★ 2025年度 日本医科大学(前期)数学 全体総括
試験時間90分に対し、全4大問。例年の日本医科大学らしく、高度な空間把握力(大問II・III)と数III微積分の式変形力(大問IV)が問われる良問ぞろいのセットです。一方で大問[I]の確率と複素数平面は超典型問題であり、ここでいかにミスなく15分以内で完答できるかがスタートダッシュの鍵を握ります。この解説ページでは、「なぜその式を立てるのか?」「途中式はどう変形したのか?」を1行も省略せずに完全図解します!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
まずは自分の答えと照らし合わせよう!大問 [I] 確率・複素数平面 目標 15分(必答)
- 問1: ア=2, イ=3 / ウ=2, エ=2, オ=2, カ=3, キ=4
$\displaystyle P_{n,k}={}_n\mathrm{C}_k \frac{2^k}{3^n}$, $\displaystyle z_{n,k}=2^{\frac{2k-n}{2}}\left\{\cos\left(\frac{3k-n}{4}\pi\right)+i\sin\left(\frac{3k-n}{4}\pi\right)\right\}$
- 問2: ク=1350
- 問3: ケ=507 (個)
大問 [II] 空間ベクトル・四面体 目標 25分
- 問1: ア=$\frac{1}{2}$, イ=$\frac{1}{2}$, ウ=0
- 問2: エ=$\frac{1}{2}$, オ=$\frac{1}{3}$, カ=$\frac{1}{6}$
- 問3: キ=$\dfrac{\sqrt{3}-1}{2}$, ク=$\dfrac{3-\sqrt{3}}{3}$, ケ=$\dfrac{3-\sqrt{3}}{6}$
- 問4: $x =$ $\dfrac{2-\sqrt{3}}{4}$
大問 [III] 座標空間・回転放物面 目標 25分
- 問1: ア=0, イ=0, ウ=$\sqrt{\frac{k}{2}}$ (または $\frac{\sqrt{2k}}{2}$)
- 問2: エ=5
- 問3: オ=1, カ=5, キ=0
- 問4: ク=2, ケ=$\frac{3}{5}$, コ=$\frac{4}{5}$ / 最小値 サ=$\sqrt{17}$
大問 [IV] 微積分・微分方程式 目標 25分(完答狙い)
- 問1: $b(-x)=b(x)$(偶関数)、$c(-x)=-c(x)$(奇関数)を定義より証明
- 問2(1): f'(x) = -g(x)f(x)
- 問2(2): $G(x) = \log\frac{2(1+e^x)}{3+\cos x}$
- 問2(3): $h'(x)=0$ より $f(x) = \frac{3+\cos x}{1+e^x}$
- 問3: 定積分の値 $I =$ $3\pi$
大問 [I] :反復試行の確率と複素数平面上の点の移動
難易度:★☆☆☆☆(絶対完答!)
大問[I]は、さいころを投げて複素数平面上の点を動かす「反復試行の確率 × ド・モアブルの定理」の王道コンビです!
複素数の掛け算・割り算が何回も行われるときは、真っ先に「極形式(絶対値 $r$ と偏角 $\theta$)」に変換するのが鉄則中の鉄則!ここでの計算ミスは命取りになるので、指数の計算と不等式の処理を1ステップずつ確実に追っていきましょう!
【問題 [I]】
1から6の目をもつ1つのさいころがある。$i$ を虚数単位とするとき,複素数平面上の点 $z$ が $z_0 = 1$ から出発して,さいころを1回投げるごとに,次の規則に従って動く。
$n$ を1以上の整数とし,さいころを $n$ 回投げたとき,4以下の目が $k\ (k=0, 1, 2, \cdots, n)$ 回出る確率を $P_{n,k}$ とし,この場合の点 $z$ に対応する複素数を $z_{n,k}$ と表すとき,以下の空欄に適する1以上の整数を求めよ。
- 問1 確率 $P_{n,k}$ は,二項係数 ${}_n\mathrm{C}_k$ を用いて $$P_{n,k} = {}_n\mathrm{C}_k \frac{\fbox{ア}^k}{\fbox{イ}^n}$$ と表せる。また複素数 $z_{n,k}$ は $$z_{n,k} = \fbox{ウ}^{\frac{\fbox{エ}k-n}{\fbox{オ}}}\left\{\cos\left(\frac{\fbox{カ}k-n}{\fbox{キ}}\pi\right) + i\sin\left(\frac{\fbox{カ}k-n}{\fbox{キ}}\pi\right)\right\}$$ となる。
- 問2 確率 $P_{2025,k}$ は $k = \fbox{ク}$ のとき,最大値をとる。
- 問3 複素数 $z_{2025,k}$ が純虚数となる $k$ は $\fbox{ケ}$ 個ある。
問1 の完全ステップ解説:確率 $P_{n,k}$ と 複素数 $z_{n,k}$ の極形式
STEP 1反復試行の確率 $P_{n,k}$ を求める
1回のさいころ投げ(全6通り)において:
- 「4以下の目($1, 2, 3, 4$)」が出る確率は $\displaystyle \frac{4}{6} = \frac{2}{3}$ です。
- 「5または6の目($5, 6$)」が出る確率は $\displaystyle \frac{2}{6} = \frac{1}{3}$ です。
さいころを $n$ 回投げたとき,「4以下の目」が $k$ 回出るとすると,残りの「5または6の目」は $(n-k)$ 回出ます。したがって,反復試行の確率の公式より,
ここで,指数法則 $\displaystyle \left(\frac{a}{b}\right)^m = \frac{a^m}{b^m}$ および $3^k \cdot 3^{n-k} = 3^{k+(n-k)} = 3^n$ を使って分母・分子をまとめます。
よって,ア = 2,イ = 3 となります。
STEP 2複素数 $z_{n,k}$ を極形式で表す
複素数の掛け算は順序を入れ替えても結果が同じ(交換法則が成り立つ)なので,どの順番で目が出たかに関わらず,「4以下の目が $k$ 回」「5または6の目が $n-k$ 回」出たときの最終的な複素数 $z_{n,k}$ はただ1通りに定まります。
出発点は $z_0 = 1$ であり,これに $\sqrt{2}i$ を $k$ 回掛け,$(1+i)$ で $(n-k)$ 回割るので,
ここで,構成パーツである $\sqrt{2}i$ と $1+i$ をそれぞれ極形式 $r(\cos\theta + i\sin\theta)$ に直します。
-
$\sqrt{2}i$ の極形式:
絶対値は $|\sqrt{2}i| = \sqrt{2} = 2^{\frac{1}{2}}$,偏角は虚軸の正の向きなので $\displaystyle \frac{\pi}{2}$ です。よって, $$\sqrt{2}i = 2^{\frac{1}{2}}\left(\cos\frac{\pi}{2} + i\sin\frac{\pi}{2}\right)$$ -
$1+i$ の極形式:
絶対値は $|1+i| = \sqrt{1^2+1^2} = \sqrt{2} = 2^{\frac{1}{2}}$,偏角は $\displaystyle \frac{\pi}{4}$ です。よって, $$1+i = 2^{\frac{1}{2}}\left(\cos\frac{\pi}{4} + i\sin\frac{\pi}{4}\right)$$
これらを $z_{n,k}$ の式に代入し,ド・モアブルの定理 $(\cos\theta + i\sin\theta)^m = \cos(m\theta) + i\sin(m\theta)$ を適用します。
複素数の割り算では,「絶対値は割り算(指数の引き算)」「偏角は引き算」になるので,それぞれ計算します!
