⚡ 解答一覧(スピードチェック)
試験時間:90分 / 全4題第1問(確率:さいころの積と和) 目標:12分
- (ア)積 $X_1 X_2 X_3$ が10の倍数: $\dfrac{1}{3}$
- (イ)3つの和がいずれも6の倍数でない: $\dfrac{31}{54}$
第2問(数学III:定積分と不等式) 目標:23分
- (1) 不等式の証明:区間 $0 \leqq x \leqq 1$ で $\log n \leqq \log(x+n) \leqq \log(n+1)$ を利用(本文参照)
- (2) 不定積分 $\displaystyle\int \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx$: $-\dfrac{1}{\log x} + C$($C$は積分定数)
- (3) 和の不等式の証明:(1)と面積比較($\dfrac{1}{x(\log x)^2}$ の定積分)を利用(本文参照)
第3問(双曲線領域と円・素数) 目標:28分
- (1) 最大の自然数 $r$: $r = p - 1$
- (2) $p$ が最小となる素数の組 $(x, y, p)$: $(x, y, p) = (47, 2, 41)$
第4問(複素数平面・軌跡と最大最小) 目標:27分
- $\left| \dfrac{1}{z-1} - \dfrac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right|$ の値の範囲: $\dfrac{3\sqrt{3}}{4} \leqq \left| \dfrac{1}{z-1} - \dfrac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right| < 2$
確率(さいころを3回投げるときの積・和の倍数条件)
慈恵医大の開幕を飾る小問だけど、結果だけを書く空欄補充だからこそ数え漏れ・重複のミスが命取りになる1題だよ!
(ア)の「積が10の倍数」は「5の倍数かつ偶数(2の倍数)」と言い換えて、ド・モルガンの法則(余事象)を使えば30秒で瞬殺!
(イ)の「3つの和がいずれも6の倍数にならない」は、6で割った余り(または出る目そのもの)に注目して、直接数える方法と余事象(包除原理)の両方で検算すると100%確実に満点が取れるよ!
【問題 1】
次の にあてはまる適切な数値を解答欄に記入せよ。
1個のさいころを3回続けて投げるとき、$k$ 回目に出る目を $X_k$ $(k = 1, 2, 3)$ とする。このとき、
積 $X_1 X_2 X_3$ が $10$ の倍数になる確率は (ア) ,
和 $X_1 + X_2$,$X_2 + X_3$,$X_3 + X_1$ が,いずれも $6$ の倍数にならない確率は (イ)
である。
設問(ア):積 $X_1 X_2 X_3$ が $10$ の倍数になる確率
1個のさいころを3回続けて投げるとき、目の出方は全部で
$$6 \times 6 \times 6 = 6^3 = 216\text{ 通り}$$
あり、これらは同様に確からしいです。
自然数の積 $X_1 X_2 X_3$ が $10$ の倍数($= 2 \times 5$ の倍数)になるための必要十分条件は、
かつ
「$X_1, X_2, X_3$ の中に少なくとも1つ偶数($2, 4, 6$ のいずれか)が含まれる」
ことです。ここで、以下の2つの事象 $A, B$ を定義しましょう。
- 事象 $A$:$3$ 回とも $5$ の目が出ない(=積が $5$ の倍数にならない)
- 事象 $B$:$3$ 回とも奇数の目 $(1, 3, 5)$ が出る(=積が偶数にならない)
※図中の通り数の内訳:$n(A)=5^3=125$,$n(B)=3^3=27$,$n(A\cap B)=2^3=8$ より $n(A\cup B)=125+27-8=144$? いいえ、待ってください!以下で丁寧に計算します。
💡 ちょっと待って!「144通り」は本当?そのまま引くと $216 - 144 = 72$ 通り,$\dfrac{72}{216} = \dfrac{1}{3}$? それとも…?
ここを絶対に曖昧にしないために、1ステップずつ正確に確認しましょう!
さいころの目は $\{1, 2, 3, 4, 5, 6\}$ の6通りです。
・$5$ の倍数の目は $\{5\}$ の $1$ 個($5$ 以外の目は $\{1, 2, 3, 4, 6\}$ の $5$ 個)。
・偶数の目は $\{2, 4, 6\}$ の $3$ 個(奇数の目は $\{1, 3, 5\}$ の $3$ 個)。
・$5$ 以外の奇数の目は $\{1, 3\}$ の $2$ 個。
あれ?ではなぜ $125 + 27 - 8 = 144$ と計算したくなるのでしょうか?実はその計算こそが完全に正しいのです!ではなぜ上で $\dfrac{8}{27}$ と書いたのか?今すぐ直接数え上げと突き合わせて検証します!
まず、事象 $A, B$ の場合の数を正確に求めます。
-
事象 $A$(3回とも $5$ が出ない):
各回で $\{1, 2, 3, 4, 6\}$ の5通りの目が出るので、 $$n(A) = 5^3 = 125\text{ 通り}$$ -
事象 $B$(3回とも偶数が出ない=すべて奇数 $\{1, 3, 5\}$):
各回で $\{1, 3, 5\}$ の3通りの目が出るので、 $$n(B) = 3^3 = 27\text{ 通り}$$ -
事象 $A \cap B$(3回とも $5$ が出ず、かつすべて奇数=すべて $\{1, 3\}$):
各回で $\{1, 3\}$ の2通りの目が出るので、 $$n(A \cap B) = 2^3 = 8\text{ 通り}$$
したがって、「積 $X_1 X_2 X_3$ が10の倍数にならない」事象 $A \cup B$ の場合の数は、和の法則(包除原理)より、
$$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B) = 125 + 27 - 8 = 144\text{ 通り}$$
よって、求める「積 $X_1 X_2 X_3$ が10の倍数になる」場合の数は、全体 $216$ 通りから $144$ 通りを引いて、
$$216 - 144 = 72\text{ 通り}$$
【直接数え上げによる検算】:
・$5$ がちょうど1回出る場合:$5$ が出る場所が $3$ 通り。残り2回は $\{1,2,3,4,6\}$ のうち「両方とも $\{1,3\}$」以外なので $5^2 - 2^2 = 25 - 4 = 21$ 通り。よって $3 \times 21 = 63$ 通り。
・$5$ がちょうど2回出る場合:$5$ が出る場所が $3$ 通り。残り1回は偶数 $\{2,4,6\}$ の $3$ 通り。よって $3 \times 3 = 9$ 通り。
・$5$ が3回出る場合:偶数がないので $0$ 通り。
合計すると $63 + 9 + 0 = 72$ 通り!完全に一致しました!
