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慶應義塾大学 医学部 物理(2025年度)全問題・超図解解説

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「これより〜となる」の省略はゼロ!慶應義塾大学(2025年度)物理をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora(ソラ)先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、慶應義塾大学(2025年度)の物理について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

Sora先生
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皆さんこんにちは、TMPS医学館のSora先生です!指導統括のニックニ(新国)先生と一緒に、2025年度の慶應義塾大学医学部の物理を1ステップの省略もなく完全解説します。
今年の慶應医物理は、大問I(斜方投射と反発+放射線の知識・記述)、大問II(生体磁気計測・フラックスゲート磁力計の解析)、大問III(気液平衡と・大気熱力学)の3題構成でした。
特に大問IIの後半(強磁性体コアの非線形磁化特性 $B = aH - bH^3$ を利用した高感度磁気センサ)は見慣れないテーマですが、誘導に素直に従って三角関数の微積分(問題文に公式あり!)と回路の対称性を見抜けば完答できます。赤本では省略されがちな途中計算や物理的イメージをすべて図解していくので、一緒に完全マスターしましょう!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

まずは最終解答を一覧で確認!

大問 I :力学(斜方投射と床との反発)・原子(放射線と線量単位)

問1 (a) $\theta = 45^\circ$ (または $\dfrac{\pi}{4}$)
問1 (b) $t_1 = \dfrac{2v_0 \sin\theta}{g}$, $\vec{v}_1 = (v_0 \cos\theta,\ ev_0 \sin\theta)$
問1 (c) $t_n = \dfrac{2v_0 \sin\theta}{g} \dfrac{1-e^n}{1-e}$, $\vec{v}_n = (v_0 \cos\theta,\ e^n v_0 \sin\theta)$
問1 (d) $\dfrac{v_0^2 \sin 2\theta}{g(1-e)}$ (または $\dfrac{2v_0^2 \sin\theta \cos\theta}{g(1-e)}$)
問2 (e) ベクレル $[\text{Bq}]$:$1\,\text{s}$(1秒)間に崩壊する原子核の数($1\,\text{Bq} = 1\,\text{s}^{-1}$)。
グレイ $[\text{Gy}]$:物質 $1\,\text{kg}$ あたりが放射線から吸収するエネルギー($\text{J}$)($1\,\text{Gy} = 1\,\text{J/kg}$)。
問2 (f) 人体への影響は、吸収線量だけでなく放射線の種類($\alpha$線・$\beta$線・$\gamma$線など)による生物学的影響の違い(これを考慮したのが等価線量)や、被ばくした組織・臓器ごとの放射線感受性の違い(これを考慮したのが実効線量)によって異なるため。

大問 II :電磁気学(磁性体の分類・生体磁気計測・フラックスゲートセンサ)

問1 (a)
常磁性体:③, ⑥
強磁性体:①, ④
反磁性体:②, ⑤
問1 (b) $\text{kg}\cdot\text{m}^2\cdot\text{s}^{-2}\cdot\text{A}^{-1}$
問1 (c) $nI$
問1 (d) $N\left|\dfrac{\Delta\Phi(t)}{\Delta t}\right|$
問2 (e) ア: ホール効果
問3 (f) $|V_{\text{XY}}| = 2\pi f \mu_0 H_0 h^2 |\sin(2\pi ft)|$
問3 (g) $f = 2 \times 10^4\,\text{Hz}$
問3 (h) $F = 7 \times 10^3\,\text{N}$ (または $6 \times 10^3\,\text{N}$)
問3 (i) 毎秒 $2\times 10^4$ 回転という超高速回転が必要で、コイルの辺に約 $7\times 10^3\,\text{N}$(約 $700\,\text{kg}$ 重)もの巨大な遠心力が働きコイルが破損するため、実現不可能である。
問4 (j) $H_1 = nI_0$
問4 (k)
イ: $-3b H_0 H_1^2 N S \omega$
ウ: $-3b H_1^3 N S \omega$
エ: $(a - 3b H_0^2) H_1 N S \omega$  (※イ・ウ・エの全体の符号反転も可)
問4 (l) 励磁側:$I(t)$ が $\text{A}\to\text{B}\to\text{D}\to\text{C}$ と流れるように接続(右コアに下向き励磁磁場を作る)。検出側:電圧計の $+$ を $\text{E}$、$-$ を $\text{G}$ に繋ぎ、$\text{F}$ と $\text{H}$ を直結する(詳細は本文SVG図解参照)。
問4 (m) $3\sqrt{2}\,b H_0 H_1^2 N S \omega$
問4 (n) $2 \times 10^{-8}\,\text{V}$ ($20\,\text{nV}$)

大問 III :熱力学(飽和水蒸気圧と気液平衡・ポアソンの法則・大気の断熱減率と安定性)

問1 (a) 80℃:
圧力:$2.9 \times 10^4\,\text{Pa}$
物質量:$1.0 \times 10^{-4}\,\text{mol}$
問1 (b) 40℃:
圧力:$7.5 \times 10^3\,\text{Pa}$ (または $7.0\sim 8.0\times 10^3\,\text{Pa}$)
物質量:$2.9 \times 10^{-5}\,\text{mol}$
問2 (c)
$A = 1 - \gamma$,   $B = \dfrac{\gamma - 1}{\gamma}$ (または $1 - \dfrac{1}{\gamma}$)
問3 (d) $C = \rho g$
問3 (e) $C = \dfrac{Mp g}{RT}$
問3 (f) $D = \dfrac{BMg}{R}$
問3 (g) $\Delta T = -1.0\,\text{K}$ (または $-1.0\,^\circ\text{C}$)
問3 (h) $\Delta T < \overline{\Delta T}$ (高度 $h+\Delta h$ において空気塊の温度 $T+\Delta T$ が周囲の大気の温度 $T+\overline{\Delta T}$ より低く、空気塊の密度が周囲の大気より大きくなるとき、重力が浮力を上回り合力が下向きとなる)
問3 (i) 水滴が生じる場合の $D$ の方が、水滴が生じない場合の $D$ より小さい。
理由:水蒸気が凝結して水滴になる際に凝結熱(潜熱)が放出され、空気塊が加熱されて膨張による温度低下が抑えられるため。
Section 01

大問 I :斜方投射と床との反発 / 放射線と線量の単位

Sora先生
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大問Iは小問集合スタイルです!
問1は、斜方投射された小球が床と反発係数 $e$ で何度もバウンドする超王道の力学問題。合否の分かれ目は「$n$ 回目の衝突時刻 $t_n$ の添字(項数)をズレずに足し算できるか」です!等比数列の和の公式まで問題文に与えられているので、絶対に計算ミスせず満点を取りましょう。
問2は、医学部らしく「ベクレル $[\text{Bq}]$・グレイ $[\text{Gy}]$・シーベルト $[\text{Sv}]$(等価線量・実効線量)」の定義と違いを問う論述問題です。キーワードを外さずに簡潔に書く練習をしておきましょう!

【大問 I 問1 問題文】

図1のように水平右向きに $x$ 軸を,鉛直上向きに $y$ 軸をとり,原点 $\text{O}$ から $x$ 軸に対して角度 $\theta$($0 < \theta < 90^\circ$)の方向に質量 $m$ の小球を速さ $v_0$ で打ち出す。重力加速度は鉛直下向きで大きさを $g$ とし,小球と床との間の鉛直方向の反発係数を $e$ とする($0 < e < 1$)。空気抵抗は無視する。小球を打ち出す時刻を $t = 0$,$n$ 回目に床に衝突する時刻を $t_n$($n$ は正の整数),$n$ 回目の衝突直後の小球の速度を $\vec{v}_n = (v_{nx},\ v_{ny})$ とする。必要なら以下の公式を用いよ。 $$1 + e + e^2 + \cdots + e^{n-1} = \frac{1 - e^n}{1 - e} \quad \text{および} \quad \lim_{n \to \infty} \frac{1 - e^n}{1 - e} = \frac{1}{1 - e}$$

  • (a) 小球を打ち出してから最初に床に衝突するまでに,小球が水平方向に最も遠くまで進む角度 $\theta$ を答えよ。
  • (b) $t_1$ と $\vec{v}_1$ を $m,\ v_0,\ \theta,\ g,\ e$ のうち必要なものを用いて答えよ。
  • (c) $t_n$ と $\vec{v}_n$ を $m,\ v_0,\ \theta,\ g,\ e,\ n$ のうち必要なものを用いて答えよ。
  • (d) 小球を打ち出してから $n$ が無限大のときの衝突時刻 $t_{n \to \infty}$ までに,小球が水平方向に進む距離を $m,\ v_0,\ \theta,\ g,\ e$ のうち必要なものを用いて答えよ。

【図1:斜方投射と繰り返し衝突の軌道・速度成分の変化】

x y O g ... θ v₀=(v₀cosθ, v₀sinθ) t₁ (1回目) v₁y = e v₀sinθ t₂ (2回目) v₂y = e² v₀sinθ t₃ (3回目)

問1 (a)・(b) の完全ステップ解説

STEP 1打ち出しから1回目の衝突時刻 $t_1$ を求める
時刻 $t=0$ における初速度 $\vec{v}_0$ を水平方向($x$ 方向)と鉛直方向($y$ 方向)に分解します。 $$v_{0x} = v_0 \cos\theta, \qquad v_{0y} = v_0 \sin\theta$$ 水平方向には力が働かないため速さ $v_0 \cos\theta$ の等速直線運動、鉛直方向には重力加速度 $-g$ の鉛直投げ上げ運動をします。
1回目の衝突までの任意の時刻 $t$($0 \le t \le t_1$)における小球の位置 $(x(t),\ y(t))$ と速度 $(v_x(t),\ v_y(t))$ は、等加速度直線運動の公式より次のようになります。 $$x(t) = (v_0 \cos\theta)t, \qquad y(t) = (v_0 \sin\theta)t - \frac{1}{2}gt^2$$ $$v_x(t) = v_0 \cos\theta, \qquad v_y(t) = v_0 \sin\theta - gt$$ 1回目に床($y = 0$)に衝突する時刻 $t_1$($t_1 > 0$)は、$y(t_1) = 0$ を解いて求めます。 $$(v_0 \sin\theta)t_1 - \frac{1}{2}gt_1^2 = 0 \implies t_1\left(v_0 \sin\theta - \frac{1}{2}gt_1\right) = 0$$ $t_1 > 0$ より、 $$t_1 = \frac{2v_0 \sin\theta}{g}$$ これが (b) の $t_1$ の答えです!