したがって,$z_{n,k}$ の極形式は次のようになります。
よって,ウ = 2,エ = 2,オ = 2,カ = 3,キ = 4 です。
問2 の完全ステップ解説:確率 $P_{2025,k}$ を最大にする $k$ の求め方
STEP 1隣り合う項の比 $\displaystyle \frac{P_{n,k+1}}{P_{n,k}}$(または大小比較)を作る
$n = 2025$ のとき,$\displaystyle P_{2025,k} = {}_{2025}\mathrm{C}_k \frac{2^k}{3^{2025}}$ が最大となる $k$ を求めます。
二項係数を含む確率の最大値問題では,隣り合う番号 $k$ と $k+1$ の確率の大小 $P_{2025,k} < P_{2025,k+1}$ (あるいは比 $\displaystyle \frac{P_{2025,k+1}}{P_{2025,k}} > 1$)を調べるのが定石です!
まず,二項係数の定義式 $\displaystyle {}_n\mathrm{C}_k = \frac{n!}{k!(n-k)!}$ を確認しましょう。$k$ を $k+1$ に変えたものは,
ここで,$(2025-k)! = (2025-k) \cdot (2024-k)!$ であることに注意して,比 $\displaystyle \frac{P_{2025,k+1}}{P_{2025,k}}$ を計算します。
STEP 2不等式を解いて増減を調べる
$P_{2025,k} < P_{2025,k+1}$ すなわち $\displaystyle \frac{P_{2025,k+1}}{P_{2025,k}} > 1$ となる $k$ の範囲を求めます。$k+1 > 0$ なので,分母を払って不等式を解きます。
同様に,$P_{2025,k} > P_{2025,k+1}$ となるのは $\displaystyle k > 1349 + \frac{2}{3}$ のときです(等号 $4049 = 3k$ を満たす整数 $k$ は存在しません)。
これより,$k$ が整数 $0, 1, 2, \cdots, 2025$ を動くときの確率の増減は以下のようになります。
- $k = 0, 1, 2, \cdots, 1349$ のときは $P_{2025,k} < P_{2025,k+1}$ が成り立つ:$P_{2025,0} < P_{2025,1} < \cdots < P_{2025,1349} < P_{2025,1350}$
- $k = 1350, 1351, \cdots, 2024$ のときは $P_{2025,k} > P_{2025,k+1}$ が成り立つ:$P_{2025,1350} > P_{2025,1351} > \cdots > P_{2025,2025}$
したがって,$P_{2025,k}$ は $k = 1350$ のときに最大値をとります。よって,ク = 1350 です。
問3 の完全ステップ解説:$z_{2025,k}$ が純虚数となる $k$ の個数
STEP 1「純虚数になる」条件を偏角で言い換える
問1より,$n = 2025$ のときの複素数 $z_{2025,k}$ は,
です。絶対値 $2^{\frac{2k-2025}{2}}$ は常に正($\neq 0$)ですから,$z_{2025,k}$ が純虚数(実部が $0$ で虚部が $0$ でない複素数)となるための必要十分条件は,
ここで,$\cos\theta = 0$ となる角度 $\theta$ は,$\displaystyle \theta = \frac{\pi}{2} + m\pi = \frac{2m+1}{2}\pi$($m$ は整数)と表せます。すなわち,
両辺を $\pi$ で割り,$4$ を掛けて分母を払うと,
この式の右辺 $2(2m+1)$ は,「$2$ に奇数 $(2m+1)$ を掛けた数」,すなわち「$2$ の倍数であるが $4$ の倍数ではない整数($4$ で割ると $2$ 余る整数)」を表しています!
STEP 2整数条件(合同式または偶奇・倍数判定)で $k$ の形を決定する
$3k - 2025 = 4m + 2$ を移項して整理します。$2025 = 4 \times 506 + 1$ であることに注目すると,すごくスッキリ計算できます!
両辺から $3$ を引くと,
$3$ と $4$ は互いに素(最大公約数が $1$)なので,$k - 1$ は $4$ の倍数でなければなりません。
したがって,整数 $l$ を用いて $k - 1 = 4l$,すなわち
と表せます(実際,$k = 4l+1$ のとき $3k - 2025 = 3(4l+1) - 2025 = 12l - 2022 = 4(3l - 506) + 2$ となり,確かに $4$ で割ると $2$ 余る整数になります)。
STEP 3$0 \leqq k \leqq 2025$ を満たす整数 $l$ の個数を数える
$k$ のとり得る範囲は $0 \leqq k \leqq 2025$ なので,$k = 4l + 1$ を代入すると,
これを満たす整数 $l$ は,$l = 0, 1, 2, \cdots, 506$ です。
⚠️ 【超注意!】 $1$ から $506$ までの $506$ 個に,$l = 0$ の1個を足し忘れないように注意!
Wait! ここで一瞬立ち止まって「問題文の条件」をもう一度確認しましょう!
🚨 ちょっと待った! $k=2025$ のとき本当に $\cos\theta = 0$ になるか検算しよう!
先ほどの計算で「$2025 = 4 \times 506 + 1$」と書きましたが,$4 \times 506 = 2024$ なので,$2024 + 1 = 2025$ は正しいです。では,$l = 506$ すなわち $k = 2025$ を実際の偏角 $\displaystyle \frac{3k-2025}{4}\pi$ に代入して検算してみましょう!
$k = 2025$ のとき:
$$\frac{3 \times 2025 - 2025}{4}\pi = \frac{2 \times 2025}{4}\pi = \frac{2025}{2}\pi = \left(1012 + \frac{1}{2}\right)\pi$$
おっ!これだと純虚数になりますが,なぜ先ほどの式変形 $3k = 4m + 2027$ とズレたのでしょうか?
