最終解答スピードチェック一覧
まずは自分の答えと照らし合わせよう!〔1〕必須:エステルの構造決定・同位体・酸化数
- 問1:$\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_2$
- 問2:なし(または $\times$)※A〜Hすべて不斉炭素原子をもたない
- 問3:ヨードホルム(トリヨードメタン)
- 問4:
・A:酢酸イソプロピル $\text{CH}_3\text{COOCH(CH}_3)_2$
・B:プロピオン酸エチル $\text{CH}_3\text{CH}_2\text{COOCH}_2\text{CH}_3$
・C:ギ酸2-ブチル $\text{HCOOCH(CH}_3)\text{CH}_2\text{CH}_3$
(またはギ酸イソブチル等のうちヨードホルム反応陽性のアルコール由来 → ギ酸2-ブチル一択!※問2の注意点も本文で詳しく解説)
・H:2-ブタノール $\text{CH}_3\text{CH(OH)CH}_2\text{CH}_3$ - 問5:$62.9$
- 問6:2番目:②、4番目:④
〔2〕選択:結晶・分子の極性・無機・高分子小問集合
- 問1:③(塩化水素 < 臭化水素 < フッ化水素)
- 問2:③, ⑥(ドライアイス、ナフタレン)
- 問3:②, ③($\text{CH}_2\text{Cl}_2,\ \text{CH}_3\text{Cl}$)
- 問4:$3$ 種類
- 問5:③
- 問6:②
- 問7:④
- 問8:⑤($92\text{ g}$)
〔3〕選択:気体平衡($\text{N}_2\text{O}_4 \rightleftarrows 2\text{NO}_2$)・緩衝液
- 問1:$\text{N}_2\text{O}_4 \rightleftarrows 2\text{NO}_2$
- 問2:③(二酸化窒素が減る方向に平衡が移動する)
- 問3:④(赤褐色がうすくなる ※平衡移動の観点/加圧直後は濃くなりその後うすくなる)
- 問4:$2.7 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$(または $0.027\text{ mol/L}$)
- 問5:$1.4 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$(または $0.014\text{ mol/L}$)
- 問6:②($7.3 \times 10^{-3}\text{ mol}\cdot\text{L}^{-1}$)
- 問7:$\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH} \rightleftarrows \text{C}_6\text{H}_5\text{COO}^- + \text{H}^+$
- 問8:$6.4 \times 10^{-2}\text{ mol}$(または $0.064\text{ mol}$)
〔4〕選択:有機化合物の名称・状態と抽出分離
- 問1:(1) 酢酸エチル・① / (2) エタン・④ / (3) ニトロベンゼン・② / (4) 安息香酸・⑦ / (5) フェノール・⑦ / (6) ナフタレン・⑦
- 問2:溶液A:安息香酸ナトリウム $\text{C}_6\text{H}_5\text{COONa}$ / 溶液B:ナトリウムフェノキシド $\text{C}_6\text{H}_5\text{ONa}$ / 溶液C:ナフタレン $\text{C}_{10}\text{H}_8$
- 問3:コックを開き発生した二酸化炭素を抜くため。(21字)
〔5〕選択:冷却曲線と凝固点降下・無機元素
- 問1:c / 問2:① / 問3:過冷却 / 問4:A:水、B:凝固熱
- 問5:b / 問6:$1.85\text{ K}\cdot\text{kg/mol}$
- 問7:$\text{K}$ / 問8:$\text{Be},\ \text{Mg}$ / 問9:$\text{Ca}$ / 問10:$\text{CaCO}_3$
- 問11:$\text{Al}$ / 問12:$3$ / 問13:$\text{Ti}$
大問〔1〕【必須問題】エステルの構造決定・同位体と原子量・酸化数
全員必答大問〔1〕は全員必答!Aパートは分子量102のエステル($\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_2$)の異性体パズルだよ。燃焼計算で分子式を確定させたら、「加水分解で何ができるか」「銀鏡反応(ギ酸エステル!)」「ヨードホルム反応($\text{CH}_3\text{CH(OH)}-$ 構造!)」の3つの定番ヒントから一瞬で構造が決まるよ。問2の「不斉炭素原子」は化合物CとHを見落とさないのが合否の分かれ目!Bパートの同位体計算と酸化数は3分で完答して勢いをつけよう!
〔1〕以下のA,Bに答えなさい。
A:分子量が $102$ の,炭素・水素・酸素のみからなるカルボン酸エステルの化合物A,B,Cがある。化合物Aの $15.3\text{ g}$ を完全燃焼させたところ,二酸化炭素が $33.0\text{ g}$,水が $13.5\text{ g}$ 生成した。化合物Aを加水分解すると化合物Dと第二級アルコールEが得られた。化合物Bを加水分解すると,プロピオン酸と化合物Fが得られた。化合物Fを酸化すると,アルデヒドを経て化合物Dが得られた。化合物Cを加水分解すると,カルボン酸Gと,化合物Hが得られた。カルボン酸Gは,アンモニア水を加えた硝酸銀水溶液とともに試験管中で加熱すると,試験管の内壁に銀の析出がみられた。化合物Hは,ヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,黄色の沈殿を生じた。
▼ エステル A・B・C($\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_2$、分子量102)の反応系統図まとめ
問1 化合物Aの分子式を答えなさい。
STEP 1完全燃焼させた化合物Aの物質量(mol)を求める
化合物Aの分子量は $102$ であり、燃焼させた質量は $15.3\text{ g}$ です。したがって燃焼させた化合物Aの物質量 $n_{\text{A}}$ は、 $$n_{\text{A}} = \frac{15.3\text{ g}}{102\text{ g/mol}} = 0.150\text{ mol}$$
STEP 2生成した二酸化炭素 $\text{CO}_2$ と水 $\text{H}_2\text{O}$ の物質量(mol)を求める
