「自治医大の物理25問を、スピードと正確性で完全制覇しよう!」
こんにちは、TMPS医学館の理系担当・Sora先生と、指導統括のニックニ(新国)先生です!
自治医科大学の理科は2科目で80分(1科目あたり約40分)で全25問のマークシートを解き切るスピード勝負です。しかし、焦って公式を丸暗記して当てはめるだけでは、問題20〜25の「摩擦のある水平ばね振り子」のような思考力問題で足元をすくわれます。このページでは、途中式を1行も省略せず、中学生や物理が苦手な人でも「なぜその式を立てるのか」が100%わかるように徹底図解しました!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
全25問・各4点(100点満点換算)電磁気分野(問題 1 〜 問題 6)
開幕の問題1〜3はLC電気振動回路、問題4はローレンツ力による円運動、問題5はファラデーの電磁誘導、問題6はクーロンの法則(電荷の分配)です!どれも典型テーマですが、問題2の「電気量が半分になった瞬間の電流比」はエネルギー保存則を使うと10秒で解けます。目標解答時間は6問合わせて8分以内です!
【問題 1 〜 3 共通問題文】LC電気振動回路
問題 1:コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーはいくらか。
選択肢: ア $\dfrac{CE}{2}$ イ $\dfrac{CE^2}{2}$ ウ $\dfrac{CE}{2R}$ エ $\dfrac{CE^2}{2R}$ オ $CE$
STEP 1十分時間が経過したときの回路の状態を確認する
スイッチ $\mathrm{S_1}$ を閉じて十分な時間が過ぎると、コンデンサーへの充電が完了し、回路に流れる電流は $0$ になります。
STEP 2コンデンサーの電圧を求める
抵抗 $R$ に流れる電流が $0$ なので、オームの法則 $V_R = RI = R \times 0 = 0\text{ [V]}$ より、抵抗 $R$ での電圧降下はありません。したがって、コンデンサーの両端の電圧 $V$ は電池の起電力 $E$ と等しくなります($V = E$)。
STEP 3静電エネルギーの公式に代入する
電気容量 $C$、電圧 $E$ のコンデンサーに蓄えられる静電エネルギー $U$ は、次の公式で求まります。
$$U = \frac{1}{2}CV^2 = \frac{1}{2}CE^2 = \frac{CE^2}{2}$$
※「抵抗 $R$ が無関係である理由」は、充電完了後には電流が止まり、その時点のコンデンサー電圧が $E$ で決まるからです!
問題 2:次に,スイッチ $\mathrm{S_1}$ は開いたまま,スイッチ $\mathrm{S_2}$ を閉じるとコイルに電流が流れ始めた。スイッチ $\mathrm{S_2}$ を閉じてから,コンデンサーに蓄えられている電気量が初めて最初の半分に減るまでの時間を $\tau$ とし,そのときコイルを流れる電流を $I_\tau$ とする。また,スイッチ $\mathrm{S_2}$ を閉じた後,コイルを流れる電流の最大値を $I_{\max}$ とする。$\dfrac{I_\tau}{I_{\max}}$ はいくらか。
選択肢: ア $\dfrac{1}{4}$ イ $\dfrac{1}{2}$ ウ $\dfrac{\sqrt{2}}{2}$ エ $\dfrac{3}{4}$ オ $\dfrac{\sqrt{3}}{2}$
STEP 1LC回路のエネルギー保存則を立てる
スイッチ $\mathrm{S_2}$ を閉じた瞬間($t=0$)のコンデンサーの電気量を $Q_0 = CE$ とします。LC回路には抵抗が含まれないため、「コンデンサーの静電エネルギー」と「コイルの磁気エネルギー」の和が常に一定に保たれます。
STEP 2最大電流 $I_{\max}$ と最初のエネルギーの関係
最初の静電エネルギーは $\dfrac{Q_0^2}{2C}$ です。コンデンサーの電荷が $0$ になった瞬間にコイルの電流が最大値 $I_{\max}$ となるので、
$$\frac{1}{2}LI_{\max}^2 = \frac{Q_0^2}{2C} \quad \cdots \text{①}$$
STEP 3時刻 $\tau$(電気量が $Q = \dfrac{1}{2}Q_0$ のとき)のエネルギー保存則
電気量が最初の半分 $\dfrac{1}{2}Q_0$ に減ったとき、コンデンサーに残っている静電エネルギーは、
$$U_\tau = \frac{\left(\frac{1}{2}Q_0\right)^2}{2C} = \frac{1}{4} \cdot \frac{Q_0^2}{2C}$$
つまり、静電エネルギーは最初の $\dfrac{1}{4}$ になっています!減った分の $\dfrac{3}{4}$ がすべてコイルの磁気エネルギーに変わっているので、
$$\frac{1}{2}LI_\tau^2 = \frac{3}{4} \cdot \frac{Q_0^2}{2C} \quad \cdots \text{②}$$
STEP 4② $\div$ ① で比を求める
①と②の両辺を割ると、
$$\left(\frac{I_\tau}{I_{\max}}\right)^2 = \frac{3}{4} \implies \frac{I_\tau}{I_{\max}} = \sqrt{\frac{3}{4}} = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
問題 3:$\tau$ はいくらか。
選択肢: ア $\dfrac{\pi\sqrt{LC}}{8}$ イ $\dfrac{\pi\sqrt{LC}}{6}$ ウ $\dfrac{\pi\sqrt{LC}}{4}$ エ $\dfrac{\pi\sqrt{LC}}{3}$ オ $\dfrac{\pi\sqrt{LC}}{2}$
STEP 1電気量 $Q(t)$ の時間変化の式を表す
LC電気振動の角周波数は $\omega = \dfrac{1}{\sqrt{LC}}$(周期 $T = 2\pi\sqrt{LC}$)です。$t=0$ で電気量が最大値 $Q_0$ なので、時刻 $t$ における電気量 $Q(t)$ は $\cos$ 関数で表されます。
$$Q(t) = Q_0 \cos(\omega t)$$
STEP 2$Q(\tau) = \dfrac{1}{2}Q_0$ となる時刻 $\tau$ を求める
電気量が初めて最初の半分 $\dfrac{1}{2}Q_0$ になるとき、
$$Q_0 \cos(\omega \tau) = \frac{1}{2}Q_0 \implies \cos(\omega \tau) = \frac{1}{2}$$
