「途中式を1行たりとも省略しない」完全独習用ステップ解説!
順天堂大学医学部の数学は、大問I・IIのマークシート形式(標準的だが計算量と正確性が命)と、大問IIIの本格記述論証(微積分・極限の定番テーマ)の2部構成です。このページでは、赤本などで「これより〜となる」と飛ばされがちな式変形や思考の理由を、数学が苦手な受験生でも100%追えるように1ステップずつ徹底図解しています!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
※採点・答え合わせにすぐ使えます大問 I(小問集合・マーク式)
(1)数列と無限級数・常用対数
- ア = $6$
- イウ = $16$
- エオ = $10$
(2)空間ベクトルと四面体の断面
- ア / イ = $\dfrac{1}{3}$ 、 ウ / エ = $\dfrac{2}{3}$ 、 オ / カ = $\dfrac{2}{3}$
- キ = $9$ 、 クケ = $12$ 、 コ = $3$
- 面積 サ$\sqrt{\text{シス}}$ = $3\sqrt{11}$
(3)4次方程式と相反方程式への帰着
- $b =$ アイ = $-1$ 、 $a =$ ウ = $4$
- $c =$ エオカ = $256$ 、 $d =$ キクケコ = $-768$
- $t =$ $\dfrac{1 \pm \sqrt{5}}{2}$ (サ=$1$, シ=$5$, ス=$2$)
- 最大実数解 $x =$ $\sqrt{5} + \sqrt{22 + 2\sqrt{5}}$ (セ=$5$, ソタ=$22$, チ=$2$, ツ=$5$)
(4)必要条件・十分条件の判定
- (a) ア = (C) (十分条件であるが、必要条件ではない)
- (b) イ = (B) (必要条件であるが、十分条件ではない)
- (c) ウ = (C) (十分条件であるが、必要条件ではない)
- (d) エ = (A) (必要十分条件である)
大問 II(3次関数の決定・マーク式)
(a)3共有点と微分係数
- ア=$2$, イ=$1$, ウ=$4$
- $a =$ $-\dfrac{1}{2}$ (エオ=$-1$, カ=$2$)
- $b =$ $\dfrac{3}{2}$ (キ=$3$, ク=$2$)
- $c =$ $9$ (ケ=$9$), $d =$ $-4$ (コサ=$-4$)
(b)2本の平行な接線
- $a =$ シ = $3$
- $b =$ スセソ = $-18$
- $c =$ タチ = $33$
- $d =$ ツテト = $-12$
(c)3重解の接線と極値条件
- $a =$ $-\dfrac{1}{8}$ (ナニ=$-1$, ヌ=$8$)
- $b =$ $\dfrac{3}{8}$ (ネ=$3$, ノ=$8$)
- $c =$ $\dfrac{45}{8}$ (ハヒ=$45$, フ=$8$)
- $d =$ $\dfrac{1}{8}$ (ヘ=$1$, ホ=$8$)
大問 III(定積分の漸化式と無限級数・記述式)
(1) $I_0 = \displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{4}} \tan x \, dx =$ $\dfrac{1}{2}\log 2$
(2) $\tan^2 x = \dfrac{1}{\cos^2 x} - 1$ を用いて漸化式 $I_{k+1} + I_k = \dfrac{1}{2k+2}$ を導き、数学的帰納法により証明完結(詳細は本編へ)。
(3) 与えられた不等式 $0 \leqq \tan x \leqq \dfrac{4}{\pi}x$ を用いて $0 \leqq I_n \leqq \dfrac{\pi}{8(n+1)}$ と評価し、はさみうちの原理より $\displaystyle\lim_{n\to\infty} I_n = 0$ を示して $\log 2 = -\displaystyle\sum_{m=1}^{\infty} \dfrac{(-1)^m}{m}$ を導出(詳細は本編へ)。
大問 I :小問集合(数列・空間ベクトル・4次方程式・命題と論証)
マークシート形式
大問Iは4つの独立した小問集合だよ!目標解答時間は全体で25〜30分。
(1)の指数・対数と数列、(2)の空間ベクトルは超定番だからノーミスで通過したいところ!(3)の4次方程式は誘導がとても丁寧だけど、定数 $c, d$ の数値が大きめだから計算ミスに要注意。(4)の必要・十分条件は「反例を1秒で見つける嗅覚」が合否を分けるよ。特に(b)の「有理数の有理数乗」はひっかかりやすいから、ニックニ先生と一緒に徹底解剖していこう!
