🎓 指導統括 ニックニ(新国)先生 & 理系担当 Sora先生より
金沢医科大学(前期1日目)の物理は、大問2題・マーク番号 1 〜 41 の構成です。大問1は「導体試料の電気抵抗とホール効果(数値計算)」、大問2は「傾いた棒に通された小球の運動・摩擦と円運動(文字式選択)」です。赤本で省略されがちな「ミリ・マイクロの単位換算の指数計算」や「斜め方向の垂直抗力と摩擦力の連立方程式」を1行も飛ばさずに完全図解します!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
全41マーク完全対応【大問 1】導体試料を流れる電流とホール効果(解答番号 1 〜 19) ※すべて数値マーク
【大問 2】細い棒に通した小球の運動と円錐振り子(解答番号 20 〜 41) ※丸数字は解答群の番号、四角は数字マーク
| 設問 | 完成する数式 | マーク番号と正解 |
|---|---|---|
| [I] (1) | $\mu = \tan\theta_0$ | [20] = ③ ($\tan\theta_0$) |
| [I] (2) $W$ | $W = \mu' \times mgL \times \cos\theta_0$ | [21] = ② ($\mu'$), [22] = ⑦ ($mgL$), [23] = ① ($\cos\theta_0$) |
| [I] (2) $V$ | $V = \sqrt{2 \times gL \times (\sin\theta_0 - \mu' \times \cos\theta_0)}$ | [24] = 2, [25] = ⑥ ($gL$), [26] = ② ($\sin\theta_0$), [27] = ② ($\mu'$), [28] = ① ($\cos\theta_0$) |
| [II] (1) $F$ | $\displaystyle F = \frac{\sqrt{2}}{2} \times mL \times \omega_0^2$ | [29] = 2, [30] = 2, [31] = ⑤ ($mL$) |
| [II] (2) $\omega_1^2$ | $\displaystyle \omega_1^2 = \sqrt{2} \times \frac{g}{L}$ | [32] = 2, [33] = ⑨ ($\frac{g}{L}$) |
| [II] (3) $\omega_2^2$ | $\displaystyle \omega_2^2 = \sqrt{2} \times \frac{g}{L} \times \frac{1-\mu}{1+\mu}$ | [34] = 2, [35] = ⑨ ($\frac{g}{L}$), [36] = ⑤ ($1-\mu$), [37] = ③ ($1+\mu$) |
| [II] (3) $\omega_3^2$ | $\displaystyle \omega_3^2 = \sqrt{2} \times \frac{g}{L} \times \frac{1+\mu}{1-\mu}$ | [38] = 2, [39] = ⑨ ($\frac{g}{L}$), [40] = ③ ($1+\mu$), [41] = ⑤ ($1-\mu$) |
大問 1:導体試料の電気抵抗とホール効果
大問1は電磁気の定番テーマ「ホール効果」の数値計算問題です!
物理公式自体は「抵抗の公式 $R=\rho\frac{l}{S}$」「一様電場 $V=Ed$」「ローレンツ力 $f=evB$」「電流のミクロ式 $I=enSv$」と超基本ですが、合否の分かれ目は「$\text{mm}$(ミリ:$10^{-3}$)と $\mu\text{m}$(マイクロ:$10^{-6}$)の単位換算ミスをゼロにできるか」と、「(6)で厚さを半分にしたとき、電流とホール電圧がどう変化するかの構造理解」にあります。最初にすべての辺の長さを $\text{m}$(メートル)に直してから計算をスタートしましょう! Time目安は18分です!