$\text{CO}_2$ の分子量は $12.0 + 16.0 \times 2 = 44.0$、$\text{H}_2\text{O}$ の分子量は $1.0 \times 2 + 16.0 = 18.0$ なので、 $$n_{\text{CO}_2} = \frac{33.0\text{ g}}{44.0\text{ g/mol}} = 0.750\text{ mol}$$ $$n_{\text{H}_2\text{O}} = \frac{13.5\text{ g}}{18.0\text{ g/mol}} = 0.750\text{ mol}$$
STEP 3化合物A $1\text{ mol}$ あたりに含まれる $\text{C},\ \text{H},\ \text{O}$ 原子の数を求める
化合物A $0.150\text{ mol}$ から $\text{CO}_2$ が $0.750\text{ mol}$、$\text{H}_2\text{O}$ が $0.750\text{ mol}$ 生成したため、化合物A $1\text{ mol}$ 中に含まれる炭素原子 $\text{C}$ と水素原子 $\text{H}$ の物質量は、 $$\text{Cの原子数} = \frac{0.750\text{ mol}}{0.150\text{ mol}} = 5$$ $$\text{Hの原子数} = \frac{0.750\text{ mol} \times 2}{0.150\text{ mol}} = \frac{1.50\text{ mol}}{0.150\text{ mol}} = 10$$ 残りは酸素原子 $\text{O}$ です。分子量 $102$ から $\text{C}_5\text{H}_{10}$ の式量($12.0 \times 5 + 1.0 \times 10 = 70.0$)を引くと、 $$\text{Oの原子数} = \frac{102 - 70.0}{16.0} = \frac{32.0}{16.0} = 2$$ よって、分子式は $\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_2$ となります。
🔍 問2〜問4を解くための「化合物A〜H」完全特定ステップ
化合物A,B,Cはいずれも分子式 $\text{C}_5\text{H}_{10}\text{O}_2$(不飽和度 $1$)のカルボン酸エステル($\text{R}-\text{COO}-\text{R}'$、合計炭素数 $5$)です。
-
化合物BとD,Fの特定:
「化合物Bを加水分解すると、プロピオン酸($\text{CH}_3\text{CH}_2\text{COOH}$、炭素数3)と化合物Fが得られた」とあります。エステルBの合計炭素数は $5$ なので、アルコールFの炭素数は $5 - 3 = 2$ です。
よって、化合物Fはエタノール($\text{CH}_3\text{CH}_2\text{OH}$)、化合物Bはプロピオン酸エチル($\text{CH}_3\text{CH}_2\text{COOCH}_2\text{CH}_3$)と決まります。
さらに「F(エタノール)を酸化すると、アルデヒド(アセトアルデヒド)を経て化合物Dが得られた」ので、化合物Dは酢酸($\text{CH}_3\text{COOH}$)です。 -
化合物AとEの特定:
「化合物Aを加水分解すると化合物D(酢酸 $\text{CH}_3\text{COOH}$、炭素数2)と第二級アルコールEが得られた」ので、アルコールEの炭素数は $5 - 2 = 3$ です。
炭素数 $3$ の第二級アルコールは2-プロパノール(イソプロピルアルコール、$\text{CH}_3\text{CH(OH)CH}_3$)しかありません。
よって、化合物Eは 2-プロパノール、化合物Aは酢酸イソプロピル(酢酸1-メチルエチル、$\text{CH}_3\text{COOCH(CH}_3)_2$)と決まります。 -
化合物CとG,Hの特定:
「化合物Cを加水分解すると、カルボン酸GとアルコールHが得られた。カルボン酸Gはアンモニア性硝酸銀水溶液と加熱すると銀が析出(銀鏡反応)した」とあります。
銀鏡反応(還元性)を示すカルボン酸はギ酸($\text{HCOOH}$、炭素数1)だけです!よってGはギ酸です。
するとアルコールHの炭素数は $5 - 1 = 4$($\text{C}_4\text{H}_9\text{OH}$)となります。さらに「化合物Hはヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると黄色の沈殿を生じた(ヨードホルム反応陽性)」とあります。
ヨードホルム反応を示すアルコールは $\text{CH}_3-\text{CH(OH)}-\text{R}$ の構造をもつアルコールです。炭素数 $4$ のアルコールでこの構造をもつのは2-ブタノール($\text{CH}_3\text{CH(OH)CH}_2\text{CH}_3$)だけです!
よって、化合物Hは 2-ブタノール、化合物Cはギ酸2-ブチル(ギ酸1-メチルプロピル、$\text{HCOOCH(CH}_3)\text{CH}_2\text{CH}_3$)と決まります。
問2 化合物A〜Hで不斉炭素原子をもつものをすべて選び,記号で答えなさい。
4つの異なる原子または原子団が結合している炭素原子(不斉炭素原子 $\text{C}^*$)があるかをA〜Hについてすべてチェックします。
- A(酢酸イソプロピル):$\text{CH}_3\text{COOCH(CH}_3)_2$ → $\text{CH}$ に同じメチル基 $-\text{CH}_3$ が2つ結合しているので不斉炭素なし。
- B(プロピオン酸エチル):$\text{CH}_3\text{CH}_2\text{COOCH}_2\text{CH}_3$ → 不斉炭素なし。
- C(ギ酸2-ブチル):$\text{HCOO}-\text{C}^*\text{H(CH}_3)\text{CH}_2\text{CH}_3$ → 2位の炭素原子に $\text{-H},\ \text{-CH}_3,\ \text{-CH}_2\text{CH}_3,\ \text{-OOCH}$ の4つの異なる基が結合しているため、不斉炭素原子をもつ!
- D(酢酸):$\text{CH}_3\text{COOH}$ → 不斉炭素なし。
- E(2-プロパノール):$\text{CH}_3\text{CH(OH)CH}_3$ → 同じメチル基 $-\text{CH}_3$ が2つあるので不斉炭素なし。
- F(エタノール):$\text{CH}_3\text{CH}_2\text{OH}$ → 不斉炭素なし。
- G(ギ酸):$\text{HCOOH}$ → 不斉炭素なし。
- H(2-ブタノール):$\text{CH}_3-\text{C}^*\text{H(OH)}-\text{CH}_2\text{CH}_3$ → 2位の炭素原子に $\text{-H},\ \text{-OH},\ \text{-CH}_3,\ \text{-CH}_2\text{CH}_3$ の4つの異なる基が結合しているため、不斉炭素原子をもつ!
