こんにちは!TMPS医学館の理系担当Sora先生です。指導統括のニックニ(新国)先生と一緒に、2025年度(令和7年度)日本医科大学(前期)物理の全問題を1ステップずつ完全図解していくよ!
2025年度の日医物理は、大問3題構成(試験時間:2科目120分=物理目安60分)へとコンパクト化し、【大問I】非等速円運動とケプラーの法則、【大問II】電位グラフとガウスの法則・重力場アナログの荷電粒子運動、【大問III】単原子分子理想気体の熱サイクルという超王道テーマが並びました!
一部、分数計算($243/32 = (3/2)^5$ に気づけるか!)や有効数字2桁のルート計算など、正確性が問われるトラップがありますが、基礎〜標準の本質理解があれば目標得点率85%〜90%以上(満点近く)を狙えるセットです。途中式を1ミリも省略せずに解説するので、一緒に完璧に仕上げよう!
⚡ 最終解答一覧(スピードチェック)
【大問 I】円運動・万有引力
- (1) ア:$\sqrt{5gr}$
- (1) イ:$2r$
- (1) ウ:$6$
- (1) エ:$3$
- (1) オ:$\dfrac{2}{3}R$
- (2) カ:$8$
- (2) キ:$\sqrt{\dfrac{GM}{R}}$
【大問 II】静電場・導体球殻
- (1) ア:$1.7$
- (1) イ:$2.0$
- (1) ウ:$4.2$
- (2) エ:$\dfrac{kQ}{r^2}$
- (2) オ:$0$
- (2) カ:$\dfrac{v_0^2}{2A}$
- (2) キ:$\sqrt{2AR}$
【大問 III】熱力学サイクル
- (1) ア:$\dfrac{633}{64}$
- (1) イ:$\dfrac{633}{64}$
- (2) ウ:$\dfrac{27}{8}$
- (2) エ:$\dfrac{405}{64}$
- (3) オ:$\dfrac{95}{16}$
- (3) カ:$\dfrac{253}{633}$
鉛直面内の非等速円運動・惑星の運動(力学)
大問Iは「鉛直面内の円運動(内側ループ&外側球面滑り)」と「万有引力による等速円運動」の超頻出セットだよ!
鉛直面内の円運動を解く鉄則はたった2つ!
① 力学的エネルギー保存則でその位置の速さ $v$(または $v^2$)を出す!
② 中心方向の運動方程式(または遠心力とのつり合い)で垂直抗力 $N$ を出す!
特に「Aを通過直後」は、水平な床(直線運動)から半径 $r$ の円軌道に入った瞬間なので、中心向きの向心力 $m\dfrac{v_{\mathrm{A}}^2}{r}$ が必要になり、垂直抗力がグッと跳ね上がる点に注意しよう。目標解答時間は12分!ここは全問必答だよ!
【問題 I (1)】
下の(1),(2)の文章の に適した答えを書け。(1)では,小球の運動に関して摩擦はないものとして考え,重力加速度の大きさは $g$ とせよ。(1) 水平な床面に,半円筒形の物体が図1のように接続されている。半円筒の内側断面の $\mathrm{ABC}$ からなる曲線は半径 $r$ の半円の弧であり,$\mathrm{A}$ においてなめらかに床面と接続している。また,$\mathrm{A}$ と $\mathrm{C}$ を結ぶ直線は床面に垂直である。
まず,小球は図1の $\mathrm{O}$ の位置から床面上に放たれ,$\mathrm{A}, \mathrm{B}, \mathrm{C}$ と進んだ後に床面に落ちる。なお,小球の運動は,図1に描かれている断面上からそれることのない2次元面上で運動をするものとする。小球が $\mathrm{C}$ に達した際,小球に加わる垂直抗力がゼロになるように $\mathrm{O}$ で小球を放つ速さを調整した。このとき,この小球を放つ速さは ア である。また,$\mathrm{C}$ で落下を始めた小球は,$\mathrm{O}$ の位置に落ちた。$\mathrm{OA}$ の距離は イ とわかる。この小球の運動において,$\mathrm{OA}$ 間で小球が受けていた垂直抗力の大きさを $N$ とすると,小球が $\mathrm{A}$ を通過直後に受ける垂直抗力の大きさは,$N$ の ウ 倍となる。また,小球が $\mathrm{B}$($\mathrm{A}$ と $\mathrm{C}$ の中間点)を通過する際に小球が受ける遠心力の大きさは,$N$ の エ 倍である。
次に,半径 $R$ の半球を図2のように水平な床面に固定し,この半球の球面の一番高い位置 $\mathrm{D}$ に小球を置くと,初速度ゼロで球面をすべり始めた。その後,小球は床面から オ の高さで球面から離れて落下した。
小球の質量を $m$、位置 $\mathrm{O}$ で小球を放つ速さを $v_0$、最高点 $\mathrm{C}$(床からの高さ $2r$)に達したときの速さを $v_{\mathrm{C}}$ とします。
摩擦はないため、水平な床面 $\mathrm{OA}$ 間では小球は等速直線運動をし、点 $\mathrm{A}$ に進入するときの速さも $v_{\mathrm{A}} = v_0$ です。
【Step 1:最高点 C での中心方向の運動方程式】
最高点 $\mathrm{C}$ において、小球には鉛直下向きに重力 $mg$ と、半円筒の内壁から鉛直下向きに垂直抗力 $N_{\mathrm{C}}$ がはたらきます。
半径 $r$ の円の中心は $\mathrm{C}$ の真下(鉛直下向き)にあるので、中心方向(鉛直下向き)の運動方程式は、
$$m\frac{v_{\mathrm{C}}^2}{r} = mg + N_{\mathrm{C}}$$
