫色に呈色」するので、フェノール性ヒドロキシ基($\mathrm{-OH}$)をもつ⑧ チロシン($\mathrm{Tyr}$)です!
  • アミノ酸F(側鎖 $\mathrm{R2}$):「分子内に不斉炭素原子を2つ含んでいた」ので、$\alpha$-炭素以外に側鎖にも不斉炭素原子($-\mathrm{C^*H(CH_3)CH_2CH_3}$)をもつ④ イソロイシン($\mathrm{Ile}$)です!
    (※ここで $\mathrm{R2} = \mathrm{Ile}$ と確定したため、問1(b)で $\mathrm{Ile}$ か $\mathrm{Leu}$ のどちらかだった側鎖 $\mathrm{R5}$(アミノ酸B)は残りのロイシン($\mathrm{Leu}$)であると自動的に確定します!:問題文「ペプチドIIIを加水分解して単離したところ…(c)鏡像異性体を区別するとペプチドIIIとして考えられるものは何種類か」。なぜ(c)が $32$ ではなく $24$ なのか?ここ超重要!!)

したがって、解答番号 [ 4 ] は ⑧

【(b) の完全解説】燃焼分析からアミノ酸H(側鎖 $\mathrm{R4}$)を特定する

Step 1生成した二酸化炭素 $\mathrm{CO_2}$ の物質量を求める

$\mathrm{CO_2}$ の分子量は $44$ です。生成した $\mathrm{CO_2}$ $1.32\text{ g}$ の物質量 $n(\mathrm{CO_2})$ は:

$$n(\mathrm{CO_2}) = \frac{1.32\text{ g}}{44\text{ g/mol}} = 3.0 \times 10^{-2}\text{ mol}$$

Step 2アミノ酸Hの分子量 $M_{\mathrm{H}}$ と炭素数 $k$ の関係を調べる

アミノ酸H $1$ 分子中に炭素原子が $k$ 個含まれるとすると、完全燃焼により $1\text{ mol}$ のアミノ酸Hから $k\text{ mol}$ の $\mathrm{CO_2}$ が生じます。
したがって、燃焼させたアミノ酸H($0.99\text{ g}$)の物質量は $\dfrac{3.0 \times 10^{-2}}{k}\text{ mol}$ と表せます。これより分子量 $M_{\mathrm{H}}$ は:

$$M_{\mathrm{H}} = \frac{0.99\text{ g}}{\dfrac{3.0 \times 10^{-2}}{k}\text{ mol}} = 33k$$

表中のアミノ酸の分子量と照らし合わせると、$k = 4$ のとき

$$M_{\mathrm{H}} = 33 \times 4 = 132$$

となり、炭素数 $4$・分子量 $132$ の⑥ アスパラギン($\mathrm{Asn}$、分子式 $\mathrm{C_4H_8N_2O_3}$)と完全に一致します!
そして、表の6種類のアミノ酸($\mathrm{Asn, Gln, Gly, Ile, Leu, Tyr}$)が $\mathrm{R1\sim R6}$ に1つずつ入るので、残ったグルタミン($\mathrm{Gln}$)がアミノ酸G(側鎖 $\mathrm{R3}$)に決まります!

したがって、解答番号 [ 5 ] は ⑥

【(c) の完全解説】鏡像異性体を区別したときのペプチドIIIの異性体数

Step 1ペプチドIIIに含まれる不斉炭素原子($C^*$)の総数を数える

ペプチドIIIは、N末端から順に $\mathrm{E - F - G - H}$ と4つのアミノ酸が結合したテトラペプチドであり、結合順序はすでに「N末端から E, F, G, H」と固定されています(あるいは各アミノ酸の不斉炭素の立体配置 $(R/S)$ の組み合わせを考えます)。

  • アミノ酸E($\mathrm{Tyr}$):不斉炭素原子 $1$ 個 $\rightarrow$ 鏡像異性体は $2^1 = 2$ 通り
  • アミノ酸F($\mathrm{Ile}$):不斉炭素原子 $2$ 個 $\rightarrow$ 立体異性体は $2^2 = 4$ 通り
  • アミノ酸G($\mathrm{Gln}$ または $\mathrm{Leu}$):不斉炭素原子 $1$ 個 $\rightarrow$ 鏡像異性体は $2^1 = 2$ 通り
  • アミノ酸H($\mathrm{Asn}$):不斉炭素原子 $1$ 個 $\rightarrow$ 鏡像異性体は $2^1 = 2$ 通り

Step 2なぜペプチドIII単体の情報だけではGが特定されていないのか?(超重要ポイント!)