問3 下線の黄色の沈殿は何か。化合物の名称を答えなさい。
2-ブタノール($\text{CH}_3\text{CH(OH)CH}_2\text{CH}_3$)にヨウ素 $\text{I}_2$ と水酸化ナトリウム $\text{NaOH}$ 水溶液を加えて温めると、ヨードホルム反応が起こり、特有の臭気をもつヨードホルム($\text{CHI}_3$、別名:トリヨードメタン)の黄色結晶が沈殿します。
問4 化合物A,B,C,Hの構造式を書きなさい。
問題文の表記例にならい、エステル結合 $-\text{COO}-$ や枝分かれを明示した構造式を書きます。
● 化合物A(酢酸イソプロピル)
● 化合物B(プロピオン酸エチル)
● 化合物C(ギ酸2-ブチル)
● 化合物H(2-ブタノール)
B:以下の各問いに答えなさい。
問5 ある元素は,原子量 $63.5$ であり,$2$ 種の同位体からなる。軽いほうの同位体の存在比は $69.0\%$ であり,重いほうの同位体は,軽いほうの同位体より相対質量が $2.00$ だけ大きい。軽いほうの同位体の相対質量を有効数字 $3$ 桁で求めなさい。
問6 以下の各物質を,その物質に含まれる炭素原子の酸化数の大きい順に並べたとき,$2$ 番目と $4$ 番目となるものを,その順に番号で答えなさい。
① メタン ② シュウ酸 ③ 二酸化炭素 ④ 黒鉛 ⑤ 一酸化炭素
問5 軽いほうの同位体の相対質量の計算
STEP 1文字をおいて存在比を整理する
軽いほうの同位体の相対質量を $x$ とおきます。
重いほうの同位体の相対質量は、$x$ より $2.00$ だけ大きいので $(x + 2.00)$ と表せます。
また、2種の同位体の存在比の合計は $100\%$ なので、
- 軽いほうの同位体(相対質量 $x$)の存在比:$69.0\%$
- 重いほうの同位体(相対質量 $x + 2.00$)の存在比:$100\% - 69.0\% = 31.0\%$
STEP 2原子量の定義式に代入して $x$ を求める
原子量(同位体の相対質量の平均値)が $63.5$ なので、 $$x \times \frac{69.0}{100} + (x + 2.00) \times \frac{31.0}{100} = 63.5$$ 左辺を整理すると、$\frac{69.0}{100}x + \frac{31.0}{100}x = \frac{100}{100}x = x$ となるので計算がとても簡単になります! $$x + 2.00 \times 0.310 = 63.5$$ $$x + 0.620 = 63.5$$ $$x = 63.5 - 0.620 = 62.88$$ 有効数字 $3$ 桁に四捨五入すると $62.9$ となります。(※この元素は銅 $\text{Cu}$:${}^{63}\text{Cu}$ と ${}^{65}\text{Cu}$ です)
問6 炭素原子の酸化数の比較
化合物中の水素原子 $\text{H}$ の酸化数を $+1$、酸素原子 $\text{O}$ の酸化数を $-2$、単体中の原子の酸化数を $0$ として、①〜⑤の炭素原子の酸化数 $x$ をそれぞれ求めます。
- ① メタン($\text{CH}_4$): $x + (+1) \times 4 = 0 \implies \mathbf{x = -4}$
- ② シュウ酸($\text{H}_2\text{C}_2\text{O}_4$): $(+1) \times 2 + 2x + (-2) \times 4 = 0 \implies 2x - 6 = 0 \implies \mathbf{x = +3}$
- ③ 二酸化炭素($\text{CO}_2$): $x + (-2) \times 2 = 0 \implies \mathbf{x = +4}$
- ④ 黒鉛($\text{C}$、単体): 単体なので $\mathbf{x = 0}$
- ⑤ 一酸化炭素($\text{CO}$): $x + (-2) = 0 \implies \mathbf{x = +2}$
酸化数の大きい順に並べると、
1番目:③($+4$) > 2番目:②($+3$) > 3番目:⑤($+2$) > 4番目:④($0$) > 5番目:①($-4$)
したがって、2番目は ②、4番目は ④ です。
大問〔2〕【選択問題】結晶・極性・異性体・無機・高分子小問集合
選択問題(4題中3題選択)大問〔2〕は理論・無機・有機・高分子の知識と軽い計算が集まったスピード得点源!選択問題の中では真っ先に選ぶべき超おすすめ大問だよ。ひっかかりやすいのは問4の「$\text{C}_2\text{H}_2\text{Cl}_2$ の異性体数(1,1-体とシス-・トランス-の合計3種!)」と、問6・問7の合成高分子&天然高分子の正誤判定。1問ずつ根拠をはっきり確認していこう!
① 臭化水素<塩化水素<フッ化水素 ② 臭化水素<フッ化水素<塩化水素
③ 塩化水素<臭化水素<フッ化水素 ④ 塩化水素<フッ化水素<臭化水素
⑤ フッ化水素<臭化水素<塩化水素 ⑥ フッ化水素<塩化水素<臭化水素
17族(ハロゲン)の水素化物 $\text{HF},\ \text{HCl},\ \text{HBr}$ の沸点を比較します。
- フッ化水素($\text{HF}$):フッ素 $\text{F}$ の電気陰性度が極めて大きいため、分子間に強い水素結合が働きます。そのため、分子量は最も小さいにもかかわらず沸点が飛び抜けて高くなります(約 $19.5^\circ\text{C}$)。
- 塩化水素($\text{HCl}$)と臭化水素($\text{HBr}$):水素結合は働かず、主にファンデルワールス力によって分子間力が決まります。分子量が大きいほどファンデルワールス力が強くなり沸点が高くなるため、分子量 $36.5$ の $\text{HCl}$(沸点 $-85^\circ\text{C}$)よりも、分子量 $81$ の $\text{HBr}$(沸点 $-67^\circ\text{C}$)のほうが沸点が高くなります。
よって、沸点の低い順番は 塩化水素($\text{HCl}$)< 臭化水素($\text{HBr}$)< フッ化水素($\text{HF}$) となります。
① 石英 ② ソーダ石灰ガラス ③ ドライアイス ④ ダイヤモンド ⑤ 塩化ナトリウム ⑥ ナフタレン
それぞれの固体の種類(結晶の分類)を確認します。
- ① 石英($\text{SiO}_2$):共有結合の結晶
- ② ソーダ石灰ガラス:非晶質(アモルファス)であり、そもそも結晶ではない
- ③ ドライアイス(固体の $\text{CO}_2$):分子結晶(昇華性がある)
- ④ ダイヤモンド($\text{C}$):共有結合の結晶
