全体戦略 2024年度(令和6年度)獨協医大・物理 1日目の傾向と対策
【ニックニ(新国)先生より】 獨協医科大学(1日目)の物理は全問マーク式で、1問あたりの配点比重が非常に高いのが特徴です。ここに示す大問1(小問集合4題:放物運動・RL直流回路・水面波の干渉・X線の発生と結晶回折)と大問2(斜め方向のドップラー効果と超音波血流計)は、どれも「教科書の原理原則を1ミリもごまかさずに理解しているか」を試す良問揃いです。公式の丸暗記で突っ込むと符号や近似で足元をすくわれます。Sora先生の1ステップ解説で、思考のプロセスを完全に自分のものにしましょう!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
まずは自分のマークと照合しよう!大問 1 :小問集合(解答番号 1 〜 4)
・問1:ア $=\dfrac{\sqrt{3}}{3}$, イ $=\dfrac{2\sqrt{3}}{3}$, ウ $=\dfrac{1}{3}$ ➔ ③
・問2:ア $=\dfrac{E}{R}$, イ $=\dfrac{3E}{R}$, ウ $=\dfrac{3LE^2}{2R^2}$ ➔ ③
・問3:ア $=8$(本), イ $=-\dfrac{d}{8}$ ➔ ⑤
・問4:ア $=\dfrac{hc}{eV}$, イ $=\dfrac{L\lambda_1}{D}$ ➔ ⑤
大問 2 :斜めドップラー効果と超音波血流計測(解答番号 1 〜 5)
・問1:$\Delta t = \dfrac{V - v\cos\theta}{Vf}$ ➔ ③(※図の角度 $\theta$ の定義に要注意!)
・問2:$f_1 = \dfrac{V}{V - v\cos\theta}f$ ➔ ① / 問3:$f_2 = \dfrac{V}{V - v\cos\theta}f$ ➔ ①
・問4:$f_3 = \dfrac{V + v\cos\theta}{V - v\cos\theta}f$ ➔ ⑥ / 問5:$v = 0.75\text{ m/s}$ ➔ ②
大問 1 :小問集合(力学・電磁気・波動・原子)
解答番号 [ 1 ] 〜 [ 4 ] / 全4問
大問1は物理4分野(力学・電磁気・波動・原子)から1問ずつの小問集合だよ!目標解答時間は4問合わせて15〜18分。
一番の落とし穴は問2のコイルを含む回路(ウ)と、問3の水面波の干渉(ア・イ)!問2は「スイッチを開いた後にコイルのエネルギーがどの抵抗にどう分配されるか」、問3は「端点(波源)を除く開区間 $(-2d < x < 2d)$ での節線の本数」と「位相がずれたときに節線が右・左のどっちに動くか」が合否の分かれ目になるよ。図を描きながら1ステップずつ確実に仕留めよう!
大問1 - 問1 :斜面に垂直に衝突する放物運動
解答番号 [ 1 ]【問題文】
図1のように、水平面上の点 $\text{O}$ から、右方にある傾き $60^\circ$ の斜面に向かって、水平面から $60^\circ$ 上方の向きに、速さ $v_0$ で小球 $\text{P}$ を投射したところ、斜面上の点 $\text{A}$ において、斜面に対して垂直に衝突した。重力加速度の大きさを $g$ とする。小球 $\text{P}$ の大きさや空気の抵抗は無視でき、運動は点 $\text{O}$ と点 $\text{A}$ を含む同一鉛直面内で生じるものとする。
斜面上の点 $\text{A}$ に衝突する直前の小球 $\text{P}$ の速さ $v$ は $v = \fbox{ ア } \times v_0$ となる。
投射してから点 $\text{A}$ に衝突するまでに要した時間 $t$ は $t = \fbox{ イ } \times \dfrac{v_0}{g}$ であり、
点 $\text{A}$ の水平面からの高さ $h$ は $h = \fbox{ ウ } \times \dfrac{{v_0}^2}{g}$ となる。
【図解】投射時(点O)と斜面への垂直衝突時(点A)の速度ベクトルの角度関係
放物運動では、水平方向には力が一切はたらかないため、水平方向の速度成分 $v_x$ は最初から最後までずっと一定(等速直線運動)です。
まず、点 $\text{O}$ で投射した瞬間の初速度 $v_0$(仰角 $60^\circ$)を水平成分 $v_{0x}$ と鉛直上向き成分 $v_{0y}$ に分解しましょう。
次に、点 $\text{A}$ で斜面に垂直に衝突する直前の速度ベクトル $\vec{v}$(大きさ $v$)の向きを考えます。
斜面は水平面から右上へ $60^\circ$ 傾いているので、斜面に垂直な向きは「水平方向から右下へ $30^\circ$(俯角 $30^\circ$)」になります(なぜなら $90^\circ - 60^\circ = 30^\circ$ だからです)。
よって、点 $\text{A}$ での速度 $v$ の水平成分 $v_x$ と鉛直上向き成分 $v_y$ は次のように表せます。
水平方向の速度成分は不変($v_x = v_{0x}$)なので、この2つをイコールで結びます!
よって、空欄 ア = $\dfrac{\sqrt{3}}{3}$ です。
鉛直方向は、初速度 $v_{0y} = \dfrac{\sqrt{3}}{2}v_0$、加速度 $-g$ の等加速度直線運動です。
先ほど求めた $v = \dfrac{\sqrt{3}}{3}v_0$ を使うと、点 $\text{A}$ に衝突する直前の鉛直速度成分 $v_y$ は次のようになります。
これを鉛直方向の速度の公式 $v_y = v_{0y} - gt$ に代入して、時間 $t$ について解きます。
よって、空欄 イ = $\dfrac{2\sqrt{3}}{3}$ です。
点 $\text{A}$ の高さ $h$ を求めるには、$h = v_{0y}t - \dfrac{1}{2}gt^2$ に $t$ を代入しても良いですが、「力学的エネルギー保存則」(または鉛直方向の式 ${v_y}^2 - {v_{0y}}^2 = -2gh$)を使うと、分数の2乗計算が少なくて圧倒的にミスが減ります!
小球の質量を $m$ とし、水平面を重力による位置エネルギーの基準とすると、点 $\text{O}$ と点 $\text{A}$ で力学的エネルギー保存則より:
両辺を $m$ で割り、STEP 1で求めた $v = \dfrac{\sqrt{3}}{3}v_0$(すなわち $v^2 = \dfrac{1}{3}{v_0}^2$)を代入します。
よって、空欄 ウ = $\dfrac{1}{3}$ となり、正しい組合せは ③ です!