STEP 2(a) 最初の衝突までに水平方向に最も遠くまで進む角度 $\theta$ を求める
時刻 $t_1$ までに水平方向に進む距離 $L_1 = x(t_1)$ は、上の $t_1$ を $x(t) = (v_0 \cos\theta)t$ に代入して、 $$L_1 = (v_0 \cos\theta) \cdot \frac{2v_0 \sin\theta}{g} = \frac{v_0^2 (2\sin\theta\cos\theta)}{g}$$ ここで、三角関数の2倍角の公式 $2\sin\theta\cos\theta = \sin 2\theta$ を使うと、 $$L_1 = \frac{v_0^2 \sin 2\theta}{g}$$ となります。いま $0^\circ < \theta < 90^\circ$ ですから、$0^\circ < 2\theta < 180^\circ$ です。この範囲で $\sin 2\theta$ が最大値 $1$ をとるのは $2\theta = 90^\circ$、すなわち $$\theta = 45^\circ \quad \left(\text{または } \frac{\pi}{4}\right)$$ のときです。

STEP 3(b) 1回目の衝突直後の速度 $\vec{v}_1 = (v_{1x},\ v_{1y})$ を求める
床はなめらか(水平方向に撃力を受けない)なので、水平方向の速度成分 $v_x$ は衝突前後で変化しません。よって、 $$v_{1x} = v_0 \cos\theta$$ 一方、1回目の衝突直前の鉛直方向の速度成分は、対称性(または $v_y(t_1) = v_0\sin\theta - gt_1$)より $-v_0 \sin\theta$(鉛直下向きに速さ $v_0 \sin\theta$)です。
床との鉛直方向の反発係数が $e$ なので、1回目の衝突直後の鉛直上向きの速度成分 $v_{1y}$ は、速さが $e$ 倍になり向きが逆転して、 $$v_{1y} = -e(-v_0 \sin\theta) = e v_0 \sin\theta$$ したがって、1回目の衝突直後の速度ベクトル $\vec{v}_1$ は、 $$\vec{v}_1 = (v_0 \cos\theta,\ ev_0 \sin\theta)$$ となります。

【問1 (a)・(b) 最終解答】

(a) $\theta = 45^\circ$ (または $\dfrac{\pi}{4}$)

(b) $t_1 = \dfrac{2v_0 \sin\theta}{g}$, $\quad \vec{v}_1 = (v_0 \cos\theta,\ ev_0 \sin\theta)$

問1 (c)・(d) の完全ステップ解説

STEP 4(c) $n$ 回目の衝突直後の速度 $\vec{v}_n$ と衝突時刻 $t_n$ を求める
まず速度 $\vec{v}_n = (v_{nx},\ v_{ny})$ から考えましょう。
水平方向の速度成分は何回衝突しても変わらないので、常に $$v_{nx} = v_0 \cos\theta$$ です。鉛直方向の速度成分は、床と1回衝突するごとに直前の跳ね上がり初速度の $e$ 倍になります。
・打ち出し直後(0回目):$v_{0y} = v_0 \sin\theta$
・1回目の衝突直後:$v_{1y} = e v_0 \sin\theta$
・2回目の衝突直後:$v_{2y} = e v_{1y} = e^2 v_0 \sin\theta$
$\quad \vdots$
・$n$ 回目の衝突直後:$v_{ny} = e^n v_0 \sin\theta$
よって、 $$\vec{v}_n = (v_0 \cos\theta,\ e^n v_0 \sin\theta)$$ となります。

次に、$n$ 回目に床に衝突する時刻 $t_n$ を求めます。
初速度の鉛直成分が $V_y$ のとき、打ち上がってから再び床に戻ってくるまでの滞空時間 $\Delta T$ は、STEP 1と全く同じ計算により $\Delta T = \dfrac{2V_y}{g}$ となります(鉛直初速度に比例します!)。
したがって、各バウンドにかかる滞空時間を順番に書き出すと、 $$\begin{aligned} \text{0回目} \to \text{1回目の時間 } \Delta t_1 &= \frac{2v_{0y}}{g} = \frac{2v_0 \sin\theta}{g} \\ \text{1回目} \to \text{2回目の時間 } \Delta t_2 &= \frac{2v_{1y}}{g} = e \cdot \frac{2v_0 \sin\theta}{g} \\ \text{2回目} \to \text{3回目の時間 } \Delta t_3 &= \frac{2v_{2y}}{g} = e^2 \cdot \frac{2v_0 \sin\theta}{g} \\ &\;\;\vdots \\ (n-1)\text{回目} \to \text{$n$回目の時間 } \Delta t_n &= \frac{2v_{n-1,y}}{g} = e^{n-1} \cdot \frac{2v_0 \sin\theta}{g} \end{aligned}$$ これら $n$ 個の滞空時間をすべて足し合わせたものが時刻 $t_n$ です!問題文に与えられた等比数列の和の公式 $1 + e + e^2 + \cdots + e^{n-1} = \dfrac{1-e^n}{1-e}$ を用いると、 $$t_n = \Delta t_1 + \Delta t_2 + \cdots + \Delta t_n = \frac{2v_0 \sin\theta}{g}\left(1 + e + e^2 + \cdots + e^{n-1}\right) = \frac{2v_0 \sin\theta}{g} \frac{1 - e^n}{1 - e}$$ と求まります。

STEP 5(d) $n \to \infty$ の衝突時刻 $t_{n\to\infty}$ までに水平方向に進む距離を求める
$0 < e < 1$ なので、問題文の極限公式 $\displaystyle\lim_{n\to\infty} \frac{1-e^n}{1-e} = \frac{1}{1-e}$ を用いると、無限回バウンドして鉛直方向の運動が止まる時刻 $t_{n\to\infty}$ は、 $$t_{n\to\infty} = \lim_{n\to\infty} t_n = \frac{2v_0 \sin\theta}{g(1 - e)}$$ となります。この時刻 $t_{n\to\infty}$ の間、小球は水平方向に一定の速さ $v_{x} = v_0 \cos\theta$ で進み続けるので、求める水平移動距離 $X_\infty$ は、 $$X_\infty = (v_0 \cos\theta) \cdot t_{n\to\infty} = (v_0 \cos\theta) \cdot \frac{2v_0 \sin\theta}{g(1 - e)} = \frac{2v_0^2 \sin\theta \cos\theta}{g(1 - e)} = \frac{v_0^2 \sin 2\theta}{g(1 - e)}$$ となります。

【問1 (c)・(d) 最終解答】

(c) $t_n = \dfrac{2v_0 \sin\theta}{g} \dfrac{1-e^n}{1-e}$, $\quad \vec{v}_n = (v_0 \cos\theta,\ e^n v_0 \sin\theta)$

(d) $\dfrac{v_0^2 \sin 2\theta}{g(1-e)}$ (または $\dfrac{2v_0^2 \sin\theta \cos\theta}{g(1-e)}$)

【大問 I 問2 問題文】

  • (e) 放射能の強さを表す単位であるベクレル $[\text{Bq}]$,人体などが受ける放射線の量(吸収線量)を表す単位であるグレイ $[\text{Gy}]$ について,それぞれの定義を簡潔に述べよ。
  • (f) 放射線の人体への影響の評価には,放射能の強さ(単位は $\text{Bq}$)や吸収線量(単位は $\text{Gy}$)ではなく,等価線量(単位は $\text{Sv}$)や実効線量(単位は $\text{Sv}$)が用いられる理由を簡潔に述べよ。

問2 (e)・(f) の完全ステップ解説

【図解:放射線に関する4つの物理量と単位のつながり】

① 放射能 $[\text{Bq}]$ 出す側の能力

放射性物質が1秒間に崩壊する原子核の個数($1\,\text{Bq} = 1\,\text{s}^{-1}$)。

② 吸収線量 $[\text{Gy}]$ 受けた物理エネルギー

放射線を受けた物質 $1\,\text{kg}$ あたりが吸収したエネルギー $\text{J}$($1\,\text{Gy} = 1\,\text{J/kg}$)。

③ 等価線量 $[\text{Sv}]$ × 放射線荷重係数

吸収線量に、放射線の種類($\alpha, \beta, \gamma$線等)による人体への影響度の違いを掛けた量。

④ 実効線量 $[\text{Sv}]$ × 組織荷重係数

各臓器の等価線量に、臓器・組織ごとの放射線感受性の違いを掛けて全身で合計した量。

👨‍🏫 ニックニ先生の記述採点ポイント指導

(e) の定義問題では、「単位時間(1秒)あたり」「単位質量($1\,\text{kg}$)あたり」という基準量(分母)を絶対に抜かさないでください!
・ベクレル $[\text{Bq}]$:「1秒間に崩壊する原子核の数」
・グレイ $[\text{Gy}]$:「物質 $1\,\text{kg}$ あたりが放射線から吸収するエネルギー($\text{J}$)」
(f) では、なぜ「等価線量」と「実効線量」の2つが問題文に挙げられているかに注目しましょう。等価線量は「放射線の種類による生物学的影響の違い」を補正したもので、実効線量はさらに「被ばくする組織・臓器による感受性(影響の出やすさ)の違い」を補正して全身への影響を評価するものです。この2つのキーワードを両方盛り込めば完璧な満点答案になります!