- ⑤ 塩化ナトリウム($\text{NaCl}$):イオン結晶
- ⑥ ナフタレン($\text{C}_{10}\text{H}_8$):分子結晶(昇華性がある)
① $\text{CO}_2$ ② $\text{CH}_2\text{Cl}_2$ ③ $\text{CH}_3\text{Cl}$ ④ $\text{CCl}_4$ ⑤ $\text{C}_2\text{H}_6$
- ① $\text{CO}_2$(二酸化炭素):$\text{O}=\text{C}=\text{O}$ の直線形で左右対称なため、結合の極性が打ち消し合い無極性分子。
- ② $\text{CH}_2\text{Cl}_2$(ジクロロメタン):炭素原子を中心に四面体形の構造をとります(平面正方形ではありません!)。$\text{C}-\text{H}$ 結合2つと $\text{C}-\text{Cl}$ 結合2つの極性は立体的に打ち消し合わないため、極性分子。
- ③ $\text{CH}_3\text{Cl}$(クロロメタン):四面体形の頂点のうち1つだけが $\text{Cl}$ であり極性が偏るため、極性分子。
- ④ $\text{CCl}_4$(四塩化炭素):正四面体形で4つの $\text{C}-\text{Cl}$ 結合の極性が完全に打ち消し合うため、無極性分子。
- ⑤ $\text{C}_2\text{H}_6$(エタン):対称性の高い炭化水素であり、無極性分子。
$\text{C}_2\text{H}_2\text{Cl}_2$(ジクロロエチレン)は不飽和度が $1$ であり、炭素間二重結合 $\text{C}=\text{C}$ を1つもちます。
2つの塩素原子 $\text{Cl}$ の結合位置によって構造異性体が2通りあり、さらに1,2-ジクロロエチレンにはシス・トランスの幾何異性体が存在します。
(1) 1,1-ジクロロエチレン
幾何異性体なし
(2) シス-1,2-ジクロロエチレン
幾何異性体(cis体)
(3) トランス-1,2-ジクロロエチレン
幾何異性体(trans体)
不斉炭素原子はいずれにもないため光学異性体はありません。よって合計 $3$ 種類 です。
① 硫酸銅(II)水溶液に亜鉛板を浸すと,亜鉛板上に銅が析出する。
② 三酸化硫黄を水に溶かすと,硫酸が生成する。
③ 二酸化硫黄の水溶液は,中性である。
④ 水酸化鉛(II)は,過剰の水酸化ナトリウム水溶液に溶解する。
- ① 正しい:イオン化傾向が $\text{Zn} > \text{Cu}$ であるため、$\text{Zn} + \text{Cu}^{2+} \rightarrow \text{Zn}^{2+} + \text{Cu}\downarrow$ の反応が起こり銅が析出します。
- ② 正しい:$\text{SO}_3$ は酸性酸化物であり、水と反応して $\text{SO}_3 + \text{H}_2\text{O} \rightarrow \text{H}_2\text{SO}_4$(硫酸)を生成します。
- ③ 誤り:二酸化硫黄 $\text{SO}_2$ は水に溶けて $\text{SO}_2 + \text{H}_2\text{O} \rightleftarrows \text{H}_2\text{SO}_3$(亜硫酸)を生じ、電離して $\text{H}^+$ を出すため弱酸性を示します(中性ではありません)。
- ④ 正しい:鉛 $\text{Pb}$(あ・あ・す・な・り)は両性元素であり、水酸化鉛(II) $\text{Pb(OH)}_2$ は過剰の $\text{NaOH}$ 水溶液に溶けてテトラヒドロキソ鉛(II)酸イオン $[\text{Pb(OH)}_4]^{2-}$ となります。
① ファインセラミックスは,ケイ酸塩以外に窒化ケイ素,炭化ケイ素,酸化アルミニウムなどを含み,人工関節,集積回路,セラミックスエンジンなどさまざまな産業分野で利用されている。
② 6,6-ナイロンは,ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸が縮合重合した構造をしている。
③ 牛乳に含まれるカゼインは,複合タンパク質である。
④ 肝臓にあるカタラーゼは,過酸化水素を分解する。
⑤ 植物繊維の木綿の主成分は多糖類のセルロースで,動物繊維の羊毛の主成分はタンパク質のケラチンである。
- ① 正しい:高純度の人工原料(アルミナ、窒化ケイ素など)を焼き固めた高機能セラミックスをファインセラミックス(ニューセラミックス)といい、人工骨・人工関節やIC基板などに使われます。
- ② 誤り:6,6-ナイロンは、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸が縮合重合したポリアミドです(テレフタル酸ではありません!)。
- ③ 正しい:牛乳のカゼインはリン酸などを含むリンタンパク質(複合タンパク質の一種)です。
- ④ 正しい:カタラーゼは $2\text{H}_2\text{O}_2 \rightarrow 2\text{H}_2\text{O} + \text{O}_2\uparrow$ の反応を触媒する酵素です。
- ⑤ 正しい:木綿・麻はセルロース(多糖類)、羊毛はケラチン、絹はフィブロイン(ともにタンパク質)が主成分です。
① デンプンは,すい液中に含まれるアミラーゼによって加水分解される。
② ビニロンは,水溶性のポリビニルアルコールを,ホルムアルデヒドで処理してつくられる合成繊維である。
③ キュプラやビスコースレーヨンは,セルロースよりつくられる再生繊維である。
④ 絹は,カイコがつくる多糖が主成分の繊維である。
⑤ 亜麻仁油は,構成脂肪酸に多数の二重結合をもち,酸化されて固化しやすい。
- ① 正しい:だ液やすい液に含まれるアミラーゼはデンプンをマルトース(麦芽糖)などに加水分解します。
- ② 正しい:ポリビニルアルコール(PVA)をホルムアルデヒドでアセタール化すると合成繊維のビニロンになります。
- ③ 正しい:セルロースを一度溶媒に溶かして繊維状に再生したものを再生繊維といい、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)やビスコースレーヨンがあります。
- ④ 誤り:絹はカイコの繭からとれる動物繊維であり、主成分は多糖ではなくタンパク質(フィブロイン)です。
- ⑤ 正しい:亜麻仁油(あまにゆ)はリノレン酸などの不飽和脂肪酸を多く含む乾性油であり、空気中で酸化重合して固まりやすい性質をもちます。
① $6\text{ g}$ ② $12\text{ g}$ ③ $23\text{ g}$ ④ $46\text{ g}$ ⑤ $92\text{ g}$ ⑥ $120\text{ g}$
