TMPS医学館 完全解説 令和6年度(2024年1月16日実施)

愛知医科大学 医学部 物理(2024年度)全問題・超図解解説

TMPS医学館 TOP › 最先端医学部受験ジャーナル › 私立医大31校・物理超解説ライブラリー › 愛知医科大学(2024年度)
📚 31大学の物理過去問一覧へ
理系担当 Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!愛知医科大学(2024年度)物理をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora(ソラ)先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、愛知医科大学(2024年度)の物理について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

🎯 2024年度 愛知医科大学 物理 全体総括

試験時間は2科目で100分(1科目あたり約50分)、大問3題構成です。2024年度は「問題I:傾斜ベルトコンベア上の小物体の運動(力学)」「問題II:縦波の伝播・単振動・固定端反射(波動)」「問題III:磁場型質量分析器と同位体・質量欠損(電磁気+原子融合)」が出題されました。
標準的かつ本質的な良問が並んでいますが、問題Iの「動くベルトに対する相対速度の向き(摩擦力の向き)」や、問題IIの「縦波のグラフ読み取りと位相の遅れ」で符号ミスや勘違いをすると一気に雪崩を起こします。Sora先生とニックニ先生と一緒に、「なぜその式になるのか?」を1ミリも省略せずに完全マスターしていきましょう!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

採点・復習用

問題 I(力学) 解説へ ↓

  • 問1$\mu$
  • 問2$\dfrac{2}{3}g\sin\theta_1$
  • 問3$\dfrac{\mu}{3}$
  • 問4(e)
  • 問5$-\dfrac{9v_0^2}{2a}$
  • 問6$-\dfrac{4v_0}{a}$
  • 問7$-\dfrac{8}{9}h$
  • 問8$-4mv_0^2 - mgh_1$
  • 問9(a)

問題 II(波動) 解説へ ↓

  • 問1$4T_0$
  • 問2$\dfrac{2L}{T_0}$
  • 問3$4T_0$
  • 問4③, ⑦
  • 問5$A\sin\dfrac{\pi}{2T_0}t$
  • 問6$A\sin\dfrac{\pi}{2T_0}t$
  • 問7$\dfrac{\pi A}{4L}$ (倍)
  • 問8$0$

問題 III(電磁気・原子) 解説へ ↓

  • 問1$(qE_0,\, 0)$
  • 問2$(-qvB_0,\, 0)$
  • 問3$\dfrac{E_0}{B_0}$
  • 問4$\dfrac{mv_0^2}{r}$
  • 問5$\dfrac{2v_0}{Bd}$
  • 問6ア:(f) イ:(k) ウ:(d) エ:(c)
  • 問7$3.7\times 10^{-3}\text{ (m)}$ または $3.7\text{ (mm)}$
物理 問題 I

傾斜ベルトコンベア上の小物体の運動(摩擦力・等加速度運動・仕事)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

問題Iは「動く傾斜ベルトコンベア上の小物体の運動」です!最大のポイントは2つ。
① 動摩擦力の向きは「ベルトに対する小物体の相対速度」と逆向きになること!
② 問5〜問7で「加速度 $a$ を用いて表せ」と言われたとき、$x$ 軸の正の向き(斜面下向き)に対して小物体が減速しているため、加速度 $a$ 自身が負の値($a < 0$)であることに絶対注意しましょう!距離や時間は正の値なので、マイナス符号をつけて正にする必要があります。ここが合否の最大の分かれ目ですよ!

【問題文(前半:問1〜問4)】

図1のように水平面に対する傾斜角 $\theta$ を $0 \leqq \theta < \dfrac{\pi}{2}$ の範囲で変えることができるベルトコンベアがあり、ベルトを一定の速さで図1の反時計回りにのみ回転させることができる。このベルトの上面に質量 $m$ の小物体を置いたときの、水平面上にいる静止した観測者から見た小物体の運動を考える。ただし、小物体とベルトとの間の静止摩擦係数と動摩擦係数は常に一定でそれぞれ $\mu$、$\dfrac{\mu}{3}$ であり、重力加速度の大きさを $g$ とする。また、傾斜したベルトの上面がつくる面を以下では斜面と呼ぶことにする。

ベルトが静止しているとき、斜面上に小物体を置いて傾斜角を $0$ から徐々に大きくしていくと傾斜角が $\theta_1$ を超えたときに小物体はすべり始めた。
問1. このときの $\tan\theta_1$ を、$\mu$ を用いて表せ。
問2. 小物体がすべり始めた直後、傾斜角を $\theta_1$ に固定した。斜面上を小物体がすべるときの加速度の大きさを、$g$、$\theta_1$ を用いて表せ。