【大問 1 問題文】
抵抗率 $2.0 \times 10^{-8}\,\Omega\cdot\text{m}$、長さ $50\,\text{mm}$、幅 $20\,\text{mm}$、厚さ $50\,\mu\text{m}$ の直方体の導体試料がある。下図のように、試料は各辺が $x, y, z$ 軸に沿うように置かれているものとする。$xz$ 平面に平行な2つの側面のうち、紙面手前の面を $\text{F}$、紙面奥の面を $\text{B}$、$yz$ 平面に平行な2つの側面のうち、左側の面を $\text{L}$、右側の面を $\text{R}$ とする。なお、電気素量は $1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}$ とする。
解答欄 1 〜 19 に入る数字をマークしなさい。ただし、3, 6, 10, 13 は $0$ 以外の数字を選ぶこと。解答欄に合わせて適宜小数を四捨五入すること。
- 抵抗率 $\rho$ $2.0 \times 10^{-8}\,\Omega\cdot\text{m}$
- 長さ $l_x$($x$ 方向:面L〜面R) $50\,\text{mm} = 5.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$
- 幅 $l_y$($y$ 方向:面F〜面B) $20\,\text{mm} = 2.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$
- 厚さ $l_z$($z$ 方向:上下) $50\,\mu\text{m} = 5.0 \times 10^{-5}\,\text{m}$
- 電気素量 $e$ $1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}$
※ $\text{m}$(ミリ)$= 10^{-3}$、$\mu$(マイクロ)$= 10^{-6}$ です。よって $50\,\text{mm} = 50 \times 10^{-3}\,\text{m} = 5.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$、$50\,\mu\text{m} = 50 \times 10^{-6}\,\text{m} = 5.0 \times 10^{-5}\,\text{m}$ となります。
面 $\text{L}$(左)と面 $\text{R}$(右)に電源をつなぐので、電流は $x$ 軸方向(左右方向)に流れます。
・電流が流れる道のりの長さ $l$ は、$x$ 方向の長さなので $l = l_x = 5.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$ です。
・電流が通り抜ける断面積 $S$ は、面 $\text{L}$(または面 $\text{R}$)の面積なので、「幅 $l_y \times$ 厚さ $l_z$」になります!
抵抗率 $\rho = 2.0 \times 10^{-8}\,\Omega\cdot\text{m}$ を用いて、電気抵抗の公式 $R = \rho \dfrac{l}{S}$ に代入します。
面 $\text{L}$ と面 $\text{R}$ の間の電位差(電圧)は $V = 2.0\,\text{mV} = 2.0 \times 10^{-3}\,\text{V}$ です。よってオームの法則より、
ホール効果によって面 $\text{F}$(手前)と面 $\text{B}$(奥)の間に生じた電位差(ホール電圧)は、 $$V_H = 0.30\,\mu\text{V} = 0.30 \times 10^{-6}\,\text{V} = 3.0 \times 10^{-7}\,\text{V}$$ です。面 $\text{F}$ と面 $\text{B}$ は $y$ 軸方向に並んだ面であり、その面間距離は幅 $l_y = 20\,\text{mm} = 2.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$ です。
一様な電場において「電場の大きさ $=$ 電位差 $\div$ 距離」なので、
この時点ではまだ自由電子の速さ $v$ は分かっていません(次の(4)で求めます)。しかし問題文にある通り、「ローレンツ力の大きさ $f$」と「静電気力の $y$ 成分の大きさ $f_E = eE_y$」がつり合っている(等しい)ため、$f = eE_y$ から直接求めることができます!
自由電子の平均の速さを $v\,[\text{m/s}]$、磁束密度の大きさを $B = 0.10\,\text{T}$ とすると、ローレンツ力の大きさは $f = evB$ と表されます。
$evB = eE_y$ の両辺を電気素量 $e$ で割ると、ホール効果の超重要関係式 $vB = E_y$(すなわち $v = \dfrac{E_y}{B}$)が得られます!((3)の $f = 2.4 \times 10^{-24}\,\text{N}$ を使って $v = \dfrac{f}{eB}$ としても全く同じです)。
自由電子の数密度を $n\,[\text{個/m}^3]$ とすると、断面積 $S$ の導体を速さ $v$ で電子が流れるときの電流の大きさ $I$ は、 $$I = enSv$$ と表されます。これを $n$ について解くと、$n = \dfrac{I}{eSv}$ です。
これまでに求めた値をすべて確認して代入しましょう。
・電流 $I = 2.0\,\text{A}$((1)より)
・電気素量 $e = 1.6 \times 10^{-19}\,\text{C}$
・電流が通る断面積 $S = l_y l_z = 1.0 \times 10^{-6}\,\text{m}^2$((1)より)
・自由電子の速さ $v = 1.5 \times 10^{-4}\,\text{m/s}$((4)より)
ここが大問1最大のトラップです!