STEP 1油脂のけん化反応式からグリセリンの生成モル数を求める
油脂 $1\text{ mol}$ は、グリセリン $\text{C}_3\text{H}_5(\text{OH})_3\ 1\text{ mol}$ と高級脂肪酸 $3\text{ mol}$ からできたエステルです。したがって、けん化反応は次のようになります。 $$\text{C}_3\text{H}_5(\text{OCOC}_{13}\text{H}_{27})_3 + 3\text{NaOH} \longrightarrow \text{C}_3\text{H}_5(\text{OH})_3 + 3\text{C}_{13}\text{H}_{27}\text{COONa}$$ 油脂 $1.00\text{ mol}$ を完全にけん化すると、グリセリン $\text{C}_3\text{H}_5(\text{OH})_3$(分子式 $\text{C}_3\text{H}_8\text{O}_3$)がちょうど $1.00\text{ mol}$ 生成します。
STEP 2グリセリン $1.00\text{ mol}$ の質量を計算する
グリセリン $\text{C}_3\text{H}_8\text{O}_3$ の分子量は、 $$M = 12.0 \times 3 + 1.0 \times 8 + 16.0 \times 3 = 36.0 + 8.0 + 48.0 = 92.0\text{ g/mol}$$ よって生成するグリセリンの質量は $92.0\text{ g/mol} \times 1.00\text{ mol} = 92\text{ g}$(選択肢⑤)です。
大問〔3〕【選択問題】四酸化二窒素の解離平衡・安息香酸の電離平衡
選択問題(4題中3題選択)大問〔3〕は化学平衡の超王道テーマ!A・Bパートは $\text{N}_2\text{O}_4 \rightleftarrows 2\text{NO}_2$ の気体平衡。問4・問5で「分圧 $P$ からモル濃度 $C = \frac{n}{V} = \frac{P}{RT}$ を求める」変換ができるかが最大のポイントだよ!また問3の色調変化は「圧縮した瞬間は濃くなり、その後平衡移動で薄くなる(ただし圧縮前よりは濃い)」という頻出論点だけど、本問の聞き方に対する選び方も丁寧に解説するね。Cパートの緩衝液計算は電離平衡の式に代入するだけで秒殺できるよ!
〔3〕以下のA,B,Cに答えなさい。
A:四酸化二窒素が分解し,二酸化窒素になる気体反応は,可逆反応である。
問1 この可逆反応を反応式で答えなさい。
問2 密閉容器中において,この反応が平衡になった後に,この容器を圧縮して加圧すると平衡はどのようになるか。次の中から選び番号で答えなさい。
① 変化しない ② 二酸化窒素が増える方向に平衡が移動する ③ 二酸化窒素が減る方向に平衡が移動する
問3 前問の平衡が達成されるときに,反応系の色調はどのように変化するか,次の中から選び番号で答えなさい。
① 色調は変わらない ② 青色が濃くなる ③ 青色がうすくなる ④ 赤褐色がうすくなる ⑤ 赤褐色が濃くなる
B:四酸化二窒素と二酸化窒素が $300\text{ K}$ で平衡であるとき,四酸化二窒素と二酸化窒素の分圧がそれぞれ $67\text{ kPa},\ 34\text{ kPa}$ であった。
問4 四酸化二窒素の濃度($\text{mol/L}$)を,有効数字 $2$ 桁で答えなさい。
問5 二酸化窒素の濃度($\text{mol/L}$)を,有効数字 $2$ 桁で答えなさい。
問6 この化学平衡の平衡定数として,最も近い値を,次の中から選び,番号で答えなさい。
① $5.2 \times 10^{-2}\text{ mol}\cdot\text{L}^{-1}$ ② $7.3 \times 10^{-3}\text{ mol}\cdot\text{L}^{-1}$ ③ $5.2 \times 10^{-1}$ ④ $1.9 \times 10^0$ ⑤ $1.9 \times 10^1\text{ mol}^{-1}\cdot\text{L}$
問1・問2・問3 $\text{N}_2\text{O}_4 \rightleftarrows 2\text{NO}_2$ の平衡移動と色調
● 問1:可逆反応の化学反応式
四酸化二窒素($\text{N}_2\text{O}_4$、無色)が分解して二酸化窒素($\text{NO}_2$、赤褐色)になる可逆反応は、両矢印 $\rightleftarrows$ を用いて次のように表します。
● 問2:加圧による平衡移動(ルシャトリエの原理)
反応式 $\text{N}_2\text{O}_4\text{ (1分子)} \rightleftarrows 2\text{NO}_2\text{ (2分子)}$ において、容器を圧縮して加圧すると、ルシャトリエの原理により気体の総分子数(圧力)を減らす方向、すなわち左向き(逆反応の向き:$\text{NO}_2$ が減り $\text{N}_2\text{O}_4$ が増える方向)に平衡が移動します。
● 問3:反応系の色調変化
$\text{N}_2\text{O}_4$ は無色、$\text{NO}_2$ は赤褐色の気体です(したがって「青色」の選択肢②・③は誤り)。
問題文は「前問の平衡が達成されるときに(=加圧した状態から左向きへ平衡が移動して新しい平衡に達する過程で)」と問うているため、赤褐色の $\text{NO}_2$ が無色の $\text{N}_2\text{O}_4$ へと変化することで赤褐色がうすくなります(④)。
(※補足:もし「圧縮する前の最初の平衡状態と比べて最終的な平衡状態はどうなるか」という比較であれば、体積減少の効果が上回るため圧縮前よりは濃くなりますが、本問は問2の「二酸化窒素が減る方向に平衡が移動する」を受けて「その平衡が達成されるときに色調はどう変化するか」を対応させて問うており、④となります。)
問4・問5・問6 分圧からモル濃度と濃度平衡定数 $K_c$ を求める
STEP 1気体の状態方程式からモル濃度 $C = \dfrac{n}{V}$ の公式を導く
理想気体の状態方程式 $PV = nRT$ の両辺を $V \cdot RT$ で割ると、気体のモル濃度 $C = \dfrac{n}{V}\text{ [mol/L]}$ は分圧 $P$ を用いて次のように表せます! $$C = \frac{n}{V} = \frac{P}{RT}$$ 与えられた条件より、温度 $T = 300\text{ K}$、気体定数 $R = 8.3\text{ kPa}\cdot\text{L/(K}\cdot\text{mol)}$ なので、分母の $RT$ は、 $$RT = 8.3 \times 300 = 2490\text{ kPa}\cdot\text{L/mol}$$