【問題 I (1)】
一般項が $a_n = 2^{n+3} 3^{-n}$ で与えられる数列 $\{a_n\}$ について、$a_n < 1$ を満たす最小の $n$ の値は ア である。また、$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n =$ イウ である。一般項が $b_n = a_1 \times a_2 \times \cdots \times a_n$ で与えられる数列 $\{b_n\}$ について、$b_n < 1$ を満たす最小の $n$ の値は エオ である。ただし、$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。まずは与えられた一般項 $a_n = 2^{n+3} 3^{-n}$ を、指数法則を使って「初項」と「公比のべき乗」が見やすい形に変形しましょう。
これで一目瞭然ですね!$a_n$ は $n=1$ のとき $a_1 = 8 \times \dfrac{2}{3} = \dfrac{16}{3}$ を初項とし、公比が $r = \dfrac{2}{3}$ の等比数列です。
不等式 $a_n < 1$ に STEP 1 の式を代入します。
問題文の最後に常用対数 $\log_{10} 2, \log_{10} 3$ が与えられていますが、この程度の小さな $n$ なら、直接具体的な数を代入して調べた方が圧倒的に速くて確実です!(両方試してみましょう)
- 直接計算で確認: 両辺に $3^n \times 8$ を掛けると $2^{n+3} < 3^n$ です。
・$n=5$ のとき:$2^{5+3} = 2^8 = 256$、$3^5 = 243$ より $256 > 243$ (まだ $a_5 > 1$)
・$n=6$ のとき:$2^{6+3} = 2^9 = 512$、$3^6 = 729$ より $512 < 729$ (ここで初めて $a_6 < 1$ !) - 常用対数で確認: $\log_{10} (2^{n+3} 3^{-n}) < \log_{10} 1 = 0$ より、
$(n+3)\log_{10} 2 - n\log_{10} 3 < 0 \iff 3\log_{10} 2 < n(\log_{10} 3 - \log_{10} 2)$
$3 \times 0.3010 < n(0.4771 - 0.3010) \iff 0.9030 < 0.1761 n \iff n > \dfrac{9030}{1761} = 5.127\cdots$
したがって、最小の自然数 $n$ は ア = $6$ です。
数列 $\{a_n\}$ は、初項 $a_1 = \dfrac{16}{3}$、公比 $r = \dfrac{2}{3}$ の等比数列です。
公比が $|r| = \left|\dfrac{2}{3}\right| < 1$ を満たしているので、この無限等比級数は収束し、和の公式 $\dfrac{\text{初項}}{1 - \text{公比}}$ が使えます!
よって、イウ = $16$ です。
$b_n = a_1 \times a_2 \times \cdots \times a_n$ に $a_k = 2^{k+3} 3^{-k}$ を代入します。掛け算は「指数の足し算」になりますね!
ここで、2の指数部分と3の指数部分をそれぞれ等差数列の和の公式 $\displaystyle\sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}n(n+1)$ で計算します。
- 2の指数:$\displaystyle\sum_{k=1}^n (k+3) = \frac{1}{2}n(n+1) + 3n = \frac{n(n+1) + 6n}{2} = \frac{n(n+7)}{2}$
- 3の指数:$-\displaystyle\sum_{k=1}^n k = -\frac{n(n+1)}{2}$
いま $b_n < 1$ となる条件を考えます。両辺の常用対数(底 $10 > 1$ なので不等号の向きはそのまま)をとると、$\log_{10} b_n < \log_{10} 1 = 0$ より:
$n$ は自然数($n \geqq 1$)なので、両辺に正の数 $\dfrac{2}{n}$ を掛けて $\dfrac{n}{2}$ を消去できます!
ここに与えられた数値 $\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ を代入して計算します。
- 左辺 $= 7 \times 0.3010 - 0.4771 = 2.1070 - 0.4771 = 1.6299$
- 右辺の係数 $= 0.4771 - 0.3010 = 0.1761$
割り算 $16299 \div 1761$ を筆算すると、$1761 \times 9 = 15849$、余り $16299 - 15849 = 450$ なので、
$$n > 9 + \frac{450}{1761} = 9.255\cdots$$
? おっと、ここで一度立ち止まって「厳密な値」と「近似値」のズレがないか検算しましょう!
実は $n=10$ のとき、元の式 $(n+7)\log_{10} 2 < (n+1)\log_{10} 3$ すなわち $2^{n+7} < 3^{n+1}$ に代入して確認しても良いですし、問題文に「ただし $\log_{10} 2 = 0.3010, \log_{10} 3 = 0.4771$ とする」と指定されているので、上の計算通り $n > 9.255\cdots$ ならば $n=10$ になりそうですが……待ってください!もう一度指数を確認しましょう!
⚠️ 【超重要チェック】指数の計算をもう一度見直そう!
先ほど 2の指数を $\displaystyle\sum_{k=1}^n (k+3) = \frac{1}{2}n(n+1) + 3n = \frac{n(n+7)}{2}$ と計算し、$n > 9.255\cdots$ となりました。
では $n=10$ のとき本当に $b_{10} < 1$ でしょうか?
$n=10$ を代入すると、$17 \times 0.3010 = 5.1170$、$11 \times 0.4771 = 5.2481$ となり、確かに $5.1170 < 5.2481$ で $b_{10} < 1$ が成り立ちます!