問題文より「$\mathrm{C}$ に達した際、小球に加わる垂直抗力がゼロになる($N_{\mathrm{C}} = 0$)」ので、これを代入すると、
$$m\frac{v_{\mathrm{C}}^2}{r} = mg + 0 \quad \Longleftrightarrow \quad v_{\mathrm{C}}^2 = gr \quad \left(v_{\mathrm{C}} = \sqrt{gr}\right) \quad \cdots \text{①}$$
【Step 2:床面(O・A)と最高点 C の間で力学的エネルギー保存則】
床面の高さを位置エネルギーの基準(高さ $0$)とすると、最高点 $\mathrm{C}$ の高さは直径分に相当する $2r$ です。力学的エネルギー保存則より、
$$\frac{1}{2}mv_0^2 + 0 = \frac{1}{2}mv_{\mathrm{C}}^2 + mg(2r)$$
両辺を $\dfrac{2}{m}$ 倍して整理し、①の $v_{\mathrm{C}}^2 = gr$ を代入します。
$$v_0^2 = v_{\mathrm{C}}^2 + 4gr = gr + 4gr = 5gr$$
$$v_0 = \sqrt{5gr}$$
最高点 $\mathrm{C}$ での速度の向きは、半円の接線方向=水平左向き($\mathrm{O}$ の側へ向かう水平方向)であり、その速さは $v_{\mathrm{C}} = \sqrt{gr}$ です。
したがって、点 $\mathrm{C}$ を離れた後の小球は、高さ $2r$ から初速度 $v_{\mathrm{C}} = \sqrt{gr}$ で水平投射されます!
【Step 1:鉛直方向の自由落下から落下時間 $t$ を求める】
点 $\mathrm{C}$ から床面(高さ $2r$ 分)まで鉛直方向に自由落下するのにかかる時間を $t$ とすると、
$$2r = \frac{1}{2}gt^2 \quad \Longleftrightarrow \quad t^2 = \frac{4r}{g} \quad \Longleftrightarrow \quad t = 2\sqrt{\frac{r}{g}}$$
【Step 2:水平方向の等速直線運動から距離 $\mathrm{OA}$ を求める】
点 $\mathrm{C}$ は点 $\mathrm{A}$ の真上にあるため、落下地点 $\mathrm{O}$ と点 $\mathrm{A}$ の水平距離 $\mathrm{OA}$ は、時間 $t$ の間に速さ $v_{\mathrm{C}}$ で水平に進む距離に等しくなります。
$$\mathrm{OA} = v_{\mathrm{C}} \cdot t = \sqrt{gr} \times 2\sqrt{\frac{r}{g}} = 2\sqrt{gr \cdot \frac{r}{g}} = 2\sqrt{r^2} = 2r$$
まず、水平な床面 $\mathrm{OA}$ 間では鉛直方向の力がつり合っているため、小球が床から受けていた垂直抗力の大きさ $N$ は、
$$N = mg \quad \cdots \text{②}$$
です。これを基準($N = mg$)として、点 $\mathrm{A}$ と点 $\mathrm{B}$ を調べます。
【空欄 ウ:点 A を通過直後に受ける垂直抗力 $N_{\mathrm{A}}$】
点 $\mathrm{A}$ を通過した直後、小球は半径 $r$ の円運動の最下点にあります!
この瞬間、小球の速さは $v_{\mathrm{A}} = v_0 = \sqrt{5gr}$ であり、円の中心は点 $\mathrm{A}$ の真上(鉛直上向き)にあります。
中心方向(鉛直上向き)の運動方程式を立てると、上向きに垂直抗力 $N_{\mathrm{A}}$、下向きに重力 $mg$ がはたらくので、
$$m\frac{v_{\mathrm{A}}^2}{r} = N_{\mathrm{A}} - mg$$
ここに $v_{\mathrm{A}}^2 = 5gr$ を代入すると、
$$N_{\mathrm{A}} = mg + m\frac{5gr}{r} = mg + 5mg = 6mg$$
②より $N = mg$ なので、$N_{\mathrm{A}} = 6N$ となり、$N$ の $6$ 倍となります!
【空欄 エ:点 B(A と C の中間点)を通過する際の遠心力 $F_{\mathrm{B}}$】
点 $\mathrm{B}$ は半円弧 $\mathrm{ABC}$ の中間点なので、床面からの高さが半径 $r$ に等しい位置です。
点 $\mathrm{B}$ を通過するときの速さを $v_{\mathrm{B}}$ とし、床面と点 $\mathrm{B}$ の間で力学的エネルギー保存則を立てると、
$$\frac{1}{2}mv_0^2 = \frac{1}{2}mv_{\mathrm{B}}^2 + mgr$$
両辺を $\dfrac{2}{m}$ 倍して $v_0^2 = 5gr$ を代入すると、
$$v_{\mathrm{B}}^2 = v_0^2 - 2gr = 5gr - 2gr = 3gr$$
よって、点 $\mathrm{B}$ を通過する際に小球が受ける遠心力の大きさ $F_{\mathrm{B}}$ は、
$$F_{\mathrm{B}} = m\frac{v_{\mathrm{B}}^2}{r} = m\frac{3gr}{r} = 3mg = 3N$$
したがって、$N$ の $3$ 倍となります!
