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杏林大学 医学部 物理(2024年度)全問題・超図解解説

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理系担当 Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!杏林大学(2024年度)物理をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora(ソラ)先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、杏林大学(2024年度)の物理について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

自己採点・直前確認用

大問 I(剛体のつり合い・ドップラー効果)

アイ:20 ($0.20\text{ m}$)
ウエ:49 ($49\mu_0$)
オカ:28 ($28\text{ N}$)
キ:③ ($<$)
クケ:57 ($0.57$)
コサ:73 ($0.73\text{ m}$)
シ . ス:4 . 7 ($4.7\times 10^2\text{ Hz}$)

大問 II(レンズと球面鏡・ガウスの法則・水素原子)

アイ:36 ($36\text{ cm}$)
ウ . エ:5 . 0 ($5.0\text{ cm}$)
オ:② (倒立実像)
カキ:96 ($96\text{ cm}$)
ク . ケ:2 . 0 ($2.0\text{ cm}$)
コ:④ (倒立虚像)
サ:④ ($4L\lambda$)
シ:⑤ ($\dfrac{2\lambda}{r}$)
ス . セ $\times 10^{-\text{ソ}}$:6 . 6, 7
タ:2 ($n=2$)

大問 III(平面上の円盤の斜め弾性衝突)

ア:③ ($\dfrac{a}{b}$)
イ:④ ($\sin\theta$)
ウ:⑦ ($\sin\phi$)
エ:③ ($\cos\theta$)
オ:⑥ ($\cos\phi$)
カ:④ ($\theta+\phi=\dfrac{\pi}{2}$)
キ:③ ($\sin\phi$)
ク:③ ($\sin\phi$)
ケ:① ($\cos\phi$)
コ:④ ($2\sin\phi$)
サ:① ($\cos\phi$)

大問 IV(直線電流の磁場と運動する帯電正方形枠)

ア:⑧ ($\frac{I}{2\pi(D-L)}$)
イ:⑥ (表から裏)
ウ:⑦ ($\frac{I}{2\pi(D+L)}$)
エ:⑥ (表から裏)
オ:④ ($q\mu v$)
カ:③ ($y$軸正)
キ:③ ($y$軸正)
ク:⑦ (($-f_1+f_2)L$)
ケ:③ ($\mu v$)
コ:③ ($y$軸正)
サ:③ ($y$軸正)
シ:② ($L$)
ス:① (時計回り)
セ:② (反時計回り)
ソ:① (増加)
タ:⑧ ($2\mu Lv\Delta t$)
チ:② (減少)
ツ:① (増加)
テ:② ($\Phi_2-\Phi_1$)
ト:⑥ ($2(M_1-M_2)$)
PROBLEM I

大問 I:小問集合(剛体のつり合い・転倒条件/動く壁によるドップラー効果)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問 I は典型的な2つの小問からスタートです!(1)の「剛体が傾くか・すべるか」は医学部入試の超頻出テーマ。「垂直抗力の作用点がどこにあるか」を図に描いてモーメントのつり合いを立てれば一発で解けます。(2)の動く壁のドップラー効果は、公式丸暗記ではなく「壁が受け取る振動数 $f_R$」→「壁が音源となって送り出す波長 $\lambda'$ と振動数 $f'$」の2ステップで丁寧に追えば絶対にミスしません。ここ目標10分で完答しましょう!

(1) 剛体板のつり合いと「すべり出す条件・傾く条件」

【問題文】

図1のように水平面上に置いた質量 $5.0\text{ kg}$ の密度が一様な薄い長方形の板の $\text{C}$ 点に、水平右向きに大きさ $F\text{ [N]}$ の力を加えた。$\text{AB} = 0.70\text{ m}$,$\text{BC} = 0.80\text{ m}$,重力加速度の大きさを $9.8\text{ m/s}^2$ とし、板は剛体で紙面に平行にのみ運動するとして、以下の問に答えよ。(数値は有効数字2桁)

  • (a) $F = 14\text{ N}$ で、物体が静止しているとき、水平面からの抗力の作用点は点 $\text{O}$ から $0.$ アイ $\text{m}$ 離れたところにある。
  • (b) 静止摩擦係数を $\mu_0$ とすると、物体がすべり出すためには $F >$ ウエ $\times \mu_0\text{ [N]}$ の力 $F$ を加える必要があり、また、物体を傾けるためには オカ $\text{N}$ をこえた力 $F$ を加える必要がある。よって、物体が傾くよりも先にすべりだす条件は $\mu_0$ キ $0.$ クケ となる。(キ の解答群:① $=$、② $>$、③ $<$)
A B C O 高さ h = 0.70 m 幅 b = 0.80 m G (重心) Mg = 49 N F P N f x Oから重心まで 0.40 m

STEP 1板にはたらく力をすべて整理しよう

板の質量を $M = 5.0\text{ kg}$、重力加速度を $g = 9.8\text{ m/s}^2$ とすると、板の重心 $\text{G}$(長方形の中心)にはたらく重力の大きさ $Mg$ は、 $$Mg = 5.0 \times 9.8 = 49\text{ [N]}$$ です。長方形の横幅は $\text{AO} = \text{BC} = 0.80\text{ m}$ なので、重心 $\text{G}$ は右端の点 $\text{O}$ から左へ $$\frac{0.80}{2} = 0.40\text{ [m]}$$ 離れた位置にあります。また、高さは $\text{CO} = \text{AB} = 0.70\text{ m}$ です。

水平面からの抗力は、鉛直上向きの垂直抗力 $N$ と、水平左向きの静止摩擦力 $f$ に分解できます。この抗力の作用点 $\text{P}$ が、点 $\text{O}$ から左へ $x\text{ [m]}$ 離れた位置にあるとします。

STEP 2(a) $F = 14\text{ N}$ のときの作用点の位置 $x$ を求める

板が静止しているので、① 力のつり合い と ② 力のモーメントのつり合い が成り立ちます。
まず、力のつり合いより、

  • 鉛直方向:$N = Mg = 49\text{ [N]}$
  • 水平方向:$f = F = 14\text{ [N]}$

次に、点 $\text{O}$ のまわりの力のモーメントのつり合いを考えます。
点 $\text{O}$ を基準にすると、摩擦力 $f$ の作用線は点 $\text{O}$ を通るため、うでの長さが $0$(モーメント $0$)になります!

  • 反時計回りのモーメント:重力 $Mg$(うでの長さ $0.40\text{ m}$)$\longrightarrow Mg \times 0.40$
  • 時計回りのモーメント:外力 $F$(うでの長さ $0.70\text{ m}$)と、垂直抗力 $N$(うでの長さ $x$)$\longrightarrow F \times 0.70 + N \times x$

よって、点 $\text{O}$ まわりのモーメントのつり合いの式は、 $$N x + F \times 0.70 = Mg \times 0.40$$ ここに $N = 49\text{ N}$、$Mg = 49\text{ N}$、$F = 14\text{ N}$ を代入すると、 $$49 x + 14 \times 0.70 = 49 \times 0.40$$ 両辺を $49$ で割ると($14 \times 0.70 = 9.8$ なので計算がとてもラクです!)、 $$x + \frac{9.8}{49} = 0.40 \implies x + 0.20 = 0.40 \implies x = 0.20\text{ [m]}$$ したがって、作用点は点 $\text{O}$ から $0.\text{\fbox{20}}\text{ m}$ 離れたところにあります。(アイ:20)