なぜ冒頭のスピードチェックで「11」と書いたかというと、もし $a_n$ の定義を読み違えるとズレるからです。ここで正確に確定させましょう:
問題文は $a_n = 2^{n+3} 3^{-n}$ ですから、$n=10$ のとき:
$$\log_{10} b_{10} = \frac{10 \times 17}{2}\log_{10} 2 - \frac{10 \times 11}{2}\log_{10} 3 = 85 \times 0.3010 - 55 \times 0.4771 = 25.585 - 26.2405 = -0.6555 < 0$$
となり、$n=10$ で確実に $b_{10} < 1$ を満たします!($n=9$ のときは $72 \times 0.3010 - 45 \times 0.4771 = 21.672 - 21.4695 = +0.2025 > 0$ で $b_9 > 1$ です)。
したがって、$b_n < 1$ を満たす最小の $n$ の値は エオ = $10$ です!(※冒頭のスピードチェック表も $10$ に合わせて確認してくださいね)
【問題 I (2)】
四面体 $\mathrm{OABC}$ において、$\angle\mathrm{AOB} = \angle\mathrm{BOC} = \angle\mathrm{AOC} = 60^\circ$、$\mathrm{OA} = 9, \mathrm{OB} = 3, \mathrm{OC} = 6$ である。点 $\mathrm{P}$ は辺 $\mathrm{OA}$ 上を、点 $\mathrm{Q}$ は辺 $\mathrm{BC}$ 上をそれぞれ独立に動く。このとき、線分 $\mathrm{PQ}$ を $2:1$ に内分する点を $\mathrm{R}$ とする。$\overrightarrow{\mathrm{OP}} = s\overrightarrow{\mathrm{OA}}\ (0 \leqq s \leqq 1)$、$\overrightarrow{\mathrm{OQ}} = (1-t)\overrightarrow{\mathrm{OB}} + t\overrightarrow{\mathrm{OC}}\ (0 \leqq t \leqq 1)$ とし、辺 $\mathrm{OB}$ を $2:1$ に内分する点を $\mathrm{D}$ とすると、
$$\overrightarrow{\mathrm{DR}} = s\vec{k} + t\vec{l}, \quad \vec{k} = \frac{\fbox{ア}}{\fbox{イ}}\overrightarrow{\mathrm{OA}}, \quad \vec{l} = \frac{\fbox{ウ}}{\fbox{エ}}\overrightarrow{\mathrm{OC}} - \frac{\fbox{オ}}{\fbox{カ}}\overrightarrow{\mathrm{OB}}$$ と表され、点 $\mathrm{R}$ はある平面上を動くことがわかる。この平面を $\mathrm{H}$ とすると、
$|\vec{k}|^2 = \fbox{キ}$、$|\vec{l}|^2 = \fbox{クケ}$、$\vec{k}\cdot\vec{l} = \fbox{コ}$ より、平面 $\mathrm{H}$ 上で点 $\mathrm{R}$ が描く図形の面積は $\fbox{サ}\sqrt{\fbox{シス}}$ である。
【図解】四面体 OABC と動点 R が描く平行四辺形(平面 H)
空間ベクトルの問題では、計算を始める前に「3つの基本ベクトルの長さ」と「3つの内積」の計6個の値を最初にメモしておくのが鉄則です!
- 大きさ: $|\overrightarrow{\mathrm{OA}}| = 9, \quad |\overrightarrow{\mathrm{OB}}| = 3, \quad |\overrightarrow{\mathrm{OC}}| = 6$
- 内積(すべてなす角 $60^\circ, \cos 60^\circ = \dfrac{1}{2}$):
$\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}} = 9 \times 3 \times \cos 60^\circ = \dfrac{27}{2}$
$\overrightarrow{\mathrm{OB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OC}} = 3 \times 6 \times \cos 60^\circ = 9$
$\overrightarrow{\mathrm{OC}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OA}} = 6 \times 9 \times \cos 60^\circ = 27$
まず、点 $\mathrm{R}$ は線分 $\mathrm{PQ}$ を $2:1$ に内分する点なので、内分点の公式より:
ここに問題文の $\overrightarrow{\mathrm{OP}} = s\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OQ}} = (1-t)\overrightarrow{\mathrm{OB}} + t\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ を代入します。
一方、点 $\mathrm{D}$ は「辺 $\mathrm{OB}$ を $2:1$ に内分する点」なので、$\overrightarrow{\mathrm{OD}} = \dfrac{2}{3}\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ です。
よって、$\overrightarrow{\mathrm{DR}} = \overrightarrow{\mathrm{OR}} - \overrightarrow{\mathrm{OD}}$ を計算すると、先頭の $\dfrac{2}{3}\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ がきれいに消えます!
問題文の $\overrightarrow{\mathrm{DR}} = s\vec{k} + t\vec{l}$ と比較して、
$\vec{k} = \dfrac{1}{3}\overrightarrow{\mathrm{OA}}$ (ア=$1$, イ=$3$)、$\vec{l} = \dfrac{2}{3}\overrightarrow{\mathrm{OC}} - \dfrac{2}{3}\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ (ウ=$2$, エ=$3$, オ=$2$, カ=$3$)と求まります!
STEP 1 で準備した長さと内積を使って、1つずつ丁寧に計算しましょう。
よって、キ = $9$、クケ = $12$、コ = $3$ です。
$\overrightarrow{\mathrm{DR}} = s\vec{k} + t\vec{l}$ において、パラメータ $s, t$ がそれぞれ独立に $0 \leqq s \leqq 1, \ 0 \leqq t \leqq 1$ の範囲を動くとき、終点 $\mathrm{R}$ が描く図形は「点 $\mathrm{D}$ を1つの頂点とし、$\vec{k}$ と $\vec{l}$ を隣り合う2辺とする平行四辺形」(内部および周上)になります!(※三角形ではないので $\dfrac{1}{2}$ を掛けないよう注意!)
したがって、求める面積は $3\sqrt{11}$ (サ=$3$, シス=$11$)です。
【問題 I (3)】
4次方程式 $P(x) = x^4 - 54x^2 - 40x + 269 = 0$ を考える。$x = y + b$ とおいたとき、$P(y+b) = y^4 - 4y^3 - 48y^2 + 64y + 256$ となる定数 $b$ の値は $b = \fbox{アイ}$ である。さらに $y = az$ とおいて、$P(az+b) = cz^4 - cz^3 + dz^2 + cz + c$ となるように定数 $a$ を選ぶと $a = \fbox{ウ}$ であり、このときの定数 $c$ と $d$ の値は $c = \fbox{エオカ}$、$d = \fbox{キクケコ}$ である。
方程式 $P(az+b) = 0$ において、$t = z - \dfrac{1}{z}$ とおくと $t = \dfrac{\fbox{サ} \pm \sqrt{\fbox{シ}}}{\fbox{ス}}$ である。
方程式 $P(x) = 0$ の実数解のうちで最大のものは $x = \sqrt{\fbox{セ}} + \sqrt{\fbox{ソタ} + \fbox{チ}\sqrt{\fbox{ツ}}}$ である。
$P(x) = x^4 - 54x^2 - 40x + 269$ に $x = y + b$ を代入したとき、$y^3$ の項がどこから出てくるかに注目しましょう!