図2のように、半球の中心と小球を結ぶ動径が鉛直上向き(頂点 $\mathrm{D}$ の方向)となす角を $\theta$ とします。
角 $\theta$ の位置にあるとき、小球の床面からの高さ $h$ は、
$$h = R\cos\theta \quad \cdots \text{③}$$
と表せます。この位置での小球の速さを $v$、球面から受ける垂直抗力を $N'$ とします。
【Step 1:力学的エネルギー保存則】
頂点 $\mathrm{D}$(高さ $R$、初速度 $0$)と、高さ $h = R\cos\theta$ の位置の間で力学的エネルギー保存則を立てると、
$$mgR = \frac{1}{2}mv^2 + mgR\cos\theta \quad \Longleftrightarrow \quad v^2 = 2gR(1 - \cos\theta) \quad \cdots \text{④}$$
【Step 2:円の中心方向の運動方程式】
角 $\theta$ の位置で、円の中心に向かう方向(動径の内向き)には重力の分力 $mg\cos\theta$ がはたらき、外向きに垂直抗力 $N'$ がはたらきます。よって運動方程式は、
$$m\frac{v^2}{R} = mg\cos\theta - N' \quad \Longleftrightarrow \quad N' = mg\cos\theta - m\frac{v^2}{R}$$
④の $v^2 = 2gR(1 - \cos\theta)$ を代入すると、
$$N' = mg\cos\theta - 2mg(1 - \cos\theta) = mg(3\cos\theta - 2)$$
【Step 3:球面から離れる条件($N' = 0$)】
小球が球面から離れる瞬間、垂直抗力が $N' = 0$ となるので、
$$3\cos\theta - 2 = 0 \quad \Longleftrightarrow \quad \cos\theta = \frac{2}{3}$$
これを③の $h = R\cos\theta$ に代入すると、求める床面からの高さ $h$ は、
$$h = \frac{2}{3}R$$
【問題 I (2)】(※(2)では,万有引力定数を $G$ とする。)
(2) 惑星 $\mathrm{A}, \mathrm{B}$ が,質量 $M$ の恒星を中心として,等速円運動をしているとする。惑星 $\mathrm{B}$ の軌道半径は,惑星 $\mathrm{A}$ の軌道半径の $4$ 倍である。そのとき,惑星 $\mathrm{B}$ の公転周期は,惑星 $\mathrm{A}$ の公転周期の カ 倍である。また,惑星 $\mathrm{A}$ と恒星との間の距離を $R$ とするとき,惑星 $\mathrm{A}$ の公転運動の速さは キ である。
【最初に [キ] を求めると超スッキリ!】
惑星 $\mathrm{A}$ の質量を $m_{\mathrm{A}}$、軌道半径(恒星との距離)を $R$、公転運動の速さを $v_{\mathrm{A}}$ とします。
質量 $M$ の恒星から受ける万有引力 $G\dfrac{Mm_{\mathrm{A}}}{R^2}$ が向心力となって等速円運動をしているので、中心方向の運動方程式は、
$$m_{\mathrm{A}}\frac{v_{\mathrm{A}}^2}{R} = G\frac{Mm_{\mathrm{A}}}{R^2}$$
両辺の $m_{\mathrm{A}}$ を消去し、$R$ を掛けて $v_{\mathrm{A}} (>0)$ について解くと、
$$v_{\mathrm{A}}^2 = \frac{GM}{R} \quad \Longleftrightarrow \quad v_{\mathrm{A}} = \sqrt{\frac{GM}{R}}$$
これが [キ] の答えです!
【次に [カ]:公転周期の比(ケプラーの第3法則)】
半径 $r$、速さ $v = \sqrt{\dfrac{GM}{r}}$ で等速円運動する惑星の公転周期 $T$ は、円周 $2\pi r$ を速さ $v$ で割って、
$$T = \frac{2\pi r}{v} = \frac{2\pi r}{\sqrt{\dfrac{GM}{r}}} = \frac{2\pi}{\sqrt{GM}} r^{\frac{3}{2}} \quad \left(\text{すなわち } \frac{T^2}{r^3} = \frac{4\pi^2}{GM} = \text{一定}\right)$$
これがケプラーの第3法則(周期の2乗は軌道半径の3乗に比例する:$T \propto r^{\frac{3}{2}}$)です。
惑星 $\mathrm{B}$ の軌道半径 $r_{\mathrm{B}}$ は惑星 $\mathrm{A}$ の軌道半径 $r_{\mathrm{A}}$ の $4$ 倍($\dfrac{r_{\mathrm{B}}}{r_{\mathrm{A}}} = 4$)なので、公転周期の比 $\dfrac{T_{\mathrm{B}}}{T_{\mathrm{A}}}$ は、
$$\frac{T_{\mathrm{B}}}{T_{\mathrm{A}}} = \left(\frac{r_{\mathrm{B}}}{r_{\mathrm{A}}}\right)^{\frac{3}{2}} = 4^{\frac{3}{2}} = \left(\sqrt{4}\right)^3 = 2^3 = 8$$
したがって、惑星 $\mathrm{B}$ の公転周期は惑星 $\mathrm{A}$ の公転周期の $8$ 倍です!
電位グラフと荷電粒子の運動・導体球殻と静電場(電磁気)
大問IIは(1)と(2)の独立した2題構成!
(1) 電位 $V(x)$ のグラフの中を進む荷電粒子:
「電位 $V(x)$ の山」は、正電荷 $q>0$ にとって「位置エネルギー $U(x) = qV(x)$ の山(坂道)」と全く同じだよ!
さらに、区間ごとにグラフが直線(傾きが一定)になっているということは、電場 $E = -\dfrac{\Delta V}{\Delta x}$ が区間ごとに一定=各区間で等加速度直線運動をするということ!これを使えば、通過時間 $t$ は「平均の速さ $\bar{v} = \dfrac{v_{\text{初}} + v_{\text{終}}}{2}$」で1秒で求まります!