次に傾斜角を $\theta_2$ に固定し、ベルトの速さが $v_0$ になるように回転させた。ベルトの上面に小物体を接触させた後、小物体の初速が $0$ になるようにして静かに手をはなしたところ、小物体は静止し続けた。
問3. このときの $\tan\theta_2$ を、$\mu$ を用いて表せ。
問4. 小物体を取り除いた後、ベルトの速さが $2v_0$ になるように回転させた。その後、先ほどと同様に、ベルトの上面に小物体を接触させた後、小物体の初速が $0$ になるようにして静かに手をはなした場合、小物体はどのように運動するか。最も適切なものを次の選択肢の中から1つ選び、記号で答えよ。
選択肢:(a) 速さ $2v_0$ で斜面に沿って下る / (b) 速さ $2v_0$ で斜面に沿って上る / (c) 速さ $v_0$ で斜面に沿って下る / (d) 速さ $v_0$ で斜面に沿って上る / (e) 静止し続ける / (f) 加速度運動しながら斜面に沿って下る / (g) 加速度運動しながら斜面に沿って上る

【図解1】ベルトコンベアの回転方向と小物体にはたらく力

反時計回り回転 ベルト上面の動く向き(斜面上向き) m N = mg cosθ 摩擦力 f mg sinθ θ

問1 すべり始める直前の限界角 $\theta_1$ と $\tan\theta_1$

【Step 1:小物体にはたらく力を整理する】
ベルトが静止しているとき、斜面上の質量 $m$ の小物体にはたらく力は以下の3つです。

  • 重力 $mg$:これを斜面に平行な成分(斜面下向き)$mg\sin\theta$ と、斜面に垂直な成分 $mg\cos\theta$ に分解します。
  • 斜面からの垂直抗力 $N$(斜面に垂直上向き)
  • 静止摩擦力 $f$(すべり落ちようとするのを妨げるため、斜面に沿って上向き)

【Step 2:すべり始める直前($\theta = \theta_1$)の力のつりあい】
傾斜角が $\theta_1$ のとき、静止摩擦力 $f$ が最大摩擦力 $f_{\text{max}} = \mu N$ に達します。
斜面に垂直な方向の力のつりあいより、 $$N = mg\cos\theta_1 \quad \cdots \text{①}$$ 斜面に平行な方向のすべり始める直前の力のつりあいより、 $$mg\sin\theta_1 = \mu N \quad \cdots \text{②}$$ ①を②に代入します。 $$mg\sin\theta_1 = \mu mg\cos\theta_1$$ 両辺を $mg\cos\theta_1$($\neq 0$)で割ると、$\dfrac{\sin\theta_1}{\cos\theta_1} = \tan\theta_1$ より、 $$\tan\theta_1 = \mu$$

【問1の解答】 $\tan\theta_1 = \mu$

問2 傾斜角 $\theta_1$ ですべり下りるときの加速度の大きさ

【Step 1:動摩擦力の大きさを求める】
小物体がすべり始めた後は、小物体とベルトの間には動摩擦力 $f'$ が斜面に沿って上向きにはたらきます。
問題文より、動摩擦係数は $\mu' = \dfrac{\mu}{3}$ です。したがって、動摩擦力の大きさ $f'$ は、 $$f' = \frac{\mu}{3} N = \frac{\mu}{3} mg\cos\theta_1$$

【Step 2:運動方程式を立てて $\mu$ を消去する】
斜面に沿って下向きを正として、小物体の加速度の大きさを $a_1$ とすると、運動方程式は、 $$ma_1 = mg\sin\theta_1 - \frac{\mu}{3} mg\cos\theta_1$$ 両辺を $m$ で割ります。 $$a_1 = g\sin\theta_1 - \frac{\mu}{3} g\cos\theta_1 \quad \cdots \text{③}$$ ここで、問2の問題文には「$g, \theta_1$ を用いて表せ」とあり、$\mu$ は使えません!
そこで、問1で求めた $\mu = \tan\theta_1 = \dfrac{\sin\theta_1}{\cos\theta_1}$ を③に代入します。 $$a_1 = g\sin\theta_1 - \frac{1}{3} \left(\frac{\sin\theta_1}{\cos\theta_1}\right) g\cos\theta_1 = g\sin\theta_1 - \frac{1}{3}g\sin\theta_1 = \frac{2}{3}g\sin\theta_1$$

【問2の解答】 $\dfrac{2}{3}g\sin\theta_1$

問3 ベルトが回転しているのに小物体が静止し続ける傾斜角 $\theta_2$

【Step 1:ベルトの回転方向と動摩擦力の向きを確認する】
図1のベルトを「反時計回り」に速さ $v_0$ で回転させると、ベルトの上面(斜面)は斜面に沿って上向きに速さ $v_0$ で移動しています。
このベルトの上に小物体を初速 $0$ で置くと、小物体は静止したままですが、ベルトの上面に対して小物体は相対的に斜面下向きにすべっている状態です(つまりベルトと小物体の間ですべりが生じています!)。
したがって、小物体にはベルトの移動方向と同じ斜面に沿って上向きに動摩擦力 $f'$ がはたらきます。 $$f' = \frac{\mu}{3} N = \frac{\mu}{3} mg\cos\theta_2$$