【問2 (e)・(f) 最終解答(模範論述)】

(e)
・ベクレル $[\text{Bq}]$:放射性物質において $1\,\text{s}$(1秒)間に崩壊する原子核の数を表す単位。
・グレイ $[\text{Gy}]$:放射線を受けた物質 $1\,\text{kg}$ あたりが吸収するエネルギー(単位 $\text{J}$)を表す単位。

(f)
人体への影響は吸収したエネルギーだけでなく、放射線の種類による人体への影響の違い(等価線量で評価)や、被ばくした組織・臓器ごとの放射線感受性の違い(実効線量で評価)によって異なるため。

Section 02

大問 II :磁性体の性質と生体磁気計測(回転コイル法・フラックスゲート磁力計)

Sora先生
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大問IIは、慶應医学部らしい「医学・生体工学×電磁気学」の融合長文問題です!人間の心臓周囲に生じる極めて微弱な磁場($H_0 = 1.0 \times 10^{-6}\,\text{A/m}$)をどう測るか?というストーリーになっています。
問1・問2は教科書レベルの知識と基本単位の導出。ここでまず確実に得点しましょう!
問3は「コイルを超高速回転させて測れるか?」という思考実験。計算すると「毎秒2万回転・遠心力 $7000\,\text{N}$ でコイルが吹き飛ぶから無理!」という面白い結論が出ます。
問4が本問のメインディッシュ!強磁性体の非線形な磁気飽和特性 $B = aH - bH^3$ を利用して、外部磁場 $H_0$ に比例する倍角周波数($2\omega$)成分だけを取り出す「フラックスゲート磁力計」の原理です。誘導が丁寧なので、1ステップずつ文字式を整理していけば必ず解けますよ!

【大問 II リード文・問1・問2 問題文】

真空および空気の透磁率を $\mu_0$ とし,数値で答える場合には $\mu_0 = 1.3 \times 10^{-6}\,\text{N/A}^2$ を用いよ。地磁気は $24\,\text{A/m}$ 程度(東京)であるが,ゼロとして考慮せずに答えよ。$t$ を時間,$f(t)$ を時間の関数とするとき,微小時間 $\Delta t$ の間の $f(t)$ の微小変化を $\Delta f(t)$ のように表記する。$\omega$ を角周波数とし,必要なら以下を用いよ。 $$\frac{\Delta \sin\omega t}{\Delta t} = \omega \cos\omega t, \qquad \frac{\Delta \sin^2\omega t}{\Delta t} = \omega \sin 2\omega t, \qquad \frac{\Delta \sin^3\omega t}{\Delta t} = 3\omega \cos\omega t \sin^2\omega t$$

  • 問1 (a) 以下の①〜⑥の物質を常磁性体,強磁性体,反磁性体に分類し,番号で答えよ。
    ① 鉄   ② 銅   ③ アルミニウム   ④ コバルトおよびニッケル   ⑤ 水   ⑥ 空気
  • (b) 磁気量の単位を,国際単位系(SI)の基本単位のうち,$\text{kg},\ \text{m},\ \text{A},\ \text{s}$ を用いて答えよ。
  • (c) 円筒の半径 $r$ と比較して円筒の長さ $L$ が十分に長いソレノイドの単位長さあたりの巻き数を $n$,ソレノイドを流れる電流の大きさを $I$ とする。ソレノイド内部(両端付近を除く)における磁場の強さを,$r,\ L,\ n,\ I$ のうち必要なものを用いて答えよ。
  • (d) 巻き数 $N$ のコイルを貫く磁束を $\Phi(t)$ とする。このコイルに電磁誘導により生じる誘導起電力の大きさを $N,\ \Phi(t),\ \Delta\Phi(t),\ t,\ \Delta t$ のうち必要なものを用いて答えよ。

生命活動に伴い人間の心臓周囲に生じる磁場の大きさは $10^{-6}\,\text{A/m}$ 程度である。体外でこの磁場を計測する装置を考えよう。導体や半導体を流れる電流に対して垂直に磁場をかけると,電流と磁場の両方に垂直な方向に起電力が生じる。この現象を [ ア ] というが,感度が悪くこの用途には使用できない。ここでは,コイルを回転させる(問3),または強磁性体の磁化特性を利用する(問4)計測方法について考察する。以後,計測対象の磁場を $H_0$ とし,その大きさと向きは時間変化せず空間的に均一であるとする。数値で答える場合には $H_0 = 1.0 \times 10^{-6}\,\text{A/m}$ を用いよ。

問2 (e) [ ア ] にあてはまる適切な語句を答えよ。

問1 (a)〜(d)・問2 (e) の完全ステップ解説

STEP 1問1 (a) 磁性体の3分類(常磁性体・強磁性体・反磁性体)
外部磁場をかけたときの物質の磁化のされ方によって、物質は次の3つに分類されます。
・強磁性体(透磁率が非常に大きく、磁石に強く引きつけられる):代表例は鉄(①)・コバルト・ニッケル(④)の3元素(語呂合わせ:「鉄・コ・ニ」)。
・常磁性体(外部磁場と同じ向きにわずかに磁化される、比透磁率が1よりほんの少し大きい):不対電子をもつ原子や分子からなる物質で、代表例はアルミニウム(③)、白金、酸素(および酸素を含む空気(⑥))など。
・反磁性体(外部磁場と逆向きにわずかに磁化される、比透磁率が1よりほんの少し小さい):代表例は銅(②)、金、銀、水(⑤)、炭素、希ガスなど。(モーゼ効果で水が強磁場から押し出される現象でも有名ですね!)

STEP 2問1 (b) 磁気量 $m$ のSI基本単位の導出
磁気量 $m$ の単位はウェーバ $[\text{Wb}]$(磁束 $\Phi$ と同じ単位)です。知っている公式から基本単位 $\text{kg},\ \text{m},\ \text{A},\ \text{s}$ に分解しましょう!
【導出法①:磁気力 $F = mH$ と磁場の単位 $\text{A/m}$ を使う方法(一番速い!)】
磁気量 $m$ の磁極が磁場 $H$(単位は $\text{A/m}$)から受ける力の大きさは $F = mH$ です。よって、 $$[m] = \frac{[F]}{[H]} = \frac{\text{N}}{\text{A/m}}$$ ここで、運動方程式 $F = ma$ より力の単位ニュートン $[\text{N}]$ は $\text{N} = \text{kg}\cdot\text{m/s}^2 = \text{kg}\cdot\text{m}\cdot\text{s}^{-2}$ ですから、代入すると、 $$[m] = \frac{\text{kg}\cdot\text{m}\cdot\text{s}^{-2}}{\text{A}\cdot\text{m}^{-1}} = \text{kg}\cdot\text{m}^2\cdot\text{s}^{-2}\cdot\text{A}^{-1}$$ 【導出法②:問題文の透磁率 $\mu_0$ の単位 $\text{N/A}^2$ と $B = \mu_0 H$ を使う方法】
$\Phi = BS = \mu_0 H S$ より、磁束(=磁気量)の単位 $[\text{Wb}]$ は、 $$[\text{Wb}] = [\mu_0][H][S] = \left(\text{N}\cdot\text{A}^{-2}\right) \cdot \left(\text{A}\cdot\text{m}^{-1}\right) \cdot \text{m}^2 = \text{N}\cdot\text{m}\cdot\text{A}^{-1} = \left(\text{kg}\cdot\text{m}\cdot\text{s}^{-2}\right)\cdot\text{m}\cdot\text{A}^{-1} = \text{kg}\cdot\text{m}^2\cdot\text{s}^{-2}\cdot\text{A}^{-1}$$ どちらの方法でも一瞬で検算できますね!

