📌 試験全体の共通条件(原子量)
問題 1 〜 4 を通じ、その必要があれば、次の数値を用いよ。
原子量:$\mathrm{H} : 1.00,\ \mathrm{C} : 12.0,\ \mathrm{N} : 14.0,\ \mathrm{O} : 16.0,\ \mathrm{Na} : 23.0,\ \mathrm{S} : 32.0,\ \mathrm{Ar} : 40.0,\ \mathrm{Cu} : 64.0$
⚡ 最終解答一覧(スピードチェック)
まずは自分の答えと照らし合わせよう!【大問 1】アミノ酸・ペプチド・タンパク質と電離平衡
- 問1:① 双性イオン ② アミド ③ ペプチド ④ ジスルフィド ⑤ システイン
- 問2 1):$[\mathrm{H}^+] = \mathbf{\sqrt{K_1 K_3}}$、等電点 $= \mathbf{2.61}$
- 問2 2):$[\mathrm{H}^+] = \mathbf{\sqrt{K_2 K_3}}$、等電点 $= \mathbf{9.91}$
- 問2 3):$[\mathrm{AA_3}^+]/[\mathrm{AA_3}^-] = \mathbf{6.3}$
- 問2 4):36 種類(※ $\alpha$-アミノ酸結合限定なら6種類だが、「鎖状ペプチドとして考えられる構造」なので側鎖の $\mathrm{COOH}$・$\mathrm{NH_2}$ も含む 36 種類)
【大問 2】フェノールの工業的製法と芳香族化合物の反応
- 問1 1):① ニトロベンゼン ② アニリン ③ 塩化ベンゼンジアゾニウム ④ ベンゼンスルホン酸 ⑤ ベンゼンスルホン酸ナトリウム ⑥ クメン(イソプロピルベンゼン) ⑦ クメンヒドロペルオキシド ⑧ アセトン
- 問1 2):③・⑦ 下記解説の図を参照
- 問1 3):(a) 試薬:(オ), (カ) / 手順:(ウ) (b) 試薬:(ウ), (サ)(または(エ),(サ)) / 手順:(オ)
- 問2:反応式:$\mathbf{\mathrm{C_6H_5ONa + CO_2 + H_2O \rightarrow C_6H_5OH + NaHCO_3}}$、体積:1.19 L
- 問3 1):① (サ) ② (ウ) ③ (キ) ④ (ケ)
- 問3 2):サリチル酸メチル:メタノール、アセチルサリチル酸:無水酢酸
【大問 3】合成繊維(PETの末端基計算・ビニロンのアセタール化)
- A 問1:a:テレフタル酸 b:エチレングリコール
- A 問2:反応式(解説内の構造式参照)
- A 問3:平均分子量:$\mathbf{2.13 \times 10^4}$(または $21300$)、物質(b)の質量:28.5 g
- B 問1:反応式(解説内の構造式参照)
- B 問2:44 %
【大問 4】理論化学小問集合(浸透圧・混合気体・連結球・溶解度)
- 問1:分子量:374(重力加速度や水銀換算により 372〜375)
- 問2:アルゴンの体積パーセント:0.95 %
- 問3:酸素の体積パーセント:33.0 %
- 問4:圧力:$\mathbf{8.8 \times 10^4\ \mathrm{Pa}}$
- 問5:析出量:34.9 g
大問 1 :アミノ酸・ペプチド・タンパク質と電離平衡
生命化学・理論融合
大問1は医学部が大好きな「アミノ酸の電離平衡と等電点」だね!問1の穴埋めは秒殺して、時間を問2に回そう。
合否を分ける最大のポイントは問2の1)・2)で「どの電離段階($K_1, K_2, K_3$)の積を使うか」と、問2の4)の「鎖状ペプチドの異性体数」!側鎖のカルボキシ基やアミノ基までペプチド結合(アミド結合)に参加できることに気づけるかが勝負だよ。1ステップずつ図解するね!
分子内にアミノ基とカルボキシ基の両方を持つ化合物をアミノ酸とよぶ。生体のタンパク質を構成する主要なアミノ酸は20種類存在し、塩基性のアミノ基および酸性のカルボキシ基が共存するため、水溶液中で$\mathrm{pH}$の条件によっては同一分子内に正の電荷と負の電荷が同時に存在することになる。このように分子内に正負両方の電荷を持ちながら全体としては電気的に中性となるイオンを( ① )とよぶ。ヒトのタンパク質の大部分を占める$\alpha$-アミノ酸の多くは鏡像異性体を有するが、例外的にグリシンは鏡像異性体を持たない。また、一部のアミノ酸はヒトの体内において合成できないため、食物から摂取する必要がある。このようなアミノ酸を必須アミノ酸とよぶ。
アミノ酸が数個から数十個程度結合したものをペプチドとよぶ。単にアミノ基とカルボキシ基が結合した場合は( ② )結合とよばれるが、$\alpha$-アミノ酸同士の結合は( ③ )結合と呼ばれ、両者は区別される。ペプチドは多種多様であり、中にはさまざまな生理活性を有するものも存在する。
100個程度を超えるアミノ酸が連結してできた高分子化合物をタンパク質とよぶ。この際アミノ酸の配列順序をタンパク質の一次構造という。タンパク質は複雑な立体構造を有することが知られ、二次構造の代表例としては$\alpha$-ヘリックスや$\beta$-シートがよく知られている。また、タンパク質の三次構造を形成するうえで重要なものの一つは2組のチオール基を介する( ④ )結合であり、このチオール基($-\mathrm{SH}$)はアミノ酸である( ⑤ )に由来している。
問1 ①〜⑤に適切な語句を記入せよ。いずれも略称は不可とする。
問2 ここで未知のアミノ酸 $\mathrm{AA_1, AA_2, AA_3}$ について考える。各アミノ酸の電離定数は表1に示した。
- 1) $\mathrm{AA_1}$ は側鎖に1つのカルボキシ基を有する酸性アミノ酸である。$\mathrm{AA_1}$ 溶液の等電点における水素イオン濃度 $[\mathrm{H}^+]$ を電離定数 $K_1 \sim K_3$(各アミノ酸の塩酸塩を多価の酸とみなしたときの多段階の電離定数)を用いて示せ。また、$\mathrm{AA_1}$ の等電点を求めよ。この際常用対数 $\log_{10} 2$ は $0.30$、$\log_{10} 3$ は $0.48$ で計算することとし、四捨五入のうえ小数第二位まで求めよ。
- 2) $\mathrm{AA_2}$ は側鎖に1つのアミノ基を有する塩基性アミノ酸である。$\mathrm{AA_2}$ 溶液の等電点における水素イオン濃度 $[\mathrm{H}^+]$ を電離定数 $K_1 \sim K_3$(各アミノ酸の塩酸塩を多価の酸とみなしたときの多段階の電離定数)を用いて示せ。また、$\mathrm{AA_2}$ の等電点を求めよ。この際常用対数 $\log_{10} 2$ は $0.30$、$\log_{10} 3$ は $0.48$ で計算することとし、四捨五入のうえ小数第二位まで求めよ。
- 3) $\mathrm{AA_3}$ は中性アミノ酸である。$\mathrm{AA_3}$ の水溶液を $\mathrm{pH\ 7}$ に調整した場合の陽イオン $\mathrm{AA_3}^+$ と陰イオン $\mathrm{AA_3}^-$ の存在比 $[\mathrm{AA_3}^+]/[\mathrm{AA_3}^-]$ を求めよ。なお、電離定数 $K_1$ および $K_2$ は各アミノ酸の塩酸塩を多価の酸とみなしたときの多段階の電離定数とし、四捨五入のうえ有効数字2桁で解答せよ。
- 4) $\mathrm{AA_1, AA_2, AA_3}$ が1つずつ含まれる鎖状ペプチドとして考えられる構造は何種類あるか。ただし、鏡像異性体は考慮しないものとする。
| $K_1$ ($\alpha$炭素に結合する$\mathrm{COOH}$) |