【Step 2:静止し続けるための力のつりあい】
水平面上にいる静止した観測者から見て「小物体が初速 $0$ のまま静止し続けた」ということは、小物体にはたらく合力が $0$(力のつりあい)になっているということです。
斜面に平行な方向の力のつりあいより、 $$mg\sin\theta_2 = \frac{\mu}{3} mg\cos\theta_2$$ 両辺を $mg\cos\theta_2$ で割ると、 $$\tan\theta_2 = \frac{\mu}{3}$$

【問3の解答】 $\tan\theta_2 = \dfrac{\mu}{3}$

問4 ベルトの速さを $2v_0$ に変えたときの小物体の運動

【Step 1:動摩擦力は相対速度の大きさに依存するか?】
動摩擦力の公式 $f' = \mu' N = \dfrac{\mu}{3}mg\cos\theta_2$ を見てください。この式の中にベルトの速さ $v_0$ は一切入っていません!
つまり、ベルトの速さを $v_0$ から $2v_0$ に変えても、初速 $0$ で置いた瞬間、小物体にはたらく斜面上向きの動摩擦力の大きさは $\dfrac{\mu}{3}mg\cos\theta_2$ のままであり、斜面下向きの重力成分 $mg\sin\theta_2$ と完全に打ち消し合います(合力 $= 0$)。
初速が $0$ で合力がずっと $0$ ですから、小物体はそのまま静止し続けます。よって選択肢は (e) です。

【問4の解答】 (e)

【問題文(後半:問5〜問9)】

続いて傾斜角を $\theta_3$ に固定し、ベルトの速さが $v_0$ になるように回転させた。図2のように斜面に沿って下向きに $x$ 軸をとり、$x$ 軸上の原点 $\text{O}$ でベルトの上面に小物体を接触させる。時刻 $0$ のとき、$x$ 軸の正の向きに原点 $\text{O}$ から初速 $3v_0$ で小物体をすべらせたところ、小物体は斜面に沿って一定の加速度 $a$ で運動し、$x$ 軸上の点 $\text{P}$ でいったん静止した後、$x$ 軸の負の向きに動き始めた。原点 $\text{O}$ を高さの基準としたときの点 $\text{P}$ の高さは $-h$($h > 0$)であった。しばらくして時刻 $t_1$ のとき、ベルトの上面に対する小物体の相対速度が初めて $0$ になり、そのときの小物体の高さは $-h_1$($h_1 > 0$)であった。

問5. $\text{OP}$ 間の距離を、$m, a, g, v_0$ の中から必要なものを用いて表せ。
問6. 時刻 $t_1$ を、$a, g, v_0$ の中から必要なものを用いて表せ。
問7. 時刻 $t_1$ のときの小物体の高さ $-h_1$ を、$h$ を用いて表せ。
問8. 時刻 $0 \sim t_1$ の間に動摩擦力が小物体にした仕事を、$m, v_0, g, h_1$ を用いて表せ。
問9. $\theta_3$ と $\theta_1, \theta_2$ の関係として、最も適切なものを次の選択肢の中から1つ選び、記号で答えよ。
選択肢:(a) $\theta_3 < \theta_1$ かつ $\theta_3 < \theta_2$ / (b) $\theta_3 > \theta_1$ かつ $\theta_3 > \theta_2$ / (c) $\theta_3 = \theta_1$ / (d) $\theta_3 < \theta_1$ かつ $\theta_3 > \theta_2$ / (e) $\theta_3 > \theta_1$ かつ $\theta_3 < \theta_2$ / (f) $\theta_3 = \theta_2$

【図解2-A】原点Oから点P、そして時刻 $t_1$ までの運動

x O (x=0) P (v=0) 時刻 t₁ (v = -v₀) 高さの差 h 初速 +3v₀ → Pで折り返す

【図解2-B】小物体の速度 $v(t)$ のグラフ(傾き $a < 0$)

v t -v₀ ベルト上面の速度 v_belt = -v₀ 3v₀ 点P (3:1の内分) t₁ 面積① (比 3² = 9) 面積②(比1)

問5 $\text{OP}$ 間の距離(符号に超注意!)

【Step 1:加速度 $a$ の符号を確認する】
斜面に沿って下向きに $x$ 軸の正の向きをとっています。時刻 $0$ に原点 $\text{O}$($x=0$)から正の向きに初速度 $3v_0$($>0$)ですべらせた小物体が、一定の加速度 $a$ で減速して点 $\text{P}$ で静止($v=0$)したのですから、加速度 $a$ は負の値($a < 0$)です!

