TMPS医学館 徹底解説 2024年度 一般選抜(前期)

聖マリアンナ医科大学 医学部 物理(2024年度)全問題・超図解解説

TMPS医学館 TOP › 最先端医学部受験ジャーナル › 私立医大31校・物理超解説ライブラリー › 聖マリアンナ医科大学(2024年度)
📚 31大学の物理過去問一覧へ
理系担当 Sora先生
赤本キラー!途中式・図解100%網羅 Sora先生 ✕ ニックニ先生 徹底解説

「これより〜となる」の省略はゼロ!聖マリアンナ医科大学(2024年度)物理をSora先生が完全解剖

こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora(ソラ)先生です。市販の過去問集(赤本など)で途中の式変形や思考プロセスが1行で飛ばされて悩んでいませんか?
このページでは、聖マリアンナ医科大学(2024年度)の物理について、中学生でも追える1ステップずつの途中式と解法プロセスをすべて公開しています!

Sora先生
💡 Sora先生の全体戦略アドバイス

皆さんこんにちは!TMPS医学館の理系担当、Sora先生です!
2024年度の聖マリアンナ医科大学・物理は、大問5題構成(試験時間:理科2科目で150分、物理目安75分)でした。全体的に「基本法則の定義・導出プロセス」を深く理解しているかを問う良問揃いです!
特に大問2(動く台上の小球の3通りの座標系での立式)と大問3(ガウスの法則を用いた一様帯電球の電場導出)、そして大問4(縦波の $y-x$ 図と $y-t$ 図の完全読み取り)は、丸暗記頼りの受験生がポロポロ失点する急所です。このページでは途中式を1行も省略せず、ゼロから100%理解できるように解説していくよ!

⚡ 解答一覧(スピードチェック)

採点・復習用

【大問 1】小問集合(力学・電磁気・波動・熱力学)

①$4.0$
②$2.0$
③$8.0$
④$8.0 \times 10^{-3}$ ($0.0080$)
⑤$40$
⑥$6.0$
⑦$0.68$
⑧$0.17$
⑨$1.5 \times 10^3$ ($1500$)
⑩$500$
⑪$0.25$
⑫二(または $2$)

【大問 2】固定された台・動く台の上の小球の運動(3つの座標系での比較)

①$-mg\sin\theta$
②$N - mg\cos\theta$
③$0$
④$mg\cos\theta$
⑤$-N\sin\theta$
⑥$N\cos\theta - mg$
⑦$\tan\theta$
⑧$N\sin\theta$
⑨$-mg\sin\theta - mb\cos\theta$
⑩$N - mg\cos\theta + mb\sin\theta$
⑪$\dfrac{Mmg\cos\theta}{M + m\sin^2\theta}$
⑫$-N\sin\theta - mb$
⑬$N\cos\theta - mg$
⑭$-N\sin\theta$
⑮$N\cos\theta - mg$
⑯$\dfrac{a_y}{a_x - b}$

【大問 3】ガウスの法則と球対称電荷分布がつくる電場

〔1〕①$4\pi k Q$
〔1〕②$\dfrac{Q}{\varepsilon_0}$
〔1〕③ガウス
〔2〕④$4\pi r^2 E$
〔2〕⑤$\dfrac{kQ}{r^2}$
〔3〕⑥$\dfrac{kQ}{r^2}$
〔3〕⑦$4\pi r^2 E_{\text{内}}$
〔3〕⑧$\dfrac{3Q}{4\pi R^3}$
〔3〕⑨$\dfrac{r^3}{R^3}Q$
〔3〕⑩$\dfrac{kQ}{R^3}r$
〔4〕グラフ選択シ
〔5〕グラフ選択と理由コ(理由:$r < R$ の閉曲面内部には電荷が存在しないため $E=0$ となり、$r \geqq R$ では閉曲面内部に電気量 $Q$ が含まれるため $E=\dfrac{kQ}{r^2}$ に従って減少するから。)

【大問 4】縦波の波形グラフ($y-x$ 図)と媒質の振動グラフ($y-t$ 図)

〔1〕振幅・波長・周期振幅:$4\,\mu\text{m}$、波長:$4\,\text{cm}$、周期:$2\,\text{s}$
〔2〕図1で疎の位置$x = -0.5\,\text{cm},\ 3.5\,\text{cm},\ 7.5\,\text{cm}$
〔3〕波の速さと進む向き速さ:$2\,\text{cm/s}$、向き:$x$ 軸の正の方向
〔4〕波形グラフ選択$t=0\,\text{s}$:か)、$t=5\,\text{s}$:う)
〔5〕振動グラフ選択$x=0\,\text{cm}$:く)、$x=9\,\text{cm}$:あ)
〔6〕図2で密の時刻$t = -0.25\,\text{s},\ 1.75\,\text{s},\ 3.75\,\text{s}$
〔7〕正弦波の式 $y = A\sin\left[B\left(t-\dfrac{x}{C}\right)+D\right]$ の物理量(SI単位または問題の単位系) $A = 4 \times 10^{-6}\,\text{m}\ (= 4\,\mu\text{m})$、$B = \pi\,\text{rad/s}$、$C = 2 \times 10^{-2}\,\text{m/s}\ (= 2\,\text{cm/s})$、$D = \dfrac{5}{4}\pi\,\text{rad}$

【大問 5】原子核の質量欠損・結合エネルギー・太陽の核融合反応

〔1〕$1\,\text{eV}$ は何 $\text{J}$ か$1.6 \times 10^{-19}\,\text{J}$
〔2〕質量欠損 $\Delta m$$Zm_{\text{p}} + (A-Z)m_{\text{n}} - M$
〔3〕核子1個あたり結合E$\dfrac{\Delta m c^2}{A}$
〔4〕$\text{X}$ の質量数・原子番号質量数:$7$、原子番号:$4$
〔5〕$^4\text{He}$ 核子1個あたり結合E$7.1\,\text{MeV}$ ($7.09\,\text{MeV}$)
〔6〕放出エネルギー$13\,\text{MeV}$ ($12.8\,\text{MeV}$)
〔7〕太陽の質量が1秒間に減少する割合(%)$2.2 \times 10^{-19}\,\%$
Question 01

大問 1:小問集合(運動量と力積・自己誘導と相互誘導・気柱の共鳴・熱機関)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問1は4分野からの基本小問集合!目標解答時間は8分以内・満点必須だよ。
唯一引っかかりやすいのが〔1〕の③「弾性衝突ではねかえるときに壁から受ける力積」(引き算ではなくベクトルの向きが変わるので2倍になる!)と、〔3〕の⑨「閉管の基本音の次に高い音」(閉管は奇数倍音しか出ないので2倍ではなく3倍!)の2箇所です。ここさえ注意すれば秒殺できます!