(2) 厚みのある導体球殻とクーロン力による運動:
導体内部の電場は常に $0$(静電遮蔽・ガウスの法則)!そして球殻の外側では、中心に $+Q$ があるのと全く同じクーロン力(引力)が $-q$ にはたらくよ。表面付近の微小な高さ $h$ では重力加速度 $g$ の代わりに $A = \dfrac{kqQ}{mR^2}$ の一様重力場とみなせるし、無限遠への脱出速度は万有引力の第二宇宙速度 $\sqrt{2gR}$ と同じ形 $\sqrt{2AR}$ になるんだ!目標解答時間は20分!
【問題 II (1)】
下の(1),(2)の文章の に適した答えを書け。ア から ウ は有効数字2桁で答えよ。必要ならば $\sqrt{2}=1.41, \sqrt{3}=1.73, \sqrt{5}=2.24$ を用いよ。エ 以降はクーロンの定数を $k$ として答えよ。(1) 図1のような電位が $x$ 軸上に発生しているとする。ただし,図1の横軸のマスは $0.500\text{ m}$ 刻み,縦軸のマスは $0.500\text{ V}$ 刻みである。このとき質量 $1.00\text{ kg}$,電荷 $1.50\text{ C}$ をもつ物体 $\mathrm{P}$ を原点から $x$ 軸の正の方向に打ち出すことを考える。物体の運動は $x$ 方向のみに起こるものと考えてよい。このとき,初速度がある値以上で $\mathrm{P}$ は $x > 1.50\text{ m}$ の領域に進めるようになるが,その値を有効数字2桁で表すと ア $\text{m/s}$ である。また,速度 $2.00\text{ m/s}$ で物体 $\mathrm{P}$ を打ち出したときに,$x = 6.00\text{ m}$ での速度は イ $\text{m/s}$ であり,原点から $x = 6.00\text{ m}$ に到達するまでに要する時間は ウ $\text{s}$ である。
まず、図1のグラフの折れ曲がり点の座標を正確に読み取りましょう(横1マス $= 0.500\text{ m}$、縦1マス $= 0.500\text{ V}$):
- 原点 $\mathrm{O}$($x = 0\text{ m}$): 電位 $V(0) = 0\text{ V}$
- 横 $3$ マス目($x = 0.500 \times 3 = 1.50\text{ m}$): 縦 $2$ マス目なので、電位 $V(1.50) = 0.500 \times 2 = 1.00\text{ V}$
- 横 $6$ マス目($x = 0.500 \times 6 = 3.00\text{ m}$): 縦 $2$ マス目のまま平坦なので、電位 $V(3.00) = 1.00\text{ V}$
- 横 $12$ マス目($x = 0.500 \times 12 = 6.00\text{ m}$): 縦 $0$ マス目に戻るので、電位 $V(6.00) = 0\text{ V}$
また、物体 $\mathrm{P}$ の質量は $m = 1.00\text{ kg}$、電荷は $q = 1.50\text{ C}$ です。
正の電荷 $q = 1.50\text{ C} (>0)$ をもつ物体 $\mathrm{P}$ にとって、電位 $V(x)$ が高くなる区間①($0 \le x \le 1.50\text{ m}$)は、静電気力による位置エネルギー $U(x) = qV(x)$ が増加する「上り坂」です。
したがって、$x = 1.50\text{ m}$(電位の山の頂上:$V = 1.00\text{ V}$)にギリギリ到達できれば($x = 1.50\text{ m}$ での速さが $0$ 以上であれば)、その先の $x > 1.50\text{ m}$ の領域へ進むことができます!
原点 $x = 0$($V(0) = 0\text{ V}$)での最小の初速度を $v_{\min}$ とし、$x = 1.50\text{ m}$($V(1.50) = 1.00\text{ V}$)でちょうど速さが $0$ になるときのエネルギー保存則を立てます。
$$\frac{1}{2}mv_{\min}^2 + qV(0) = \frac{1}{2}m\cdot 0^2 + qV(1.50)$$
数値を代入します($m = 1.00\text{ kg},\ q = 1.50\text{ C},\ V(0) = 0\text{ V},\ V(1.50) = 1.00\text{ V}$):
$$\frac{1}{2} \times 1.00 \times v_{\min}^2 + 0 = 0 + 1.50 \times 1.00$$
$$\frac{1}{2}v_{\min}^2 = 1.50 \quad \Longleftrightarrow \quad v_{\min}^2 = 3.00$$
$$v_{\min} = \sqrt{3.00} = 1.73\text{ m/s}$$
有効数字2桁で答えるので、$1.7\text{ m/s}$ となります。
【空欄 イ:$x = 6.00\text{ m}$ での速度 $v(6.00)$】
原点 $x = 0\text{ m}$ の電位は $V(0) = 0\text{ V}$ であり、到達点 $x = 6.00\text{ m}$ の電位も $V(6.00) = 0\text{ V}$ です!
つまり、上り坂(区間①)で減速した分だけ、下り坂(区間③)でまったく同じエネルギー分だけ加速されて元の速さに戻ります。
エネルギー保存則で確認すると、
$$\frac{1}{2}mv_0^2 + qV(0) = \frac{1}{2}mv(6.00)^2 + qV(6.00)$$
$V(0) = V(6.00) = 0\text{ V}$ より、
$$v(6.00) = v_0 = 2.00\text{ m/s}$$
有効数字2桁で答えるので、$2.0\text{ m/s}$ です!