初めて $\cos$ の値が $\dfrac{1}{2}$ になる正の角度は $\dfrac{\pi}{3}\text{ [rad]}$($60^\circ$)なので、
$$\omega \tau = \frac{\pi}{3}$$
STEP 3$\omega = \dfrac{1}{\sqrt{LC}}$ を代入して $\tau$ について解く
$$\frac{1}{\sqrt{LC}} \tau = \frac{\pi}{3} \implies \tau = \frac{\pi\sqrt{LC}}{3}$$
問題 4:一様磁場中での荷電粒子の運動
選択肢: ア $\dfrac{\pi m}{qB}$ イ $\dfrac{2\pi m}{qB}$ ウ $\dfrac{2\pi mv}{qB}$ エ $\dfrac{qB}{2\pi mv}$ オ $\dfrac{qB}{2\pi m}$
STEP 1ローレンツ力の向きと軌道の形を確認する
正電荷 $q\ (>0)$ が $+y$ 向きに運動し、磁場 $B$ が紙面の表から裏向きなので、フレミングの左手の法則より、発射直後のローレンツ力は $-x$ 方向(左向き) にはたらきます。ローレンツ力は常に進行方向と垂直にはたらくため、粒子は速さ $v$ の等速円運動を行います。
STEP 2円運動の半径 $r$ と周期 $T$ を求める
円運動の半径を $r$ とすると、運動方程式は、
$$m\frac{v^2}{r} = qvB \implies r = \frac{mv}{qB}$$
円周1周分($2\pi r$)を速さ $v$ で回る周期 $T$ は、
$$T = \frac{2\pi r}{v} = \frac{2\pi}{v} \cdot \frac{mv}{qB} = \frac{2\pi m}{qB}$$
STEP 3再び $x$ 軸上に戻るまでの時間を求める
原点 $(0,0)$ から $x$ 軸に垂直($+y$ 方向)に飛び出した粒子は、中心 $(-r, 0)$ の円軌道を描き、ちょうど半周(半円)進んだ点 $(-2r, 0)$ で再び $x$ 軸上に戻ります。したがって求める時間 $t$ は周期 $T$ の半分です!
$$t = \frac{T}{2} = \frac{1}{2} \cdot \frac{2\pi m}{qB} = \frac{\pi m}{qB}$$
※うっかり1周分の周期 $\dfrac{2\pi m}{qB}$(選択肢イ)を選ばないように注意しましょう!
問題 5:ファラデーの電磁誘導の法則
選択肢: ア $0.10$ イ $0.20$ ウ $0.30$ エ $0.40$ オ $0.50$
STEP 1ファラデーの電磁誘導の法則を立てる
巻き数 $N = 100$、断面積 $S = 4.0 \times 10^{-3}\text{ m}^2$、時間変化 $\Delta t = 0.10\text{ s}$、誘導起電力の大きさ $V = 2.0\text{ V}$ です。変化した磁束密度の大きさを $\Delta B$ とすると、コイル1巻きを貫く磁束の変化量は $\Delta \Phi = \Delta B \cdot S$ なので、
$$V = N\frac{\Delta \Phi}{\Delta t} = N\frac{\Delta B \cdot S}{\Delta t}$$
STEP 2数値を代入して $\Delta B$ を計算する
$$2.0 = 100 \times \frac{\Delta B \times 4.0 \times 10^{-3}}{0.10}$$
右辺の数値部分を整理すると、
$$100 \times \frac{4.0 \times 10^{-3}}{0.10} = 1000 \times 4.0 \times 10^{-3} = 4.0$$
よって、
$$2.0 = 4.0 \Delta B \implies \Delta B = \frac{2.0}{4.0} = 0.50\text{ [T]}$$
問題 6:金属小球の接触とクーロンの法則
選択肢:
ア C から $\mathrm{P_A}$ に向かう方向で,大きさは $F$
イ C から $\mathrm{P_B}$ に向かう方向で,大きさは $F$
ウ C から $\mathrm{P_A}$ に向かう方向で,大きさは $2F$
エ C から $\mathrm{P_B}$ に向かう方向で,大きさは $2F$
オ 合力は $0$
STEP 1最初の静電気力 $F$ を式で表す
最初の A,B の電気量をそれぞれ $-q\ (q>0)$、2点 $\mathrm{P_A}$,$\mathrm{P_B}$ 間の距離を $r$、クーロンの法則の比例定数を $k$ とすると、
$$F = k\frac{q^2}{r^2} \quad \cdots \text{①}$$
STEP 2接触後の各小球の電気量を求める
電気量 $-q$ の A と、電気量 $0$ の C を接触させて離すと、電気量が半分ずつ分配されるため、
$$\text{A の電気量} = -\frac{q}{2}, \quad \text{C の電気量} = -\frac{q}{2}, \quad \text{B の電気量} = -q\text{(そのまま)}$$
STEP 3中点に置いた C が A・B から受ける力を計算する
C は中点にあるので、A からの距離も B からの距離も $\dfrac{r}{2}$ です。A,B,C はすべて負電荷同士なので互いに斥力(反発力)をおよぼします。
・A が C を押す力 $F_{\mathrm{A}}$($\mathrm{P_B}$ 向き):
$$F_{\mathrm{A}} = k\frac{\left(\frac{q}{2}\right)\left(\frac{q}{2}\right)}{\left(\frac{r}{2}\right)^2} = k\frac{\frac{q^2}{4}}{\frac{r^2}{4}} = k\frac{q^2}{r^2} = F$$
・B が C を押す力 $F_{\mathrm{B}}$($\mathrm{P_A}$ 向き):
$$F_{\mathrm{B}} = k\frac{\left(q\right)\left(\frac{q}{2}\right)}{\left(\frac{r}{2}\right)^2} = k\frac{\frac{q^2}{2}}{\frac{r^2}{4}} = 2k\frac{q^2}{r^2} = 2F$$
STEP 4合力の向きと大きさを求める
$\mathrm{P_A}$ 向きに $2F$、$\mathrm{P_B}$ 向きに $F$ の力を受けるので、合力は「C から $\mathrm{P_A}$ に向かう方向で、大きさは $2F - F = F$」となります!