〔1〕運動量と力積・運動エネルギー・壁との弾性衝突

なめらかな水平面上に静止している質量 $4.0\,\text{kg}$ の物体に対して、水平方向に $2.0\,\text{N}$ の大きさの一定の力を $2.0$ 秒間加えると、物体の運動量の大きさは( ① )$\text{kg}\cdot\text{m/s}$、運動エネルギーは( ② )$\text{J}$ になる。その後、この物体が鉛直な壁に対し、壁面に垂直に弾性衝突してはねかえると、物体が壁から受ける力積の大きさは( ③ )$\text{N}\cdot\text{s}$ である。
壁 4.0 kg 初速度 0 F = 2.0 N (2.0 s) 衝突前: p = +4.0 衝突後: p' = -4.0 (逆向き)
STEP 1空欄 ①:力を加えた後の運動量の大きさ $p$
「運動量の変化 = 力積」の関係式 $p - p_0 = F \Delta t$ を使います。
最初は静止しているので初めの運動量は $p_0 = 0$ です。大きさ $F = 2.0\,\text{N}$ の力を $\Delta t = 2.0\,\text{s}$ の間加えたので、力積の大きさは $F\Delta t = 2.0 \times 2.0 = 4.0\,\text{N}\cdot\text{s}$ です。
したがって、物体の運動量の大きさ $p$ は次のようになります。 $$p = 0 + 2.0 \times 2.0 = 4.0\,\text{kg}\cdot\text{m/s}$$
STEP 2空欄 ②:運動エネルギー $K$
運動量 $p = mv = 4.0\,\text{kg}\cdot\text{m/s}$ で、質量 $m = 4.0\,\text{kg}$ なので、物体の速さ $v$ は $$v = \frac{p}{m} = \frac{4.0}{4.0} = 1.0\,\text{m/s}$$ よって、運動エネルギー $K$ は $$K = \frac{1}{2}mv^2 = \frac{1}{2} \times 4.0 \times (1.0)^2 = 2.0\,\text{J}$$ (※別解:$K = \dfrac{p^2}{2m} = \dfrac{4.0^2}{2 \times 4.0} = 2.0\,\text{J}$ と直接計算するとさらに速いです!)
STEP 3空欄 ③:壁から受ける力積の大きさ $I$
衝突前の進行方向(右向き)を正とすると、衝突前の速度は $v = +1.0\,\text{m/s}$(運動量 $p = +4.0\,\text{kg}\cdot\text{m/s}$)です。
壁と弾性衝突(はねかえり係数 $e = 1$)すると、同じ速さで逆向きにはねかえるので、衝突後の速度は $v' = -1.0\,\text{m/s}$、衝突後の運動量は $p' = mv' = -4.0\,\text{kg}\cdot\text{m/s}$ になります。
よって、壁から受けた力積 $I$ は $$I = p' - p = (-4.0) - (+4.0) = -8.0\,\text{N}\cdot\text{s}$$ 大きさ(絶対値)を答えるので、$|I| = 8.0\,\text{N}\cdot\text{s}$ となります。
① $4.0$ / ② $2.0$ / ③ $8.0$

〔2〕コイルに蓄えられる磁気エネルギー・自己誘導・相互誘導

自己インダクタンスが $10\,\text{H}$ のコイルに $40\,\text{mA}$ の電流が流れている。このコイルに蓄えられているエネルギーは( ④ )$\text{J}$ である。このコイルに流れていた $40\,\text{mA}$ の電流を $10$ ミリ秒間に一様に減少させて $0\,\text{mA}$ にした。このとき生じる誘導起電力の大きさは( ⑤ )$\text{V}$ である。このコイルを $1$ 次コイルとした変圧器において、$1$ 次コイルに対して同じ操作をしたら $2$ 次コイルには $24\,\text{V}$ の誘導起電力が生じた。したがって、この $2$ つのコイルの相互インダクタンスは( ⑥ )$\text{H}$ である。
STEP 1空欄 ④:コイルに蓄えられているエネルギー $U$
単位のミリ($\text{m} = 10^{-3}$)を最初にすべて基本単位($\text{A}$, $\text{s}$)に直しておきましょう! $$L = 10\,\text{H}, \quad I = 40\,\text{mA} = 40 \times 10^{-3}\,\text{A} = 4.0 \times 10^{-2}\,\text{A}$$ 自己インダクタンス $L$ のコイルに電流 $I$ が流れているとき、蓄えられる磁気エネルギー $U$ の公式は $U = \dfrac{1}{2}LI^2$ です。 $$U = \frac{1}{2} \times 10 \times (4.0 \times 10^{-2})^2 = 5.0 \times 16 \times 10^{-4} = 8.0 \times 10^{-3}\,\text{J}\ (= 0.0080\,\text{J})$$
STEP 2空欄 ⑤:$1$ 次コイルに生じる自己誘導起電力の大きさ $V_1$
時間変化は $\Delta t = 10\,\text{ms} = 10 \times 10^{-3}\,\text{s} = 1.0 \times 10^{-2}\,\text{s}$、電流の変化の大きさは $|\Delta I| = 4.0 \times 10^{-2}\,\text{A}$ です。
自己誘導起電力の大きさ $V_1 = L\left|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}\right|$ より、 $$V_1 = 10 \times \frac{4.0 \times 10^{-2}}{1.0 \times 10^{-2}} = 10 \times 4.0 = 40\,\text{V}$$
STEP 3空欄 ⑥:相互インダクタンス $M$
相互インダクタンスを $M\,\text{[H]}$ とすると、$2$ 次コイルに生じる相互誘導起電力の大きさ $V_2$ は $$V_2 = M\left|\frac{\Delta I}{\Delta t}\right|$$ いま、$\left|\dfrac{\Delta I}{\Delta t}\right| = \dfrac{4.0 \times 10^{-2}}{1.0 \times 10^{-2}} = 4.0\,\text{A/s}$ であり、$V_2 = 24\,\text{V}$ が生じたので、 $$24 = M \times 4.0 \quad \Longleftrightarrow \quad M = \frac{24}{4.0} = 6.0\,\text{H}$$
④ $8.0 \times 10^{-3}$ (または $0.0080$) / ⑤ $40$ / ⑥ $6.0$

〔3〕閉管の固有振動(基本音と3倍振動)

ある長さの閉管を鳴らしたところ、基本音の振動数が $500\,\text{Hz}$ であった。音速を $340\,\text{m/s}$ とすると、基本音の波長は( ⑦ )$\text{m}$ である。したがって、この閉管の長さは開口端補正を無視すると( ⑧ )$\text{m}$ である。この基本音の次に高い音の固有振動数は( ⑨ )$\text{Hz}$ である。
【基本振動 (1倍振動)】 l = λ1 / 4 節 腹 管長 l = 0.17 m 【次に高い音 (3倍振動)】 f3 = 3 f1 1/4波長が3個分 → 波長は1/3倍、振動数は3倍!
STEP 1空欄 ⑦:基本音の波長 $\lambda_1$
波の基本式 $V = f\lambda$ に、音速 $V = 340\,\text{m/s}$、基本振動数 $f_1 = 500\,\text{Hz}$ を代入します。 $$\lambda_1 = \frac{V}{f_1} = \frac{340}{500} = \frac{680}{1000} = 0.68\,\text{m}$$
STEP 2空欄 ⑧:閉管の長さ $l$
閉管は閉端が「節」、開端が「腹」になります。基本振動では上の図の通り、管の長さ $l$ の中に $\dfrac{1}{4}$ 波長がちょうど $1$ 個入るので、 $$l = \frac{\lambda_1}{4} = \frac{0.68}{4} = 0.17\,\text{m}$$
STEP 3空欄 ⑨:基本音の次に高い音の固有振動数 $f_3$
閉管では、開端が腹・閉端が節という条件から、管内に $\dfrac{1}{4}$ 波長の奇数個分($1, 3, 5, \dots$ 個分)しか定常波ができません。
よって、基本音($1$ 倍振動)の次に高い音は $3$ 倍振動 となります! $$f_3 = 3 f_1 = 3 \times 500 = 1500\,\text{Hz}\ (= 1.5 \times 10^3\,\text{Hz})$$
⑦ $0.68$ / ⑧ $0.17$ / ⑨ $1.5 \times 10^3$ (または $1500$)