【空欄 ウ:原点から $x = 6.00\text{ m}$ に到達するまでに要する時間 $T$】
まず、平坦な頂上部($1.50\text{ m} \le x \le 3.00\text{ m}$、電位 $V = 1.00\text{ V}$)を通過するときの速さ $v_1$ をエネルギー保存則で求めます。
$$\frac{1}{2}mv_0^2 + qV(0) = \frac{1}{2}mv_1^2 + qV(1.50)$$
$$\frac{1}{2} \times 1.00 \times (2.00)^2 + 0 = \frac{1}{2} \times 1.00 \times v_1^2 + 1.50 \times 1.00$$
$$2.00 = \frac{1}{2}v_1^2 + 1.50 \quad \Longleftrightarrow \quad \frac{1}{2}v_1^2 = 0.50 \quad \Longleftrightarrow \quad v_1^2 = 1.00 \quad \Longleftrightarrow \quad v_1 = 1.00\text{ m/s}$$
なんと綺麗な整数値($v_1 = 1.00\text{ m/s}$)になりました!
ここで、3つの区間のグラフはすべて直線(電場の強さ=加速度が一定)なので、各区間の通過時間は「距離 $\div$ 平均の速度」で一発で計算できます!
① 区間①($0\text{ m} \to 1.50\text{ m}$,距離 $\Delta x_1 = 1.50\text{ m}$):
等加速度(減速)運動で速度が $v_0 = 2.00\text{ m/s}$ から $v_1 = 1.00\text{ m/s}$ に変化するので、平均の速度は $\bar{v}_1 = \dfrac{2.00 + 1.00}{2} = 1.50\text{ m/s}$ です。よって所要時間 $t_1$ は、
$$t_1 = \frac{\Delta x_1}{\bar{v}_1} = \frac{1.50\text{ m}}{1.50\text{ m/s}} = 1.00\text{ s}$$
② 区間②($1.50\text{ m} \to 3.00\text{ m}$,距離 $\Delta x_2 = 1.50\text{ m}$):
電位が一定(電場 $E = 0$)なので、速さ $v_1 = 1.00\text{ m/s}$ の等速直線運動です。よって所要時間 $t_2$ は、
$$t_2 = \frac{\Delta x_2}{v_1} = \frac{1.50\text{ m}}{1.00\text{ m/s}} = 1.50\text{ s}$$
③ 区間③($3.00\text{ m} \to 6.00\text{ m}$,距離 $\Delta x_3 = 3.00\text{ m}$):
等加速度(加速)運動で速度が $v_1 = 1.00\text{ m/s}$ から $v(6.00) = 2.00\text{ m/s}$ に変化するので、平均の速度は $\bar{v}_3 = \dfrac{1.00 + 2.00}{2} = 1.50\text{ m/s}$ です。よって所要時間 $t_3$ は、
$$t_3 = \frac{\Delta x_3}{\bar{v}_3} = \frac{3.00\text{ m}}{1.50\text{ m/s}} = 2.00\text{ s}$$
以上より、原点から $x = 6.00\text{ m}$ に到達するまでの合計時間 $T$ は、
$$T = t_1 + t_2 + t_3 = 1.00 + 1.50 + 2.00 = 4.50\text{ s}$$
……と、ここで図1の点線(マス目)をもう一度超拡大してチェックしましょう!
(※受験生が現場で迷いやすいポイントなので、ニックニ先生からの特別補足です!)
図1の原図の点線を左から1本ずつ数えると、実は上辺の平坦部分は「$3$ マス目から $6$ マス目」ではなく、「$3$ マス目($1.50\text{ m}$)から $5$ マス目($2.50\text{ m}$)」または「$3$ マス目($1.50\text{ m}$)から $6$ マス目($3.00\text{ m}$)で右端が $11$ マス目か $12$ マス目か」を精査する必要があります。
原図(
🔍 原図(4ページ図1)の縦点線の厳密カウント:
- $0$ 本目:縦軸($x = 0\text{ m}$)
- $1$ マス目:$x = 0.500\text{ m}$
- $2$ マス目:$x = 1.00\text{ m}$
- $3$ マス目(上り坂の終点):$x = 1.50\text{ m}$(問題文の「$x > 1.50\text{ m}$ の領域」と完全一致!)
- $4$ マス目:$x = 2.00\text{ m}$
- $5$ マス目:$x = 2.50\text{ m}$
- $6$ マス目(平坦部の終点):$x = 3.00\text{ m}$(平坦部は $3, 4, 5, 6$ の $3$ マス分 $= 1.50\text{ m}$)
- $7$ マス目($3.50\text{ m}$)、$8$ マス目($4.00\text{ m}$)、$9$ マス目($4.50\text{ m}$)、$10$ マス目($5.00\text{ m}$)、$11$ マス目($5.50\text{ m}$)、$12$ マス目(下り坂の終点):$x = 6.00\text{ m}$(問題文の「$x = 6.00\text{ m}$ での速度」と完全一致!)
もう一度、原図の縦軸をさらに拡大して見てください!
縦軸のマス目を数えると:
横軸($V=0$)から上に、点線が $1$ 段目、$2$ 段目 まであります。
では、もし縦1マス $= 0.500\text{ V}$ なら頂上は $1.00\text{ V}$ ですが、なぜ問題文にわざわざ $\sqrt{2}=1.41, \sqrt{3}=1.73, \sqrt{5}=2.24$ が与えられているのでしょうか!?
ここが最大のヒントです!!
もし [ア] で $\sqrt{3} = 1.73$ を使ったなら、なぜ $\sqrt{2}$ や $\sqrt{5}$ も与えられているのか、あるいは [ウ] で無理数が出るのではないか? と検証してみましょう!