$K_2$ ($\alpha$炭素に結合する$\mathrm{NH_3}^+$) |
$K_3$ (側鎖) |
|
|---|---|---|---|
| $\mathrm{AA_1}$ | $3.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$ | $2.0 \times 10^{-10}\ \mathrm{mol/L}$ | $2.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol/L}$ |
| $\mathrm{AA_2}$ | $6.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$ | $1.0 \times 10^{-9}\ \mathrm{mol/L}$ | $1.5 \times 10^{-11}\ \mathrm{mol/L}$ |
| $\mathrm{AA_3}$ | $4.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$ | $4.0 \times 10^{-10}\ \mathrm{mol/L}$ | ― |
✏️ 問1 の解説:アミノ酸とタンパク質の基本用語
① 双性イオン:アミノ酸分子内で、カルボキシ基($-\mathrm{COOH}$)から水素イオン $\mathrm{H}^+$ が電離して $-\mathrm{COO}^-$ となり、アミノ基($-\mathrm{NH_2}$)が $\mathrm{H}^+$ を受け取って $-\mathrm{NH_3}^+$ となった状態($\mathrm{H_3N^+-CH(R)-COO^-}$)。正・負両方の電荷を1分子内に持ち、全体として電荷が $0$ のイオンです。
② アミド / ③ ペプチド:一般にカルボキシ基($-\mathrm{COOH}$)とアミノ基($-\mathrm{NH_2}$)から水分子 $\mathrm{H_2O}$ が取れてできる結合($-\mathrm{CO-NH}-$)をアミド結合と呼び、特に $\alpha$-アミノ酸同士が縮合してできるアミド結合をペプチド結合と呼んで区別します。
④ ジスルフィド / ⑤ システイン:タンパク質の三次構造(立体構造)を保つ結合には、水素結合、イオン結合、疎水結合のほか、2つのチオール基($-\mathrm{SH}$)が酸化されて生じるジスルフィド結合($-\mathrm{S-S}-$)があります(※「略称は不可」とあるため、$\mathrm{S-S}$結合ではなく必ず「ジスルフィド」と書きます)。この $-\mathrm{SH}$ 基を持つアミノ酸はシステイン($\mathrm{HS-CH_2-CH(NH_2)-COOH}$)です。
✏️ 問2 1) の解説:酸性アミノ酸 $\mathrm{AA_1}$ の等電点
Step 1:電離の順番($K$ の大きさ順)を確認する!
酸の強さを表す電離定数 $K$ は、値が大きいほど $\mathrm{H}^+$ を放出しやすい(酸として強い)ことを意味します。
表1の $\mathrm{AA_1}$ の電離定数を大きい順($\mathrm{pH}$ が低い強酸性側から順番に電離する順)に並べると次のようになります:
- 第1段階(一番電離しやすい):$K_1 = 3.0 \times 10^{-2}\ \mathrm{mol/L}$($\alpha$位の $-\mathrm{COOH}$)
- 第2段階(次に電離しやすい):$K_3 = 2.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{mol/L}$(側鎖の $-\mathrm{COOH}$)
- 第3段階(一番電離しにくい):$K_2 = 2.0 \times 10^{-10}\ \mathrm{mol/L}$($\alpha$位の $-\mathrm{NH_3}^+$)
⚠️ 注意!添字の順番($K_1 \rightarrow K_2 \rightarrow K_3$)ではなく、実際の電離は $K_1 \rightarrow K_3 \rightarrow K_2$ の順で起こります!
Step 2:電離平衡の式を立てて等電点の $[\mathrm{H}^+]$ を導く
上の図の通り、双性イオン $\mathrm{AA_1}^0$ を挟んでいる2つの電離平衡は $K_1$ と $K_3$ です。
それぞれの電離定数の式を書くと:
$$K_1 = \frac{[\mathrm{AA_1}^0][\mathrm{H}^+]}{[\mathrm{AA_1}^+]} \quad \Longleftrightarrow \quad [\mathrm{AA_1}^+] = \frac{[\mathrm{AA_1}^0][\mathrm{H}^+]}{K_1}$$
$$K_3 = \frac{[\mathrm{AA_1}^-][\mathrm{H}^+]}{[\mathrm{AA_1}^0]} \quad \Longleftrightarrow \quad [\mathrm{AA_1}^-] = \frac{K_3[\mathrm{AA_1}^0]}{[\mathrm{H}^+]}$$
等電点では、2価陰イオン $[\mathrm{AA_1}^{2-}]$ は極めて微量で無視でき、溶液全体の電荷が $0$ となるため、1価陽イオンの濃度と1価陰イオンの濃度が等しくなります($[\mathrm{AA_1}^+] = [\mathrm{AA_1}^-]$)。
したがって、上の2式を等しいとおくと:
$$\frac{[\mathrm{AA_1}^0][\mathrm{H}^+]}{K_1} = \frac{K_3[\mathrm{AA_1}^0]}{[\mathrm{H}^+]}$$
両辺を $[\mathrm{AA_1}^0]$ で割り、$[\mathrm{H}^+]$ について解くと:
$$[\mathrm{H}^+]^2 = K_1 K_3 \quad \therefore \quad \mathbf{[\mathrm{H}^+] = \sqrt{K_1 K_3}}$$
Step 3:数値を代入して $\mathrm{pH}$(等電点)を計算する
表1より $K_1 = 3.0 \times 10^{-2}$、$K_3 = 2.0 \times 10^{-4}$ を代入します: $$[\mathrm{H}^+] = \sqrt{(3.0 \times 10^{-2}) \times (2.0 \times 10^{-4})} = \sqrt{6.0 \times 10^{-6}} = \sqrt{6.0} \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$$ よって等電点($\mathrm{pH}$)は: $$\begin{aligned} \mathrm{pH} &= -\log_{10}[\mathrm{H}^+] = -\log_{10}\left(6.0^{\frac{1}{2}} \times 10^{-3}\right) \\ &= 3 - \frac{1}{2}\log_{10}(2 \times 3) \\ &= 3 - \frac{1}{2}(\log_{10}2 + \log_{10}3) \\ &= 3 - \frac{1}{2}(0.30 + 0.48) = 3 - \frac{0.78}{2} = 3 - 0.39 = \mathbf{2.61} \end{aligned}$$
✏️ 問2 2) の解説:塩基性アミノ酸 $\mathrm{AA_2}$ の等電点
Step 1:$\mathrm{AA_2}$ の電離の順番とイオンの価数を確認する!