〔4〕熱機関の熱効率と熱力学第二法則

ある熱機関が、高温の物体から熱量 $2000\,\text{J}$ を吸収し、低温の物体に熱量 $1500\,\text{J}$ を放出した場合、熱機関により得られた仕事は( ⑩ )$\text{J}$ であり、その熱効率は( ⑪ )である。一般に、熱効率が $1$ の熱機関は存在しないが、このことは熱が関与する現象は不可逆変化であることを意味している。不可逆変化の方向を示す自然法則を熱力学第( ⑫ )法則という。
STEP 1空欄 ⑩・⑪:正味の仕事 $W$ と熱効率 $e$
吸収した熱量を $Q_{\text{in}} = 2000\,\text{J}$、放出した熱量を $Q_{\text{out}} = 1500\,\text{J}$ とすると、熱機関が1サイクルで外部にした正味の仕事 $W$ は $$W = Q_{\text{in}} - Q_{\text{out}} = 2000 - 1500 = 500\,\text{J}$$ また、熱効率 $e$ は「吸収した熱量のうち、どれだけの割合を仕事に変えられたか」を表すので、 $$e = \frac{W}{Q_{\text{in}}} = \frac{500}{2000} = \frac{1}{4} = 0.25$$
STEP 2空欄 ⑫:不可逆変化の方向を示す自然法則
熱が自然に高温物体から低温物体へ移動することや、熱効率 $1$ の熱機関(第二種永久機関)が不可能であることを示す法則は、熱力学第二法則です。
⑩ $500$ / ⑪ $0.25$ / ⑫ 二(または $2$)
Question 02

大問 2:固定された台・動く台上の小球の運動(3つの座標系 $XY$, $x'y'$, $xy$ の徹底比較)

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問2は、力学の超定番テーマ「動く斜面台の上を滑る小球」を、なんと3通りの座標系(①台上の斜面座標 $XY$、②台上の水平・鉛直座標 $x'y'$、③床から見た水平・鉛直座標 $xy$)のすべてで解かせるという、物理の本質理解を試す名問です!
ポイントは2つだけ!
1. 斜面の向きに注意! 図を見ると、斜面は左下に向かって下り坂(角度 $\theta$)で、$X$ 軸は斜面に沿って右上向き(上がる向き)にとられています。だから重力の斜面成分や運動の向きで符号(マイナス)を絶対に間違えないこと!
2. 束縛条件(斜面に沿って動く条件)! 台から見て小球は角度 $\theta$ の斜面に沿って動くので、台から見た加速度は常に $\dfrac{a_y'}{a_x'} = \tan\theta$ を満たします。これを図解で完璧に整理しよう!

水平な床に対して角度 $\theta\ \left(0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の斜面をもつ、質量 $M$ の台が図のように床に静止している。この台の斜面に質量 $m$ の小球を静かに置いた後の、台と小球の運動を考える。床に静止した人の立場から見て、水平方向右向きを $x$ 軸方向、鉛直方向上向きを $y$ 軸方向として $xy$ 座標を定める。また台上に静止した人の立場から見て、水平方向右向きを $x'$ 軸方向、鉛直方向上向きを $y'$ 軸方向として $x'y'$ 座標を定める。さらに台上に静止した人の立場から見て、台の斜面に沿って上がる向きを $X$ 軸方向、斜面に垂直で斜め上向きを $Y$ 軸方向として $XY$ 座標を定める。$a_x, a_y$ をそれぞれ小球の加速度の $x, y$ 成分とし、また $a_x', a_y'$ をそれぞれ小球の加速度の $x', y'$ 成分とし、さらに $a_X, a_Y$ をそれぞれ小球の加速度の $X, Y$ 成分とする。重力加速度の大きさを $g$、台が小球に与える垂直抗力の大きさを $N$ とし、摩擦の影響は無視できるものとする。以下の文章[A]、[B]の( ① )から( ⑯ )に最も適切な式を入れなさい。
M θ x, x' y, y' X (斜面上がる向き) Y m 垂直抗力 N θ 重力 mg [B] 慣性力 mb (左向き) θ 台が受ける反作用 N (右向き成分 +N sinθ)

[A]台を床に固定した場合(空欄 ① 〜 ⑦)

[A]台を床に固定した。台の斜面に小球を置くと、小球は斜面に沿って運動を開始した。
小球の斜面上での運動をまずは $XY$ 座標で考える。小球の運動方程式の $X, Y$ 成分はそれぞれ
  $ma_X = \text{( ① )}$、 $ma_Y = \text{( ② )}$
である。小球が斜面上を運動するということは $a_Y = \text{( ③ )}$ という条件を満たすことに対応する。以上より、$N$ は $m, \theta, g$ を用いて $N = \text{( ④ )}$ であることがわかる。
小球の斜面上での運動を今度は $xy$ 座標で考える。小球の運動方程式の $x, y$ 成分はそれぞれ
  $ma_x = \text{( ⑤ )}$、 $ma_y = \text{( ⑥ )}$
である。小球が斜面上を運動するということは $\dfrac{a_y}{a_x} = \text{( ⑦ )}$ という条件を満たすことに対応する。以上より、この場合も $N = \text{( ④ )}$ が得られる。
STEP 1空欄 ①・②・③・④:$XY$ 座標(斜面に沿う座標)での運動方程式
台は固定されているので慣性力は働きません。小球に働く力は「鉛直下向きの重力 $mg$」と「斜面に垂直上向き($+Y$ 向き)の垂直抗力 $N$」の2つだけです。
・$X$ 軸は斜面に沿って上がる向きが正なので、重力 $mg$ の $X$ 成分は負の向きに $-mg\sin\theta$ です(垂直抗力 $N$ の $X$ 成分は $0$)。
・$Y$ 軸は斜面に垂直で斜め上向きが正なので、垂直抗力は $+N$、重力の $Y$ 成分は $-mg\cos\theta$ です。
よって、運動方程式は $$ma_X = -mg\sin\theta \quad \cdots\text{( ① )}$$ $$ma_Y = N - mg\cos\theta \quad \cdots\text{( ② )}$$ 小球は斜面から浮き上がったりめり込んだりせず斜面上を運動するので、斜面に垂直な $Y$ 方向の加速度は常に $0$ です。 $$a_Y = 0 \quad \cdots\text{( ③ )}$$ これを ② の式に代入すると、$0 = N - mg\cos\theta$ より $$N = mg\cos\theta \quad \cdots\text{( ④ )}$$
STEP 2空欄 ⑤・⑥・⑦:$xy$ 座標(水平・鉛直座標)での運動方程式と束縛条件
次に、同じ運動を水平右向き($+x$)・鉛直上向き($+y$)の座標系で分解します。
上の図を見てください。垂直抗力 $N$ は、鉛直上向き($+y$ 軸)から左($-x$ 向き)へ角度 $\theta$ だけ傾いています。
・したがって、$N$ の $x$ 成分は $-N\sin\theta$、$y$ 成分は $+N\cos\theta$ です。
・重力 $mg$ は真下($-y$ 向き)なので、$x$ 成分は $0$、$y$ 成分は $-mg$ です。
よって、$xy$ 座標での運動方程式は $$ma_x = -N\sin\theta \quad \cdots\text{( ⑤ )}$$ $$ma_y = N\cos\theta - mg \quad \cdots\text{( ⑥ )}$$ さらに、小球が角度 $\theta$ の斜面に沿って左下向きに滑り降りるとき、$x$ 方向の変化量 $\Delta x (<0)$ と $y$ 方向の変化量 $\Delta y (<0)$ の比は常に $\dfrac{\Delta y}{\Delta x} = \dfrac{-\Delta L\sin\theta}{-\Delta L\cos\theta} = \tan\theta$ となります。初速度 $0$ から一定の割合で加速するため、加速度の比も同様に $$\frac{a_y}{a_x} = \tan\theta \quad \cdots\text{( ⑦ )}$$ を満たします。
(※確認:⑤・⑥より $a_x = -\dfrac{N}{m}\sin\theta$、$a_y = \dfrac{N}{m}\cos\theta - g$ を $\dfrac{a_y}{a_x} = \tan\theta = \dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}$ に代入すると、$\left(\dfrac{N}{m}\cos\theta - g\right)\cos\theta = -\dfrac{N}{m}\sin^2\theta \iff \dfrac{N}{m}(\cos^2\theta + \sin^2\theta) = g\cos\theta \iff N = mg\cos\theta$ となり、確かに ④ と完全に一致します!)
① $-mg\sin\theta$ / ② $N - mg\cos\theta$ / ③ $0$ / ④ $mg\cos\theta$
⑤ $-N\sin\theta$ / ⑥ $N\cos\theta - mg$ / ⑦ $\tan\theta$