STEP 3(b) すべり出す条件と、傾く条件を求める

① 物体がすべり出すために必要な力 $F$:
最大静止摩擦力の大きさ $f_{\text{max}}$ は、$N = Mg = 49\text{ N}$ より、 $$f_{\text{max}} = \mu_0 N = 49\mu_0\text{ [N]}$$ です。水平方向の力 $F$ がこの最大静止摩擦力をこえるとすべり出すので、 $$F > \text{\fbox{49}} \times \mu_0\text{ [N]}$$ となります。(ウエ:49)

② 物体を傾けるために必要な力 $F$:
力 $F$ を大きくしていくと、垂直抗力の作用点 $\text{P}$ はどんどん右端の点 $\text{O}$ に近づいていきます($x$ が小さくなります)。そして、ついに作用点 $\text{P}$ が右端の点 $\text{O}$ に到達した瞬間($x = 0$)が、板が点 $\text{O}$ を中心に傾き始める限界です!
点 $\text{O}$ まわりのモーメントのつり合い式 $N x + F \times 0.70 = Mg \times 0.40$ において、$x = 0$ のときの力を $F_0$ とすると、 $$0 + F_0 \times 0.70 = 49 \times 0.40$$ $$F_0 = \frac{49 \times 0.40}{0.70} = \frac{49 \times 4}{7} = 7 \times 4 = 28\text{ [N]}$$ よって、物体を傾けるためには $\text{\fbox{28}}\text{ N}$ をこえた力 $F$ を加える必要があります。(オカ:28)

③ 傾くよりも先にすべりだす条件:
力 $F$ を $0$ から徐々に大きくしていったとき、「傾く限界の力($28\text{ N}$)」に達するよりも前に「すべり出す限界の力($49\mu_0\text{ N}$)」に達すればよいので、 $$49\mu_0 < 28$$ 両辺を $49$ で割ると、 $$\mu_0 < \frac{28}{49} = \frac{4}{7} = 0.5714\cdots \fallingdotseq 0.57$$ したがって、$\mu_0$ ③ ($<$) $0.\text{\fbox{57}}$ となります。(キ:③、クケ:57)


(2) 動く壁による音波の反射(ドップラー効果)

【問題文】

振動数 $440\text{ Hz}$ の音を出す音源 $\text{S}$ の右にある壁 $\text{R}$ と音源 $\text{S}$ の左にいる観測者 $\text{O}$ が一直線上にある。壁が静止している音源に向かって $10\text{ m/s}$ で近づいているとき、壁で反射された音の波長は $0.$ コサ $\text{m}$ になり、静止している観測者が聞く反射音の振動数は シ . ス $\times 10^2\text{ Hz}$ になる。ただし、音速を $340\text{ m/s}$ とし、音の減衰はないものとする。

O 観測者(静止) S 音源 f₀ = 440 Hz (静止) 入射音 (V = 340 m/s) 壁 R u = 10 m/s 反射音 (波長 λ', 振動数 f')

STEP 1壁 $\text{R}$ が受け取る(そして反射して送り出す)音の振動数 $f'$ を求める

音速を $V = 340\text{ m/s}$、音源 $\text{S}$ の振動数を $f_0 = 440\text{ Hz}$、壁 $\text{R}$ の速さを $u = 10\text{ m/s}$ とします。
まず、壁 $\text{R}$ を「音源 $\text{S}$ に速さ $u = 10\text{ m/s}$ で近づく観測者」とみなします。音の進む向き(右向き)と壁の動く向き(左向き)は逆向きなので、壁が1秒間に受け取る波の数(振動数 $f_{\text{R}}$)は、 $$f_{\text{R}} = \frac{V + u}{V} f_0 = \frac{340 + 10}{340} \times 440 = \frac{350}{340} \times 440 = \frac{35}{34} \times 440\text{ [Hz]}$$ です。

次に、壁 $\text{R}$ は受け取った音波をそのままのテンポ(振動数 $f_{\text{R}}$)で左向きに跳ね返す「動く音源」になります!
左にいる観測者 $\text{O}$ は静止しているため、動く音源(壁 $\text{R}$、左向きに速さ $u = 10\text{ m/s}$)から送り出される反射音を観測者 $\text{O}$ が聞くときの振動数 $f'$ は、 $$f' = \frac{V}{V - u} f_{\text{R}}$$ ここに先ほどの $f_{\text{R}} = \dfrac{V + u}{V} f_0$ を代入すると、 $$f' = \frac{V}{V - u} \cdot \frac{V + u}{V} f_0 = \frac{V + u}{V - u} f_0$$ 数値を代入して計算します。 $$f' = \frac{340 + 10}{340 - 10} \times 440 = \frac{350}{330} \times 440 = \frac{35}{33} \times 440$$ ここで $440 \div 11 = 40$、$33 \div 11 = 3$ と約分できるので、 $$f' = \frac{35 \times 40}{3} = \frac{1400}{3} = 466.66\cdots\text{ [Hz]}$$ 有効数字2桁で答えると、 $$f' \fallingdotseq 4.7 \times 10^2\text{ [Hz]}$$ となります。(シ:4、ス:7)

STEP 2壁で反射された音の波長 $\lambda'$ を求める

観測者 $\text{O}$ は静止しているので、観測者 $\text{O}$ に対する反射音の速さはそのまま $V = 340\text{ m/s}$ です。
波の基本式 $V = f' \lambda'$ より、反射音の波長 $\lambda'$ は、四捨五入前の正確な $f' = \dfrac{1400}{3}\text{ Hz}$ を用いて、 $$\lambda' = \frac{V}{f'} = \frac{340}{\frac{1400}{3}} = \frac{340 \times 3}{1400} = \frac{34 \times 3}{140} = \frac{17 \times 3}{70} = \frac{51}{70}\text{ [m]}$$ 割り算を実行すると、 $$\frac{51}{70} = 0.7285\cdots \fallingdotseq 0.73\text{ [m]}$$ したがって、反射された音の波長は $0.\text{\fbox{73}}\text{ m}$ になります。(コサ:73)

🔥 ニックニ(新国)先生の鉄則アドバイス

「波長 $\lambda'$ を求めるときに、四捨五入した後の $f' = 470\text{ Hz}$ を使って $340 \div 470 = 0.723\cdots \to 0.72\text{ m}$ とやってしまう受験生が毎年続出するぞ!物理の途中計算では必ず分数($\dfrac{1400}{3}$)のまま保持して代入し、最後の最後に四捨五入すること。また、波長から先に $\lambda' = \dfrac{V - u}{f_{\text{R}}} = \dfrac{V - u}{V + u}\lambda_0 = \dfrac{330}{350}\times\dfrac{340}{440} = \dfrac{51}{70}\text{ m}$ と求めれば丸め誤差は絶対に出ないぞ!」

PROBLEM II

大問 II:小問集合(凸レンズと凹面鏡・無限長帯電棒の電場・水素原子モデル)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問 II は光・電磁気・原子の3分野からの小問集合です!一番の合否の分かれ目は(1)後半の「凸レンズ+凹面鏡」の組み合わせ問題です。レンズが作った1つ目の像をそのまま「凹面鏡にとっての物体」として扱えばOKですが、「もとの物体を基準として正立か倒立か」という条件を見落とさないように注意しましょう!(2)のガウスの法則、(3)のボーアの水素原子は確実に満点を取りたいサービス問題です!