STEP 3問1 (c) 無限長ソレノイド内部の磁場の強さ、問1 (d) ファラデーの電磁誘導の法則、問2 (e) ホール効果
・(c) 十分長いソレノイドの単位長さあたりの巻き数が $n$、流れる電流が $I$ のとき、ソレノイド内部の一様な磁場の強さ $H$ は、半径 $r$ や全長 $L$ によらず公式通り $$H = nI$$ です。
・(d) 巻き数 $N$ のコイルを貫く磁束が微小時間 $\Delta t$ の間に $\Delta\Phi(t)$ だけ変化するとき、生じる誘導起電力 $V$ は $V = -N\dfrac{\Delta\Phi(t)}{\Delta t}$ です。「誘導起電力の大きさ」を聞かれているので、絶対値をつけて $$N\left|\frac{\Delta\Phi(t)}{\Delta t}\right|$$ と答えます。
・(e) 電流 $I$ に対して垂直に磁場 $B$ をかけると、キャリア(電子や正孔)がローレンツ力を受けて偏り、電流と磁場の両方に垂直な方向に電位差(起電力)が生じる現象をホール効果といいます。

【問1 (a)〜(d)・問2 (e) 最終解答】

(a) 常磁性体:③, ⑥ / 強磁性体:①, ④ / 反磁性体:②, ⑤

(b) $\text{kg}\cdot\text{m}^2\cdot\text{s}^{-2}\cdot\text{A}^{-1}$   (c) $nI$   (d) $N\left|\dfrac{\Delta\Phi(t)}{\Delta t}\right|$   (e) ア:ホール効果

【大問 II 問3 問題文:コイルを回転させる磁場計測法の解析】

  • (f) 図1のような辺の長さ $h$ の1回巻き正方形コイルを,一様な静磁場 $H_0$ 中で,磁場と直交する方向にコイルの回転軸をとり,周波数 $f$ で回転させたときの誘導起電力(端子 $\text{Y}$ を基準とした端子 $\text{X}$ の電圧)$V_{\text{XY}}$ の大きさ $|V_{\text{XY}}|$ を $\mu_0,\ h,\ H_0,\ f,\ t$ を用いて答えよ。ただし,磁場とコイル面の成す角 $\theta$ は $t = 0$ において $\theta = 0$ であるとする。参考までに,図1の $\text{XY}$ 端子方向から回転軸に垂直な面で見たコイルを図2に示す。
  • (g) $h = 0.10\,\text{m}$ のとき,$V_{\text{XY}}$ の実効値が $1.0\,\text{nV}$ となる $f$ を有効数字1桁で答えよ。$1.0\,\text{nV}$ は現実的な計測で測定可能な最小電圧の目安である。
  • (h) コイルを成す導線の一辺($h = 0.10\,\text{m}$)あたりの質量を $0.010\,\text{g}$ とする。$V_{\text{XY}}$ の実効値が $1.0\,\text{nV}$ のとき,回転軸と平行な2つの辺それぞれに作用する遠心力の大きさ(図1の $F$)を有効数字1桁で答えよ。
  • (i) この計測方法による心臓近辺の磁場計測の実現可能性について考察せよ。

【図1・図2:一様磁場 $H_0$ 中で回転する正方形コイル】

図1(正面図) 回転軸 X Y h h F F 半径 r = h/2 図2(XY端子方向から見た断面図) H₀ (B₀ = μ₀H₀) 水平面 X Y コイル面 θ = 2πft

問3 (f)〜(i) の完全ステップ解説

STEP 1(f) 回転する正方形コイルに生じる誘導起電力 $|V_{\text{XY}}|$ を求める
一様な静磁場 $H_0$ による磁束密度の大きさは $B_0 = \mu_0 H_0$、1辺 $h$ の正方形コイルの面積は $S = h^2$ です。
周波数 $f$ で回転するとき、角周波数は $\omega = 2\pi f$ なので、時刻 $t$ における磁場(水平面)とコイル面のなす角 $\theta$ は、 $$\theta = \omega t = 2\pi ft$$ です。このとき、図2よりコイル面を貫く磁束 $\Phi(t)$ は、コイル面が水平面($\theta=0$)と平行なときに $0$、垂直($\theta=90^\circ$)なときに最大値 $B_0 S = \mu_0 H_0 h^2$ となるので、 $$\Phi(t) = B_0 S \sin\theta = \mu_0 H_0 h^2 \sin(2\pi ft)$$ となります。1回巻き($N=1$)のコイルに生じる誘導起電力の大きさ $|V_{\text{XY}}|$ は、問1(d) と問題文冒頭の微分の式 $\dfrac{\Delta\sin\omega t}{\Delta t} = \omega\cos\omega t$…ではなく、あ!注意してください!
【超重要チェック!】 $t=0$ のとき $\theta=0$ です。図2を見てください!$\theta=0$ のとき、磁場 $H_0$(水平右向き)とコイル面(水平面)は平行なので、コイルを貫く磁束は $\Phi(0) = 0$ ですか?それとも…?
いや、ちょっと待ってください!もう一度丁寧に両方確認しましょう!

👨‍🏫 ニックニ先生の厳密チェック:図2の $\theta$ と磁束の式

図2をじっくり観察しましょう。磁場 $H_0$ は水平右向きで、$\theta$ は「水平面(磁場の向き)とコイル面のなす角」として描かれています。したがって、時刻 $t$ においてコイルを垂直に貫く磁束密度成分は $B_\perp = \mu_0 H_0 \sin\theta$ であり、コイルを貫く磁束は $$\Phi(t) = \mu_0 H_0 h^2 \sin\theta = \mu_0 H_0 h^2 \sin(2\pi ft)$$ です。これを時刻 $t$ で微分すると(あるいは回転軸に平行な2辺が速さ $v = \dfrac{h}{2}\omega$ で運動し、磁場を横切る成分 $v_\perp = v\cos\theta$ によるローレンツ起電力 $2 \times v B_0 h \cos\theta$ を考えると)、 $$|V_{\text{XY}}| = \left|\frac{\Delta\Phi(t)}{\Delta t}\right| = 2\pi f \mu_0 H_0 h^2 |\cos(2\pi ft)|$$ となります!
(※もし万が一、磁束を $\cos\theta$ と誤認して $|\sin(2\pi ft)|$ とした場合でも、次の (g) で求める実効値は最大値の $\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ 倍なので全く同じ値になりますが、物理的に正確なのは図2より $\theta=0$ で辺が磁場に対して垂直に動く瞬間=起電力最大の瞬間なので $|\cos(2\pi ft)|$ です!)

【別解(導体棒の誘導起電力 $V = vBh$ からの確認)】
回転軸から距離 $r = \dfrac{h}{2}$ にある長さ $h$ の2本の辺は、速さ $v = r\omega = \dfrac{h}{2}(2\pi f) = \pi f h$ で円運動しています。
図2において $\theta = 0$(コイル面が水平)の瞬間、2本の辺は水平面に対して垂直(上下方向)、すなわち水平右向きの磁場 $H_0$ を直角に切る向きに動いています!
したがって、時刻 $t$(角度 $\theta = 2\pi ft$)において磁場に垂直な速度成分は $v_\perp = v \cos\theta = \pi f h \cos(2\pi ft)$ であり、2本の辺に生じる起電力の和は、 $$|V_{\text{XY}}| = 2 \times |v_\perp B_0 h| = 2 \times \pi f h |\cos(2\pi ft)| \cdot \mu_0 H_0 h = 2\pi f \mu_0 H_0 h^2 |\cos(2\pi ft)|$$ と完全に一致します!

STEP 2(g) 実効値 $V_{\text{eff}} = 1.0\,\text{nV}$ となる回転周波数 $f$ の計算
正弦波交流電圧 $V_{\text{XY}}$ の最大値(振幅)$V_{\text{max}}$ は、 $$V_{\text{max}} = 2\pi f \mu_0 H_0 h^2$$ です。正弦波交流の実効値 $V_{\text{eff}}$ は最大値 $V_{\text{max}}$ の $\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ 倍なので、 $$V_{\text{eff}} = \frac{V_{\text{max}}}{\sqrt{2}} = \frac{2\pi f \mu_0 H_0 h^2}{\sqrt{2}} = \sqrt{2}\,\pi f \mu_0 H_0 h^2$$ これより、周波数 $f$ について解くと、 $$f = \frac{V_{\text{eff}}}{\sqrt{2}\,\pi \mu_0 H_0 h^2}$$ 与えられた数値: $$V_{\text{eff}} = 1.0\,\text{nV} = 1.0 \times 10^{-9}\,\text{V}, \quad \mu_0 = 1.3 \times 10^{-6}\,\text{N/A}^2, \quad H_0 = 1.0 \times 10^{-6}\,\text{A/m}, \quad h = 0.10\,\text{m}$$ および $\sqrt{2} \fallingdotseq 1.41$, $\pi \fallingdotseq 3.14$ を代入して計算します。 $$\begin{aligned} \text{分母} &= 1.41 \times 3.14 \times (1.3 \times 10^{-6}) \times (1.0 \times 10^{-6}) \times (0.10)^2 \\ &= 4.427 \times 1.3 \times 10^{-14} \\ &\fallingdotseq 5.76 \times 10^{-14} \end{aligned}$$ したがって、 $$f = \frac{1.0 \times 10^{-9}}{5.76 \times 10^{-14}} \fallingdotseq 0.174 \times 10^5 = 1.74 \times 10^4\,\text{Hz}$$ 有効数字1桁に四捨五入すると、 $$f = 2 \times 10^4\,\text{Hz}$$ となります(なんと1秒間に約2万回転!)。

STEP 3(h) 回転軸と平行な辺に作用する遠心力 $F$ の計算
回転軸と平行な一辺の質量は、 $$m = 0.010\,\text{g} = 1.0 \times 10^{-5}\,\text{kg}$$ この辺は回転軸からの距離(回転半径)が $$r = \frac{h}{2} = \frac{0.10\,\text{m}}{2} = 0.050\,\text{m} = 5.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$$ の位置にあり、角速度 $\omega = 2\pi f$ で等速円運動しています。したがって、この辺に作用する遠心力の大きさ $F$ は、 $$F = mr\omega^2 = m \cdot \frac{h}{2} \cdot (2\pi f)^2 = 2\pi^2 m h f^2$$ ここに STEP 2 で求めた $f \fallingdotseq 1.74 \times 10^4\,\text{Hz}$(または $f = 2 \times 10^4\,\text{Hz}$)を代入します。
① 途中の値 $f = 1.74 \times 10^4\,\text{Hz}$ を用いた場合(または文字式のまま代入した場合): $$F = 2 \times (3.14)^2 \times (1.0 \times 10^{-5}) \times 0.10 \times (1.74 \times 10^4)^2 \fallingdotseq 19.72 \times 10^{-6} \times 3.03 \times 10^8 \fallingdotseq 5.97 \times 10^3\,\text{N} \to 6 \times 10^3\,\text{N}$$ ② (g) の解答値 $f = 2 \times 10^4\,\text{Hz}$ を用いた場合: $$F = 2 \times (3.14)^2 \times (1.0 \times 10^{-5}) \times 0.10 \times (2 \times 10^4)^2 \fallingdotseq 19.72 \times 10^{-6} \times 4 \times 10^8 \fallingdotseq 7.89 \times 10^3\,\text{N} \to 8 \times 10^3\,\text{N}$$ (※大学入試の採点では、丸める前の $f \fallingdotseq 1.74\times 10^4$ から計算した $6\times 10^3\,\text{N}$ と、(g) の値 $2\times 10^4$ を代入した $8\times 10^3\,\text{N}$(または $7\times 10^3\,\text{N}$)のいずれも正解として許容されます)。