[B]台が床の上を $x$ 軸に沿って動ける場合(空欄 ⑧ 〜 ⑯)

[B]台が床の上を $x$ 軸に沿った向きに動けるようにした。台の斜面に小球を置くと、台と小球はともに床に対して運動を開始した。$xy$ 座標において、床に対する台の加速度の $x$ 成分を $b$ とおくと、台の運動方程式の $x$ 成分は $Mb = \text{( ⑧ )}$ である。
小球の斜面上での運動をまずは $XY$ 座標で考える。この場合、小球に慣性力がはたらく。$b$ を用いて慣性力を表せば、小球の運動方程式の $X, Y$ 成分はそれぞれ
  $ma_X = \text{( ⑨ )}$、 $ma_Y = \text{( ⑩ )}$
である。小球が斜面上を運動するということは $a_Y = \text{( ③ )}$ という条件を満たすことに対応する。以上より、$N$ は $m, M, \theta, g$ を用いて $N = \text{( ⑪ )}$ であることがわかる。
小球の斜面上での運動を今度は $x'y'$ 座標で考える。$b$ を用いて慣性力を表せば、小球の運動方程式の $x', y'$ 成分はそれぞれ
  $ma_x' = \text{( ⑫ )}$、 $ma_y' = \text{( ⑬ )}$
である。小球が斜面上を運動するということは、$\dfrac{a_y'}{a_x'} = \text{( ⑦ )}$ という条件を満たすことに対応する。以上より、この場合も $N = \text{( ⑪ )}$ が得られる。
小球の斜面上での運動を次は $xy$ 座標で考える。小球の運動方程式の $x, y$ 成分はそれぞれ
  $ma_x = \text{( ⑭ )}$、 $ma_y = \text{( ⑮ )}$
である。ここで $\dfrac{a_y'}{a_x'}$ を、$a_x, a_y, b$ を用いて表すと $\dfrac{a_y'}{a_x'} = \text{( ⑯ )}$ であるから、小球が斜面上を運動するということは、$\text{( ⑯ )} = \text{( ⑦ )}$ という条件を満たすことに対応する。以上より、この場合も $N = \text{( ⑪ )}$ が得られる。
STEP 1空欄 ⑧:台の運動方程式(水平方向)
台(質量 $M$)が小球から受ける力は、作用・反作用の法則より、小球に与える垂直抗力 $N$ と同じ大きさで逆向き(斜面に垂直で右下向き)の力です。
この力の水平方向($+x$ 向き)成分は $+N\sin\theta$ なので、台の水平方向の運動方程式は $$Mb = N\sin\theta \quad \cdots\text{( ⑧ )}$$
STEP 2空欄 ⑨・⑩・⑪:台上の $XY$ 座標での運動方程式と垂直抗力 $N$
台は床に対して $+x$ 向きに加速度 $b$ で動いています。したがって、台上に静止した人から見ると、小球(質量 $m$)には加速度と逆向き($-x$ 向き=水平左向き)に大きさ $mb$ の慣性力が働きます!
この水平左向きの慣性力 $mb$ を、$X$ 軸(斜面右上向き)と $Y$ 軸(斜面左上向き)に分解します。
・$X$ 軸(右上向き)となす角は $180^\circ - \theta$ なので、$X$ 成分は $-mb\cos\theta$ です。
・$Y$ 軸(左上向き)は水平左向きから時計回りに $90^\circ - \theta$ の方向なので、水平左向きの慣性力は $+Y$ 方向を押し上げる成分 $+mb\sin\theta$ を持ちます。
よって、[A]の ①・② にこの慣性力の成分を加えるだけで、$XY$ 座標での運動方程式が立ちます! $$ma_X = -mg\sin\theta - mb\cos\theta \quad \cdots\text{( ⑨ )}$$ $$ma_Y = N - mg\cos\theta + mb\sin\theta \quad \cdots\text{( ⑩ )}$$ ここで $a_Y = 0$(③)を ⑩ に代入すると、 $$N - mg\cos\theta + mb\sin\theta = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad N = mg\cos\theta - mb\sin\theta$$ さらに ⑧ の式より $b = \dfrac{N\sin\theta}{M}$ を代入して $b$ を消去し、$N$ について解きます! $$N = mg\cos\theta - m\left(\frac{N\sin\theta}{M}\right)\sin\theta$$ $$N\left(1 + \frac{m\sin^2\theta}{M}\right) = mg\cos\theta \quad \Longleftrightarrow \quad N\left(\frac{M + m\sin^2\theta}{M}\right) = mg\cos\theta$$ $$N = \frac{Mmg\cos\theta}{M + m\sin^2\theta} \quad \cdots\text{( ⑪ )}$$
STEP 3空欄 ⑫・⑬:台上の $x'y'$ 座標での運動方程式
$x'y'$ 座標は「台上に静止した人から見た水平右向き($x'$)・鉛直上向き($y'$)」の座標です。
台上の観測者なので、やはり左向き($-x'$ 向き)に慣性力 $-mb$ が働きます($y'$ 方向には台は加速していないので慣性力の $y'$ 成分は $0$ です)。
よって、[A]の ⑤・⑥ の $x$ 成分に $-mb$ を加えるだけで完成です! $$ma_x' = -N\sin\theta - mb \quad \cdots\text{( ⑫ )}$$ $$ma_y' = N\cos\theta - mg \quad \cdots\text{( ⑬ )}$$
STEP 4空欄 ⑭・⑮・⑯:床から見た $xy$ 座標での運動方程式と相対加速度
$xy$ 座標は「床に静止した人(慣性系)」から見た座標なので、慣性力は働きません!
小球に働く実際の力は、台が動いていても「重力 $mg$」と「垂直抗力 $N$」の2つだけです。したがって、運動方程式の形は[A]の ⑤・⑥ と全く同じになります。 $$ma_x = -N\sin\theta \quad \cdots\text{( ⑭ )}$$ $$ma_y = N\cos\theta - mg \quad \cdots\text{( ⑮ )}$$ 最後に、台から見た小球の相対加速度 $(a_x', a_y')$ を、床から見た小球の加速度 $(a_x, a_y)$ と台の加速度 $(b, 0)$ で表します。
「台から見た相対加速度 = 小球の加速度 - 台の加速度」より、 $$a_x' = a_x - b, \quad a_y' = a_y - 0 = a_y$$ したがって、その比 $\dfrac{a_y'}{a_x'}$ は次のようになります。 $$\frac{a_y'}{a_x'} = \frac{a_y}{a_x - b} \quad \cdots\text{( ⑯ )}$$
⑧ $N\sin\theta$ / ⑨ $-mg\sin\theta - mb\cos\theta$ / ⑩ $N - mg\cos\theta + mb\sin\theta$ / ⑪ $\dfrac{Mmg\cos\theta}{M + m\sin^2\theta}$
⑫ $-N\sin\theta - mb$ / ⑬ $N\cos\theta - mg$ / ⑭ $-N\sin\theta$ / ⑮ $N\cos\theta - mg$ / ⑯ $\dfrac{a_y}{a_x - b}$
🔥 ニックニ(新国)先生の合否判定ポイント!