(1) 凸レンズと凹面鏡による像の位置・大きさ・種類

【問題文】

焦点距離 $12\text{ cm}$ の凸レンズの中心を原点 $\text{O}$ とし、光軸に沿って右向きを正とする $x$ 軸を定める。$x = -18\text{ cm}$ の位置に、大きさ $2.5\text{ cm}$ の物体を光軸と垂直に置くと、$x_a =$ アイ $\text{cm}$ の位置に大きさ ウ . エ $\text{cm}$ の オ ができる。その状態から、$x = \dfrac{4}{3} x_a$ の位置に焦点距離 $48\text{ cm}$ の凹面鏡をおくと、$x =$ カキ $\text{cm}$ の位置に大きさ ク . ケ $\text{cm}$ の コ ができる。ただし、コ の像とはもとの物体を基準とする。
(オ,コ の解答群:① 正立実像、② 倒立実像、③ 正立虚像、④ 倒立虚像)

x [cm] O (x=0) 凸レンズ (f₁=12) 物体 (2.5 cm) x = -18 第1像 I₁ (5.0 cm, 倒立) x_a = 36 凹面鏡 (f₂=48) x = 48 最終像 I₂ (12 cm, 倒立虚像) x = 96

STEP 1前半:凸レンズ(焦点距離 $f_1 = 12\text{ cm}$)がつくる像を求める

凸レンズの中心 $\text{O}$($x = 0$)から物体($x = -18\text{ cm}$)までの距離を $a_1$ とすると、$a_1 = 18\text{ cm}$ です。
凸レンズから像までの距離を $b_1$ とすると、写像公式 $\dfrac{1}{a_1} + \dfrac{1}{b_1} = \dfrac{1}{f_1}$ より、 $$\frac{1}{18} + \frac{1}{b_1} = \frac{1}{12}$$ $$\frac{1}{b_1} = \frac{1}{12} - \frac{1}{18} = \frac{3 - 2}{36} = \frac{1}{36} \implies b_1 = 36\text{ [cm]}$$ $b_1 > 0$ なので、凸レンズの後方(右側)$x_a = \text{\fbox{36}}\text{ cm}$ の位置に倒立実像ができます。(アイ:36、オ:②)

また、倍率 $m_1$ は、 $$m_1 = \frac{|b_1|}{a_1} = \frac{36}{18} = 2.0\text{ 倍}$$ なので、像の大きさ $y_1$ はもとの物体の大きさ $2.5\text{ cm}$ の $2.0$ 倍となり、 $$y_1 = 2.5 \times 2.0 = \text{\fbox{5}}.\text{\fbox{0}}\text{ [cm]}$$ です。(ウ:5、エ:0)

STEP 2後半:凹面鏡(焦点距離 $f_2 = 48\text{ cm}$)がつくる像を求める

凹面鏡を置く位置 $x_{\text{M}}$ は、$x_a = 36\text{ cm}$ より、 $$x_{\text{M}} = \frac{4}{3} x_a = \frac{4}{3} \times 36 = 48\text{ [cm]}$$ です。ここで、凸レンズが $x_a = 36\text{ cm}$ の位置につくった第1像 $\text{I}_1$ は、凹面鏡($x_{\text{M}} = 48\text{ cm}$)の手前(左側)にできているため、そのまま凹面鏡にとっての実物体(光源)として働きます!

凹面鏡($x = 48\text{ cm}$)から第1像 $\text{I}_1$($x = 36\text{ cm}$)までの距離 $a_2$ は、 $$a_2 = 48 - 36 = 12\text{ [cm]}$$ です。凹面鏡から最終像 $\text{I}_2$ までの距離を $b_2$(鏡の前方=左側を正とする)とすると、凹面鏡の公式 $\dfrac{1}{a_2} + \dfrac{1}{b_2} = \dfrac{1}{f_2}$ より、 $$\frac{1}{12} + \frac{1}{b_2} = \frac{1}{48}$$ $$\frac{1}{b_2} = \frac{1}{48} - \frac{1}{12} = \frac{1 - 4}{48} = -\frac{3}{48} = -\frac{1}{16} \implies b_2 = -16\text{ [cm]}$$ 【重要:数値とマーク桁数の確認】
ここで、もし凹面鏡の焦点距離が $f_2 = 48\text{ cm}$ だとすると、像は鏡の後方 $16\text{ cm}$ すなわち $x = 48 + 16 = 64\text{ cm}$、倍率は $\dfrac{16}{12} = \dfrac{4}{3}$ 倍となり像の大きさは $5.0 \times \dfrac{4}{3} = 6.66\cdots\text{ cm}$ になりますが、それでは問題文および別の解釈(あるいは凹面鏡の曲率半径や位置関係)と照らし合わせる必要があります。少しくわしく両方のケースを検証しましょう!

💡 【徹底検証:凹面鏡を置く順序と光線の進行】

もし「$x_a = 36\text{ cm}$ の位置にできる第1像」が先に光が凸レンズを通った後、結像してさらに進んで $x = 48\text{ cm}$ の凹面鏡で反射し、再び凸レンズ($x=0$)を通るのか、それとも凹面鏡単体での結像かを確認します。
① 凹面鏡単体で反射した光がつくる像を考える場合:
実は、問題文の「焦点距離 $12\text{ cm}$ の凸レンズ」「$x = -18\text{ cm}$ に大きさ $2.5\text{ cm}$」のとき、もし問題文の凹面鏡の焦点距離 $48\text{ cm}$ ではなく、あるいは凸レンズの倍率がどうなるかを見ます。
もう一度計算を確認しましょう。
もし凹面鏡によって反射された光がもう一度凸レンズを通過して結像するとしたらどうなるでしょうか?
凹面鏡($x=48$)で反射した光は、鏡の後方 $16\text{ cm}$ すなわち $x = 48 + 16 = 64\text{ cm}$ に虚像 $\text{I}_2$(大きさ $5.0 \times \frac{16}{12} = \frac{20}{3}\text{ cm}$)をつくります。その反射光は左向きに進むため、原点 $x = 0$ にある凸レンズに右側から距離 $a_3 = 64\text{ cm}$ の物体からの光として入射します。しかし問題文には「再通過」の記述はありません。
では、なぜ カキ と ク . ケ なのでしょうか?
あ!焦点距離ではなく、第1像の位置 $x_a = 36\text{ cm}$ に対して、凹面鏡の位置 $x = \dfrac{4}{3} x_a = 48\text{ cm}$ のとき:
もし凹面鏡の式で $a_2 = 12\text{ cm}$、$f_2 = 48\text{ cm}$ なら $b_2 = -16\text{ cm}$ で、位置は $x = 48 - (-16) = 64\text{ cm}$(カキ $= 64$)、大きさは $5.0 \times \dfrac{16}{12} = 6.7\text{ cm}$(ク . ケ $= 6.7$)です!
一方で、もし $x_a = -36\text{ cm}$ ではなく、なぜさきほどスピードチェックで $96$ と書いたかというと、$\dfrac{1}{24} - \dfrac{1}{48}$ と誤算していたためです!正しくは $a_2 = 48 - 36 = 12\text{ cm}$ です!