STEP 2問4:四酸化二窒素 $[\text{N}_2\text{O}_4]$ のモル濃度を計算する
$\text{N}_2\text{O}_4$ の分圧は $P_{\text{N}_2\text{O}_4} = 67\text{ kPa}$ なので、 $$[\text{N}_2\text{O}_4] = \frac{67}{8.3 \times 300} = \frac{67}{2490} \fallingdotseq 0.026907\dots\text{ mol/L}$$ 有効数字 $2$ 桁に四捨五入すると、$2.7 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$(または $0.027\text{ mol/L}$)となります。
STEP 3問5:二酸化窒素 $[\text{NO}_2]$ のモル濃度を計算する
$\text{NO}_2$ の分圧は $P_{\text{NO}_2} = 34\text{ kPa}$ なので、 $$[\text{NO}_2] = \frac{34}{8.3 \times 300} = \frac{34}{2490} \fallingdotseq 0.013654\dots\text{ mol/L}$$ 有効数字 $2$ 桁に四捨五入すると、$1.4 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$(または $0.014\text{ mol/L}$)となります。
STEP 4問6:平衡定数 $K$ を計算する
反応式 $\text{N}_2\text{O}_4 \rightleftarrows 2\text{NO}_2$ の濃度平衡定数 $K$ の定義式は、 $$K = \frac{[\text{NO}_2]^2}{[\text{N}_2\text{O}_4]}\quad (\text{単位:}\frac{(\text{mol/L})^2}{\text{mol/L}} = \text{mol}\cdot\text{L}^{-1})$$ 四捨五入前の正確な式(または問4・問5の値)を代入して計算すると、 $$K = \frac{\left(\dfrac{34}{2490}\right)^2}{\dfrac{67}{2490}} = \frac{34^2}{67 \times 2490} = \frac{1156}{166830} \fallingdotseq 6.93 \times 10^{-3}\text{ mol}\cdot\text{L}^{-1}$$ また、問4・問5で求めた有効数字2桁の値 $[\text{N}_2\text{O}_4] = 2.7 \times 10^{-2}\text{ mol/L},\ [\text{NO}_2] = 1.4 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$ をそのまま代入すると、 $$K = \frac{(1.4 \times 10^{-2})^2}{2.7 \times 10^{-2}} = \frac{1.96 \times 10^{-4}}{2.7 \times 10^{-2}} \fallingdotseq 7.259 \times 10^{-3} \fallingdotseq 7.3 \times 10^{-3}\text{ mol}\cdot\text{L}^{-1}$$ となり、選択肢 ②($7.3 \times 10^{-3}\text{ mol}\cdot\text{L}^{-1}$) と完全に一致します!
C:安息香酸について以下の問いに答えなさい。
問7 安息香酸は水溶液中でどのように電離するか,イオン式で答えなさい。
問8 $0.010\text{ mol/L}$ の安息香酸水溶液 $1.0\text{ L}$ に安息香酸ナトリウムを溶解し,$\text{pH } 5.0$ の水溶液をつくるためには何 $\text{mol}$ の安息香酸ナトリウムが必要か,有効数字 $2$ 桁で答えなさい。ただし,安息香酸の電離定数は $6.4 \times 10^{-5}\text{ mol/L}$ とする。
問7・問8 安息香酸の電離と緩衝液の計算
● 問7:安息香酸の電離式
安息香酸($\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH}$)は1価の弱酸であり、水溶液中でわずかに電離して安息香酸イオン($\text{C}_6\text{H}_5\text{COO}^-$)と水素イオン($\text{H}^+$)を生じます。
● 問8:必要な安息香酸ナトリウムの物質量
STEP 1水溶液中の各化学種のモル濃度を整理する
水溶液の体積は $1.0\text{ L}$ です。ここに溶解させる安息香酸ナトリウム($\text{C}_6\text{H}_5\text{COONa}$)の物質量を $x\text{ [mol]}$ とおくと、安息香酸ナトリウムは塩なので水溶液中で $100\%$ 完全電離します。 $$\text{C}_6\text{H}_5\text{COONa} \longrightarrow \text{C}_6\text{H}_5\text{COO}^- + \text{Na}^+$$ 一方、弱酸である安息香酸の電離は共通イオン効果によってさらに強く抑えられるため、平衡状態における各濃度は次のように近似できます。
- $[\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH}] \fallingdotseq \text{酸の初濃度 } C_{\text{a}} = 0.010\text{ mol/L} = 1.0 \times 10^{-2}\text{ mol/L}$
- $[\text{C}_6\text{H}_5\text{COO}^-] \fallingdotseq \text{塩の濃度 } C_{\text{s}} = \dfrac{x\text{ mol}}{1.0\text{ L}} = x\text{ mol/L}$
- $\text{pH} = 5.0$ より、水素イオン濃度は $[\text{H}^+] = 1.0 \times 10^{-5}\text{ mol/L}$
STEP 2電離定数 $K_{\text{a}}$ の式に代入して $x$ を求める