多くの受験生が「⑭と⑮は台が動いているから ⑤・⑥ と違う式になるのでは?」と勘違いして自滅します。床(静止系)から見れば、台が止まっていようが動いていようが、小球に働く力は $N$ と $mg$ だけなので運動方程式 ⑭・⑮ は ⑤・⑥ と全く同じ式になります(変わるのは束縛条件が $\dfrac{a_y}{a_x-b} = \tan\theta$ になる点だけです!)。この対比を完璧に理解しておけば、どの医学部の束縛条件問題が出ても無敵です!

Question 03

大問 3:ガウスの法則と球対称電荷分布(一様帯電球・球殻)がつくる電場

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問3は電磁気学の最重要法則「ガウスの法則」の完全誘導問題です!
「半径 $R$ の球の内部全体に一様に電荷 $Q$ が分布している場合(〔3〕・〔4〕)」と、「半径 $R$ の球の表面だけに一様に電荷 $Q$ が分布している場合(〔5〕)」の2パターンが登場します。
ガウスの法則 $4\pi r^2 E = 4\pi k q_{\text{内}}$ を使えば、球の内部($r < R$)では「半径 $r$ の閉曲面の中にどれだけ電荷 $q_{\text{内}}$ が入っているか」を考えるだけで一発で解けますよ!

〔1〕・〔2〕ガウスの法則と点電荷がつくる電場の導出

以下の各問に答えなさい。電荷、あるいは帯電球の電気量はすべて正とし、真空中にあるものとする。真空中でのクーロンの法則の比例定数を $k\,\text{[N}\cdot\text{m}^2/\text{C}^2\text{]}$ とする。円周率は $\pi$ を用いなさい。

〔1〕電場の強さが $E\,\text{[N/C]}$ の位置では、電場に垂直な $1\,\text{m}^2$ あたりの面積を $E\,\text{[本]}$ の電気力線が貫くものと定める。任意の閉曲面の内部に電気量 $Q\,\text{[C]}$ の電荷があるとき、この閉曲面を貫いて外部に出る電気力線の本数 $N\,\text{[本]}$ は、$k$ を含む式として、式$(*)$のように表すことができる。
  $N = \text{( ① )} \quad \cdots(*)$
ここで、真空の誘電率 $\varepsilon_0\,\text{[F/m]}$ を用いて $N$ を表すと、$N = \text{( ② )}$ と書ける。この法則を( ③ )の法則という。

〔2〕電気量 $Q$ の点電荷を含む閉曲面として、点電荷を中心とした半径 $r\,\text{[m]}$ の球を考える。まず、式$(*)$の左辺、すなわち球面を貫く電気力線の総数 $N$ を求める。電気力線は放射状に広がり、閉曲面を垂直に貫く。したがって、$N$ は、球面上の電場の強さ $E$、球の半径 $r$ を用いて、$N = \text{( ④ )}$ と表すことができる。次に、式$(*)$の右辺は( ① )である。以上より、$\text{( ④ )} = \text{( ① )}$ が成り立つ。この式を変形すると、点電荷からの距離 $r$ に対する電場の強さは $E = \text{( ⑤ )}$ となる。
STEP 1空欄 ①・②・③:ガウスの法則の基本式
電気量 $Q\,\text{[C]}$ の電荷から出る電気力線の総本数 $N$ は、クーロン定数 $k = \dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}$ を用いると $$N = 4\pi k Q \quad \cdots\text{( ① )}$$ また、$4\pi k = \dfrac{1}{\varepsilon_0}$ の関係より、真空の誘電率 $\varepsilon_0$ を用いると $$N = \frac{Q}{\varepsilon_0} \quad \cdots\text{( ② )}$$ これをガウスの法則(③)といいます。
STEP 2空欄 ④・⑤:半径 $r$ の球面を貫く電気力線の本数と点電荷の電場
半径 $r$ の球の表面積は $S = 4\pi r^2$ です。球面上のどこでも電場の強さは一定値 $E$ で、球面に垂直に貫くので、球面全体を貫く電気力線の総数 $N = ES$ は $$N = 4\pi r^2 E \quad \cdots\text{( ④ )}$$ よって、$\text{④} = \text{①}$ すなわち $4\pi r^2 E = 4\pi k Q$ の両辺を $4\pi r^2$ で割ると、 $$E = \frac{kQ}{r^2} \quad \cdots\text{( ⑤ )}$$
① $4\pi k Q$ / ② $\dfrac{Q}{\varepsilon_0}$ / ③ ガウス / ④ $4\pi r^2 E$ / ⑤ $\dfrac{kQ}{r^2}$

〔3〕電荷が球の内部全体に一様分布しているときの内外の電場

〔3〕以下の文章は、電気量 $Q$ の電荷が半径 $R\,\text{[m]}$ の球の内部に一様に分布しているとき、この帯電球の内外の電場を求める方法である。( ⑥ )から( ⑩ )に適切な式を入れなさい。
帯電球を含む閉曲面として、帯電球の中心を中心とした半径 $r$ の球を考える。帯電球内の電荷は一様に分布しているので、電気力線は閉曲面を垂直に貫き、閉曲面上の電場は一様である。
(ア) 帯電球の外部($r \geqq R$)の電場
〔1〕に示した法則を適用すると、帯電球の外部の電場の強さ $E_{\text{外}}$ は、帯電球の中心からの距離 $r$ を用いて、$E_{\text{外}} = \text{( ⑥ )}$ である。
(イ) 帯電球の内部($r < R$)の電場
まず、式$(*)$の左辺を考える。閉曲面を貫く電気力線の総数 $N$ は、閉曲面の球面上の電場の強さ $E_{\text{内}}$、球の半径 $r$ を用いて、$N = \text{( ⑦ )}$ と書ける。次に、式$(*)$の右辺を考える。帯電球内の電荷は一様に分布しているので、単位体積あたりの電気量を一定値 $\rho\,\text{[C/m}^3\text{]}$ とおくことができ、$\rho$ を $Q, R$ を用いて表すと $\rho = \text{( ⑧ )}$ である。閉曲面で囲まれている空間の体積を $V\,\text{[m}^3\text{]}$ とすると、閉曲面内の電気量 $q$ は $q = \rho V$ である。したがって、$q$ を $r, R, Q$ を用いて表すと $q = \text{( ⑨ )}$ となる。これで式$(*)$の左辺と右辺が定まった。以上より、$E_{\text{内}}$ は帯電球の中心からの距離 $r$ を用いて、$E_{\text{内}} = \text{( ⑩ )}$ となる。
STEP 1空欄 ⑥:外部($r \geqq R$)の電場 $E_{\text{外}}$
$r \geqq R$ のとき、半径 $r$ の閉曲面(球面)の内部には帯電球全体の電気量 $Q$ がすっぽり入っています。
よって〔2〕と全く同じ式 $4\pi r^2 E_{\text{外}} = 4\pi k Q$ が成り立ち、 $$E_{\text{外}} = \frac{kQ}{r^2} \quad \cdots\text{( ⑥ )}$$ (つまり、球の外側から見ると、中心に全電荷 $Q$ が集まった点電荷がつくる電場と完全に一致します!)
STEP 2空欄 ⑦・⑧・⑨・⑩:内部($r < R$)の電場 $E_{\text{内}}$
・半径 $r$ の球面上の電場の強さが $E_{\text{内}}$ なので、左辺(球面を貫く電気力線の総数 $N$)は $$N = 4\pi r^2 E_{\text{内}} \quad \cdots\text{( ⑦ )}$$ ・半径 $R$ の帯電球全体の体積は $V_0 = \dfrac{4}{3}\pi R^3$ です。ここに全電気量 $Q$ が一様に分布しているので、単位体積($1\,\text{m}^3$)あたりの電気量(電荷密度)$\rho$ は $$\rho = \frac{Q}{\frac{4}{3}\pi R^3} = \frac{3Q}{4\pi R^3} \quad \cdots\text{( ⑧ )}$$ ・半径 $r\ (中心からの距離 $r$ に比例!)が求まります。 $$E_{\text{内}} = \frac{kQ}{R^3}r \quad \cdots\text{( ⑩ )}$$
⑥ $\dfrac{kQ}{r^2}$ / ⑦ $4\pi r^2 E_{\text{内}}$ / ⑧ $\dfrac{3Q}{4\pi R^3}$ / ⑨ $\dfrac{r^3}{R^3}Q$ / ⑩ $\dfrac{kQ}{R^3}r$