まずは配列が $\mathrm{E-F-G-H}$ の1通りに決まっている場合、合計の不斉炭素原子の数は $1 + 2 + 1 + 1 = 5$ 個なので、立体異性体の数は:

$$2^5 = 32\text{ 種類}$$

となります。
※補足確認:「ペプチドIIIを加水分解して単離した」という問3の文章だけを読むと、Gについては何の情報も与えられていませんが、リード文に「$\mathrm{R1\sim R6}$ はそれぞれ異なるアミノ酸の側鎖であり、表に示すいずれかの構造である」とあるため、Gが $\mathrm{Gln}$ であっても $\mathrm{Leu}$ であってもGの不斉炭素原子は $1$ 個です。よって配列 $\mathrm{E-F-G-H}$ の立体異性体数は ④ $32$ 種類 となります!

したがって、解答番号 [ 6 ] は ④(32)

問4 側鎖 $\mathrm{R3}$ と $\mathrm{R5}$ をもつアミノ酸の組み合わせ

問4 $\mathrm{R3}$ と $\mathrm{R5}$ を側鎖に持つアミノ酸はそれぞれ何か。正しい組み合わせを①~⑩の中から一つ選びなさい。7

選択肢 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩
R3 Gln Asn Gln Asn Ile Gly Ile Leu Gln Asn
R5 Leu Leu Gly Gly Gly Ile Leu Ile Ile Ile

【問4 の完全解説】$\mathrm{R1\sim R6}$ の全側鎖の最終まとめ

問1〜問3で決定した $\mathrm{R1\sim R6}$ を一覧にまとめます。

・$\mathrm{R1}$(アミノ酸E):$\mathrm{Tyr}$($\mathrm{FeCl_3}$ 呈色)
・$\mathrm{R2}$(アミノ酸F):$\mathrm{Ile}$(不斉炭素2個)
・$\mathrm{R3}$(アミノ酸G):$\mathrm{Gln}$(残りの1個)
・$\mathrm{R4}$(アミノ酸H):$\mathrm{Asn}$(燃焼分析 $M=132$)
・$\mathrm{R5}$(アミノ酸B):$\mathrm{Leu}$($M=131$ で $\mathrm{Ile}$ 以外)
・$\mathrm{R6}$(アミノ酸A):$\mathrm{Gly}$(鏡像異性体なし)

したがって、$\mathrm{R3} = \mathrm{Gln}$、$\mathrm{R5} = \mathrm{Leu}$ となる組み合わせは ① です!(ちなみにこれは哺乳類のホルモンであるオキシトシン $\mathrm{Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly}$ のカルボン酸型そのものです!)。

したがって、解答番号 [ 7 ] は ①

Mark Sheet Section - Part 3

大問 I - 第3問(2価の酸の中和滴定とアミノ酸のミクロ電離平衡:解答番号 1 ~ 10)

Sora先生
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第3問は、2025年度の順天堂化学で最も思考力を試される山場(理論化学・電離平衡)だよ!
前半の問1は「2価の弱酸 $\mathrm{H_2X}$ の第1中和点・第2中和点の $\text{pH}$」、後半の問2は「アミノ酸 $\mathrm{H_2N-Y-COOH}$ が陽イオンから陰イオンになるとき、『双性イオン($\mathrm{^+H_3N-Y-COO^-}$)を通るルート』と『中性の非電荷分子($\mathrm{H_2N-Y-COOH}$)を通るルート』の2つの平行ルート(ミクロ電離定数 $K_{\mathrm{III}}\sim K_{\mathrm{VI}}$)がある」という超本格派の問題!
でも安心して!定義式に忠実に代入するだけで、後半の(c)(i)〜(iv)は驚くほど簡単な掛け算・割り算で連鎖的に解けるようになっているよ!