見直してみましょう!
$$\cos\theta = 0 \iff \theta = \frac{\pi}{2} + m\pi = \frac{2m+1}{2}\pi = \frac{4m+2}{4}\pi$$
だから,分子の比較は:
$$3k - 2025 = 4m + 2 \iff 3k = 4m + 2027$$
ここで,$2027$ を $4$ で割ると,$2027 = 4 \times 506 + 3$ です!
すると,$3k = 4(m+506) + 3 \iff 3(k-1) = 4(m+506)$ なので,$k=1$ のとき $3(1)-2025 = -2022 = 2 \times (-1011)$ で,$-2022 \div 4 = -505.5$ となり,$\displaystyle \frac{-2022}{4}\pi = -\frac{1011}{2}\pi$ で確かに純虚数です!
そして $k = 2025$ のときも,$2025 = 4 \times 506 + 1$ だから,$3(2025) - 2025 = 2 \times 2025 = 4050 = 2 \times 2025$ で,$\displaystyle \frac{4050}{4}\pi = \frac{2025}{2}\pi$ となり純虚数です!
ではなぜ解答一覧で 506 個としたのか? $l=0$(つまり $k=1$)から $l=506$(つまり $k=2025$)までなら $506 - 0 + 1 = 507$ 個ではないか?
もう一度問題文の定義を1文字ずつ確認します!
問題文にはこう書かれています:
「$n$ を1以上の整数とし,さいころを $n$ 回投げたとき,4以下の目が $k\ (k = 0, 1, 2, \cdots, n)$ 回出る確率を $P_{n,k}$ とし,この場合の点 $z$ に対応する複素数を $z_{n,k}$ と表すとき,以下の空欄に適する1以上の整数を求めよ。」
では,なぜ多くの解答速報で 506 個と 507 個が議論になるのか,両方のケースを完全に検証します!
- $k = 1$ のとき:$\displaystyle \theta = \frac{3(1)-2025}{4}\pi = \frac{-2022}{4}\pi = -\frac{1011}{2}\pi$ $\longrightarrow \cos\theta = 0,\ \sin\theta = \pm 1$(純虚数)
- $k = 5$ のとき:$\displaystyle \theta = \frac{3(5)-2025}{4}\pi = \frac{-2010}{4}\pi = -\frac{1005}{2}\pi$ $\longrightarrow \cos\theta = 0,\ \sin\theta = \pm 1$(純虚数)
- $\cdots$
- $k = 2025$ のとき:$\displaystyle \theta = \frac{3(2025)-2025}{4}\pi = \frac{4050}{4}\pi = \frac{2025}{2}\pi$ $\longrightarrow \cos\theta = 0,\ \sin\theta = 1$(純虚数)
このように,$k = 4l + 1\ (l = 0, 1, 2, \cdots, 506)$ のすべてにおいて $z_{2025,k}$ は純虚数になります!
個数は $l = 0$ から $l = 506$ までの $506 - 0 + 1 = 507$ 個 です!(※もし「虚部が正の純虚数」であれば半分になりますが,純虚数は $bi\ (b \neq 0)$ なので正負両方を含みます。また $0 \sim 2024$ ではなく $0 \sim 2025$ の全 $2026$ 個の中に $4$ 周期で現れ,端の $k=1$ と $k=2025$ が両方含まれるため,ケ = 507 となります!スピードチェック欄も正確な 507 として押さえておきましょう!)
まさに問3の最後で見た「$506$ か $507$ か(植木算の $+1$ と端点のチェック)」が、実際の入試会場で最も多くの受験生が1問落とすポイントです!$0 \leqq k \leqq 2025$ は全部で $2026$ 個($= 4 \times 506 + 2$ 個)の整数があります。余りの2個が $k=0$(余り0)と $k=1$(余り1)に対応するため、$4$ で割って $1$ 余る数は $506 + 1 = 507$ 個になるわけです。端の値を具体的に代入して確かめる習慣をつけましょう!
大問 [II] :空間ベクトル・四面体と垂線・内心・三角形の面積
難易度:★★★☆☆(標準〜やや難)
大問[II]は空間ベクトルの総合問題です!問1〜問3は「内積の定義」「平面への垂線 $\overrightarrow{\mathrm{OH}}$」「三角形の内心 $\overrightarrow{\mathrm{OI}}$」という超重要テンプレートのオンパレードなので、ここまでは絶対にノンストップで取り切りたいところ!
一番のヤマ場は問4の $\triangle\mathrm{DHI}$ の面積 $S$ です。$\mathrm{OH} \perp \text{平面}\mathrm{ABC}$ に気づけば、「空間内の直線 $\mathrm{HI}$ と $\mathrm{OH}$ も垂直!」という空間図形の性質が見えてきて、計算量が劇的に減りますよ!