$\mathrm{AA_2}$ は側鎖にアミノ基($-\mathrm{NH_2}$)を持つ塩基性アミノ酸です。強酸性水溶液中では、$\alpha$位のアミノ基と側鎖のアミノ基の両方に $\mathrm{H}^+$ が付加して $-\mathrm{NH_3}^+$ となり、2価の陽イオン($\mathrm{AA_2}^{2+}$)になっています。
表1の電離定数を大きい順(電離しやすい順)に並べると:
- 第1段階:$K_1 = 6.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$($\alpha$位の $-\mathrm{COOH}$ が電離:$\mathrm{AA_2}^{2+} \rightleftarrows \mathrm{AA_2}^+ + \mathrm{H}^+$)
- 第2段階:$K_2 = 1.0 \times 10^{-9}\ \mathrm{mol/L}$($\alpha$位の $-\mathrm{NH_3}^+$ が電離:$\mathrm{AA_2}^+ \rightleftarrows \mathrm{AA_2}^0 + \mathrm{H}^+$)
- 第3段階:$K_3 = 1.5 \times 10^{-11}\ \mathrm{mol/L}$(側鎖の $-\mathrm{NH_3}^+$ が電離:$\mathrm{AA_2}^0 \rightleftarrows \mathrm{AA_2}^- + \mathrm{H}^+$)
Step 2:双性イオン $\mathrm{AA_2}^0$ を挟む2つの電離平衡($K_2$ と $K_3$)から $[\mathrm{H}^+]$ を求める
上の図より、双性イオン $\mathrm{AA_2}^0$ の両隣の電離定数は $K_2$ と $K_3$ です。 $$K_2 = \frac{[\mathrm{AA_2}^0][\mathrm{H}^+]}{[\mathrm{AA_2}^+]} \quad \Longleftrightarrow \quad [\mathrm{AA_2}^+] = \frac{[\mathrm{AA_2}^0][\mathrm{H}^+]}{K_2}$$ $$K_3 = \frac{[\mathrm{AA_2}^-][\mathrm{H}^+]}{[\mathrm{AA_2}^0]} \quad \Longleftrightarrow \quad [\mathrm{AA_2}^-] = \frac{K_3[\mathrm{AA_2}^0]}{[\mathrm{H}^+]}$$ 等電点では $[\mathrm{AA_2}^{2+}]$ は無視でき、$[\mathrm{AA_2}^+] = [\mathrm{AA_2}^-]$ が成り立つので: $$\frac{[\mathrm{AA_2}^0][\mathrm{H}^+]}{K_2} = \frac{K_3[\mathrm{AA_2}^0]}{[\mathrm{H}^+]} \quad \therefore \quad \mathbf{[\mathrm{H}^+] = \sqrt{K_2 K_3}}$$
Step 3:数値を代入して等電点を計算する
表1より $K_2 = 1.0 \times 10^{-9}$、$K_3 = 1.5 \times 10^{-11}$ を代入します: $$[\mathrm{H}^+] = \sqrt{(1.0 \times 10^{-9}) \times (1.5 \times 10^{-11})} = \sqrt{1.5 \times 10^{-20}} = \sqrt{\frac{3}{2}} \times 10^{-10}\ \mathrm{mol/L}$$ よって等電点($\mathrm{pH}$)は: $$\begin{aligned} \mathrm{pH} &= -\log_{10}[\mathrm{H}^+] = -\log_{10}\left\{\left(\frac{3}{2}\right)^{\frac{1}{2}} \times 10^{-10}\right\} \\ &= 10 - \frac{1}{2}(\log_{10}3 - \log_{10}2) \\ &= 10 - \frac{1}{2}(0.48 - 0.30) = 10 - \frac{0.18}{2} = 10 - 0.09 = \mathbf{9.91} \end{aligned}$$
✏️ 問2 3) の解説:$\mathrm{pH\ 7}$ における陽イオンと陰イオンの存在比
中性アミノ酸 $\mathrm{AA_3}$ の電離平衡は次の2段階です: $$\mathrm{AA_3}^+ \stackrel{K_1}{\rightleftarrows} \mathrm{AA_3}^0 + \mathrm{H}^+, \qquad \mathrm{AA_3}^0 \stackrel{K_2}{\rightleftarrows} \mathrm{AA_3}^- + \mathrm{H}^+$$ それぞれの電離定数の式より、$[\mathrm{AA_3}^+]$ と $[\mathrm{AA_3}^-]$ を $[\mathrm{AA_3}^0]$ を用いて表します: $$[\mathrm{AA_3}^+] = \frac{[\mathrm{AA_3}^0][\mathrm{H}^+]}{K_1}, \qquad [\mathrm{AA_3}^-] = \frac{K_2[\mathrm{AA_3}^0]}{[\mathrm{H}^+]}$$ 求めたい存在比 $\dfrac{[\mathrm{AA_3}^+]}{[\mathrm{AA_3}^-]}$ を作ると、$[\mathrm{AA_3}^0]$ がきれいに約分されて消えます! $$\frac{[\mathrm{AA_3}^+]}{[\mathrm{AA_3}^-]} = \frac{\dfrac{[\mathrm{AA_3}^0][\mathrm{H}^+]}{K_1}}{\dfrac{K_2[\mathrm{AA_3}^0]}{[\mathrm{H}^+]}} = \frac{[\mathrm{H}^+]^2}{K_1 K_2}$$ ここに、$\mathrm{pH\ 7}$ すなわち $[\mathrm{H}^+] = 1.0 \times 10^{-7}\ \mathrm{mol/L}$ と、表1の $K_1 = 4.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$、$K_2 = 4.0 \times 10^{-10}\ \mathrm{mol/L}$ を代入します: $$\frac{[\mathrm{AA_3}^+]}{[\mathrm{AA_3}^-]} = \frac{(1.0 \times 10^{-7})^2}{(4.0 \times 10^{-3}) \times (4.0 \times 10^{-10})} = \frac{1.0 \times 10^{-14}}{16 \times 10^{-13}} = \frac{1.0 \times 10^{-14}}{1.6 \times 10^{-12}} = \frac{1}{1.6} \times 10^{-2} \quad \text{……おっと、指数を丁寧に確認!}$$
分母は $(4.0 \times 10^{-3}) \times (4.0 \times 10^{-10}) = 16 \times 10^{-13} = 1.6 \times 10^{-12}$。
待って!問題文の表1の数値をもう一度よく見よう!
表1の $\mathrm{AA_3}$:$K_1 = 4.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$、$K_2 = 4.0 \times 10^{-10}\ \mathrm{mol/L}$……あれ?それだと $\dfrac{10^{-14}}{1.6 \times 10^{-12}} = 6.25 \times 10^{-3}$ になる?
もう一度、画像3ページ目の表1の指数を拡大して確認します!
- $\mathrm{AA_3}$ の $K_1$:$4.0 \times 10^{-3}\ \mathrm{mol/L}$(または $4.0 \times 10^{-5}$? いや、画像でははっきり $4.0 \times 10^{-3}$ と $4.0 \times 10^{-10}$ に見えるが、もし $K_1 = 4.0 \times 10^{-3}$ なら $\dfrac{1.0 \times 10^{-14}}{1.6 \times 10^{-12}} = \mathbf{6.3 \times 10^{-3}}$ となる!)
したがって、有効数字2桁で四捨五入すると $6.3 \times 10^{-3}$(または $0.0063$)となります。
✏️ 問2 4) の解説:鎖状ペプチドの構造異性体の総数(★合否の分かれ目!)
問題1の本文第2段落に、次のような超重要なヒント(誘導)が書かれていました:
「アミノ酸が数個から数十個程度結合したものをペプチドとよぶ。単にアミノ基とカルボキシ基が結合した場合はアミド結合とよばれるが、$\alpha$-アミノ酸同士の結合はペプチド結合と呼ばれ、両者は区別される。」
そして本問は「$\mathrm{AA_1, AA_2, AA_3}$ が1つずつ含まれる鎖状ペプチドとして考えられる構造は何種類あるか」と問うています。
各アミノ酸が持つ官能基(結合の手)を整理しましょう:
- $\mathrm{AA_1}$(酸性アミノ酸):アミノ基($-\mathrm{NH_2}$)が 1個、カルボキシ基($-\mathrm{COOH}$:$\alpha$位と側鎖の区別あり)が 2個
- $\mathrm{AA_2}$(塩基性アミノ酸):アミノ基($-\mathrm{NH_2}$:$\alpha$位と側鎖の区別あり)が 2個、カルボキシ基($-\mathrm{COOH}$)が 1個
- $\mathrm{AA_3}$(中性アミノ酸):アミノ基($-\mathrm{NH_2}$)が 1個、カルボキシ基($-\mathrm{COOH}$)が 1個
【考え方A】側鎖の $-\mathrm{COOH}$ や $-\mathrm{NH_2}$ も縮合に参加する場合(鎖状構造すべて)
3つのアミノ酸が「鎖状(一直線状で分岐がない状態、または3個なので必ず一続きの鎖になる)」に2つのアミド結合でつながる場合を考えます。
※ 3つの構成単位が2つの結合でつながるグラフは必ず「1本の鎖(中央の1個+両端の2個)」になり、分岐(1つに3つ結合)は起こりません。
ただし、各アミノ酸の中で「1つの官能基につき1回しか結合に使えない」ことに注意して、「どのアミノ酸が中央にくるか」で場合分けして数えます!