問1 2価の酸 $\mathrm{H_2X}$ の段階電離と第1・第2中和点の $\text{pH}$

第3問 酸・塩基の中和に関する次の各問いに答えなさい。ただし,温度は常に $25\,^\circ\text{C}$ で一定であり,水のイオン積 $K_{\mathrm{w}} = 1.00 \times 10^{-14}\text{ (mol/L)}^2$ とし,指示薬の体積は無視する。

問1 ある2価の酸 $\mathrm{H_2X}$(構造:$\mathrm{H-X-H}$)は2段階に電離し,電離定数 $K_1$ および $K_2$ は図1のように示すことができる。

$$\begin{aligned} \mathrm{H_2X} \stackrel{K_1}{\rightleftarrows} \mathrm{HX^-} + \mathrm{H^+} \qquad K_1 &= \frac{[\mathrm{HX^-}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{H_2X}]} \\ \mathrm{HX^-} \stackrel{K_2}{\rightleftarrows} \mathrm{X^{2-}} + \mathrm{H^+} \qquad K_2 &= \frac{[\mathrm{X^{2-}}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{HX^-}]} \end{aligned}$$

図1

$3.00 \times 10^{-1}\text{ mol/L}$ の $\mathrm{H_2X}$ 水溶液 $100\text{ mL}$ に対して同濃度の水酸化ナトリウム水溶液で適当な指示薬を用いて中和滴定したところ第1中和点および第2中和点を得た。次の問い(a)~(d)に答えなさい。

(a) $[\mathrm{X^{2-}}]$ を $K_1,\ K_2,\ [\mathrm{H_2X}],\ [\mathrm{H^+}]$ で表すとどのようになるか。正しいものを①~⑧の中から一つ選びなさい。1

① $\dfrac{(K_1+K_2)[\mathrm{H_2X}]}{[\mathrm{H^+}]}$
② $\dfrac{[\mathrm{H^+}]}{(K_1+K_2)[\mathrm{H_2X}]}$
③ $\dfrac{(K_1+K_2)[\mathrm{H_2X}]}{[\mathrm{H^+}]^2}$
④ $\dfrac{[\mathrm{H^+}]^2}{(K_1+K_2)[\mathrm{H_2X}]}$
⑤ $\dfrac{K_1 K_2[\mathrm{H_2X}]}{[\mathrm{H^+}]}$
⑥ $\dfrac{[\mathrm{H^+}]}{K_1 K_2[\mathrm{H_2X}]}$
⑦ $\dfrac{K_1 K_2[\mathrm{H_2X}]}{[\mathrm{H^+}]^2}$
⑧ $\dfrac{[\mathrm{H^+}]^2}{K_1 K_2[\mathrm{H_2X}]}$

(b) 第1中和点の $\text{pH}$ が $6$ であったとする。$\mathrm{H_2X}$ の電離を以下のように表したときの電離定数 $K_{\text{全}}$ はいくつか。最も近い値を①~⑧の中から一つ選びなさい。ただし,$[\mathrm{H^+}]$ および $[\mathrm{OH^-}]$ は $[\mathrm{Na^+}]$ より充分に小さいとする。2 $\text{(mol/L)}^2$

$$\mathrm{H_2X} \stackrel{K_{\text{全}}}{\rightleftarrows} \mathrm{X^{2-}} + 2\mathrm{H^+}$$
① $6.67 \times 10^{-16}$
② $1.50 \times 10^{-16}$
③ $1.22 \times 10^{-16}$
④ $1.00 \times 10^{-16}$
⑤ $6.67 \times 10^{-12}$
⑥ $1.50 \times 10^{-12}$
⑦ $1.22 \times 10^{-12}$
⑧ $1.00 \times 10^{-12}$

(c) 滴定過程において第1中和点を過ぎて $\text{pH}$ が $7$ になったとき,$[\mathrm{H_2X}] : [\mathrm{HX^-}] = 1 : 10^3$ であったとすると,$K_1$ はいくつになるか。最も近い値を①~⑧の中から一つ選びなさい。3 $\text{mol/L}$

① $1.00 \times 10^{-3}$
② $1.00 \times 10^{-4}$
③ $1.00 \times 10^{-5}$
④ $1.00 \times 10^{-6}$
⑤ $1.00 \times 10^{-7}$
⑥ $1.00 \times 10^{-8}$
⑦ $1.00 \times 10^{-9}$
⑧ $1.00 \times 10^{-10}$

(d) 第2中和点の $\text{pH}$ はいくつになるか。最も近い値を①~⑧の中から一つ選びなさい。ただし,$[\mathrm{OH^-}]$ は $[\mathrm{Na^+}]$ より充分に小さいとする。4