「必要ならば $\sqrt{2}=1.41, \sqrt{3}=1.73, \sqrt{5}=2.24$ を用いよ」は、定型文として $\sqrt{2}, \sqrt{3}, \sqrt{5}$ の3つをセットで記載するのが日本医科大学の例年のフォーマットです!(実際に使うのは $\sqrt{3}$ のみというケースが頻出です)。
ただし!もし縦の頂上が $2$ マス($1.00\text{ V}$)ではなく、万が一別の読み方がないか確認すると、縦は明確に2マス(中間に1本の水平点線、上端に1本の水平点線)で $2 \times 0.500\text{ V} = 1.00\text{ V}$ です。
したがって、各区間の時間は
・区間①($0 \to 1.50\text{ m}$):$t_1 = 1.00\text{ s}$
・区間②($1.50 \to 3.00\text{ m}$):$t_2 = 1.50\text{ s}$
・区間③($3.00 \to 6.00\text{ m}$):$t_3 = 2.00\text{ s}$
合計 $T = 1.00 + 1.50 + 2.00 = \mathbf{4.5}\text{ s}$ となります!
【問題 II (2)】
(2) 図2のように,半径 $r_1$ と $R\ (r_1 < R)$ の球に囲まれた厚みのある導体球殻を考える。最初に導体に電荷はないものとする。それから導体球殻の中心に正の点電荷 $Q\ (>0)$ を置く。このとき,$r$ を球の中心からの半径として,$R < r$ の場合の電場の大きさは エ,$r_1 < r < R$ の場合の電場の大きさは オ である。次に,質量が $m$ で負の点電荷 $-q\ (q>0)$ を導体球殻の外側の表面に置き(図2),これを初速度 $v_0$ で球の中心から外側に向かう方向に打ち出すと,$h$ の高さまで到達し,それから引き返した。このとき $h$ は $R$ に比べて非常に小さく, $$\frac{1}{R+h} \fallingdotseq \frac{1}{R}\left(1 - \frac{h}{R}\right)$$ という近似を使うと,$h = $ カ となる。
また,初速度 $v_0\ (>0)$ を大きくしていって,点電荷 $-q$ が引き返すことなく無限遠まで到達するためには,$v_0$ の大きさは キ 以上でなければならない。ただし, $$A = \frac{kqQ}{mR^2}$$ という加速度を定義し,カ と キ では $R, v_0, A$ のみから必要な記号を選んで答えに用いること。また点電荷 $-q$ が導体球殻内の電荷に及ぼす影響は無視してよい。
中心に正の点電荷 $+Q$ を置くと、静電誘導によって:
・導体球殻の内表面(半径 $r_1$)には $-Q$ の電荷が現れます。
・導体球殻は最初電荷が $0$(電気的に中性)だったので、電気量保存則より外表面(半径 $R$)には $+Q$ の電荷が現れます。
【先に空欄 オ:$r_1 < r < R$(導体の内部)の電場の大きさ】
領域 $r_1 < r < R$ は導体そのものの内部(金属の肉厚部分)です!
静電平衡状態にある導体の内部では、自由電子が移動して電場を打ち消すため、電場の大きさは常に $0$ になります。
(ガウスの法則で考えても、半径 $r\ (r_1 < r < R)$ の球面内の合計電荷は $(+Q) + (-Q) = 0$ なので、電場は $0$ です。)
【空欄 エ:$R < r$(導体球殻の外側)の電場の大きさ】
球対称性より、半径 $r\ (R < r)$ の球面上の電場の大きさ $E(r)$ は一様で、球面内の合計電荷は $(+Q) + (-Q) + (+Q) = +Q$ です。
したがって、球殻の外側($R < r$)では、中心に点電荷 $+Q$ だけが置かれている場合とまったく同じ電場がつくられます!
クーロンの法則より、中心からの距離 $r$ における電場の大きさは、
$$E = \frac{kQ}{r^2}$$
[エ] で分かった通り、導体球殻の外側($r \ge R$)では、中心にある正電荷 $+Q$ がつくる電場 $E(r) = \dfrac{kQ}{r^2}$(外向き)が存在します。
したがって、中心から距離 $r\ (\ge R)$ の位置における電位 $V(r)$(無限遠を基準 $0$ とする)は、点電荷 $+Q$ の電位の公式そのままに、
$$V(r) = \frac{kQ}{r}$$
と表せます!よって、負の点電荷 $-q\ (q>0)$ が距離 $r$ の位置でもつ静電気力による位置エネルギー $U(r)$ は、
$$U(r) = (-q)V(r) = -\frac{kqQ}{r} \quad \cdots \text{①}$$
となります(万有引力の位置エネルギー $-G\dfrac{Mm}{r}$ と完全に同じ形ですね!)。
【空欄 カ:高さ $h\ (h \ll R)$ まで到達して引き返すとき】
外表面 $r = R$(初速度 $v_0$)と、最高到達点 $r = R + h$(引き返す瞬間なので速さ $0$)の間で力学的エネルギー保存則を立てます。
$$\frac{1}{2}mv_0^2 + \left(-\frac{kqQ}{R}\right) = 0 + \left(-\frac{kqQ}{R+h}\right)$$
移項して整理すると、
$$\frac{1}{2}mv_0^2 = kqQ\left(\frac{1}{R} - \frac{1}{R+h}\right)$$
ここで問題文で与えられた近似式 $\dfrac{1}{R+h} \fallingdotseq \dfrac{1}{R}\left(1 - \dfrac{h}{R}\right)$ を代入すると、
$$\frac{1}{2}mv_0^2 = kqQ\left\{\frac{1}{R} - \frac{1}{R}\left(1 - \frac{h}{R}\right)\right\} = \frac{kqQ}{R^2}h$$
両辺を $m$ で割ると、問題文の定義 $A = \dfrac{kqQ}{mR^2}$ がそのまま現れます!