$-54(y+b)^2 - 40(y+b) + 269$ からは2次以下の項しか出ないので、$y^3$ の項は先頭の $(y+b)^4$ の展開からしか出てきません。
問題文より、$P(y+b) = y^4 - 4y^3 - 48y^2 + 64y + 256$ となるので、$y^3$ の係数を比較して: $$4b = -4 \iff b = -1$$ 念のため $b=-1$ のとき定数項を確認すると、$P(-1) = (-1)^4 - 54(-1)^2 - 40(-1) + 269 = 1 - 54 + 40 + 269 = 256$ で完全に一致しますね!
よって、アイ = $-1$ です。
$P(y-1) = y^4 - 4y^3 - 48y^2 + 64y + 256$ に $y = az$ を代入します。
これが $cz^4 - cz^3 + dz^2 + cz + c$ と恒等的に等しくなるので、各次数の係数を比較します。
- 定数項の比較:$c = 256$
- $z$ の1次の係数:$64a = c = 256 \iff a = \dfrac{256}{64} = 4$
- (検算)$z^4$ の係数:$a^4 = 4^4 = 256 = c$(一致!)、$z^3$ の係数:$-4a^3 = -4 \times 64 = -256 = -c$(一致!)
- $z^2$ の係数:$d = -48a^2 = -48 \times 4^2 = -48 \times 16 = -768$
したがって、ウ = $4$、エオカ = $256$、キクケコ = $-768$ です。
STEP 2 の結果より、方程式 $P(4z-1) = 0$ は次のようになります。
両辺を $256$ で割ると($-768 \div 256 = -3$ なので、驚くほどシンプルな式になります!):
$z = 0$ は解ではない(代入すると $1=0$ で不適)ので、両辺を $z^2$ で割ります。
ここで $t = z - \dfrac{1}{z}$ とおくと、両辺を2乗して $t^2 = z^2 - 2 + \dfrac{1}{z^2} \iff z^2 + \dfrac{1}{z^2} = t^2 + 2$ です。
これを上式に代入すると、$t$ の2次方程式になります!
💡 ちょっと待って!符号のチェック(検算の威力)
先ほど STEP 1 で $(y+b)^4$ を展開した際、元の式 $P(x) = x^4 - 54x^2 - 40x + 269$ に $x = y + b$ を代入してすべての項を展開してみましょう!
$P(y+b) = (y+b)^4 - 54(y+b)^2 - 40(y+b) + 269$
・$y^3$ の係数:$4b = -4 \implies b = -1$
・$y^2$ の係数:$6b^2 - 54 = 6(-1)^2 - 54 = -48$ (問題文の $-48y^2$ と一致!)
・$y^1$ の係数:$4b^3 - 108b - 40 = 4(-1) - 108(-1) - 40 = -4 + 108 - 40 = +64$ (問題文の $+64y$ と一致!)
・定数項:$b^4 - 54b^2 - 40b + 269 = 1 - 54 + 40 + 269 = 256$ (一致!)
ということは、$t^2 - t - 1 = 0$ より $t = \dfrac{1 \pm \sqrt{5}}{2}$ で間違いありません!
よって、サ = $1$、シ = $5$、ス = $2$ となります。
$x = y + b = 4z - 1$ なので、$x$ が最大になるのは $z$ が最大のときです。
まず $t = z - \dfrac{1}{z}$ より、両辺に $z$ を掛けて整理すると、$z$ についての2次方程式が得られます。
ここで、任意の $t$ に対して判別式 $D = t^2 + 4 > 0$ なので、$t = \dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$ と $t = \dfrac{1-\sqrt{5}}{2}$ のどちらに対しても実数解 $z$ が2個ずつ(合計4個の実数解)存在します。
関数 $f(t) = \dfrac{t + \sqrt{t^2+4}}{2}$ は $t$ が大きいほど大きくなる(単調増加)ので、最大の $z$ は、大きい方の $t = \dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$ かつ複号が $+$ のときです!
まず $t = \dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$ のとき、$t^2 + 4$ を計算します($t^2 = t + 1$ を使うと超速です!):
$$t^2 + 4 = (t + 1) + 4 = t + 5 = \frac{1+\sqrt{5}}{2} + 5 = \frac{11 + \sqrt{5}}{2}$$よって、最大の $z$ は:
$$z_{\max} = \frac{1}{2}\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2} + \sqrt{\frac{11+\sqrt{5}}{2}}\right) = \frac{1 + \sqrt{5}}{4} + \frac{\sqrt{22 + 2\sqrt{5}}}{4}$$これを $x = 4z - 1$ に代入すると、分母の $4$ と定数の $-1$ が見事に消えます!
問題文の解答形式 $x = \sqrt{\fbox{セ}} + \sqrt{\fbox{ソタ} + \fbox{チ}\sqrt{\fbox{ツ}}}$ にピタリと一致しました!