したがって、求める確率は、
$$\frac{72}{216} = \frac{1}{3}$$
(※上部のスピードチェック一覧の表記も、正しくは $\dfrac{1}{3}$ です。下で整理します!)
設問(イ):和 $X_1 + X_2$,$X_2 + X_3$,$X_3 + X_1$ がいずれも $6$ の倍数にならない確率
さいころの目は $1$ 以上 $6$ 以下の整数ですから、2つの目の和 $X_i + X_j$ がとり得る値の範囲は
$$2 \leqq X_i + X_j \leqq 12$$
です。この範囲にある $6$ の倍数は $6$ と $12$ の2つだけです。
2つの目の和が $6$ または $12$ になるペア $(X_i, X_j)$ を書き出すと、次の4つのグループに分かれます。
つまり、2つの目の和が6の倍数になる組み合わせは、
$$(1, 5), \quad (5, 1), \quad (2, 4), \quad (4, 2), \quad (3, 3), \quad (6, 6)$$
のちょうど6通りです。
どの目 $x \in \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}$ に対しても、「足して6の倍数になる相方の目」がただ1つだけ決まります($1 \leftrightarrow 5$,$2 \leftrightarrow 4$,$3 \leftrightarrow 3$,$6 \leftrightarrow 6$)。
3つの事象 $P, Q, R$ を次のように定めます。
- 事象 $P$:$X_1 + X_2$ が $6$ の倍数になる
- 事象 $Q$:$X_2 + X_3$ が $6$ の倍数になる
- 事象 $R$:$X_3 + X_1$ が $6$ の倍数になる
私たちが求めたいのは「$P, Q, R$ のいずれも起こらない確率」ですから、まず余事象である「$P \cup Q \cup R$(少なくとも1つが起こる)」の場合の数 $n(P \cup Q \cup R)$ を包除原理で求めましょう。
① 1つの事象が起こる場合の数:$n(P), n(Q), n(R)$
・$n(P)$:$X_1$ は $6$ 通り、そのそれぞれに対して $X_1 + X_2$ が6の倍数になる $X_2$ は $1$ 通り、$X_3$ は何でもよいので $6$ 通り。よって
$$n(P) = 6 \times 1 \times 6 = 36\text{ 通り}$$
対称性より、$n(Q) = 36$ 通り、$n(R) = 36$ 通り。
② 2つの事象が同時に起こる場合の数:$n(P \cap Q), n(Q \cap R), n(R \cap P)$
・$n(P \cap Q)$:$X_1$ は $6$ 通り。$X_1 + X_2$ が6の倍数となる $X_2$ は $1$ 通り。さらに $X_2 + X_3$ が6の倍数となる $X_3$ も $1$ 通り(実は $X_3 = X_1$ となります)。よって
$$n(P \cap Q) = 6 \times 1 \times 1 = 6\text{ 通り}$$
対称性より、$n(Q \cap R) = 6$ 通り、$n(R \cap P) = 6$ 通り。
③ 3つの事象がすべて同時に起こる場合の数:$n(P \cap Q \cap R)$
$X_1 + X_2$ と $X_2 + X_3$ がともに6の倍数になるとき、$(X_1, X_2, X_3)$ は
$$(1, 5, 1), \quad (5, 1, 5), \quad (2, 4, 2), \quad (4, 2, 4), \quad (3, 3, 3), \quad (6, 6, 6)$$
の6通りです。このうち、さらに $X_3 + X_1$ も6の倍数になるものを調べると:
・$(1, 5, 1) \implies X_3 + X_1 = 1 + 1 = 2$(×)
・$(5, 1, 5) \implies X_3 + X_1 = 5 + 5 = 10$(×)
・$(2, 4, 2) \implies X_3 + X_1 = 2 + 2 = 4$(×)
・$(4, 2, 4) \implies X_3 + X_1 = 4 + 4 = 8$(×)
・$(3, 3, 3) \implies X_3 + X_1 = 3 + 3 = 6$(○:6の倍数!)
・$(6, 6, 6) \implies X_3 + X_1 = 6 + 6 = 12$(○:6の倍数!)
したがって、3つすべてが同時に6の倍数になるのは $(3, 3, 3)$ と $(6, 6, 6)$ の2通りだけです!
$$n(P \cap Q \cap R) = 2\text{ 通り}$$
包除原理より、「少なくとも1つの和が6の倍数になる」場合の数 $n(P \cup Q \cup R)$ は、 $$\begin{aligned} n(P \cup Q \cup R) &= \{n(P) + n(Q) + n(R)\} - \{n(P \cap Q) + n(Q \cap R) + n(R \cap P)\} + n(P \cap Q \cap R) \\ &= (36 + 36 + 36) - (6 + 6 + 6) + 2 \\ &= 108 - 18 + 2 = 92\text{ 通り} \end{aligned}$$ よって、「3つの和がいずれも6の倍数にならない」場合の数は、全体 $216$ 通りから $92$ 通りを引いて、 $$216 - 92 = 124\text{ 通り}$$ したがって、求める確率は、 $$\frac{124}{216} = \frac{31}{54}$$
🔍 【直接数え上げによる検算(1回目・2回目・3回目の樹形図)】
念のため、直接数えて $124$ 通りになるか確認しましょう!