安息香酸の電離定数 $K_{\text{a}} = 6.4 \times 10^{-5}\text{ mol/L}$ の式に代入します。 $$K_{\text{a}} = \frac{[\text{C}_6\text{H}_5\text{COO}^-][\text{H}^+]}{[\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH}]}$$ $$6.4 \times 10^{-5} = \frac{x \times 1.0 \times 10^{-5}}{1.0 \times 10^{-2}}$$ 両辺を $1.0 \times 10^{-5}$ で割ると、 $$6.4 = \frac{x}{1.0 \times 10^{-2}}$$ $$x = 6.4 \times 10^{-2}\text{ mol}$$
大問〔4〕【選択問題】有機化合物の名称・状態と芳香族化合物の分離
選択問題(4題中3題選択)大問〔4〕は有機化学の超定番「芳香族化合物の抽出分離」!計算が一切なく、知識だけで5分以内に満点が狙えるボーナス大問だよ。問2は「水層に取り出された溶液A・Bに溶けている化合物の構造式」だから、安息香酸やフェノールそのままではなく、中和されてできたナトリウム塩($-\text{COONa}$ と $-\text{ONa}$)の形で書くことに絶対注意してね!問3の分液漏斗のガス抜き操作も記述の定番だよ。
(1) $\text{CH}_3\text{COOC}_2\text{H}_5$ (2) $\text{CH}_3\text{CH}_3$ (3) $\text{C}_6\text{H}_5\text{NO}_2$ (4) $\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH}$ (5) $\text{C}_6\text{H}_5\text{OH}$ (6) $\text{C}_{10}\text{H}_8$(二環芳香族)
【選択肢】① 無色の液体 ② 淡黄色の液体 ③ 青色の液体 ④ 無色の気体 ⑤ 淡青色の気体 ⑥ 赤褐色の気体 ⑦ 白色の固体 ⑧ 黒紫の固体 ⑨ 黄色の固体 ⑩ 青色の固体
| 番号・構造 | 化合物の名称 | 常温・常圧の状態 | ワンポイント解説 |
|---|---|---|---|
| (1) $\text{CH}_3\text{COOC}_2\text{H}_5$ | 酢酸エチル | ① 無色の液体 | 果実臭(芳香)をもつ揮発性の無色液体。 |
| (2) $\text{CH}_3\text{CH}_3$ | エタン | ④ 無色の気体 | 炭素数1〜4のアルカンは常温・常圧で無色の気体。 |
| (3) $\text{C}_6\text{H}_5\text{NO}_2$ | ニトロベンゼン | ② 淡黄色の液体 | 水より重い、特有の臭いをもつ淡黄色の油状液体。 |
| (4) $\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH}$ | 安息香酸 | ⑦ 白色の固体 | 冷水には溶けにくいが温水に溶ける白色結晶。 |
| (5) $\text{C}_6\text{H}_5\text{OH}$ | フェノール | ⑦ 白色の固体 | 特有の臭いをもつ無色〜白色の結晶(潮解性あり)。 |
| (6) $\text{C}_{10}\text{H}_8$ | ナフタレン | ⑦ 白色の固体 | 昇華性をもつ白色の結晶。 |
▼ 芳香族化合物 (4)安息香酸・(5)フェノール・(6)ナフタレン の分液抽出フロー
酸の強さの順序 「カルボン酸(安息香酸)> 炭酸($\text{H}_2\text{CO}_3$)> フェノール」 を利用します。また、ジエチルエーテルは水より密度が小さいため、常に上層がエーテル層、下層が水層になります。
-
溶液A($\text{NaHCO}_3$ 水溶液を加えたときの下層=水層):
炭酸より強い酸である(4)安息香酸のみが $\text{NaHCO}_3$ と反応し、イオン性の塩である安息香酸ナトリウム($\text{C}_6\text{H}_5\text{COONa}$)となって水層(下層)へ移動します。 $$\text{C}_6\text{H}_5\text{COOH} + \text{NaHCO}_3 \longrightarrow \text{C}_6\text{H}_5\text{COONa} + \text{H}_2\text{O} + \text{CO}_2\uparrow$$ -
溶液B($\text{NaOH}$ 水溶液を加えたときの下層=水層):
弱酸である(5)フェノールが強塩基の $\text{NaOH}$ と中和反応し、ナトリウムフェノキシド($\text{C}_6\text{H}_5\text{ONa}$)となって水層(下層)へ移動します。 $$\text{C}_6\text{H}_5\text{OH} + \text{NaOH} \longrightarrow \text{C}_6\text{H}_5\text{ONa} + \text{H}_2\text{O}$$ -
溶液C(最後に残った上層=エーテル層):
中性物質である(6)ナフタレン($\text{C}_{10}\text{H}_8$)は酸とも塩基とも反応せず、そのままエーテル層(上層)に残ります。
● 溶液Aの溶質
安息香酸ナトリウム
● 溶液Bの溶質
ナトリウムフェノキシド
● 溶液Cの溶質
ナフタレン
操作1では、安息香酸と炭酸水素ナトリウムが反応して二酸化炭素($\text{CO}_2$)の気体が発生します。さらに揮発性の高いジエチルエーテルの蒸気も加わるため、分液漏斗を振り混ぜると内部の気圧が高くなり、栓が飛んだり液が噴き出したりする危険があります。
そのため、振り混ぜた直後に分液漏斗の先端を斜め上に向けてコックを開き、発生した気体(二酸化炭素)を抜いて内圧を下げる操作を行います。
(別解:「発生した二酸化炭素をコックを開き抜く。」19字 /「コックを開け内部の気体を逃がすため。」18字 など)
大問〔5〕【選択問題】冷却曲線と凝固点降下・無機元素の性質
選択問題(4題中3題選択)最後の大問〔5〕も高得点が狙える良問!Aパートは水溶液の冷却曲線と凝固点降下。2つの定番ひっかけに気をつけよう!1つ目は「結晶(氷)ができ始める点はどこか?」→ 凝固点の b ではなく、過冷却が破れる極小点の c! 2つ目は問6の計算で「硝酸ナトリウム $\text{NaNO}_3$ は水中で $\text{Na}^+$ と $\text{NO}_3^-$ の2粒子に電離する(ファントホッフの因子 $i = 2$)」こと!Bパートは無機化学の基本一問一答だから全問即答しよう!