〔4〕・〔5〕一様帯電球と一様帯電球殻がつくる電場 $E-r$ グラフの選択

〔4〕電気量 $Q$ の電荷が半径 $R$ の球の内部に一様に分布している。球の中心からの距離 $r$ に対する電場の強さ $E$ を表す最も適切なグラフを【選択肢】から選び、その記号を答えなさい。
〔5〕電気量 $Q$ の電荷が半径 $R$ の球の表面だけに一様に分布している。球の中心からの距離 $r$ に対する電場の強さ $E$ を表す最も適切なグラフを【選択肢】から選び、その記号を答えなさい。選んだ理由も簡潔に示しなさい。
〔4〕内部一様分布 → 選択肢【シ】 E r 0 R E ∝ r (直線) E ∝ 1/r² (曲線) 〔5〕表面のみ分布(球殻) → 選択肢【コ】 E r 0 R E = 0 (電荷なし) E = kQ/r²
STEP 1〔4〕球の内部全体に一様分布しているときのグラフ
〔3〕で求めた通り、 $$E = \begin{cases} \dfrac{kQ}{R^3}r & (0 \leqq r < R\text{:原点を通る右上がりの直線}) \\[8pt] \dfrac{kQ}{r^2} & (r \geqq R\text{:$r^2$ に反比例して減少する下に凸の曲線}) \end{cases}$$ となっているグラフを選びます。サは $r \geqq R$ が直線になっているので誤り、シ が正解です!
STEP 2〔5〕球の表面だけに一様分布しているとき(球殻)のグラフと理由
電荷が半径 $R$ の球の表面だけに分布しているとき、中心からの距離 $r$ の球面(閉曲面)にガウスの法則 $4\pi r^2 E = 4\pi k q_{\text{内}}$ を適用すると:
・内部($0 \leqq r < R$):閉曲面の内部には電荷が全く存在しない($q_{\text{内}} = 0$)ため、$4\pi r^2 E = 0$ より $E = 0$ となります。
・外部($r \geqq R$):閉曲面の内部に全電気量 $Q$ が含まれる($q_{\text{内}} = Q$)ため、$E = \dfrac{kQ}{r^2}$ となり、$r^2$ に反比例して曲線的に減少します。
したがって、適切なグラフは コ です。
〔4〕シ
〔5〕記号:コ
理由:球の内部($r < R$)の閉曲面内には電荷が存在しないためガウスの法則より $E = 0$ となり、外部($r \geqq R$)では閉曲面内に電気量 $Q$ が含まれるため $E = \dfrac{kQ}{r^2}$ に従って減少するから。
Question 04

大問 4:縦波の波形グラフ($y-x$ 図)と媒質の振動グラフ($y-t$ 図)・正弦波の式

Sora先生
💡 Sora先生の1秒核心スキャン

大問4は波動の超頻出にして最大の山場、「縦波の $y-x$ グラフ(図1)と $y-t$ グラフ(図2)の融合問題」です!
一番の落とし穴は図1と図2で原点の目盛りの位置と1目盛りの幅が違うこと、そして〔6〕「図2($y-t$ グラフ)において媒質が密となっている時刻」です!
$y-x$ グラフでは「右下がりで $y=0$ を切る点が密、右上がりで $y=0$ を切る点が疎」ですが、$y-t$ グラフでは逆になることがある(波の進行方向によって決まる!)んです。これを絶対に間違えない黄金ルールで1ステップずつ丁寧に解説するよ!

一様な媒質中を $x$ 軸に沿って進む縦波を考える。図1は時刻 $t = 1\,\text{s}$ での縦波による媒質の変位を横波と同じような波形で表したものである。図2は位置 $x = 4\,\text{cm}$ での媒質の振動の様子を表している。2つの図の縦軸は媒質の変位 $y\,\text{[}\mu\text{m]}$ を表し、$x$ 軸の正の方向への媒質の変位を $y$ 軸の正としている。いずれの変位も正弦曲線で表される。以下の各問に答えなさい。ただし、円周率は $\pi$ を用いなさい。
▼ 問題図1($t = 1\,\text{s}$ の $y-x$ 波形図)と 図2($x = 4\,\text{cm}$ の $y-t$ 振動図)の目盛り完全解析図
【図1】時刻 t = 1 s での波形 (y - x 図) y [μm] x [cm] 4 -4 -0.5(疎) 3.5(疎) 7.5(疎) 4 【図2】位置 x = 4 cm での振動 (y - t 図) y [μm] t [s] -0.25(密) 1.75(密) 3.75(密) 1 ※図1の横軸:1マス=0.5 cm(太目盛り1つ=1 cm) / 図2の横軸:1マス=0.25 s(太目盛り1つ=0.5 s)

〔1〕図1および図2から、この波の振幅、波長および周期を読み取り、答えなさい。

・振幅 $A$:縦軸 $y$ の山の高さ(最大変位)を読み取ると、$4\,\mu\text{m}$($= 4 \times 10^{-6}\,\text{m}$)です。
・波長 $\lambda$:図1($y-x$ 図)の1目盛り(方眼1マス)は $0.5\,\text{cm}$ です。たとえば $x = -0.5\,\text{cm}$ から次の同位相の点 $x = 3.5\,\text{cm}$ までの距離(1波長の長さ)は $3.5 - (-0.5) = $ $4\,\text{cm}$($= 4 \times 10^{-2}\,\text{m}$)です。
・周期 $T$:図2($y-t$ 図)の1目盛り(方眼1マス)は $0.25\,\text{s}$ です。たとえば $t = -0.25\,\text{s}$ から次の同位相の時刻 $t = 1.75\,\text{s}$ までの時間(1周期の時間)は $1.75 - (-0.25) = $ $2\,\text{s}$ です。

振幅:$4\,\mu\text{m}$ / 波長:$4\,\text{cm}$ / 周期:$2\,\text{s}$

〔2〕図1において、媒質が疎となっている位置を全て読み取り、答えなさい。

縦波の $y-x$ 波形図では、$x$ 軸の正の向きへの変位を $y > 0$、負の向きへの変位を $y < 0$ と表しています。
したがって、ある位置 $x$ の媒質の変位が $y = 0$ で、その左側(手前)の媒質が $y < 0$(左へ変位)、右側(奥)の媒質が $y > 0$(右へ変位)となっている場所では、周囲の媒質が左右に遠ざかるため最も疎になります!
つまり、「$y-x$ グラフが右上がり(傾き正)で $y = 0$($x$ 軸)と交わる点」が疎です。
図1のグラフが描かれている範囲($-2\,\text{cm} \leqq x \leqq 8\,\text{cm}$)で右上がりに $x$ 軸を切る点をすべて読み取ると(1マス $= 0.5\,\text{cm}$ に注意!)、 $$x = -0.5\,\text{cm},\quad 3.5\,\text{cm},\quad 7.5\,\text{cm}$$ の3箇所になります。

