📌 試験開始前の共通条件・原子量・有効数字ルール
【与えられた原子量】
$\text{H} = 1.0 \quad \text{C} = 12.0 \quad \text{N} = 14.0 \quad \text{O} = 16.0 \quad \text{Na} = 23.0$
【有効数字・マークのルール】
問題で ア . イ ウ $\times 10^{\text{エ}}$ のように有効数字3桁で答える場合、計算で $9.8765\dots \times 10^4$ となった場合は、4桁目の $6$ を四捨五入して $9.88 \times 10^4$ と答える。解答欄にア、イ、ウなど記号がある場合は、全ての記号について解答を選ぶこと。
⚡ 全大問・全設問 最終解答一覧
※ マーク記号(a〜j)と対応する数値の両方を記載しています。
大問 1 (A):酢酸ナトリウム $n$ 水和物と緩衝液の計算
理論化学・酸と塩基
大問1(A)は「酢酸ナトリウムに強酸($\text{H}_2\text{SO}_4$)と強塩基($\text{NaOH}$)を混ぜた結果、ちょうど $\text{pH} = 4.57$ の緩衝液になった!」というストーリーだよ。
合否の分かれ目は、与えられた $K_{\text{a}} = 1.00 \times 10^{-4.57}\text{ mol/L}$ と $\text{pH} = 4.57$ を見た瞬間に「あ!$[\text{H}^+] = K_{\text{a}}$ だから、溶液中の $[\text{CH}_3\text{COOH}]$ と $[\text{CH}_3\text{COO}^-]$ が $1:1$ で半分ずつ存在してるんだ!」と見抜けるかどうか!ここさえ掴めば、問1〜問5までドミノ倒しで満点が取れる超おいしい問題だよ!
問題文 1 (A)
1 (A), (B)の各問の解答を与えられた選択肢から一つ選べ。
(A) 酢酸ナトリウム $n$ 水和物の $n$ を求める以下の実験に関して各問に答えよ。ただし、酢酸ナトリウムと水和物の水の比率は一定であり、整数である。また、酸が酢酸だけの場合、中和点までは酢酸に $\text{NaOH}$ を加えるとこの酢酸と反応した $\text{NaOH}$ の物質量だけ酢酸ナトリウムが生成する。実験の温度での酢酸の酸の電離定数は次の値を用いよ。また、空気中の気体の溶解は無視するものとする。
$K_{\text{a}} = 1.00 \times 10^{-4.57}\text{ mol/L}$
【実験】
酢酸ナトリウム $n$ 水和物 $17.000\text{ g}$ を純水に溶かし、$250\text{ mL}$ のメスフラスコに入れて全量を $250\text{ mL}$ となるまで純水を加えてよく振った。これを酢酸ナトリウム水溶液Aとする。
この酢酸ナトリウム水溶液Aを $20.0\text{ mL}$ とりコニカルビーカーに入れた。このコニカルビーカーに $1.00\text{ mol/L}$ $\text{H}_2\text{SO}_4$ 水溶液を $15.00\text{ mL}$ 加えた。この溶液に $1.00\text{ mol/L}$ $\text{NaOH}$ を $25.00\text{ mL}$ 加えると溶液の $\text{pH}$ は $4.57$ であった。(1)
▼ 実験操作の全体フローと物質量(mol)の追跡図 ▼
問1 下線(1)で溶液の $\text{pH}$ が $4.57$ のとき、$[\text{CH}_3\text{COOH}] : [\text{CH}_3\text{COO}^-] = 1 : \fbox{ア}\,. \fbox{イ} \times 10^{\fbox{ウ}}$ である。ア, イ, ウに適する数字をそれぞれ選べ。
【選択肢】 ア: a.1 b.2 c.3 d.4 e.5 f.6 g.7 h.8 i.9 / イ: a.1〜i.9, j.0 / ウ: a.-5 b.-4 c.-3 d.-2 e.-1 f.0 g.1 h.2 i.3 j.4
STEP 1酢酸の電離平衡と電離定数 $K_{\text{a}}$ の式を立てる
水溶液中で酢酸 $\text{CH}_3\text{COOH}$ は次のように電離平衡の状態にあります。 $$\text{CH}_3\text{COOH} \rightleftarrows \text{CH}_3\text{COO}^- + \text{H}^+$$ このときの酸の電離定数 $K_{\text{a}}$ は次の式で表されます。 $$K_{\text{a}} = \frac{[\text{CH}_3\text{COO}^-][\text{H}^+]}{[\text{CH}_3\text{COOH}]}$$
STEP 2$\text{pH} = 4.57$ から $[\text{H}^+]$ を求め、$K_{\text{a}}$ の式に代入する
$\text{pH} = -\log_{10}[\text{H}^+]$ の定義より、$\text{pH} = 4.57$ のとき水素イオン濃度 $[\text{H}^+]$ は、
$$[\text{H}^+] = 1.00 \times 10^{-4.57}\text{ mol/L}$$
です。一方、問題文で与えられた酢酸の電離定数も $K_{\text{a}} = 1.00 \times 10^{-4.57}\text{ mol/L}$ です。
したがって、電離定数の式に代入すると、
$$1.00 \times 10^{-4.57} = \frac{[\text{CH}_3\text{COO}^-] \times (1.00 \times 10^{-4.57})}{[\text{CH}_3\text{COOH}]}$$
両辺を $1.00 \times 10^{-4.57}$ で割ると、
$$\frac{[\text{CH}_3\text{COO}^-]}{[\text{CH}_3\text{COOH}]} = 1.00 = 1.0 \times 10^0$$
となります。よって、$[\text{CH}_3\text{COOH}] : [\text{CH}_3\text{COO}^-] = 1 : 1.0 \times 10^0$ です。
問2 下線(1)で $\text{H}_2\text{SO}_4$ と中和反応した $\text{NaOH}$ の物質量は有効数字3桁で $\fbox{エ}\,. \fbox{オ}\fbox{カ} \times 10^{\fbox{キ}}\text{ mol}$ である。エ, オ, カ, キに適する数字をそれぞれ選べ。ただし、$\text{H}_2\text{SO}_4$ は一部電離したものも含めるものとする。
【選択肢】 エ: a.1〜i.9 / オ, カ: a.1〜i.9, j.0 / キ: a.-6 b.-5 c.-4 d.-3 e.-2 f.-1 g.0 h.1 i.2 j.3
STEP 1コニカルビーカー内で起きた反応の順序を整理する
コニカルビーカーには、最初に酢酸ナトリウム水溶液A $20.0\text{ mL}$ が入っており、そこへ強酸である $1.00\text{ mol/L}$ $\text{H}_2\text{SO}_4$ 水溶液 $15.00\text{ mL}$ を加え、さらに強塩基である $1.00\text{ mol/L}$ $\text{NaOH}$ 水溶液 $25.00\text{ mL}$ を加えました。
💡 【最重要トラップ注意!】「加えた $\text{NaOH}$ $0.0250\text{ mol}$ が全部 $\text{H}_2\text{SO}_4$ と反応した」と考える?それとも…?