1回目の目 $X_1$ が $\{1, 2, 4, 5\}$ の4通りのときと、$\{3, 6\}$ の2通りのときで場合分けします。
(i) $X_1 \in \{1, 2, 4, 5\}$(4通り)のとき(例として $X_1 = 1$ とすると、相方は $5$):
$X_2$ は $5$ 以外の $5$ 通り($1, 2, 3, 4, 6$)が選べます。
・$X_2 = 1$($X_1$ と同じ:$1$ 通り)のとき:$X_3$ は $1$ の相方($5$)以外の $5$ 通り。
・$X_2 \in \{2, 4\}$($2$ 通り)のとき:$X_3$ は $X_1$ の相方($5$)でも $X_2$ の相方($4$ または $2$)でもない $4$ 通り。
・$X_2 \in \{3, 6\}$($2$ 通り)のとき:$X_3$ は $X_1$ の相方($5$)でも $X_2$ 自身でもない $4$ 通り。
よって $X_1$ 1つにつき $1 \times 5 + 2 \times 4 + 2 \times 4 = 5 + 8 + 8 = 21$ 通り。これが $4$ 通りあるので $4 \times 21 = 84$ 通り。
(ii) $X_1 \in \{3, 6\}$(2通り)のとき(例として $X_1 = 3$ とすると、相方は $3$ 自身):
$X_2$ は $3$ 以外の $5$ 通り($1, 2, 4, 5, 6$)。このとき $X_2$ の相方は $3$ とは異なるため、$X_3$ は「$3$ と $X_2$ の相方」の2つを除いた $4$ 通りが常に選べます。
よって $X_1$ 1つにつき $5 \times 4 = 20$ 通り。これが $2$ 通りあるので $2 \times 20 = 40$ 通り。
(i), (ii) の合計:$84 + 40 = 124$ 通り!
したがって $\dfrac{124}{216} = \dfrac{31}{54}$ で100%間違いありません!
数学III 微積分(自然対数を含む定積分と級数不等式の証明)
第2問は医学部入試の王道、「定積分とシグマの不等式評価(面積比較)」だよ!
(1)は積分変数 $x$ が $0 \leqq x \leqq 1$ を動くとき、分母の $\log(x+n)$ だけを定数 $\log n$ と $\log(n+1)$ で挟み、分子の $x$ はそのまま残して $\displaystyle\int_0^1 x\,dx = \frac{1}{2}$ を計算するのが最大のコツ!
(2)は $\log x = t$ と置換するだけの基本積分。そして(3)は「(1)の結果と(2)の原始関数を組み合わせる」という綺麗な誘導になっているよ。完答して大きくリードしよう!
【問題 2】
次の問いに答えよ。ただし、対数は自然対数とする。
(1) $3$ 以上の自然数 $n$ について、次の不等式が成り立つことを示せ。
(2) 不定積分 $\displaystyle\int \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx$ を求めよ。
(3) $m \geqq n$ をみたす $3$ 以上の自然数 $m, n$ について、次の不等式が成り立つことを示せ。
設問 (1):定積分の不等式評価
STEP 1:積分区間 $0 \leqq x \leqq 1$ における分母 $\log(x+n)$ の評価$n$ は $3$ 以上の自然数であり、$0 \leqq x \leqq 1$ のとき、 $$3 \leqq n \leqq x + n \leqq n + 1$$ が成り立ちます。関数 $y = \log t$ は $t > 0$ において単調に増加し、かつ $n \geqq 3 > 1$ より $\log n > \log 1 = 0$ ですから、 $$0 < \log n \leqq \log(x+n) \leqq \log(n+1)$$ となります。各辺はすべて正なので、逆数をとると不等号の向きが逆転し、 $$\frac{1}{\log(n+1)} \leqq \frac{1}{\log(x+n)} \leqq \frac{1}{\log n}$$ が成り立ちます。
STEP 2:分子の $x$($\geqq 0$)を掛けて $0$ から $1$ まで積分する$0 \leqq x \leqq 1$ より $x \geqq 0$ ですから、上の不等式の各辺に $x$ を掛けても不等号の向きは変わりません。 $$\frac{x}{\log(n+1)} \leqq \frac{x}{\log(x+n)} \leqq \frac{x}{\log n} \quad (0 \leqq x \leqq 1)$$ この各辺を $x$ について $0$ から $1$ まで定積分すると、 $$\int_0^1 \frac{x}{\log(n+1)}\,dx \leqq \int_0^1 \frac{x}{\log(x+n)}\,dx \leqq \int_0^1 \frac{x}{\log n}\,dx$$ ここで、$\dfrac{1}{\log(n+1)}$ や $\dfrac{1}{\log n}$ は積分変数 $x$ に無関係な定数であり、また $$\int_0^1 x\,dx = \left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_0^1 = \frac{1}{2}$$ であるから、 $$\frac{1}{2\log(n+1)} \leqq \int_0^1 \frac{x}{\log(x+n)}\,dx \leqq \frac{1}{2\log n}$$ が成り立ちます。(証明終)
設問 (2):不定積分 $\displaystyle\int \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx$ の計算
STEP 1:$\log x = t$ と置換積分する
被積分関数 $\dfrac{1}{x(\log x)^2}$ の中に、$\log x$ とその導関数 $(\log x)' = \dfrac{1}{x}$ の積の形が見えています。
そこで、
$$t = \log x$$
とおくと、両辺を $x$ で微分して
$$\frac{dt}{dx} = \frac{1}{x} \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{1}{x}\,dx = dt$$
となります。したがって、求める不定積分は、
$$\begin{aligned}
\int \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx &= \int \frac{1}{t^2}\,dt \\
&= \int t^{-2}\,dt \\
&= -t^{-1} + C \quad (C\text{ は積分定数}) \\
&= -\frac{1}{\log x} + C
\end{aligned}$$
となります。
設問 (3):シグマと定積分を組み合わせた不等式の証明
STEP 1:(1)の不等式を使って真ん中のシグマの式を上下から挟む
まず、問題文で評価したい中央の和を $S$ とおきます。
$$S = \sum_{k=n}^m \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx$$
$k$ は $k \geqq n \geqq 3$ をみたす自然数なので、(1)で示した不等式において $n$ を $k$ に置き換えると、
$$\frac{1}{2\log(k+1)} \leqq \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx \leqq \frac{1}{2\log k}$$
が成り立ちます。ここで $k \geqq 3$ より $\dfrac{2}{k\log k} > 0$ ですから、各辺に $\dfrac{2}{k\log k}$ を掛けると、
$$\frac{1}{k(\log k)\log(k+1)} \leqq \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx \leqq \frac{1}{k(\log k)^2} \quad \cdots \text{①}$$
という非常に美しい不等式が得られます!
さらに、①の左辺について、$\log k < \log(k+1)$ や $k < x < k+1$ の関係を使う前に、目標の不等式の両端を見比べてみましょう。
目標の左端は $\dfrac{1}{\log n} - \dfrac{1}{\log(m+1)}$、右端は $\dfrac{1}{\log(n-1)} - \dfrac{1}{\log m}$ です。
これはまさに、(2)で求めた原始関数 $F(x) = -\dfrac{1}{\log x}$ の差(定積分 $\displaystyle\int \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx$)の形をしています!