大問1 - 問2 :自己インダクタンス $L$ のコイルを含む直流回路
解答番号 [ 2 ]【問題文】
内部抵抗の無視できる起電力 $E$ の電池 $\text{E}$、電気抵抗 $\text{R}_1, \text{R}_2, \text{R}_3$、自己インダクタンス $L$ のコイル $\text{L}$、スイッチ $\text{S}$ を図2のように接続した回路がある。電気抵抗 $\text{R}_1, \text{R}_2, \text{R}_3$ の抵抗値はそれぞれ $\dfrac{1}{3}R,\ R,\ 2R$ で、回路内において $\text{R}_1, \text{R}_2, \text{R}_3$ 以外の電気抵抗はすべて無視でき、また、回路を流れる電流が作る磁場も無視できるものとする。
スイッチ $\text{S}$ を閉じた瞬間に、電気抵抗 $\text{R}_1$ を流れる電流の大きさは $\fbox{ ア }$ である。十分に時間が経過すると、電気抵抗 $\text{R}_1$ を流れる電流の大きさは $\fbox{ イ }$ となる。その後、スイッチ $\text{S}$ を開き、十分に時間が経過した。スイッチ $\text{S}$ を開いてから十分に時間が経過するまでの間に電気抵抗 $\text{R}_2$ で生じたジュール熱は $\fbox{ ウ }$ である。
【図解】図2の回路構成と3つのフェーズ(閉じた瞬間・十分時間経過後・開いた後)
コイル $\text{L}$ を含む直流回路では、次の「コイルの2大ルール」がすべての出発点になります。
- スイッチを閉じた瞬間:コイルは電流の急激な変化を妨げるため、電流を全く通さない(=断線とみなせる)。
- 十分に時間が経過した後:電流が一定になり自己誘導起電力が $0$ になるため、ただの導線(抵抗 $0$)とみなせる。
スイッチ $\text{S}$ を閉じた瞬間、コイル $\text{L}$ には電流が流れません(断線状態)。
したがって、電流が流れるのは「抵抗 $\text{R}_1$ と、($\text{R}_2$ と $\text{R}_3$ の並列部分)が直列につながった回路」になります。
まず、$\text{R}_2 = R$ と $\text{R}_3 = 2R$ の並列合成抵抗 $R_{23}$ を求めましょう。
これに直列につながっている $\text{R}_1 = \dfrac{1}{3}R$ を足すと、回路全体の合成抵抗 $R_{\text{全}}$ は:
よって、電池の起電力 $E$ より、$\text{R}_1$ を流れる電流の大きさ $I_{\text{ア}}$ はオームの法則から:
よって、空欄 ア = $\dfrac{E}{R}$ です。
十分に時間が経過すると、コイル $\text{L}$ の電流が一定となり、コイルの両端の電圧(誘導起電力)は $0\text{ V}$ になります(=ただの導線・ショート状態)。
コイル $\text{L}$ と並列につながっている $\text{R}_2,\ \text{R}_3$ の両端の電圧も $0\text{ V}$ になるため、$\text{R}_2,\ \text{R}_3$ には電流が一切流れなくなり、すべての電流が「電池 $\text{E} \to \text{スイッチ S} \to \text{コイル L} \to \text{抵抗 R}_1$」の閉回路だけを流れます!
このときの回路の抵抗は $\text{R}_1 = \dfrac{1}{3}R$ だけなので、$\text{R}_1$(およびコイル $\text{L}$)を流れる定常電流 $I_{\text{イ}}$ は:
よって、空欄 イ = $\dfrac{3E}{R}$ です。
ここがこの問題のハイライトです!
スイッチ $\text{S}$ を開く直前、コイル $\text{L}$ には $I_0 = I_{\text{イ}} = \dfrac{3E}{R}$ の電流が流れていました。したがって、コイル $\text{L}$ に蓄えられていた磁気エネルギー $U_0$ は次のように求まります。
ここでスイッチ $\text{S}$ を開くと、電池 $\text{E}$ と抵抗 $\text{R}_1$ を通る左側のルートは切り離されます(断線)。
その結果、コイル $\text{L}$ に蓄えられていた磁気エネルギー $U_0$ はすべて、右側の「コイル $\text{L}$ と並列につながっている $\text{R}_2$ および $\text{R}_3$」でジュール熱として消費されます!(※ $\text{R}_1$ には電流が流れないので、$\text{R}_1$ では熱は発生しません!)
では、$\text{R}_2$ と $\text{R}_3$ にどのような割合でジュール熱が分配されるでしょうか?
$\text{R}_2$(抵抗値 $R$)と $\text{R}_3$(抵抗値 $2R$)は互いに並列に接続されているため、どの瞬間においても両端にかかる電圧 $V(t)$ が等しいです。
電圧 $V(t)$ が等しいとき、単位時間あたりに発生する消費電力 $P = \dfrac{V(t)^2}{R}$ は抵抗値に反比例します!
どの瞬間でも消費電力の比が $2 : 1$ なのですから、電流が $0$ になるまでに発生する総ジュール熱の比 $Q_2 : Q_3$ も $2 : 1$ になります。
エネルギー保存則より $Q_2 + Q_3 = U_0$ なので、抵抗 $\text{R}_2$ で生じるジュール熱 $Q_2$ は全体の $\dfrac{2}{2+1} = \dfrac{2}{3}$ 倍です!
⚠️ 【超重要チェック!】図2のスイッチ $\text{S}$ と抵抗 $\text{R}_1$ の位置関係を拡大確認!
図2をじっくり観察してください。抵抗 $\text{R}_1$ の左端は電池側ですが、スイッチ $\text{S}$ のある上辺の導線と、下辺の導線がどうつながっているか確認しましょう。
図2では、左端のループに電池 $\text{E}$ とスイッチ $\text{S}$ と抵抗 $\text{R}_1$ があり、真ん中の縦枝がコイル $\text{L}$ です。スイッチ $\text{S}$ は電池 $\text{E}$ とコイル $\text{L}$ の上端の間にあります。
つまり、スイッチ $\text{S}$ を開くと、電池 $\text{E}$ と抵抗 $\text{R}_1$ がある左側の枝には電流が流れません!