化学の仕組みを丁寧に追ってみましょう!
① まず、加えた $\text{H}_2\text{SO}_4$ の物質量は、
$$1.00\text{ mol/L} \times \frac{15.00}{1000}\text{ L} = 0.01500\text{ mol}$$
硫酸は2価の強酸($\text{H}_2\text{SO}_4 \rightarrow 2\text{H}^+ + \text{SO}_4^{2-}$)なので、放出しうる $\text{H}^+$ の総物質量は、
$$0.01500\text{ mol} \times 2 = 0.0300\text{ mol}$$
です。
② 一方、加えた $\text{NaOH}$ の物質量は、
$$1.00\text{ mol/L} \times \frac{25.00}{1000}\text{ L} = 0.0250\text{ mol}$$
です。
STEP 2なぜ選択肢や問題文の誘導で気をつける必要があるのか?(2つの視点の徹底検証)
ここで、コニカルビーカーに $\text{H}_2\text{SO}_4$($\text{H}^+$ として $0.0300\text{ mol}$)を入れた瞬間、ビーカー内の $\text{CH}_3\text{COONa}$(後で問3で求めるように $0.0100\text{ mol}$ あります)は弱酸の塩なので、弱酸の遊離反応:
$$\text{CH}_3\text{COONa} + \text{H}^+ \rightarrow \text{CH}_3\text{COOH} + \text{Na}^+$$
を起こして、すべての $\text{CH}_3\text{COONa}$ がいったん $\text{CH}_3\text{COOH}$ に変わります。
しかし、問題文の冒頭をもう一度よく読んでください!
「また、酸が酢酸だけの場合、中和点までは酢酸に $\text{NaOH}$ を加えるとこの酢酸と反応した $\text{NaOH}$ の物質量だけ酢酸ナトリウムが生成する。」
「問2:下線(1)で $\text{H}_2\text{SO}_4$ と中和反応した $\text{NaOH}$ の物質量は有効数字3桁で……ただし、$\text{H}_2\text{SO}_4$ は一部電離したものも含めるものとする。」
この2文の対応関係が超重要です!
【実験のストーリーを時間の順(①$\text{H}_2\text{SO}_4$ 投入 → ②$\text{NaOH}$ 投入)で正確に追うと】
- ビーカー内の $\text{CH}_3\text{COONa}$ の物質量を $x\text{ [mol]}$ とします。
- ここに $\text{H}_2\text{SO}_4$ を $0.01500\text{ mol}$($\text{H}^+$ として $0.0300\text{ mol}$)加えると、$\text{H}^+$ のうち $x\text{ mol}$ が $\text{CH}_3\text{COO}^-$ と反応して弱酸 $\text{CH}_3\text{COOH}$ $x\text{ mol}$ を遊離させ、残りの $(0.0300 - x)\text{ mol}$ の $\text{H}^+$ が強酸($\text{H}_2\text{SO}_4$ または $\text{HSO}_4^-$)としてビーカー内に残ります(※もし単純に「$\text{H}_2\text{SO}_4$ と中和反応した $\text{NaOH}$」なら、なぜわざわざ問題文に『酸が酢酸だけの場合、酢酸に $\text{NaOH}$ を加えると反応した $\text{NaOH}$ の分だけ酢酸ナトリウムが生成する』という前提と、『$\text{H}_2\text{SO}_4$ は一部電離したもの(=$\text{HSO}_4^-$)も含める』という但し書きがあるのでしょうか?)。
🔍 東邦大のこの問題文のロジックを100%忠実に式にする!
実はこの問2と問3は、以下の2通りの解釈で迷う受験生が続出する設問です。両方とも厳密に検証しましょう!
【解釈Ⅰ:H₂SO₄の全H⁺中和基準(もしくは問2=2.00×10⁻² mol)】
ビーカー内でまず $\text{CH}_3\text{COONa}$ ($x\text{ mol}$) が $\text{H}_2\text{SO}_4$ と反応して $\text{CH}_3\text{COOH}$ ($x\text{ mol}$) になる。
この結果、ビーカー内には:
・強酸の残り($\text{H}_2\text{SO}_4 / \text{HSO}_4^-$):$\text{H}^+$ として $(0.0300 - x)\text{ mol}$
・弱酸 $\text{CH}_3\text{COOH}$:$x\text{ mol}$
が存在する。
そこへ $\text{NaOH}$ ($0.0250\text{ mol}$) を加えると、まず強酸である $\text{H}_2\text{SO}_4$(一部電離した $\text{HSO}_4^-$ を含む)と優先的に中和反応し、強酸がすべて中和されて「酸が酢酸だけの場合」になった後、残りの $\text{NaOH}$ が酢酸と反応して酢酸ナトリウムを再生する!
問3で求める通り $x = 0.0100\text{ mol}$ なので、強酸として残っていた $\text{H}^+$ は $0.0300 - 0.0100 = 0.0200\text{ mol}$。したがって、$\text{H}_2\text{SO}_4$($\text{HSO}_4^-$ 含む)と中和した $\text{NaOH}$ は $2.00 \times 10^{-2}\text{ mol}$、残りの $0.0050\text{ mol}$ の $\text{NaOH}$ が酢酸と反応して $0.0050\text{ mol}$ の酢酸ナトリウムを生成した!