【Step 2:等加速度直線運動の公式 $v^2 - v_{\text{初}}^2 = 2ax$ を使う】
$\text{OP}$ 間の距離を $L_{\text{OP}}$($>0$)とすると、点 $\text{P}$ の $x$ 座標は $x = L_{\text{OP}}$ です。
原点 $\text{O}$(初速度 $3v_0$)から点 $\text{P}$(速度 $0$)までの等加速度運動の式より、 $$0^2 - (3v_0)^2 = 2a L_{\text{OP}}$$ $$-9v_0^2 = 2a L_{\text{OP}}$$ 両辺を $2a$ で割ると、 $$L_{\text{OP}} = -\frac{9v_0^2}{2a}$$ ※チェック:$a < 0$ なので、$-\dfrac{9v_0^2}{2a} > 0$ となり、確かに正の距離を表しています!

【問5の解答】 $-\dfrac{9v_0^2}{2a}$

問6 ベルトに対する相対速度が初めて $0$ になる時刻 $t_1$

【Step 1:時刻 $t_1$ における小物体の速度を求める】
ベルトの上面は斜面に沿って上向き($x$ 軸の負の向き)に速さ $v_0$ で動いているため、ベルトの上面の速度は$-v_0$です。
「ベルトの上面に対する小物体の相対速度が $0$ になる」とは、小物体の速度 $v(t_1)$ がベルトの上面の速度と一致して $v(t_1) = -v_0$ になるということです。
(しかも時刻 $0$ から時刻 $t_1$ までの間は、常に小物体の速度 $v(t) > -v_0$ であるため、ベルトに対する相対速度は常に正(斜面下向き)であり、動摩擦力は常に斜面上向き(負の向き)で一定、つまり加速度は時刻 $t_1$ までずっと同じ $a$ のままです!)

【Step 2:速度の公式 $v = v_{\text{初}} + at$ に代入する】
初速度 $3v_0$、加速度 $a$ で、時刻 $t_1$ に速度が $-v_0$ になるので、 $$-v_0 = 3v_0 + a t_1$$ 移項して整理すると、 $$a t_1 = -4v_0 \quad \Longleftrightarrow \quad t_1 = -\frac{4v_0}{a}$$ ※チェック:$a < 0$ なので、$t_1 = -\dfrac{4v_0}{a} > 0$ となり、正の時刻です!

【問6の解答】 $-\dfrac{4v_0}{a}$

問7 時刻 $t_1$ のときの小物体の高さ $-h_1$

【Step 1:時刻 $t_1$ における $x$ 座標 $x_1$ を求める】
等加速度直線運動の公式 $v^2 - v_{\text{初}}^2 = 2ax$ を、時刻 $0$($x=0$, 速度 $3v_0$)から時刻 $t_1$($x=x_1$, 速度 $-v_0$)までの区間に適用します。 $$(-v_0)^2 - (3v_0)^2 = 2a x_1$$ $$v_0^2 - 9v_0^2 = 2a x_1 \quad \Longleftrightarrow \quad -8v_0^2 = 2a x_1 \quad \Longleftrightarrow \quad x_1 = -\frac{8v_0^2}{2a}$$ (または上の【図解2-B】の $v$-$t$ グラフの三角形の面積比から、点 $\text{P}$ までの変位 $L_{\text{OP}}$ を $3^2 = 9$ とすると、点 $\text{P}$ から折り返して戻る距離が $1^2 = 1$ なので、$x_1 = \dfrac{9-1}{9}L_{\text{OP}} = \dfrac{8}{9}L_{\text{OP}}$ と1秒で分かります!)

【Step 2:$x$ 座標の比と高さの比を結びつける】
問5より $L_{\text{OP}} = -\dfrac{9v_0^2}{2a}$ ですから、 $$\frac{x_1}{L_{\text{OP}}} = \frac{-\dfrac{8v_0^2}{2a}}{-\dfrac{9v_0^2}{2a}} = \frac{8}{9}$$ 斜面の傾斜角 $\theta_3$ は一定なので、原点 $\text{O}$ からの斜面上の位置 $x$ と高さの下がり具合は比例します($h = L_{\text{OP}}\sin\theta_3$、$h_1 = x_1\sin\theta_3$)。
したがって、$h_1 = \dfrac{8}{9}h$ となり、求める高さ $-h_1$ は、 $$-h_1 = -\frac{8}{9}h$$ ※注意:問題文は「$h_1$ を求めよ」ではなく「高さ $-h_1$ を、$h$ を用いて表せ」なので、必ずマイナスをつけた $-\dfrac{8}{9}h$ と答えます!