STEP 4(i) 心臓近辺の磁場計測の実現可能性についての考察
(g), (h) の結果がすべてを物語っています!
測定可能な最小電圧 $1.0\,\text{nV}$ を得るためだけでも、コイルを毎秒約 $2 \times 10^4$ 回(1分間に約120万回転!)という超高速で回転させる必要があり、そのとき質量わずか $0.010\,\text{g}$ の細い導線1辺に $6 \times 10^3 \sim 8 \times 10^3\,\text{N}$(質量 $600 \sim 800\,\text{kg}$ の物体にかかる重力に相当!)もの巨大な遠心力が作用してコイルが破断・破損してしまいます。また、人体の心臓のすぐ近くでこのような超高速回転体を安全に回すことも不可能です。したがって「実現不可能である」と結論づけます。

【問3 (f)〜(i) 最終解答】

(f) $|V_{\text{XY}}| = 2\pi f \mu_0 H_0 h^2 |\cos(2\pi ft)|$  (※磁束を $\cos$ とおいた場合の $2\pi f \mu_0 H_0 h^2 |\sin(2\pi ft)|$ も考慮)

(g) $f = 2 \times 10^4\,\text{Hz}$

(h) $F = 6 \times 10^3\,\text{N}$ ($f = 2\times 10^4\,\text{Hz}$ を代入した場合は $8 \times 10^3\,\text{N}$)

(i) 測定可能な最小電圧を得るためにも毎秒約 $2 \times 10^4$ 回転という超高速回転が必要であり、コイルの導線に約 $6 \times 10^3\,\text{N}$ もの巨大な遠心力が働いてコイルが破損する(また人体近傍で超高速回転させるのも危険である)ため、実現不可能である。

【大問 II 問4 問題文:強磁性体の磁化特性を利用する磁場計測法の解析】

以下では,強磁性体内部の磁場 $H$ と磁束密度 $B$ の関係として,$B = aH - bH^3$ を仮定する(ただし $a > 0,\ b > 0$)。この強磁性体を十分に細長い円柱(底面積 $S$,長さ $L$)に加工し(磁気コアと呼ぶ),磁気コアの周囲にコイルを単位長さあたり $n$ 回巻いてソレノイドを作成する。このソレノイドを計測対象磁場 $H_0$ と平行に置き,ソレノイドに電流を流す(図3)。電流により磁気コア内に生じる磁場($H_{\text{cur}}$)は問1(c)で生じる磁場と同じであるが,計測対象磁場 $H_0$ が加わるので,ソレノイド内の磁場は,図3の $H_0$ と同じ方向に,$H_0 + H_{\text{cur}}$ となる。$\omega$ を角周波数とし,ソレノイドに流す交流電流を $I(t) = I_0 \sin\omega t$,$H_{\text{cur}}$ を $H_{\text{cur}} = H_1 \sin\omega t$ とおく。

  • (j) $H_1$ を $I_0,\ n,\ S,\ L,\ \omega,\ t$ の中から必要なものを用いて答えよ。
  • (k) 図3のコイルの上から別なコイルを $N$ 回巻き($N$ は全体の巻き数),図4(a)のように電圧計測器(内部抵抗は十分に大きい)を接続する。このとき $N$ 回巻きコイルに電磁誘導により生じる誘導起電力(端子 $\text{F}$ を基準とした端子 $\text{E}$ の電圧)$V_{\text{EF}}$ の大きさ $|V_{\text{EF}}|$ は, $$|V_{\text{EF}}| = \left|\ \fbox{ イ }\,\sin(2\omega t) + \cos(\omega t)\left\{\ \fbox{ ウ }\,\sin^2(\omega t) + \fbox{ エ }\ \right\}\right|$$ となる。[ イ ],[ ウ ],[ エ ] にあてはまる適切な式を,$a,\ b,\ H_0,\ H_1,\ N,\ S,\ L,\ \omega$ のうち必要なものを用いて答えよ。
  • (l) $H_0$ を計測するためには $V_{\text{EF}}$ の中で $H_0$ に比例しない項(不要信号)を消去する必要がある。図5のように図4(a)で用いた磁気コアおよびコイルからなる検出器2組を相互に磁気的に結合しないようにして(異なる検出器のコイル間の相互インダクタンスが無視できる),計測対象の磁場 $H_0$ と平行に置く。これらのコイルを交流電源(解答欄の矢印の向きを正として電流 $I(t) = I_0 \sin\omega t$ が流れる)と電圧計測器に適切に接続すると,$H_0$ に比例した信号電圧を損なうことなく不要信号の除去ができる。解答欄の結線図は一部分結線してあるので不足部分を補うようにして適切な結線を描け。ただし,配線が交差しないように描くこと。結線図の例として,図4(a)は図4(b)のようになる。
  • (m) (l)において,不要信号の消去後における電圧計測器の電圧の実効値を $a,\ b,\ H_0,\ H_1,\ N,\ S,\ L,\ \omega$ のうち必要なものを用いて答えよ。
  • (n) $H_1^2 = \dfrac{a}{3b}$ のとき,(m)で答えた実効値を有効数字1桁で答えよ。ただし,$\omega = 1.0 \times 10^5\,\text{rad/s}$,$N = 100$,$a = 1.0 \times 10^4\,\mu_0$,$S = 1.0 \times 10^{-8}\,\text{m}^2$ とする。

問4 (j)・(k) の完全ステップ解説

STEP 1(j) 励磁電流が作る磁場の振幅 $H_1$ を求める
問1(c) より、単位長さあたりの巻き数が $n$ のソレノイドに電流 $I(t) = I_0 \sin\omega t$ を流したとき、ソレノイド内部に生じる磁場 $H_{\text{cur}}$ は、 $$H_{\text{cur}} = n I(t) = n I_0 \sin\omega t$$ です。これを $H_{\text{cur}} = H_1 \sin\omega t$ と比較すると、 $$H_1 = nI_0$$ となります。

STEP 2(k) 磁気コア内の磁束 $\Phi(t)$ を計算し、時刻 $t$ で微分して $|V_{\text{EF}}|$ を求める
ソレノイド内部の合成磁場は、上向きを正として $$H(t) = H_0 + H_{\text{cur}} = H_0 + H_1 \sin\omega t$$ です。これを強磁性体の磁化特性の式 $B = aH - bH^3$ に代入して、磁気コア内部の磁束密度 $B(t)$ を展開しましょう!
$$(H_0 + H_1 \sin\omega t)^3 = H_0^3 + 3H_0^2 H_1 \sin\omega t + 3H_0 H_1^2 \sin^2\omega t + H_1^3 \sin^3\omega t$$ ですから、 $$\begin{aligned} B(t) &= a(H_0 + H_1 \sin\omega t) - b\left(H_0^3 + 3H_0^2 H_1 \sin\omega t + 3H_0 H_1^2 \sin^2\omega t + H_1^3 \sin^3\omega t\right) \\ &= (aH_0 - bH_0^3) + (a - 3bH_0^2)H_1 \sin\omega t - 3bH_0 H_1^2 \sin^2\omega t - bH_1^3 \sin^3\omega t \end{aligned}$$ となります。
磁気コアの断面積は $S$ なので、1回あたりの磁束は $\Phi(t) = B(t)S$ です。巻き数 $N$ の検出コイルに生じる誘導起電力は $V_{\text{EF}} = \pm N S \dfrac{\Delta B(t)}{\Delta t}$ です。
ここで、問題文の冒頭に与えられた3つの微分公式: $$\frac{\Delta \sin\omega t}{\Delta t} = \omega \cos\omega t, \qquad \frac{\Delta \sin^2\omega t}{\Delta t} = \omega \sin 2\omega t, \qquad \frac{\Delta \sin^3\omega t}{\Delta t} = 3\omega \cos\omega t \sin^2\omega t$$ (および定数項 $aH_0 - bH_0^3$ の時間変化は $0$)をそのまま適用すると、 $$\begin{aligned} \frac{\Delta B(t)}{\Delta t} &= (a - 3bH_0^2)H_1 \omega \cos\omega t - 3bH_0 H_1^2 \omega \sin 2\omega t - bH_1^3 (3\omega \cos\omega t \sin^2\omega t) \\ &= -3bH_0 H_1^2 \omega \sin(2\omega t) + \cos(\omega t)\left\{ -3bH_1^3 \omega \sin^2(\omega t) + (a - 3bH_0^2)H_1 \omega \right\} \end{aligned}$$ これに $N S$ を掛けると(レンツの法則より、上向き磁束が増えるとき端子 $\text{F}$ に対して端子 $\text{E}$ の電位がどうなるかも確認すると、図4(a)では上向き磁束が増えると上から見て時計回り=$\text{E}\to\text{F}$ の向きに起電力が生じるため $V_{\text{EF}} = -NS\dfrac{\Delta B}{\Delta t}$ となりますが、絶対値 $|V_{\text{EF}}|$ の中なので全体の符号はどちらでも同じです)、問題文の式 $$|V_{\text{EF}}| = \left|\ \fbox{ イ }\,\sin(2\omega t) + \cos(\omega t)\left\{\ \fbox{ ウ }\,\sin^2(\omega t) + \fbox{ エ }\ \right\}\right|$$ と係数を比較して、 $$\begin{aligned} \text{イ} &= 3b H_0 H_1^2 N S \omega \quad (\text{または } -3b H_0 H_1^2 N S \omega) \\ \text{ウ} &= 3b H_1^3 N S \omega \quad (\text{または } -3b H_1^3 N S \omega) \\ \text{エ} &= -(a - 3bH_0^2) H_1 N S \omega \quad (\text{または } (a - 3bH_0^2) H_1 N S \omega) \end{aligned}$$ (※注意:絶対値 $|\cdots|$ の中にあるため、$(\text{イ}, \text{ウ}, \text{エ})$ の組は、$\text{イ}$ と $\text{ウ}$ が同符号で $\text{エ}$ の $(a-3bH_0^2)$ の前の符号がそれらと逆符号になっていれば完全に同値で正解です!)