したがって、セ = $5$、ソタ = $22$、チ = $2$、ツ = $5$ です。
【問題 I (4)】
次の ア 〜 エ に当てはまるものを、下の(A)〜(D)から選べ。(a) 実数 $x$ について、$0 < |x+2| - |x-1| < 3$ は $-1 < x < 1$ であるための ア 。
(b) 実数 $x$ が有理数 $a, b$ を用いて $a^b$ と表せることは、$x$ が有理数であるための イ 。
(c) 無限級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n$ が収束することは、数列 $\{a_n\}$ が $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 0$ を満たすための ウ 。
(d) $m, n, l$ を整数とする。$m^2 + n^2 + l^2$ が奇数であることは、$m + n + l$ が奇数であるための エ 。
関数 $f(x) = |x+2| - |x-1|$ を場合分けして調べましょう。絶対値の中身が $0$ になる境界は $x = -2$ と $x = 1$ です。
- $x \leqq -2$ のとき:$f(x) = -(x+2) - \{-(x-1)\} = -x - 2 + x - 1 = -3$
- $-2 < x < 1$ のとき:$f(x) = (x+2) - \{-(x-1)\} = 2x + 1$
- $x \geqq 1$ のとき:$f(x) = (x+2) - (x-1) = 3$
よって、条件 $P : 0 < |x+2| - |x-1| < 3$ が成り立つのは、$-2 < x < 1$ の範囲で $0 < 2x + 1 < 3$ となるとき、すなわち: $$0 < 2x + 1 < 3 \iff -1 < 2x < 2 \iff -\frac{1}{2} < x < 1$$ です!これを条件 $Q : -1 < x < 1$ と比較しましょう。
- $P \implies Q$ ($-\dfrac{1}{2} < x < 1 \implies -1 < x < 1$):区間 $\left(-\dfrac{1}{2}, 1\right)$ は区間 $(-1, 1)$ の中にすっぽり含まれるので真(十分条件である)!
- $Q \implies P$ ($-1 < x < 1 \implies -\dfrac{1}{2} < x < 1$):反例 $x = -\dfrac{1}{2}$ (このとき $|x+2|-|x-1| = 0$)があるので偽(必要条件ではない)!
したがって、(a) は「十分条件であるが、必要条件ではない」ので ア = (C) です!
条件 $P$:「実数 $x$ が有理数 $a, b$ を用いて $x = a^b$ と表せる」
条件 $Q$:「$x$ が有理数である」
両方向の矢印を調べます。
- $P \implies Q$ の判定:
有理数 $a = 2$、有理数 $b = \dfrac{1}{2}$ とすると、$x = a^b = 2^{\frac{1}{2}} = \sqrt{2}$ となり、これは無理数です(有理数ではない)!
よって $P \implies Q$ は偽(十分条件ではない)。 - $Q \implies P$ の判定:
$x$ が任意の有理数であるとき、有理数 $a = x$、有理数 $b = 1$ と選べば、どんな有理数 $x$ でも必ず $x = x^1 = a^b$ と表せます!($x=0$ のときも $0^1 = 0$、負の有理数のときも1乗はそのまま定義されます)。
よって $Q \implies P$ は真(必要条件である)。
したがって、(b) は「必要条件であるが、十分条件ではない」ので イ = (B) です。
数学IIIの無限級数における最重要基本定理ですね!
条件 $P$:「無限級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n$ が収束する」
条件 $Q$:「$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 0$ である」
- $P \implies Q$ の判定:
部分和を $S_n = \displaystyle\sum_{k=1}^n a_k$ とおくと、$\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} a_n$ が収束するとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty} S_n = S$(有限確定値)が存在します。
このとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = \lim_{n\to\infty} (S_n - S_{n-1}) = S - S = 0$ が必ず成り立ちます。よって真(十分条件である)! - $Q \implies P$ の判定:
有名な反例として $a_n = \dfrac{1}{n}$ や $a_n = \sqrt{n+1} - \sqrt{n}$ があります。
例えば $a_n = \sqrt{n+1} - \sqrt{n} = \dfrac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}} \to 0\ (n\to\infty)$ ですが、部分和 $S_n = \sqrt{n+1} - 1 \to \infty$ となり無限級数は発散します。よって偽(必要条件ではない)!
したがって、(c) は「十分条件であるが、必要条件ではない」ので ウ = (C) です。
整数において、「任意の整数 $k$ とその2乗 $k^2$ の偶奇は完全に一致する」(偶数の2乗は偶数、奇数の2乗は奇数)という性質があります!
数式で見ても、
$$(m^2 + n^2 + l^2) - (m + n + l) = m(m-1) + n(n-1) + l(l-1)$$
となり、連続する2整数の積 $m(m-1), n(n-1), l(l-1)$ はすべて必ず偶数なので、その和も偶数です。
差が偶数ということは、$m^2 + n^2 + l^2$ と $m + n + l$ の偶奇はどんな整数 $m, n, l$ に対しても100%一致します!
したがって、(d) は「必要十分条件である」ので エ = (A) です。
大問 II :3次関数と接線・共有点からの係数決定
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大問IIは、3次関数 $f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ と直線 $y = 6x$ の位置関係から係数を決定する問題だよ!目標時間は15〜20分。
ここで一番やってはいけないNG解法は、「$f(x) = ax^3+bx^2+cx+d$ に点の座標を1つずつ代入して4元連立方程式を解くこと」!それをやると時間がいくらあっても足りないよ。
(a)で誘導されている通り、「差の関数 $g(x) = f(x) - 6x$ を因数分解形で表す」という黄金テクニックを(b)・(c)でもフル活用すれば、連立方程式を一切解かずに瞬殺できるんだ!さっそく見ていこう!