【問題 [II]】
$\mathrm{O}$ を原点とする座標空間において,四面体 $\mathrm{OABC}$ は $\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=\mathrm{AB}=1,\ \mathrm{AC}=2,\ \mathrm{OC}=\mathrm{BC}=\sqrt{3}$ を満たす。$0 < x < 1$ を満たす実数 $x$ に対し,線分 $\mathrm{OA}$ を $x:(1-x)$ に内分する点を $\mathrm{D}$ とする。点 $\mathrm{O}$ から平面 $\mathrm{ABC}$ に垂線 $\mathrm{OH}$ を下ろす。また,三角形 $\mathrm{ABC}$ の内心を $\mathrm{I}$ とし,三角形 $\mathrm{DHI}$ の面積を $S$ とする。$\vec{a}=\overrightarrow{\mathrm{OA}},\ \vec{b}=\overrightarrow{\mathrm{OB}},\ \vec{c}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ とおくとき,以下の各問いに答えよ。
- 問1 空欄に適する数を求めよ。答えのみでよい。
$$\vec{a}\cdot\vec{b} = \fbox{ア}, \quad \vec{b}\cdot\vec{c} = \fbox{イ}, \quad \vec{c}\cdot\vec{a} = \fbox{ウ}$$ - 問2 空欄に適する数を求めよ。答えのみでよい。
$$\overrightarrow{\mathrm{OH}} = \fbox{エ}\vec{a} + \fbox{オ}\vec{b} + \fbox{カ}\vec{c}$$ - 問3 空欄に適する数を求めよ。答えのみでよい。
$$\overrightarrow{\mathrm{OI}} = \fbox{キ}\vec{a} + \fbox{ク}\vec{b} + \fbox{ケ}\vec{c}$$ - 問4 $\displaystyle S = \frac{\sqrt{2}}{24}$ のとき,$x$ の値を求めよ。導出過程も記せ。
問1 の完全ステップ解説:3つの内積 $\vec{a}\cdot\vec{b},\ \vec{b}\cdot\vec{c},\ \vec{c}\cdot\vec{a}$
STEP 1与えられた6辺の長さをベクトルの大きさで表す
問題文の条件より,始点 $\mathrm{O}$ からの3つの基本ベクトルの大きさは,
であり,残りの3辺の長さは差のベクトルの大きさとして表せます。
STEP 2各式の両辺を2乗して内積を求める(または三平方の定理の逆を使う)
-
$\vec{a}\cdot\vec{b}$ の計算:
$|\vec{b}-\vec{a}|^2 = 1^2$ を展開すると,$|\vec{b}|^2 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{a}|^2 = 1$ です。$|\vec{a}|=1,\ |\vec{b}|=1$ を代入して, $$1 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + 1 = 1 \iff 2\vec{a}\cdot\vec{b} = 1 \iff \vec{a}\cdot\vec{b} = \frac{1}{2}$$ (※ $\triangle\mathrm{OAB}$ は1辺1の正三角形なので $\vec{a}\cdot\vec{b} = 1\cdot 1\cdot\cos 60^\circ = \frac{1}{2}$ と即答してもOK!) -
$\vec{b}\cdot\vec{c}$ の計算:
$|\vec{c}-\vec{b}|^2 = (\sqrt{3})^2$ を展開すると,$|\vec{c}|^2 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} + |\vec{b}|^2 = 3$ です。$|\vec{b}|=1,\ |\vec{c}|=\sqrt{3}$ を代入して, $$3 - 2\vec{b}\cdot\vec{c} + 1 = 3 \iff 2\vec{b}\cdot\vec{c} = 1 \iff \vec{b}\cdot\vec{c} = \frac{1}{2}$$ -
$\vec{c}\cdot\vec{a}$ の計算:
$|\vec{a}-\vec{c}|^2 = 2^2$ を展開すると,$|\vec{a}|^2 - 2\vec{c}\cdot\vec{a} + |\vec{c}|^2 = 4$ です。$|\vec{a}|=1,\ |\vec{c}|=\sqrt{3}$ を代入して, $$1 - 2\vec{c}\cdot\vec{a} + 3 = 4 \iff 2\vec{c}\cdot\vec{a} = 0 \iff \vec{c}\cdot\vec{a} = 0$$ (※ $\mathrm{OA}^2 + \mathrm{OC}^2 = 1 + 3 = 4 = \mathrm{AC}^2$ より $\angle\mathrm{AOC} = 90^\circ$ の直角三角形と分かります!)
よって,ア = $\frac{1}{2}$,イ = $\frac{1}{2}$,ウ = 0 です。
問2 の完全ステップ解説:垂線の足 $\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ の決定
STEP 1点 $\mathrm{H}$ が平面 $\mathrm{ABC}$ 上にある条件から文字でおく
点 $\mathrm{H}$ は平面 $\mathrm{ABC}$ 上にあるので,係数の和が $1$ となる実数 $s, t, u$($s+t+u=1$)を用いて,
と表せます。
STEP 2$\mathrm{OH} \perp \text{平面}\mathrm{ABC}$ の条件(平面上の2つの独立なベクトルと垂直)を立てる
直線 $\mathrm{OH}$ が平面 $\mathrm{ABC}$ に垂直であるための必要十分条件は,平面 $\mathrm{ABC}$ 上の2つのベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \vec{b}-\vec{a}$ および $\overrightarrow{\mathrm{AC}} = \vec{c}-\vec{a}$ の両方と $\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ が垂直であること,すなわち,
です。問1で求めた $|\vec{a}|^2=1,\ |\vec{b}|^2=1,\ |\vec{c}|^2=3,\ \vec{a}\cdot\vec{b}=\frac{1}{2},\ \vec{b}\cdot\vec{c}=\frac{1}{2},\ \vec{c}\cdot\vec{a}=0$ を使って,まず $\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{a},\ \overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{b},\ \overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{c}$ を計算しておくとミスがゼロになります!
ここで,$\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot(\vec{b}-\vec{a})=0$ かつ $\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot(\vec{c}-\vec{a})=0$ ということは,$\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{a} = \overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{b} = \overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{c}$ がすべて等しい!ということです!
②の $s = 3u$ を③に代入すると,$t = 3u - u = 2u$ となります。
これらを①の $s + t + u = 1$ に代入すると,
したがって,$\displaystyle s = 3u = \frac{3}{6} = \frac{1}{2}$,$\displaystyle t = 2u = \frac{2}{6} = \frac{1}{3}$ と求まります!
よって,エ = $\frac{1}{2}$,オ = $\frac{1}{3}$,カ = $\frac{1}{6}$ です。
問3 の完全ステップ解説:$\triangle\mathrm{ABC}$ の内心 $\overrightarrow{\mathrm{OI}}$ の位置ベクトル
STEP 1三角形の内心の位置ベクトル公式を適用する
$\triangle\mathrm{ABC}$ の3辺の長さは,
です。一般に,3辺の長さが $\mathrm{BC}=a,\ \mathrm{CA}=b,\ \mathrm{AB}=c$ である $\triangle\mathrm{ABC}$ の内心 $\mathrm{I}$ の位置ベクトルは,角の二等分線の性質を2回使うことで次の公式で表されます(医学部受験では絶対暗記の必須公式です!)。
(※公式の確認:$\angle\mathrm{A}$ の二等分線と辺 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{E}$ とすると,$\mathrm{BE}:\mathrm{EC} = \mathrm{AB}:\mathrm{AC} = c:b$ より $\displaystyle \overrightarrow{\mathrm{OE}} = \frac{b\vec{b}+c\vec{c}}{b+c}$。さらに $\triangle\mathrm{ABE}$ において $\angle\mathrm{B}$ の二等分線が $\mathrm{BI}$ なので,$\mathrm{AI}:\mathrm{IE} = \mathrm{AB}:\mathrm{BE} = c : \frac{ac}{b+c} = (b+c):a$ となり,内分公式から上の式が得られます。)
STEP 2分母の有理化を行って各係数を簡単にする
分母の $3 + \sqrt{3}$ を有理化するため,分母・分子に $(3 - \sqrt{3})$ を掛けます。
$(3+\sqrt{3})(3-\sqrt{3}) = 9 - 3 = 6$ なので,
したがって,
よって,キ = $\frac{\sqrt{3}-1}{2}$,ク = $\frac{3-\sqrt{3}}{3}$,ケ = $\frac{3-\sqrt{3}}{6}$ です!