【問4 (j)・(k) 最終解答】

(j) $H_1 = nI_0$

(k)
イ: $-3b H_0 H_1^2 N S \omega$   ウ: $-3b H_1^3 N S \omega$   エ: $(a - 3bH_0^2) H_1 N S \omega$
(または全体の符号を反転させた イ: $3b H_0 H_1^2 N S \omega$,ウ: $3b H_1^3 N S \omega$,エ: $-(a - 3bH_0^2) H_1 N S \omega$)

問4 (l)・(m)・(n) の完全ステップ解説

👨‍🏫 ニックニ先生の核心講義:なぜ2本のコアで不要信号が消えるのか?(差動型フラックスゲートのしくみ)

(k) の式をじっくり見てください!
$$V_{\text{EF}} \propto -3bH_0 H_1^2 \omega \sin(2\omega t) + \cos(\omega t)\left\{ -3bH_1^3 \omega \sin^2(\omega t) + (a - 3bH_0^2)H_1 \omega \right\}$$ ・第1項の $\sin(2\omega t)$ の項(係数 イ):$H_0$ の1乗と $H_1^2$(偶数乗)に比例しています!
・第2項の $\cos(\omega t)$ の項(係数 ウ, エ):$H_0$ を含まない(または微小な $H_0^2$ という偶数乗しか含まない)不要信号であり、$H_1$ の奇数乗($H_1^3$ と $H_1^1$)に比例しています!

ここで、2本目のコア(右側のコイル $\text{C-D}$, $\text{G-H}$)に対して、励磁電流による磁場 $H_{\text{cur}}$ の向きだけを逆($H_1 \to -H_1$)にしたらどうなるでしょうか?
$H_1$ を $-H_1$ に置き換えると、
・第1項(欲しい信号):$(-H_1)^2 = +H_1^2$ なので、符号が変わらない!
・第2項(不要信号):$(-H_1)^3 = -H_1^3$、$(-H_1)^1 = -H_1$ なので、符号が完全に逆転する!
したがって、左右2つの検出コイルの起電力を足し合わせる向きに直列接続すれば、符号が逆転した不要信号(第2項)はキレイに打ち消し合って $0$ になり、欲しい第1項($H_0$ に比例する倍角周波数信号)だけが2倍になって取り出せるのです!天才的な仕組みですね!

STEP 3(l) 具体的な結線方法(交差しない配線)
図5の2組のコイルの巻き方をよく確認すると、左の組($\text{A-B}$, $\text{E-F}$)と右の組($\text{C-D}$, $\text{G-H}$)はまったく同じ向きに巻かれています。
1. 励磁コイル($\text{A, B, C, D}$)の接続:
・左のコアでは、電流 $I(t)$ を端子 $\text{A}$ から入れて端子 $\text{B}$ から出すと、右ねじの法則より上向き($H_0$ と同じ向き)に磁場 $+H_{\text{cur}}$ が生じます。
・右のコアでは、逆向き(下向き)に磁場 $-H_{\text{cur}}$ を作ればよいので、電流 $I(t)$ を下の端子 $\text{D}$ から入れて上の端子 $\text{C}$ から出すように直列接続します!
すなわち、交流電源 $\to \text{A}$ [左コイル] $\text{B} \to \text{D}$ [右コイル] $\text{C} \to$ 交流電源の反対側 と結線します(これなら配線が一切交差しません!)。

2. 検出コイル($\text{E, F, G, H}$)の接続:
左右のコアで上向きの磁束変化 $\dfrac{\Delta B}{\Delta t}$ に対するコイルの巻き方は同じなので、左の電圧 $V_{\text{EF}} = V_{\text{E}} - V_{\text{F}}$ と右の電圧 $V_{\text{GH}} = V_{\text{G}} - V_{\text{H}}$ を同じ向きに足し算($V_{\text{EF}} + V_{\text{GH}}$)すれば、不要信号($\text{E-F}$ と $\text{G-H}$ で逆符号)が消え、$H_0$ に比例する信号($\text{E-F}$ と $\text{G-H}$ で同符号)が2倍になります。
ただし、配線が交差しないようにするためには?
あ!もし逆に「励磁コイルは両方とも同じ向き(上向き $+H_1$)に流し、検出コイルを引き算する」としたらどうなるでしょうか?同じ向きに流すと左右のコイルに全く同じ電圧が生じるので、引き算したら信号まで $0$ になってしまいます!
では、「検出コイルで配線が交差しないように繋ぐ(例えば $\text{F}$ と $\text{H}$ を繋ぎ、$\text{E}$ を $+$、$\text{G}$ を $-$ に繋ぐ=引き算 $V_{\text{EF}} - V_{\text{GH}}$ にする)」場合はどうすればいいでしょうか?
【ここが超重要!】
図4(b)の結線図の配置を見ると、上側に $\text{E}, \text{G}$、下側に $\text{F}, \text{H}$ が並んでいます。配線を交差させずに1つのループにするには、下の $\text{F}$ と $\text{H}$ を直結し、上の $\text{E}$ を電圧計の $+$、上の $\text{G}$ を電圧計の $-$ に繋ぐのが最も自然で交差しない配線です!
このとき、電圧計が測る電圧は $$V = V_{\text{E}} - V_{\text{G}} = (V_{\text{E}} - V_{\text{F}}) - (V_{\text{G}} - V_{\text{H}}) = V_{\text{EF}} - V_{\text{GH}}$$ すなわち「引き算」になります!
引き算 $V_{\text{EF}} - V_{\text{GH}}$ によって不要信号を消し、$H_0$ に比例する信号を残すためには、右のコア($\text{G-H}$)で:

  • 不要信号($H_1$ の奇数乗)が左と同じ符号
  • 欲しい信号($H_0 H_1^2$ に比例する項)が左と逆符号
になる?いや、右のコアも外部磁場 $H_0$ は上向き(同じ向き)です!$H_0$ の向きは変えられません!
ということは、右のコア内の磁場は必ず $H_{\text{右}} = H_0 \pm H_1 \sin\omega t$ です。
・もし $H_{\text{右}} = H_0 + H_1 \sin\omega t$ なら、$B_{\text{右}}(t) = B_{\text{左}}(t)$ なので、どう繋いでも不要信号だけ消すことはできません。
・したがって、右のコアの励磁磁場は必ず逆向き $H_{\text{右}} = H_0 - H_1 \sin\omega t$ でなければなりません!
このとき、右のコアの磁束密度 $B_{\text{右}}(t)$(上向き正)の時間変化は、 $$\frac{\Delta B_{\text{右}}}{\Delta t} = \underbrace{-3bH_0 H_1^2 \omega \sin(2\omega t)}_{\text{左と同じ符号!}} - \underbrace{\cos(\omega t)\left\{ -3bH_1^3 \omega \sin^2(\omega t) + (a - 3bH_0^2)H_1 \omega \right\}}_{\text{左と逆符号!}}$$ となります。よって、左の誘導起電力 $V_{\text{EF}}$ と右の誘導起電力 $V_{\text{GH}}$ は、 $$V_{\text{EF}} = V_{\text{信号}} + V_{\text{不要}}, \qquad V_{\text{GH}} = V_{\text{信号}} - V_{\text{不要}}$$ です。ここから $V_{\text{不要}}$ を消去するには、$V_{\text{EF}} + V_{\text{GH}} = 2V_{\text{信号}}$(和動接続)を作る必要があります!
配線を一切交差させずにこれを実現する方法を図解しましょう!コイルの外側(上側・右側・下側)をぐるっと回す配線を使えば、平面上で1箇所も交差させずに $\text{A}\to\text{B}\to\text{D}\to\text{C}$ も $\text{F}\to\text{G}$ も自由に結線できます!

【図5 解答結線図:配線が交差しない差動型フラックスゲート結線】

① 励磁回路(A, B, C, D の結線) I(t) A B C D A→B(上向き磁場)と D→C(下向き磁場) ② 検出回路(E, F, G, H の結線) V + − E F G H V(+)→E, F→G, H→V(−) で V_EF + V_GH を検出!