【解釈Ⅱ:問2から順に独立計算する見方】
もし問2の段階でまだ水溶液Aの濃度(問3)が未知であるため問2単独で数値が出ると考える場合:
・加えた $\text{H}_2\text{SO}_4$ の全中和に必要な $\text{NaOH}$ は $0.01500 \times 2 = 3.00 \times 10^{-2}\text{ mol}$。
・あるいは加えた $\text{NaOH}$ 全量が強酸に消費されたとみなせば $2.50 \times 10^{-2}\text{ mol}$。
STEP 3問題文の一字一句から出題者の意図を確定させる
問題文の2つの但し書きを見てみましょう。
1つ目:「また、酸が酢酸だけの場合、中和点までは酢酸に $\text{NaOH}$ を加えるとこの酢酸と反応した $\text{NaOH}$ の物質量だけ酢酸ナトリウムが生成する。」
2つ目(問2):「ただし、$\text{H}_2\text{SO}_4$ は一部電離したものも含めるものとする。」
なぜ問2に「$\text{H}_2\text{SO}_4$ は一部電離したもの($\text{HSO}_4^-$ や $\text{H}^+$)も含める」と書いてあるかというと、水溶液中で $\text{H}_2\text{SO}_4$ は電離しているため「分子の $\text{H}_2\text{SO}_4$ だけでなく電離した $\text{H}^+$ や $\text{HSO}_4^-$ との反応も含めて、硫酸由来の $\text{H}^+$ と $\text{NaOH}$ の中和反応を考えよ」という意味です。
そして、問2が問3(水溶液Aのモル濃度を求める問題)の前に配置されている誘導構成に注目してください!
入試問題の誘導順序(問1 → 問2 → 問3)において、問3を解くためのステップとして問2が置かれています。
しかし、もし問2が $x$(問3の答え)を使わずに決まる値だとしたら:
- ケースA(誘導順序通り問2が先に出る場合):加えた $\text{H}_2\text{SO}_4$($0.01500\text{ mol}$)が完全に中和反応するときの $\text{NaOH}$ の物質量は $0.01500 \times 2 = \mathbf{3.00 \times 10^{-2}\text{ mol}}$(または、加えた $\text{NaOH}$ $25.00\text{ mL}$ すなわち $\mathbf{2.50 \times 10^{-2}\text{ mol}}$ がすべて $\text{H}_2\text{SO}_4$ 由来の中和に使われた、あるいは反応後に残った $\text{H}_2\text{SO}_4$ 由来の計算)。
- ケースB(実験操作の順序通り、先に $\text{CH}_3\text{COONa}$ と $\text{H}_2\text{SO}_4$ が反応した場合):$\text{CH}_3\text{COONa}$ ($0.0100\text{ mol}$) が $\text{H}_2\text{SO}_4$ の $\text{H}^+$ ($0.0300\text{ mol}$) のうち $0.0100\text{ mol}$ を消費して $\text{CH}_3\text{COOH}$ ($0.0100\text{ mol}$) となり、残った $\text{H}_2\text{SO}_4$(一部電離した $\text{HSO}_4^-$ を含む)の $\text{H}^+$ は $0.0200\text{ mol}$。そこへ $\text{NaOH}$ ($0.0250\text{ mol}$) を加えたので、$\text{H}_2\text{SO}_4$(一部電離したものを含む)と中和反応した $\text{NaOH}$ は $\mathbf{2.00 \times 10^{-2}\text{ mol}}$(残りの $0.0050\text{ mol}$ の $\text{NaOH}$ は $\text{CH}_3\text{COOH}$ と中和反応した)。
ここで、問題文の「酸が酢酸だけの場合、中和点までは酢酸に $\text{NaOH}$ を加えるとこの酢酸と反応した $\text{NaOH}$ の物質量だけ酢酸ナトリウムが生成する」という一文は、「$\text{NaOH}$ の一部が酢酸と反応して酢酸ナトリウムを生成する」という計算(すなわちケースB)で使うための条件文ですが、もしそれなら問3(酢酸ナトリウムの量)が分からないと問2が出せません。逆に、問2で「加えた $\text{H}_2\text{SO}_4$ $15.00\text{ mL}$ と過不足なく中和反応する $\text{NaOH}$ は $3.00 \times 10^{-2}\text{ mol}$」「実際に加えた $\text{NaOH}$ で $\text{H}_2\text{SO}_4$ と反応したのは $2.50 \times 10^{-2}\text{ mol}$(またはケースBの $2.00 \times 10^{-2}\text{ mol}$)」のどれをとっても、問3以降の計算(水溶液Aの濃度 $5.00 \times 10^{-1}\text{ mol/L}$、問4の $n=3$、問5の $9.6\text{ mL}$)は1ミリも変わらず完全に一致します!
それぞれの式の成り立ちを整理しておきましょう:
・$\text{H}_2\text{SO}_4$ $15.00\text{ mL}$ ($0.01500\text{ mol}$) が持つ全 $\text{H}^+$ の物質量:$1.00 \times \dfrac{15.00}{1000} \times 2 = \mathbf{3.00 \times 10^{-2}\text{ mol}}$ (エ:c, オ:j, カ:j, キ:e)
・加えた $\text{NaOH}$ $25.00\text{ mL}$ 全量が強酸 $\text{H}_2\text{SO}_4$ の中和に使われたとみる場合:$1.00 \times \dfrac{25.00}{1000} = \mathbf{2.50 \times 10^{-2}\text{ mol}}$ (エ:b, オ:e, カ:j, キ:e)
・先に $\text{CH}_3\text{COONa}$ ($0.0100\text{ mol}$) が $\text{H}_2\text{SO}_4$ と反応し、残った $\text{H}_2\text{SO}_4$/$\text{HSO}_4^-$ と $\text{NaOH}$ が反応したとみる場合:$0.0300 - 0.0100 = \mathbf{2.00 \times 10^{-2}\text{ mol}}$ (エ:b, オ:j, カ:j, キ:e)
問3 酢酸ナトリウム水溶液Aのモル濃度は有効数字3桁で $\fbox{ク}\,. \fbox{ケ}\fbox{コ} \times 10^{\fbox{サ}}\text{ mol/L}$ である。ク, ケ, コ, サに適する数字をそれぞれ選べ。
【選択肢】 ク: a.1〜i.9 / ケ, コ: a.1〜i.9, j.0 / サ: a.-6 b.-5 c.-4 d.-3 e.-2 f.-1 g.0 h.1 i.2 j.3
STEP 1正味の $\text{H}^+$ の物質量(または電荷収支・物質収支)から一発で求める!
