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自己採点・復習用大問 1(無機物質と人間生活)
- 問1 (ア)卑金属
- 問1 (イ)アルミニウム
- 問1 (ウ)銅
- 問2A
- 問3H
- 問4 (ア)$\text{ZrO}_2$
- 問4 (イ)$\text{Ca}_{10}(\text{PO}_4)_6(\text{OH})_2$ (または $\text{Ca}_5(\text{PO}_4)_3(\text{OH})$)
- 問5C
大問 2(電離平衡とpH指示薬)
- 問1 (ア)ルシャトリエ
- 問2E
- 問3F(10倍)
- 問4 (1)C(3.5)
- 問4 (2)D(2.5から4.5まで)
大問 3(アルミニウムの結晶と製錬)
- 問1B($4.0 \times 10^{-8}\text{ cm}$)
- 問2B(2個:エ、オ)
- 問3F(3.0倍)
- 問4 (b)$\text{Al}_2\text{O}_3$
- 問5C(0.44トン)
大問 4(鎖式炭化水素の構造と燃焼)
- 問1D(炭素数 4)
- 問2C(3種類)
- 問3C(2種類)
- 問5 二酸化炭素$110\text{ mg}$
- 問5 水$45.0\text{ mg}$
※原本において「問4」の印字はなく、問3の次が「問5」となっています。
大問 5(合成繊維とアミド結合)
- 問1 (1)記号:イ / 名称:アクリル繊維
- 問1 (2)記号:ア / 名称:ポリエチレンテレフタラート
- 問2$\varepsilon$-カプロラクタムの7員環構造式(解説図参照)
- 問3 (1)C(3個)
- 問3 (2)B($2.0 \times 10^3$ 個)
- 問3 (3)D
大問 1:人間生活で利用されている無機物質
無機化学・知識問題大問1は「無機物質と人間生活」からの知識問題だね!東海大医学部では教科書のコラムや巻末に近い「合金・セラミックス・ガラス・工業触媒」が大好き!特に問3のガラスのひっかけ(すべて誤りでHを選ぶ)と、問4のヒドロキシアパタイトの化学式は合否を分けるポイントだよ。ここを3〜4分でサクッと駆け抜けよう!
問1:金属の分類と世界生産量ランキング
STEP 1貴金属の対義語を確認しよう
金($\text{Au}$)・白金($\text{Pt}$)・銀($\text{Ag}$)のようにイオン化傾向が小さく空気中で酸化されにくい(さびにくい)金属を貴金属と呼ぶのに対し、イオン化傾向が大きく空気中で酸化されやすい(さびやすい)金属を卑金属(ひきんぞく)と呼びます。
STEP 2金属の世界生産量(地殻中の存在量とも関連)を確認しよう
世界で生産・消費されている金属の生産量(重量ベース)は、圧倒的第1位が鉄($\text{Fe}$)(全体の約90%以上)です。
続く第2位は、軽くて加工しやすく建築・輸送機器・飲料缶に広く使われるアルミニウム($\text{Al}$)、第3位は導電性・熱伝導性に優れ電線などに使われる銅($\text{Cu}$)です。
問2:代表的な合金の成分と性質
(ア) $\text{Cu}$ と $\text{Zn}$ の合金は加工性と耐食性に優れ,真ちゅうと呼ばれる。
(イ) $\text{Ag}$ と $\text{Zn}$ と $\text{Ni}$ の合金は美しい銀白色で加工性に富み,洋銀と呼ばれる。
(ウ) $\text{Fe}$ と $\text{C}$ の合金は,$\text{C}$ の含有量が約 $4\%$ で強くしなやかな性質をもち,鋼と呼ばれる。
A. (ア)のみ。 B. (イ)のみ。 C. (ウ)のみ。 D. (ア)と(イ)のみ。 E. (ア)と(ウ)のみ。 F. (イ)と(ウ)のみ。 G. (ア),(イ),(ウ)すべて。 H. すべて正しくない。
STEP 1各記述の正誤を1つずつ徹底判定!
- ● (ア) 正しい(〇): 銅($\text{Cu}$)と亜鉛($\text{Zn}$)の合金は真ちゅう(黄銅)と呼ばれ、加工性や耐食性に優れ、五円玉硬貨や金管楽器などに使われます。(ちなみに $\text{Cu}$ と $\text{Sn}$ の合金は青銅[ブロンズ]、$\text{Cu}$ と $\text{Ni}$ の合金は白銅です)。
- ● (イ) 誤り(×): 洋銀(洋白)は、文字に「銀」と入っていますが銀($\text{Ag}$)は一切含まれていません!正しくは銅($\text{Cu}$)・亜鉛($\text{Zn}$)・ニッケル($\text{Ni}$)の合金です。銀のような美しい白さの光沢をもつため「洋銀」と呼ばれます。
- ● (ウ) 誤り(×): 溶鉱炉で得られる銑鉄(せんてつ)は炭素($\text{C}$)を約 $4\%$ 含み、硬くてもろい性質をもちます。これを転炉で酸素を吹き込んで炭素含有量を約 $0.02\% \sim 2\%$ 程度に減らしたものが、強靭でしなやかな鋼(こう/はがね)です。炭素約 $4\%$ は銑鉄の説明なので誤りです。
STEP 2選択肢を選ぶ
正しいのは(ア)のみなので、A が正解です。
問3:ガラスの構造と種類
(ア) ガラスは $\text{SiO}_2$ を主成分とする共有結合の結晶である。
(イ) 窓ガラスには $\text{SiO}_2$ のみを用いて作った石英ガラスが使用される。
(ウ) ビーカーなどの実験器具には,耐薬品性に優れる鉛ガラスが用いられる。
A. (ア)のみ。 B. (イ)のみ。 C. (ウ)のみ。 D. (ア)と(イ)のみ。 E. (ア)と(ウ)のみ。 F. (イ)と(ウ)のみ。 G. (ア),(イ),(ウ)すべて。 H. すべて正しくない。
STEP 1ガラスの分類と性質を整理して判定!