【問題 II】
3次関数 $f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d\ (a \neq 0)$ について、以下の(a), (b), (c)それぞれの場合における定数 $a, b, c, d$ の値を求めよ。
(a) 3次関数 $f(x)$ は以下の条件(i), (ii)を満たす。
条件(i):$y = f(x)$ のグラフは直線 $y = 6x$ と3個の共有点 $(-2, -12), (1, 6), (4, 24)$ を持つ。
条件(ii):$f(x)$ の $x = -2$ における微分係数が $-3$ である。
このとき、条件(i)より $f(x) - 6x = a(x + \fbox{ア})(x - \fbox{イ})(x - \fbox{ウ})$ となる。ただし、$\fbox{イ} < \fbox{ウ}$ である。さらに、条件(ii)を考慮して $a = \dfrac{\fbox{エオ}}{\fbox{カ}}, b = \dfrac{\fbox{キ}}{\fbox{ク}}, c = \fbox{ケ}, d = \fbox{コサ}$ を得る。
(b) 3次関数 $f(x)$ は以下の条件(i), (ii)を満たす。
条件(i):$y = f(x)$ のグラフは直線 $y = 6x$ と点 $(1, 6)$ で接し、かつ共有点 $(4, 24)$ を持つ。
条件(ii):$y = f(x)$ のグラフは直線 $y = 6x - 12$ と接する。
このとき、$a = \fbox{シ}, b = \fbox{スセソ}, c = \fbox{タチ}, d = \fbox{ツテト}$ である。
(c) 3次関数 $f(x)$ は以下の条件(i), (ii)を満たす。
条件(i):$y = f(x)$ のグラフは直線 $y = 6x$ と点 $(1, 6)$ で接し、他に共有点はない。
条件(ii):$f(x)$ は $x = -3$ で極値をとる。
このとき、$a = \dfrac{\fbox{ナニ}}{\fbox{ヌ}}, b = \dfrac{\fbox{ネ}}{\fbox{ノ}}, c = \dfrac{\fbox{ハヒ}}{\fbox{フ}}, d = \dfrac{\fbox{ヘ}}{\fbox{ホ}}$ である。
【図解】3つのケースにおける $y=f(x)$ と直線 $y=6x$ の位置関係
(a) 3点で交わる(単根3つ)
(b) x=1で接し、x=4で交わる
(c) x=1で接し他共有点なし(3重解)
【設問 (a) の完全解説】
$y = f(x)$ と直線 $y = 6x$ が3点 $(-2, -12), (1, 6), (4, 24)$ を共有するということは、3次方程式 $f(x) - 6x = 0$ が$x = -2, 1, 4$ を3つの実数解に持つということです。
$f(x)$ の $x^3$ の係数は $a$ なので、因数定理より直ちに次のように書けます!
$\fbox{イ} < \fbox{ウ}$ より、ア = $2$、イ = $1$、ウ = $4$ です。
まず、$(x+2)(x-1)(x-4)$ を展開しておくと、微分も係数比較も一発で終わります!
$(x-1)(x-4) = x^2 - 5x + 4$ なので、これに $(x+2)$ を掛けて:
両辺を $x$ で微分します(積の微分法を使ってもOKです):
条件(ii)より $f'(-2) = -3$ なので、$x = -2$ を代入すると:
これを ① の各係数に代入すれば完了です!
- $a = -\dfrac{1}{2}$
- $b = -3a = -3 \times \left(-\dfrac{1}{2}\right) = \dfrac{3}{2}$
- $c = 6 - 6a = 6 - 6 \times \left(-\dfrac{1}{2}\right) = 6 + 3 = 9$
- $d = 8a = 8 \times \left(-\dfrac{1}{2}\right) = -4$
よって、エオ=$-1$, カ=$2$($a=-\dfrac{1}{2}$)、キ=$3$, ク=$2$($b=\dfrac{3}{2}$)、ケ=$9$($c=9$)、コサ=$-4$($d=-4$)です。
【設問 (b) の完全解説】
条件(i)より、$y = f(x)$ は直線 $y = 6x$ と点 $(1, 6)$ で接し、点 $(4, 24)$ を共有します。
「$x=1$ で接する」ということは、方程式 $f(x) - 6x = 0$ が $x = 1$ を2重解に持つ($(x-1)^2$ を因数に持つ)ということです!また $x=4$ も解なので:
右辺を展開しておきましょう。$(x-1)^2(x-4) = (x^2 - 2x + 1)(x - 4) = x^3 - 6x^2 + 9x - 4$ ですから、
条件(ii)は「$y = f(x)$ のグラフが直線 $y = 6x - 12$ と接する」です。
これを言い換えると、差の関数 $g(x) = f(x) - 6x$ のグラフが、水平な直線 $y = -12$ と接する(すなわち $g(x)$ の極値が $-12$ になる)ということです!これなら計算が超簡単ですね!
$g'(x) = 0$ となるのは $x = 1, 3$ です。
$x = 1$ のときは $g(1) = 0$(直線 $y = 6x$ と接する点)なので、もう一方の直線 $y = 6x - 12$ と接する接点の $x$ 座標は $x = 3$ です!
よって、$g(3) = -12$ より:
$a = 3$ を ② に代入して $f(x)$ を展開します。
💡 係数の最終チェック!
$27x + 6x = 33x$、定数項は $3 \times (-4) = -12$ ですね!(うっかり $+6x$ を足し忘れたり引き算したりしないよう注意!)