酢酸ナトリウム水溶液Aのモル濃度を $c\text{ [mol/L]}$ とおきます。
コニカルビーカーにとった水溶液A $20.0\text{ mL}$ 中に含まれる酢酸ナトリウム $\text{CH}_3\text{COONa}$ の物質量 $n_0$ は、
$$n_0 = c \times \frac{20.0}{1000} = 0.0200c\text{ [mol]}$$
です。
ここに、$\text{H}_2\text{SO}_4$ からの $\text{H}^+$ を $0.0300\text{ mol}$、$\text{NaOH}$ からの $\text{OH}^-$ を $0.0250\text{ mol}$ 加えました。
強酸の $\text{H}^+$ ($0.0300\text{ mol}$) と強塩基の $\text{OH}^-$ ($0.0250\text{ mol}$) が中和すると、差し引きで余る正味の $\text{H}^+$ の物質量は、
$$0.0300 - 0.0250 = 0.0050\text{ mol}$$
です。
STEP 2問1の結果($[\text{CH}_3\text{COOH}] : [\text{CH}_3\text{COO}^-] = 1 : 1$)を使う
この余った $0.0050\text{ mol}$ の $\text{H}^+$ が、もとの $\text{CH}_3\text{COO}^-$ ($n_0\text{ mol}$) と反応して $\text{CH}_3\text{COOH}$ を生成します。 $$\text{CH}_3\text{COO}^- + \text{H}^+ \rightarrow \text{CH}_3\text{COOH}$$ したがって、反応後のコニカルビーカー内の物質量は、
- 生成した $\text{CH}_3\text{COOH}$ の物質量 $= 0.0050\text{ mol}$
- 残った $\text{CH}_3\text{COO}^-$ の物質量 $= (n_0 - 0.0050)\text{ mol}$
問1より、下線(1)の溶液では $[\text{CH}_3\text{COOH}] : [\text{CH}_3\text{COO}^-] = 1 : 1$(同じ溶液内なので物質量の比も $1 : 1$)ですから、 $$0.0050 = n_0 - 0.0050$$ $$n_0 = 0.0100\text{ mol}$$ と求まります!(※さきほどのケースBの順序で「$\text{CH}_3\text{COOH}$ $n_0\text{ mol}$ に残りの $\text{NaOH}$ $(0.0250 - (0.0300 - n_0))\text{ mol}$ が反応して半分だけ $\text{CH}_3\text{COONa}$ になった」と立式しても、まったく同じ $n_0 - 0.0050 = 0.0050 \iff n_0 = 0.0100\text{ mol}$ になります!)
STEP 3水溶液Aのモル濃度 $c$ を計算する
$20.0\text{ mL}$ ($= 0.0200\text{ L}$) 中に $n_0 = 0.0100\text{ mol}$ の酢酸ナトリウムが含まれているので、水溶液Aのモル濃度 $c$ は、 $$c = \frac{0.0100\text{ mol}}{\dfrac{20.0}{1000}\text{ L}} = 0.500\text{ mol/L} = 5.00 \times 10^{-1}\text{ mol/L}$$ となります。
問4 酢酸ナトリウム $n$ 水和物の $n$ を選べ。
【選択肢】 a. 1 b. 2 c. 3 d. 4 e. 5 f. 6 g. 7 h. 8 i. 9 j. 10
STEP 1$250\text{ mL}$ の水溶液Aに含まれる酢酸ナトリウムの物質量を求める
問3より、酢酸ナトリウム水溶液Aのモル濃度は $0.500\text{ mol/L}$ です。
水溶液Aは $250\text{ mL}$ ($= 0.250\text{ L}$) 調製したので、この中に溶けている酢酸ナトリウム(および溶かした酢酸ナトリウム $n$ 水和物 $\text{CH}_3\text{COONa}\cdot n\text{H}_2\text{O}$)の物質量は、
$$0.500\text{ mol/L} \times \frac{250}{1000}\text{ L} = 0.125\text{ mol}$$
です。
STEP 2式量 $M$ を求め、$n$ を特定する
実験で溶かした酢酸ナトリウム $n$ 水和物の質量は $17.000\text{ g}$ で、これが $0.125\text{ mol}$ ($= \frac{1}{8}\text{ mol}$) に相当するので、$\text{CH}_3\text{COONa}\cdot n\text{H}_2\text{O}$ の式量 $M$ は、 $$M = \frac{17.000\text{ g}}{0.125\text{ mol}} = 17.000 \times 8 = 136.0\text{ g/mol}$$ 一方、原子量($\text{H}=1.0, \text{C}=12.0, \text{O}=16.0, \text{Na}=23.0$)より、
- 無水酢酸ナトリウム $\text{CH}_3\text{COONa}$ の式量 $= 12.0 \times 2 + 1.0 \times 3 + 16.0 \times 2 + 23.0 = 82.0$
- 水 $\text{H}_2\text{O}$ の分子量 $= 1.0 \times 2 + 16.0 = 18.0$
したがって、 $$82.0 + 18.0n = 136.0$$ $$18.0n = 136.0 - 82.0 = 54.0$$ $$n = \frac{54.0}{18.0} = 3$$ と気持ちよく整数で求まります!(実際、酢酸ナトリウム三水和物 $\text{CH}_3\text{COONa}\cdot 3\text{H}_2\text{O}$ は実験室で最もよく使われる試薬です)。
問5 酢酸ナトリウム水溶液Aを希釈して $0.120\text{ mol/L}$ 酢酸ナトリウム水溶液と同じ濃度の溶液 $40.0\text{ mL}$ を調製したい。そのためには、酢酸ナトリウム水溶液Aを $\fbox{シ}\,. \fbox{ス} \times 10^{\fbox{セ}}\text{ mL}$ とり、純水を加えて全量を $40.0\text{ mL}$ にすればよい。シ, ス, セに適する数字をそれぞれ選べ。
【選択肢】 シ: a.1〜i.9 / ス: a.1〜i.9, j.0 / セ: a.-8 b.-7 c.-6 d.-5 e.-4 f.-3 g.-2 h.-1 i.0 j.1
STEP 1希釈前後の溶質の物質量保存($C_1 V_1 = C_2 V_2$)を立てる
必要な水溶液A(濃度 $C_1 = 0.500\text{ mol/L}$)の体積を $V_1\text{ [mL]}$ とします。
希釈後の溶液は濃度 $C_2 = 0.120\text{ mol/L}$、体積 $V_2 = 40.0\text{ mL}$ なので、含まれる酢酸ナトリウムの物質量が等しいことから、
$$0.500\text{ mol/L} \times \frac{V_1}{1000}\text{ L} = 0.120\text{ mol/L} \times \frac{40.0}{1000}\text{ L}$$
両辺を $1000$ 倍して $V_1$ について解くと、
$$0.500 V_1 = 0.120 \times 40.0 = 4.80$$
$$V_1 = \frac{4.80}{0.500} = 9.60\text{ mL}$$
解答欄の形式(有効数字2桁 $\fbox{シ}\,. \fbox{ス} \times 10^{\fbox{セ}}$)に合わせると、
$$9.6 \times 10^0\text{ mL}$$
となります。
大問 1 (B):トリチェリの実験と気液平衡・蒸気圧
理論化学・気体と蒸気圧
大問1(B)は水銀柱(トリチェリの実験)の空間Xに水やエタノールを入れて蒸気圧を測る定番テーマ!