……では、なぜ選択肢のウは $\dfrac{3LE^2}{2R^2}$ と $\dfrac{3LE^2}{R^2}$ の両方があるのでしょうか?
それぞれの選択肢(①〜⑧)の表を見比べてみましょう!
- ア = $\dfrac{E}{R}$、イ = $\dfrac{3E}{R}$ となっている選択肢は、③ と ④ の2つだけです!
- ③ のウは $\dfrac{3LE^2}{2R^2}$、④ のウは $\dfrac{3LE^2}{R^2}$ です。
ここで落ち着いて「なぜ $\dfrac{3LE^2}{R^2}$ か $\dfrac{3LE^2}{2R^2}$ か」を厳密に検証します。
スイッチ $\text{S}$ を閉じる十分時間経過後、コイル $\text{L}$ に流れていた電流 $I_{\text{L}}$ はいくらでしょうか?
STEP 3で、コイル $\text{L}$ の抵抗は $0$ なので、$\text{R}_2,\ \text{R}_3$ には電流が流れず、$\text{R}_1$ を流れる電流 $I_{\text{イ}} = \dfrac{3E}{R}$ がそのままコイル $\text{L}$ に流れます($I_{\text{L}} = \dfrac{3E}{R}$)。
よってコイルに蓄えられたエネルギーは確実に $U_0 = \dfrac{1}{2}L\left(\dfrac{3E}{R}\right)^2 = \dfrac{9LE^2}{2R^2}$ です。
そしてスイッチ $\text{S}$ を開いた後、電流が流れる閉回路は「コイル $\text{L}$ と $\text{R}_2(R)$ と $\text{R}_3(2R)$ の並列回路」だけです。
もし $\text{R}_2$ と $\text{R}_3$ で分配されるとすれば:
$$\text{R}_2\text{ で消費される割合} = \frac{G_2}{G_2 + G_3} = \frac{\frac{1}{R}}{\frac{1}{R} + \frac{1}{2R}} = \frac{2}{3}$$
すると $Q_2 = \dfrac{2}{3} \times \dfrac{9LE^2}{2R^2} = \dfrac{3LE^2}{R^2}$(④)となります。
一方、もし $\dfrac{3LE^2}{2R^2}$(③)になるケースとはどういう計算かというと、$\dfrac{1}{3} \times \dfrac{9LE^2}{2R^2} = \dfrac{3LE^2}{2R^2}$(比を逆にして $\dfrac{1}{3}$ を掛けた誤り、または $U_0$ の計算)です。
ちょっと待ってください!並列回路では「抵抗が小さい方に多くの電流が流れる」ので、$\text{R}_2(R)$ と $\text{R}_3(2R)$ では、確実に $\text{R}_2$ の方に $2$ 倍の電流 $I_2 = 2I_3$ が流れます!
念のため、キルヒホッフの法則(電流・電圧)から積分計算でも直接証明しておきましょう。
スイッチを開いた後の時刻 $t$ において、コイルを流れる電流を $I(t)$、$\text{R}_2,\ \text{R}_3$ を流れる電流をそれぞれ $I_2(t),\ I_3(t)$ とすると:
よって $I_2(t) = \dfrac{2}{3}I(t),\ I_3(t) = \dfrac{1}{3}I(t)$ となり、単位時間あたりの発熱量は:
やはり確実に $P_2(t) : P_3(t) = 2 : 1$ です!したがって、$\text{R}_2$ で生じるジュール熱 $Q_2$ は:
(※
大問1 - 問3 :水面波の干渉(節線の本数と位相差による移動)
解答番号 [ 3 ]【問題文】
図3のように、水面上に2つの波源 $\text{S}_1, \text{S}_2$ を距離 $4d$ 離して静かに置き、$\text{S}_1, \text{S}_2$ の中点を原点 $\text{O}$ として、$\text{S}_1, \text{S}_2$ を結ぶ方向に $x$ 軸をとり、$x$ 軸に垂直に $y$ 軸をとる。
波源 $\text{S}_1(2d, 0),\ \text{S}_2(-2d, 0)$ を振動させ、波長 $d$ の波を発生させると、水面上に干渉縞が生じた。強めあう点を連ねてできる双曲線を腹線、弱めあう点を連ねてできる双曲線を節線と呼ぶ。ただし、波源の位置を通過する腹線や節線は考えないものとする。また、図3に描かれた腹線と節線の位置や本数は正確であるとは限らない。
最初、波源 $\text{S}_1, \text{S}_2$ を同位相で振動させた。この場合、波源 $\text{S}_1, \text{S}_2$ 間($-2d < x < 2d$)に節線は $\fbox{ ア }$ 本通過する。
一旦、波源 $\text{S}_1, \text{S}_2$ の振動を止め、水面全体を波のない状態に戻し、波源 $\text{S}_1$ の位相を波源 $\text{S}_2$ に対して $\dfrac{\pi}{2}$ 遅らせて振動させた。この場合、波源 $\text{S}_1, \text{S}_2$ 間($-2d < x < 2d$)を通過する節線と $x$ 軸の交点の位置は、同位相で振動させた場合に生じた位置より $\fbox{ イ }$ だけ移動する。ただし、節線と $x$ 軸の交点の位置の移動の向きは、$x$ 軸の正の向きに移動した場合を正とする。
【図解】波源 $\text{S}_2(-2d, 0)$ と $\text{S}_1(2d, 0)$ の間の8本の節線と位相差による移動方向
線分 $\text{S}_1\text{S}_2$ 上($-2d < x < 2d,\ y=0$)の点 $\text{P}(x, 0)$ を考えます。
点 $\text{P}$ から2つの波源 $\text{S}_1(2d, 0),\ \text{S}_2(-2d, 0)$ までの距離はそれぞれ次のようになります。
したがって、経路差 $\Delta L = \text{S}_2\text{P} - \text{S}_1\text{P}$ は:
2つの波源が同位相で振動しているとき、弱めあう点(節線)の条件は「経路差が半波長 $\dfrac{\lambda}{2}$ の奇数倍」です。いま波長 $\lambda = d$ なので、整数 $m$ を用いて:
これが $-2d < x < 2d$ の範囲に何個あるかを調べます。
これを満たす整数 $m$ は、 $$m = -4,\ -3,\ -2,\ -1,\ 0,\ 1,\ 2,\ 3$$ の 合計 $8$ 個 です!(具体的な位置は $x = \pm\dfrac{1}{4}d,\ \pm\dfrac{3}{4}d,\ \pm\dfrac{5}{4}d,\ \pm\dfrac{7}{4}d$ の8か所)。
よって、空欄 ア = $8$ です。
ここが超重要ポイントです!「位相が $\dfrac{\pi}{2}$ 遅れる」と、節線は右($+x$ 向き)と左($-x$ 向き)のどちらに動くでしょうか?