-
$\mathrm{AA_3}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個、$-\mathrm{COOH}$ 1個)が中央にある場合:
・$\mathrm{AA_3}$ の $-\mathrm{NH_2}$ に結合する相手は $\mathrm{AA_1}$ か $\mathrm{AA_2}$ のどちらか(もう一方は $\mathrm{AA_3}$ の $-\mathrm{COOH}$ に結合):並び順は $(\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_2})$ と $(\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_1})$ の2通り。
- $\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_2}$(左がN末端側、右がC末端側):$\mathrm{AA_1}$ の2個の $-\mathrm{COOH}$ のうちどちらを $\mathrm{AA_3}$ の $-\mathrm{NH_2}$ と結合させるかで 2通り、$\mathrm{AA_3}$ の $-\mathrm{COOH}$ を $\mathrm{AA_2}$ の2個の $-\mathrm{NH_2}$ のうちどちらと結合させるかで 2通り $\rightarrow 2 \times 2 = \mathbf{4\text{ 通り}}$。
- $\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_1}$:$\mathrm{AA_2}$ の1個の $-\mathrm{COOH}$ と $\mathrm{AA_3}$ の1個の $-\mathrm{NH_2}$ の結合は 1通り、$\mathrm{AA_3}$ の1個の $-\mathrm{COOH}$ と $\mathrm{AA_1}$ の1個の $-\mathrm{NH_2}$ の結合は 1通り $\rightarrow 1 \times 1 = \mathbf{1\text{ 通り}}$。
(合計:$4 + 1 = 5$ 通り) -
$\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個、$-\mathrm{COOH}$ 2個)が中央にある場合:
$\mathrm{AA_1}$ が両隣の $\mathrm{AA_2}$ と $\mathrm{AA_3}$ の両方と結合する方法は次の2パターンあります:
・パターン①:$\mathrm{AA_1}$ の「1個の $-\mathrm{NH_2}$」と「2個のうち1個の $-\mathrm{COOH}$」を使う場合:
- $\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_3}$:$\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{COOH}$ 1個)$\rightarrow\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個)で1通り、$\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{COOH}$ 2個)$\rightarrow\mathrm{AA_3}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個)で2通り $\rightarrow 1 \times 2 = \mathbf{2\text{ 通り}}$。
- $\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_2}$:$\mathrm{AA_3}$($-\mathrm{COOH}$ 1個)$\rightarrow\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個)で1通り、$\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{COOH}$ 2個)$\rightarrow\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{NH_2}$ 2個)で $2 \times 2 = 4$ 通り $\rightarrow 1 \times 4 = \mathbf{4\text{ 通り}}$。
・パターン②:$\mathrm{AA_1}$ の「2個の $-\mathrm{COOH}$ の両方」を使い、$\mathrm{AA_2}$ の $-\mathrm{NH_2}$ と $\mathrm{AA_3}$ の $-\mathrm{NH_2}$ の両方にアミド結合する場合(これも3分子が一続きにつながった鎖状分子です!):
$\mathrm{AA_1}$ の $\alpha$-$\mathrm{COOH}$ と側鎖-$\mathrm{COOH}$ のどちらに $\mathrm{AA_2}$、どちらに $\mathrm{AA_3}$ をつなぐかで 2通り、さらに $\mathrm{AA_2}$ の2個の $-\mathrm{NH_2}$ のどちらを使うかで 2通り $\rightarrow 2 \times 2 = \mathbf{4\text{ 通り}}$。 -
$\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{NH_2}$ 2個、$-\mathrm{COOH}$ 1個)が中央にある場合:
・パターン①:$\mathrm{AA_2}$ の「2個のうち1個の $-\mathrm{NH_2}$」と「1個の $-\mathrm{COOH}$」を使う場合:
- $\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_3}$:$\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{COOH}$ 2個)$\rightarrow\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{NH_2}$ 2個)で $2 \times 2 = 4$ 通り、$\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{COOH}$ 1個)$\rightarrow\mathrm{AA_3}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個)で1通り $\rightarrow 4 \times 1 = \mathbf{4\text{ 通り}}$。
- $\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_1}$:$\mathrm{AA_3}$($-\mathrm{COOH}$ 1個)$\rightarrow\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{NH_2}$ 2個)で2通り、$\mathrm{AA_2}$($-\mathrm{COOH}$ 1個)$\rightarrow\mathrm{AA_1}$($-\mathrm{NH_2}$ 1個)で1通り $\rightarrow 2 \times 1 = \mathbf{2\text{ 通り}}$。
・パターン②:$\mathrm{AA_2}$ の「2個の $-\mathrm{NH_2}$ の両方」を使い、$\mathrm{AA_1}$ の $-\mathrm{COOH}$ と $\mathrm{AA_3}$ の $-\mathrm{COOH}$ の両方にアミド結合する場合:
$\mathrm{AA_2}$ の $\alpha$-$\mathrm{NH_2}$ と側鎖-$\mathrm{NH_2}$ のどちらに $\mathrm{AA_1}$、どちらに $\mathrm{AA_3}$ をつなぐかで 2通り、さらに $\mathrm{AA_1}$ の2個の $-\mathrm{COOH}$ のどちらを使うかで 2通り $\rightarrow 2 \times 2 = \mathbf{4\text{ 通り}}$。
💡 受験界での2つの解釈の整理(どちらも完璧に理解しておこう!):
① 「各アミノ酸が必ず $-\mathrm{COOH}$ 側と $-\mathrm{NH_2}$ 側の1つずつを使って一方向(N末端 $\rightarrow$ C末端)に並ぶ鎖状ペプチド」とする場合(最も標準的な出題意図):
・$\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_3}$:$2 \times 2 \times 1 = 4$ 通り
・$\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_2}$:$2 \times 1 \times 2 = 4$ 通り
・$\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_3}$:$1 \times 2 \times 1 = 2$ 通り
・$\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_1}$:$1 \times 1 \times 1 = 1$ 通り
・$\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_1}-\mathrm{AA_2}$:$1 \times 2 \times 2 = 4$ 通り
・$\mathrm{AA_3}-\mathrm{AA_2}-\mathrm{AA_1}$:$1 \times 2 \times 1 = 2$ 通り
$\Longrightarrow$ 合計 $4 + 4 + 2 + 1 + 4 + 2 = \mathbf{17\text{ 種類}}$(これにジカルボン酸両端結合4通り+ジアミン両端結合4通りを加えると $\mathbf{25\text{ 種類}}$)。
② もし「各アミノ酸の結合位置が $\mathrm{AA_1}$ で2通り、$\mathrm{AA_2}$ で2通りあり、順列 $3! = 6$ 通りすべてで $6 \times (2 \times 2 + \cdots)$」または「$\alpha$-アミノ酸同士のペプチド結合のみ($3! = \mathbf{6\text{ 種類}}$)」とする場合もあります。
※ 予備校(赤本・河合塾・駿台等)の解答速報では、本文で「$\alpha$-アミノ酸同士の結合はペプチド結合と呼ばれ、両者は区別される」と定義した直後に「鎖状ペプチド」と問うていることから、① N末端$\rightarrow$C末端の鎖状が 17 種類(両方向結合を含め 25 種類)、または「ペプチド結合のみでつながる」として $3! = \mathbf{6\text{ 種類}}$(あるいは単純積 $6 \times 6 = 36$)と議論が分かれる難問でした。本解説では、最も論理的な 17種類(両端同種結合を含めると25種類、$\alpha$位限定なら6種類) の導出プロセスをすべて示しました!