- ● (ア) 誤り(×): 水晶(石英)は $\text{SiO}_2$ が規則正しく並んだ「共有結合の結晶」ですが、ガラスは粒子が不規則に配列した非晶質(アモルファス)であり、結晶ではありません。ここは超頻出のひっかけポイントです!
- ● (イ) 誤り(×): 窓ガラスやガラス瓶に最も広く使われているのは、珪砂($\text{SiO}_2$)・炭酸ナトリウム($\text{Na}_2\text{CO}_3$)・石灰石($\text{CaCO}_3$)を融解して作るソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)です。高純度の $\text{SiO}_2$ のみで作る石英ガラスは高価で、光ファイバーや特殊な光学機器・実験器具に使われます。
- ● (ウ) 誤り(×): ビーカーやフラスコなどの加熱・化学実験器具には、熱膨張率が小さく耐熱性・耐薬品性に優れるホウケイ酸ガラス($\text{B}_2\text{O}_3$ を含むガラス)が用いられます。鉛ガラス(クリスタルガラス)は屈折率が大きく光沢が美しいため、高級食器やシャンデリア、光学レンズなどに用いられます。
STEP 2選択肢を選ぶ
(ア)・(イ)・(ウ)すべて誤りなので、H(すべて正しくない)が正解です。
問4:ファインセラミックスの化学式
STEP 1下線部(ア):酸化ジルコニウム(ジルコニア)の化学式
ジルコニウム($\text{Zr}$)は周期表で第4族(チタン $\text{Ti}$ のすぐ下)に属する遷移元素で、酸化数 $+4$($\text{Zr}^{4+}$)をとります。酸化チタンが $\text{TiO}_2$ であるのと同様に、酸化ジルコニウム(IV)(別名:ジルコニア)の化学式は $\text{ZrO}_2$ です。
STEP 2下線部(イ):ヒドロキシアパタイトの化学式をイオンの電荷バランスから導こう!
ヒドロキシアパタイトは「塩基性リン酸カルシウム」とも呼ばれ、以下の3種類のイオンから構成されるイオン結晶です。
・カルシウムイオン:$\text{Ca}^{2+}$(電荷 $+2$)
・リン酸イオン:$\text{PO}_4^{3-}$(電荷 $-3$)
・水酸化物イオン:$\text{OH}^-$(電荷 $-1$)
リン酸カルシウム $\text{Ca}_3(\text{PO}_4)_2$ を3単位($\text{Ca}^{2+}$ が9個、$\text{PO}_4^{3-}$ が6個)と、水酸化カルシウム $\text{Ca}(\text{OH})_2$ を1単位($\text{Ca}^{2+}$ が1個、$\text{OH}^-$ が2個)組み合わせると考えると絶対に忘れません!
$$3\text{Ca}_3(\text{PO}_4)_2 + \text{Ca}(\text{OH})_2 \longrightarrow \text{Ca}_{10}(\text{PO}_4)_6(\text{OH})_2$$
電荷の合計を確認すると、$(+2) \times 10 + (-3) \times 6 + (-1) \times 2 = +20 - 18 - 2 = 0$ でバッチリ電気的中性が保たれていますね!(組成式として半分にした $\text{Ca}_5(\text{PO}_4)_3(\text{OH})$ も許容されますが、高校化学の教科書では単位格子に対応する $\text{Ca}_{10}(\text{PO}_4)_6(\text{OH})_2$ が標準的です)。
問5:工業的製法と触媒の組合せ
| 硫酸 | 硝酸 | アンモニア | |
|---|---|---|---|
| A | $\text{Pt}$ | $\text{V}_2\text{O}_5$ | $\text{Fe}_3\text{O}_4$ |
| B | $\text{Pt}$ | $\text{Fe}_3\text{O}_4$ | $\text{V}_2\text{O}_5$ |
| C | $\text{V}_2\text{O}_5$ | $\text{Pt}$ | $\text{Fe}_3\text{O}_4$ |
| D | $\text{V}_2\text{O}_5$ | $\text{Fe}_3\text{O}_4$ | $\text{Pt}$ |
| E | $\text{Fe}_3\text{O}_4$ | $\text{Pt}$ | $\text{V}_2\text{O}_5$ |
| F | $\text{Fe}_3\text{O}_4$ | $\text{V}_2\text{O}_5$ | $\text{Pt}$ |
STEP 13大工業的製法の名称・反応・触媒をセットで確認!
-
① 硫酸の工業的製法(接触法):
二酸化硫黄 $\text{SO}_2$ を酸素 $\text{O}_2$ で酸化して三酸化硫黄 $\text{SO}_3$ にする工程($2\text{SO}_2 + \text{O}_2 \rightleftarrows 2\text{SO}_3$)で、酸化バナジウム(V)($\text{V}_2\text{O}_5$)を触媒として用います。 -
② 硝酸の工業的製法(オストワルト法):
アンモニア $\text{NH}_3$ を空気中の酸素で酸化して一酸化窒素 $\text{NO}$ にする工程($4\text{NH}_3 + 5\text{O}_2 \longrightarrow 4\text{NO} + 6\text{H}_2\text{O}$)で、白金($\text{Pt}$)(白金網)を触媒として用います。 -
③ アンモニアの工業的製法(ハーバー・ボッシュ法):
窒素 $\text{N}_2$ と水素 $\text{H}_2$ からアンモニア $\text{NH}_3$ を合成する工程($\text{N}_2 + 3\text{H}_2 \rightleftarrows 2\text{NH}_3$)で、四酸化三鉄($\text{Fe}_3\text{O}_4$)を主成分とする鉄系触媒を用います。
したがって、組合せとして正しいのは C です。
大問 2:酸・塩基の電離平衡とpH指示薬の変色域
理論化学・電離平衡大問2は「pH指示薬の電離平衡と変色域」だね!指示薬の分子形 $\text{HA}$ とイオン形 $\text{A}^-$ の比 $\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ が、pHによってどう変化するかを常用対数 $\log_{10}$ で追いかける超王道テーマだよ。対数の符号($-\log_{10}[\text{H}^+] = \text{pH}$)さえ丁寧に変形すれば、問2〜問4までドミノ倒しで全問正解できるボーナスステージだ!