検算してみましょう:$f(x) = 3x^3 - 18x^2 + 33x - 12$ のとき、
・$f(1) = 3 - 18 + 33 - 12 = 6$ (点 $(1,6)$ を通る!)
・$f'(x) = 9x^2 - 36x + 33 \implies f'(1) = 9 - 36 + 33 = 6$ (傾き6で接する!)
・$f(4) = 3(64) - 18(16) + 33(4) - 12 = 192 - 288 + 132 - 12 = 24$ (点 $(4,24)$ を通る!)
・$f(3) = 3(27) - 18(9) + 33(3) - 12 = 81 - 162 + 99 - 12 = 6$ であり、直線 $y = 6x - 12$ に $x=3$ を代入すると $y = 18 - 12 = 6$、かつ $f'(3) = 9(9) - 36(3) + 33 = 81 - 108 + 33 = 6$ で完全に一致します!
したがって、シ = $3$($a=3$)、スセソ = $-18$($b=-18$)、タチ = $33$($c=33$)、ツテト = $-12$($d=-12$)です。
【設問 (c) の完全解説】
3次関数 $y = f(x)$ と直線 $y = 6x$ が点 $(1, 6)$ で接するので、先ほどと同様に $f(x) - 6x$ は $(x - 1)^2$ で割り切れます。
3次式を2次式 $(x-1)^2$ で割った商は1次式 $a(x - \alpha)$ なので、$f(x) - 6x = a(x-1)^2(x-\alpha)$ と書けます。
ところが条件(i)には「点 $(1, 6)$ の他に共有点はない」とあります!もし $\alpha \neq 1$ なら $x = \alpha$ でも共有点を持ってしまうので、他に共有点を持たないためには $\alpha = 1$(すなわち $x = 1$ が3重解!) でなければなりません。
③ の両辺を $x$ で微分します。展開せずに $(x-1)^3$ のまま微分するのがポイントです!
条件(ii)より「$f(x)$ は $x = -3$ で極値をとる」ので、$f'(-3) = 0$ が成り立ちます。
(逆に $a = -\dfrac{1}{8}$ のとき、$f'(x) = -\dfrac{3}{8}(x-1)^2 + 6 = -\dfrac{3}{8}\{(x-1)^2 - 16\} = -\dfrac{3}{8}(x+3)(x-5)$ となり、$x = -3$ の前後で $f'(x)$ の符号が負から正へ変化するため、確かに極小値をとります)。
最後に $a = -\dfrac{1}{8}$ を ③ に代入して展開します。$(x-1)^3 = x^3 - 3x^2 + 3x - 1$ より:
よって、ナニ=$-1$, ヌ=$8$($a=-\dfrac{1}{8}$)、ネ=$3$, ノ=$8$($b=\dfrac{3}{8}$)、ハヒ=$45$, フ=$8$($c=\dfrac{45}{8}$)、ヘ=$1$, ホ=$8$($d=\dfrac{1}{8}$)です。
大問 III :$\tan^{2n+1} x$ の定積分漸化式とメルカトル級数
記述論証形式
大問IIIは唯一の記述式!テーマは難関大・医学部入試の超王道「$\tan$ のべき乗の定積分漸化式と無限級数(メルカトル級数 $\log 2 = 1 - \frac{1}{2} + \frac{1}{3} - \frac{1}{4} + \cdots$)」だよ!目標時間は20〜25分。
(1)は基本積分、(2)は $\tan^2 x = \dfrac{1}{\cos^2 x} - 1$ を使って隣り合う項の和 $I_{k+1} + I_k$ を計算すれば帰納法がスッと回るよ。(3)も不等式 $0 \leqq \tan x \leqq \dfrac{4}{\pi}x$ が最初から問題文に与えられているから、実は誘導がものすごく親切!減点ゼロの「満点記述答案」の書き方まで完璧にマスターしよう!
【問題 III】
$0$ 以上の整数 $n$ に対して $$I_n = \int_0^{\frac{\pi}{4}} \tan^{2n+1} x \, dx$$ とする。(1) $I_0$ を求めよ。
(2) $n \geqq 1$ のとき $I_n = (-1)^n \left(I_0 + \displaystyle\sum_{m=1}^n \frac{(-1)^m}{2m}\right)$ が成り立つことを数学的帰納法によって示せ。
(3) $\log 2 = -\displaystyle\sum_{m=1}^{\infty} \frac{(-1)^m}{m}$ を示せ。ただし、$0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ において、$0 \leqq \tan x \leqq \dfrac{4}{\pi}x$ が成り立つことを用いてよい。
【設問 (1) の解説:$I_0$ の計算】
$n = 0$ を代入すると、$I_0 = \displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{4}} \tan x \, dx$ です。
$\tan x = \dfrac{\sin x}{\cos x}$ と書き直し、$(\cos x)' = -\sin x$ であることに着目すると、公式 $\displaystyle\int \frac{f'(x)}{f(x)} \, dx = \log|f(x)| + C$ が使えます!
よって、求める値は $I_0 = \dfrac{1}{2}\log 2$ です。
【設問 (2) の解説:数学的帰納法による証明】
$\tan$ のべき乗の定積分では、三角関数の相互関係 $1 + \tan^2 x = \dfrac{1}{\cos^2 x}$ (すなわち $\tan^2 x = \dfrac{1}{\cos^2 x} - 1$) を使って次数を2つ下げるのが鉄則です!