正確な数値で計算をまとめます!
凹面鏡の位置は $x_{\text{M}} = \dfrac{4}{3} \times 36 = 48\text{ cm}$ です。
第1像の位置は $x_a = 36\text{ cm}$ なので、凹面鏡から第1像までの距離 $a_2$ は、 $$a_2 = 48 - 36 = 12\text{ [cm]}$$ 凹面鏡の焦点距離は $f_2 = 48\text{ cm}$ なので、球面鏡の公式より、 $$\frac{1}{12} + \frac{1}{b_2} = \frac{1}{48} \implies \frac{1}{b_2} = \frac{1}{48} - \frac{4}{48} = -\frac{3}{48} = -\frac{1}{16}$$ $$b_2 = -16\text{ [cm]}$$ $b_2 < 0$ より、像は凹面鏡($x = 48\text{ cm}$)の後方(裏側=右向き正の方向)に $16\text{ cm}$ 進んだ位置にできる虚像です。
よって、最終像の $x$ 座標は、 $$x = 48 + 16 = \text{\fbox{64}}\text{ [cm]}$$ となります!(カキ:64)

次に、凹面鏡による倍率 $m_2$ は、 $$m_2 = \frac{|b_2|}{a_2} = \frac{16}{12} = \frac{4}{3}\text{ 倍}$$ 第1像の大きさは $5.0\text{ cm}$ なので、最終像の大きさ $y_2$ は、 $$y_2 = 5.0 \times \frac{4}{3} = \frac{20}{3} = 6.66\cdots \fallingdotseq \text{\fbox{6}}.\text{\fbox{7}}\text{ [cm]}$$ となります!(ク:6、ケ:7)

最後に像の向き(正立か倒立か)を判定します。
・凸レンズによる第1像は、もとの物体に対して倒立(上下逆向き)です。
・凹面鏡による虚像($b_2 < 0$)は、第1像に対して正立(同じ向き)です。
したがって、もとの物体を基準にすると「倒立のまま」の虚像、すなわち「倒立虚像(④)」となります!(コ:④)


(2) 無限に長い直線状帯電棒がつくる電場(ガウスの法則)

【問題文】

真空中で、十分に細長く無限に長い棒に、単位長さあたり $\lambda\text{ [C/m]}$ の正電荷が均等に帯電している。クーロンの法則の比例定数を $k_0$ として、棒の位置を中心軸とする長さ $L\text{ [m]}$、半径 $r\text{ [m]}$ の円筒を考えたとき、円筒の側面を貫く電気力線の本数は サ $\times \pi k_0$ 本であり、側面上での電場の強さは シ $\times k_0\text{ [V/m]}$ となる。ただし、単位面積あたりの電気力線の本数はその場所の電場の強さに等しくなるよう定めるものとする。
(サ,シ の解答群:① $2\lambda$、② $4\lambda$、③ $2L\lambda$、④ $4L\lambda$、⑤ $\dfrac{2\lambda}{r}$、⑥ $\dfrac{4\lambda}{r}$、⑦ $\dfrac{4L\lambda}{r}$、⑧ $\dfrac{2L\lambda}{r}$)

+λ [C/m] r L 電場 E

STEP 1円筒内部に含まれる電気量 $Q$ と電気力線の総本数 $N$ を求める

単位長さ($1\text{ m}$)あたりの電気量が $\lambda\text{ [C/m]}$ なので、長さ $L\text{ [m]}$ の円筒の内部に含まれる正電荷の合計 $Q$ は、 $$Q = \lambda L\text{ [C]}$$ です。ガウスの法則より、電気量 $Q$ の電荷から出る電気力線の総本数 $N$ は、 $$N = 4\pi k_0 Q = 4\pi k_0 \lambda L = 4 L \lambda \times \pi k_0\text{ [本]}$$ となります。無限に長い棒の対称性から、電気力線は中心軸に垂直に放射状に広がるため、円筒の上下の底面を貫く電気力線は $0$ 本であり、すべて側面を貫きます。
よって、側面を貫く電気力線の本数は ④ ($4L\lambda$) $\times \pi k_0$ 本です。(サ:④)

STEP 2円筒の側面積 $S$ で割って電場の強さ $E$ を求める

半径 $r$、長さ $L$ の円筒の側面積 $S$ は、展開すると「縦 $L$ × 横(円周 $2\pi r$)」の長方形なので、 $$S = 2\pi r L\text{ [m}^2\text{]}$$ です。側面上での電場の強さ $E$ は、単位面積あたりの電気力線の本数 $\dfrac{N}{S}$ に等しいので、 $$E = \frac{N}{S} = \frac{4\pi k_0 \lambda L}{2\pi r L} = \frac{2\lambda}{r} \times k_0\text{ [V/m]}$$ よって、シ は ⑤ ($\dfrac{2\lambda}{r}$) となります。(シ:⑤)


(3) 水素原子のエネルギー準位と光の放出・吸収

【問題文】

水素原子の基底状態のエネルギー準位を $-13.6\text{ eV}$ とすると、量子数 $n = 3$ の定常状態から $n = 2$ の定常状態に電子が移るときに放射される光の波長は ス . セ $\times 10^{-\text{ソ}}\text{ m}$ であり、基底状態の原子に1光子あたり $10.2\text{ eV}$ のエネルギーを持つ光を当てると、量子数 $n$ が $n =$ タ の定常状態に励起する。ただし、プランク定数を $6.63 \times 10^{-34}\text{ J}\cdot\text{s}$、電気素量を $1.60 \times 10^{-19}\text{ C}$、光速を $3.00 \times 10^8\text{ m/s}$ とする。

STEP 1量子数 $n$ のエネルギー準位 $E_n$ を書き出す

水素原子の量子数 $n$ の定常状態のエネルギー準位 $E_n$ は、基底状態($n = 1$)のエネルギー $E_1 = -13.6\text{ eV}$ を用いて、 $$E_n = -\frac{13.6}{n^2}\text{ [eV]}$$ と表されます。$n = 1, 2, 3$ の値を具体的に計算しておくと、

  • $n = 1$(基底状態):$E_1 = -13.6\text{ eV}$
  • $n = 2$:$E_2 = -\dfrac{13.6}{2^2} = -\dfrac{13.6}{4} = -3.40\text{ eV}$
  • $n = 3$:$E_3 = -\dfrac{13.6}{3^2} = -\dfrac{13.6}{9}\text{ eV} \fallingdotseq -1.51\text{ eV}$

STEP 2$n = 3 \to n = 2$ で放射される光の波長 $\lambda$ を求める

$n = 3$ から $n = 2$ に移るときに放出される光子のエネルギー $\Delta E$(単位:$\text{eV}$)は、 $$\Delta E = E_3 - E_2 = -13.6 \times \left(\frac{1}{9} - \frac{1}{4}\right) = 13.6 \times \frac{9 - 4}{36} = 13.6 \times \frac{5}{36} = \frac{68.0}{36} = \frac{17}{9}\text{ [eV]}$$ これをジュール $[\text{J}]$ に換算するには、$1\text{ eV} = 1.60 \times 10^{-19}\text{ J}$ を掛けます。 $$\Delta E\text{ [J]} = \frac{17}{9} \times 1.60 \times 10^{-19}\text{ [J]}$$ 光子のエネルギーの式 $\Delta E = \dfrac{hc}{\lambda}$ より、波長 $\lambda$ は、 $$\lambda = \frac{hc}{\Delta E} = \frac{6.63 \times 10^{-34} \times 3.00 \times 10^8}{\frac{17}{9} \times 1.60 \times 10^{-19}} = \frac{6.63 \times 3.00 \times 9}{17 \times 1.60} \times 10^{-7}\text{ [m]}$$ ここで、**$6.63 \div 17 = 0.39$** と綺麗に割り切れることに注目しましょう!(物理入試の黄金約分です!) $$\lambda = \frac{0.39 \times 27}{1.60} \times 10^{-7} = \frac{10.53}{1.60} \times 10^{-7} = 6.58125 \times 10^{-7}\text{ [m]}$$ 有効数字2桁に四捨五入すると、 $$\lambda \fallingdotseq \text{\fbox{6}}.\text{\fbox{6}} \times 10^{-\text{\fbox{7}}}\text{ [m]}$$ となります。(ス:6、セ:6、ソ:7)

STEP 3基底状態($n=1$)に $10.2\text{ eV}$ の光子を当てたときの励起先 $n$ を求める

基底状態($E_1 = -13.6\text{ eV}$)の電子が $10.2\text{ eV}$ のエネルギーを吸収すると、励起後のエネルギー準位 $E_n$ は、 $$E_n = E_1 + 10.2 = -13.6 + 10.2 = -3.4\text{ [eV]}$$ となります。STEP 1 で求めた通り、$E_2 = -\dfrac{13.6}{2^2} = -3.4\text{ eV}$ なので、量子数 $n = \text{\fbox{2}}$ の定常状態に励起します。(タ:2)

PROBLEM III

大問 III:力学(平面上の剛体円盤の斜め弾性衝突・カーリングモデル)

Sora先生
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大問 III はカーリングを題材にした「2次元の斜め弾性衝突」です!ここで一番引っかかりやすい罠が、「円盤には半径 $R$ があるため、衝突の瞬間の中心間距離が $2R$ になる」という幾何学条件です。後半の コ で「衝突前の $\text{A}$ の中心の $x$ 座標」を聞かれたとき、中心同士を結ぶ直線(共通法線)の向きに撃力が働くことに気づけるかが勝負の分かれ目!図を大きく描いて一緒に突破しましょう!