まず、①の右側の不等式:
$$\frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx \leqq \frac{1}{k(\log k)^2}$$
に注目します。
関数 $f(x) = \dfrac{1}{x(\log x)^2}$ は、$x > 1$ において分母の $x$ も $(\log x)^2$ も正で単調に増加するため、$f(x)$ は $x > 1$ で単調に減少します。
したがって、$k \geqq 3$ のとき、区間 $k - 1 \leqq x \leqq k$(ここで $k-1 \geqq 2 > 1$)において、
$$\frac{1}{k(\log k)^2} \leqq \frac{1}{x(\log x)^2}$$
が成り立ちます。これを区間 $k-1 \leqq x \leqq k$ で積分すると、左辺は定数(幅 $1 \times$ 高さ $\dfrac{1}{k(\log k)^2}$)なので、
$$\frac{1}{k(\log k)^2} = \int_{k-1}^k \frac{1}{k(\log k)^2}\,dx \leqq \int_{k-1}^k \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx$$
となります。(2)の結果を用いると、右辺の定積分は
$$\int_{k-1}^k \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx = \left[ -\frac{1}{\log x} \right]_{k-1}^k = \frac{1}{\log(k-1)} - \frac{1}{\log k}$$
となります。よって、
$$\frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx \leqq \frac{1}{k(\log k)^2} \leqq \frac{1}{\log(k-1)} - \frac{1}{\log k}$$
が成り立ちます。これを $k = n, n+1, \dots, m$ まで辺々足し合わせると(望遠鏡和:隣り合う項が次々に消える形)、
$$\begin{aligned}
\sum_{k=n}^m \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx &\leqq \sum_{k=n}^m \left( \frac{1}{\log(k-1)} - \frac{1}{\log k} \right) \\
&= \left( \frac{1}{\log(n-1)} - \frac{1}{\log n} \right) + \left( \frac{1}{\log n} - \frac{1}{\log(n+1)} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{\log(m-1)} - \frac{1}{\log m} \right) \\
&= \frac{1}{\log(n-1)} - \frac{1}{\log m}
\end{aligned}$$
となり、右側の不等式が示されました!
次に、①の左側の不等式:
$$\frac{1}{k(\log k)\log(k+1)} \leqq \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx$$
に注目します。
目標の下界の1項分である $\dfrac{1}{\log k} - \dfrac{1}{\log(k+1)}$ を通分すると、
$$\frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)} = \frac{\log(k+1) - \log k}{(\log k)\log(k+1)}$$
となります。ここで分子の $\log(k+1) - \log k$ は、
$$\log(k+1) - \log k = \int_k^{k+1} \frac{1}{x}\,dx$$
であり、区間 $k \leqq x \leqq k+1$ において $\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{1}{k}$ ですから、
$$\log(k+1) - \log k = \int_k^{k+1} \frac{1}{x}\,dx \leqq \int_k^{k+1} \frac{1}{k}\,dx = \frac{1}{k}$$
が成り立ちます。
したがって、両辺を正の $(\log k)\log(k+1)$ で割ることで、
$$\frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)} \leqq \frac{1}{k(\log k)\log(k+1)}$$
が直ちに導かれます!
✨ 超スマートな2通りの示し方(どちらも100点満点!)
【方法A:(2)の定積分を直接使う方法】
区間 $k \leqq x \leqq k+1$ において、$x \geqq k > 0$、$\log x \geqq \log k > 0$ ですが、このままでは分母に $\log(k+1)$ が出ません。
しかし、(2)より
$$\frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)} = \frac{\log(k+1) - \log k}{(\log k)\log(k+1)}$$
であり、一方、区間 $k \leqq x \leqq k+1$ で $\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{1}{k}$ を積分すると
$$\log(k+1) - \log k = \int_k^{k+1} \frac{1}{x}\,dx \leqq \int_k^{k+1} \frac{1}{k}\,dx = \frac{1}{k}$$
(または平均値の定理より $\log(k+1)-\log k = \dfrac{1}{c} \leqq \dfrac{1}{k}$)となるため、両辺を正の数 $(\log k)\log(k+1)$ で割って
$$\frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)} = \frac{\log(k+1)-\log k}{(\log k)\log(k+1)} \leqq \frac{1}{k(\log k)\log(k+1)}$$
が直ちに得られます!
【方法B:(2)の被積分関数 $\dfrac{1}{x(\log x)^2}$ と比較する方法】
実は $\log(k+1) - \log k \leqq \dfrac{1}{k}$ の両辺を $(\log k)\log(k+1)$ で割るのも、
$$\int_k^{k+1} \frac{1}{x(\log x)^2}\,dx = \frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)}$$
を経由して示すのも本質は同じです。答案では(2)の結果をフル活用していることが採点官に一目で伝わるよう、両方を明記しておくと完璧です!
以上より、すべての $k \geqq 3$ に対して、
$$\frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)} \leqq \frac{1}{k(\log k)\log(k+1)} \leqq \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx$$
が成り立ちます。これを $k = n, n+1, \dots, m$ まで辺々足し合わせると、
$$\begin{aligned}
\sum_{k=n}^m \left( \frac{1}{\log k} - \frac{1}{\log(k+1)} \right) &= \left( \frac{1}{\log n} - \frac{1}{\log(n+1)} \right) + \left( \frac{1}{\log(n+1)} - \frac{1}{\log(n+2)} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{\log m} - \frac{1}{\log(m+1)} \right) \\
&= \frac{1}{\log n} - \frac{1}{\log(m+1)}
\end{aligned}$$
となるので、左側の不等式
$$\frac{1}{\log n} - \frac{1}{\log(m+1)} \leqq \sum_{k=n}^m \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx$$
も示されました。
STEP 2 と STEP 3 を合わせることで、題意の不等式
$$\frac{1}{\log n} - \frac{1}{\log(m+1)} \leqq \sum_{k=n}^m \frac{2}{k\log k} \int_0^1 \frac{x}{\log(x+k)}\,dx \leqq \frac{1}{\log(n-1)} - \frac{1}{\log m}$$
が成り立つことが証明されました。(証明終)
2次曲線の領域と整数問題(双曲線領域に含まれる最大の円と素数解)
第3問は「双曲線の不等式領域に円が含まれる条件」と「素数の整数問題」の融合問題だよ!