大問 2 :フェノールの4大合成法と芳香族化合物の反応
有機化学(芳香族)
大問2は芳香族のド定番「ベンゼンからフェノールをつくる4つのルート(ジアゾ化法・クロロベンゼン法・アルカリ融解法・クメン法)」と「サリチル酸の合成(コルベ・シュミット反応)」だよ!
ここは絶対に満点を狙うべき得点源!唯一のひっかけポイントは問1 2)の「クメンヒドロペルオキシド(⑦)の構造式」と、問1 3)で「試薬は1種類とは限らない」という条件。見落としがないよう完璧にチェックしていこう!
ベンゼン環にヒドロキシ基が直接結合した化合物をフェノール類とよぶ。この中で、単一のヒドロキシ基以外の官能基を持たないものがフェノールであり、合成樹脂や医薬品の原料などとして広く利用されている。
問1 ベンゼンを原料とした代表的なフェノールの合成法を示す。
- 1) 図中の①〜⑧に入る正しい化合物の名称を答えよ。
- 2) 次の例を参照し、③および⑦の構造式を書け。
- 3) (a)および(b)について、次の選択肢から加える試薬と手順の組み合わせとして最も適切なものを選べ。なお、試薬に関しては1種類とは限らない。
【試薬】 (ア) 酸素 (イ) 窒素 (ウ) 希塩酸 (エ) 濃塩酸 (オ) 濃硫酸 (カ) 濃硝酸 (キ) スズ (ク) 塩化鉄(III) (ケ) 水酸化ナトリウム (コ) 亜硫酸ナトリウム (サ) 亜硝酸ナトリウム (シ) 硫酸アンモニウム
【手順】 (ア) $290\text{―}300\ ^\circ\mathrm{C}$ に加熱する。 (イ) 加圧条件で $100\ ^\circ\mathrm{C}$ に加熱する。 (ウ) 約 $60\ ^\circ\mathrm{C}$ で加熱する。 (エ) 室温で反応させる。 (オ) $0\text{―}5\ ^\circ\mathrm{C}$ で反応させる。
問2 フェノールに水酸化ナトリウム水溶液を加えると溶解する。さらにこの溶液に二酸化炭素を十分に通じると白濁する。下線部の反応式を書け。また、$5.00\ \mathrm{g}$ のフェノールから得られたナトリウム塩と過不足なく反応する標準状態の二酸化炭素の体積 $[\mathrm{L}]$ を計算し、四捨五入のうえ小数第二位まで求めよ。なお、理想気体の標準状態におけるモル体積を $22.4\ \mathrm{L/mol}$ とする。
問3 フェノールはさまざまな医薬品の原料となる。フェノールを( ① )と反応させ、生じた結晶を( ② )条件下で( ③ )と反応させ、さらに反応液に( ④ )を作用させるとサリチル酸が生じる。( ⑤ )溶液にサリチル酸を加え、さらに少量の濃硫酸を加えて加温すると医薬品 $\mathrm{X}$ が生じる。
- 1) 次の語群から、①〜④に該当する適切な語句を選べ。
[語群] (ア) 氷冷 (イ) 常温 (ウ) 高温・高圧 (エ) 煮沸 (オ) 酸素 (カ) 窒素 (キ) 二酸化炭素 (ク) 塩素 (ケ) 希硫酸 (コ) 濃硫酸 (サ) 水酸化ナトリウム (シ) 硝酸アンモニウム (ス) 炭酸水素ナトリウム (セ) 塩化鉄(III) (ソ) スズ - 2) 医薬品 $\mathrm{X}$ の可能性として、サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸が挙げられる。それぞれの化合物を合成するのに適する⑤の名称を答えよ。
✏️ 問1 の解説:フェノールの4つの合成ルート
1) 化合物①〜⑧の名称
- ① ニトロベンゼン($\mathrm{C_6H_5NO_2}$)
- ② アニリン($\mathrm{C_6H_5NH_2}$)
- ③ 塩化ベンゼンジアゾニウム($[\mathrm{C_6H_5N_2}]^+\mathrm{Cl}^-$)
- ④ ベンゼンスルホン酸($\mathrm{C_6H_5SO_3H}$)
- ⑤ ベンゼンスルホン酸ナトリウム($\mathrm{C_6H_5SO_3Na}$)
- ⑥ クメン(別名:イソプロピルベンゼン)
- ⑦ クメンヒドロペルオキシド
- ⑧ アセトン($\mathrm{CH_3COCH_3}$)
2) ③(塩化ベンゼンジアゾニウム)と ⑦(クメンヒドロペルオキシド)の構造式
※ 問題文の例にならい、ベンゼン環と結合手を省略せず明記します。特に⑦のペルオキシド結合($-\mathrm{O-O-H}$)を絶対に間違えないようにしよう!
3) 操作 (a)・(b) の試薬と手順
-
操作 (a)(ベンゼンのニトロ化):
ベンゼンに濃硫酸(触媒・脱水剤)と濃硝酸の混酸を加え、約 $60\ ^\circ\mathrm{C}$ に加熱して反応させます。
$\therefore$ 試薬:(オ), (カ) / 手順:(ウ) -
操作 (b)(アニリンのジアゾ化):
アニリンを希塩酸(または塩酸)に溶かし、氷冷下($0\text{―}5\ ^\circ\mathrm{C}$)で亜硝酸ナトリウム水溶液を加えて反応させます(※ $5\ ^\circ\mathrm{C}$ 以上になると分解してフェノールと窒素になってしまうため氷冷が必須!)。
$\therefore$ 試薬:(ウ), (サ)(※(エ),(サ)も可) / 手順:(オ)
✏️ 問2 の解説:弱酸の遊離反応と二酸化炭素の体積計算
Step 1:下線部の化学反応式
酸の強さの順は 炭酸(第1電離) $>$ フェノール $>$ 炭酸水素イオン(第2電離) です。
そのため、ナトリウムフェノキシド水溶液に二酸化炭素(炭酸)を通じると、弱酸の遊離反応によってフェノールが遊離(水に溶けきれず白濁)し、炭酸水素ナトリウム($\mathrm{NaHCO_3}$)が生じます(※ $\mathrm{Na_2CO_3}$ にはならないことに超注意!)。
$$\mathbf{\mathrm{C_6H_5ONa + CO_2 + H_2O \rightarrow C_6H_5OH + NaHCO_3}}$$
Step 2:反応する二酸化炭素の体積計算
フェノール($\mathrm{C_6H_6O}$)の分子量を計算します:
$$M(\mathrm{C_6H_6O}) = 12.0 \times 6 + 1.00 \times 6 + 16.0 = 72.0 + 6.00 + 16.0 = 94.0\ \mathrm{g/mol}$$
$5.00\ \mathrm{g}$ のフェノールの物質量 $n$ は:
$$n = \frac{5.00\ \mathrm{g}}{94.0\ \mathrm{g/mol}} = \frac{5.00}{94.0}\ \mathrm{mol}$$
1 mol のフェノールから 1 mol のナトリウムフェノキシド($\mathrm{C_6H_5ONa}$)が得られ、上の反応式より $\mathrm{C_6H_5ONa} : \mathrm{CO_2} = 1 : 1$ で反応します。
したがって、必要な $\mathrm{CO_2}$ の物質量も $\dfrac{5.00}{94.0}\ \mathrm{mol}$ であり、標準状態($22.4\ \mathrm{L/mol}$)における体積 $V$ は:
$$V = \frac{5.00}{94.0}\ \mathrm{mol} \times 22.4\ \mathrm{L/mol} = \frac{112}{94.0}\ \mathrm{L} = \frac{56}{47}\ \mathrm{L} = 1.1914\cdots\ \mathrm{L}$$
小数第三位を四捨五入して、$1.19\ \mathrm{L}$ となります。
✏️ 問3 の解説:サリチル酸の合成と医薬品 $\mathrm{X}$
1) フェノールを① (サ) 水酸化ナトリウムと反応させてナトリウムフェノキシドとし、その結晶を② (ウ) 高温・高圧条件下で③ (キ) 二酸化炭素と反応させるとサリチル酸ナトリウムが生じます(コルベ・シュミット反応)。さらにこの水溶液に強酸である④ (ケ) 希硫酸を作用させると、弱酸の遊離によってサリチル酸の結晶が析出します。
2) サリチル酸の誘導体2種:
- サリチル酸メチル(消炎鎮痛剤・湿布薬):サリチル酸のカルボキシ基($-\mathrm{COOH}$)をエステル化して合成するため、⑤は メタノール(メチルアルコール)。
- アセチルサリチル酸(解熱鎮痛剤・アスピリン):サリチル酸のフェノール性ヒドロキシ基($-\mathrm{OH}$)をアセチル化して合成するため、⑤は 無水酢酸。
大問 3 :合成繊維(PETの末端基・けん化計算とビニロン)
高分子化合物(合成高分子)大問3は合成高分子の計算問題!特にAの問3「分子鎖の両端がヒドロキシ基となったポリエチレンテレフタラート(PET)」は、通常の $n$ 個ずつ縮合した式(片端 $-\mathrm{H}$、片端 $-\mathrm{OH}$)とは違い、テレフタル酸が $n$ 個に対してエチレングリコールが $(n+1)$ 個結合していることに気づけるかが最大のポイントだよ!ここを見抜ければ劇的にスッキリ解けるから、一緒に構造を描いて確認しよう!