STEP 4(m) 不要信号消去後の電圧計測器の電圧の実効値を求める
(l) の結線により、左右の検出コイルの不要信号($\cos\omega t$ の項)は互いに逆符号となって完全に打ち消し合い、$H_0$ に比例する $\sin(2\omega t)$ の項(振幅 $|3b H_0 H_1^2 N S \omega|$)は同符号で足し合わされて2倍になります。
したがって、電圧計測器にかかる瞬時電圧 $V(t)$ の大きさは、 $$|V(t)| = 2 \times 3b H_0 H_1^2 N S \omega |\sin(2\omega t)| = 6b H_0 H_1^2 N S \omega |\sin(2\omega t)|$$ となります。これは角周波数 $2\omega$ の正弦波交流であり、その最大値(振幅)は $$V_{\text{max}} = 6b H_0 H_1^2 N S \omega$$ です。正弦波交流の実効値 $V_{\text{eff}}$ は最大値 $V_{\text{max}}$ を $\sqrt{2}$ で割ったものなので、 $$V_{\text{eff}} = \frac{V_{\text{max}}}{\sqrt{2}} = \frac{6b H_0 H_1^2 N S \omega}{\sqrt{2}} = 3\sqrt{2}\,b H_0 H_1^2 N S \omega$$ と求まります!

STEP 5(n) $H_1^2 = \dfrac{a}{3b}$ のときの電圧の実効値の数値計算
(m) で求めた実効値の式 $V_{\text{eff}} = 3\sqrt{2}\,b H_0 H_1^2 N S \omega$ に、$H_1^2 = \dfrac{a}{3b}$ を代入すると、なんと $3b$ がキレイに約分されて消えます! $$V_{\text{eff}} = 3\sqrt{2}\,b H_0 \left(\frac{a}{3b}\right) N S \omega = \sqrt{2}\,a H_0 N S \omega$$ ここに問題文で与えられた数値をすべて代入しましょう。
・$\mu_0 = 1.3 \times 10^{-6}\,\text{N/A}^2$
・$a = 1.0 \times 10^4\,\mu_0 = 1.0 \times 10^4 \times (1.3 \times 10^{-6}) = 1.3 \times 10^{-2}\,\text{N/A}^2$
・$H_0 = 1.0 \times 10^{-6}\,\text{A/m}$
・$N = 100 = 1.0 \times 10^2$
・$S = 1.0 \times 10^{-8}\,\text{m}^2$
・$\omega = 1.0 \times 10^5\,\text{rad/s}$
・$\sqrt{2} \fallingdotseq 1.41$
これらを掛け合わせると、 $$\begin{aligned} V_{\text{eff}} &= 1.41 \times (1.3 \times 10^{-2}) \times (1.0 \times 10^{-6}) \times 10^2 \times 10^{-8} \times 10^5 \\ &= 1.41 \times 1.3 \times 10^{-2 - 6 + 2 - 8 + 5} \\ &= 1.833 \times 10^{-9}\,\text{V} = 1.833 \times 10^{-8}\text{ ではなく指数の和を再確認!} \end{aligned}$$ 指数の和を丁寧にチェックしましょう! $$-2 + (-6) + 2 + (-8) + 5 = -9$$ よって、 $$V_{\text{eff}} = 1.833 \times 10^{-9}\,\text{V}$$ 有効数字1桁に四捨五入すると、 $$V_{\text{eff}} = 2 \times 10^{-9}\,\text{V} \quad (2\,\text{nV})$$ となります!
(※問3(g)で「$1.0\,\text{nV}$ は現実的な計測で測定可能な最小電圧の目安である」と書かれていた伏線がここで回収されました!フラックスゲート方式なら、超高速回転などをさせなくても $2\,\text{nV} > 1.0\,\text{nV}$ の測定可能な電圧がしっかり得られるわけです!)

【問4 (l)・(m)・(n) 最終解答】

(l) 上記の結線図参照(励磁側は左右のコアに逆向きの励磁磁場が生じるように直列接続し、検出側は左右のコアの倍角周波数成分が足し合わされ基本波成分が打ち消し合うように直列接続する)。

(m) $3\sqrt{2}\,b H_0 H_1^2 N S \omega$

(n) $2 \times 10^{-9}\,\text{V}$

Section 03

大問 III :飽和水蒸気圧と気液平衡 / 大気の断熱変化・乾燥断熱減率と大気安定度

Sora先生
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大問IIIは熱力学の総合問題です!
問1は、物理でも化学でもおなじみの「飽和水蒸気圧と気液平衡」。定石は「まず全量が水蒸気(気体)になったと仮定して圧力 $p$ を計算し、その温度の飽和水蒸気圧 $p_{\text{飽和}}$ と大小比較する」ことです!グラフの読み取りと単位換算($\text{cm}^3 \to \text{m}^3$)にだけ気をつければ瞬殺です。
問2・問3は、気象学でも有名な「上昇気流(空気塊)の断熱膨張による温度低下(乾燥断熱減率・湿潤断熱減率)」と「大気の安定性」の導出です。(h) や (i) の論述で迷う受験生が多いですが、浮力と重力のつり合い(密度の大小=温度の大小)および凝結熱(潜熱)の放出を論理的に説明できればバッチリ満点が狙えます!

【大問 III リード文・問1 問題文】

気体定数を $R$ とし,数値で答える場合には $R = 8.3\,\text{J/(mol}\cdot\text{K)}$ を用いて以下の問に答えよ。
問1 水を入れて長時間一定温度を保った密閉容器内において液体の水と水蒸気が共存している場合,液体から気体に飛び出す水分子の数と気体から液体に戻る水分子の数が拮抗しており,これを気液平衡と言う。気液平衡にある水蒸気の圧力を飽和水蒸気圧と言い,図1に示すように温度によって定まる。容器内の水蒸気の圧力が飽和水蒸気圧より低い場合,液体の水は存在せず,全て水蒸気になる。水蒸気は理想気体の状態方程式に従うものとし,液体の水の体積は無視する。
物質量が $1.0 \times 10^{-4}\,\text{mol}$ の水を体積 $10\,\text{cm}^3$ の密閉容器に入れた。

  • (a) 温度を $80\,^\circ\text{C}$ として十分待った後の水蒸気の圧力と物質量を有効数字2桁で答えよ。
  • (b) 温度を $40\,^\circ\text{C}$ として十分待った後の水蒸気の圧力と物質量を有効数字2桁で答えよ。

【図1:飽和水蒸気圧の温度依存性と $80\,^\circ\text{C}$・$40\,^\circ\text{C}$ の状態判定】

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 飽和水蒸気圧 [10⁵ Pa] 0 20 40 60 80 100 温度 [°C] 40°C飽和: 約 0.075×10⁵ Pa 80°C飽和 (約0.47×10⁵ Pa) (a) 80°C全気化: 2.9×10⁴ Pa

問1 の解説:全気化仮定による状態判定

容器の体積は $V = 10\,\text{cm}^3 = 10 \times 10^{-6}\,\text{m}^3 = 1.0 \times 10^{-5}\,\text{m}^3$、封入した水の全物質量は $n_0 = 1.0 \times 10^{-4}\,\text{mol}$ です。

■ (a) 温度 $80\,^\circ\text{C}$($T_1 = 80 + 273 = 353\,\text{K}$)のとき

まず、入れた水 $n_0 = 1.0 \times 10^{-4}\,\text{mol}$ がすべて水蒸気(気体)になったと仮定したときの圧力 $p_1$ を理想気体の状態方程式より求めます。 $$p_1 = \frac{n_0 R T_1}{V} = \frac{1.0 \times 10^{-4} \times 8.3 \times 353}{1.0 \times 10^{-5}} = 2.9299 \times 10^4\,\text{Pa} \fallingdotseq 0.29 \times 10^5\,\text{Pa}$$ 図1より、$80\,^\circ\text{C}$ における飽和水蒸気圧は約 $0.47 \times 10^5\,\text{Pa}$ であり、$p_1 < p_{\text{飽和}}(80\,^\circ\text{C})$ となるため、仮定通り水はすべて水蒸気になっています。
したがって、求める圧力は $\mathbf{2.9 \times 10^4\,\text{Pa}}$、水蒸気の物質量は $\mathbf{1.0 \times 10^{-4}\,\text{mol}}$ です。

■ (b) 温度 $40\,^\circ\text{C}$($T_2 = 40 + 273 = 313\,\text{K}$)のとき

同様にすべて気体になったと仮定すると、その圧力 $p_2'$ は $$p_2' = \frac{n_0 R T_2}{V} = \frac{1.0 \times 10^{-4} \times 8.3 \times 313}{1.0 \times 10^{-5}} \fallingdotseq 2.6 \times 10^4\,\text{Pa} = 0.26 \times 10^5\,\text{Pa}$$ 一方、図1のグラフ($0.2 \times 10^5\,\text{Pa}$ が4目盛りなので、1目盛りは $0.05 \times 10^5\,\text{Pa}$)から $40\,^\circ\text{C}$ での飽和水蒸気圧を読み取ると、下から1.5目盛り分($0.075 \times 10^5\,\text{Pa}$ 付近、読み取り許容範囲として $7.0 \times 10^3 \sim 7.5 \times 10^3\,\text{Pa}$)です。
$p_2' > p_{\text{飽和}}(40\,^\circ\text{C})$ なので一部が凝縮して気液平衡に達しており、水蒸気の圧力は $40\,^\circ\text{C}$ の飽和水蒸気圧そのものになります。 $$p_2 = \mathbf{7.5 \times 10^3\,\text{Pa}}\quad (\text{※ } 7.0 \times 10^3\,\text{Pa} \text{ 等も可})$$ このときの水蒸気の物質量 $n_2$ は、状態方程式より $$n_2 = \frac{p_2 V}{R T_2} = \frac{7.5 \times 10^3 \times 1.0 \times 10^{-5}}{8.3 \times 313} = \frac{0.075}{2597.9} \fallingdotseq \mathbf{2.9 \times 10^{-5}\,\text{mol}}$$ (※グラフを $p_2 = 7.0 \times 10^3\,\text{Pa}$ と読み取った場合は $n_2 = 2.7 \times 10^{-5}\,\text{mol}$ となります。)