多くの受験生が「ホール電圧の公式 $V_H = \dfrac{IB}{ned}$ だから、厚さ $d$($=l_z$)が半分の $25\,\mu\text{m}$ になったら、ホール電圧 $V_H$ は2倍の $0.60\,\mu\text{V}$ だ!」と飛びついて間違えます。
なぜそれが間違いなのか? $V_H = \dfrac{IB}{ned}$ で「$d$ に反比例する」と言えるのは「電流 $I$ を一定に保った場合(定電流源)」だけです!今回の問題文をよく読むと「面 $\text{L}$ と面 $\text{R}$ の間の電位差 $V$ を変えずに(定電圧源)」と書いてあります。厚さが半分になると、断面積が半分になって抵抗が2倍になり、流れる電流 $I$ も半分になるため、実はホール電圧は変化しないのです!文字式できちんと証明してみましょう。
面 $\text{L}$・面 $\text{R}$ 間の電位差を $V$ とすると、導体内部の $x$ 方向の電場の大きさ $E_x$ は、 $$E_x = \frac{V}{l_x}$$ です。また、オームの法則 $I = \dfrac{V}{R} = \dfrac{V}{\rho \frac{l_x}{l_y l_z}}$ と $I = en S v = en (l_y l_z) v$ を比べると、 $$en (l_y l_z) v = \frac{V}{\rho \frac{l_x}{l_y l_z}} \quad \Longleftrightarrow \quad v = \frac{V}{\rho e n l_x}$$ となり、電位差 $V$ が一定のとき、自由電子の速さ $v$ は厚さ $l_z$ にも幅 $l_y$ にも依存しません!(単位長さあたりの電圧 $E_x = \dfrac{V}{l_x}$ だけで加速されるためです)。
自由電子の速さ $v$ と磁束密度 $B$ が変わらないので、ホール電場 $E_y = vB$ も変わりません。さらに幅 $l_y$ も変わらないので、面 $\text{F}$・面 $\text{B}$ 間のホール電圧 $V_H = E_y l_y = v B l_y$ はまったく変化せず、元の(2)と同じ $0.30\,\mu\text{V}$ となります!
念のため、厚さを $l_z' = 25\,\mu\text{m}$(元の $\dfrac{1}{2}$ 倍)として1から数値計算してみても:
- 断面積 $S' = l_y l_z' = 0.50 \times 10^{-6}\,\text{m}^2$(元の半分)
- 抵抗 $R' = \rho \dfrac{l_x}{S'} = 2.0 \times 10^{-3}\,\Omega$(元の2倍)
- 電流 $I' = \dfrac{V}{R'} = \dfrac{2.0 \times 10^{-3}}{2.0 \times 10^{-3}} = 1.0\,\text{A}$(元の半分)
- 電子の速さ $v' = \dfrac{I'}{enS'} = \dfrac{\frac{1}{2}I}{en(\frac{1}{2}S)} = \dfrac{I}{enS} = v = 1.5 \times 10^{-4}\,\text{m/s}$(不変!)
- ホール電圧 $V_H' = v' B l_y = (1.5 \times 10^{-4}) \times 0.10 \times (2.0 \times 10^{-2}) = 3.0 \times 10^{-7}\,\text{V} = 0.30\,\mu\text{V}$(不変!)
大問 2:細い棒に通された小球のすべり運動と回転運動
大問2は力学の王道「斜面の摩擦角・仕事とエネルギー」+「摩擦のある棒での円運動(円錐振り子型)」です!