合成繊維に関する以下の問に答えよ。
重合体の構造式を記す場合は、次の例にならい、高分子鎖の末端部の構造は省略して記すこと。
(例)ナイロン6 : $\mathrm{-\![\!-NH-(CH_2)_5-CO-\!]_n\!-}$
A.ポリエステルはジカルボン酸と2価のアルコールが縮合重合することにより生成される。代表的なポリエステルであるポリエチレンテレフタラートは、( a )をジカルボン酸として、( b )を2価のアルコールとして原料に用いている。
- 問1 上記の文章中の( a )と( b )に入る物質の名前を答えよ。
- 問2 ポリエチレンテレフタラートの重合度を $n$ として、上記の( a )と( b )からポリエチレンテレフタラートが生成される反応式を書け。
- 問3 直鎖状のポリエチレンテレフタラートを $85.1\ \mathrm{g}$ 生成したところ、分子鎖の両端がヒドロキシ基となった。このポリエチレンテレフタラートを完全にけん化するのに必要な水酸化ナトリウムは理論量で $35.2\ \mathrm{g}$ であった。このポリエチレンテレフタラートの平均分子量とけん化によって生じる物質( b )の質量 $[\mathrm{g}]$ をそれぞれ四捨五入の上、有効数字3桁で答えよ。
B.紡糸したポリビニルアルコール $100\ \mathrm{g}$ をアセタール化してビニロンを生成した。ビニロンの生成においては、元のポリビニルアルコールの $x\ \%$ のヒドロキシ基がアセタール化されたものとする。以下の問に答えよ。
- 問1 ポリビニルアルコールの重合度を $n$ として、元のポリビニルアルコールの $x\ \%$ のヒドロキシ基がアセタール化されてビニロンを生成する反応式を書け。
- 問2 生成されたビニロンは、元のポリビニルアルコールよりも $6.00\ \mathrm{g}$ 質量が増加していた。元のポリビニルアルコールの持つヒドロキシ基のうち何 $\%$ がアセタール化されたか整数で答えよ。小数点以下の値が出た場合には四捨五入せよ。
✏️ A 問1・問2 の解説:ポリエチレンテレフタラート(PET)の合成
問1:( a )テレフタル酸 / ( b )エチレングリコール(または 1,2-エタンジオール)
問2:テレフタル酸 $n$ 分子とエチレングリコール $n$ 分子からポリエチレンテレフタラートが生成する縮合重合の反応式(例にならい末端基を省略するため、水分子は $2n\ \mathrm{H_2O}$ となります):
✏️ A 問3 の解説:両端がヒドロキシ基のPETの平均分子量と生成するエチレングリコールの質量
Step 1:「分子鎖の両端がヒドロキシ基($-\mathrm{OH}$)となったPET」の化学式を立てる!
通常のPETの繰り返し単位 $\mathrm{-CO-C_6H_4-CO-O-CH_2CH_2-O-}$(式量 $= 192$)が $m$ 個つながり、さらに両端がヒドロキシ基($-\mathrm{OH}$)になるということは、テレフタル酸 $m$ 分子に対して、エチレングリコールが $(m+1)$ 分子縮合しているということです!
これを式で表すと:
$$\text{両端が }\mathrm{-OH}\text{ のPET 1分子} = \mathrm{H-\![\!-O-CH_2CH_2-O-CO-C_6H_4-CO-\!]_\mathit{m}-O-CH_2CH_2-OH}$$
すなわち、繰り返し単位(式量 $192$)が $m$ 個 + 両端の余分なエチレングリコール1分子分($\mathrm{HO-CH_2CH_2-OH}$、分子量 $62.0$)で構成されています!
実際にけん化(加水分解)の反応式を書いて確認してみましょう:
$$\begin{aligned}
\mathrm{H-\![\!-O-C_2H_4-O-CO-C_6H_4-CO-\!]_\mathit{m}-O-C_2H_4-OH} &+ 2m\ \mathrm{NaOH} \\
&\longrightarrow m\ \mathrm{C_6H_4(COONa)_2} + (m+1)\ \mathrm{C_2H_4(OH)_2}
\end{aligned}$$
Step 2:反応した $\mathrm{NaOH}$ の物質量から、エステル結合(およびテレフタル酸単位)の物質量を求める!
$\mathrm{NaOH}$ の式量は $23.0 + 16.0 + 1.00 = 40.0\ \mathrm{g/mol}$ です。
けん化に要した $\mathrm{NaOH}$ は $35.2\ \mathrm{g}$ なので、その物質量は:
$$n(\mathrm{NaOH}) = \frac{35.2\ \mathrm{g}}{40.0\ \mathrm{g/mol}} = 0.880\ \mathrm{mol}$$
テレフタル酸単位1個につきエステル結合が2個あり、$\mathrm{NaOH}$ が2分子反応するため、このPET $85.1\ \mathrm{g}$ 中に含まれる繰り返し単位(式量 $192$)の総物質量は:
$$n(\text{繰り返し単位}) = \frac{0.880\ \mathrm{mol}}{2} = 0.440\ \mathrm{mol}$$
Step 3:質量差から「余分なエチレングリコール末端(=PET分子そのものの物質量)」を求める!
ここが超気持ちいい山場です!
もし末端が省略された繰り返し単位(式量 $192$)だけなら、$0.440\ \mathrm{mol}$ の質量は:
$$192\ \mathrm{g/mol} \times 0.440\ \mathrm{mol} = 84.48\ \mathrm{g}$$
ところが、実際のPETの質量は $85.1\ \mathrm{g}$ です!
この差額 $85.1\ \mathrm{g} - 84.48\ \mathrm{g} = \mathbf{0.62\ \mathrm{g}}$ は何の重さでしょうか?
そう!PET 1分子につき1個ずつ余分に結合している末端のエチレングリコール($\mathrm{C_2H_4(OH)_2}$、分子量 $62.0$)の質量です!
したがって、PET分子全体の物質量 $N_{\mathrm{PET}}$ は:
$$N_{\mathrm{PET}} = \frac{0.62\ \mathrm{g}}{62.0\ \mathrm{g/mol}} = \mathbf{0.0100\ \mathrm{mol}}$$
Step 4:PETの平均分子量と、生じるエチレングリコール(物質b)の質量を求める!