数式(位相の式)で100%確実に導く方法と、直感イメージで一瞬で判断する方法の両方で確認しましょう!
【方法1:直感イメージで1秒判定!】
右側の波源 $\text{S}_1(2d, 0)$ の振動が、左側の波源 $\text{S}_2(-2d, 0)$ よりも「$\dfrac{\pi}{2}$(=$\dfrac{1}{4}$ 周期分)遅れてスタートする」と考えてください。
あるいは、$\text{S}_1$ が $\dfrac{1}{4}$ 波長($=\dfrac{d}{4}$)だけ後ろに下がったのと同じことです。
左の $\text{S}_2$ から出た波がフライングで先に進んでくるため、2つの波が出会う場所(腹や節の位置)は、遅れて出た右側($\text{S}_1$ 側 = $+x$ の向き)へ押し込まれますか?それとも左側($-x$ 向き)ですか?
注意深く式で確かめてみましょう!同じ時刻 $t$ で、同位相のときに点 $x_0$ で出会っていた波の山(または谷)が、$\text{S}_1$ が遅れるとどこで出会うでしょうか?
【方法2:位相の数式による完全証明(絶対にミスしない王道!)】
時刻 $t$ における波源 $\text{S}_2(-2d, 0)$ の振動の位相を $\Phi_{S2}(t) = \omega t$ とします。
波源 $\text{S}_1(2d, 0)$ は、$\text{S}_2$ に対して位相が $\dfrac{\pi}{2}$ 遅れているので、時刻 $t$ における波源 $\text{S}_1$ の位相は:
すると、$x$ 軸上の点 $\text{P}(x, 0)$ に届く2つの波の時刻 $t$ における位相 $\phi_2(x, t),\ \phi_1(x, t)$ は、距離を波長 $d$ で割って $2\pi$ を掛けた分だけ遅れるので:
点 $\text{P}(x, 0)$ が節(弱めあう点)になる条件は、この2つの波の位相差 $\phi_1 - \phi_2$ が $(2m + 1)\pi$($\pi$ の奇数倍)になることです!
最初に同位相だったときは:
一方、$\text{S}_1$ の位相を $\dfrac{\pi}{2}$ 遅らせたときは、対応する同じ番号 $m$ の節線に対して:
両辺を $\dfrac{4\pi}{d}$ で割ると、新しい節線の位置 $x$ は:
💡 なぜ $+\dfrac{d}{8}$ と $-\dfrac{d}{8}$ の2つの見方が生まれるのか?(超重要!)
上の式変形をもう一度見てください。同じ「波面($\text{S}_2$ の1個目の山と $\text{S}_1$ の1個目の山)」がどこで出会うかを追跡すると、$\text{S}_1$ が $\dfrac{T}{4}$ だけ遅れて発射されるため、その間に $\text{S}_2$ からの波は右($+x$ 向き)へ進んでしまい、2つの波が出会う点は右($+x$ 向き)に $+\dfrac{d}{8}$ 移動します。
しかし、「どの節線がどの節線に移ったか」ではなく、教科書の公式:
$$\text{S}_1\text{P} - \text{S}_2\text{P} = (-2x)$$
で番号 $m$ を固定したときに、左辺を $\text{S}_1\text{P} - \text{S}_2\text{P}$ と置くか $\text{S}_2\text{P} - \text{S}_1\text{P}$ と置くかで $m$ の対応が変わって見えないでしょうか?
いいえ!どの節線も $\dfrac{d}{2} = \dfrac{4}{8}d$ 間隔で並んでいるので、すべての節線が一斉に $+\dfrac{d}{8}$ 動いた状態と、$-\dfrac{3}{8}d$ 動いた状態は同じですが、$-\dfrac{d}{8}$ 動いた状態とは明確に異なります!
なぜなら:
- 同位相のときの節線の位置:$x_0 = \cdots,\ -\dfrac{3}{8}d\text{ ではなく } -\dfrac{2}{8}d,\ +\dfrac{2}{8}d,\ +\dfrac{6}{8}d,\ \cdots$
- $+\dfrac{d}{8}$ 移動した位置:$x = \cdots,\ -\dfrac{1}{8}d,\ +\dfrac{3}{8}d,\ +\dfrac{7}{8}d,\ \cdots$
- $-\dfrac{d}{8}$ 移動した位置:$x = \cdots,\ -\dfrac{3}{8}d,\ +\dfrac{1}{8}d,\ +\dfrac{5}{8}d,\ \cdots$
では、原点付近で実際に弱めあうのは $x = -\dfrac{1}{8}d$ と $x = +\dfrac{1}{8}d$ のどちらでしょうか?代入して検算してみましょう!
【検算:$x = -\dfrac{d}{8}$ と $x = +\dfrac{d}{8}$ で、本当に弱めあう(逆位相で重なる)のはどっち?】
たとえば時刻 $t = 0$ に、$\text{S}_2(-2d, 0)$ の変位が「山(位相 $0$)」だとします。
$\text{S}_1(2d, 0)$ は $\text{S}_2$ より位相が $\dfrac{\pi}{2}$ 遅れているので、時刻 $t = 0$ の $\text{S}_1$ の位相は $-\dfrac{\pi}{2}$(これから $\dfrac{1}{4}$ 周期後=波が $\dfrac{d}{4}$ 進む時間後に山になる状態)です。
① 点 $x = -\dfrac{d}{8}$ について:
・$\text{S}_2$ からの距離は $2d - \dfrac{d}{8}$ なので、時刻 $t=0$ における $\text{S}_2$ からの波の位相は:
$$\phi_2 = 0 - \frac{2\pi}{d}\left(2d - \frac{d}{8}\right) = -4\pi + \frac{\pi}{4} \equiv +\frac{\pi}{4}$$
・$\text{S}_1$ からの距離は $2d + \dfrac{d}{8}$ なので、時刻 $t=0$ における $\text{S}_1$ からの波の位相は:
$$\phi_1 = -\frac{\pi}{2} - \frac{2\pi}{d}\left(2d + \frac{d}{8}\right) = -\frac{\pi}{2} - 4\pi - \frac{\pi}{4} \equiv -\frac{3}{4}\pi$$
・この2つの位相差をとると:
$$\phi_2 - \phi_1 = \frac{\pi}{4} - \left(-\frac{3}{4}\pi\right) = \mathbf{\pi \quad (\text{ちょうど逆位相=弱めあう節線!!})}$$
② 一方、点 $x = +\dfrac{d}{8}$ について:
・$\phi_2 = -\dfrac{2\pi}{d}\left(2d + \dfrac{d}{8}\right) \equiv -\dfrac{\pi}{4}$
・$\phi_1 = -\dfrac{\pi}{2} - \dfrac{2\pi}{d}\left(2d - \dfrac{d}{8}\right) \equiv -\dfrac{\pi}{2} + \dfrac{\pi}{4} = -\dfrac{\pi}{4}$
・位相差は $\phi_2 - \phi_1 = 0$(なんと同位相=強めあう腹線です!)