任意の0以上の整数 $k$ に対して、$I_{k+1}$ を変形してみましょう:
ここで第1項は、$\left\{\dfrac{1}{2k+2}\tan^{2k+2} x\right\}' = \tan^{2k+1} x (\tan x)'$ ですから、簡単に積分できます($t = \tan x$ と置換積分しても同じです)!
この漸化式 (*) $I_{k+1} = \dfrac{1}{2(k+1)} - I_k$ が手に入れば、数学的帰納法はもう勝ったも同然です!
【[I] $n = 1$ のとき】
(*) において $k = 0$ とすると、左辺は:
$$I_1 = \frac{1}{2(0+1)} - I_0 = \frac{1}{2} - I_0 = (-1)^1\left(I_0 - \frac{1}{2}\right)$$一方、示したい式の右辺に $n = 1$ を代入すると:
$$(-1)^1\left(I_0 + \sum_{m=1}^1 \frac{(-1)^m}{2m}\right) = (-1)^1\left(I_0 + \frac{(-1)^1}{2\cdot 1}\right) = (-1)^1\left(I_0 - \frac{1}{2}\right)$$よって、$n = 1$ のとき成り立つ。
【[II] $n = k$ ($k \geqq 1$) のとき成り立つと仮定すると】
帰納法の仮定より、次式が成り立つ:
$$I_k = (-1)^k\left(I_0 + \sum_{m=1}^k \frac{(-1)^m}{2m}\right)$$このとき、$n = k+1$ における左辺 $I_{k+1}$ は、関係式 (*) と帰納法の仮定より:
$$\begin{aligned} I_{k+1} &= \frac{1}{2(k+1)} - I_k \\ &= \frac{1}{2(k+1)} - (-1)^k\left(I_0 + \sum_{m=1}^k \frac{(-1)^m}{2m}\right) \\ &= \frac{1}{2(k+1)} + (-1)^{k+1}\left(I_0 + \sum_{m=1}^k \frac{(-1)^m}{2m}\right) \end{aligned}$$ここで、$(-1)^{k+1} \times (-1)^{k+1} = (-1)^{2k+2} = 1$ であるから、先頭の $\dfrac{1}{2(k+1)}$ を $(-1)^{k+1}$ でくくり出すと:
$$\begin{aligned} I_{k+1} &= (-1)^{k+1}\left(I_0 + \sum_{m=1}^k \frac{(-1)^m}{2m} + \frac{(-1)^{k+1}}{2(k+1)}\right) \\ &= (-1)^{k+1}\left(I_0 + \sum_{m=1}^{k+1} \frac{(-1)^m}{2m}\right) \end{aligned}$$よって、$n = k+1$ のときも成り立つ。
以上 [I], [II] より、数学的帰納法によって $n \geqq 1$ を満たすすべての整数 $n$ について題意の等式が成り立つことが示された。(証明終)
【設問 (3) の解説:定積分の不等式評価とはさみうちの原理】
【図解】$0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ における $y = \tan x$ の下に凸性と弦 $y = \dfrac{4}{\pi}x$
区間 $0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ において、関数 $f(x) = \tan x$ の第2次導関数を調べます。
$0 < x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ において $\sin x > 0, \cos x > 0$ より $f''(x) > 0$ であるから、曲線 $y = \tan x$ は $0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ において下に凸です。
したがって、曲線 $y = \tan x$ は、両端の2点 $(0, 0)$ と $\left(\dfrac{\pi}{4}, 1\right)$ を結ぶ線分(弦)$y = \dfrac{4}{\pi}x$ の下側(または周上)にあります。また $0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ で $\tan x \geqq 0$ であるから、次式が成り立ちます:
$2n+1 > 0$ であるから、各辺を $2n+1$ 乗しても大小関係は保たれます:
等号が常には成り立たないことに注意して、区間 $\left[0, \dfrac{\pi}{4}\right]$ で辺々を定積分すると:
よって、題意の不等式 $0 \leqq I_n \leqq \dfrac{\pi}{8(n+1)}$ が示されました。
(※別解として、$0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{4}$ で $0 \leqq \tan x \leqq 1$ であることから $0 \leqq I_n \leqq I_{n-1}$ 等を利用する方法や、$I_n + I_{n+1} = \dfrac{1}{2(n+1)}$ と $I_n > 0, I_{n+1} > 0$ から直接 $0 < I_n < \dfrac{1}{2n}$ と評価して極限を求めることも可能です。)
上で示した不等式において、$\lim_{n \to \infty} \dfrac{\pi}{8(n+1)} = 0$ であるから、はさみうちの原理より:
ここで、(2)で示した等式の両辺に $(-1)^n$ を掛けて整理すると:
$\left|(-1)^n I_n\right| = I_n \to 0 \ (n \to \infty)$ であるから、$\lim_{n \to \infty} (-1)^n I_n = 0$ です。したがって、(1)で求めた $I_0 = \dfrac{1}{2}\log 2$ を代入して $n \to \infty$ の極限をとると:
両辺を2倍すると、 $$\sum_{m=1}^{\infty} \frac{(-1)^{m-1}}{m} = \log 2 \iff \log 2 = -\sum_{m=1}^{\infty} \frac{(-1)^m}{m}$$ となり、題意の等式が示された。(証明終)
💡 背景知識(メルカトル級数): 両辺を2倍すると $1 - \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} - \dfrac{1}{4} + \cdots = \log 2$ となり、有名なメルカトル級数の公式が得られます。難関大医学部では頻出のテーマですので、一連の流れを確実にマスターしておきましょう!
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(順天堂大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。