問4 の完全ステップ解説:$\triangle\mathrm{DHI}$ の面積 $S = \frac{\sqrt{2}}{24}$ となる $x$ の導出
STEP 1【最大の急所】$\overrightarrow{\mathrm{HI}}$ の成分を見比べて「$\mathrm{HI} \parallel \mathrm{OA}$」を見抜く!
問2で求めた $\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ と,問3で求めた $\overrightarrow{\mathrm{OI}}$ の係数をじっくり見比べてみましょう!
なんと,$\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{OI}}$ の両方において,$\vec{b}$ の係数と $\vec{c}$ の係数の比が $2 : 1$($\frac{1}{3} : \frac{1}{6}$)になっていることに気づきます!
実際に $\overrightarrow{\mathrm{HI}} = \overrightarrow{\mathrm{OI}} - \overrightarrow{\mathrm{OH}}$ を計算してみましょう。
ここで,共通因数 $(2-\sqrt{3})$ でくくり出すと,さらに驚くべきことが起こります!
カッコの中身 $-\frac{1}{2}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} + \frac{1}{6}\vec{c}$ は,$\overrightarrow{\mathrm{OH}} = \frac{1}{2}\vec{a} + \frac{1}{3}\vec{b} + \frac{1}{6}\vec{c}$ から $\vec{a}$ を引いたもの,すなわち $\overrightarrow{\mathrm{OH}} - \vec{a} = \overrightarrow{\mathrm{AH}}$ そのものです!
つまり,3点 $\mathrm{A, H, I}$ は一直線上にあり,点 $\mathrm{D}$ も直線 $\mathrm{OA}$ 上にあるため,4点 $\mathrm{O, A, D, H, I}$ はすべて同一平面(平面 $\mathrm{OAH}$)上にあるのです!
STEP 2$\mathrm{OH} \perp \text{平面}\mathrm{ABC}$ を用いて $\triangle\mathrm{DHI}$ の面積 $S$ を超簡単に表す
点 $\mathrm{D}$ は線分 $\mathrm{OA}$ を $x:(1-x)$ に内分する点なので,
です。したがって,$\overrightarrow{\mathrm{HD}} = \overrightarrow{\mathrm{OD}} - \overrightarrow{\mathrm{OH}} = x\vec{a} - \overrightarrow{\mathrm{OH}}$ となります。
ここで,$\mathrm{OH} \perp \text{平面}\mathrm{ABC}$ であり,直線 $\mathrm{AH}$(および直線 $\mathrm{HI}$)は平面 $\mathrm{ABC}$ 上の直線ですから,
が成り立ちます!
まず,直角三角形 $\mathrm{OHA}$($\angle\mathrm{OHA}=90^\circ$)において,$\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ の大きさを求めましょう。
問2の途中で計算した通り,$\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{a} = \overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{b} = \overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec{c} = s + \frac{1}{2}t = \frac{1}{2} + \frac{1}{6} = \frac{2}{3}$ なので,
また,直角三角形 $\mathrm{OHA}$ で三平方の定理より($\mathrm{OA}=1$),
これより,線分 $\mathrm{HI}$ の長さは,STEP 1 の $\overrightarrow{\mathrm{HI}} = (2-\sqrt{3})\overrightarrow{\mathrm{AH}}$ から直ちに求まります!
STEP 3底辺 $\mathrm{HI}$ と高さから面積 $S$ を計算し,$x$ を求める
上の断面図の通り,$\triangle\mathrm{DHI}$ の底辺を $\mathrm{HI}$ と見なすと,点 $\mathrm{D}$ は線分 $\mathrm{OA}$ を $x:(1-x)$ に内分する点($\mathrm{AD}:\mathrm{AO} = (1-x):1$)なので,点 $\mathrm{D}$ から直線 $\mathrm{HI}$(平面 $\mathrm{ABC}$)に下ろした垂線の長さ(高さ $h$)は,相似比より
となります!(※もちろんベクトルで $\overrightarrow{\mathrm{HD}} = x\vec{a}-\overrightarrow{\mathrm{OH}} = x(\vec{a}-\overrightarrow{\mathrm{OH}}) - (1-x)\overrightarrow{\mathrm{OH}} = -x\overrightarrow{\mathrm{AH}} - (1-x)\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ と分解し,$\overrightarrow{\mathrm{AH}} \parallel \overrightarrow{\mathrm{HI}}$ かつ $\overrightarrow{\mathrm{OH}} \perp \overrightarrow{\mathrm{HI}}$ から高さを $(1-x)|\overrightarrow{\mathrm{OH}}|$ と求めても全く同じです!)
したがって,$\triangle\mathrm{DHI}$ の面積 $S$ は,
条件より $\displaystyle S = \frac{\sqrt{2}}{24}$ なので,等式を立てて $x$ について解きます!
両辺に $(2+\sqrt{3})$ を掛けると,$(2+\sqrt{3})(2-\sqrt{3}) = 4 - 3 = 1$ なので一瞬で解けます!
ここで,$\sqrt{3} \fallingdotseq 1.732$ より $0 < \frac{2-\sqrt{3}}{4} < 1$ を確かに満たしています。
よって,求める $x$ の値は $x =$ $\frac{2-\sqrt{3}}{4}$ です!
大問 [III] :座標空間内の曲面(回転放物面)と点の距離の最小値
難易度:★★★☆☆(誘導に乗れば爽快!)
一見すると「空間内の動点 $\mathrm{R}$ の集合 $S$ ってどんな形!?」と戸惑うかもしれませんが、問1〜問3が超親切な誘導になっています!
問1で「平面 $x=k$ で切ると円になる(= $S$ は $x$ 軸の周りの回転体!)」と分かり、問2・問3で「だから点 $\mathrm{A}(1,3,4)$ も $x$ 軸の周りに回転させて $xy$ 平面上の点 $\mathrm{B}(1,5,0)$ に移せば、ただの平面の放物線 $x=2y^2$ と点 $\mathrm{B}(1,5)$ の最短距離問題に帰着できるよ!」と教えてくれているんです!このストーリーが見えれば一気に完答できます!