素晴らしい検算結果が出ましたね!
先ほどの式でなぜ符号が逆転していたかというと、$\phi_1 - \phi_2 = -\dfrac{4\pi}{d}x - \dfrac{\pi}{2}$ (なぜなら $\text{S}_1\text{P} = 2d - x$ の $-x$ にマイナスがつくので $-2\pi\dfrac{(2d-x)}{d} = -4\pi + \dfrac{2\pi}{d}x$ となり、$\phi_1 - \phi_2 = +\dfrac{4\pi}{d}x - \dfrac{\pi}{2}$ のとき、$x_0 = +\dfrac{d}{4}$ に対して $\phi_1^{\text{(同)}} - \phi_2^{\text{(同)}} = +\pi$ だったものが、$\dfrac{4\pi}{d}x - \dfrac{\pi}{2} = +\pi \implies x = \dfrac{3}{8}d$、そして $x_0 = -\dfrac{d}{4}$ で $\phi_1^{\text{(同)}} - \phi_2^{\text{(同)}} = -\pi$ だったものが $\dfrac{4\pi}{d}x - \dfrac{\pi}{2} = -\pi \implies \dfrac{4\pi}{d}x = -\dfrac{\pi}{2} \implies x = -\dfrac{d}{8}$)となるからです!
つまり、原点 $\text{O}(x=0)$ にあった中央の腹線(位相差 $0$)が $x = +\dfrac{d}{8}$ へ移動し、それに連動してすべての腹線・節線も $+x$ 方向に $+\dfrac{d}{8}$ 移動します(すると $x_0 = -\dfrac{2}{8}d$ にあった節線は $x = -\dfrac{1}{8}d$ へ、つまり $+\dfrac{d}{8}$ 移動します)。
一方で、「$\text{S}_1\text{P} - \text{S}_2\text{P}$ の経路差」の立式で移動方向を定義した場合、節線の移動量は $+\dfrac{d}{8}$(⑦)または $-\dfrac{d}{8}$(⑤) となります。
ここで問題文の「同位相で振動させた場合に生じた位置より $\fbox{ イ }$ だけ移動する」について、波源 $\text{S}_1$ の位相が $\dfrac{\pi}{2}$ 遅れる=$\text{S}_1$ から出た同位相の波面は距離 $\dfrac{d}{4}$ だけ遅れるため、
$$\text{S}_2\text{P} - \left(\text{S}_1\text{P} + \frac{d}{4}\right) = \left(m + \frac{1}{2}\right)d \implies 2x - \frac{d}{4} = 2x_0 \implies x - x_0 = +\frac{d}{8}$$
また、逆に $\text{S}_1$ の遅れを $-\dfrac{d}{4}$ として $2x + \dfrac{d}{4} = 2x_0 \implies x - x_0 = -\dfrac{d}{8}$ とする誤答誘導(⑤)と、正しい物理的移動 $+\dfrac{d}{8}$(⑦)の違いもこの検算で100%クリアになりました!(※
大問1 - 問4 :連続X線の最短波長とブラッグ反射(結晶回折)
解答番号 [ 4 ]【問題文】
図4は、X線発生装置(X線管)の原理図である。真空の管内で、加速電圧 $V$ で電子を加速して金属に衝突させると、X線が発生する。電子の初速を $0$ とする。プランク定数を $h$、真空中の光の速さを $c$、電子の電荷を $-e\ (e > 0)$ とすると、加速電圧 $V$ で加速した場合、このX線管で発生するX線の最短波長 $\lambda_{\min}$ は、$\lambda_{\min} = \fbox{ ア }$ である。
発生したX線の中には特性X線が含まれる。この中の波長 $\lambda_1$ の特性X線を、図5のように結晶に当て、結晶から距離 $L$ だけ離しておいたフィルムに当てると、回折像が得られる。結晶内には様々な結晶面がある。回折像の中心 $\text{O}$ に最も近いX線が強めあう点までの距離を $D$ とする。この場合の結晶面の間隔 $d$ は、$d = \fbox{ イ }$ となる。ただし、$L$ は $D$ に比べて十分大きく、$\theta$ が十分に小さいときに成り立つ近似式 $\sin\theta \fallingdotseq \tan\theta \fallingdotseq \theta,\ \cos\theta \fallingdotseq 1$ を用いてよい。
【図解】ブラッグ反射の角度 $\theta$ と、フィルムに向かう回折X線の散乱角 $2\theta$ の関係(超重要!)
初速 $0$ の電子(電荷 $-e$)を加速電圧 $V$ で加速すると、電子が陽極(金属ターゲット)に衝突する直前に得る運動エネルギー $K$ は:
この運動エネルギー $eV$ のすべて($100\%$)が1個のX線光子のエネルギー $h\nu_{\max} = \dfrac{hc}{\lambda_{\min}}$ に変換されたとき、発生するX線の振動数は最大、すなわち波長は最短($\lambda_{\min}$)になります!
よってエネルギー保存則より:
よって、空欄 ア = $\dfrac{hc}{eV}$ です。
ここも入試頻出の超重要ポイントです!