原子物理分野(問題 7 〜 問題 9)
問題7〜9は原子核反応(結合エネルギーと質量欠損)と放射性崩壊(半減期)です!現役生が手薄になりがちな原子分野ですが、出るパターンは完全に決まっています。特に問題7・8では「核子1個あたりの結合エネルギー」と「原子核全体の結合エネルギー」の掛け算(質量数倍)を忘れないことが最大のポイントです!
【問題 7 〜 8 共通問題文】核融合反応と結合エネルギー・質量欠損
問題 7:${}^3_2\mathrm{He}$ の核子 1 個当たりの結合エネルギーは何 $\text{MeV}$ か。
選択肢: ア $0.390$ イ $2.16$ ウ $2.57$ エ $4.38$ オ $5.49$
STEP 1反応前の重陽子 ${}^2_1\mathrm{H}$ 全体の結合エネルギーを求める
重陽子 ${}^2_1\mathrm{H}$ は質量数が $2$(核子が2個)なので、${}^2_1\mathrm{H}$ 1個あたりの結合エネルギーは、
$$1.11\text{ MeV} \times 2 = 2.22\text{ MeV}$$
反応前には ${}^2_1\mathrm{H}$ が2個あるので、反応前の結合エネルギーの合計は、
$$B_{\text{前}} = 2.22 \times 2 = 4.44\text{ MeV}$$
STEP 2核反応の放出エネルギーから ${}^3_2\mathrm{He}$ 全体の結合エネルギーを求める
核反応で放出されるエネルギー $\Delta E$ は、「(反応後の結合エネルギーの和)$-$(反応前の結合エネルギーの和)」に等しくなります。中性子 ${}^1_0\mathrm{n}$ は単独の核子なので結合エネルギーは $0$ です。${}^3_2\mathrm{He}$ 原子核全体の結合エネルギーを $B_{\mathrm{He}}$ とすると、
$$\Delta E = B_{\mathrm{He}} - B_{\text{前}}$$
$$3.27 = B_{\mathrm{He}} - 4.44 \implies B_{\mathrm{He}} = 4.44 + 3.27 = 7.71\text{ MeV}$$
STEP 3核子1個あたり(質量数 $3$ で割る)に変換する
${}^3_2\mathrm{He}$ の核子数は $3$ 個なので、核子1個あたりの結合エネルギー $\varepsilon_{\mathrm{He}}$ は、
$$\varepsilon_{\mathrm{He}} = \frac{7.71}{3} = 2.57\text{ [MeV]}$$
問題 8:${}^3_2\mathrm{He}$ の質量欠損は何 $\text{kg}$ か。
選択肢: ア $3.84 \times 10^{-30}$ イ $7.79 \times 10^{-30}$ ウ $9.76 \times 10^{-30}$ エ $1.37 \times 10^{-29}$ オ $1.83 \times 10^{-29}$
STEP 1${}^3_2\mathrm{He}$ 全体の結合エネルギーをジュール $[\text{J}]$ に換算する
問題7で求めた通り、${}^3_2\mathrm{He}$ 原子核1個全体の結合エネルギーは $B_{\mathrm{He}} = 7.71\text{ MeV} = 7.71 \times 10^6\text{ eV}$ です。これに $1\text{ eV} = 1.60 \times 10^{-19}\text{ J}$ を掛けると、
$$B_{\mathrm{He}} = 7.71 \times 10^6 \times 1.60 \times 10^{-19}\text{ [J]} = 7.71 \times 1.60 \times 10^{-13}\text{ [J]}$$
STEP 2アインシュタインの関係式 $B_{\mathrm{He}} = \Delta m c^2$ から質量欠損 $\Delta m$ を求める
光の速さ $c = 3.00 \times 10^8\text{ m/s}$ より $c^2 = 9.00 \times 10^{16}\text{ m}^2/\text{s}^2$ です。
$$\Delta m = \frac{B_{\mathrm{He}}}{c^2} = \frac{7.71 \times 1.60 \times 10^{-13}}{9.00 \times 10^{16}}$$
ここで $7.71 \div 3 = 2.57$ を利用して約分すると計算が劇的にラクになります!
$$\Delta m = \frac{2.57 \times 1.60}{3.00} \times 10^{-29} = \frac{4.112}{3.00} \times 10^{-29} \fallingdotseq 1.3706 \times 10^{-29}\text{ [kg]}$$
問題 9:放射性同位体の半減期(医療応用問題)
選択肢: ア $1.0$ イ $2.0$ ウ $3.0$ エ $4.0$ オ $6.0$
STEP 1半減期の何回分の時間が経過したかを求める
半減期 $T = 11\text{ 日}$ に対して、経過時間は $t = 33\text{ 日}$ なので、
$$\frac{t}{T} = \frac{33}{11} = 3\text{(半減期の3回分)}$$
STEP 2残存質量 $m$ を計算する
最初の質量 $m_0 = 24\text{ mg}$ に $\left(\dfrac{1}{2}\right)^3 = \dfrac{1}{8}$ を掛けます。
$$m = m_0 \left(\frac{1}{2}\right)^3 = 24 \times \frac{1}{8} = 3.0\text{ [mg]}$$
波動分野(問題 10 〜 問題 14)
波動分野からは水面波の干渉・開管の気柱共鳴・うなり・全反射・組み合わせレンズと、満遍なく5問出題されています!特に差がつくのは問題10の「腹線上の山・谷の移動」の正誤判定と、問題14の「凸レンズ+凹レンズの組み合わせレンズ」の符号処理です。1つずつ丁寧にチェックしましょう!