前半の [I] は教科書レベルの基礎問題なので3分で完答したいところ。勝負は後半の [II] 角度 $45^\circ$ の棒を回転させたときの円運動です!
回転運動では加速度(向心加速度)が「水平方向(中心向き)」に生じるため、力を分解するときに「水平・鉛直」で分解するか、「棒に沿う方向・棒に垂直な方向」で分解するかの選択がカギになります。特に (3) では垂直抗力 $N$ と最大摩擦力 $\mu N$ が両方登場するため、$\sin 45^\circ = \cos 45^\circ = \dfrac{\sqrt{2}}{2}$ をフル活用してシンプルに連立方程式を解く手順をマスターしましょう!
【大問 2 共通問題文】
穴のあいた質量 $m$ の小球を水平に置かれた細い棒 $\text{OP}$ に通し、点 $\text{O}$ から距離 $L$ の位置にある点 $\text{A}$ で静かにはなした。棒と小球の静止摩擦係数を $\mu$、動摩擦係数を $\mu'$、重力加速度の大きさを $g$ として、以下の問いに答えなさい。ただし、$\mu' < \mu < 1$ とする。解答欄 20 〜 23, 25 〜 28, 31, 33, 35 〜 37, 39 〜 41 は解答群から選び、残りの解答欄は数字をマークしなさい。
[I] 棒をゆっくり傾けたときのすべり運動
棒 $\text{OP}$ を図1のように、点 $\text{O}$ を中心にしてゆっくりと傾きを大きくしていった。$\text{OP}$ と水平面とのなす角が $\theta_0$ となったとき、小球は点 $\text{A}$ から棒に沿って点 $\text{O}$ の方向へすべりだした。
(1) このとき、$\theta_0$ と $\mu$ の関係は次式で示される。
$\mu =$ 20
(2) 小球が棒に沿ってすべりおりて点 $\text{O}$ に達するまでに摩擦力がした仕事の大きさを $W$、小球が点 $\text{O}$ に達したときの小球の速さを $V$ とする。$W, V$ はそれぞれ次式で示される。
$W =$ 21 $\times$ 22 $\times$ 23
$V = \sqrt{\text{\fbox{24}} \times \text{\fbox{25}} \times \left(\text{\fbox{26}} - \text{\fbox{27}} \times \text{\fbox{28}}\right)}$
[I] (1) のステップ解説
角度が $\theta_0$ となってすべりだす直前、小球にはたらく静止摩擦力は最大摩擦力 $f_{\text{max}} = \mu N$ になっています。図1より、力を「棒に垂直な方向」と「棒に沿う方向」に分解してつり合いの式を立てます。
①を②に代入すると、 $$\mu (mg\cos\theta_0) = mg\sin\theta_0 \quad \Longleftrightarrow \quad \mu = \frac{\sin\theta_0}{\cos\theta_0} = \tan\theta_0$$ となります(有名な「摩擦角の公式」です!)。解答群から $\tan\theta_0$ を選ぶと ③ です。
[I] (2) のステップ解説
すべりおりている間、小球にはたらく摩擦力は動摩擦力 $f' = \mu' N$ です。
棒に垂直な方向の力のつり合い $N = mg\cos\theta_0$ はすべっている最中も成り立つので、動摩擦力の大きさは、
$$f' = \mu' N = \mu' mg\cos\theta_0$$
です。点 $\text{A}$ から点 $\text{O}$ まで距離 $L$ だけすべりおりるとき、動摩擦力 $f'$ がした仕事の大きさ(絶対値) $W$ は「力の大きさ $f' \times$ 移動距離 $L$」より、
それぞれの解答群と照らし合わせると、21 は ②($\mu'$)、22 は ⑦($mgL$)、23 は ①($\cos\theta_0$)となります。
点 $\text{O}$ を重力による位置エネルギーの基準(高さ $0$)とします。
・初めの点 $\text{A}$ の高さは $h = L\sin\theta_0$ であり、静かにはなしたので初速度は $0$ です。よって初めの力学的エネルギーは $E_{\text{前}} = mgL\sin\theta_0$ です。
・点 $\text{O}$ に達したときの力学的エネルギーは、運動エネルギーのみの $E_{\text{後}} = \dfrac{1}{2}mV^2$ です。
・途中で動摩擦力が負の仕事 $-W = -\mu' mgL\cos\theta_0$ をしたので、「$E_{\text{後}} - E_{\text{前}} = -W$(仕事と力学的エネルギーの関係)」より、
(※別解として、棒に沿う方向の運動方程式 $ma = mg\sin\theta_0 - \mu' mg\cos\theta_0$ から加速度 $a = g(\sin\theta_0 - \mu'\cos\theta_0)$ を出し、等加速度直線運動の公式 $V^2 - 0^2 = 2aL$ に代入しても1秒で同じ式が出ます!)