絶対に覚えるべき基本式はたった1つ、「外圧 $P_{\text{外}} =$ 空間Xの蒸気圧 $P_{\text{蒸気}} +$ 液柱が押す圧力 $P_{\text{液柱}}$」だよ!
しかも問題文に「液体の水(エタノール)の質量は無視して計算せよ」と親切に書いてあるから、水層の重さはゼロ扱いでOK!有効数字2桁の四捨五入だけに気をつけて、サクッと完答しよう!
問題文 1 (B)
(B) 下図のように、水銀を一端の閉じられた細長いガラス管に満たし、水銀の入った水槽中に倒立させ、液面が動かなくなるまで静置すると、ガラス管の上部(底)から液面までの領域に空間Xが生じ、液面の高低差 $h\text{ mm}$ が生じる。ここで、液面の高低差 $h$ は水銀の高低差を表す。
▼ 問題図の再現:ガラス管と導入管 ▼
💡 圧力のつり合いの鉄則
外の水銀液面と同じ高さにおいて、外から押す大気圧 $P_{\text{外}}$ と、管内から押す圧力(空間Xの気体の圧力 $P_{\text{X}} +$ 液柱の圧力 $P_{\text{液}}$)がつり合います。 $$P_{\text{外}} = P_{\text{X}} + d h g$$
【与えられた数値】
・水銀の密度:$d_{\text{Hg}} = 13.6\text{ g/cm}^3$ ($27\,^\circ\text{C}$)
・水の飽和蒸気圧:$P_{\text{H}_2\text{O}} = 3.6 \times 10^3\text{ Pa}$ ($27\,^\circ\text{C}$)
・標準大気圧:$P_0 = 1.013 \times 10^5\text{ Pa} \ (= 760\text{ mmHg}$ 相当)
液面の高低差 $h$ の液体による圧力を $P$、この液体の密度を $d$、重力加速度を $g$ とする。このとき、$P$ は次の式で表される。 $$P = d h g$$ このガラス管の下からは、上図のような管を通して異なる液体を導入することが出来る。この装置に関する以下の実験について各問に答えよ。なお、実験中の温度における水銀の蒸気圧は無視できるものとせよ。また、ガラス管の長さは各実験の $h\text{ mm}$ より長いものとする。
問6 実験1, 2について、空間Xの圧力に関与するものとして最も適切な組合せを選べ。
【選択肢】 a.(真空 / 真空) b.(真空 / 大気圧) c.(真空 / 水の飽和蒸気圧) d.(真空 / 水の飽和蒸気圧と大気圧) e.(大気圧 / 真空) f.(大気圧 / 大気圧) g.(大気圧 / 水の飽和蒸気圧) h.(大気圧 / 水の飽和蒸気圧と大気圧)
STEP 1実験1と実験2の空間Xの中身を確認する
- 実験1:ガラス管を水銀で満たして倒立させただけであり、「水銀の蒸気圧は無視できる」とあるため、空間Xには気体が存在せず「真空」(トリチェリの真空)です。
- 実験2:ガラス管内に水を導入し、水銀の液面の上に「水の層がわずかにあった(=気液平衡状態にある)」ので、空間Xは「水の飽和蒸気圧」で満たされています(※ガラス管で外気とは遮断されているため、空間Xの中に大気は入っていません)。
問7 実験2の下線(1)について、水銀の高低差 $h$ は有効数字2桁で $\fbox{ア}\,. \fbox{イ} \times 10^{\fbox{ウ}}\text{ mm}$ である。ア, イ, ウに適する数字をそれぞれ選べ。ここで、高低差 $h$ は水銀の高低差で水を含まない。ただし、液体の水の質量は無視して計算せよ。
【選択肢】 ア: a.1〜i.9 / イ: a.1〜i.9, j.0 / ウ: a.-6 b.-5 c.-4 d.-3 e.-2 f.-1 g.0 h.1 i.2 j.3
STEP 1水銀柱が支えるべき圧力を求める
実験2では、外圧が標準大気圧 $P_0 = 1.013 \times 10^5\text{ Pa}$ であり、空間Xの圧力が $27\,^\circ\text{C}$ の水の飽和蒸気圧 $P_{\text{H}_2\text{O}} = 3.6 \times 10^3\text{ Pa} = 0.036 \times 10^5\text{ Pa}$ です。
よって、水銀柱(高さ $h_1\text{ mm}$)が支える圧力 $P_{\text{Hg}}$ は、
$$P_{\text{Hg}} = P_0 - P_{\text{H}_2\text{O}} = 1.013 \times 10^5 - 0.036 \times 10^5 = 0.977 \times 10^5\text{ Pa}$$
STEP 2実験1の比例関係を使って水銀柱の高さ $h_1\text{ [mm]}$ に換算する
実験1より、$1.013 \times 10^5\text{ Pa}$ の圧力が水銀柱 $760\text{ mm}$ に相当するので、比例式を立てると、 $$h_1 = 760\text{ mm} \times \frac{0.977 \times 10^5\text{ Pa}}{1.013 \times 10^5\text{ Pa}}$$ ここで、$1.013 \div 760$ を計算してみると、$760 \times 1.33289\dots = 1013$ ですが、もっと簡単に割り算を実行しましょう。 $$\frac{760 \times 0.977}{1.013} = \frac{742.52}{1.013} = 732.991\dots\text{ mm}$$ 有効数字2桁にするため、3桁目の $2$ を四捨五入すると、 $$h_1 \fallingdotseq 7.3 \times 10^2\text{ mm}$$ となります。
問8 実験1と実験2で用いた液体を水銀でなく密度 $10.2\text{ g/cm}^3$ ($27\,^\circ\text{C}$) の液体Aを用いてそれ以外は実験1, 実験2と同じ条件とした場合、実験2の下線(1)の高低差 $h$ は有効数字2桁で $\fbox{エ}\,. \fbox{オ} \times 10^{\fbox{カ}}\text{ mm}$ である。ここで、高低差 $h$ は液体Aの高低差で液体の水部分を含まない。エ, オ, カに適する数字をそれぞれ選べ。ただし、液体Aは水とは混じり合わず、気体の溶解もないものとする。また、実験中の温度における液体Aの蒸気圧は無視できるものとせよ。ここで、液体の水の質量は無視して計算せよ。
【選択肢】 エ: a.1〜i.9 / オ: a.1〜i.9, j.0 / カ: a.-6 b.-5 c.-4 d.-3 e.-2 f.-1 g.0 h.1 i.2 j.3
STEP 1液柱の圧力公式 $P = d h g$ から、密度 $d$ と高さ $h$ の反比例関係を使う
実験2と同じ外圧・同じ水の飽和蒸気圧なので、液体Aの液柱が支えるべき圧力 $P$ は問7の水銀柱が支えた圧力 $P_{\text{Hg}}$ とまったく同じです。
公式 $P = d h g$ において、$P$ と重力加速度 $g$ が共通なので、
$$d_{\text{A}} h_{\text{A}} g = d_{\text{Hg}} h_1 g \quad \Longleftrightarrow \quad h_{\text{A}} = h_1 \times \frac{d_{\text{Hg}}}{d_{\text{A}}}$$
つまり、液体の密度が軽くなった分だけ、同じ圧力を支えるのに必要な液柱の高さ $h$ は反比例して高くなります!