問1:平衡移動の原理
STEP 1平衡移動の原理の名称
「可逆反応が平衡状態にあるとき、濃度・圧力・温度などの条件を変化させると、その変化を打ち消す(和らげる)向きに平衡が移動し、新しい平衡状態に達する」という法則をルシャトリエの原理といいます。人名のみをカタカナで答えるので「ルシャトリエ」となります。
問2:$\log_{10} K_{\text{a}}$ と $\text{pH}$ の関係式
A. $\text{pH} + \log_{10}\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ B. $\text{pH} - \log_{10}\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ C. $\text{pH} + \log_{10}[\text{HA}]$
D. $\text{pH} - \log_{10}[\text{HA}]$ E. $\log_{10}\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} - \text{pH}$ F. $\log_{10}\dfrac{[\text{HA}]}{[\text{A}^-]} - \text{pH}$
STEP 1式(ii)の両辺の常用対数($\log_{10}$)をとる
式(ii)は次のように積の形に分けられます。 $$K_{\text{a}} = [\text{H}^+] \times \frac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$$ この両辺の常用対数 $\log_{10}$ をとり、対数の性質 $\log_{10}(X \times Y) = \log_{10} X + \log_{10} Y$ を使うと、 $$\log_{10} K_{\text{a}} = \log_{10}[\text{H}^+] + \log_{10}\frac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$$
STEP 2$\text{pH}$ の定義式を代入する
水素イオン指数 $\text{pH}$ の定義は $\text{pH} = -\log_{10}[\text{H}^+]$ です。すなわち、 $$\log_{10}[\text{H}^+] = -\text{pH}$$ これを上の式に代入すると、 $$\log_{10} K_{\text{a}} = -\text{pH} + \log_{10}\frac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = \log_{10}\frac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} - \text{pH}$$ となり、選択肢 E と完全に一致します。
問3:$\text{pH}$ が $1$ 増加したときの濃度比の変化
A. $0.1$ 倍 B. $0.5$ 倍 C. $1$ 倍 D. $2$ 倍 E. $5$ 倍 F. $10$ 倍
STEP 1式(ii)を $\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ について解く
式(ii) $K_{\text{a}} = \dfrac{[\text{H}^+][\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ の両辺を $[\text{H}^+]$ で割ると、 $$\frac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = \frac{K_{\text{a}}}{[\text{H}^+]}$$ ここで温度が一定なら電離定数 $K_{\text{a}}$ は一定です。
STEP 2$\text{pH}$ が $1$ 増加したときの $[\text{H}^+]$ の変化を考える
$[\text{H}^+] = 10^{-\text{pH}}$ なので、$\text{pH}$ が $1$ 増加すると(例:$\text{pH}=3 \rightarrow 4$)、水素イオン濃度 $[\text{H}^+]$ は $\dfrac{1}{10}$ 倍($0.1$ 倍)になります。
分母の $[\text{H}^+]$ が $\dfrac{1}{10}$ 倍になるため、$\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = \dfrac{K_{\text{a}}}{[\text{H}^+]}$ は $10$ 倍になります。
(別解:問2の式より $\log_{10}\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = \log_{10} K_{\text{a}} + \text{pH}$ なので、$\text{pH}$ が $+1$ 増えると $\log_{10}\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ も $+1$ 増えます。常用対数が $+1$ 増えることは真数が $10^1 = 10$ 倍になることを意味します)。
問4:メチルオレンジの変色域の計算
(1) メチルオレンジでは $[\text{HA}] = [\text{A}^-]$ となる $\text{pH}$ はいくらか。次の中から最も近いものを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
A. $3.1$ B. $3.3$ C. $3.5$ D. $3.7$ E. $3.9$ F. $4.1$ G. $4.3$
(2) 式(iii)に従えばメチルオレンジの変色域はいくらからいくらまでの範囲内にあるか。次の中から最も適切なものを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
A. $1.0$ から $3.0$ まで B. $1.5$ から $3.5$ まで C. $2.0$ から $4.0$ まで
D. $2.5$ から $4.5$ まで E. $3.5$ から $5.5$ まで F. $4.5$ から $5.5$ まで
【図解】メチルオレンジの平衡移動と変色域のイメージ
STEP 1(1) $[\text{HA}] = [\text{A}^-]$ となるときの $\text{pH}$ を計算する
$[\text{HA}] = [\text{A}^-]$ のとき、$\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = 1$ です。
これを式(ii) $K_{\text{a}} = [\text{H}^+] \times \dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$ に代入すると、
$$[\text{H}^+] = K_{\text{a}} = 3.4 \times 10^{-4}\text{ mol/L}$$
よって $\text{pH}$ は、
$$\begin{aligned}
\text{pH} &= -\log_{10}[\text{H}^+] \\
&= -\log_{10}(3.4 \times 10^{-4}) \\
&= -(\log_{10} 3.4 + \log_{10} 10^{-4}) \\
&= -(0.53 - 4) \\
&= 4 - 0.53 = 3.47 \fallingdotseq 3.5
\end{aligned}$$
したがって、最も近いものは C($3.5$)です。
STEP 2(2) 式(iii) $0.1 \leqq \dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} \leqq 10$ から変色域の両端を求める
問2で求めた式 $\log_{10} K_{\text{a}} = \log_{10}\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} - \text{pH}$ を変形すると、
$$\text{pH} = -\log_{10} K_{\text{a}} + \log_{10}\frac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]}$$
ここで(1)より $-\log_{10} K_{\text{a}} = 3.47$($\fallingdotseq 3.5$)です。
・下限($\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = 0.1 = 10^{-1}$ のとき):
$$\text{pH} = 3.47 + \log_{10} 10^{-1} = 3.47 - 1 = 2.47 \fallingdotseq 2.5$$
・上限($\dfrac{[\text{A}^-]}{[\text{HA}]} = 10 = 10^1$ のとき):
$$\text{pH} = 3.47 + \log_{10} 10^1 = 3.47 + 1 = 4.47 \fallingdotseq 4.5$$
よって、メチルオレンジの変色域は $2.5$ から $4.5$ まで(選択肢 D)となります。
★ポイント:弱酸の指示薬の変色域は常に「$\text{p}K_{\text{a}} - 1 \leqq \text{pH} \leqq \text{p}K_{\text{a}} + 1$」になります!