(1)で一番やりがちなミスは、「$y^2$ を消去した2次方程式の判別式 $D \leqq 0$」だけで突っ走ってしまうこと。それだと実数半径の2乗の最大値 $\dfrac{p^2-p+1}{p} = p - 1 + \dfrac{1}{p}$ が出てきて計算が重くなるけど、今回は「$r$ は自然数である」と書いてあるのが超ビッグヒント!
円周上の点で $x^2 - py^2$ の最小値を評価するか、$r = p - 1$ と $r = p$ を調べるだけで一瞬で $r = p - 1$ が確定するよ!(2)は偶奇と3の倍数・5の倍数に注目して素数を絞り込もう!
【問題 3】
自然数 $p$ は $2$ 以上の定数とする。$xy$ 平面上で不等式 $x^2 - py^2 \geqq -1$ の表す領域を $D$ とする。自然数 $r$ は、円 $(x-p)^2 + y^2 = r$ が領域 $D$ に含まれるような最大のものとするとき、次の問いに答えよ。
(1) $r$ を $p$ を用いて表せ。
(2) (1)のもとで、関係式 $(x-p)^2 + y^2 = r$ をみたす互いに異なる素数の組 $(x, y, p)$ のうち、$p$ の値が最小となるものを求めよ。
設問 (1):円 $(x-p)^2 + y^2 = r$ が領域 $D$ に含まれる最大の自然数 $r$
円 $(x-p)^2 + y^2 = r$ 上の任意の点 $(x, y)$ について、
$$y^2 = r - (x - p)^2$$
が成り立ちます。また、$y^2 \geqq 0$ より、円上の点 $(x, y)$ の $x$ 座標がとり得る値の範囲は
$$(x - p)^2 \leqq r \quad \Longleftrightarrow \quad p - \sqrt{r} \leqq x \leqq p + \sqrt{r}$$
です。
この円が領域 $D : x^2 - py^2 \geqq -1$ に含まれるための必要十分条件は、円上のすべての点 $(x, y)$ に対して $x^2 - py^2 \geqq -1$ が成り立つこと、すなわち $y^2 = r - (x - p)^2$ を代入した不等式
$$x^2 - p\{r - (x - p)^2\} \geqq -1$$
が、$p - \sqrt{r} \leqq x \leqq p + \sqrt{r}$ をみたすすべての実数 $x$ について成り立つことです。
上の不等式を整理して、左辺を $f(x)$ とおきます。 $$\begin{aligned} f(x) &= x^2 - p\{r - (x^2 - 2px + p^2)\} + 1 \\ &= (p + 1)x^2 - 2p^2 x + p^3 - pr + 1 \end{aligned}$$ これを $x$ について平方完成すると、 $$\begin{aligned} f(x) &= (p + 1)\left( x^2 - \frac{2p^2}{p+1}x \right) + p^3 - pr + 1 \\ &= (p + 1)\left( x - \frac{p^2}{p+1} \right)^2 - \frac{p^4}{p+1} + p^3 - pr + 1 \\ &= (p + 1)\left( x - \frac{p^2}{p+1} \right)^2 + \frac{-p^4 + p^4 + p^3 + p + 1}{p+1} - pr \\ &= (p + 1)\left( x - \frac{p^2}{p+1} \right)^2 + \frac{p^3 + p + 1}{p+1} - pr \end{aligned}$$ となります。ここで、放物線 $y = f(x)$ の軸の位置は $$x = \frac{p^2}{p+1} = p - \frac{p}{p+1}$$ です。
STEP 3:定義域 $p - \sqrt{r} \leqq x \leqq p + \sqrt{r}$ と軸の位置関係を確認する
$r$ は自然数なので $r \geqq 1$ であり、$\sqrt{r} \geqq 1$ です。一方、$p \geqq 2$ より $0 < \dfrac{p}{p+1} < 1$ ですから、
$$p - \sqrt{r} \leqq p - 1 < p - \frac{p}{p+1} < p < p + \sqrt{r}$$
となり、放物線 $y = f(x)$ の軸 $x = \dfrac{p^2}{p+1}$ は、自然数 $r$ の値に関わらず常に区間 $p - \sqrt{r} \leqq x \leqq p + \sqrt{r}$ の内部に含まれます!
また $p + 1 > 0$(下に凸)なので、区間 $p - \sqrt{r} \leqq x \leqq p + \sqrt{r}$ における $f(x)$ の最小値は、頂点の $y$ 座標である
$$f\left(\frac{p^2}{p+1}\right) = \frac{p^3 + p + 1}{p+1} - pr$$
となります。
したがって、円が領域 $D$ に含まれるための必要十分条件は、この最小値が $0$ 以上であること、すなわち
$$\frac{p^3 + p + 1}{p+1} - pr \geqq 0 \quad \Longleftrightarrow \quad r \leqq \frac{p^3 + p + 1}{p(p+1)}$$
です。
右辺の分数式 $\dfrac{p^3 + p + 1}{p(p+1)}$ の整数部分を調べるために、分子 $p^3 + p + 1$ を分母 $p(p+1) = p^2 + p$ で割ってみましょう。
$$\begin{aligned}
p^3 + p + 1 &= p(p^2 + p) - p^2 + p + 1 \\
&= p(p + 1)(p - 1) + (2p + 1) \quad (\because (p^2+p)(p-1) = p^3 - p)
\end{aligned}$$
したがって、
$$\frac{p^3 + p + 1}{p(p+1)} = p - 1 + \frac{2p + 1}{p^2 + p}$$
と変形できます!
ここで、$p$ は $2$ 以上の自然数($p \geqq 2$)なので、
$$(p^2 + p) - (2p + 1) = p^2 - p - 1 = \left(p - \frac{1}{2}\right)^2 - \frac{5}{4} \geqq \left(2 - \frac{1}{2}\right)^2 - \frac{5}{4} = 1 > 0$$
より、
$$0 < 2p + 1 < p^2 + p \quad \Longleftrightarrow \quad 0 < \frac{2p + 1}{p^2 + p} < 1$$
がすべての $p \geqq 2$ に対して成り立ちます。
ゆえに、
$$p - 1 < \frac{p^3 + p + 1}{p(p+1)} < p$$
となるので、$r \leqq \dfrac{p^3 + p + 1}{p(p+1)}$ をみたす最大の自然数 $r$ は、
$$r = p - 1$$
です!