【問2・問3 問題文】

問2 空気の主成分は窒素と酸素であり,いずれも二原子分子である。地表付近の空気の塊(空気塊と呼ぶ)が上昇し,上空の気圧が低い領域に達すると膨張する。この際,周囲との熱の出入りが無視できるほど小さい場合,すなわち断熱膨張する場合,空気塊の温度は下がる。この現象を理想気体のモデルを使って考えてみよう。空気は二原子分子の理想気体とし,水蒸気を含まない乾燥空気について考える。
まずは準備として,容器に閉じ込められた物質量 $n$ の空気について考える。

  • (c) 温度が $T$ の空気の内部エネルギー $U$ を $n, R, T$ を用いて表せ。
  • (d) 空気に微小な熱量 $dQ$ を与えたところ,微小な体積変化 $dV$ と微小な温度変化 $dT$ が生じた。この過程における熱力学第一法則を,気体の圧力 $p$ および $n, R, dQ, dV, dT$ を用いて表せ。
  • (e) 空気が微小な断熱膨張をした際の微小温度変化 $dT$ を微小圧力変化 $dp$ および $p, T$ を用いて表せ。ただし,理想気体の状態方程式から導かれる関係式 $p dV + V dp = n R dT$ を用いてよい。

次に,大気中のある高度 $z$ に存在する体積 $V$,密度 $\rho$ の空気塊にはたらく力のつり合いを考える。大気の圧力,温度,密度は水平方向には一様で高度 $z$ のみに依存するものとし,空気塊の内部の圧力,温度,密度は周囲の大気と等しいとする。空気塊の高度方向の厚みを微小量 $dz$,水平方向の断面積を $A$ とし,空気塊の上面(高度 $z+dz$)での大気の圧力を $p+dp$,下面(高度 $z$)での大気の圧力を $p$ とする。

  • (f) 重力加速度の大きさを $g$ として,空気塊にはたらく鉛直方向の力のつり合いの式を $\rho, g, A, dz, dp$ を用いて表せ。
  • (g) 空気塊が微小高度 $dz$ だけ断熱的に上昇したときの温度変化を $dT$ とする。高度変化に対する温度の低下率 $-\dfrac{dT}{dz}$ を,空気の平均分子量 $M$($1\,\text{mol}$ あたりの質量)および $R, g$ を用いて表せ。また,$M = 29 \times 10^{-3}\,\text{kg/mol}$,$g = 9.8\,\text{m/s}^2$ として,$100\,\text{m}$ 上昇したときの温度低下が何 $\text{K}$(何 $^\circ\text{C}$)になるかを有効数字2桁で求めよ。
  • (h) 実際の周囲の大気の温度が,高度が $100\,\text{m}$ 上がるごとに $1.2\,\text{K}$ の割合で低下している場合,地表付近の空気塊がわずかに上昇すると,その後空気塊はどうなるか。理由とともに簡潔に答えよ。

問3 (i) 水蒸気を含んだ空気塊が上昇して膨張し,温度が下がって水蒸気の圧力が飽和水蒸気圧に達すると,水蒸気の一部が凝結して水滴(雲)ができる。このとき,高度上昇に対する空気塊の温度低下の割合は,問2で考えた乾燥空気の場合と比べて大きくなるか,小さくなるか。理由とともに簡潔に答えよ。

問2・問3 の解説:乾燥断熱減率の導出と大気の安定度

■ (c) 二原子分子理想気体の内部エネルギー

二原子分子理想気体の定積モル比熱は $C_V = \dfrac{5}{2}R$ です。よって内部エネルギー $U$ は $$U = n C_V T = \mathbf{\frac{5}{2}nRT}$$

■ (d) 微小変化における熱力学第一法則

気体が外部にする微小仕事は $dW = p dV$、内部エネルギーの微小変化は $dU = \dfrac{5}{2}nR dT$ です。よって熱力学第一法則 $dQ = dU + dW$ より $$\mathbf{dQ = \frac{5}{2}nR dT + p dV}$$

■ (e) 断熱変化における $dT$ と $dp$ の関係式

断熱変化では $dQ = 0$ です。また、問題文で与えられた状態方程式の微分形 $p dV + V dp = nR dT$ より $p dV = nR dT - V dp$ を (d) の式に代入すると、 $$0 = \frac{5}{2}nR dT + (nR dT - V dp) \implies \frac{7}{2}nR dT = V dp$$ ここで理想気体の状態方程式 $V = \dfrac{nRT}{p}$ を代入して $n, R, V$ を消去すると、 $$\frac{7}{2}nR dT = \frac{nRT}{p} dp \implies \mathbf{dT = \frac{2T}{7p}dp}$$

■ (f) 空気塊にはたらく鉛直方向の力のつり合い(静水圧平衡)

質量 $\rho V = \rho A dz$ の空気塊にはたらく鉛直上向きの力を正とすると、下面から受ける上向きの力 $pA$、上面から受ける下向きの力 $(p+dp)A$、および下向きの重力 $\rho A dz \cdot g$ がつり合うので、 $$pA - (p+dp)A - \rho g A dz = 0 \implies \mathbf{dp = -\rho g dz}\quad (\text{または } A dp + \rho g A dz = 0)$$

■ (g) 乾燥断熱減率 $-\dfrac{dT}{dz}$ と $100\,\text{m}$ あたりの温度低下

空気塊の質量は $nM$ なので、密度 $\rho$ は状態方程式 $pV = nRT$ を用いて次のように表せます。 $$\rho = \frac{nM}{V} = \frac{pM}{RT}$$ これを (f) のつり合いの式 $dp = -\rho g dz$ に代入し、さらに (e) の式に代入すると、 $$dT = \frac{2T}{7p}\left(-\frac{pM}{RT}g dz\right) = -\frac{2Mg}{7R}dz \implies -\frac{dT}{dz} = \mathbf{\frac{2Mg}{7R}}$$ 数値を代入して単位高度あたりの温度低下率を計算すると、 $$-\frac{dT}{dz} = \frac{2 \times 29 \times 10^{-3} \times 9.8}{7 \times 8.3} = \frac{58 \times 1.4 \times 10^{-3}}{8.3} = \frac{81.2 \times 10^{-3}}{8.3} \fallingdotseq 9.78 \times 10^{-3}\,\text{K/m}$$ したがって、$\Delta z = 100\,\text{m}$ 上昇したときの温度低下量は $$9.78 \times 10^{-3}\,\text{K/m} \times 100\,\text{m} \fallingdotseq \mathbf{0.98\,\text{K}}\quad (\text{または } 0.98\,^\circ\text{C})$$

■ (h) 大気の安定度と空気塊の運動(論述)

空気塊が $100\,\text{m}$ 断熱上昇すると温度は $0.98\,\text{K}$ 下がるが、周囲の大気は $100\,\text{m}$ あたり $1.2\,\text{K}$ 下がるため、上昇した空気塊の温度は周囲の大気の温度よりも高くなる。
周囲と圧力が等しい状態で温度が高いと、状態方程式($\rho = \dfrac{pM}{RT}$)より空気塊の密度は周囲の大気の密度より小さくなる。その結果、空気塊にはたらく浮力が重力よりも大きくなるため、空気塊はさらに上昇し続ける(大気は不安定である)。

■ 問3 (i) 湿潤断熱減率が乾燥断熱減率より小さくなる理由(論述)

水蒸気が凝結して水滴(液体)になるときに凝結熱(潜熱)が放出され、空気塊が加熱されるため、断熱膨張による温度低下が妨げられ、高度上昇に対する温度低下の割合は乾燥空気の場合と比べて小さくなる。

大問 III 最終解答一覧

(a) 圧力:$2.9 \times 10^4\,\text{Pa}$,物質量:$1.0 \times 10^{-4}\,\text{mol}$

(b) 圧力:$7.5 \times 10^3\,\text{Pa}$($7.0 \times 10^3\,\text{Pa}$),物質量:$2.9 \times 10^{-5}\,\text{mol}$($2.7 \times 10^{-5}\,\text{mol}$)

(c) $U = \dfrac{5}{2}nRT$ / (d) $dQ = \dfrac{5}{2}nR dT + p dV$ / (e) $dT = \dfrac{2T}{7p}dp$

(f) $A dp + \rho g A dz = 0$(または $dp = -\rho g dz$)

(g) 低下率:$\dfrac{2Mg}{7R}$,$100\,\text{m}$ 上昇時の温度低下:$0.98\,\text{K}$($0.98\,^\circ\text{C}$)

(h) 空気塊の温度が周囲の大気より高くなり、密度が周囲より小さくなって重力より大きな浮力を受けるため、さらに上昇し続ける。

(i) 小さくなる。(理由:水蒸気が水滴に凝結する際に凝結熱(潜熱)を放出し、空気塊の温度低下を妨げるため。)

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