【問7の解答】 $-\dfrac{8}{9}h$

問8 時刻 $0 \sim t_1$ の間に動摩擦力が小物体にした仕事

【Step 1:力学的エネルギーの変化と非保存力(動摩擦力)の仕事の関係を使う】
問題文で使える文字は「$m, v_0, g, h_1$」だけです($\mu$ や $\theta_3$ や $a$ は使えません)。
こういうときは、「(後の力学的エネルギー)$-$(前の力学的エネルギー)$=$(非保存力がした仕事)」の公式が最強です!
小物体にはたらく力は「重力」「垂直抗力」「動摩擦力」の3つですが、垂直抗力は常に運動方向と垂直なので仕事は $0$ です。よって非保存力がする仕事は、動摩擦力がした仕事 $W$ だけになります。

【Step 2:時刻 $0$ と時刻 $t_1$ の力学的エネルギーを比較する】
原点 $\text{O}$ を重力による位置エネルギーの基準(高さ $0$)とします。

  • 時刻 $0$(原点 $\text{O}$): 速さは $3v_0$、高さは $0$ なので、力学的エネルギー $E_0$ は、 $$E_0 = \frac{1}{2}m(3v_0)^2 + mg\cdot 0 = \frac{9}{2}mv_0^2$$
  • 時刻 $t_1$: 速さは $|-v_0| = v_0$、高さは $-h_1$ なので、力学的エネルギー $E_1$ は、 $$E_1 = \frac{1}{2}mv_0^2 + mg(-h_1) = \frac{1}{2}mv_0^2 - mgh_1$$

したがって、時刻 $0 \sim t_1$ の間に動摩擦力が小物体にした仕事 $W$ は、 $$W = E_1 - E_0 = \left(\frac{1}{2}mv_0^2 - mgh_1\right) - \frac{9}{2}mv_0^2 = -4mv_0^2 - mgh_1$$

【問8の解答】 $-4mv_0^2 - mgh_1$

問9 傾斜角 $\theta_3$ と $\theta_1, \theta_2$ の大小関係

【Step 1:$\theta_1$ と $\theta_2$ の大小関係】
問1より $\tan\theta_1 = \mu$、問3より $\tan\theta_2 = \dfrac{\mu}{3}$ です。
$0 \leqq \theta < \dfrac{\pi}{2}$ において $\tan\theta$ は単調増加関数であり、$\dfrac{\mu}{3} < \mu$ なので、 $$\theta_2 < \theta_1 \quad \cdots \text{④}$$

【Step 2:$\theta_3$ のときの運動方程式から $\tan\theta_3$ の条件を求める】
傾斜角 $\theta_3$ のとき、小物体は $x$ 軸の正の向き(斜面下向き)に減速し、加速度 $a$ が負($a < 0$)となりました。
小物体にはたらく $x$ 軸方向(斜面下向き正)の運動方程式を立てると、 $$ma = mg\sin\theta_3 - \frac{\mu}{3}mg\cos\theta_3$$ ここで $a < 0$ なのですから、右辺も負でなければなりません! $$mg\sin\theta_3 - \frac{\mu}{3}mg\cos\theta_3 < 0 \quad \Longleftrightarrow \quad \tan\theta_3 < \frac{\mu}{3}$$ 問3より $\tan\theta_2 = \dfrac{\mu}{3}$ ですから、 $$\tan\theta_3 < \tan\theta_2 \quad \Longleftrightarrow \quad \theta_3 < \theta_2 \quad \cdots \text{⑤}$$ ④と⑤を合わせると、$\theta_3 < \theta_2 < \theta_1$ となるため、「$\theta_3 < \theta_1$ かつ $\theta_3 < \theta_2$」である選択肢 (a) が正解です!

【問9の解答】 (a)
物理 問題 II

縦波の伝播・媒質の単振動と固定端反射

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

問題IIは受験生が苦手としやすい「縦波(疎密波)」の問題ですが、手順通りに横波表示に変換すれば驚くほどカンタンに満点が取れます!
最大のポイントは3つ。
① 図2のグラフから、$5T_0$ の間に波が何周期分振動しているか(1.25周期=$\dfrac{5}{4}$ 周期!)を正確に読み取ること。
② 図1(b)の媒質のズレ(右へズレていれば変位 $+$、左へズレていれば変位 $-$)を横波の波形グラフに描き直すこと。
③ 問8の反射波は、媒質⑯が「振動できないように固定されている」ので固定端反射(波形をそのまま折り返して上下反転!)で一発解決です!