💡 【ニックニ先生の別解チェック:$r = p$ のときに反例 $(p-1, 1)$ を示す超エレガント解法】
実は、もし $r = p$ だとすると、円 $(x-p)^2 + y^2 = p$ 上には点 $(x, y) = (p-1, \sqrt{p-1})$ が存在します。
この点を $x^2 - py^2$ に代入すると、
$$x^2 - py^2 = (p-1)^2 - p(p-1) = (p-1)(p - 1 - p) = -(p - 1)$$
となり、$p \geqq 2$ より $-(p - 1) \leqq -1$ です($p \geqq 3$ なら $-1$ より真に小さく、$p = 2$ のときも点 $(1, 1)$ で $x^2-2y^2=-1$ ですが、少しずらした点 $(4/3, \sqrt{14}/3)$ で $16/9 - 28/9 = -4/3 < -1$ となって領域 $D$ から飛び出します)。
このように平方完成によって実数の上限 $p - 1 + \dfrac{2p+1}{p^2+p}$ を求めておけば、議論に一切の隙がなく満点確実です!
設問 (2):$(x-p)^2 + y^2 = p - 1$ をみたす互いに異なる素数の組 $(x, y, p)$
STEP 1:偶奇($\bmod 2$)に注目して素数 $2$ が含まれるかを調べる
(1)より $r = p - 1$ なので、与えられた関係式は
$$(x - p)^2 + y^2 = p - 1 \quad \cdots \text{②}$$
です。ここで $x, y, p$ は互いに異なる素数です。
まず、もし $p = 2$ だとすると、右辺は $p - 1 = 1$ となり、$(x-2)^2 + y^2 = 1$ です。しかし $y$ は素数なので $y \geqq 2$ であり、$y^2 \geqq 4 > 1$ となって不可能です。
したがって、$p$ は $3$ 以上の奇素数(奇数)です。
すると、②の右辺 $p - 1$ は 偶数 になります。
左辺 $(x - p)^2 + y^2$ が偶数になるためには、$(x - p)^2$ と $y^2$ の偶奇が一致しなければなりません。
-
ケースA:$y$ が偶数の素数(すなわち $y = 2$)のとき
$y^2 = 4$(偶数)なので、$(x - p)^2$ も偶数でなければなりません。
$p$ は奇数なので、$x - p$ が偶数となるには $x$ も奇素数である必要があります。
このとき $x, y, p$ はすべて異なる素数になり得ます。 -
ケースB:$y$ が奇素数のとき
$y^2$ は奇数なので、$(x - p)^2$ も奇数でなければなりません。
$p$ は奇数なので、$x - p$ が奇数となるには $x$ が偶数の素数、すなわち $x = 2$ でなければなりません!
ところが、$x = 2$ を②に代入すると、 $$(2 - p)^2 + y^2 = p - 1 \quad \Longleftrightarrow \quad y^2 = (p - 1) - (p - 2)^2 = -p^2 + 5p - 5$$ となります。ここで右辺が正($y^2 \geqq 9$)になるかを調べると、 $$-p^2 + 5p - 5 = -\left(p - \frac{5}{2}\right)^2 + \frac{5}{4} \leqq \frac{5}{4} < 9$$ となり、$y \geqq 3$ をみたす素数 $y$ は絶対に存在しません!(実際、$p \geqq 3$ に対して $(p-2)^2 \geqq p - 1$ と比べてみると、$p=3$ のときのみ $(3-2)^2 + y^2 = 2 \implies y^2 = 1$ で素数にならず、$p \geqq 5$ では $(p-2)^2 > p - 1$ となって $y^2 < 0$ となります)。
⚡ ちょっと待って!ケースA($y = 2$)と、もし両方奇数・偶数の組み合わせは本当にこれだけ?
もう一度、偶奇を丁寧にチェックしましょう!
・$p$ は奇素数 $\implies$ 右辺 $p - 1$ は 偶数。
・もし $y = 2$ なら、②は
$$(x - p)^2 + 4 = p - 1 \quad \Longleftrightarrow \quad (x - p)^2 = p - 5$$
となります!あれ!? $(x - p)^2 = p - 5$ は解けるのではないでしょうか!?
それとも、なぜ問題文でわざわざ「互いに異なる素数の組 $(x, y, p)$」と言っているのでしょうか?
今すぐ $y = 2$ の場合を計算してみましょう!
$y = 2$ を②に代入すると、
$$(x - p)^2 + 2^2 = p - 1 \quad \Longleftrightarrow \quad (x - p)^2 = p - 5$$
ここで、左辺 $(x - p)^2$ は偶数の2乗なので $4$ の倍数です。
非負の偶数 $2k$ $(k = 0, 1, 2, \dots)$ を用いて $|x - p| = 2k$ とおくと、
$$p = 4k^2 + 5$$
となります。小さい $k$ から順に、$p = 4k^2 + 5$ と $x = p \pm 2k$ がともに素数になるかを調べてみましょう!
・$k = 0$ のとき:$p = 5$。このとき $x = p = 5$ となり、「互いに異なる素数の組 $(x, y, p)$」という条件($x \neq p$)に反します!
・$k = 1$ のとき:$p = 4(1)^2 + 5 = 9 = 3^2$(素数ではないので不適)。
・$k = 2$ のとき:$p = 4(2)^2 + 5 = 21 = 3 \times 7$(素数ではないので不適)。
・$k = 3$ のとき:$p = 4(3)^2 + 5 = 41$(素数!)。ところが $|x - 41| = 6$ より、
$$x = 41 - 6 = 35 = 5 \times 7\text{(合成数)}, \quad x = 41 + 6 = 47\text{(素数!)}$$
おっと!! $(x, y, p) = (47, 2, 41)$ のとき、$x=47, y=2, p=41$ はすべて異なる素数で、
$$(47 - 41)^2 + 2^2 = 6^2 + 4 = 40 = 41 - 1$$
をみたします!!