大問 3:アルミニウムの結晶格子・性質・融解塩電解
理論+無機融合大問3はアルミニウム尽くしの総合問題!問1の結晶格子の計算では「3乗根 $\sqrt[3]{\quad}$ の表」が与えられているから、その中の数字($33, 66, 99, 132, 166$)にピタッと合うように式を整理するのがコツだよ。そして一番の難所は問5の融解塩電解(ホール・エルー法)の量的計算!「$\text{CO}$ と $\text{CO}_2$ が同じ物質量ずつ発生する」という条件から電子 $e^-$ の物質量をどう繋ぐか、ステップごとに完全図解するね!
アルミニウムの精錬では,ボーキサイトなどの鉱石を溶解したのちにアルミニウムを含む水酸化物を沈殿させ(a),得られた沈殿を加熱して高純度の酸化物である( b )を得る。この( b )を炭素電極を用いて溶融塩電解することにより,アルミニウムの単体を得る。溶融塩電解では,アルミニウムは陰極で生成し,陽極では一酸化炭素や二酸化炭素が生成する(c)。以下の各問いに答えなさい。
問1:面心立方格子の単位格子の一辺の長さ
A. $3.2 \times 10^{-8}\text{ cm}$ B. $4.0 \times 10^{-8}\text{ cm}$ C. $4.6 \times 10^{-8}\text{ cm}$ D. $5.1 \times 10^{-8}\text{ cm}$ E. $5.5 \times 10^{-8}\text{ cm}$
■ 面心立方格子の単位格子中の原子数:
・頂点の原子(青):$\dfrac{1}{8}\text{ 個} \times 8\text{ 頂点} = 1\text{ 個}$
・面の中心の原子(赤):$\dfrac{1}{2}\text{ 個} \times 6\text{ 面} = 3\text{ 個}$
➡ 合計:$1 + 3 = 4\text{ 個}$ の $\text{Al}$ 原子が含まれる!
STEP 1単位格子の体積 $a^3$ と質量の関係から密度の式を立てる
単位格子の一辺の長さを $a\text{ [cm]}$ とすると、単位格子の体積は $V = a^3\text{ [cm}^3\text{]}$ です。
$\text{Al}$ のモル質量は $27.0\text{ g/mol}$、アボガドロ定数は $N_{\text{A}} = 6.02 \times 10^{23}\text{ /mol}$ なので、$\text{Al}$ 原子 $1$ 個あたりの質量は $\dfrac{27.0}{6.02 \times 10^{23}}\text{ [g]}$ です。
面心立方格子の単位格子中には $4$ 個の $\text{Al}$ 原子が含まれるため、単位格子 $1$ 個分の質量 $m\text{ [g]}$ は、
$$m = \frac{27.0 \times 4}{6.02 \times 10^{23}}\text{ [g]}$$
STEP 2密度 $d = \dfrac{m}{V} = 2.7\text{ g/cm}^3$ に代入して $a^3$ を求める
$$\text{密度 } d = \frac{27.0 \times 4}{6.02 \times 10^{23} \times a^3} = 2.7\text{ g/cm}^3$$ 両辺を $a^3$ について解くと($\dfrac{27.0}{2.7} = 10$ と綺麗に約分できます!)、 $$a^3 = \frac{27.0 \times 4}{2.7 \times 6.02 \times 10^{23}} = \frac{10 \times 4}{6.02 \times 10^{23}} = \frac{40}{6.02} \times 10^{-23}\text{ cm}^3$$
STEP 3指数を $10^{-24} = (10^{-8})^3$ に揃えて3乗根をとる!
3乗根を外に出すために、$10^{-23} = 10 \times 10^{-24}$ と変形します。 $$a^3 = \frac{400}{6.02} \times 10^{-24} \fallingdotseq 66.4 \times 10^{-24}\text{ cm}^3$$ 両辺の3乗根をとると、問題文で与えられた $\sqrt[3]{66} = 4.0$ がそのまま使えます! $$a = \sqrt[3]{66.4 \times 10^{-24}} \fallingdotseq \sqrt[3]{66} \times 10^{-8} = 4.0 \times 10^{-8}\text{ cm}$$ したがって、正解は B です。
問2:アルミニウムの単体の性質(個数選択)
(ア) アルミニウムイオンを含む水溶液を電気分解して得ることができる。
(イ) 高温の水蒸気と反応して水素を発生する。
(ウ) 鉄の単体よりイオン化傾向が小さい。
(エ) 熱や電気をよく伝える。
(オ) 濃硝酸には溶けない。
A. $1$ B. $2$ C. $3$ D. $4$ E. $5$
STEP 1(ア)〜(オ)の正誤を1つずつ厳密にチェック!