【問題文(問題II 全文)】

ある媒質中を伝わる縦波について考える。図1(a)は右向きを正とした $x$ 軸上にある長さ $15L$ の一様な媒質について、振動していないときに長さ $L$ の等間隔で媒質①〜⑯として印をつけたものである。ただし、媒質は $x$ 軸方向にのみ振動し、媒質⑯は振動できないように固定されている。媒質が振動していないときの媒質①の位置を $x=0$ とする。媒質①を $x$ 軸に沿って時刻 $t=0$ から図2のように動かして振幅 $A$ で単振動させたところ、$x$ 軸の正の向きに伝わる縦波の正弦波が発生し、媒質⑯に到達した後反射した。図2において、時刻 $t$ が $0, 5T_0, 10T_0$ のとき、媒質①の変位 $\Delta x_{\text{①}}(t)$ は $0$ であった。図1(b)は、ある時刻に、波の先頭が初めて媒質⑨に到達したときの媒質①〜⑯の位置を表していて、このとき媒質③の変位は $0$ であった。
以下の問1〜問7については、時刻 $0$ から縦波の先頭が初めて媒質⑯に到達するまでの間の時刻における進行波を考える。

問1. この縦波の周期を求めよ。
問2. この縦波が進む速さを求めよ。
問3. 媒質①〜⑯の位置が図1(b)のようになったときの時刻を求めよ。
問4. 媒質①〜⑯の位置が図1(b)のようになったときに、速度が $x$ 軸の負の向きでその大きさが最大の媒質を、媒質①〜⑯の中からすべて選び、番号で答えよ。
問5. 媒質①の変位 $\Delta x_{\text{①}}(t)$ を、$A, L, T_0$ の中から必要なものを用いて時刻 $t$ の関数として表せ。
問6. 媒質①〜⑯の位置が図1(b)のようになったとき以降の媒質⑨の変位 $\Delta x_{\text{⑨}}(t)$ を、$A, L, T_0$ の中から必要なものを用いて時刻 $t$ の関数として表せ。
問7. 媒質①の速さの最大値は、縦波が進む速さの何倍になるか。$A, L, T_0$ の中から必要なものを用いて表せ。
問8. この縦波の先頭が初めて媒質⑯に到達した時刻から半周期だけ時間が経過したときの、媒質⑭における合成波の変位を求めよ。ただし、反射による波の振幅の減衰は無視することができ、反射波についても正弦波で伝わるものとする。

【図解3-A】図2:媒質①の変位 $\Delta x_{\text{①}}(t)$ と時刻 $t$ の関係(1目盛り $= T_0$)

変位 Δx₁ A -A O 時刻 t 1周期 = 4T₀ 5T₀ 10T₀

【図解3-B】図1(b)(波の先頭が媒質⑨に到達した瞬間)の縦波と横波変換グラフ

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ 0 2L 4L 6L 8L 14L 15L ③と⑦は負の向きに速さ最大!

問1 縦波の周期 $T$

【Step 1:図2の目盛りと周期の関係を読み取る】
図2(または上の【図解3-A】)を見ると、横軸の時刻 $t$ には等間隔の点線(グリッド)が引かれており、$5$ 目盛り目が $5T_0$、$10$ 目盛り目が $10T_0$ となっています。つまり、横軸の1目盛りは $T_0$ です!
媒質①の単振動のグラフは、$t=0$ から始まり、「山($t=T_0$)$\to$ $0$($t=2T_0$)$\to$ 谷($t=3T_0$)$\to$ $0$($t=4T_0$)」でちょうど1回分の振動(1周期)を完了しています。
(別の見方をすれば、$t=0$ から $t=5T_0$ までの間に $\dfrac{5}{4}$ 周期分の波が描かれているので、$T \times \dfrac{5}{4} = 5T_0 \Longleftrightarrow T = 4T_0$ と求まります。)

【問1の解答】 $4T_0$

問2 縦波が進む速さ $V$

【Step 1:図1(b)から波長 $\lambda$ を読み取る】
図1(b)は「波の先頭が初めて媒質⑨($x = 8L$)に到達した瞬間」を表しています。
各媒質の釣り合いの位置からのズレ(変位)を詳しく見ると、

  • 媒質⑨($x=8L$):波の先頭なので変位 $0$
  • 媒質⑧($x=7L$):右(正の向き)に大きくズレている(変位 $+A$:山)
  • 媒質⑦($x=6L$):釣り合いの位置にある(変位 $0$)
  • 媒質⑥($x=5L$):左(負の向き)に大きくズレている(変位 $-A$:谷)
  • 媒質⑤($x=4L$):釣り合いの位置にある(変位 $0$)
  • 媒質④($x=3L$):右(正の向き)に大きくズレている(変位 $+A$:山)
  • 媒質③($x=2L$):問題文に明記されている通り変位 $0$
  • 媒質②($x=L$):左(負の向き)に大きくズレている(変位 $-A$:谷)
  • 媒質①($x=0$):釣り合いの位置にある(変位 $0$)

【図解3-B】の通り、媒質①($x=0$)から媒質⑤($x=4L$)まででちょうど1波長、媒質⑤($x=4L$)から媒質⑨($x=8L$)まででもう1波長です。したがって、波長は $\lambda = 4L$ です!