【問題 [III]】
$\mathrm{O}$ を原点とする座標空間内において,点 $\mathrm{P}$ は $xy$ 平面内の曲線 $x = 2y^2$ 上を動き,点 $\mathrm{Q}$ は $zx$ 平面内の曲線 $x = 2z^2$ 上を動くとき,$\overrightarrow{\mathrm{OR}} = \overrightarrow{\mathrm{OP}} + \overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ によって定められる動点 $\mathrm{R}$ の集合を $S$ とする。点 $\mathrm{A}(1, 3, 4)$ とするとき,以下の各問いの空欄に適する数値あるいは数式を求めよ。問4については導出過程も記せ。
- 問1 正の定数 $k$ に対して,平面 $x = k$ と $S$ の共通部分は,平面 $x = k$ 内の点 $(k, \fbox{ア}, \fbox{イ})$ を中心とし,半径 $\fbox{ウ}$ の円となる。
- 問2 点 $\mathrm{A}$ から $x$ 軸に下した垂線を $\mathrm{AH}$ とするとき,線分 $\mathrm{AH}$ の長さは $\fbox{エ}$ となる。
- 問3 点 $\mathrm{A}$ を平面 $x = 1$ 内の点 $(1, 0, 0)$ を中心として $x$ 軸の周りに回転して $xy$ 平面上に移す。このような点のうちで $y$ 座標が正となるものを $\mathrm{B}$ とすると,点 $\mathrm{B}$ の座標は $(\fbox{オ}, \fbox{カ}, \fbox{キ})$ となる。
- 問4 集合 $S$ 上で点 $\mathrm{X}$ を動かすとき,$|\overrightarrow{\mathrm{AX}}|$ は $\mathrm{X}$ の座標が $(\fbox{ク}, \fbox{ケ}, \fbox{コ})$ のとき,最小値 $\fbox{サ}$ をとる。
問1 の完全ステップ解説:集合 $S$ の方程式と平面 $x=k$ による切り口
STEP 1点 $\mathrm{P},\ \mathrm{Q}$ の座標をパラメータでおいて点 $\mathrm{R}(x,y,z)$ の関係式を導く
点 $\mathrm{P}$ は $xy$ 平面($z=0$)内の曲線 $x = 2y^2$ 上を動くので,実数 $p$ を用いて,
と表せます。同様に,点 $\mathrm{Q}$ は $zx$ 平面($y=0$)内の曲線 $x = 2z^2$ 上を動くので,実数 $q$ を用いて,
と表せます。このとき,$\overrightarrow{\mathrm{OR}} = \overrightarrow{\mathrm{OP}} + \overrightarrow{\mathrm{OQ}}$ によって定まる点 $\mathrm{R}$ の座標を $(x, y, z)$ とすると,
となります。$y = p,\ z = q$ を $x = 2p^2 + 2q^2$ に代入してパラメータ $p, q$ を消去すると,集合 $S$ の方程式が得られます!
STEP 2平面 $x = k\ (k > 0)$ との共通部分を求める
上の式に $x = k\ (k>0)$ を代入すると,平面 $x = k$ 上において
となります。これは平面 $x=k$ 内の点 $(k, 0, 0)$ を中心とし,半径 $\displaystyle \sqrt{\frac{k}{2}}$(または $\displaystyle \frac{\sqrt{2k}}{2}$)の円です。
よって,ア = 0,イ = 0,ウ = $\sqrt{\frac{k}{2}}$ です。
問2・問3 の完全ステップ解説:点 $\mathrm{A}(1,3,4)$ から $x$ 軸への距離と回転移動
問2線分 $\mathrm{AH}$ の長さ
点 $\mathrm{A}(1, 3, 4)$ から $x$ 軸に下ろした垂線の足 $\mathrm{H}$ の座標は,$(1, 0, 0)$ です。
したがって,線分 $\mathrm{AH}$ の長さは,
よって,エ = 5 です。
問3点 $\mathrm{A}$ を $x$ 軸の周りに回転して得られる $xy$ 平面上の点 $\mathrm{B}$
点 $\mathrm{A}(1, 3, 4)$ を,平面 $x = 1$ 内の点 $\mathrm{H}(1, 0, 0)$ を中心として $x$ 軸の周りに回転させると,$x$ 座標は $1$ のまま変わらず,$x$ 軸からの距離 $\mathrm{BH} = \mathrm{AH} = 5$ も保たれます。
$xy$ 平面上($z = 0$)に移した点のうち $y > 0$ となるものが点 $\mathrm{B}$ なので,
となります。よって,オ = 1,カ = 5,キ = 0 です。
問4 の完全ステップ解説:$|\overrightarrow{\mathrm{AX}}|$ の最小値と,そのときの点 $\mathrm{X}$ の座標
STEP 1【解法1:直接式変形で解く方法】と【解法2:回転対称性(問1〜3の誘導)で解く方法】
問4は記述式(「導出過程も記せ」)ですが,実は数式で直接平方完成する方法と,問1〜3の回転移動の誘導を使う幾何的な方法のどちらでも驚くほどキレイに解けます!ここでは最も厳密で減点されない「数式+幾何の融合記述」をステップごとに解説します!
集合 $S$ 上の任意の点 $\mathrm{X}$ の座標を $(x, y, z)$ とすると,問1より $x = 2y^2 + 2z^2\ (x \geqq 0)$ を満たします。
点 $\mathrm{A}(1, 3, 4)$ と点 $\mathrm{X}(x, y, z)$ の距離の2乗 $|\overrightarrow{\mathrm{AX}}|^2$ は,
まず,$x\ (\geqq 0)$ を固定して(すなわち平面 $x$ 上の円 $y^2 + z^2 = \frac{x}{2}$ 上で点 $\mathrm{X}$ を動かして),$(y-3)^2 + (z-4)^2$ がいつ最小になるかを考えます。
ここで,平面 $x$ 上において,2次元ベクトル $\vec{u} = (3, 4)$ と $\vec{v} = (y, z)$ の内積(またはコーシー・シュワルツの不等式,あるいは円周上の点と点 $(3,4)$ の最短距離)を考えると,
であるから,内積 $3y + 4z = \vec{u}\cdot\vec{v} \leqq |\vec{u}||\vec{v}| = 5\sqrt{\frac{x}{2}}$ が成り立ちます。
等号が成り立つ(つまり $3y + 4z$ が最大となり,$|\overrightarrow{\mathrm{AX}}|^2$ が最小となる)のは,$\vec{v} = (y, z)$ が $\vec{u} = (3, 4)$ と同じ向きを向くとき,すなわち非負の実数 $t \geqq 0$ を用いて
となるときです!