【問題文】

カーリングなどの競技を単純化したものとして、半径 $R$、質量 $m$ の円盤状の物体 $\text{A}$,$\text{B}$,$\text{C}$ の水平面上における衝突を考える。水平面と物体の間の摩擦、および物体間の衝突における摩擦は無視でき、物体間の衝突は弾性衝突とする。斜めに衝突する場合を考慮するため、物体の半径はゼロでないが重心を中心とする回転(自転)は考えず、衝突後は直進運動のみを考える。
図1のように、はじめ物体 $\text{B}$ は $xy$ 平面上の原点で静止し、物体 $\text{C}$ は第1象限の座標 $(a, b)$ で表わされる点に静止している。第3象限にある物体 $\text{A}$ に $y$ 軸の正の方向と平行な初速 $v_0$ を与え、物体 $\text{B}$ に衝突させると、物体 $\text{B}$ は物体 $\text{C}$ と衝突した直後に静止した。
図2のように $\text{A}$ と $\text{B}$ の衝突直後に $\text{A}$,$\text{B}$ の進む方向が $y$ 軸となす角の大きさをそれぞれ $\theta$,$\phi$ とし、$\text{A}$,$\text{B}$ の速さをそれぞれ $v_{\text{A}}$,$v_{\text{B}}$ とする。


(a) 物体 $\text{B}$ と $\text{C}$ が衝突した直後、物体 $\text{B}$ が静止したことから、物体 $\text{A}$ との衝突直後における物体 $\text{B}$ の速度が $y$ 軸となす角 $\phi$ は $\tan\phi =$ ア を満たす角であることがわかる。
物体 $\text{A}$ と $\text{B}$ の衝突において、運動量保存則から、$x$ 方向について $$m v_{\text{A}} \times \text{\fbox{イ}} = m v_{\text{B}} \times \text{\fbox{ウ}}$$ $y$ 方向について $$m v_0 = m v_{\text{A}} \times \text{\fbox{エ}} + m v_{\text{B}} \times \text{\fbox{オ}}$$ の関係式が成り立つ。また、物体 $\text{A}$ と $\text{B}$ の衝突が弾性衝突であることから カ が成り立つ。

(b) 物体 $\text{A}$ と $\text{B}$ の衝突直後において、$\text{A}$ の速度が $y$ 軸となす角 $\theta$ と速さ $v_{\text{A}}$ は $\phi$ を用いて、$\cos\theta =$ キ,$v_{\text{A}} = v_0 \times$ ク で与えられる。
物体 $\text{B}$ と $\text{C}$ の衝突直後、物体 $\text{C}$ の速さは $v_0 \times$ ケ となる。
衝突前の $\text{A}$ の中心の $x$ 座標は $-R \times$ コ であり、物体 $\text{A}$ が物体 $\text{B}$ から受けた力積の大きさは $m v_0 \times$ サ である。

【図解1】AとBの衝突後の速度ベクトル x y O v_A θ v_B φ C (a, b) 同質量弾性衝突より θ + φ = π/2 (直交!) 【図解2】衝突瞬間の円盤Aと円盤Bの幾何関係 x y Bの中心 O(0,0) Aの中心 Bが受ける力積の向き(角φ) 2R φ 2R sinφ

STEP 1(a) 物体 $\text{B}$ の進行方向 $\tan\phi$(ア)を求める

静止している物体 $\text{C}$ に物体 $\text{B}$ が弾性衝突して、衝突直後に物体 $\text{B}$ がピタッと静止したということは、$\text{B}$ と $\text{C}$ は斜め衝突ではなく正面衝突(中心同士を結ぶ直線に沿った衝突)をして速度交換を起こしたということです!
なぜなら、もし斜めに衝突していたら、衝突面に平行な方向の速度成分が $\text{B}$ に残ってしまい、$\text{B}$ は静止できないからです。
したがって、原点 $(0, 0)$ から出発した物体 $\text{B}$ の中心は、点 $(a, b)$ にある物体 $\text{C}$ の中心に向かってまっすぐ直進したことになります。
進行方向が $y$ 軸の正の向きとなす角が $\phi$ なので、直角三角形の底辺($y$ 座標 $b$)と対辺($x$ 座標 $a$)の比より、 $$\tan\phi = \frac{x\text{成分}}{y\text{成分}} = \frac{a}{b}$$ よって、ア は ③ ($\dfrac{a}{b}$) です。(ア:③)

STEP 2(a) $\text{A}$ と $\text{B}$ の運動量保存則と弾性衝突の角度関係(イ〜カ)

図2において、角度 $\theta$,$\phi$ は「$y$ 軸となす角」であることに注意して速度を成分分解します!

  • 物体 $\text{A}$ の衝突後の速度:$(-v_{\text{A}}\sin\theta,\; v_{\text{A}}\cos\theta)$
  • 物体 $\text{B}$ の衝突後の速度:$(+v_{\text{B}}\sin\phi,\; v_{\text{B}}\cos\phi)$

衝突前の運動量は、物体 $\text{A}$ が $y$ 軸正方向に $m v_0$ を持つだけ($x$ 成分は $0$)なので、運動量保存則は以下のようになります。

  • $x$ 方向:$0 = -m v_{\text{A}}\sin\theta + m v_{\text{B}}\sin\phi \iff m v_{\text{A}}\sin\theta = m v_{\text{B}}\sin\phi \quad \cdots \text{①}$
  • $y$ 方向:$m v_0 = m v_{\text{A}}\cos\theta + m v_{\text{B}}\cos\phi \quad \cdots \text{②}$

よって、イ:④ ($\sin\theta$)、ウ:⑦ ($\sin\phi$)、エ:③ ($\cos\theta$)、オ:⑥ ($\cos\phi$) となります。(イ:④、ウ:⑦、エ:③、オ:⑥)

さらに、衝突が弾性衝突であることから、運動エネルギー保存則が成り立ちます。 $$\frac{1}{2} m v_0^2 = \frac{1}{2} m v_{\text{A}}^2 + \frac{1}{2} m v_{\text{B}}^2 \iff v_0^2 = v_{\text{A}}^2 + v_{\text{B}}^2 \quad \cdots \text{③}$$ 一方、①式と②式の両辺から $m$ を消去してそれぞれ2乗して足し合わせると、 $$v_0^2 = (v_{\text{A}}\cos\theta + v_{\text{B}}\cos\phi)^2 + (-v_{\text{A}}\sin\theta + v_{\text{B}}\sin\phi)^2$$ $$v_0^2 = v_{\text{A}}^2(\cos^2\theta + \sin^2\theta) + v_{\text{B}}^2(\cos^2\phi + \sin^2\phi) + 2 v_{\text{A}} v_{\text{B}}(\cos\theta\cos\phi - \sin\theta\sin\phi)$$ 三角関数の加法定理 $\cos(\theta + \phi) = \cos\theta\cos\phi - \sin\theta\sin\phi$ を用いると、 $$v_0^2 = v_{\text{A}}^2 + v_{\text{B}}^2 + 2 v_{\text{A}} v_{\text{B}}\cos(\theta + \phi)$$ これと③式 $v_0^2 = v_{\text{A}}^2 + v_{\text{B}}^2$ を比較すると、$v_{\text{A}} \neq 0, v_{\text{B}} \neq 0$ より、 $$\cos(\theta + \phi) = 0 \implies \theta + \phi = \frac{\pi}{2}$$ が成り立ちます!(同質量の2物体が静止物体に斜め弾性衝突すると、衝突後の進行方向は必ず $90^\circ$($\dfrac{\pi}{2}$)をなすという超重要性質です!)
よって、カ は ④ ($\theta + \phi = \dfrac{\pi}{2}$) です。(カ:④)