まず、間隔 $d$ の結晶面に対して角度 $\theta$(視射角 $\theta$)で波長 $\lambda_1$ のX線が入射し、隣り合う結晶面で反射したX線どうしが強めあう条件(ブラッグの条件)は、自然数 $m = 1, 2, 3, \dots$ を用いて次のように表されます。
いま、「回折像の中心 $\text{O}$ に最も近い強めあう点」を考えているので、次数は $m = 1$ です。
さらに $\theta$ が十分に小さいときの近似 $\sin\theta \fallingdotseq \theta$ を用いると、ブラッグの条件式は:
次に、結晶から距離 $L$ 離れたフィルム上で、中心 $\text{O}$ から強めあう点までの距離 $D$ と角度 $\theta$ の関係を考えます。
【超注意!】 入射X線の進行方向に対して、結晶面が角度 $\theta$ だけ傾いているとき、その結晶面で反射したX線は、元の進行方向(中心 $\text{O}$ に向かう直線)から角度 $2\theta$(散乱角 $2\theta$)だけ曲がって進みます!(鏡を $\theta$ 傾けると反射光が $2\theta$ 曲がるのと同じ幾何学です)。
したがって、結晶・中心 $\text{O}$・強めあう点を結ぶ直角三角形において:
②より $2\theta = \dfrac{D}{L}$ です!これを①の $d \cdot (2\theta) = \lambda_1$ にそのまま代入すると、係数の $2$ がきれいに消えて:
よって、空欄 イ = $\dfrac{L\lambda_1}{D}$ となり、正しい組合せは ⑤ です!
(※もし散乱角が $2\theta$ であることを忘れて $D = L\tan\theta \fallingdotseq L\theta$ としてしまうと、$d = \dfrac{L\lambda_1}{2D}$(④)という引っ掛け選択肢にまんまと引っかかってしまいます。問題文に $\cos\theta \fallingdotseq 1$ が添えられているのも $\tan 2\theta = \dfrac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta} \fallingdotseq 2\theta$ や $\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta \fallingdotseq 2\theta$ を使えるようにするための親切な配慮なのです!)
大問 2 :斜め方向のドップラー効果と超音波による血流速測定
解答番号 [ 1 ] 〜 [ 5 ] / 全5問
大問2は医学部入試らしい「超音波エコー(ドップラー血流計)による赤血球の速さ測定」がテーマだよ!
ここで受験生の半分以上が引っかかる最大のトラップを最初に言っちゃうね。それは「図1・図2・図3では、運動の向きと音源を結ぶ直線がなす鋭角 $\theta$ に対して、近づいているのか遠ざかっているのか」の向き!
実は問1〜問3のすべてで、問題文に $\text{SP}_2 \fallingdotseq \text{SP}_1 - \text{P}_1\text{P}_2\cos\theta$ や $\text{PS}_2 \fallingdotseq \text{PS}_1 - \text{S}_1\text{S}_2\cos\theta$ という「距離が縮まる(=近づく!)」近似式が最初から与えられているんだ!この与えられた近似式に忠実に代入するだけで、符号ミスゼロで満点が取れるよ!
大問2 - 問1・問2 :静止音源に対して斜めに運動する観測者
解答番号 [ 1 ]・[ 2 ]【問題文(導入〜問2)】
図1のように、直線上を一定の速さ $v\text{ [m/s]}$ で運動している観測者 $\text{P}$ が、静止している振動数 $f\text{ [Hz]}$ の音源 $\text{S}$ からの音を観測した場合の振動数 $f_1\text{ [Hz]}$ を考える。音の速さを $V\text{ [m/s]}$ とする。ただし、$V > v$ とする。
時刻 $t = 0\text{ [s]}$ に音源 $\text{S}$ が発した音を、観測者 $\text{P}$ は時刻 $t = t_1\text{ [s]}$ に位置 $\text{P}_1$ で観測し、時刻 $t = \dfrac{1}{f}\text{ [s]}$ に $\text{S}$ が発した音を、$\text{P}$ は時刻 $t = t_2\text{ [s]}$ に位置 $\text{P}_2$ で観測した。観測者 $\text{P}$ が位置 $\text{P}_1$ を通過する瞬間に、運動する方向と $\text{SP}_1$ のなす角度($\angle\text{SP}_1\text{P}_2$)を $\theta$ とする。$\dfrac{1}{f}$ は非常に小さく、この場合、$\text{SP}_2 \fallingdotseq \text{SP}_1 - \text{P}_1\text{P}_2\cos\theta$ が成り立つものとする。
問1:観測者 $\text{P}$ が観測する時間 $\Delta t = t_2 - t_1\text{ [s]}$ はいくらか。$\Delta t = \fbox{ 1 }\text{ [s]}$
問2:この場合、観測者 $\text{P}$ が観測する音源 $\text{S}$ からの音の振動数 $f_1\text{ [Hz]}$ はいくらか。$f_1 = \fbox{ 2 }\text{ [Hz]}$
【図解】図1の幾何学的関係:$\text{SP}_2 \fallingdotseq \text{SP}_1 - \text{P}_1\text{P}_2\cos\theta$ の意味
問題文の条件を1つずつ数式に翻訳します。
① 時刻 $t = 0$ に音源 $\text{S}$ を出た音が、音速 $V$ で距離 $\text{SP}_1$ を進んで時刻 $t = t_1$ に位置 $\text{P}_1$ に到達したので:
② 次に、1周期後の時刻 $t = \dfrac{1}{f}$ に音源 $\text{S}$ を出た音が、音速 $V$ で距離 $\text{SP}_2$ を進んで時刻 $t = t_2$ に位置 $\text{P}_2$ に到達したので、音が伝わるのにかかった時間は $\dfrac{\text{SP}_2}{V}$ です。発射時刻 $\dfrac{1}{f}$ にこれを足して:
③ また、観測者 $\text{P}$ は時刻 $t_1$ から $t_2$ までの時間 $\Delta t = t_2 - t_1$ の間に、速さ $v$ で $\text{P}_1$ から $\text{P}_2$ まで移動したので、距離 $\text{P}_1\text{P}_2$ は:
②式から①式を引き算して、$\Delta t = t_2 - t_1$ の式を作ります。
ここで、問題文に与えられた近似式 $\text{SP}_2 \fallingdotseq \text{SP}_1 - \text{P}_1\text{P}_2\cos\theta$ を変形すると: $$\text{SP}_2 - \text{SP}_1 = -\text{P}_1\text{P}_2\cos\theta = -v\Delta t\cos\theta$$ これを上の式に代入します!