STEP 2数値を代入して正確に計算する
水銀の密度 $d_{\text{Hg}} = 13.6\text{ g/cm}^3$、液体Aの密度 $d_{\text{A}} = 10.2\text{ g/cm}^3$ です。
ここで $\dfrac{13.6}{10.2}$ を約分すると、分子・分母ともに $3.4$ で割れて、
$$\frac{13.6}{10.2} = \frac{4 \times 3.4}{3 \times 3.4} = \frac{4}{3}$$
という非常にきれいな分数になります!
問7の四捨五入前の値 $h_1 = 732.99\text{ mm}$ を代入すると、
$$h_{\text{A}} = 732.99\text{ mm} \times \frac{4}{3} = 977.32\dots\text{ mm}$$
(※問7の $7.3 \times 10^2 = 730\text{ mm}$ を使っても $730 \times \frac{4}{3} = 973.3\dots\text{ mm}$ です)。
これを有効数字2桁に四捨五入すると、百の位が $9$、十の位が $7$ なので四捨五入で繰り上がり、
$$h_{\text{A}} = 1000\text{ mm} = 1.0 \times 10^3\text{ mm}$$
となります。
問9 実験3の下線(2)について、水銀の高低差 $h$ は有効数字2桁で $\fbox{キ}\,. \fbox{ク} \times 10^{\fbox{ケ}}\text{ mm}$ である。キ, ク, ケに適する数字をそれぞれ選べ。ただし、液体の水の質量は無視して計算せよ。
【選択肢】 キ: a.1〜i.9 / ク: a.1〜i.9, j.0 / ケ: a.-6 b.-5 c.-4 d.-3 e.-2 f.-1 g.0 h.1 i.2 j.3
STEP 1実験3の外圧と水の飽和蒸気圧から、水銀柱が支える圧力を求める
実験3では、外の気圧が $P_{\text{外}} = 8.104 \times 10^4\text{ Pa}$ です。
なお、$8.104 \times 10^4\text{ Pa}$ は標準大気圧 $1.013 \times 10^5\text{ Pa}$ のちょうど $0.8000$ 倍($1.013 \times 0.8 = 0.8104$)という計算しやすい数値に設定されています!
また、温度が $27\,^\circ\text{C}$ で変わらず、水銀の液面の上に液体の水の層がわずかにある(気液平衡が保たれている)ため、空間Xの水の蒸気圧は飽和蒸気圧 $3.6 \times 10^3\text{ Pa}$ のまま一定です。
したがって、実験3で水銀柱が支える圧力 $P_{\text{Hg}, 3}$ は、
$$P_{\text{Hg}, 3} = 8.104 \times 10^4 - 3.6 \times 10^3 = 81.04 \times 10^3 - 3.6 \times 10^3 = 77.44 \times 10^3\text{ Pa}$$
STEP 2水銀柱の高さ $h_2\text{ [mm]}$ に換算する
$1.013 \times 10^5\text{ Pa} = 101.3 \times 10^3\text{ Pa}$ が $760\text{ mm}$ に相当するので、 $$h_2 = 760\text{ mm} \times \frac{77.44 \times 10^3\text{ Pa}}{101.3 \times 10^3\text{ Pa}}$$ ここで、$81.04 \div 101.3 = 0.8000$(つまり $8.104 \times 10^4\text{ Pa}$ は $760 \times 0.8 = 608\text{ mmHg}$)を使うと暗算レベルで計算できます! $$h_2 = 608\text{ mm} - 760 \times \frac{3.6}{101.3}\text{ mm} = 608 - 27.008\dots = 580.99\dots\text{ mm}$$ 有効数字2桁に四捨五入すると、 $$h_2 \fallingdotseq 5.8 \times 10^2\text{ mm}$$ となります。
問10 実験4に基づくとエタノールが $27\,^\circ\text{C}$ で沸点となるための外圧は有効数字2桁で $\fbox{コ}\,. \fbox{サ} \times 10^{\fbox{シ}}\text{ Pa}$ である。コ, サ, シに適する数字をそれぞれ選べ。ただし、液体のエタノールの質量は無視して計算せよ。
【選択肢】 コ: a.1〜i.9 / サ: a.1〜i.9, j.0 / シ: a.-1 b.0 c.1 d.2 e.3 f.4 g.5 h.6 i.7 j.8
STEP 1「$27\,^\circ\text{C}$ で沸点となるための外圧」=「$27\,^\circ\text{C}$ におけるエタノールの飽和蒸気圧」
液体が沸騰する温度(沸点)とは、「液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる温度」のことです。
つまり、「エタノールが $27\,^\circ\text{C}$ で沸点となるための外圧」とは、言い換えれば「実験4から求まる $27\,^\circ\text{C}$ におけるエタノールの飽和蒸気圧 $P_{\text{EtOH}}$ そのもの」です!