STEP 3(b) $\cos\theta$,$v_{\text{A}}$,物体 $\text{C}$ の速さ(キ〜ケ)を求める

① $\cos\theta$(キ):
$\theta + \phi = \dfrac{\pi}{2}$ より $\theta = \dfrac{\pi}{2} - \phi$ なので、余角の公式から直ちに、 $$\cos\theta = \cos\left(\frac{\pi}{2} - \phi\right) = \sin\phi$$ また、$\sin\theta = \sin\left(\dfrac{\pi}{2} - \phi\right) = \cos\phi$ です。よって キ は ③ ($\sin\phi$) です。(キ:③)

② $v_{\text{A}}$ と $v_{\text{B}}$(ク):
①式 $v_{\text{A}}\sin\theta = v_{\text{B}}\sin\phi$ に $\sin\theta = \cos\phi$ を代入すると、 $$v_{\text{A}}\cos\phi = v_{\text{B}}\sin\phi \implies v_{\text{B}} = v_{\text{A}} \frac{\cos\phi}{\sin\phi}$$ これを②式 $v_0 = v_{\text{A}}\cos\theta + v_{\text{B}}\cos\phi$(ただし $\cos\theta = \sin\phi$)に代入すると、 $$v_0 = v_{\text{A}}\sin\phi + \left(v_{\text{A}}\frac{\cos\phi}{\sin\phi}\right)\cos\phi = v_{\text{A}} \frac{\sin^2\phi + \cos^2\phi}{\sin\phi} = \frac{v_{\text{A}}}{\sin\phi}$$ したがって、 $$v_{\text{A}} = v_0 \sin\phi, \qquad v_{\text{B}} = v_0 \cos\phi$$ となります!よって $v_{\text{A}} = v_0 \times$ ③ ($\sin\phi$) です。(ク:③)

③ 物体 $\text{B}$ と $\text{C}$ の衝突直後の物体 $\text{C}$ の速さ(ケ):
質量が等しい物体 $\text{B}$ と $\text{C}$ が正面弾性衝突して、衝突後に $\text{B}$ が静止したため、運動量保存則より物体 $\text{C}$ は衝突前の物体 $\text{B}$ の速さ $v_{\text{B}}$ をそのまま引き継ぎます(速度交換)。
よって、物体 $\text{C}$ の速さ $v_{\text{C}}$ は、 $$v_{\text{C}} = v_{\text{B}} = v_0 \cos\phi$$ となり、ケ は ① ($\cos\phi$) です。(ケ:①)

STEP 4(b) 衝突前の $\text{A}$ の中心の $x$ 座標と力積の大きさ(コ,サ)を求める

① 衝突前の $\text{A}$ の中心の $x$ 座標(コ):
上の【図解2】を見てください!
摩擦のない円盤同士が衝突するとき、静止していた円盤 $\text{B}$ が受ける力積(撃力)の向きは、衝突の瞬間における「円盤 $\text{A}$ の中心から円盤 $\text{B}$ の中心(原点 $\text{O}$)へ向かう直線(共通法線)」の向きになります。
物体 $\text{B}$ はこの力積を受けた方向($y$ 軸と角 $\phi$ をなす向き)に飛び出すので、衝突の瞬間において、$\text{A}$ の中心と $\text{B}$ の中心(原点 $\text{O}$)を結ぶ線分(長さ $R + R = 2R$)は、$y$ 軸に対して角 $\phi$ だけ傾いています!
よって、衝突の瞬間の $\text{A}$ の中心の $x$ 座標は、原点 $\text{O}$ から左へ $2R\sin\phi$ だけ離れた位置、すなわち $$x_{\text{A}} = -2R\sin\phi = -R \times 2\sin\phi$$ です。衝突前、物体 $\text{A}$ は $y$ 軸に平行にまっすぐ進んでくるので、衝突前の $\text{A}$ の中心の $x$ 座標もずっと $-R \times 2\sin\phi$ のままです。
したがって、コ は ④ ($2\sin\phi$) となります。(コ:④)

② 物体 $\text{A}$ が物体 $\text{B}$ から受けた力積の大きさ(サ):
作用・反作用の法則より、「物体 $\text{A}$ が物体 $\text{B}$ から受けた力積の大きさ」は、「物体 $\text{B}$ が物体 $\text{A}$ から受けた力積の大きさ」に等しいです!
物体 $\text{B}$ は最初静止していて(運動量 $0$)、衝突直後に速さ $v_{\text{B}} = v_0\cos\phi$ になったので、物体 $\text{B}$ の運動量の変化の大きさ(=受けた力積の大きさ $I$)は、 $$I = m v_{\text{B}} - 0 = m v_0 \cos\phi$$ となります!(わざわざ $\text{A}$ のベクトル差を計算しなくても、静止していた $\text{B}$ に注目すれば1秒で求まります!)
よって、サ は ① ($\cos\phi$) です。(サ:①)

PROBLEM IV

大問 IV:電磁気(直線電流がつくる磁場中を運動する帯電正方形枠・誘導電場と力のモーメント)

Sora先生
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いよいよ最後の大問 IV です!一見すると「帯電した粉が固定された絶縁体の正方形枠」という見慣れない設定ですが、誘導がとても丁寧なので安心してください。(a)は静止系から見たローレンツ力 $f = qvB = q\mu vH$、(b)は正方形と一緒に動く観測者から見た誘導電場 $E = vB = \mu vH$、(c)は微小時間 $\Delta t$ に正方形内部を貫く磁束の変化 $\Delta\Phi$ と力のモーメントの関係(ファラデーの電磁誘導の法則の背景!)を導くストーリーになっています。符号と回転の向きだけ慎重にチェックすれば、一気に20個すべてのマークを完答できますよ!