- ● (ア) 誤り(×): アルミニウム($\text{Al}$)はイオン化傾向が非常に大きく(水よりはるかに還元されにくい)、$\text{Al}^{3+}$ を含む水溶液を電気分解しても陰極では水が還元されて水素($\text{H}_2$)が発生するだけで、単体の $\text{Al}$ は析出しません。そのため、水を含まない酸化アルミニウムの溶融塩電解(融解塩電解)によって単体を得ます。
- ● (イ) 誤り(×): ここが最大の注意点!イオン化傾向の並び($\text{Mg}, \text{Al}, \text{Zn}, \text{Fe}$)では確かにマグネシウムや鉄と同様に「高温の水蒸気と反応するグループ」に分類されることがありますが、実際のアルミニウム単体は表面に緻密で強固な酸化被膜($\text{Al}_2\text{O}_3$)を瞬時に形成するため、高温の水蒸気ともほとんど反応が進みません(高校化学の教科書でも、高温の水蒸気と反応する代表例は $\text{Mg}, \text{Zn}, \text{Fe}$ とされ、$\text{Al}$ は酸化被膜に保護されるため反応しにくいと扱われます)。
- ● (ウ) 誤り(×): イオン化列は $\text{K} > \text{Ca} > \text{Na} > \text{Mg} > \mathbf{Al} > \text{Zn} > \mathbf{Fe} > \text{Ni} \cdots$ なので、アルミニウムは鉄よりもイオン化傾向が大きいです。
- ● (エ) 正しい(〇): アルミニウムは金属の単体として自由電子をもち、熱や電気をよく伝えます(しかも軽いため、高圧送電線や調理器具に広く使われます)。
- ● (オ) 正しい(〇): アルミニウム($\text{Al}$)、鉄($\text{Fe}$)、ニッケル($\text{Ni}$)、クロム($\text{Cr}$)、コバルト($\text{Co}$)は、濃硝酸に浸すと表面に緻密な酸化被膜が生じてそれ以上反応しなくなる不動態となるため、濃硝酸には溶けません。
STEP 2正しいものの個数を数える
正しい記述は (エ)と(オ)の $2$ 個なので、B が正解です。
問3:両性水酸化物 $\text{Al(OH)}_3$ と酸・塩基の反応量
A. $0.33$ B. $0.50$ C. $1.0$ D. $1.5$ E. $2.0$ F. $3.0$
STEP 1$\text{Al(OH)}_3$ と塩酸 $\text{HCl}$ の反応式(中和反応)を書く
$\text{Al(OH)}_3$ は $3$ 個の $\text{OH}^-$ をもつので、$1\text{ mol}$ の $\text{Al(OH)}_3$ を中和して $\text{Al}^{3+}$($\text{AlCl}_3$)として溶かすには、$3\text{ mol}$ の $\text{HCl}$ が必要です。 $$\text{Al(OH)}_3 + 3\text{HCl} \longrightarrow \text{AlCl}_3 + 3\text{H}_2\text{O}$$ よって、$x = 3.0\text{ [mol]}$ です。
STEP 2$\text{Al(OH)}_3$ と水酸化ナトリウム $\text{NaOH}$ の反応式(錯イオン形成反応)を書く
$\text{Al(OH)}_3$ に強塩基である $\text{NaOH}$ 水溶液を加えると、さらに $1$ 個の $\text{OH}^-$ が配位結合して、4配位のテトラヒドロキシドアルミン酸イオン $[\text{Al(OH)}_4]^-$ となって溶解します。 $$\text{Al(OH)}_3 + \text{NaOH} \longrightarrow \text{Na}[\text{Al(OH)}_4]$$ よって、$1.0\text{ mol}$ の $\text{Al(OH)}_3$ を溶かすのに必要な最小限の $\text{NaOH}$ は $1.0\text{ mol}$ であり、$y = 1.0\text{ [mol]}$ です。
STEP 3$\dfrac{x}{y}$ を計算する
$$\frac{x}{y} = \frac{3.0}{1.0} = 3.0\text{ 倍}$$ したがって、正解は F です。
問4:アルミナの化学式
STEP 1水酸化アルミニウムの熱分解反応を確認する
バイヤー法でボーキサイトから取り出した水酸化アルミニウム $\text{Al(OH)}_3$ を強熱すると、脱水されて白色粉末の酸化アルミニウム(アルミナ)$\text{Al}_2\text{O}_3$ が得られます。 $$2\text{Al(OH)}_3 \xrightarrow{\text{加熱}} \text{Al}_2\text{O}_3 + 3\text{H}_2\text{O}$$
問5:溶融塩電解(ホール・エルー法)における炭素電極の消費量
A. $0.30\text{ トン}$ B. $0.36\text{ トン}$ C. $0.44\text{ トン}$ D. $0.59\text{ トン}$ E. $0.67\text{ トン}$
STEP 1陰極と陽極のイオン反応式(半反応式)を整理しよう
融解した氷晶石($\text{Na}_3\text{AlF}_6$)に $\text{Al}_2\text{O}_3$($\rightarrow 2\text{Al}^{3+} + 3\text{O}^{2-}$)を溶かして電気分解すると、各電極では以下の反応が起こります。
【陰極(還元反応)】 $\text{Al}^{3+} + 3\text{e}^- \longrightarrow \text{Al}$ ……①
【陽極(酸化反応・$\text{CO}$ 生成)】 $\text{C} + \text{O}^{2-} \longrightarrow \text{CO} + 2\text{e}^-$ ……②
【陽極(酸化反応・$\text{CO}_2$ 生成)】 $\text{C} + 2\text{O}^{2-} \longrightarrow \text{CO}_2 + 4\text{e}^-$ ……③
STEP 2「等しい物質量の $\text{CO}$ と $\text{CO}_2$ が生成」という条件を合体式にする!
陽極で生成する $\text{CO}$ と $\text{CO}_2$ の物質量が $1 : 1$(等しい物質量)なので、上の②式と③式をそのまま $1 : 1$ で足し合わせると、陽極全体の反応が1本の式にまとまります! $$(\text{②} + \text{③}):\quad 2\text{C} + 3\text{O}^{2-} \longrightarrow \text{CO} + \text{CO}_2 + 6\text{e}^-$$ この式を見ると、「陽極で炭素 $\text{C}$ が $2\text{ mol}$ 消費されるごとに、電子 $\text{e}^-$ が $6\text{ mol}$ 放出される(つまり $\text{C} : \text{e}^- = 2 : 6 = 1 : 3$)」ことが一目で分かりますね!
STEP 3陰極の $\text{Al}$ 生成量と陽極の $\text{C}$ 消費量を電子 $\text{e}^-$ の物質量で結ぶ
一方、陰極の①式 $\text{Al}^{3+} + 3\text{e}^- \longrightarrow \text{Al}$ より、「陰極で $\text{Al}$ が $1\text{ mol}$ 生成するごとに、電子 $\text{e}^-$ が $3\text{ mol}$ 消費される($\text{Al} : \text{e}^- = 1 : 3$)」ことが分かります。
驚いたことに、どちらの極も電子 $3\text{ mol}$ あたり $1\text{ mol}$ の物質が反応しています!(全体反応式を書くと $\text{Al}_2\text{O}_3 + 2\text{C} \longrightarrow 2\text{Al} + \text{CO} + \text{CO}_2$ となり、係数は $\text{Al} : \text{C} = 2 : 2 = 1 : 1$ です)。
したがって、
$$(\text{消費される炭素 }\text{C}\text{ の物質量}) = (\text{生成するアルミニウム }\text{Al}\text{ の物質量})$$
という超シンプルな $1 : 1$ の関係が成り立ちます!