問題 10:水面波の干渉
ア 波源 $\mathrm{S_1}$ と $\mathrm{S_2}$ の間には,弱め合う点を連ねた線(節線)が偶数本ある。
イ 波源 $\mathrm{S_1}$ と $\mathrm{S_2}$ の間には,強め合う点を連ねた線(腹線)が奇数本ある。
ウ 腹線上で山と山が重なってできる大きな山の位置は時間が経過しても動かない。
エ 節線と腹線は交わらない。
オ 節線は双曲線になる。
STEP 1各選択肢の正誤を物理的に検証する
・ア(正しい):同位相の2波源の垂直二等分線は経路差 $\Delta L = 0$ の腹線になります。節線(経路差 $\Delta L = \left(m+\frac{1}{2}\right)\lambda$)は垂直二等分線を挟んで左右対称に同数ずつ存在するため、必ず偶数本になります。
・イ(正しい):中央($\Delta L = 0$)に1本の腹線があり、その左右に対称に同数(偶数本)の腹線が並ぶため、合計すると必ず奇数本になります。
・ウ(誤り!):腹線上の各点は「振幅が2倍で単振動する点」です。ある瞬間に山と山が重なって大きな山(変位 $+2A$)になっていた場所は、半周期後には谷と谷が重なって大きな谷(変位 $-2A$)になり、大きな山の位置自体は波の進行とともに腹線に沿って外側へ移動していきます。動かないのは「腹線という線の位置」であって、「大きな山の位置」ではありません!
・エ(正しい)・オ(正しい):2定点からの距離の差が一定の点の軌跡は双曲線であり、異なる距離の差をもつ腹線と節線が交わることはありません。
問題 11:開管の気柱の共鳴
選択肢: ア $850$ イ $1100$ ウ $1700$ エ $3400$ オ $6800$
STEP 1隣り合う共鳴長さの差から半波長 $\dfrac{\lambda}{2}$ を求める
一定の振動数 $f_0$(波長 $\lambda$ 一定)のまま管の長さを伸ばしたとき、気柱が共鳴してから次に共鳴するまでの管の長さの増加量 $\Delta L$ は、定常波の腹1個分=半波長 $\dfrac{\lambda}{2}$ に等しくなります(開管でも閉管でも共通の超重要性質!)。
$$\frac{\lambda}{2} = L_2 - L_1 = 40\text{ cm} - 30\text{ cm} = 10\text{ cm} = 0.10\text{ m}$$
よって音波の波長は、
$$\lambda = 0.20\text{ [m]}$$
STEP 2波の基本式 $V = f_0 \lambda$ から振動数 $f_0$ を求める
音速 $V = 340\text{ m/s}$ を代入して、
$$f_0 = \frac{V}{\lambda} = \frac{340}{0.20} = 1700\text{ [Hz]}$$
問題 12:おんさのうなり
選択肢: ア $450$ イ $466$ ウ $470$ エ $474$ オ $490$
STEP 11秒あたりのうなりの回数から $f_{\mathrm{A}}$ の候補を絞る
5秒間に20回のうなりが聞こえたので、1秒あたりのうなりの回数 $N$ は、
$$N = \frac{20}{5} = 4\text{ [回/秒 (Hz)]}$$
うなりの公式 $|f_{\mathrm{A}} - f_{\mathrm{B}}| = 4$ と $f_{\mathrm{B}} = 470\text{ Hz}$ より、
$$f_{\mathrm{A}} = 470 + 4 = 474\text{ Hz} \quad \text{または} \quad f_{\mathrm{A}} = 470 - 4 = 466\text{ Hz}$$
STEP 2B に針金を巻いたときの変化から決定する
おんさ B に針金を巻き付けて重く(振動しにくく)すると、B の振動数 $f_{\mathrm{B}}$ は $470\text{ Hz}$ より少し低く(小さく)なります(例:$468\text{ Hz}$ など)。
このとき「A とのうなりの回数(=振動数の差)が増えた」ということは、A の振動数は $470\text{ Hz}$ よりも高い側(遠ざかる側)にあったことになります。
よって $f_{\mathrm{A}} = 474\text{ Hz}$ と確定します!
問題 13:光の全反射と円盤の半径
選択肢: ア $\dfrac{D}{2}$ イ $\dfrac{\sqrt{2}D}{2}$ ウ $D$ エ $\sqrt{2}D$ オ $2D$
STEP 1全反射の臨界角 $\theta_c$ を求める
円盤の外側で境界面 $\mathrm{S}$ に達する光がすべて全反射すれば、光は空気中へ出ません。つまり、円盤の端に達する光の入射角が臨界角 $\theta_c$ 以上であればよいので、屈折の法則より、
$$\sqrt{2}\sin\theta_c = 1 \cdot \sin 90^\circ = 1 \implies \sin\theta_c = \frac{1}{\sqrt{2}}$$
これより、臨界角は $\theta_c = 45^\circ$ とわかります!
STEP 2直角三角形の幾何学関係から半径 $r$ を求める
図の直角三角形において、
$$r = D\tan\theta_c = D\tan 45^\circ = D \times 1 = D$$
よって、半径 $r$ は $D$ より大きい必要があります。
問題 14:組み合わせレンズ(凸レンズ+凹レンズ)
選択肢: ア $90$ イ $95$ ウ $100$ エ $105$ オ $110$
STEP 1凸レンズ A($f_{\mathrm{A}} = +20\text{ cm}$)による第1の像の位置を求める
レンズ A の前方 $a_{\mathrm{A}} = 60\text{ cm}$ に物体があるので、レンズの公式より像の位置 $b_{\mathrm{A}}$ は、
$$\frac{1}{a_{\mathrm{A}}} + \frac{1}{b_{\mathrm{A}}} = \frac{1}{f_{\mathrm{A}}} \implies \frac{1}{60} + \frac{1}{b_{\mathrm{A}}} = \frac{1}{20}$$
$$\frac{1}{b_{\mathrm{A}}} = \frac{3}{60} - \frac{1}{60} = \frac{2}{60} = \frac{1}{30} \implies b_{\mathrm{A}} = +30\text{ [cm]}$$
つまり、第1の像はレンズ A の後方 $30\text{ cm}$ の位置にできます。
STEP 2凹レンズ B($f_{\mathrm{B}} = -10\text{ cm}$)に対する物体距離 $a_{\mathrm{B}}$ の符号に注意する!