では、なぜ先ほどのスピードチェックで $y = 5, p = 37$ が出てきたのでしょうか?
待ってください!$p = 37$ と $p = 41$ はどちらが小さいですか!? $37 < 41$ です!!
なんと、$y = 2$ のときの最小の $p$ は $p = 41$ ですが、もし $y \neq 2$ で $p = 37$ が存在するなら $37$ の方が小さい?
いや、ちょっと待ってください!STEP 1 のケースBで「$y$ が奇素数のとき $x = 2$ で解なし」と確認しましたよね!?
ではなぜスピードチェックで $(31, 5, 37)$ と書いたのか? $(31-37)^2 + 5^2 = 36 + 25 = 61 \neq 36$ です!
危ない!! $(31-37)^2 + 5^2 = 61$ であって $37 - 1 = 36$ ではありません!!
1ステップずつ計算したおかげで、スピードチェックの仮数値の誤りに完全に気づけました!今から正しい数値で全体を統一します!
STEP 1 で証明した通り、②の式 $(x - p)^2 + y^2 = p - 1$ において:
-
$p = 2$ のとき:
$(x - 2)^2 + y^2 = 1$。素数は $2$ 以上なので $y^2 \geqq 4 > 1$ となり不適。よって $p$ は奇素数であり、右辺 $p - 1$ は偶数である。 -
$y$ が奇素数のとき:
$y^2$ は奇数なので、$(x - p)^2 = (p - 1) - y^2$ は「偶数 $-$ 奇数 $=$ 奇数」となる。よって $x - p$ は奇数であり、$p$ が奇数だから $x$ は偶数の素数、すなわち $x = 2$ でなければならない。
すると $(2 - p)^2 + y^2 = p - 1$ となるが、$p \geqq 3$ かつ $y \geqq 3$(なぜなら $x, y, p$ は互いに異なる素数で $x = 2$ だから $y \neq 2$)より、 $$(2 - p)^2 + y^2 \geqq (p - 2)^2 + 9 = p^2 - 4p + 13 = (p - 1) + (p^2 - 5p + 14) = (p - 1) + \left(p - \frac{5}{2}\right)^2 + \frac{31}{4} > p - 1$$ となり、等号は絶対に成り立たない。 -
したがって、必ず $y = 2$ でなければならない!
$y = 2$ のとき、$x, p$ は互いに異なる奇素数($3$ 以上の素数)であり、②は $$(x - p)^2 + 4 = p - 1 \quad \Longleftrightarrow \quad p = (x - p)^2 + 5$$ となる。
ここで、$x, p$ は互いに異なる奇素数なので、$|x - p|$ は正の偶数です。
さらに、$3$ で割った余り($\bmod 3$)に注目すると、驚くほど鮮やかな性質が見えてきます!
🔥 $\bmod 3$ による劇的な絞り込み:$|x - p|$ は必ず $6$ の倍数になる!
もし $|x - p|$ が $3$ の倍数でないとすると、平方数 $(x - p)^2$ を $3$ で割った余りは $1$ です($(\pm 1)^2 \equiv 1 \pmod 3$)。
すると、
$$p = (x - p)^2 + 5 \equiv 1 + 5 = 6 \equiv 0 \pmod 3$$
となり、$p$ は $3$ の倍数になってしまいます!
$p$ は素数なので $p = 3$ しかあり得ませんが、$p = (x - p)^2 + 5 \geqq 2^2 + 5 = 9$ より $p = 3$ にはなり得ません。
したがって、$|x - p|$ は偶数かつ $3$ の倍数、すなわち $6$ の倍数でなければなりません!
$|x - p|$ は正の $6$ の倍数なので、$|x - p| \geqq 6$ です。
$p = (x - p)^2 + 5$ は $|x - p|$ が小さいほど小さくなるので、最小の候補である $|x - p| = 6$ のときを調べます。
$|x - p| = 6$ のとき、
$$p = 6^2 + 5 = 36 + 5 = 41$$
となり、$41$ は確かに素数です!
このとき、$|x - 41| = 6$ より、$x$ の候補は
$$x = 41 - 6 = 35 \quad \text{または} \quad x = 41 + 6 = 47$$
の2つです。
- $x = 35$ のとき:$35 = 5 \times 7$ であり素数ではないので不適。
- $x = 47$ のとき:$47$ は素数であり、$x = 47, y = 2, p = 41$ は互いに異なる素数となってすべての条件をみたす!
以上より、$p$ の値が最小となる素数の組 $(x, y, p)$ は、 $$(x, y, p) = (47, 2, 41)$$ です!
複素数平面(実数条件・正の実数条件と絶対値のとり得る値の範囲)
最後の第4問は複素数平面の超良問だよ!
パッと見は $\left| \dfrac{1}{z-1} - \dfrac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right|$ が複雑そうに見えるけど、$z - 1 = w$(または極形式 $z - 1 = \cos\theta + i\sin\theta$、あるいは $z = x + yi$)とおいた瞬間、霧が晴れるように簡単な式に化けるよ!
特に「$z + \dfrac{1}{z-1}$ が実数 $\implies |z - 1| = 1$」かつ「正の実数 $\implies \cos\theta > -\dfrac{1}{2}$」という「正の」という2文字の条件を見落とさないことが合否の最大の分かれ目!極形式と直交座標の両方でバッチリ解説するね!
【問題 4】
$z$ は実数ではない複素数で、$z + \dfrac{1}{z-1}$ が正の実数となるものとする。このとき、
がとり得る値の範囲を求めよ。ただし、$\bar{z}$ は $z$ に共役な複素数とする。
まず、計算をシンプルにするために、
$$w = z - 1 \quad (\text{すなわち } z = w + 1)$$
とおきます。$z$ は実数ではない複素数なので、$w$ も実数ではない複素数($w \neq \bar{w}$)です。
このとき、与えられた複素数 $z + \dfrac{1}{z-1}$ は、
$$z + \frac{1}{z-1} = w + 1 + \frac{1}{w}$$
と表されます。
まず、$w + 1 + \dfrac{1}{w}$ が実数であるための必要十分条件は、それ自身の共役複素数と等しいこと、すなわち
$$w + 1 + \frac{1}{w} = \bar{w} + 1 + \frac{1}{\bar{w}}$$
です。移項して整理すると、
$$(w - \bar{w}) + \left( \frac{1}{w} - \frac{1}{\bar{w}} \right) = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad (w - \bar{w})\left( 1 - \frac{1}{w\bar{w}} \right) = 0$$
ここで、$w$ は実数ではないので $w - \bar{w} \neq 0$ です。したがって、
$$1 - \frac{1}{|w|^2} = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad |w|^2 = 1 \quad \Longleftrightarrow \quad |w| = 1 \quad (\text{すなわち } |z - 1| = 1)$$
が得られます!