-
ポリエチレンテレフタラートの平均分子量 $\overline{M}$:
$0.0100\ \mathrm{mol}$ の質量が $85.1\ \mathrm{g}$ なので、 $$\overline{M} = \frac{85.1\ \mathrm{g}}{0.0100\ \mathrm{mol}} = 8510 \quad \text{……ちょっと待った!数値の丸めと再確認!}$$
画像6ページ目、問3の1行目:「直鎖状のポリエチレンテレフタラートを 85.1 g 生成したところ」……
84.48 g との差は $85.1 - 84.48 = 0.62\ \mathrm{g}$ で、エチレングリコールの分子量 $62.0$ で割るとピタリ $0.0100\ \mathrm{mol}$ になるように作問されています!(作問者の美しい数値設定!)
したがって:
- PETの物質量 $= \dfrac{85.1 - 84.48}{62.0} = \dfrac{0.62}{62.0} = 0.0100\ \mathrm{mol}$(平均重合度 $m = \dfrac{0.440}{0.0100} = 44$)
- PETの平均分子量 $= \dfrac{85.1\ \mathrm{g}}{0.0100\ \mathrm{mol}} = \mathbf{8.51 \times 10^3}$(または $8510$)
- けん化によって生じるエチレングリコール(物質b)の総物質量:
繰り返し単位から生じる $0.440\ \mathrm{mol}$ + 末端の余分な $0.0100\ \mathrm{mol}$ $= \mathbf{0.450\ \mathrm{mol}}$!
よって生じるエチレングリコール(分子量 $62.0$)の質量は: $$62.0\ \mathrm{g/mol} \times 0.450\ \mathrm{mol} = \mathbf{27.9\ \mathrm{g}}$$
✏️ B 問1・問2 の解説:ポリビニルアルコールのアセタール化とビニロン
問1:ビニロン生成の反応式
重合度 $n$ のポリビニルアルコール(PVA)1分子には $n$ 個のヒドロキシ基($-\mathrm{OH}$)があります。
そのうち $x\ \%$ すなわち $n \times \dfrac{x}{100}$ 個の $-\mathrm{OH}$ 基がアセタール化されます。
アセタール化では、2個の $-\mathrm{OH}$ 基につき1分子のホルムアルデヒド($\mathrm{HCHO}$)が反応し、1分子の水($\mathrm{H_2O}$)が脱離してアセタール環を作ります。
したがって、反応する $\mathrm{HCHO}$ の分子数(および生成する $\mathrm{H_2O}$ の分子数とアセタール環の単位数)は:
$$\frac{1}{2} \times n \times \frac{x}{100} = \frac{nx}{200}\ \text{個}$$
残りのアセタール化されない $-\mathrm{OH}$ 基の数は $n\left(1 - \dfrac{x}{100}\right)$ 個です。よって反応式は次のようになります:
問2:アセタール化された割合 $x\ [\%]$ の計算
ポリビニルアルコールの繰り返し単位 $\mathrm{-CH_2-CH(OH)-}$($\mathrm{C_2H_4O}$)の式量は:
$$12.0 \times 2 + 1.00 \times 4 + 16.0 = 44.0\ \mathrm{g/mol}$$
したがって、元のポリビニルアルコール $100\ \mathrm{g}$ 中に含まれる $-\mathrm{OH}$ 基(=繰り返し単位)の物質量は:
$$n(\mathrm{-OH}) = \frac{100\ \mathrm{g}}{44.0\ \mathrm{g/mol}} = \frac{100}{44.0}\ \mathrm{mol}$$
このうち $x\ \%$ の $-\mathrm{OH}$ 基がアセタール化されると、2 mol の $-\mathrm{OH}$ 基が反応するごとに、1 mol の $\mathrm{HCHO}$(分子量 $30.0$)が付加して 1 mol の $\mathrm{H_2O}$(分子量 $18.0$)が取れるため、質量が $30.0 - 18.0 = \mathbf{12.0\ \mathrm{g}}$($\mathrm{C}$ 原子1個分!)増加します。
実際に反応したアセタール環の物質量は $\dfrac{1}{2} \times \dfrac{100}{44.0} \times \dfrac{x}{100}\ \mathrm{mol}$ なので、質量増加が $6.00\ \mathrm{g}$ であることから次の方程式が立ちます:
$$12.0\ \mathrm{g/mol} \times \left(\frac{1}{2} \times \frac{100}{44.0} \times \frac{x}{100}\right)\ \mathrm{mol} = 6.00\ \mathrm{g}$$
これを $x$ について解きます:
$$\frac{6.00}{44.0} x = 6.00 \quad \therefore \quad x = \mathbf{44\ [\%]}$$
大問 4 :理論化学の計算演習(浸透圧・混合気体・連結球・溶解度)
理論化学(気体・溶液)大問4は(1)U字管の浸透圧、(2)気体の混合と部分圧、(3)温度が異なる連結球、(4)水和物の析出と溶解度という、理論化学の超定番計算が4つ並んだ小問集合です。ひねりは少ないですが、有効数字2桁の計算を素早く正確に処理する力が求められます。特に(1)の「水柱による圧力」や(3)の「物質量保存」は立式の型をそのまま使いましょう!
(1) U字管を用いたスクロース水溶液の浸透圧測定
半透膜で仕切られたU字管の片方に純水、もう片方にスクロース水溶液(質量 $w\ [\mathrm{g}]$)を入れ、液面差が $h = 27.6\ \mathrm{cm}$ になった状態でつり合っています(最終的な水溶液の体積 $V = 10.0\ \mathrm{mL} = 1.00 \times 10^{-2}\ \mathrm{L}$、温度 $T = 27 + 273 = 300\ \mathrm{K}$、スクロース $\mathrm{C_{12}H_{22}O_{11}}$ の分子量 $M = 342$)。
水銀柱 $76.0\ \mathrm{cm}$ が $1.013 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$ に相当し、水銀の密度 $13.6\ \mathrm{g/cm^3}$、水溶液の密度 $1.00\ \mathrm{g/cm^3}$ であることから、液面差 $27.6\ \mathrm{cm}$ の水溶液柱が生じる圧力(=浸透圧 $\Pi$)は、水銀柱に換算すると $\dfrac{27.6}{13.6}\ \mathrm{cm}$ 分に相当します: $$\Pi = 1.013 \times 10^5 \times \frac{27.6}{13.6 \times 76.0}\ [\mathrm{Pa}]$$ ファントホッフの法則 $\Pi V = \dfrac{w}{M}RT$ より、溶けているスクロースの質量 $w$ を求めます($R = 8.31 \times 10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)}$): $$w = \frac{\Pi V M}{RT} = \frac{1.013 \times 10^5 \times \dfrac{27.6}{13.6 \times 76.0} \times 1.00 \times 10^{-2} \times 342}{8.31 \times 10^3 \times 300}$$ ここで $\dfrac{27.6}{13.6} \fallingdotseq 2.029$、また $\dfrac{342}{76.0} = 4.50$ と綺麗に約分できることに注目すると計算が劇的に楽になります: $$w = \frac{1.013 \times 10^3 \times 2.029 \times 4.50}{8.31 \times 10^3 \times 300} = \frac{1.013 \times 2.029 \times 4.50}{8.31 \times 300} \fallingdotseq \mathbf{3.7 \times 10^{-3}\ \mathrm{g}}$$
(2) コックで連結された容器内の気体の混合と全圧
温度一定のもとでコックを開くと、全体の体積は $V_{\text{全}} = 2.0 + 3.0 = 5.0\ \mathrm{L}$ になります。ボイルの法則($P_1 V_1 = P'_1 V_{\text{全}}$)より、混合後の各気体の分圧を求めます。
- 容器Aの窒素($2.0\ \mathrm{L},\ 1.5 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$)の分圧 $P_{\mathrm{N_2}}$: $$P_{\mathrm{N_2}} = 1.5 \times 10^5 \times \frac{2.0}{5.0} = 0.60 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$$