レンズ B はレンズ A の後方 $25\text{ cm}$ に置かれています。すると、レンズ A が作ろうとした像(A の後方 $30\text{ cm}$)は、レンズ B を通り越して、レンズ B の後方 $30 - 25 = 5\text{ cm}$ の位置にあります。
このように光がレンズ B の後方で集まろうとする場合(虚光源)、レンズ B の式における物体距離 $a_{\mathrm{B}}$ は負の値 $a_{\mathrm{B}} = -5\text{ cm}$ とします!
STEP 3凹レンズ B による最終的な像の位置 $b_{\mathrm{B}}$ を求める
凹レンズなので焦点距離は $f_{\mathrm{B}} = -10\text{ cm}$ です。レンズの公式に $a_{\mathrm{B}} = -5\text{ cm}$、$f_{\mathrm{B}} = -10\text{ cm}$ を代入すると、
$$\frac{1}{a_{\mathrm{B}}} + \frac{1}{b_{\mathrm{B}}} = \frac{1}{f_{\mathrm{B}}} \implies \frac{1}{-5} + \frac{1}{b_{\mathrm{B}}} = \frac{1}{-10}$$
$$\frac{1}{b_{\mathrm{B}}} = -\frac{1}{10} + \frac{1}{5} = -\frac{1}{10} + \frac{2}{10} = +\frac{1}{10} \implies b_{\mathrm{B}} = +10\text{ [cm]}$$
$b_{\mathrm{B}} > 0$ なので、最終的な像はレンズ B の後方 $10\text{ cm}$ の位置に実像として結ばれます!
STEP 4最初の「物体の位置」からの距離を合計する
問われているのは「最初の物体の位置から何 $\text{cm}$ 離れているか」なので、
$$(\text{物体} \sim \text{A}) + (\text{A} \sim \text{B}) + (\text{B} \sim \text{最終像}) = 60 + 25 + 10 = 95\text{ [cm]}$$
熱力学分野(問題 15 〜 問題 17)
問題15は単原子分子理想気体の熱サイクルと熱効率、問題16・17は熱量保存則(比熱と熱容量)です!問題15では「熱効率 $e = \dfrac{W_{\text{正味}}}{Q_{\text{in}}} = \dfrac{Q_{\text{in}} - Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}}$」を使う際、吸熱過程が $\mathrm{A}\to\mathrm{B}$ と $\mathrm{B}\to\mathrm{C}$ の2つあることに気づけるかが勝負の分かれ目です!
問題 15:熱サイクルと熱効率
選択肢: ア $\dfrac{Q-pV}{Q+pV}$ イ $\dfrac{Q-2pV}{Q+pV}$ ウ $\dfrac{Q-pV}{Q+2pV}$ エ $\dfrac{Q-pV}{Q+3pV}$ オ $\dfrac{Q-2pV}{Q+3pV}$
STEP 1各過程($\mathrm{A}\to\mathrm{B}$,$\mathrm{B}\to\mathrm{C}$,$\mathrm{C}\to\mathrm{A}$)の熱量と仕事を整理する
単原子分子理想気体なので、内部エネルギーは $U = \dfrac{3}{2}nRT = \dfrac{3}{2}pV$ です。
・$\mathrm{A}\to\mathrm{B}$(定積加熱):体積 $V$ 一定で圧力が $p \to 3p$ に増加するので、気体がした仕事は $W_{\mathrm{AB}} = 0$。吸収した熱量 $Q_{\mathrm{AB}}$ はすべて内部エネルギーの増加になり、
$$Q_{\mathrm{AB}} = \Delta U_{\mathrm{AB}} = \frac{3}{2}(3pV - pV) = 3pV\ (>0:\text{吸熱})$$
・$\mathrm{B}\to\mathrm{C}$(等温膨張):温度一定なので $\Delta U_{\mathrm{BC}} = 0$。問題文より吸収した熱量は $Q\ (>0:\text{吸熱})$ であり、熱力学第一法則より気体が外部にした仕事も $W_{\mathrm{BC}} = Q$ です。
・$\mathrm{C}\to\mathrm{A}$(定圧圧縮):圧力 $p$ 一定で体積が $3V \to V$ に減少(放熱過程)します。このとき気体が外部にした仕事 $W_{\mathrm{CA}}$ は、
$$W_{\mathrm{CA}} = p(V - 3V) = -2pV$$
STEP 21サイクルで吸収した総熱量 $Q_{\text{in}}$ と正味の仕事 $W_{\text{正味}}$ を求める
・吸収した総熱量 $Q_{\text{in}}$:吸熱したのは $\mathrm{A}\to\mathrm{B}$ と $\mathrm{B}\to\mathrm{C}$ の2過程なので、
$$Q_{\text{in}} = Q_{\mathrm{AB}} + Q_{\mathrm{BC}} = Q + 3pV$$
・1サイクルで気体が外部にした正味の仕事 $W_{\text{正味}}$:
$$W_{\text{正味}} = W_{\mathrm{AB}} + W_{\mathrm{BC}} + W_{\mathrm{CA}} = 0 + Q + (-2pV) = Q - 2pV$$
STEP 3熱効率 $e$ の定義式に代入する
$$e = \frac{W_{\text{正味}}}{Q_{\text{in}}} = \frac{Q - 2pV}{Q + 3pV}$$
【問題 16 〜 17 共通問題文】熱量保存則(容器の熱容量と熱平衡温度)
問題 16:容器の熱容量は何 $\text{J/K}$ か。
選択肢: ア $240$ イ $270$ ウ $300$ エ $330$ オ $360$
STEP 11回目の操作($70\text{ }^\circ\text{C}$ の水 $50\text{ g}$ を追加)の熱量保存則を立てる
容器の熱容量を $C\text{ [J/K]}$ とします。
・熱を得た側(低温 $10\text{ }^\circ\text{C} \to 24\text{ }^\circ\text{C}$、温度上昇 $\Delta T_1 = 14\text{ K}$):容器と最初の水 $100\text{ g}$
$$Q_{\text{得}} = (C + 100 \times 4.2) \times (24 - 10) = (C + 420) \times 14\text{ [J]}$$
・熱を失った側(高温 $70\text{ }^\circ\text{C} \to 24\text{ }^\circ\text{C}$、温度降下 $\Delta T_2 = 46\text{ K}$):加えた水 $50\text{ g}$
$$Q_{\text{失}} = 50 \times 4.2 \times (70 - 24) = 210 \times 46\text{ [J]}$$
STEP 2$Q_{\text{得}} = Q_{\text{失}}$ を解いて $C$ を求める
$$(C + 420) \times 14 = 210 \times 46$$
両辺を $14$ で割ると($210 \div 14 = 15$)、
$$C + 420 = 15 \times 46 = 690 \implies C = 690 - 420 = 270\text{ ?}$$
【ちょっと待って!計算を再確認!】
おっと、ここを丁寧に確認しましょう!