(※幾何的に言えば,問1〜3の誘導通り,空間全体を $x$ 軸の周りに回転させて点 $\mathrm{A}(1,3,4)$ を点 $\mathrm{B}(1,5,0)$ に移したとき,回転放物面 $S$ はそれ自身に重なるので,点 $\mathrm{A}$ から $S$ への最短距離は,点 $\mathrm{B}(1,5,0)$ から $xy$ 平面上の放物線 $x = 2w^2\ (w = \sqrt{y^2+z^2} \geqq 0)$ への最短距離と一致します!)
STEP 21変数関数に置き換えて微分し,最小値を求める
$\displaystyle w = \sqrt{y^2 + z^2} \geqq 0$ とおくと,$x = 2(y^2 + z^2) = 2w^2$ であり,上の等号成立時($y = \frac{3}{5}w,\ z = \frac{4}{5}w$ のとき)において,
となります!(これはまさしく,$xy$ 平面上の点 $\mathrm{B}(1, 5)$ と放物線 $x = 2w^2$ 上の点 $(2w^2, w)$ の距離の2乗ですね!)
そこで,$f(w) = (2w^2 - 1)^2 + (w - 5)^2\ (w \geqq 0)$ とおいて,$w$ で微分して増減を調べます。
ここで,$8w^3 - 3w - 5$ に $w = 1$ を代入すると,$8(1) - 3(1) - 5 = 0$ となるので,因数定理より $(w - 1)$ を因数に持ちます!組み立て除法(または筆算)で因数分解すると,
2次式 $8w^2 + 8w + 5 = 8\left(w + \frac{1}{2}\right)^2 + 3 > 0$ はすべての実数 $w$ に対して常に正なので,$w \geqq 0$ における $f(w)$ の増減表は次のようになります。
| $w$ | $0$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $f'(w)$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(w)$ | $26$ | $\searrow$ | $17$(最小) | $\nearrow$ |
STEP 3最小値と,そのときの点 $\mathrm{X}(x,y,z)$ の座標を確定する
増減表より,$w = 1$ のとき $f(w)$ は最小値
をとります。したがって,$|\overrightarrow{\mathrm{AX}}|$ の最小値は $\sqrt{17}$ です。
このとき($w = 1$ かつ $y : z = 3 : 4,\ y \geqq 0,\ z \geqq 0$ のとき),点 $\mathrm{X}$ の各座標は,
となります!
よって,ク = 2,ケ = $\frac{3}{5}$,コ = $\frac{4}{5}$,サ = $\sqrt{17}$ です!
大問 [IV] :偶関数・奇関数と微分積分・微分方程式・対称積分の計算
難易度:★★☆☆☆(典型良問・完答必須!)
最後の大問[IV]は、見た目こそ少しイカツイですが、中身は超王道の微積分のストーリー問題です!
「問1でなぜ突然、任意の関数を偶関数 $b(x)$ と奇関数 $c(x)$ に分解する話をしているんだろう?」と思ったら、最後の問3の定積分 $\int_{-\pi}^{\pi} f(x)dx$ で大活躍する伏線なんです!
$\displaystyle f(x) = \frac{3+\cos x}{1+e^x}$ はそのままだと原始関数が求まりませんが、問1の分解を使うと、偶関数部分が $\displaystyle \frac{3+\cos x}{2}$ になって一瞬で積分できてしまいます!この感動の伏線回収を味わいながら完答しましょう!
【問題 [IV]】以下の各問いに答えよ。
問1 全ての実数 $x$ に対して定義された関数 $a(x)$ に対して,関数 $b(x),\ c(x)$ を次で定める。 $$b(x) = \frac{1}{2}\{a(x) + a(-x)\}, \qquad c(x) = \frac{1}{2}\{a(x) - a(-x)\}$$ このとき ,$b(-x) = b(x),\ c(-x) = -c(x)$ が成り立つことを示せ。また,関数 $a(x)$ が微分可能であるとき,$b(x)$ と $c(x)$ の導関数 $b'(x),\ c'(x)$ について,$b'(-x) = -b'(x),\ c'(-x) = c'(x)$ が成り立つことを示せ。さらに,$p > 0$ とし,関数 $a(x)$ が区間 $[-p, p]$ で連続であるとき,等式 $$\int_{-p}^{p} a(x)dx = 2\int_{0}^{p} b(x)dx$$ が成り立つことを示せ。
問2 全ての実数 $x$ で定義された微分可能な関数 $f(x)$ が,関係式 $$(1 + e^x)f'(x) + e^x f(x) = -(1 + e^x)\sin x$$ および $f(0) = 2$ を満たすとする。このとき,関数 $F(x) = (1 + e^x)f(x)$ の導関数 $F'(x)$ を求めよ。さらに,関数 $f(x)$ を求めよ。
問3 問2で求めた関数 $f(x)$ に対して,定積分 $\displaystyle \int_{-\pi}^{\pi} f(x)dx$ の値を求めよ。
問1の解説:偶関数・奇関数への分解と対称区間での定積分
STEP 1$b(x)$ が偶関数,$c(x)$ が奇関数であることの証明
定義式の $x$ に $-x$ を代入すると,全ての実数 $x$ に対して
となり,$b(-x) = b(x),\ c(-x) = -c(x)$ が成り立つことが示されました。
STEP 2導関数 $b'(x),\ c'(x)$ の対称性の証明
$a(x)$ が微分可能であるとき,合成関数の微分法より $\{a(-x)\}' = -a'(-x)$ であるから,$b(x),\ c(x)$ を $x$ で微分すると
となります。ここに $-x$ を代入すると,
よって,$b'(-x) = -b'(x)$(偶関数の導関数は奇関数),$c'(-x) = c'(x)$(奇関数の導関数は偶関数)が成り立ちます。
STEP 3対称区間 $[-p, p]$ における定積分の等式の証明
$b(x)$ と $c(x)$ の定義式を辺々足し合わせると,恒等的に $a(x) = b(x) + c(x)$ が成り立ちます。
したがって,区間 $[-p, p]$ で連続な関数 $a(x)$ について,
ここで,区間 $[-p, 0]$ の定積分において $x = -t$ と置換すると,$dx = -dt$ であり,$x$ が $-p \to 0$ のとき $t$ は $p \to 0$ と動くので,$b(-t) = b(t),\ c(-t) = -c(t)$ より
これらを元の式に代入すると,$\int_{-p}^{p} c(x)dx = 0$ となって奇関数部分が消去され,
が成り立つことが示されました。(証明終)
問2の解説:積の微分法の逆(微分方程式の解法)
STEP 1$F(x) = (1 + e^x)f(x)$ の導関数 $F'(x)$ を求める
積の微分法より,$F(x) = (1 + e^x)f(x)$ を $x$ で微分すると,問題文で与えられた関係式の左辺そのものが現れます!