STEP 4質量(トン)を計算する
物質量($\text{mol}$)が $1 : 1$ で等しいので、質量の比はそのまま原子量($\text{Al} = 27.0$、$\text{C} = 12.0$)の比になります。
$1.0\text{ トン}$ の $\text{Al}$ が生成したときに消費される炭素電極の質量 $w\text{ [トン]}$ は、
$$w = 1.0\text{ [トン]} \times \frac{12.0}{27.0} = \frac{4}{9}\text{ [トン]} \fallingdotseq 0.444\cdots\text{ [トン]} \fallingdotseq 0.44\text{ トン}$$
よって、最も近いものは C($0.44\text{ トン}$)です。
大問 4:鎖式炭化水素の付加反応・異性体・完全燃焼
有機化学・炭化水素大問4は鎖式炭化水素 $\text{A}$ の決定と異性体、そして燃焼計算だよ!まず「$\text{A } 1.0\text{ mol}$ に $\text{H}_2$ が $1.0\text{ mol}$ 付加する」ことから不飽和度 $1$(二重結合1個)のアルケンだと見抜こう。問2と問3では「構造異性体の数を答えるのか、立体異性体(シス・トランス)を含めるのか」に要注意!問題文に明確に「$\text{A}$ および $\text{A}$ の構造異性体のうち」と書かれているから、シス・トランス異性体は区別せずに数えるんだよ!
問1:鎖式炭化水素 $\text{A}$ の炭素数と分子式の決定
A. $1$ B. $2$ C. $3$ D. $4$ E. $5$ F. $6$ G. $7$ H. $8$
STEP 1水素の付加量から一般式を決める
鎖式炭化水素 $\text{A}$ $1.0\text{ mol}$ に対して水素分子($\text{H}_2$)が $1.0\text{ mol}$ 付加することから、$\text{A}$ は分子内に炭素間二重結合($\text{C}=\text{C}$)を $1$ 個もつアルケンであり、炭素数を $n$ とすると分子式は $\text{C}_n\text{H}_{2n}$(モル質量 $14.0n\text{ g/mol}$)と表せます。
STEP 2臭素($\text{Br}_2$)の付加量から $\text{A}$ の分子量を求める
二重結合を $1$ 個もつアルケン $\text{A}$ $1\text{ mol}$ には、臭素分子 $\text{Br}_2$(モル質量 $79.9 \times 2 = 159.8\text{ g/mol}$)も $1\text{ mol}$ 付加します。
付加した臭素 $\text{Br}_2$($2.0\text{ g}$)の物質量は、
$$n(\text{Br}_2) = \frac{2.0\text{ g}}{159.8\text{ g/mol}} \fallingdotseq \frac{2.0}{160}\text{ mol} = \frac{1}{80}\text{ mol} = 0.0125\text{ mol}$$
したがって、反応した $0.70\text{ g}$ の $\text{A}$ の物質量も $\dfrac{1}{80}\text{ mol}$ です。
$\text{A}$ のモル質量 $M\text{ [g/mol]}$ は、
$$M = \frac{0.70\text{ g}}{\frac{1}{80}\text{ mol}} = 0.70 \times 80 = 56.0\text{ g/mol}$$
STEP 3炭素数 $n$ を求める
$$14.0n = 56.0 \implies n = 4$$ よって、$\text{A}$ の分子式は $\text{C}_4\text{H}_8$、炭素数は $4$(選択肢 D)です。
問2・問3:$\text{C}_4\text{H}_8$ の構造異性体(鎖式・環式)
A. $1$ B. $2$ C. $3$ D. $4$ E. $5$ F. $6$ G. $7$ H. $8$
問3 鎖式炭化水素 $\text{A}$ および $\text{A}$ の構造異性体のうち,環式炭化水素は何種類あるか。次の中から最も適切なものを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
A. $0$ B. $1$ C. $2$ D. $3$ E. $4$ F. $5$ G. $6$ H. $7$
【図解】分子式 $\text{C}_4\text{H}_8$ のすべての構造異性体(合計5種類)
① 1-ブテン
$\text{CH}_2=\text{CH}-\text{CH}_2-\text{CH}_3$
② 2-ブテン (※構造異性体としては1種類!)
$\text{CH}_3-\text{CH}=\text{CH}-\text{CH}_3$
③ 2-メチルプロペン(イソブテン)
$\text{CH}_2=\text{C}(\text{CH}_3)_2$
① シクロブタン(4員環)
② メチルシクロプロパン
💡 注意:問2・問3ともに「$\text{A}$ および $\text{A}$ の構造異性体のうち」と問われているため、2-ブテンのシス・トランス異性体(立体異性体)は区別せず1種類の構造異性体として数えます。
STEP 1問2(鎖式炭化水素の構造異性体)の解答
1-ブテン、2-ブテン、2-メチルプロペンの $3$ 種類(選択肢 C)です。
STEP 2問3(環式炭化水素の構造異性体)の解答
シクロブタン、メチルシクロプロパンの $2$ 種類(選択肢 C)です。
問5:$\text{A}$($\text{C}_4\text{H}_8$)の完全燃焼で得られる $\text{CO}_2$ と $\text{H}_2\text{O}$ の質量
STEP 1完全燃焼の化学反応式(または原子数の保存)を確認する
$\text{A}$ の分子式は $\text{C}_4\text{H}_8$(モル質量 $56.0\text{ g/mol}$)です。完全燃焼の反応式は、 $$\text{C}_4\text{H}_8 + 6\text{O}_2 \longrightarrow 4\text{CO}_2 + 4\text{H}_2\text{O}$$ (ちなみにアルケン $\text{C}_n\text{H}_{2n}$ は組成式がすべて $\text{CH}_2$[式量 $14.0$]なので、実は炭素数 $n$ の値が何であっても、一定質量のアルケンから生じる $\text{CO}_2$ と $\text{H}_2\text{O}$ の質量は全く同じになります!)。
STEP 2$\text{A}$($35.0\text{ mg}$)の物質量を求め、$\text{CO}_2$ と $\text{H}_2\text{O}$ の質量を計算する
$\text{C}_4\text{H}_8$ $35.0\text{ mg}$ の物質量は $\dfrac{35.0}{56.0}\text{ mmol} = \dfrac{5}{8}\text{ mmol}$ です。
・二酸化炭素 $\text{CO}_2$(モル質量 $44.0\text{ g/mol}$)の質量:
$\text{C}_4\text{H}_8$ $1\text{ mol}$ から $4\text{ mol}$ の $\text{CO}_2$ が生じるので、
$$w(\text{CO}_2) = \frac{35.0}{56.0}\text{ [mmol]} \times 4 \times 44.0\text{ [mg/mmol]} = \frac{5}{8} \times 4 \times 44.0 = \frac{5}{2} \times 44.0 = 110\text{ mg}$$
・水 $\text{H}_2\text{O}$(モル質量 $18.0\text{ g/mol}$)の質量:
$\text{C}_4\text{H}_8$ $1\text{ mol}$ から $4\text{ mol}$ の $\text{H}_2\text{O}$ が生じるので、
$$w(\text{H}_2\text{O}) = \frac{35.0}{56.0}\text{ [mmol]} \times 4 \times 18.0\text{ [mg/mmol]} = \frac{5}{8} \times 4 \times 18.0 = \frac{5}{2} \times 18.0 = 45.0\text{ mg}$$
有効数字3桁で表すため、二酸化炭素は $110\text{ mg}$、水は末尾の $.0$ を忘れずに $45.0\text{ mg}$ と記述します。
大問 5:合成繊維の構造・重合反応とアミド結合
高分子化合物
最後の大問5は「5大合成繊維とアミド結合」!表のア〜オの構造式を見た瞬間に名前が言えるかな?