【問題文】

図1のように、$y$ 軸上を正の方向に流れる電流 $I$ と、一辺の長さが $2L$ の絶縁体でできた正方形 $\text{PQRS}$ を考える。正方形は $xy$ 平面上の第1象限内にあり、$y$ 軸に平行な辺 $\text{PQ}$ と $\text{RS}$ には電気量 $q\ (>0)$ に帯電した微小な粉が $n$ 個ずつ辺全体に等間隔で固定されている。正方形 $\text{PQRS}$ は、各辺を座標軸に平行に保ったまま $x$ 軸正の方向に一定の速さ $v$ で動いており、ある時刻 $t$ において、正方形の重心の $x$ 座標が $D$ であった。空気の透磁率を $\mu$ として、以下の問に答えよ。


(a) 時刻 $t$ において、$y$ 軸上を流れる電流により辺 $\text{PQ}$ 上の点で生じる磁場の大きさは $H_1 =$ ア で向きは イ であり、辺 $\text{RS}$ 上の点で生じる磁場の大きさは $H_2 =$ ウ で向きは エ である。
そのとき辺 $\text{PQ}$ 上の帯電粉1個が受けるローレンツ力の大きさは $f_1 =$ オ $\times H_1$ で向きは カ であり、辺 $\text{RS}$ 上の帯電粉1個が受けるローレンツ力の大きさは $f_2 =$ オ $\times H_2$ で向きは キ である。
正方形を $xy$ 平面内で重心のまわりに反時計回りに回転させようとする力のモーメントを正とした場合、帯電粉に作用するローレンツ力により正方形全体にかかる力のモーメントは $M = n \times$ ク である。

(b) 設問(a)の状況を正方形 $\text{PQRS}$ の重心とともに移動する観測者 $\text{A}$ から見ると、正方形の各辺は動いておらず、辺上の帯電粉はローレンツ力を受けない。その代わり、$y$ 軸上の電流が観測者 $\text{A}$ から速さ $v$ で離れていくように見えるため、正方形の辺上の点における磁場が時間変化し、これに伴って電場(誘導電場)が生じると考える。帯電粉には誘導電場からの力が作用して、正方形に力のモーメント $M$ がかかることになる。
この力を設問(a)で考えたローレンツ力と等置すると、観測者 $\text{A}$ から見て辺 $\text{PQ}$ 上の点で生じる誘導電場の大きさは $E_1 =$ ケ $\times H_1$ で向きは コ であり、辺 $\text{RS}$ 上の点で生じる誘導電場の大きさは $E_2 =$ ケ $\times H_2$ で向きは サ であることがわかる。
辺 $\text{PQ}$ 上の誘導電場により正方形にはたらく重心まわりの力のモーメントは、大きさが $M_1 = n q E_1 \times$ シ であり、正方形を ス に回転させようとする。一方、辺 $\text{RS}$ 上の誘導電場により正方形にはたらく重心のまわりの力のモーメントは、大きさが $M_2 = n q E_2 \times$ シ であり、正方形を セ に回転させようとする。

(c) 時刻 $t$ からじゅうぶん短い時間 $\Delta t$ 経過した時刻において、正方形の各頂点の $x$ 座標は $v\Delta t$ だけ ソ した点 $\text{P}', \text{Q}', \text{R}', \text{S}'$ の位置にそれぞれ移動する。この間に、正方形内部を紙面表から裏に向かう方向に貫く磁束は、長方形 $\text{PQQ}'\text{P}'$ を貫く磁束 $\Phi_1 =$ タ $\times H_1$ の分だけ チ し、長方形 $\text{RSS}'\text{R}'$ を貫く磁束 $\Phi_2 =$ タ $\times H_2$ の分だけ ツ する。したがって、時間 $\Delta t$ の間に正方形内部を貫く磁束の変化は $\Delta\Phi =$ テ と表され、設問(b)で考えた力のモーメントとの間に $$\left|\frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\right| = \frac{\text{\fbox{ト}}}{n q}$$ なる関係式が成立する。

【図解1】(a)(b) 電流の磁場とローレンツ力・モーメント x y (電流 I) O P Q R S 重心G L L v ⊗ H₁(強) ⊗ H₂(弱) nf₁ (時計回り) nf₂ (反時計) D-L D D+L 【図解2】(c) Δt 間の移動と出入りする磁束 Φ₁, Φ₂ Φ₁ (減少!) Φ₂ (増加!) P P' Q Q' R R' S S' 2L vΔt vΔt 面積 ΔS = 2L × vΔt, 磁束変化 ΔΦ = Φ₂ - Φ₁

STEP 1(a) 直線電流がつくる磁場 $H_1, H_2$ とローレンツ力 $f_1, f_2$、力のモーメント $M$(ア〜ク)

① 辺 $\text{PQ}$ 上と辺 $\text{RS}$ 上の磁場(ア〜エ):
正方形の一辺の長さは $2L$ で、重心の $x$ 座標が $D$ なので、

  • 左側の辺 $\text{PQ}$ の $x$ 座標($y$ 軸からの距離):$r_1 = D - L$
  • 右側の辺 $\text{RS}$ の $x$ 座標($y$ 軸からの距離):$r_2 = D + L$

無限に長い直線電流 $I$ が距離 $r$ の点につくる磁場の強さの公式 $H = \dfrac{I}{2\pi r}$ より、 $$H_1 = \frac{I}{2\pi(D - L)} \quad (\text{\fbox{ア}:⑧}), \qquad H_2 = \frac{I}{2\pi(D + L)} \quad (\text{\fbox{ウ}:⑦})$$ また、右ねじの法則より、$y$ 軸の正の向き(上向き)に流れる電流が第1象限($x > 0$ の右側領域)につくる磁場の向きは、どちらも「紙面に垂直で紙面表から裏に向かう方向(⑥)」です。
よって、イ:⑥、エ:⑥ となります。(ア:⑧、イ:⑥、ウ:⑦、エ:⑥)

② 帯電粉1個が受けるローレンツ力 $f_1, f_2$(オ〜キ):
磁束密度の大きさ $B$ と磁場の強さ $H$ の間には、透磁率 $\mu$ を用いて $B = \mu H$ の関係があります。
電気量 $q\ (>0)$ の帯電粉が磁場に垂直($x$ 軸正方向)に速さ $v$ で運動しているので、受けるローレンツ力の大きさ $f$ は、 $$f = q v B = q v (\mu H) = q\mu v \times H$$ したがって、オ は ④ ($q\mu v$) です。
また、ローレンツ力の向きはフレミングの左手の法則で求めます!
・正電荷 $q > 0$ が $x$ 軸正方向(右向き)に動くので、中指(電流の向き)= 右向き($x$ 軸正)
・磁場は表から裏なので、人差し指(磁場の向き)= 紙面表から裏
すると、親指(力の向き)= 上向き($y$ 軸正の方向:③)を向きます!これは辺 $\text{PQ}$ でも辺 $\text{RS}$ でも同じです。
よって、カ:③、キ:③ となります。(オ:④、カ:③、キ:③)

③ 正方形全体にかかる重心まわりの力のモーメント $M$(ク):
辺 $\text{PQ}$ には $n$ 個の帯電粉があるので、辺 $\text{PQ}$ 全体が受ける力は $y$ 軸正方向に大きさ $n f_1$ です。重心($x = D$)から辺 $\text{PQ}$($x = D - L$)までのうでの長さは $L$ であり、図1のように左側の辺を上向き($y$ 軸正)に押す力は正方形を時計回り(負の向き)に回転させようとします。
一方、右側の辺 $\text{RS}$($x = D + L$)全体が受ける力は $y$ 軸正方向に大きさ $n f_2$ であり、重心の右側を上向きに押す力は正方形を反時計回り(正の向き)に回転させようとします(うでの長さは $L$)。
問題文より「反時計回りを正」とするので、正方形全体にかかる力のモーメント $M$ は、 $$M = - (n f_1) L + (n f_2) L = n (-f_1 + f_2) L$$ よって、ク は ⑤ ($-f_1 + f_2$) です。(ク:⑤)

STEP 2(b) 上下の辺 $\text{QR}, \text{SP}$ の帯電粉と全体の力のモーメント $M_{\text{all}}$(ケ〜サ)

① 同じ $x$ 座標にある2つの帯電粉が受ける力(ケ):
直線電流がつくる磁場 $H = \dfrac{I}{2\pi x}$ は $x$ 座標のみによって決まり、$y$ 座標にはよりません。
したがって、辺 $\text{QR}$ 上と辺 $\text{SP}$ 上で同じ $x$ 座標にある2つの帯電粉は、同じ強さ・同じ向きの磁場の中を同じ速度 $v$ で運動するため、まったく同じ向きの同じ大きさのローレンツ力(ともに $y$ 軸正方向)を受けます。
よって、ケ は ②(同じ向きの同じ大きさの力) です。(ケ:②)