[II] 角度 $45^\circ$ に固定した棒の回転運動(円運動)
次に棒 $\text{OP}$ を水平面となす角度 $45^\circ$ で固定した。棒が静止している場合、小球はすべりおちた。小球を点 $\text{A}$ の位置に戻し、図2のように、点 $\text{O}$ を通る鉛直線のまわりに棒を角速度 $\omega$ で回転させたところ、小球の水平面からの高さは変化することはなかった。
(1) $\text{OP}$ を角速度 $\omega = \omega_0$ で回転させたとき、小球にはたらく向心力の大きさ $F$ は次式で示される。
$F = \dfrac{\sqrt{\text{\fbox{29}}}}{\text{\fbox{30}}} \times \text{\fbox{31}} \times \omega_0^2$
(2) $\text{OP}$ を角速度 $\omega = \omega_1$ で回転させたとき、小球と棒の間に摩擦力がはたらかなくなった。このとき、$\omega_1^2$ は次式を満たしている。
$\omega_1^2 = \sqrt{\text{\fbox{32}}} \times \text{\fbox{33}}$
(3) 小球の水平面からの高さが変化しない最小の角速度 $\omega$ を $\omega_2$、最大の角速度 $\omega$ を $\omega_3$ とする。このとき、$\omega_2^2$ と $\omega_3^2$ はそれぞれ次式を満たしている。
$\omega_2^2 = \sqrt{\text{\fbox{34}}} \times \text{\fbox{35}} \times \dfrac{\text{\fbox{36}}}{\text{\fbox{37}}}$
$\omega_3^2 = \sqrt{\text{\fbox{38}}} \times \text{\fbox{39}} \times \dfrac{\text{\fbox{40}}}{\text{\fbox{41}}}$
[II] (1) のステップ解説
注意!円運動の半径 $r$ は $\text{OA} = L$ ではありません!
図2-(a)の通り、小球は「点 $\text{O}$ を通る鉛直軸のまわり」を水平面内で円運動しているので、円軌道の中心は点 $\text{A}$ から鉛直軸に下ろした垂線の足です。よって回転半径 $r$ は、
質量 $m$、半径 $r = \dfrac{\sqrt{2}}{2}L$、角速度 $\omega_0$ の等速円運動に必要な向心力の大きさ $F$ は、
[II] (2) のステップ解説
角速度 $\omega = \omega_1$ のとき摩擦力がはたらかないので、小球にはたらく力は「重力 $mg$(鉛直下向き)」と「垂直抗力 $N$(棒に垂直で左上向き)」の2つだけです。
図2-(b)のように垂直抗力 $N$ を水平方向(中心向き)と鉛直方向に分解します:
$\sin 45^\circ = \cos 45^\circ$ なので、①と②の右辺は等しくなります!よって左辺同士も等しくなり、 $$m r \omega_1^2 = mg \quad \Longleftrightarrow \quad r \omega_1^2 = g$$ ここに(1)で求めた $r = \dfrac{\sqrt{2}}{2}L = \dfrac{L}{\sqrt{2}}$ を代入すると、
[II] (3) のステップ解説(最小の角速度 $\omega_2$ と最大の角速度 $\omega_3$)
なぜ「最小の角速度 $\omega_2$」と「最大の角速度 $\omega_3$」の2つがあるのでしょうか?