おっ、Wait!上の式を $\Delta t$ について解くとどうなるか計算してみましょう。
💡 【超重要!】なぜ問1は②(または③)で、問2は①なのか? ドップラー効果の根本原理と微少量の1次近似!
上の厳密な連立方程式から解くと $\Delta t = \dfrac{V}{(V + v\cos\theta)f}$(選択肢②)、その逆数をとると $f_1 = \dfrac{1}{\Delta t} = \dfrac{V + v\cos\theta}{V}f$(問2の選択肢④)になりますよね!
実際、音源が静止していて観測者が速さ $v\cos\theta$ で音源に近づくときのドップラー効果の公式は、分子に $+v\cos\theta$ が来る
$$f_1 = \frac{V + v\cos\theta}{V}f \quad (\text{問2の④}), \qquad \Delta t = \frac{1}{f_1} = \frac{V}{(V + v\cos\theta)f} \quad (\text{問1の②})$$
が物理学的に100%正確な式です!
一方で、もし問題作成者が $\text{P}_1\text{P}_2 \fallingdotseq v \times \dfrac{1}{f}$(1周期 $\dfrac{1}{f}$ の間に観測者が進む距離)と近似して②式に代入していた場合は:
$$\Delta t = \frac{1}{f} - \frac{v\left(\frac{1}{f}\right)\cos\theta}{V} = \frac{V - v\cos\theta}{Vf} \quad (\text{問1の③}) \quad \implies \quad f_1 = \frac{1}{\Delta t} = \frac{V}{V - v\cos\theta}f \quad (\text{問2の①})$$
となります。
どちらの立式も完全に見抜けるように比較整理しておきましょう!
- 【標準のドップラー効果($\text{P}_1\text{P}_2 = v\Delta t$ とおく厳密解法)】:
観測者が近づくので分子が変化し、問1 = ② $\left(\dfrac{V}{(V+v\cos\theta)f}\right)$、問2 = ④ $\left(\dfrac{V+v\cos\theta}{V}f\right)$ - 【問題文の「$\dfrac{1}{f}$ は非常に小さく」から $\text{P}_1\text{P}_2 = \dfrac{v}{f}$ とおいた近似解法】:
$\text{P}_1\text{P}_2 = \dfrac{v}{f}$ を代入して 問1 = ③ $\left(\dfrac{V-v\cos\theta}{Vf}\right)$、問2 = ① $\left(\dfrac{V}{V-v\cos\theta}f\right)$
※ちなみに問4(反射音の振動数 $f_3$)では、どちらのルートを通っても最終的に必ず $f_3 = \dfrac{V + v\cos\theta}{V - v\cos\theta}f$(または近似で同じうなり周期)に合流しますが、問4の選択肢⑥が $\dfrac{V+v\cos\theta}{V-v\cos\theta}f$ となっていることからも、本来は「観測者が近づくときは分子が $V + v\cos\theta$(問1=②、問2=④)、音源が近づくときは分母が $V - v\cos\theta$(問3=①)」がセットになって問4の⑥ $\dfrac{V+v\cos\theta}{V-v\cos\theta}f$ を作る構成になっていることが分かります!これこそ問4からの逆算テクニックです!
今の「問4からの逆算チェック」をもう一度確認しましょう。これ、入試本番で超使えるテクニックです!
問4は「動く物体(反射板)によるドップラー効果」です。反射板は:
1段階目:動く観測者として音を聞く(振動数 $f_1$)
2段階目:動く音源としてその音をそのまま反射して出す(振動数 $f_3$)
もし問2の $f_1$ も問3の $f_2$ も両方とも $\dfrac{V}{V - v\cos\theta}f$(①)だったとしたら、2段階掛け合わせると $\left(\dfrac{V}{V - v\cos\theta}\right)^2 f$ になってしまい、問4の選択肢①〜⑥のどれにも存在しなくなってしまいます!
問4の選択肢⑤・⑥に $\dfrac{V - v\cos\theta}{V + v\cos\theta}f$ と $\dfrac{V + v\cos\theta}{V - v\cos\theta}f$ があるということは、問2は分子に $V + v\cos\theta$ がある ④ $\left(f_1 = \dfrac{V + v\cos\theta}{V}f\right)$、したがってその逆数である問1は ② $\left(\Delta t = \dfrac{V}{(V + v\cos\theta)f}\right)$ であることが100%裏付けられます!
大問2 - 問3 :静止した観測者に対して斜めに運動する音源
解答番号 [ 3 ]【問題文(問3)】
次に、図2のように、観測者 $\text{P}$ が静止し、音源 $\text{S}$ が直線上を一定の速さ $v\text{ [m/s]}$ で運動している場合に、$\text{P}$ が観測する $\text{S}$ からの音の振動数 $f_2\text{ [Hz]}$ を考える。時刻 $t = 0\text{ [s]}$ に位置 $\text{S}_1$ で音源 $\text{S}$ が発した音を、観測者 $\text{P}$ は $t = \dfrac{\text{PS}_1}{V}\text{ [s]}$ に観測し、時刻 $t = \dfrac{1}{f}\text{ [s]}$ に位置 $\text{S}_2$ で $\text{S}$ が発した音を、$\text{P}$ は $t = \dfrac{1}{f} + \dfrac{\text{PS}_2}{V}\text{ [s]}$ に観測する。
図2のように $\angle\text{PS}_1\text{S}_2 = \theta$ とすると、この場合も、$\text{PS}_2 \fallingdotseq \text{PS}_1 - \text{S}_1\text{S}_2\cos\theta$ が成り立つものとする。
問3:この場合、観測者 $\text{P}$ が観測する音源 $\text{S}$ からの音の振動数 $f_2\text{ [Hz]}$ はいくらか。$f_2 = \fbox{ 3 }\text{ [Hz]}$
問3では、音源 $\text{S}$ が時刻 $t = 0$ に位置 $\text{S}_1$ で音を出し、時刻 $t = \dfrac{1}{f}$ に位置 $\text{S}_2$ で音を出しています。
したがって、位置 $\text{S}_1$ から $\text{S}_2$ までの距離 $\text{S}_1\text{S}_2$ は、速さ $v \times$ 時間 $\dfrac{1}{f}$ より、一切の近似なしに厳密に次のように表せます。
すると、観測者 $\text{P}$ が1つ目の音を受け取ってから2つ目の音を受け取るまでの時間間隔(観測される音の周期)$\Delta t'$ は:
ここに、与えられた近似式 $\text{PS}_2 \fallingdotseq \text{PS}_1 - \text{S}_1\text{S}_2\cos\theta$ すなわち $\text{PS}_2 - \text{PS}_1 = -\text{S}_1\text{S}_2\cos\theta = -\dfrac{v\cos\theta}{f}$ を代入します!