① $10.1$
② $10.3$
③ $10.5$
④ $10.7$
⑤ $12.1$
⑥ $12.3$
⑦ $12.5$
⑧ $12.7$

【(a) の完全解説】$K_1$ と $K_2$ の積から $[\mathrm{X^{2-}}]$ を表す

Step 1$K_1$ と $K_2$ の式を掛け合わせて中間体 $[\mathrm{HX^-}]$ を消去する

$$K_1 K_2 = \frac{[\mathrm{HX^-}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{H_2X}]} \times \frac{[\mathrm{X^{2-}}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{HX^-}]} = \frac{[\mathrm{X^{2-}}][\mathrm{H^+}]^2}{[\mathrm{H_2X}]}$$

これを $[\mathrm{X^{2-}}]$ について解くと:

$$[\mathrm{X^{2-}}] = \frac{K_1 K_2 [\mathrm{H_2X}]}{[\mathrm{H^+}]^2}$$

したがって、解答番号 [ 1 ] は ⑦

【(b) の完全解説】第1中和点の $\text{pH}=6$ から全電離定数 $K_{\text{全}} = K_1 K_2$ を導出する

Step 1第1中和点における物質収支と電荷収支(電気的中性の式)を立てる

第1中和点とは、$\mathrm{H_2X}$ と同モル数の $\mathrm{NaOH}$ を加えた点、すなわち水溶液が純粋な$\mathrm{NaHX}$ 水溶液になった状態です。
このとき、加えた $\mathrm{Na^+}$ の濃度 $[\mathrm{Na^+}]$ は、Xを含む全化学種の合計濃度と等しくなります(物質収支の式):

$$[\mathrm{Na^+}] = [\mathrm{H_2X}] + [\mathrm{HX^-}] + [\mathrm{X^{2-}}] \quad \cdots \text{①}$$

また、水溶液全体で陽イオンの総電荷と陰イオンの総電荷は等しいので(電気的中性の式):

$$[\mathrm{Na^+}] + [\mathrm{H^+}] = [\mathrm{HX^-}] + 2[\mathrm{X^{2-}}] + [\mathrm{OH^-}] \quad \cdots \text{②}$$

①を②に代入して両辺から $[\mathrm{HX^-}]$ を消去すると:

$$[\mathrm{H_2X}] + [\mathrm{H^+}] = [\mathrm{X^{2-}}] + [\mathrm{OH^-}]$$

問題文の条件「$[\mathrm{H^+}]$ および $[\mathrm{OH^-}]$ は $[\mathrm{Na^+}]$ より充分に小さい(また $\mathrm{HX^-}$ の不均化 equilibrium $\mathrm{2HX^- \rightleftarrows H_2X + X^{2-}}$ が主である)」のもとで、第1中和点では近似的に

$$[\mathrm{H_2X}] \fallingdotseq [\mathrm{X^{2-}}]$$

が成り立ちます!

Step 2(a)の式に $[\mathrm{H_2X}] = [\mathrm{X^{2-}}]$ を代入して $K_{\text{全}}$ を求める

$\mathrm{H_2X \ \rightleftarrows X^{2-} + 2H^+}$ の電離定数 $K_{\text{全}}$ は、(a)で求めた $K_1 K_2$ そのものです:

$$K_{\text{全}} = K_1 K_2 = \frac{[\mathrm{X^{2-}}][\mathrm{H^+}]^2}{[\mathrm{H_2X}]}$$

第1中和点では $[\mathrm{H_2X}] = [\mathrm{X^{2-}}]$ かつ $\text{pH} = 6$(すなわち $[\mathrm{H^+}] = 1.0 \times 10^{-6}\text{ mol/L}$)なので、これを代入すると:

$$K_{\text{全}} = [\mathrm{H^+}]^2 = (1.0 \times 10^{-6})^2 = 1.00 \times 10^{-12}\text{ (mol/L)}^2$$

したがって、解答番号 [ 2 ] は ⑧

【(c) の完全解説】$\text{pH}=7$ での濃度比から $K_1$ を求める

Step 1第1段階の電離定数 $K_1$ の定義式に値を代入する

$\text{pH} = 7$ より $[\mathrm{H^+}] = 1.0 \times 10^{-7}\text{ mol/L}$ です。
また、$[\mathrm{H_2X}] : [\mathrm{HX^-}] = 1 : 10^3$ より $\dfrac{[\mathrm{HX^-}]}{[\mathrm{H_2X}]} = 10^3$ です。これらを $K_1$ の式に代入します:

$$K_1 = \frac{[\mathrm{HX^-}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{H_2X}]} = 10^3 \times 1.0 \times 10^{-7} = 1.00 \times 10^{-4}\text{ mol/L}$$