$210 \div 14 = 15$、そして $15 \times 46 = 690$、$690 - 420 = 270$ ですね!
もう一度数値をチェックします:
・最初の水 $100\text{ g}$、温度 $10\text{ }^\circ\text{C} \to 24\text{ }^\circ\text{C}$($+14\text{ K}$):$(C + 420) \times 14$
・加えた水 $50\text{ g}$、温度 $70\text{ }^\circ\text{C} \to 24\text{ }^\circ\text{C}$($-46\text{ K}$):$50 \times 4.2 \times 46 = 210 \times 46$
両辺を $14$ で割ると $C + 420 = 15 \times 46 = 690$ より、
$$C = 690 - 420 = 270\text{ [J/K]}$$
$330$ と引き算ミスしやすいところですが、$690 - 420 = 270$(選択肢イ)が正確な値です!
問題 17:鉄球を入れた後,熱平衡に達したときの全体の温度は何 $^\circ\text{C}$ か。
選択肢: ア $30$ イ $35$ ウ $40$ エ $45$ オ $50$
STEP 12回目の操作前の「容器+水全体」の熱容量をまとめる
いま容器の中には、最初の水 $100\text{ g}$ と加えた水 $50\text{ g}$ を合わせて 水 $150\text{ g}$ が入っており、容器とともに $24\text{ }^\circ\text{C}$ になっています。
「容器+水 $150\text{ g}$」全体の熱容量 $C_{\text{全体}}$ は、問題16の $C = 270\text{ J/K}$ より、
$$C_{\text{全体}} = C + 150 \times 4.2 = 270 + 630 = 900\text{ [J/K]}$$
(※綺麗なキリの良い数字 $900\text{ J/K}$ になったので、問題16の $C=270$ が大正解であることも裏付けられます!)
STEP 2鉄球の熱容量を求める
質量 $300\text{ g}$、比熱 $0.45\text{ J/(g}\cdot\text{K)}$ の鉄球の熱容量 $C_{\text{鉄}}$ は、
$$C_{\text{鉄}} = 300 \times 0.45 = 135\text{ [J/K]}$$
STEP 3熱平衡温度を $t\text{ [}^\circ\text{C]}$ として熱量保存則を立てる
$24\text{ }^\circ\text{C}$ の「容器+水 $150\text{ g}$」が得た熱量と、$70\text{ }^\circ\text{C}$ の鉄球が失った熱量が等しいので、
$$900 \times (t - 24) = 135 \times (70 - t)$$
両辺を $45$ で割ると($900 \div 45 = 20$、$135 \div 45 = 3$)、
$$20(t - 24) = 3(70 - t)$$
$$20t - 480 = 210 - 3t$$
$$23t = 690 \implies t = \frac{690}{23} = 30\text{ [}^\circ\text{C]}$$
力学分野(問題 18 〜 問題 25)
いよいよクライマックスの力学8問です!問題18は不均一な棒のモーメント、問題19は万有引力と脱出速度、そして問題20〜25の6連問が今年の合否を分けた「あらい水平面上のばね振り子」です!
ニックニ先生からも特命が出ていますが、問題20〜25は「振動中心のズレ」と「仕事とエネルギーの関係」を使えば驚くほどスッキリ解けます。最後まで一緒に駆け抜けましょう!
問題 18:密度が不均一な剛体棒の力のモーメント
選択肢: ア $5.0$ イ $8.0$ ウ $10$ エ $12$ オ $15$
STEP 1重心位置を左端から $x$ として2つのモーメントのつり合いを立てる
棒の長さを $L = 1.0\text{ m}$、棒の質量を $M\text{ [kg]}$、左端から重心までの距離を $x$(右端から重心までの距離を $L-x$)とします。
・右端を $F_1 = 40\text{ N}$ で少し持ち上げたとき(左端まわりのモーメントのつり合い):
$$Mg \cdot x = F_1 \cdot L \quad \cdots \text{①}$$
・左端を $F_2 = 9.0\text{ N}$ で少し持ち上げたとき(右端まわりのモーメントのつり合い):
$$Mg \cdot (L - x) = F_2 \cdot L \quad \cdots \text{②}$$
STEP 2①と②を辺々足し合わせて $x$ を消去する(秒殺テクニック!)
①+②を作ると、左辺は $Mgx + Mg(L-x) = MgL$ となり、なんと重心位置 $x$ と長さ $L$ が同時に消えます!
$$MgL = (F_1 + F_2)L \implies Mg = F_1 + F_2$$
つまり、「両端をそれぞれ持ち上げるのに必要な力の和は、棒の重力 $Mg$ に等しい」という超美しい関係が成り立ちます!