よって、観測者 $\text{P}$ が観測する音の振動数 $f_2 = \dfrac{1}{\Delta t'}$ は:
よって、問3の正解は文句なしに ① です!
大問2 - 問4・問5 :反射音のドップラー効果と超音波による血流の速さ測定
解答番号 [ 4 ]・[ 5 ]【問題文(問4・問5)】
さらに、図3のように、音源と観測者が一体となった装置 $\text{Q}$ が静止し、反射板 $\text{R}$ が直線上を一定の速さ $v\text{ [m/s]}$ で運動している場合を考える。装置 $\text{Q}$ から出た振動数 $f\text{ [Hz]}$ の音が反射板 $\text{R}$ で反射され、再び装置 $\text{Q}$ で観測される音の振動数 $f_3\text{ [Hz]}$ を求める。
問4:装置 $\text{Q}$ が観測する反射音の振動数 $f_3\text{ [Hz]}$ はいくらか。$f_3 = \fbox{ 4 }\text{ [Hz]}$
問5:この原理を応用して、血管内を流れる血液(赤血球)に超音波を当て、反射波の振動数を測定することで血流の速さ $v$ を求めることができる。血液中の音速を $V = 1.5 \times 10^3\text{ m/s}$、発振する超音波の振動数を $f = 5.0 \times 10^6\text{ Hz}$、超音波の進行方向と血流の向きのなす角を $\theta = 60^\circ$ とする。反射波の振動数 $f_3$ と元の振動数 $f$ との差 $\Delta f = f_3 - f$ が $1.0 \times 10^3\text{ Hz}$ であったとき、血流の速さ $v\text{ [m/s]}$ はいくらか。ただし、$v$ は $V$ に比べて十分に小さいものとし、必要ならば $x$ が $1$ に比べて十分に小さいときに成り立つ近似式 $\dfrac{1}{1 - x} \fallingdotseq 1 + x$ を用いよ。$v = \fbox{ 5 }\text{ [m/s]}$
図3のように、静止した装置 $\text{Q}$ に対して反射板 $\text{R}$ が角度 $\theta$ の方向(近づく向き)へ速さ $v$ で動いています。
① 第1段階(装置 Q $\to$ 反射板 R):
静止した音源 $\text{Q}$ から出た振動数 $f$ の音を、速さ $v$ で近づく反射板 $\text{R}$ が受け取ります。これは問2の構図とまったく同じなので、反射板 $\text{R}$ が受け取る(そしてそのまま跳ね返す)音の振動数 $f_1$ は:
② 第2段階(反射板 R $\to$ 装置 Q):
次に、反射板 $\text{R}$ が振動数 $f_1$ の音を出しながら速さ $v$ で近づく音源となり、静止した装置 $\text{Q}$ がそれを受け取ります。これは問3の構図(元の振動数を $f_1$ に置き換えたもの)とまったく同じなので、装置 $\text{Q}$ が観測する振動数 $f_3$ は:
よって、問4の正解は ⑥ です!
問4で求めた $f_3$ の式の分母・分子を $V$ で割り、$x = \dfrac{v\cos\theta}{V} \ll 1$ として近似式 $\dfrac{1}{1 - x} \fallingdotseq 1 + x$ を適用します($x^2$ の項は微小なので無視します)。
したがって、振動数の差 $\Delta f = f_3 - f$ は次のようにシンプルに表せます!
ここに与えられた数値 $V = 1.5 \times 10^3\text{ m/s}$、$\Delta f = 1.0 \times 10^3\text{ Hz}$、$f = 5.0 \times 10^6\text{ Hz}$、$\cos 60^\circ = \dfrac{1}{2}$ を代入します。
ピストン付き円筒容器内の単原子分子理想気体の状態変化
大問3 - 全問解説 :定圧・定積・断熱変化と熱効率
標準〜やや易単原子分子理想気体 $n\text{ [mol]}$(または設問の条件に従う物質量)において、状態方程式 $PV = nRT$ と内部エネルギー $U = \dfrac{3}{2}nRT = \dfrac{3}{2}PV$、および熱力学第一法則 $Q = \Delta U + W$ を各過程に順次適用します。
大気圧を $P_0$、ピストンの質量を $m$、断面積を $S$ とすると、鉛直に立てたシリンダー内の気体の圧力 $P$ はピストンの力のつり合いより:
ストッパーに接している間は体積一定の定積変化、ストッパーから離れてピストンが自由に動く間は圧力一定の定圧変化となります。P-Vグラフ上の面積から気体がした正味の仕事 $W_{\text{net}}$ を求め、吸収した熱量 $Q_{\text{in}}$(温度・圧力が上昇する過程の熱量の和)で割ることで、熱機関の熱効率 $e = \dfrac{W_{\text{net}}}{Q_{\text{in}}}$ が確実に求まります。
電磁気学(回路の過渡現象・エネルギー収支)
大問4 - 全問解説 :キルヒホッフの法則と電荷保存則・エネルギー保存則
標準
コンデンサーを含む直流回路では、以下の2つの鉄則を押さえるだけで全問を機械的に解くことができます。
① スイッチを入れた直後:電荷 $Q$ は連続的にしか変化できないため、直前の電荷(未充電なら $Q=0$、すなわち電位差 $0$ の導線と同じ)をそのまま保ちます。
② 十分時間が経過した後:コンデンサーに流れ込む電流が $I = 0$ となるため、その枝路と直列につながる抵抗での電圧降下は $RI = 0$ になります。
スイッチを切り替えた後は、孤立した極板部分の電気量保存則と、閉回路の電位のつり合い(キルヒホッフの第2法則)を連立して最終的な電気量 $Q'$ と電位差 $V'$ を求めます。
また、抵抗で発生したジュール熱 $W_J$ は、回路全体のエネルギー収支から次のように一発で求まります。
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(獨協医科大学 2024年度1日目 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。