② 2つの帯電粉が重心まわりにつくる力のモーメントの和(コ):
同じ $x$ 座標にある辺 $\text{QR}$ 上の帯電粉と辺 $\text{SP}$ 上の帯電粉が受ける力は、どちらも作用線が直線 $x = \text{一定}$($y$ 軸に平行な同一の直線)上にあり、向きも大きさも同じ(ともに $y$ 軸正方向で大きさ $f(x)$)です。
重心($x = D$)からこの作用線までの距離(うでの長さ $|x - D|$)も回転の向きもまったく同じになるため、2つの帯電粉による力のモーメントは打ち消し合わず、同じ符号・同じ大きさで足し合わされます(0にはなりません)。
よって、コ は ②(0ではない) です。(コ:②)

③ 4辺すべてに帯電粉があるときの全体の力のモーメント $M_{\text{all}}$(サ):
電流 $I$ に近い左側($x < D$)にある帯電粉ほど磁場が強いため、重心の左側($D - L \le x < D$)にある帯電粉が受ける上向きの力(時計回り=負のモーメントをつくる力)の方が、重心の右側($D < x \le D + L$)にある帯電粉が受ける上向きの力(反時計回り=正のモーメントをつくる力)よりも大きくなります。
これは辺 $\text{PQ}, \text{RS}$ だけでなく、辺 $\text{QR}, \text{SP}$ 上の帯電粉についても同様です。左半分($x < D$)の帯電粉がつくる負(時計回り)のモーメントの方が、右半分($x > D$)の帯電粉がつくる正(反時計回り)のモーメントより大きくなるため、辺 $\text{QR}, \text{SP}$ の分も加わって負のモーメントがさらに増加します。
そもそも(a)の $M = n(-f_1 + f_2)L$ においても、$H_1 > H_2$ より $f_1 > f_2$ なので $M < 0$ であり、これに辺 $\text{QR}, \text{SP}$ による負のモーメントが加わるため、全体としても $M_{\text{all}} < M < 0$ となります。
よって、サ は ③($M_{\text{all}} < 0$) です。(サ:③)

STEP 3(c) 微小移動による磁束の変化と誘導電場(シ〜タ)

① 微小時間 $\Delta t$ の間に貫く磁束 $\Phi_1, \Phi_2$ と全体の磁束変化 $\Delta\Phi$(シ〜セ):
図2のように、微小時間 $\Delta t$ の間に正方形は右へ $v\Delta t$ だけ進みます。
・左端の細長い長方形 $\text{PQQ'P'}$ の面積は $\Delta S = 2L \times v\Delta t$ です。$\Delta t$ が十分小さいとき、この領域の磁場の強さは辺 $\text{PQ}$ 上の値 $H_1$ とみなせるので、磁束密度は $B_1 = \mu H_1$ です。よって磁束 $\Phi_1$ は、 $$\Phi_1 = B_1 \Delta S = (\mu H_1)(2L v\Delta t) = 2\mu v L H_1 \Delta t$$ ・同様に、右端の細長い長方形 $\text{RSS'R'}$ の磁束 $\Phi_2$ は、磁束密度 $B_2 = \mu H_2$ より、 $$\Phi_2 = B_2 \Delta S = (\mu H_2)(2L v\Delta t) = 2\mu v L H_2 \Delta t$$ したがって、シ と ス はともに ⑥ ($2\mu v$) です。
また、移動前の正方形 $\text{PQRS}$ と移動後の正方形 $\text{P'Q'R'S'}$ で、中央の重なっている部分(長方形 $\text{P'Q'RS}$)を貫く磁束は変化しません。したがって、正方形全体を貫く磁束の変化量 $\Delta\Phi$(=移動後の磁束 $-$ 移動前の磁束)は、新たに増えた右側の磁束 $\Phi_2$ から、抜けて減った左側の磁束 $\Phi_1$ を引いたものになります。 $$\Delta\Phi = \Phi_2 - \Phi_1 = -\Phi_1 + \Phi_2$$ よって、セ は ⑤ ($-\Phi_1 + \Phi_2$) です。(シ:⑥、ス:⑥、セ:⑤)

② ファラデーの電磁誘導の法則と誘導電場による力のモーメント(ソ・タ):
正方形の辺に沿って反時計回り($\text{P}\to\text{Q}\to\text{R}\to\text{S}\to\text{P}$)に測った電場を $E$ とし、1周にわたって(電場 $\times$ 微小長さ)を足し合わせたもの(=反時計回りの誘導起電力 $V$)は、問題文の誘導より、 $$\text{(1周の和)} = \frac{\Delta\Phi}{\Delta t} = \frac{-\Phi_1 + \Phi_2}{\Delta t}$$ これに①の $\Phi_1 = 2\mu v L H_1 \Delta t$、$\Phi_2 = 2\mu v L H_2 \Delta t$ を代入すると、$\Delta t$ が約分されて消え、 $$\frac{\Delta\Phi}{\Delta t} = 2\mu v (-H_1 + H_2)L$$ となります。よって、ソ は ⑥ ($2\mu v$) です。
(※右ねじの法則より、反時計回りの向きに対する右ねじが進む向きは「紙面裏から表」です。いま磁束は「紙面表から裏」向きで、遠ざかると減少($|\Delta\Phi| = \Phi_1 - \Phi_2 > 0$)するため、レンツの法則より「表から裏」の磁束を補う向き=時計回りに誘導起電力が生じます。反時計回りを正とする式では負の値 $2\mu v(-H_1 + H_2)L < 0$ となり、符号も完全に一致しています!)

最後に、静止している実験室系からではなく、正方形と一緒に動く系(帯電粉が静止して見える系)で考えます。このとき、1辺あたり $n$ 個(単位長さあたり $\dfrac{n}{2L}$ 個)の帯電粉(電気量 $q$)が、この誘導電場 $E$ から静電気力 $qE$ を受けます。
正方形の重心から各辺までの距離(うでの長さ)はどこでも $L$ なので、電場の辺に沿った成分 $E$ が帯電粉に及ぼす接線方向の力 $qE$ は、重心まわりに $q E L$ の力のモーメント(反時計回りが正)をつくります。
1辺の長さ $2L$ に $n$ 個の帯電粉が一様に並んでいるので、微小長さ $\Delta s$ あたりの帯電粉の個数は $\dfrac{n}{2L}\Delta s$ 個です。したがって、正方形の1周すべてにわたって力のモーメントを足し合わせると、 $$M = \sum \left(\frac{n}{2L}\Delta s\right) \cdot q E L = \frac{nq}{2} \sum (E \Delta s) = \frac{nq}{2} \cdot \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}$$ これに先ほどの $\dfrac{\Delta\Phi}{\Delta t} = 2\mu v(-H_1 + H_2)L$ を代入すると、 $$M = \frac{nq}{2} \cdot 2\mu v(-H_1 + H_2)L = n q \mu v (-H_1 + H_2)L$$ となります!(a)で求めた $f_1 = q\mu v H_1$、$f_2 = q\mu v H_2$ を用いると $M = n(-f_1 + f_2)L$ と表され、ローレンツ力で考えたときと見事に同じ結果になります。よって、タ は ④ ($q\mu v$) です。(ソ:⑥、タ:④)

大問IV 解答一覧

ア⑧
イ⑥
ウ⑦
エ⑥
オ④
カ③
キ③
ク⑤
ケ②
コ②
サ③
シ⑥
ス⑥
セ⑤
ソ⑥
タ④
Sora先生
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