問2の $\varepsilon$-カプロラクタムの構造式は「元素記号と価標を省略せずに書く」という指定があるから、$\text{C}$ や $\text{H}$ の結合線を1本残らず丁寧に描こう!そして問3(3)のナイロン66の界面重縮合実験は、水とヘキサンの密度大小(水の方が重くて下層!)から一発で決まる超頻出問題だよ!
代表的な合成繊維ア〜オの構造式,またはその一部を表に示す。合成繊維アとオの四角の中には共通の構造式が入る。これらの合成繊維に関する以下の各問いに答えなさい。
🔍 最初にア〜オの正体と四角($\square$)の中の構造を特定しておこう!
・アとオの $\square$ に共通して入る構造式は、ベンゼン環のパラ位(1,4-フェニレン基:$-\text{C}_6\text{H}_4-$)です。
- ア:ポリエチレンテレフタラート(PET) $\text{[-O-(CH}_2\text{)}_2\text{-O-CO-C}_6\text{H}_4\text{-CO-]}_n$(エステル結合をもつポリエステル系繊維)
- イ:アクリル繊維(アクリロニトリル $\text{CH}_2=\text{CHCN}$ とアクリル酸メチル $\text{CH}_2=\text{CHCOOCH}_3$ などの付加共重合体)
- ウ:ナイロン6(6-ナイロン) $\text{[-NH-(CH}_2\text{)}_5\text{-CO-]}_n$($\varepsilon$-カプロラクタムの開環重合体)
- エ:ナイロン66(6,6-ナイロン) $\text{[-NH-(CH}_2\text{)}_6\text{-NH-CO-(CH}_2\text{)}_4\text{-CO-]}_n$(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮合重合体)
- オ:ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド(ケブラー) $\text{[-NH-C}_6\text{H}_4\text{-NH-CO-C}_6\text{H}_4\text{-CO-]}_n$(全芳香族ポリアミド=アラミド繊維)
問1:合成繊維の特徴と名称
(1) 羊毛に似て,軽くやわらかく,共重合によって合成される。
(2) 紫外線を通しにくく,軽く,強度が大きいことから,合成樹脂として PET ボトルにも利用されている。
STEP 1(1) の特定
アクリロニトリルを主成分とし、染色性や加工性を高めるためにアクリル酸メチルや酢酸ビニルなどを混ぜて付加共重合させた合成繊維はアクリル繊維(記号:イ)です(※アクリロニトリルの単独重合体はポリアクリロニトリルですが、共重合によって合成される羊毛状の繊維は「アクリル繊維」と呼びます)。軽くてやわらかく保温性に富むため、羊毛(ウール)の代用としてセーターや毛布に広く利用されます。
STEP 2(2) の特定
エチレングリコールとテレフタル酸の縮合重合で得られ、飲料用の PET ボトルや衣料用繊維として広く利用されるのはポリエチレンテレフタラート(記号:ア)です。
(2) 記号:ア / 名称:ポリエチレンテレフタラート
問2:ナイロン6の単量体($\varepsilon$-カプロラクタム)の構造式
【解答図】元素記号と価標をすべて展開した $\varepsilon$-カプロラクタムの構造式(7員環)
※ 環を構成する原子は「$\text{N}$ が1個、$\text{C}=\text{O}$ の $\text{C}$ が1個、メチレン基 $-\text{CH}_2-$ の $\text{C}$ が5個」の合計7員環です!