STEP 3数値を代入して質量 $M$ を求める
$$M \times 9.8 = 40 + 9.0 = 49 \implies M = \frac{49}{9.8} = 5.0\text{ [kg]}$$
問題 19:天体からの脱出速度と半径の比
選択肢: ア $3.5$ イ $3.7$ ウ $3.9$ エ $4.1$ オ $4.3$
STEP 1脱出速度 $v$ を表面重力加速度 $g$ と天体半径 $R$ で表す
質量 $M$、半径 $R$ の天体表面における質量 $m$ の物体の万有引力と重力の関係は、
$$mg = G\frac{Mm}{R^2} \implies GM = gR^2 \quad \cdots \text{①}$$
また、天体表面から脱出速度 $v$ で打ち上げた物体が無限遠で速さ $0$ になる力学的エネルギー保存則は、
$$\frac{1}{2}mv^2 - G\frac{Mm}{R} = 0 \implies v^2 = \frac{2GM}{R} \quad \cdots \text{②}$$
②に①の $GM = gR^2$ を代入すると、
$$v^2 = \frac{2(gR^2)}{R} = 2gR \implies R = \frac{v^2}{2g}$$
STEP 2月に対する地球の半径比 $\dfrac{R_{\text{地}}}{R_{\text{月}}}$ を計算する
$R = \dfrac{v^2}{2g}$ より、半径 $R$ は $v^2$ に比例し、$g$ に反比例します。よって、
$$\frac{R_{\text{地}}}{R_{\text{月}}} = \left(\frac{v_{\text{地}}}{v_{\text{月}}}\right)^2 \times \frac{g_{\text{月}}}{g_{\text{地}}} = \frac{(4.7)^2}{6.0}$$
$(4.7)^2 = 22.09$ なので、
$$\frac{22.09}{6.0} = 3.681\cdots \fallingdotseq 3.7\text{(倍)}$$
【問題 20 〜 25 共通問題文】あらい水平面上のばね振り子(6連問)
📌 最初に必ず求める基本量:ばね定数 $k$
鉛直に吊り下げたとき、自然長から $a$ だけ伸びて静止したので、力のつり合い $ka = mg$ より、ばね定数は $k = \dfrac{mg}{a}$ です!以下の6問すべてでこの $k = \dfrac{mg}{a}$ を使います。
問題 20:点 $\mathrm{P}$ に置かれた B を静かにはなしたところ,B は点 $\mathrm{O}$ をこえ,ばねの長さは自然長をこえた。この運動が起こるために $p$ と $\mu'$ が満たすべき必要十分条件はどれか。
選択肢: ア $p > \dfrac{1}{4}a\mu'$ イ $p > \dfrac{1}{2}a\mu'$ ウ $p > a\mu'$ エ $p > 2a\mu'$ オ $p > 4a\mu'$
STEP 1「点 $\mathrm{O}$ をこえる」=「点 $\mathrm{O}$ に到達した瞬間の運動エネルギー $K_{\mathrm{O}} > 0$」と言い換える
小球 B が点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{O}$(距離 $p$)まで右向きに動く間、ばねの弾性エネルギー $\dfrac{1}{2}kp^2$ が解放され、動摩擦力 $\mu' mg$ が距離 $p$ にわたって負の仕事 $-\mu' mg p$ をします。
STEP 2点 $\mathrm{P} \to$ 点 $\mathrm{O}$ のエネルギーと仕事の関係を立てる
点 $\mathrm{O}$ を通過してさらに右へ進むためには、点 $\mathrm{O}$ での運動エネルギー $K_{\mathrm{O}}$ が正($K_{\mathrm{O}} > 0$)であればよいので、
$$K_{\mathrm{O}} = \frac{1}{2}kp^2 - \mu' mg p > 0$$
ここに $k = \dfrac{mg}{a}$ を代入すると、
$$\frac{1}{2}\left(\frac{mg}{a}\right)p^2 - \mu' mg p > 0$$
両辺を正の数 $\dfrac{mg p}{2a}$ で割ると、
$$p - 2a\mu' > 0 \implies p > 2a\mu'$$
問題 21:点 $\mathrm{P}$ から運動を始めた B は点 $\mathrm{O}$ をこえた後,点 $\mathrm{O}$ から距離 $q$ だけ進んだ点 $\mathrm{Q}$ で進行方向を変え,逆向きに進み始めた。この運動が起こるために $\mu$ が満たすべき必要十分条件はどれか。
選択肢: ア $\mu < \dfrac{q}{2a}$ イ $\mu < \dfrac{q}{a}$ ウ $\mu < \dfrac{p-q}{a}$ エ $\mu < \dfrac{p+q}{a}$ オ $\mu < \dfrac{p-q}{2a}$
STEP 1折り返し点 $\mathrm{Q}$ で一瞬止まった後、再び左へ動き出す条件を考える
点 $\mathrm{Q}$ ではばねが自然長から $q$ だけ伸びているため、小球 B には左向きに弾性力 $kq$ がはたらいています。
点 $\mathrm{Q}$ で一瞬速度が $0$ になったとき、そのまま静止してしまわずに逆向き(左向き)に進み始めるための条件は、「ばねが左へ引く力 $kq$ が、最大静止摩擦力 $\mu mg$ より大きいこと」です!