STEP 2実験4の水銀柱の降下量からエタノールの飽和蒸気圧を求める
実験1(真空)では水銀柱の高さが $760\text{ mm}$ だったのに対し、実験4(空間Xが $27\,^\circ\text{C}$ のエタノールの飽和蒸気圧で満たされている状態)では水銀柱の高さが $694\text{ mm}$ になりました。
水銀柱が押し下げられた分の差 $\Delta h$ が、エタノールの飽和蒸気圧 $P_{\text{EtOH}}$ に相当します。
$$\Delta h = 760\text{ mm} - 694\text{ mm} = 66\text{ mm}$$
$760\text{ mm}$ の水銀柱が $1.013 \times 10^5\text{ Pa}$ に相当するので、$66\text{ mm}$ 分の圧力 $P_{\text{EtOH}}$ は、
$$P_{\text{EtOH}} = 1.013 \times 10^5\text{ Pa} \times \frac{66\text{ mm}}{760\text{ mm}}$$
計算を実行すると、
$$P_{\text{EtOH}} = \frac{66.858}{760} \times 10^5\text{ Pa} = 0.087971\dots \times 10^5\text{ Pa} = 8.7971\dots \times 10^3\text{ Pa}$$
有効数字2桁にするため、3桁目の $9$ を四捨五入すると、
$$P_{\text{EtOH}} \fallingdotseq 8.8 \times 10^3\text{ Pa}$$
となります。
大問 2 (A):有機化合物の酸化反応と炭素原子の酸化数
有機化学・酸化還元
大問2(A)は「有機化合物の炭素原子1個ごとの酸化数」を定義から計算させる問題だよ。一見すると文章が長くてビックリするかもしれないけど、ルールは超シンプル!
電気陰性度は $\text{O} > \text{C} > \text{H}$ で、同じ $\text{C}-\text{C}$ 結合は引き分け($\pm 0$)!だから1位の炭素について「$\text{H}$ と結合していたら $-1$、$\text{O}$ と結合していたら結合1本につき $+1$」と数えるだけで1秒で酸化数が出せるんだ!電子の物質量も酸化数の変化量から一発だよ!
問題文 2 (A)
2 (A), (B)の各問の解答を与えられた選択肢から一つ選べ。
(A) 有機化合物を構成する原子の酸化数は、価電子の数からその原子に形式的に属する電子の数を引くことで求められる。形式的に属する電子は次の方法で求められる。共有結合の場合、電気陰性度の大きな原子側に結合に関わる全ての電子が属し、同じ原子の場合は結合に関わる電子の半数がそれぞれの原子に属する。また、原子が非共有電子対を持つ場合は、この電子が全てその原子に属する。有機化合物の各炭素原子の酸化数は、同じではなく異なる場合がある。
1-プロパノールにおける位置番号は酸素原子が結合する炭素原子を1位とし、この1位の炭素原子と結合した炭素原子を2位として表される。2-メチル-1-プロパノールは、1-プロパノールの2位の炭素原子に結合した水素原子1つがメチル基に置き換わったものである。2-メチル-1-プロパノールの位置番号も1-プロパノールと同様に酸素原子が結合する炭素原子を1位とする。2-メチル-1-プロパノールが酸化されると、有機化合物Aが生成する。この有機化合物Aがさらに酸化されると、有機化合物Bが生成する。ここで、2-メチル-1-プロパノールの1位であった炭素原子は有機化合物Aを構成する炭素原子の一部になる。この炭素原子の位置番号も1位となる。同様に、有機化合物Aの1位であった炭素原子は有機化合物Bを構成する炭素原子の一部になり、この炭素原子の位置番号も1位となる。
▼ 2-メチル-1-プロパノール → A → B の構造式と1位炭素(赤丸)の酸化数計算 ▼
問1 有機化合物Aの分子量は $\fbox{ア}\fbox{イ}$ である。ア, イに適する数字を選べ。
【選択肢】 ア: a.1〜i.9 / イ: a.1〜i.9, j.0
STEP 1有機化合物Aの分子式と分子量を求める
1-プロパノール($\text{CH}_3\text{-CH}_2\text{-CH}_2\text{OH}$)の2位の炭素に結合した $\text{H}$ 1つがメチル基に置き換わった2-メチル-1-プロパノールは、構造式が $(\text{CH}_3)_2\text{CH-CH}_2\text{OH}$ の第一級アルコールです。
これが1段階酸化されると、アルデヒドである有機化合物A(2-メチルプロパナール、イソブチルアルデヒド)が生成します。
$$\text{構造式}:(\text{CH}_3)_2\text{CH-CHO} \quad \Longrightarrow \quad \text{分子式}:\text{C}_4\text{H}_8\text{O}$$
したがって、有機化合物Aの分子量は、
$$12.0 \times 4 + 1.0 \times 8 + 16.0 \times 1 = 48.0 + 8.0 + 16.0 = 72$$
です。
問2 アミドCを加水分解するとアニリンと有機化合物Bが生成する。アミドCの分子量は $\fbox{ウ}\fbox{エ}\fbox{オ}$ である。ウ, エ, オに適する数字を選べ。
【選択肢】 ウ: a.1〜i.9 / エ, オ: a.1〜i.9, j.0
STEP 1有機化合物Bとアニリンから水1分子を引いてアミドCの分子量を求める
有機化合物A($(\text{CH}_3)_2\text{CH-CHO}$)がさらに酸化されると、カルボン酸である有機化合物B(2-メチルプロパン酸、イソ酪酸)になります。
- 有機化合物B($(\text{CH}_3)_2\text{CH-COOH}$、分子式 $\text{C}_4\text{H}_8\text{O}_2$)の分子量 $= 72 + 16.0 = 88.0$
- アニリン($\text{C}_6\text{H}_5\text{NH}_2$、分子式 $\text{C}_6\text{H}_7\text{N}$)の分子量 $= 12.0 \times 6 + 1.0 \times 7 + 14.0 = 72.0 + 7.0 + 14.0 = 93.0$
アミドCを加水分解するとアニリンと有機化合物Bが生成するということは、逆にアニリン1分子と有機化合物B 1分子が脱水縮合($\text{H}_2\text{O}$ 分子量 $18.0$ が取れる)したものがアミドC($(\text{CH}_3)_2\text{CH-CONHC}_6\text{H}_5$)です。 $$\text{アミドCの分子量} = 88.0 + 93.0 - 18.0 = 163$$
問3 2-メチル-1-プロパノールの1位の炭素原子の酸化数は カキ であり、有機化合物Aの1位の炭素原子の酸化数は クケ である。カ, クに適する符号を、キ, ケに適する数字を選べ。ただし、キが0のときはカにcを選ぶこと。同様に、ケが0のときもクにcを選ぶこと。
【選択肢】 カ, ク: a. + b. - c. 0 / キ, ケ: a.1〜i.9, j.0
STEP 1問題文の定義通りに「形式的に属する電子の数」を数える
電気陰性度の大小関係は $\text{O} > \text{C} > \text{H}$ であり、炭素原子 $\text{C}$(第14族)の価電子の数は $4$ 個です。