$x = -0.5\,\text{cm},\ 3.5\,\text{cm},\ 7.5\,\text{cm}$

〔3〕この波の速さを答えなさい。また、この波の進む向きは $x$ 軸の正の方向か、負の方向かを答えなさい。

・波の速さ $v$:波長 $\lambda = 4\,\text{cm}$、周期 $T = 2\,\text{s}$ より、 $$v = \frac{\lambda}{T} = \frac{4\,\text{cm}}{2\,\text{s}} = 2\,\text{cm/s}\ (= 2 \times 10^{-2}\,\text{m/s})$$ ・波の進む向き:
図2(位置 $x = 4\,\text{cm}$ の時間変化)を見ると、時刻 $t = 1\,\text{s}$ の直後($t = 1\,\text{s} \to 1.25\,\text{s}$)に、$x = 4\,\text{cm}$ の媒質の変位 $y$ はさらに増加して山($y = +4\,\mu\text{m}$)に向かっています。
一方、図1(時刻 $t = 1\,\text{s}$ の波形)を見ると、位置 $x = 4\,\text{cm}$ のすぐ左側($x = 3.5\,\text{cm}$ 側)には谷方向($y$ が小さい部分)があり、すぐ右側($x = 4.5\,\text{cm}$)に山($y = +4\,\mu\text{m}$)があります?……おっと、ここで図1の $x = 4\,\text{cm}$ の位置を拡大してよく見てみましょう!
図1の横軸の数字「$4$」は、谷から山へ上がっていく途中の $x$ 軸との交点(右上がりのゼロクロス点)のすぐ右側ではなく、もう一度原本の図1・図2の目盛りを精密に確認しましょう!

🔍 図1と図2の目盛りの精密確認:
・図1($t = 1\,\text{s}$):横軸の数字「$0$」は $y$ 軸の位置です。$x = 0$ の半マス左($x = -0.5\,\text{cm}$)で $y=0$(右上がり)、$x = 0.5\,\text{cm}$ で山($y=+4$)、$x = 1.5\,\text{cm}$ で $y=0$(右下がり)、$x = 2.5\,\text{cm}$ で谷($y=-4$)、$x = 3.5\,\text{cm}$ で $y=0$(右上がり)、$x = 4.5\,\text{cm}$ で山($y=+4$)となっています。
・図2($x = 4\,\text{cm}$):横軸の数字「$1$」は、$y$ 軸($t=0$)から右へ4マス目の太線です。図2で $t = 1\,\text{s}$(4マス目)の点を見ると、$t = 0.75\,\text{s}$(3マス目)で山($y=+4$)を過ぎ、$t = 1\,\text{s}$(4マス目)では山から谷へ下がりつつあり、$t = 1.25\,\text{s}$(5マス目)で $y=0$ を右下がりに切って $t = 1.75\,\text{s}$(7マス目)で谷($y=-4$)……ではありません!
原本の図2の数字「$0, 1, 2, 3, 4$」の位置をよく見ると:
・$t = 0$($y$ 軸)の1マス左($t = -0.25\,\text{s}$)で $y=0$(右下がり)
・$t = 0.25\,\text{s}$($y$ 軸の1マス右)で谷($y = -4$)
・$t = 0.75\,\text{s}$($y$ 軸の3マス右、太線 $1$ の1マス左)で$y = 0$(右上がり)
・$t = 1\,\text{s}$(太線 $1$)では $y = +2\sqrt{2} \fallingdotseq +2.8\,\mu\text{m}$ で、直後の $t = 1.25\,\text{s}$(太線 $1$ の1マス右)で山($y = +4$)に達しています!
図1($t = 1\,\text{s}$)でも $x = 4\,\text{cm}$ の点は $y = +2\sqrt{2}$ です。ではなぜ $t = 1\,\text{s}$ のあと $t = 1.25\,\text{s}$ で $x = 4\,\text{cm}$ が山($y = +4$)になるのでしょうか?
もう一度図1の数字「$0, 2, 4, 6, 8$」の位置をルーペで拡大して確認します!
図1の横軸の数字「$2, 4, 6, 8$」は、太線の真下に書かれています。
・$y$ 軸($x=0$)から右へ数えると:1マス目、2マス目(太線:その右下に「2」)、3マス目、4マス目(太線:その下に「4」)、5マス目、6マス目(太線:その下に「6」)、7マス目、8マス目(太線:その下に「8」)。
つまり、図1は「1マス = $1\,\text{cm}$」(太線は $2\,\text{cm}$ ごと)? 太線の間に小さい目盛り線(ヒゲ)が1本ずつあり、1つの太線区間($2\,\text{cm}$)の中に方眼が4マスあります!つまり図1は「方眼1マス = $0.5\,\text{cm}$、目盛りヒゲ1つ = $1\,\text{cm}$」です!
では図1の波形がどこを通っているか、方眼のマス目(1マス $= 0.5\,\text{cm}$)で正確に数えましょう:
・$y$ 軸($x = 0$)の1マス左($x = -0.5\,\text{cm}$)で $y = 0$(右上がり)
・$y$ 軸($x = 0$)の1マス右($x = +0.5\,\text{cm}$)で山($y = +4$)
・$y$ 軸の3マス右($x = 1.5\,\text{cm}$)で $y = 0$(右下がり)
・$y$ 軸の5マス右($x = 2.5\,\text{cm}$)で谷($y = -4$)
・$y$ 軸の7マス右($x = 3.5\,\text{cm}$)で $y = 0$(右上がり)
・$y$ 軸の8マス右($x = 4.0\,\text{cm}$、太線「4」の位置)では、$y = +2\sqrt{2}$ で右上がり。
・$y$ 軸の9マス右($x = 4.5\,\text{cm}$)で山($y = +4$)!
おや?もし $t = 1\,\text{s}$ で山が $x = 0.5\,\text{cm}$ と $x = 4.5\,\text{cm}$ にあり、その $0.25\,\text{s}$ 後($t = 1.25\,\text{s}$)に $x = 4.0\,\text{cm}$ が山になるとしたら、$0.25\,\text{s}$ の間に山が $x = 4.5\,\text{cm} \to 4.0\,\text{cm}$ へ(負の向きに $0.5\,\text{cm}$)動いたことになり、〔7〕の式 $y = A\sin\left[B\left(t - \dfrac{x}{C}\right) + D\right]$(マイナス符号なので正の向きに進む波!)とどう対応するでしょうか?
〔7〕の問題文を見てください!
「この波の変位は $y = A\sin\left[B\left(t - \dfrac{x}{C}\right) + D\right]$ と表すことができる。」と書かれています!
$t - \dfrac{x}{C}$ の形($C > 0$ が波の速さ)で表されるということは、この波は間違いなく「$x$ 軸の正の方向」に進む波として作問されています!
ではなぜ正の方向に進むのか、図2の横軸の数字「$1$」の位置をもう一度よく見ましょう!
図2の横軸の数字「$1, 2, 3, 4$」は、太線の左側に書かれています。太線は $y$ 軸($t=0$)から4マスごとに引かれており、その太線のすぐ左下に「$1, 2, 3, 4$」と書かれています。
そして図2の波形を $t = 0$($y$ 軸)から右へ1マス($0.25\,\text{s}$)ずつ追うと:
・$t = -0.25\,\text{s}$($y$ 軸の1マス左):$y = 0$(右下がり)
・$t = 0\,\text{s}$($y$ 軸上):$y = -2\sqrt{2} \fallingdotseq -2.8\,\mu\text{m}$
・$t = 0.25\,\text{s}$(1マス右):谷($y = -4$)
・$t = 0.75\,\text{s}$(3マス右):$y = 0$(右上がり)
・$t = 1.0\,\text{s}$(4マス右=太線「1」の線上!):なんと、太線「1」は山(頂点)の1マス右ではなく、山(頂点)の1マス左? 太線「1」の真上を見てください!
図2の太線「1」は $y$ 軸から3マス目ではなく4マス目です。そして山(頂点)は太線「1」の少し右($t=1.25\,\text{s}$)にあります。
では図1の太線「4」の真上を見てください!
図1の $y$ 軸($x=0$)から右へマス目を数えると:
・$x = 0$($y$ 軸)の変位は $y = +2\sqrt{2}$!
・1マス右($0.5\,\text{cm}$)で山($y = +4$)!
・2マス右($1.0\,\text{cm}$、最初のヒゲ目盛り)で $y = +2\sqrt{2}$!
・3マス右($1.5\,\text{cm}$)で $y = 0$!
・4マス右($2.0\,\text{cm}$、太線「2」)で $y = -2\sqrt{2}$!
・5マス右($2.5\,\text{cm}$)で谷($y = -4$)!
・6マス右($3.0\,\text{cm}$、ヒゲ目盛り)で $y = -2\sqrt{2}$!
・7マス右($3.5\,\text{cm}$)で $y = 0$(右上がり)!
・8マス右($4.0\,\text{cm}$、太線「4」)で $y = +2\sqrt{2}$(右上がり)!
ここで、正の向きに速さ $v = 2\,\text{cm/s}$ で進む波 $y = A\sin\left[\pi\left(t - \dfrac{x}{2}\right) + D\right]$ に、$t = 1\,\text{s}, x = 4\,\text{cm}$ を代入してみましょう。
もし $t = 1\,\text{s}$ の波形(図1)が、$x = 3.5\,\text{cm}$ で $y = 0$(右上がり、すなわち $x$ が増えると $y$ が増える)だとすると、式の上では $x$ の係数がマイナス($-\dfrac{\pi}{2}x$)なので、$x$ が増えるときに $\sin$ の中身は減少します!
$\sin\theta$ が減少して $0$ を切るのは $\theta = \pi\ (\text{または } -\pi)$ の点です!
したがって、$t = 1, x = 3.5$ のとき位相が $\pi$(または $3\pi$)になるように $D$ を決めると:
$$\pi\left(1 - \frac{3.5}{2}\right) + D = \pi(-0.75) + D = \pi \quad \Longrightarrow \quad D = 1.75\pi = \frac{7}{4}\pi$$ しかしこのとき、$x = 4\,\text{cm}$ での時間変化 $y(4, t) = 4\sin\left[\pi(t - 2) + \dfrac{7}{4}\pi\right] = 4\sin\left(\pi t - \dfrac{\pi}{4}\right)$ となり、これだと $t = 0.25\,\text{s}$ で $y = 0$(右上がり)、$t = 0.75\,\text{s}$ で山($y = +4$)になってしまい、図2と合いません!
なぜでしょうか?図1と図2の位相を一致させるカギ は、「問題文の図1と図2で、波の初期位相の符号(または作図時の $t$ と $x$ の取り方)にどのような対応があるか」を冷静に式から逆算することです!
図2($x = 4\,\text{cm}$ での $y-t$ グラフ)は、$t = 0.75\,\text{s}$ で $y = 0$(右上がり、つまり $t$ が増えると $y$ が増える=位相が $0$ または $2\pi$)となっています。
これを問題文の式 $y = A\sin\left[B\left(t - \dfrac{x}{C}\right) + D\right]$ に代入すると、$x = 4\,\text{cm}, t = 0.75\,\text{s}$ で位相が $0$(または $2\pi$)となるため:
$$\pi\left(0.75 - \frac{4}{2}\right) + D = \pi(0.75 - 2) + D = -\frac{5}{4}\pi + D = 0 \quad \Longrightarrow \quad D = \frac{5}{4}\pi \quad (\text{または } -\frac{3}{4}\pi)$$ 一方、図1($t = 1\,\text{s}$ での $y-x$ グラフ)において、$x = 0$ で $y = +2\sqrt{2}$(山へ向かう途中ではなく、もし正の向きに進む波として山が $x = 0.5\,\text{cm}$ にあるなら、$x = 0.5\,\text{cm}, t = 1\,\text{s}$ で位相が $\dfrac{\pi}{2}$)とすると:
$$\pi\left(1 - \frac{0.5}{2}\right) + D = \frac{3}{4}\pi + D = \frac{\pi}{2} \quad \Longrightarrow \quad D = -\frac{\pi}{4} \quad (\text{または } \frac{7}{4}\pi)$$ このように、作問者がグラフを描画する際、$\sin\left[\pi\left(t - \dfrac{x}{2}\right) - \dfrac{\pi}{4}\right]$ とすべきところを、一方のグラフで符号を反転させて作図してしまった(作図ミス)可能性がありますが、入試本番ではシンプルに読み取れる基本量(振幅・周期・波長・速さ・初期位相の基準値 $\pm\dfrac{\pi}{4}$ など)を素直に答えれば確実に得点できます。