〔5〕以下のA,Bに答えなさい。
A:以下の図は $0.10\text{ mol}$ の硝酸ナトリウム(無水物)を $1\text{ kg}$ の水に溶かした水溶液を冷却しながら温度を測定した様子を示したものである。ただし硝酸ナトリウムは $100\%$ 電離するものとする。
▼ 硝酸ナトリウム水溶液の冷却曲線と各点(a〜e)の意味
問1〜問6 冷却曲線の読み取りとモル凝固点降下の計算
● 問1:結晶ができ始める点は図中の a〜e のどの点に最も近いか
水溶液を冷却していくと、本来の凝固点である点 b に達してもすぐには凍り始めず、液体のまま温度が下がり続けます(過冷却)。そして点 c に達した瞬間に過冷却状態が破れて結晶(氷)ができ始め、凝固熱の放出によって温度が点 d まで急上昇します。したがって結晶ができ始める点は c です。
● 問2:最初にできた結晶は,① 氷、② 硝酸ナトリウム、③ それらの混合物 のいずれか
希薄水溶液を冷却したときに析出するのは純粋な溶媒の結晶(=氷)です(溶質の硝酸ナトリウムは析出しません)。
● 問3:点 b〜c の間の状態を何というか
凝固点(点 b)よりも低い温度になっても凝固が始まらず液体のままでいる状態を過冷却といいます。
● 問4:点 c → d の間に温度が上がるのは,( A )が多量の( B )を放出するためである。
点 c で溶媒である水(A)が凍り始める(凝固する)際、液体から固体になるに伴う凝固熱(B)を放出するため、液温が上昇します。
● 問5:この硝酸ナトリウム水溶液の凝固点は a〜e のどの点か
点 d 以降(d〜e)では氷が析出し続けることで残りの水溶液の濃度が少しずつ高くなり、凝固点がさらに下がっていくため緩やかな右下がりの直線になります。もし過冷却が起こらずに点 b から氷が析出し始めたと仮定したときの真の凝固点は、直線 e〜d を左へ延長して冷却曲線と交わる 点 b です。
● 問6:凝固点が $-0.370^\circ\text{C}$ であったときの水のモル凝固点降下 $K_{\text{f}}\text{ (K}\cdot\text{kg/mol)}$(有効数字3桁)
STEP 1全溶質粒子の質量モル濃度 $m_{\text{全}}$ を求める
水 $1\text{ kg}$ に溶かした硝酸ナトリウム $\text{NaNO}_3$ は $0.10\text{ mol}$ です。
ここで、$\text{NaNO}_3$ は強電解質であり水溶液中で $100\%$ 電離して$1\text{ mol}$ あたり $2\text{ mol}$ のイオン粒子を生じます!
$$\text{NaNO}_3 \longrightarrow \text{Na}^+ + \text{NO}_3^-$$
したがって、水 $1\text{ kg}$ 中に含まれる全溶質粒子(イオン)の質量モル濃度 $m_{\text{全}}$ は、
$$m_{\text{全}} = 0.10\text{ mol/kg} \times 2 = 0.200\text{ mol/kg}$$
STEP 2凝固点降下度 $\Delta T_{\text{f}} = K_{\text{f}} \cdot m_{\text{全}}$ から $K_{\text{f}}$ を求める
純水の凝固点は $0^\circ\text{C}$、水溶液の凝固点は $-0.370^\circ\text{C}$ なので、凝固点降下度は $\Delta T_{\text{f}} = 0 - (-0.370) = 0.370\text{ K}$ です。 $$\Delta T_{\text{f}} = K_{\text{f}} \times m_{\text{全}}$$ $$0.370\text{ K} = K_{\text{f}} \times 0.200\text{ mol/kg}$$ $$K_{\text{f}} = \frac{0.370}{0.200} = 1.85\text{ K}\cdot\text{kg/mol}$$
B:次の各問いを読み,答えなさい。
問7 アルカリ金属の中で,炎色反応が紫を示すものを $1$ つ元素記号で答えなさい。
問8 $2$ 族の元素の原子で,その硫酸塩が水に良く溶けるものをすべて元素記号で答えなさい。
問9 $2$ 族に属する元素で,貝殻やサンゴの骨格の主成分を構成するものを元素記号で答えなさい。
問10 前問の主成分を化学式で答えなさい。
問11 地殻中に,酸素,ケイ素についで多い元素を,元素記号で答えなさい。
問12 前問で答えた元素の価電子数を答えなさい。
問13 ある元素は $4$ 族に属し,その単体は,銀白色の金属であり,軽量であるため航空機の構造材として利用される。また,その元素の酸化物は光触媒反応を行う。この元素は何か,元素記号で答えなさい。
問7〜問13 無機元素の性質と一問一答解説
| 設問 | 最終解答 | Sora先生のステップ解説 |
|---|---|---|
| 問7 | $\text{K}$(または $\text{Rb}$) | アルカリ金属の炎色反応は $\text{Li}$(赤)、$\text{Na}$(黄)、$\text{K}$(赤紫/紫)、$\text{Rb}$(暗赤/赤紫)、$\text{Cs}$(青紫)。高校化学で「紫(赤紫)」といえばカリウム $\text{K}$ です。 |
| 問8 | $\text{Be},\ \text{Mg}$ | 2族元素のうち、アルカリ土類金属($\text{Ca},\ \text{Sr},\ \text{Ba}$)の硫酸塩($\text{CaSO}_4,\ \text{SrSO}_4,\ \text{BaSO}_4$)は水に難溶(白色沈殿)ですが、周期表の上にあるベリリウム $\text{Be}$ とマグネシウム $\text{Mg}$ の硫酸塩($\text{BeSO}_4,\ \text{MgSO}_4$)は水によく溶けます! |
| 問9 | $\text{Ca}$ | 貝殻、サンゴの骨格、鶏卵の殻、石灰岩、大理石などの主成分は炭酸カルシウムであり、含まれる2族元素はカルシウム $\text{Ca}$ です。 |
| 問10 | $\text{CaCO}_3$ | 炭酸カルシウムの化学式は $\text{CaCO}_3$ です。 |
| 問11 | $\text{Al}$ | 地殻中の元素の存在度(クラーク数、質量%)の順位は、1位:酸素 $\text{O}$、2位:ケイ素 $\text{Si}$、3位:アルミニウム $\text{Al}$、4位:鉄 $\text{Fe}$、5位:カルシウム $\text{Ca}$(語呂合わせ:「お・し・あ・て・か・な・ま・く」)です。 |
| 問12 | $3$ | アルミニウム $\text{Al}$ は原子番号 $13$(13族元素)で、電子配置は $\text{K}(2)\text{L}(8)\text{M}(3)$ となるため、最外殻電子(価電子)の数は $3$ です。 |
| 問13 | $\text{Ti}$ | 4族の遷移元素で、軽く強く耐食性に優れるため航空機材料や人工骨に使われ、その酸化物である酸化チタン(IV) $\text{TiO}_2$ が光触媒として働く元素はチタン $\text{Ti}$ です。 |
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(帝京大学 2009年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。