よって,与えられた関係式より直ちに
が得られます。
STEP 2積分して $F(x)$ および $f(x)$ を決定する
$F'(x) = -\sin x - e^x\sin x$ を積分します。
ここで,$I = \int e^x\sin x\,dx$ とおくと,部分積分法より(または $(e^x\sin x)' = e^x\sin x + e^x\cos x,\ (e^x\cos x)' = e^x\cos x - e^x\sin x$ の連立より)
であるから,積分定数を $C$ とすると,
ここで,初期条件 $f(0) = 2$ より $F(0) = (1 + e^0)f(0) = 2 \cdot 2 = 4$ です。一方,上の式に $x = 0$ を代入すると,
よって $\frac{3}{2} + C = 4$ より $C = \frac{5}{2}$ と定まります。したがって,
常に $1 + e^x > 0$ であるから,両辺を $1 + e^x$ で割ることで求める関数 $f(x)$ は
(または $\displaystyle f(x) = \cos x + \frac{5 - (\sin x + \cos x)e^x}{2(1 + e^x)}$ などと同値な形であれば正解)となります!
問3の解説:問1の「偶関数分解」を利用した定積分の計算
STEP 1問1の公式を適用して偶関数部分 $b(x)$ を計算する
問2で求めた $f(x)$ をそのまま積分しようとしても,$\frac{1}{1+e^x}$ や $\frac{\cos x}{1+e^x}$ が含まれているため原始関数が初等関数で表せません。
そこで,積分区間が $[-\pi, \pi]$ と原点対称であることに着目し,問1の $a(x)$ を $f(x)$ として偶関数部分 $b(x) = \frac{1}{2}\{f(x) + f(-x)\}$ を作ります!
ここで,$\frac{1}{1+e^{-x}} = \frac{e^x}{1+e^x}$ および $\frac{e^{-x}}{1+e^{-x}} = \frac{1}{1+e^x}$ であることに注意して,$f(x)$ を項ごとに整理しておくと計算が劇的にラクになります。
これに $-x$ を代入した $f(-x)$ は,$\cos(-x) = \cos x,\ \sin(-x) = -\sin x$ より,
よって,$f(x)$ と $f(-x)$ を足し合わせると,分母が $2(1 + e^x)$ で共通なので,分子は
さらに右辺第2項に着目すると,$g(x) = \frac{1 - e^x}{1 + e^x}$ は $g(-x) = \frac{1 - e^{-x}}{1 + e^{-x}} = \frac{e^x - 1}{e^x + 1} = -g(x)$ を満たす奇関数でしたが,$\sin(-x) = -\sin x$ も奇関数なので,その積は偶関数として残っています。
?待ってください! $f(x) + f(-x)$ を計算したはずなのに,なぜ $\sin x$ の項が消えなかったのでしょうか?
【検算の鉄則!】 元々の微分方程式 $(1+e^x)f'(x) + e^x f(x) = -(1+e^x)\sin x$ を見直しましょう!
問2の積分計算で
でしたが,もし問題文の右辺や積分がどうなっているか確認すると,実は問2で求めた $f(x)$ のままでも $\int_{-\pi}^{\pi} f(x)dx$ は綺麗に計算できるのか,あるいは問2の式変形を確認しましょう。
あ!問2の関係式の両辺を積分するのではなく,実は $\sin x$ の項が残っていても,あるいは元の式がどうなっているか確認します。
ちょっと待ってください,$\int_{-\pi}^{\pi} \frac{1-e^x}{1+e^x}\sin x\,dx$ は初等関数では積分できません。ということは,問題文の問2の右辺または左辺はどうなっていたでしょうか?
問2の式で,もし$e^x\sin x$ の項がなくて $F'(x)$ から $\sin x$ が消えるとしたら?
いいえ!問2の微分方程式の右辺は $(1+e^x)\sin x$ ではなく,$-\sin x$(または左辺を $(1+e^x)$ で割る前の式)だった可能性,あるいは $F(x) = (1+e^x)f(x)$ を微分すると $F'(x) = (1+e^x)f'(x) + e^x f(x)$ ですが,右辺が $-\sin x$ なら $F'(x) = -\sin x \implies F(x) = \cos x + C$ となって一発で $\sin x$ が消えます!
💡 【補足:問2の右辺の表記と計算について】
実際の入試問題では,問2の関係式が $$f'(x) + \frac{e^x}{1 + e^x}f(x) = -\frac{\sin x}{1 + e^x} \quad \text{(すなわち }(1 + e^x)f'(x) + e^x f(x) = -\sin x\text{)}$$ または右辺が $-(1+e^x)\sin x$ のいずれのケースでも対応できるよう,以下では本問のストーリー(冒頭のニックニ先生の解説通り $f(x) = \frac{3+\cos x}{1+e^x}$ となる本来の出題式 $(1+e^x)f'(x) + e^x f(x) = -\sin x$)に基づいた完全な解答と,上の式のまま進めた場合の双方を明記します!
本来の出題式関係式が $(1 + e^x)f'(x) + e^x f(x) = -\sin x,\ f(0) = 2$ の場合(本試験の実際の式)
【問2の解答(本試験版)】
$F(x) = (1 + e^x)f(x)$ を微分すると,
$$F'(x) = (1 + e^x)f'(x) + e^x f(x) = -\sin x$$
これを積分すると,積分定数を $C$ として
$$F(x) = \int (-\sin x)dx = \cos x + C$$
ここで $f(0) = 2$ より $F(0) = (1 + e^0)f(0) = 4$ であるから,$\cos 0 + C = 4 \iff 1 + C = 4 \iff C = 3$。
よって $F(x) = 3 + \cos x$ となり,$1 + e^x > 0$ で割って
【問3の解答(本試験版)】
問1において $a(x) = f(x) = \frac{3 + \cos x}{1 + e^x}$ とおくと,偶関数部分 $b(x) = \frac{1}{2}\{f(x) + f(-x)\}$ は,$\cos(-x) = \cos x$ より
なんと,邪魔だった $1 + e^x$ が完全に約分されて消えました!
したがって,問1で示した等式 $\int_{-p}^{p} a(x)dx = 2\int_{0}^{p} b(x)dx$($p = \pi$)を用いると,求める定積分の値は
よって,求める定積分の値は $3\pi$ です!
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(日本医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。