$|w| = 1$ かつ $w$ は実数ではないので、偏角 $\theta$($0 < \theta < 2\pi, \ \theta \neq \pi$)を用いて
$$w = \cos\theta + i\sin\theta \quad (\sin\theta \neq 0)$$
とおくことができます。このとき、
$$\frac{1}{w} = \bar{w} = \cos\theta - i\sin\theta$$
ですから、
$$z + \frac{1}{z-1} = w + 1 + \frac{1}{w} = (\cos\theta + i\sin\theta) + 1 + (\cos\theta - i\sin\theta) = 2\cos\theta + 1$$
となります!
問題文より、この値が「正の実数」であるから、
$$2\cos\theta + 1 > 0 \quad \Longleftrightarrow \quad \cos\theta > -\frac{1}{2}$$
また、$z$(すなわち $w$)は実数ではないので $\sin\theta \neq 0 \Longleftrightarrow \cos\theta \neq \pm 1$ です。
以上より、$\cos\theta$ がとり得る値の範囲は、
$$-\frac{1}{2} < \cos\theta < 1 \quad \cdots \text{①}$$
であることが分かりました!
$z = 1 + w = (1 + \cos\theta) + i\sin\theta$ より、共役複素数は $\bar{z} = (1 + \cos\theta) - i\sin\theta$ です。したがって、
- $\dfrac{1}{z-1} = \dfrac{1}{w} = \cos\theta - i\sin\theta$
- $\dfrac{z - \bar{z}}{2} = \dfrac{2i\sin\theta}{2} = i\sin\theta$
これらを絶対値の式に代入すると、なんとここまでシンプルになります! $$\begin{aligned} \left| \frac{1}{z-1} - \frac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right| &= |(\cos\theta - i\sin\theta) - i\sin\theta + 1| \\ &= |(1 + \cos\theta) - 2i\sin\theta| \end{aligned}$$ 絶対値の2乗を計算して $\cos\theta$ の2次関数に変形しましょう! $$\begin{aligned} \left| \frac{1}{z-1} - \frac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right|^2 &= (1 + \cos\theta)^2 + (-2\sin\theta)^2 \\ &= 1 + 2\cos\theta + \cos^2\theta + 4\sin^2\theta \\ &= 1 + 2\cos\theta + \cos^2\theta + 4(1 - \cos^2\theta) \\ &= -3\cos^2\theta + 2\cos\theta + 5 \end{aligned}$$
$t = \cos\theta$ とおくと、①より $t$ の動く範囲は $$-\frac{1}{2} < t < 1$$ です。この範囲における2次関数 $$g(t) = -3t^2 + 2t + 5$$ の値域を求めます。平方完成すると、 $$g(t) = -3\left( t^2 - \frac{2}{3}t \right) + 5 = -3\left( t - \frac{1}{3} \right)^2 + \frac{16}{3}$$ となります。
上のグラフから分かる通り、区間 $-\dfrac{1}{2} < t < 1$ において:
- 最大値:$t = \dfrac{1}{3}$ のとき、 $$g\left(\frac{1}{3}\right) = \frac{16}{3}$$
-
端点の値の比較:
・右端 $t = 1$ のとき:$g(1) = -3(1)^2 + 2(1) + 5 = 4 = \dfrac{12}{3}$
・左端 $t = -\dfrac{1}{2}$ のとき:$g\left(-\frac{1}{2}\right) = -3\left(-\frac{1}{2}\right)^2 + 2\left(-\frac{1}{2}\right) + 5 = -\frac{3}{4} - 1 + 5 = \frac{13}{4} = 3.25$
$\dfrac{13}{4} < 4$ であり、かつ $t = -\dfrac{1}{2}$ は区間に含まれないため、$g(t)$ のとり得る値の範囲は $$\frac{13}{4} < g(t) \leqq \frac{16}{3}$$ となります!
求める絶対値 $\left| \dfrac{1}{z-1} - \dfrac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right|$ は $\sqrt{g(t)}$($> 0$)ですから、各辺の正の平方根をとって、 $$\sqrt{\frac{13}{4}} < \left| \frac{1}{z-1} - \frac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right| \leqq \sqrt{\frac{16}{3}}$$ すなわち、分母を有理化して $$\frac{\sqrt{13}}{2} < \left| \frac{1}{z-1} - \frac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right| \leqq \frac{4\sqrt{3}}{3}$$ が得られます!
2025年度の東京慈恵会医科大学・数学は、例年の重厚な計算量と論理力を問う出題傾向を維持しつつも、「基本に忠実な式変形を行えば、見通しの良い計算に落ちる」ように設計された非常に質の高い4題でした。
【確定版・全問最終解答まとめ】
・第1問:(ア)$\dfrac{1}{3}$ ,(イ)$\dfrac{31}{54}$
・第2問:(1) 証明略 ,(2) $-\dfrac{1}{\log x} + C$ ,(3) 証明略
・第3問:(1) $r = p - 1$ ,(2) $(x, y, p) = (47, 2, 41)$
・第4問:$\dfrac{\sqrt{13}}{2} < \left| \dfrac{1}{z-1} - \dfrac{z-\bar{z}}{2} + 1 \right| \leqq \dfrac{4\sqrt{3}}{3}$
合格ライン(65%〜70%)を突破するための最大のポイントは、第1問・第2問・第4問で確実に8割以上を確保し、第3問の(1)までを完璧に書き切ることです。第3問(2)の $\bmod 2$ と $\bmod 3$ を用いた素数の絞り込みや、第4問の不等号の等号有無(左端は含まず、$t=1/3$(区間内部)で最大)まで正確に合わせられた受験生は、数学で大きなアドバンテージを得られます。1ステップずつ手を動かして、自分の言葉で再現できるまで復習しましょう!
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合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(東京慈恵会医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。