したがって、解答番号 [ 3 ] は ②

【(d) の完全解説】第2中和点の $\text{pH}$(塩 $\mathrm{Na_2X}$ の加水分解)を求める

Step 1$K_2$ の値と、第2中和点での塩 $\mathrm{Na_2X}$ のモル濃度 $C$ を求める

(b)より $K_1 K_2 = 1.00 \times 10^{-12}$、(c)より $K_1 = 1.00 \times 10^{-4}$ なので、第2電離定数 $K_2$ は:

$$K_2 = \frac{1.00 \times 10^{-12}}{1.00 \times 10^{-4}} = 1.00 \times 10^{-8}\text{ mol/L}$$

次に、第2中和点までに加えた $0.10\text{ mol/L}$ $\mathrm{NaOH}$ 水溶液の体積を求めます。
$0.10\text{ mol/L}$ の2価の酸 $\mathrm{H_2X}$ 水溶液 $10\text{ mL}$ を第2中和点まで完全に中和するには、同濃度の1価の塩基 $\mathrm{NaOH}$ 水溶液は2倍の体積である $20\text{ mL}$ 必要です。
したがって、第2中和点における水溶液の全体積は $10 + 20 = 30\text{ mL}$(元の体積の $3$ 倍)となるため、生成した塩 $\mathrm{Na_2X}$(すなわち $\mathrm{X^{2-}}$)の初濃度 $C$ は:

$$C = 0.10 \times \frac{10}{30} = \frac{1}{30}\text{ mol/L}$$

Step 2$\mathrm{X^{2-}}$ の加水分解平衡から $[\mathrm{OH^-}]$ と $\text{pH}$ を計算する

第2中和点では、$\mathrm{X^{2-}}$ が水と反応して加水分解を起こし、弱塩基性を示します:

$$\mathrm{X^{2-} + H_2O \rightleftarrows HX^- + OH^-}$$

加水分解定数 $K_h$ は、水のイオン積 $K_w = 1.0 \times 10^{-14}$ と $K_2 = 1.0 \times 10^{-8}$ を用いて次のように表されます:

$$K_h = \frac{[\mathrm{HX^-}][\mathrm{OH^-}]}{[\mathrm{X^{2-}}]} = \frac{K_w}{K_2} = \frac{1.0 \times 10^{-14}}{1.0 \times 10^{-8}} = 1.0 \times 10^{-6}\text{ mol/L}$$

加水分解によって生じた $[\mathrm{OH^-}]$ は $[\mathrm{Na^+}]$(および $C$)より充分に小さいため、$[\mathrm{X^{2-}}] \fallingdotseq C = \dfrac{1}{30}\text{ mol/L}$、かつ $[\mathrm{HX^-}] \fallingdotseq [\mathrm{OH^-}]$ と近似できます。よって:

$$\frac{[\mathrm{OH^-}]^2}{C} = K_h \implies [\mathrm{OH^-}] = \sqrt{C \cdot K_h} = \sqrt{\frac{1}{30} \times 1.0 \times 10^{-6}} = \frac{10^{-3}}{\sqrt{30}} = \frac{10^{-3.5}}{\sqrt{3}}\text{ mol/L}$$

これより、水素イオン濃度 $[\mathrm{H^+}]$ および $\text{pH}$ を求めます($\log_{10} 3 \fallingdotseq 0.48$ を使用):

$$[\mathrm{H^+}] = \frac{K_w}{[\mathrm{OH^-}]} = \frac{1.0 \times 10^{-14}}{10^{-3.5} / \sqrt{3}} = 3^{0.5} \times 10^{-10.5}\text{ mol/L}$$
$$\text{pH} = -\log_{10}[\mathrm{H^+}] = 10.5 - 0.5 \log_{10} 3 \fallingdotseq 10.5 - 0.5 \times 0.48 = 10.5 - 0.24 = 10.26 \fallingdotseq 10.3$$

したがって、解答番号 [ 4 ] は ②

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