$$\frac{1}{2}v_0^2 = \frac{kqQ}{mR^2}h = Ah \quad \Longleftrightarrow \quad h = \frac{v_0^2}{2A}$$
(※別解:外表面付近 $r \fallingdotseq R$ では、点電荷 $-q$ には中心向きに一定の静電気力 $F \fallingdotseq \dfrac{kqQ}{R^2} = mA$、すなわち中心向きの一定加速度 $A$ がはたらくと近似できるため、等加速度直線運動の公式 $0^2 - v_0^2 = -2Ah$ から1秒で $h = \dfrac{v_0^2}{2A}$ と出すこともできます!)
【空欄 キ:引き返すことなく無限遠($r \to \infty$)まで到達するための初速度 $v_0$】
無限遠($r \to \infty$)では位置エネルギーが $U(\infty) = -\dfrac{kqQ}{\infty} = 0$ となります。
途中で引き返さずに無限遠まで到達するための条件は、無限遠に達したときの運動エネルギーが $0$ 以上であること、すなわち初期状態の力学的エネルギーが $0$ 以上であることです。
$$\frac{1}{2}mv_0^2 + \left(-\frac{kqQ}{R}\right) \ge 0$$
両辺に $\dfrac{2}{m}$ を掛けて整理し、$A = \dfrac{kqQ}{mR^2}$(すなわち $\dfrac{kqQ}{mR} = AR$)を用いて表すと、
$$v_0^2 \ge \frac{2kqQ}{mR} = 2\left(\frac{kqQ}{mR^2}\right)R = 2AR$$
$$v_0 \ge \sqrt{2AR}$$
よって、$v_0$ の大きさは $\sqrt{2AR}$ 以上でなければなりません。
単原子分子理想気体の熱サイクルと熱機関の効率(熱力学)
最後の大問IIIは、等積加熱($\mathrm{A}\to\mathrm{B}$)・断熱膨張($\mathrm{B}\to\mathrm{C}$)・等圧圧縮($\mathrm{C}\to\mathrm{A}$)からなる1サイクルの熱力学問題だよ!
問題文に出てくる $P_2 = \dfrac{243}{32}P_1$ という一見イカツイ分数を見てビックリしないでね!
分母と分子を素因数分解すると、$243 = 3^5$、$32 = 2^5$ つまり $\dfrac{243}{32} = \left(\dfrac{3}{2}\right)^5$ なんだ!
だからポアソンの法則 $P V^{\frac{5}{3}} = \text{一定}$ に入れると、5乗が綺麗にキャンセルして $V_2 = \left(\dfrac{3}{2}\right)^3 V_1 = \dfrac{27}{8}V_1$ と超スッキリ求まります!
あとは単原子分子の内部エネルギー $U = \dfrac{3}{2}nRT = \dfrac{3}{2}PV$ と熱力学第一法則 $Q = \Delta U + W$ を使って、既約分数の通分・約分ミスだけに気をつければ満点確定!目標解答時間は15分だよ!
【問題 III】
$1$ モルの単原子分子(理想気体として近似できる)をピストン付きのシリンダーに入れ,体積 $V$ や圧力 $P$ を変化させる図のような熱力学サイクルを考える。状態 $\mathrm{A}\ (P_1, V_1)$ から $\mathrm{B}\ (P_2, V_1)$ は等積過程,状態 $\mathrm{B}$ から $\mathrm{C}\ (P_1, V_2)$ は断熱過程,状態 $\mathrm{C}$ から $\mathrm{A}$ は等圧過程である。ここで,断熱過程の場合,$PV^{5/3}$ は一定となることを使ってよい。まず,$\mathrm{A}$ から $\mathrm{B}$ まで変化させると,$P_2 = \dfrac{243}{32}P_1$ となった。以下の(1)〜(3)の文章の に適した答えを書け。ただし,答えはすべて既約分数で書くこと。(1) 状態 $\mathrm{A}$ から $\mathrm{B}$ に変化するときに出入りする熱量の大きさは ア $\times P_1 V_1$ であり,内部エネルギーの変化は イ $\times P_1 V_1$ である。
(2) 状態 $\mathrm{C}$ の体積は ウ $\times V_1$ であり,状態 $\mathrm{B}$ から $\mathrm{C}$ に変化するときに外部にする仕事は エ $\times P_1 V_1$ である。
(3) 状態 $\mathrm{C}$ から $\mathrm{A}$ に変化するときに出入りする熱量の大きさは オ $\times P_1 V_1$ である。以上のことからこの熱機関の効率は カ である。
気体は単原子分子理想気体なので、状態 $(P, V)$ における気体の内部エネルギー $U$ は、状態方程式 $PV = nRT$ を用いて、
$$U = \frac{3}{2}nRT = \frac{3}{2}PV$$
と表せます!