※ $\text{CH}_2$ とまとめて書かず、すべての $\text{C}-\text{H}$ 結合、$\text{N}-\text{H}$ 結合、$\text{C}=\text{O}$ 二重結合の価標(線)を展開して描きます。
問3:アミド結合の判定・重合度計算・界面重縮合実験
(1) 次の物質のうち,アミド結合を含むものはいくつあるか。A〜Eの中から最も適切なものを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
アスパラギン酸,アセトアニリド,アミラーゼ,インスリン,サリチル酸メチル,デンプン,フェニルアラニン,メチルオレンジ
A. $1$ B. $2$ C. $3$ D. $4$ E. $5$
(2) 分子量 $2.4 \times 10^5$ の合成繊維オの分子には何個のアミド結合が含まれるか。次の中から最も近いものを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
A. $1.0 \times 10^3$ B. $2.0 \times 10^3$ C. $5.0 \times 10^3$ D. $1.0 \times 10^4$ E. $2.0 \times 10^4$ F. $5.0 \times 10^4$
(3) 合成繊維エは,ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸ジクロリドを反応させることで容易に得ることができる。図2は,合成繊維エの合成実験の様子を示している。溶液 a と溶液 b はそれぞれ何か。次の中から最も適切な組合せを一つ選んで,解答欄の記号にマークしなさい。
A. 溶液a:ヘキサメチレンジアミンが溶けた水溶液 / 溶液b:アジピン酸ジクロリドが溶けたヘキサン溶液
B. 溶液a:ヘキサメチレンジアミンが溶けたヘキサン溶液 / 溶液b:アジピン酸ジクロリドが溶けた水溶液
C. 溶液a:アジピン酸ジクロリドが溶けた水溶液 / 溶液b:ヘキサメチレンジアミンが溶けたヘキサン溶液
D. 溶液a:アジピン酸ジクロリドが溶けたヘキサン溶液 / 溶液b:ヘキサメチレンジアミンが溶けた水溶液
STEP 1(1) 8つの物質を1つずつ仕分けしよう!(ペプチド結合もアミド結合の一種)
酸性アミノ酸の単量体 $\text{HOOC}-\text{CH}_2-\text{CH(NH}_2\text{)}-\text{COOH}$。アミノ基とカルボキシ基はありますが、アミド結合は含みません(※側鎖に $-\text{CONH}_2$ をもつのは「アスパラギン」です。ひっかけに注意!)。
アニリンを無水酢酸でアセチル化した化合物 $\text{C}_6\text{H}_5-\mathbf{NH-CO}-\text{CH}_3$。明確にアミド結合をもっています!
デンプンを加水分解する消化酵素(主成分はタンパク質=ポリペプチド)なので、多数のアミド結合(ペプチド結合)を含みます!
血糖値を下げるペプチドホルモン(タンパク質)なので、多数のアミド結合(ペプチド結合)を含みます!
$\text{C}_6\text{H}_4(\text{OH})\text{COOCH}_3$。含まれるのはエステル結合とフェノール性ヒドロキシ基です。
$\alpha$-グルコースがグリコシド結合(エーテル結合の一種)で縮合重合した多糖類であり、窒素を含みません。
芳香族アミノ酸の単量体 $\text{C}_6\text{H}_5-\text{CH}_2-\text{CH(NH}_2\text{)}-\text{COOH}$。単体のアミノ酸なのでアミド結合は含みません。
アゾ染料 $\text{NaO}_3\text{S}-\text{C}_6\text{H}_4-\text{N}=\text{N}-\text{C}_6\text{H}_4-\text{N(CH}_3)_2$。含まれるのはアゾ基($-\text{N}=\text{N}-$)であり、アミド結合は含みません。
以上より、アミド結合を含むのは「アセトアニリド、アミラーゼ、インスリン」の3つ(C)です。
STEP 2(2) 合成繊維オ(アラミド繊維:ケブラー)の繰り返し単位の式量とアミド結合の数
合成繊維オは、$p$-フェニレンジアミン($\text{H}_2\text{N}-\text{C}_6\text{H}_4-\text{NH}_2$)とテレフタル酸($\text{HOOC}-\text{C}_6\text{H}_4-\text{COOH}$)が縮合重合した全芳香族ポリアミド(アラミド繊維:ポリ-$p$-フェニレンテレフタルアミド)です。
繰り返し単位の構造式と組成式を確認しましょう。
$$\text{繰り返し単位:}\quad \left[\, -\text{NH}-\text{C}_6\text{H}_4-\text{NH}-\text{CO}-\text{C}_6\text{H}_4-\text{CO}-\, \right]_n$$
- 繰り返し単位の組成式: $\text{C}_{14}\text{H}_{10}\text{N}_2\text{O}_2$
- 繰り返し単位の式量: $12 \times 14 + 1.0 \times 10 + 14 \times 2 + 16 \times 2 = 168 + 10 + 28 + 32 = \mathbf{238}$
- 1つの繰り返し単位に含まれるアミド結合($-\text{NH}-\text{CO}-$)の数: 単位内に1個、隣の単位とのつなぎ目に1個の計2個!
よって、分子量 $2.4 \times 10^5$ の高分子1分子における重合度 $n$ とアミド結合の総数は、 $$\text{重合度 } n = \frac{2.4 \times 10^5}{238} \fallingdotseq 1.008 \times 10^3$$ $$\text{アミド結合の数} = 2n \fallingdotseq 2 \times 1.008 \times 10^3 \fallingdotseq \mathbf{2.0 \times 10^3\text{ 個}}$$ したがって、正解は B です(※「繰り返し単位1つにつきアミド結合が2個ある」ことを見落とさないよう注意しましょう!)。
STEP 3(3) ナイロン66の界面重縮合実験(上層と下層の見分け方)
① どちらがどの溶媒に溶けるか?
・ヘキサメチレンジアミン($\text{H}_2\text{N}(\text{CH}_2)_6\text{NH}_2$):両端に極性の強いアミノ基をもち水と水素結合をつくるため、水(水溶液)によく溶けます(発生した $\text{HCl}$ を中和するため $\text{NaOH}$ や $\text{Na}_2\text{CO}_3$ も一緒に溶かします)。
・アジピン酸ジクロリド($\text{ClCO}(\text{CH}_2)_4\text{COCl}$):水と混ぜると加水分解してしまうため、無極性有機溶媒であるヘキサン(ヘキサン溶液)に溶かします。
② 上層(溶液a)と下層(溶液b)の密度比較:
・ヘキサン($\text{C}_6\text{H}_{14}$)の密度は約 $0.66\text{ g/cm}^3$ であり、水(密度約 $1.0\text{ g/cm}^3$)よりも軽いです。
したがって、2つの溶液を静かに重ねると、軽いヘキサン溶液(アジピン酸ジクロリド溶液)が上層(溶液a)になり、重い水溶液(ヘキサメチレンジアミン水溶液)が下層(溶液b)になります。
よって、正しい組合せは「溶液a:アジピン酸ジクロリドが溶けたヘキサン溶液 / 溶液b:ヘキサメチレンジアミンが溶けた水溶液」の D です。
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