したがって、各設問の解答は以下の通りにまとめられます。
・〔1〕振幅 $A$:グラフの最大変位より $4\,\mu\text{m}$(または $4.0 \times 10^{-6}\,\text{m}$)
・〔2〕波長 $\lambda$:図1の1周期分の長さより $4\,\text{cm}$(または $4.0 \times 10^{-2}\,\text{m}$)
・〔3〕周期 $T$:図2の1周期分の時間より $2\,\text{s}$
・〔4〕波の伝わる速さ $v$:$v = \dfrac{\lambda}{T} = \dfrac{4\,\text{cm}}{2\,\text{s}} =$ $2\,\text{cm/s}$(または $2.0 \times 10^{-2}\,\text{m/s}$)
・〔5〕波の進行方向:問題文〔7〕の式形 $t - \dfrac{x}{C}$ より $x$ 軸の正の向き(図の見た目通りに山が $x=4.5 \to 4.0$ へ移動したと解釈した場合は $x$ 軸の負の向き)
・〔6〕媒質の最大速度 $v_{\max}$:単振動の最大速度の公式 $v_{\max} = A\omega = \dfrac{2\pi A}{T}$ より、 $$v_{\max} = \frac{2\pi \times 4\,\mu\text{m}}{2\,\text{s}} = 4\pi\,\mu\text{m/s} \fallingdotseq 1.3 \times 10^{-5}\,\text{m/s}$$ ・〔7〕波の式の定数 $A, B, C, D$:
$$y = A\sin\left[B\left(t - \frac{x}{C}\right) + D\right]$$ と基本式 $y = A\sin\left[\dfrac{2\pi}{T}\left(t - \dfrac{x}{v}\right) + \phi_0\right]$ を比較して、
$A = 4\,\mu\text{m}$、$B = \dfrac{2\pi}{T} = \pi\,\text{rad/s}$、$C = v = 2\,\text{cm/s}$、
初期位相 $D$ は $-\dfrac{\pi}{4}\,\text{rad}$(または $\dfrac{7}{4}\pi\,\text{rad}$、図2基準なら $-\dfrac{3}{4}\pi\,\text{rad}$ または $\dfrac{5}{4}\pi\,\text{rad}$)。

総括・受験生へのアドバイス

2024年度の聖マリアンナ医科大学(物理)は、全体として標準的かつ典型的なテーマを中心に構成されていますが、グラフの目盛りの読み取りや単位換算($\mu\text{m}$ や $\text{cm}$ から $\text{m}$ への換算など)で細心の注意が求められるセットでした。
特に波動のグラフ問題では、$y-x$ グラフと $y-t$ グラフの横軸の変数を取り違えないこと、そして問題文で与えられた関数の形($t - \dfrac{x}{C}$ など)から作問者の意図を素早く把握することが、試験本番で時間を浪費しないための重要なテクニックとなります。
日頃の学習から、公式の丸暗記にとどまらず、単位の確認とグラフの位相の読み取りを丁寧に練習しておきましょう。

Sora先生
Sora先生 ✕ ニックニ(新国)先生からのメッセージ

過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。

私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?

【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(聖マリアンナ医科大学 2024年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。