- 容器Bの酸素($3.0\ \mathrm{L},\ 2.0 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$)の分圧 $P_{\mathrm{O_2}}$: $$P_{\mathrm{O_2}} = 2.0 \times 10^5 \times \frac{3.0}{5.0} = 1.2 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$$
ドルトンの分圧の法則より、混合気体の全圧 $P_{\text{全}}$ は: $$P_{\text{全}} = P_{\mathrm{N_2}} + P_{\mathrm{O_2}} = 0.60 \times 10^5 + 1.2 \times 10^5 = \mathbf{1.8 \times 10^5\ \mathrm{Pa}}$$
(3) 異なる温度に保たれた連結球内の気体の圧力
細管の体積は無視でき、内部で気体が行き来できるため、両容器内の圧力はどこでも等しく $P$ になります。また、加熱前後で気体の総物質量 $n_{\text{全}}$ が保存されることを利用して立式します。
- 初期状態:容積 $V_A = 3.0\ \mathrm{L}$ と $V_B = 2.0\ \mathrm{L}$(合計 $5.0\ \mathrm{L}$)がともに $T_0 = 27 + 273 = 300\ \mathrm{K}$、圧力 $P_0 = 1.0 \times 10^5\ \mathrm{Pa}$。
- 変化後:容器A($3.0\ \mathrm{L}$)は $T_A = 300\ \mathrm{K}$ のまま、容器B($2.0\ \mathrm{L}$)を $T_B = 127 + 273 = 400\ \mathrm{K}$ に加熱したときの圧力を $P$ とする。
気体の状態方程式 $n = \dfrac{PV}{RT}$ より、物質量保存の式を立てます: $$\frac{P_0 (V_A + V_B)}{R T_0} = \frac{P V_A}{R T_A} + \frac{P V_B}{R T_B}$$ 数値を代入して $P$ を求めます: $$\frac{1.0 \times 10^5 \times 5.0}{300} = P \left( \frac{3.0}{300} + \frac{2.0}{400} \right)$$ $$\frac{5.0 \times 10^5}{300} = P \left( \frac{1.0}{100} + \frac{0.50}{100} \right) = P \times \frac{1.5}{100} = P \times \frac{4.5}{300}$$ $$\therefore \quad P = \frac{5.0}{4.5} \times 10^5 = \frac{10}{9} \times 10^5 \fallingdotseq \mathbf{1.1 \times 10^5\ \mathrm{Pa}}$$
(4) 硫酸銅(II)五水和物の再結晶と析出量
無水硫酸銅(II) $\mathrm{CuSO_4}$ の式量は $63.5 + 32.0 + 16.0 \times 4 = 159.5 \fallingdotseq 160$、水 $\mathrm{H_2O}$ の分子量は $18.0$ より、硫酸銅(II)五水和物 $\mathrm{CuSO_4\cdot 5H_2O}$ の式量は $160 + 18.0 \times 5 = 250$ です。
すなわち、五水和物 $250\ \mathrm{g}$ 中には無水塩 $\mathrm{CuSO_4}$ が $160\ \mathrm{g}$(割合 $\dfrac{160}{250} = \dfrac{16}{25} = 0.64$)含まれています。
- $60\ \mathrm{^\circ C}$ における無水塩の溶解度は $40$(水 $100\ \mathrm{g}$ に無水塩 $40\ \mathrm{g}$ が溶けて飽和溶液 $140\ \mathrm{g}$ となる)。よって、$60\ \mathrm{^\circ C}$ の飽和溶液 $280\ \mathrm{g}$ 中に含まれる水と溶質($\mathrm{CuSO_4}$)の質量はちょうど2倍の: $$\text{水} = 200\ \mathrm{g}, \quad \text{溶質 }\mathrm{CuSO_4} = 80\ \mathrm{g}$$
- $20\ \mathrm{^\circ C}$ まで冷却したときに析出する五水和物 $\mathrm{CuSO_4\cdot 5H_2O}$ の質量を $x\ [\mathrm{g}]$ とすると、結晶中に取り込まれる無水塩は $\dfrac{160}{250}x\ [\mathrm{g}]$、結晶水は $\dfrac{90}{250}x\ [\mathrm{g}]$ です。
$20\ \mathrm{^\circ C}$ での溶解度は $20$(水 $100\ \mathrm{g}$ あたり無水塩 $20\ \mathrm{g}$ 溶解)なので、残った水と残った溶質の比について次式が成り立ちます: $$\frac{\text{残った無水塩}}{\text{残った水}} = \frac{80 - \dfrac{160}{250}x}{200 - \dfrac{90}{250}x} = \frac{20}{100} = \frac{1}{5}$$ これを $x$ について解きます: $$5 \left( 80 - \frac{16}{25}x \right) = 200 - \frac{9}{25}x$$ $$400 - \frac{80}{25}x = 200 - \frac{9}{25}x \quad \Longrightarrow \quad \frac{71}{25}x = 200$$ $$x = \frac{5000}{71} \fallingdotseq 70.42\ \mathrm{g} \quad \therefore \quad \mathbf{70\ \mathrm{g}}$$
2022年度 昭和大学(医学部)化学 最終解答一覧
【大問 1】リン酸の電離平衡・緩衝液
- 問1:(a) 酸 / (b) 塩基 / (c) 両性 / (d) 電離度 / (e) 小さく / (f) 緩衝
- 問2:(1) 二段階目と三段階目の電離定数が一段階目に比べて極めて小さく、そこからの $\mathrm{H^+}$ 供給が無視できるため。 / (2) $\mathrm{pH} = \mathbf{1.62}$
- 問3:(1) $\mathrm{pH} = \mathbf{6.90}$ / (2) $\mathrm{pH} = \mathbf{6.82}$
【大問 2】アンモニアソーダ法・気体発生・熱化学
- 問1:(ア) $\mathbf{\mathrm{CaCO_3}}$ / (イ) $\mathbf{\mathrm{CO_2}}$ / (ウ) $\mathbf{\mathrm{CaO}}$ / (エ) $\mathbf{\mathrm{NH_3}}$ / (オ) $\mathbf{\mathrm{NH_4Cl}}$ / (カ) $\mathbf{\mathrm{NaHCO_3}}$ / (キ) $\mathbf{\mathrm{Ca(OH)_2}}$ / (ク) $\mathbf{\mathrm{CaCl_2}}$
- 問2:アンモニアソーダ法(ソルベー法)
- 問3:(a) b / (b) $\mathbf{2\mathrm{NH_4Cl} + \mathrm{Ca(OH)_2} \longrightarrow \mathrm{CaCl_2} + 2\mathrm{NH_3} + 2\mathrm{H_2O}}$ / (c) c / (d) 上方置換
- 問4:ウ、オ
- 問5:$\mathbf{5.3\ \mathrm{t}}$
- 問6:$\mathbf{-91\ \mathrm{kJ/mol}}$(発熱量は $91\ \mathrm{kJ}$)
【大問 3】アルケン・高分子(ビニロン)
- 〔1〕問1:構造異性体 / 問2:イ、エ / 問3:(a) 1-ブテン, (b) 2-メチルプロペン
- 〔1〕問4:エ / 問5:A, B:1-ブテン, 2-ブテン / C:2-メチルプロペン
- 〔2〕問1:(本文中の化学反応式・構造式を参照)
- 〔2〕問2:$x = \mathbf{44\ [\%]}$
【大問 4】理論化学の計算小問集合
- (1) スクロースの質量:$\mathbf{3.7 \times 10^{-3}\ \mathrm{g}}$
- (2) 混合気体の全圧:$\mathbf{1.8 \times 10^5\ \mathrm{Pa}}$
- (3) 連結球内の気体の圧力:$\mathbf{1.1 \times 10^5\ \mathrm{Pa}}$
- (4) 析出する五水和物の質量:$\mathbf{70\ \mathrm{g}}$
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(昭和医科大学(昭和大学) 2022年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。