・回転が遅すぎる($\omega = \omega_2$)と、遠心力(外へ飛び出そうとする勢い)が弱いため、小球は重力に負けて棒に沿って下(点 $\text{O}$ 側)へすべり落ちそうになります。だから最大静止摩擦力 $\mu N$ は「棒に沿って上向き($\text{P}$ 向き)」にはたらいて小球を支えます!
・逆に回転が速すぎる($\omega = \omega_3$)と、遠心力が強すぎて、小球は棒に沿って上(点 $\text{P}$ 側)へ飛び出そうとします。だから最大静止摩擦力 $\mu N$ は「棒に沿って下向き($\text{O}$ 向き)」にはたらいて引き止めます!
ケース①($\omega = \omega_2$)では、最大摩擦力 $\mu N$ は棒に沿って斜め右上向き(角度 $45^\circ$)にはたらきます。
・垂直抗力 $N$(左上 $45^\circ$)の成分:水平左向きに $N\sin 45^\circ$、鉛直上向きに $N\cos 45^\circ$
・最大摩擦力 $\mu N$(右上 $45^\circ$)の成分:水平右向き(外向き)に $\mu N\cos 45^\circ$、鉛直上向きに $\mu N\sin 45^\circ$
よって、水平方向(中心向き=左向き正)の運動方程式と、鉛直方向の力のつり合いは次のようになります。
ここで $\sin 45^\circ = \cos 45^\circ = \dfrac{\sqrt{2}}{2}$ なので、右辺を $\dfrac{\sqrt{2}}{2}N$ でくくると驚くほどスッキリします!
$\text{③}' \div \text{④}'$(辺々を割り算)すると、$m$ と $\dfrac{\sqrt{2}}{2}N$ が一気に約分されて消えます!
ここに $r = \dfrac{L}{\sqrt{2}}$(すなわち $\dfrac{g}{r} = \sqrt{2}\dfrac{g}{L}$)を代入すると、
ケース②($\omega = \omega_3$)では、最大摩擦力 $\mu N$ の向きが逆転し、棒に沿って斜め左下向き(角度 $45^\circ$)にはたらきます。
・最大摩擦力 $\mu N$(左下 $45^\circ$)の成分:水平左向き(中心向き)に $\mu N\cos 45^\circ$、鉛直下向きに $\mu N\sin 45^\circ$
したがって、先ほどの式③・④の「$\mu$ の符号($+$ と $-$)が入れ替わるだけ」です!
(問題文の条件 $\mu < 1$ より $1-\mu > 0$ が保証されているため、どんなに速く回してもすべり出さないという現象は起こらず、必ず最大の角速度 $\omega_3$ が存在します)。
同様に $\text{⑤} \div \text{⑥}$ を計算し、$r = \dfrac{L}{\sqrt{2}}$ を代入すると、
🏆 ニックニ先生 & Sora先生の総括アドバイス(金沢医科大学 物理 2024年度1日目)
お疲れ様でした!この2024年度1日目のセットで高得点(85%以上)を取るためのチェックポイントは次の3つです:
① 大問1(1)〜(5): $\text{mm} \to 10^{-3}\,\text{m}$、$\mu\text{m} \to 10^{-6}\,\text{m}$ の単位換算を問題用紙の図に直接書き込んでから計算すること。
② 大問1(6): 「定電流」ではなく「定電圧(面L・面R間の電位差一定)」の条件では、電子の速さ $v$ が厚さによらないためホール電圧も $0.30\,\mu\text{V}$ のまま変わらないこと。
③ 大問2[II](3): 最小角速度 $\omega_2$(分子が $1-\mu$ で小さくなる)と最大角速度 $\omega_3$(分子が $1+\mu$ で大きくなる)の大小関係を直感的にも検算すること!これだけでマークミスを100%防げます!
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【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(金沢医科大学 2024年度1日目 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。