STEP 2不等式を立てて $\mu$ について解く
$$kq > \mu mg$$
$k = \dfrac{mg}{a}$ を代入すると、
$$\frac{mg}{a}q > \mu mg \implies \mu < \frac{q}{a}$$
問題 22:前問の運動が起こるとき,$\mu'$ はいくらか。
選択肢: ア $\dfrac{q}{2a}$ イ $\dfrac{q}{a}$ ウ $\dfrac{p-q}{a}$ エ $\dfrac{p+q}{a}$ オ $\dfrac{p-q}{2a}$
STEP 1点 $\mathrm{P}$(初速 $0$)から点 $\mathrm{Q}$(一瞬速度 $0$)までのエネルギーと仕事の関係を立てる
点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{Q}$ までの移動距離は $p + q$ です。
・点 $\mathrm{P}$ での力学的エネルギー:$E_{\mathrm{P}} = \dfrac{1}{2}kp^2$
・点 $\mathrm{Q}$ での力学的エネルギー:$E_{\mathrm{Q}} = \dfrac{1}{2}kq^2$
・この間に動摩擦力 $\mu' mg$ がした仕事:$W_{\text{摩擦}} = -\mu' mg(p + q)$
STEP 2$E_{\mathrm{P}} - E_{\mathrm{Q}} = \mu' mg(p+q)$ を解く
$$\frac{1}{2}kp^2 - \frac{1}{2}kq^2 = \mu' mg(p + q)$$
左辺を因数分解すると $p^2 - q^2 = (p - q)(p + q)$ なので、
$$\frac{1}{2}k(p - q)(p + q) = \mu' mg(p + q)$$
両辺を $p + q\ (>0)$ で割り、$k = \dfrac{mg}{a}$ を代入すると、
$$\frac{1}{2}\left(\frac{mg}{a}\right)(p - q) = \mu' mg \implies \mu' = \frac{p - q}{2a}$$
問題 23:B が点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{Q}$ まで運動する間に,B の速さが最大となる点を点 $\mathrm{O'}$ とする。点 $\mathrm{P}$ と点 $\mathrm{O'}$ の間の距離はいくらか。
選択肢: ア $p-q$ イ $q$ ウ $\dfrac{p+q}{2}$ エ $p$ オ $p + \dfrac{q}{2}$
STEP 1単振動の対称性から1秒で求める方法(推奨!)
点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{Q}$ まで右向きに運動する間、小球には常に一定の動摩擦力 $\mu' mg$(左向き)がはたらいています。一定の力が加わったばね振り子は、「力のつり合いの位置 $\mathrm{O'}$ を中心とする単振動」を行います!
点 $\mathrm{P}$ で静かにはなし(端)、点 $\mathrm{Q}$ で折り返す(もう一方の端)ので、振動中心(=速さが最大となる点 $\mathrm{O'}$)は、両端である点 $\mathrm{P}$ と点 $\mathrm{Q}$ のちょうど中点になります!
$\mathrm{PQ}$ 間の距離は $p + q$ なので、点 $\mathrm{P}$ から中点 $\mathrm{O'}$ までの距離(=この半周期の単振動の振幅 $A$)は、
$$\mathrm{PO'} = A = \frac{p + q}{2}$$
STEP 2力のつり合いから確認する方法(検算)
速さが最大になる点 $\mathrm{O'}$ では加速度が $0$、つまり右向きの弾性力 $kx_0$($x_0$ は自然長 $\mathrm{O}$ からの縮み)と左向きの動摩擦力 $\mu' mg$ がつり合っています。
$$kx_0 = \mu' mg \implies \frac{mg}{a}x_0 = \frac{p - q}{2a}mg \implies x_0 = \frac{p - q}{2}$$
よって、点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{O'}$ までの距離は、
$$\mathrm{PO'} = p - x_0 = p - \frac{p - q}{2} = \frac{p + q}{2}$$
完全に一致しました!
問題 24:点 $\mathrm{O'}$ での B の速さはいくらか。
選択肢: ア $p\sqrt{\dfrac{g}{a}}$ イ $\dfrac{p-q}{2}\sqrt{\dfrac{g}{a}}$ ウ $\dfrac{p+q}{2}\sqrt{\dfrac{g}{a}}$ エ $(p-q)\sqrt{\dfrac{g}{a}}$ オ $(p+q)\sqrt{\dfrac{g}{a}}$
STEP 1単振動の最大速度の公式 $v_{\max} = A\omega$ を使う
点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{Q}$ までの運動は、点 $\mathrm{O'}$ を中心とし、振幅 $A = \mathrm{PO'} = \dfrac{p + q}{2}$、ばね定数 $k = \dfrac{mg}{a}$ の単振動(半周期分)です。
単振動の角振動数 $\omega$ は、
$$\omega = \sqrt{\frac{k}{m}} = \sqrt{\frac{\frac{mg}{a}}{m}} = \sqrt{\frac{g}{a}}$$
STEP 2$v_{\max} = A\omega$ に代入する
振動中心 $\mathrm{O'}$ での速さ $v_{\max}$ は、
$$v_{\max} = A\omega = \frac{p + q}{2}\sqrt{\frac{g}{a}}$$
問題 25:B が点 $\mathrm{P}$ から点 $\mathrm{Q}$ まで運動するのに要する時間はいくらか。
選択肢: ア $\pi\sqrt{\dfrac{a}{g}}$ イ $\pi\sqrt{\dfrac{a+p}{g}}$ ウ $\pi\sqrt{\dfrac{a+q}{g}}$ エ $\pi\sqrt{\dfrac{p-q}{g}}$ オ $\pi\sqrt{\dfrac{p+q}{g}}$
STEP 1単振動の周期 $T$ は摩擦や振幅によらない!
一定の動摩擦力がはたらく水平ばね振り子では、振動の中心位置はズレますが、復元力の比例定数(ばね定数 $k$)は変わらないため、単振動の周期 $T$ は摩擦がないときと全く同じになります!
$$T = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{\frac{mg}{a}}} = 2\pi\sqrt{\frac{a}{g}}$$
STEP 2端 $\mathrm{P}$ から逆の端 $\mathrm{Q}$ までの移動時間は半周期 $\dfrac{T}{2}$
点 $\mathrm{P}$(左端)から点 $\mathrm{Q}$(右端)まで移動する時間 $t$ は、ちょうど半周期分なので、
$$t = \frac{T}{2} = \pi\sqrt{\frac{a}{g}}$$
🎯 ニックニ先生&Sora先生からの総括アドバイス
2025年度の自治医科大学・物理全25問、最後まで本当にお疲れ様でした!
振り返ってみると、問題1〜19は基本法則を正確に適用すれば1問1分前後で処理できる問題が並び、そこで生み出した時間を問題20〜25の「摩擦のある単振動」にしっかり投資できた受験生が80%(20問正解)以上の高得点をマークしています。間違えた問題は必ず「なぜその式を立てるのか」のSTEP 1から復習し、本番の得点力に直結させてくださいね!
過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(自治医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。