【Step 2:波の基本公式 $V = \dfrac{\lambda}{T}$ に代入する】
波長 $\lambda = 4L$、周期 $T = 4T_0$(問1)より、縦波が進む速さ $V$ は、 $$V = \frac{\lambda}{T} = \frac{4L}{4T_0} = \frac{L}{T_0}$$

Sora先生
Sora先生 ✕ ニックニ(新国)先生からのメッセージ

過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。

私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?

【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(愛知医科大学 2024年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。

問3:時刻 $t=0$ における媒質の密度が最も高い位置と最も低い位置

縦波では、変位 $\Delta x$ のグラフ(横波表示)において、変位が $0$ で傾き $\dfrac{\partial (\Delta x)}{\partial x} < 0$(右下がり)の点が最も密(密度が最大)、傾き $\dfrac{\partial (\Delta x)}{\partial x} > 0$(右上がり)の点が最も疎(密度が最小)となります。

時刻 $t=0$ からわずかに時間が経過したときの媒質①の動きが正($\Delta x > 0$)であることから、時刻 $t=0$ において正の向き(右向き)に進む正弦波の波形は、媒質①($x=0$)で右下がり(密)、媒質④で右上がり(疎)、媒質⑦で右下がり(密)、媒質⑩で右上がり(疎)となります。

答:密度が最も高い位置:①、⑦ / 密度が最も低い位置:④、⑩

問4:時刻 $t=0$ において正の向きに速さが最大となっている媒質

時刻 $t=0$ の波形を進行方向($+x$ 向き)へ微小距離だけ平行移動させると、変位が $0$ で最も密な点(①、⑦)において、微小時間後の変位が正の方向へ最大変化します(すなわち正の向きに速さが最大)。逆に最も疎な点(④、⑩)では負の向きに速さが最大となります。

答:①、⑦

問5:時刻 $t=0$ で媒質①〜⑬の密度を縦軸にとったグラフの概形

問3より、時刻 $t=0$ では媒質①と⑦で密度が最大(山)、媒質④と⑩で密度が最小(谷)、媒質⑬で再び最大(山)となる余弦波($\cos$ 型)の分布となります。これに一致するグラフを選択します。

答:(ウ)(※①・⑦・⑬が山、④・⑩が谷となるグラフ)

問6:時刻 $t \geqq \dfrac{10}{3}T_0$ における媒質⑨の変位 $\Delta x_{\text{⑨}}(t)$

媒質①の単振動は、振幅 $A$、周期 $T = 5T_0$(角振動数 $\omega = \dfrac{2\pi}{5T_0}$)であり、$t=0$ で $\Delta x = 0$ から正の向きに動き出すため、 $$\Delta x_{\text{①}}(t) = A\sin\left(\frac{2\pi}{5T_0}t\right)$$ と表されます。媒質⑨($x = 8L$)には時刻 $t = \dfrac{8L}{V} = \dfrac{10}{3}T_0$ に波が到達し、それ以降は媒質①より時間 $\dfrac{10}{3}T_0$ だけ遅れて同じ単振動を行います。したがって、 $$\Delta x_{\text{⑨}}(t) = A\sin\left\{\frac{2\pi}{5T_0}\left(t - \frac{10}{3}T_0\right)\right\} = A\sin\left(\frac{2\pi}{5T_0}t - \frac{4\pi}{3}\right)$$ (または $\sin$ の周期性より $A\sin\left(\dfrac{2\pi}{5T_0}t + \dfrac{2\pi}{3}\right)$)となります。

答:$\boldsymbol{A\sin\left(\dfrac{2\pi}{5T_0}t - \dfrac{4\pi}{3}\right)}$ (または $\boldsymbol{A\sin\left(\dfrac{2\pi}{5T_0}t + \dfrac{2\pi}{3}\right)}$)

問7:媒質①の速さの最大値は、縦波が進む速さの何倍か

媒質①の単振動の速さの最大値 $v_{\text{max}}$ は、 $$v_{\text{max}} = A\omega = A\cdot\frac{2\pi}{5T_0} = \frac{2\pi A}{5T_0}$$ 一方、縦波の伝わる速さ $V$ は問2より $V = \dfrac{12L}{5T_0}$ です。よって求める倍率 $\dfrac{v_{\text{max}}}{V}$ は、 $$\frac{v_{\text{max}}}{V} = \frac{\dfrac{2\pi A}{5T_0}}{\dfrac{12L}{5T_0}} = \frac{\pi A}{6L}$$

答:$\boldsymbol{\dfrac{\pi A}{6L}}$ 倍
大問 III

荷電粒子の運動(速度選別器と質量分析器・ローレンツ力)

テーマ:直交する電磁場中の運動、一様磁場中の等速円運動、反発係数 $e$ の非弾性衝突

x y 磁場 B (裏→表) B₀ (裏→表), 電場 (E₀, 0) 速度 (0, v₀) 半径 r₁ = mv₀/(qB) L₁ = 2r₁ 衝突(反発係数 e)