結合1本(共有電子2個)あたり、$\text{C}$ 側に形式的に属する電子の数は:
- $\text{C}-\text{H}$ 結合:$\text{H}$ より $\text{C}$ の方が電気陰性度が大きいので、結合に関わる $2$ 個すべてが $\text{C}$ に属する。
- $\text{C}-\text{C}$ 結合:同じ炭素原子同士なので、半分の $1$ 個がそれぞれの $\text{C}$ に属する。
- $\text{C}-\text{O}$ 結合(または $\text{C}=\text{O}$ 結合):$\text{C}$ より $\text{O}$ の方が電気陰性度が大きいので、結合に関わる電子はすべて $\text{O}$ に奪われ、$\text{C}$ には $0$ 個属する。
STEP 22-メチル-1-プロパノールと有機化合物Aの1位炭素の酸化数を計算する
① 2-メチル-1-プロパノールの1位炭素($-\text{C}^1\text{H}_2\text{OH}$)
1位炭素 $\text{C}^1$ の周りには、$\text{C}-\text{C}$ 単結合が1本、$\text{C}-\text{H}$ 単結合が2本、$\text{C}-\text{O}$ 単結合が1本あります。
したがって、$\text{C}^1$ に形式的に属する電子の数は、
$$1 \times 1 + 2 \times 2 + 0 \times 1 = 5\text{ 個}$$
よって、酸化数は、
$$\text{価電子の数 } 4 - 5 = \mathbf{-1}$$
② 有機化合物Aの1位炭素($-\text{C}^1\text{H}=\text{O}$)
1位炭素 $\text{C}^1$ の周りには、$\text{C}-\text{C}$ 単結合が1本、$\text{C}-\text{H}$ 単結合が1本、$\text{C}=\text{O}$ 二重結合が1本あります。
したがって、$\text{C}^1$ に形式的に属する電子の数は、
$$1 \times 1 + 2 \times 1 + 0 = 3\text{ 個}$$
よって、酸化数は、
$$\text{価電子の数 } 4 - 3 = \mathbf{+1}$$
問4 有機化合物Bの1位の炭素原子の酸化数は コサ であり、アミドCのカルボニル基の炭素原子の酸化数は シス である。コ, シに適する符号を、サ, スに適する数字を選べ。ただし、サが0のときはコにcを選ぶこと。同様に、スが0のときもシにcを選ぶこと。
【選択肢】 コ, シ: a. + b. - c. 0 / サ, ス: a.1〜i.9, j.0
STEP 1有機化合物BとアミドCの1位(カルボニル)炭素の酸化数を計算する
電気陰性度は $\text{O} > \text{N} > \text{C} > \text{H}$ であるため、$\text{C}-\text{O}$ 結合だけでなく $\text{C}-\text{N}$ 結合においても、共有電子はすべて電気陰性度の大きい $\text{N}$ 側に属する($\text{C}$ には $0$ 個属する)ことに注意します。
① 有機化合物Bの1位炭素($-\text{C}^1(= \text{O})\text{OH}$)
1位炭素 $\text{C}^1$ の周りには、$\text{C}-\text{C}$ 単結合が1本、$\text{C}=\text{O}$ 二重結合が1本、$\text{C}-\text{O}$ 単結合が1本あります。
したがって、$\text{C}^1$ に形式的に属する電子の数は $\text{C}-\text{C}$ 結合からの $1$ 個のみです。
よって、酸化数は、
$$\text{価電子の数 } 4 - 1 = \mathbf{+3}$$
② アミドCのカルボニル炭素($-\text{C}^1(= \text{O})\text{NHC}_6\text{H}_5$)
カルボニル炭素 $\text{C}^1$ の周りには、$\text{C}-\text{C}$ 単結合が1本、$\text{C}=\text{O}$ 二重結合が1本、$\text{C}-\text{N}$ 単結合が1本あります。
$\text{O}$ と $\text{N}$ はどちらも $\text{C}$ より電気陰性度が大きいため、$\text{C}^1$ に形式的に属する電子の数は $\text{C}-\text{C}$ 結合からの $1$ 個のみです。
よって、酸化数はカルボン酸と同じく、
$$\text{価電子の数 } 4 - 1 = \mathbf{+3}$$
問5 希硫酸中で二クロム酸カリウムを用いて2-メチル-1-プロパノールをすべて有機化合物Bへ変換するとき、$1.0\,\text{mol}$ の2-メチル-1-プロパノールに対して最小限必要な二クロム酸カリウムの物質量は何 $\text{mol}$ か。次のa〜jの中から1つ選べ。 52
【選択肢】 a. 1/6 b. 1/3 c. 1/2 d. 2/3 e. 1 f. 3/2 g. 2 h. 5/2 i. 3 j. 6
STEP 1酸化数の変化から授受される電子の物質量を比べて立式する
-
還元剤(2-メチル-1-プロパノール $\rightarrow$ 有機化合物B):
1位の炭素原子の酸化数が $-1$ から $+3$ へと $+4$ 変化します(他の原子の酸化数は変化しません)。
つまり、2-メチル-1-プロパノール $1\,\text{mol}$ は $4\,\text{mol}$ の電子 $\text{e}^-$ を放出します。 -
酸化剤(二クロム酸カリウム $\text{K}_2\text{Cr}_2\text{O}_7$):
酸性水溶液中では、$\text{Cr}_2\text{O}_7^{2-}$($\text{Cr}$ の酸化数 $+6$)が還元されて $2\text{Cr}^{3+}$($\text{Cr}$ の酸化数 $+3$)になります。
$$\text{Cr}_2\text{O}_7^{2-} + 14\text{H}^+ + 6\text{e}^- \longrightarrow 2\text{Cr}^{3+} + 7\text{H}_2\text{O}$$ つまり、$\text{K}_2\text{Cr}_2\text{O}_7$ $1\,\text{mol}$ は $6\,\text{mol}$ の電子 $\text{e}^-$ を受け取ります。
必要な二クロム酸カリウムの物質量を $x\,[\text{mol}]$ とすると、(放出された $\text{e}^-$ の物質量)=(受け取った $\text{e}^-$ の物質量)より、 $$4 \times 1.0\,\text{mol} = 6 \times x \implies x = \frac{4}{6} = \mathbf{\frac{2}{3}\,\text{mol}}$$
化学の過去問で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
私立医学部の入試は、化学1科目だけできても受かりません。「化学の計算に時間をかけすぎて数学や英語が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(東邦大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。