図3:速度選別器(下部)と質量分析器(上部)における荷電粒子の軌道とバウンド

問1:電場 $(E_0, 0)$ から受ける力の成分表示

電気量 $q$ の荷電粒子が一様な電場 $\vec{E} = (E_0, 0)$ から受ける静電気力 $\vec{F}_E = q\vec{E}$ は、 $$\vec{F}_E = (qE_0,\, 0)$$

答:$\boldsymbol{(qE_0,\, 0)}$

問2:速度選別器内で磁場から受ける力の成分表示

正電荷 $q (>0)$ が速度 $\vec{v} = (0, v)$($+y$ 向き)で運動するとき、紙面に垂直で裏から表向き($+z$ 向き)の磁束密度 $B_0$ の磁場から受けるローレンツ力 $\vec{F}_B$ の向きは、フレミングの左手の法則(または外積 $q\vec{v}\times\vec{B}_0$)より $+x$ 向き、大きさは $qvB_0$ です。

答:$\boldsymbol{(qvB_0,\, 0)}$

問3:荷電粒子が直進するときの速さ $v_0$

荷電粒子が $y$ 軸に沿って直進するためには、$x$ 方向の合力が $0$ でなければなりません。問1・問2より、 $$qE_0 + qv_0B_0 = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad v_0 = -\frac{E_0}{B_0}$$ (※ローレンツ力が $+x$ 向きに働くため、それとつり合う電場の $x$ 成分 $E_0$ は負($E_0 < 0$)であり、$v_0 = -\dfrac{E_0}{B_0} > 0$ となります。)

答:$\boldsymbol{v_0 = -\dfrac{E_0}{B_0}}$

問4:上部の磁場(磁束密度 $B$)の領域で最初に壁に衝突するまでの距離 $L_1$ と時間 $t_1$

スリットを通過した荷電粒子は、磁束密度 $B$ の一様磁場中でローレンツ力を向心力として半径 $r_1$ の等速円運動を行います。運動方程式より、 $$m\frac{v_0^2}{r_1} = qv_0B \quad \Longleftrightarrow \quad r_1 = \frac{mv_0}{qB}$$ 問3の $v_0 = -\dfrac{E_0}{B_0}$ を代入すると、スリットから最初の衝突点までの距離 $L_1$(半円の直径 $2r_1$)は、 $$L_1 = 2r_1 = \frac{2mv_0}{qB} = -\frac{2mE_0}{qB_0B}$$ また、半周するのに要する時間 $t_1$ は、周期 $T = \dfrac{2\pi m}{qB}$ の半分であり、速さ $v_0$ によらず、 $$t_1 = \frac{T}{2} = \frac{\pi m}{qB}$$

答:距離 $\boldsymbol{L_1 = -\dfrac{2mE_0}{qB_0B}}$(または $\boldsymbol{\dfrac{2mv_0}{qB}}$) / 時間 $\boldsymbol{t_1 = \dfrac{\pi m}{qB}}$

問5:壁と反発係数 $e$ で衝突を繰り返すときの $n$ 回目の衝突位置までの距離と総時間

粒子は壁に垂直に入射して跳ね返るため、1回目の衝突後の速さは $v_1 = ev_0$、$k$ 回目の衝突後の速さは $v_k = e^k v_0$ となります。
円運動の半径は速さに比例するため、$k$ 回目の半円軌道の直径は $2r_k = e^{k-1} L_1$ です。これより、スリットから $n$ 回目の衝突位置までの距離 $L_n$ は初項 $L_1$、公比 $e$ の等比数列の和となり、 $$L_n = L_1\left(1 + e + e^2 + \cdots + e^{n-1}\right) = L_1\frac{1 - e^n}{1 - e} = -\frac{2mE_0(1 - e^n)}{qB_0B(1 - e)}$$ 一方、半円を描く時間 $t_1 = \dfrac{\pi m}{qB}$ は粒子の速さに依存しないため、$n$ 回目の衝突までの総時間 $t_n$ は、 $$t_n = n t_1 = \frac{n\pi m}{qB}$$ また、十分に時間が経過したとき($n \to \infty$、$0 < e < 1$ より $e^n \to 0$)、収束する距離 $L_\infty$ は、 $$L_\infty = \frac{L_1}{1 - e} = -\frac{2mE_0}{qB_0B(1 - e)}$$

答:$n$ 回目の距離:$\boldsymbol{-\dfrac{2mE_0(1 - e^n)}{qB_0B(1 - e)}}$ / $n$ 回目の時間:$\boldsymbol{\dfrac{n\pi m}{qB}}$ / 最終的な収束距離:$\boldsymbol{-\dfrac{2mE_0}{qB_0B(1 - e)}}$