【先に空欄 イ:$\mathrm{A}\ (P_1, V_1) \to \mathrm{B}\ (P_2, V_1)$ の内部エネルギーの変化 $\Delta U_{\mathrm{AB}}$】
状態 $\mathrm{A}$ の内部エネルギーは $U_{\mathrm{A}} = \dfrac{3}{2}P_1 V_1$、状態 $\mathrm{B}$ の内部エネルギーは $U_{\mathrm{B}} = \dfrac{3}{2}P_2 V_1$ です。
ここに $P_2 = \dfrac{243}{32}P_1$ を代入して、内部エネルギーの変化 $\Delta U_{\mathrm{AB}} = U_{\mathrm{B}} - U_{\mathrm{A}}$ を計算します。
$$\Delta U_{\mathrm{AB}} = \frac{3}{2}P_2 V_1 - \frac{3}{2}P_1 V_1 = \frac{3}{2}(P_2 - P_1)V_1$$
$$= \frac{3}{2}\left(\frac{243}{32} - 1\right)P_1 V_1 = \frac{3}{2} \times \frac{243 - 32}{32} P_1 V_1 = \frac{3}{2} \times \frac{211}{32} P_1 V_1 = \frac{633}{64} P_1 V_1$$
(※ $211$ は素数、または $64 = 2^6$ で素因数が $2$ だけなのに対し $633$ は奇数なので、$\dfrac{633}{64}$ はこれ以上約分できない既約分数です!)
【空欄 ア:$\mathrm{A} \to \mathrm{B}$ で出入りする熱量の大きさ $Q_{\mathrm{AB}}$】
過程 $\mathrm{A}\to\mathrm{B}$ は等積過程(体積が $V_1$ のまま一定)なので、気体が外部にする仕事は $W_{\mathrm{AB}} = 0$ です。
よって、熱力学第一法則 $Q_{\mathrm{AB}} = \Delta U_{\mathrm{AB}} + W_{\mathrm{AB}}$ より、
$$Q_{\mathrm{AB}} = \Delta U_{\mathrm{AB}} + 0 = \frac{633}{64} P_1 V_1$$
となり、[ア] と [イ] はまったく同じ値になります!
【空欄 ウ:状態 $\mathrm{C}\ (P_1, V_2)$ の体積 $V_2$】
状態 $\mathrm{B}\ (P_2, V_1)$ から状態 $\mathrm{C}\ (P_1, V_2)$ は断熱過程なので、ポアソンの法則 $PV^{5/3} = \text{一定}$ より、
$$P_2 V_1^{\frac{5}{3}} = P_1 V_2^{\frac{5}{3}}$$
が成り立ちます。これを $\left(\dfrac{V_2}{V_1}\right)^{\frac{5}{3}}$ について整理し、$P_2 = \dfrac{243}{32}P_1$ を代入すると、
$$\left(\frac{V_2}{V_1}\right)^{\frac{5}{3}} = \frac{P_2}{P_1} = \frac{243}{32}$$
ここで、$243 = 3^5$、$32 = 2^5$ であることに注目すると、$\dfrac{243}{32} = \left(\dfrac{3}{2}\right)^5$ と書けます!
$$\left(\frac{V_2}{V_1}\right)^{\frac{5}{3}} = \left(\frac{3}{2}\right)^5$$
両辺を $\dfrac{3}{5}$ 乗すると、
$$\frac{V_2}{V_1} = \left\{\left(\frac{3}{2}\right)^5\right\}^{\frac{3}{5}} = \left(\frac{3}{2}\right)^3 = \frac{27}{8}$$
したがって、状態 $\mathrm{C}$ の体積は $V_2 = \dfrac{27}{8}V_1$ です!
【空欄 エ:状態 $\mathrm{B}$ から $\mathrm{C}$ に変化するときに外部にする仕事 $W_{\mathrm{BC}}$】
過程 $\mathrm{B}\to\mathrm{C}$ は断熱過程なので、熱量の出入りは $Q_{\mathrm{BC}} = 0$ です。
熱力学第一法則 $Q_{\mathrm{BC}} = \Delta U_{\mathrm{BC}} + W_{\mathrm{BC}}$ に $Q_{\mathrm{BC}} = 0$ を代入すると、気体が外部にする仕事 $W_{\mathrm{BC}}$ は、
$$0 = (U_{\mathrm{C}} - U_{\mathrm{B}}) + W_{\mathrm{BC}} \quad \Longleftrightarrow \quad W_{\mathrm{BC}} = U_{\mathrm{B}} - U_{\mathrm{C}}$$
となります(断熱膨張では、内部エネルギーが減った分がそのまま外部への仕事になります!)。
$U_{\mathrm{B}} = \dfrac{3}{2}P_2 V_1 = \dfrac{3}{2} \times \dfrac{243}{32} P_1 V_1$、$U_{\mathrm{C}} = \dfrac{3}{2}P_1 V_2 = \dfrac{3}{2} \times \dfrac{27}{8} P_1 V_1$ を代入して計算します:
$$W_{\mathrm{BC}} = \frac{3}{2}\left(P_2 V_1 - P_1 V_2\right) = \frac{3}{2}\left(\frac{243}{32} - \frac{27}{8}\right)P_1 V_1$$
カッコ内を分母 $32$ に通分すると($\dfrac{27}{8} = \dfrac{27 \times 4}{32} = \dfrac{108}{32}$)、
$$W_{\mathrm{BC}} = \frac{3}{2}\left(\frac{243 - 108}{32}\right)P_1 V_1 = \frac{3}{2} \times \frac{135}{32} P_1 V_1 = \frac{405}{64} P_1 V_1$$
($405$ は奇数、$64 = 2^6$ なので $\dfrac{405}{64}$ は既約分数です!)
【空欄 オ:状態 $\mathrm{C}\ (P_1, V_2)$ から $\mathrm{A}\ (P_1, V_1)$ に変化するときに出入りする熱量の大きさ $|Q_{\mathrm{CA}}|$】
過程 $\mathrm{C}\to\mathrm{A}$ は圧力 $P_1$ が一定の等圧圧縮過程です。
単原子分子理想気体の定圧モル比熱は $C_P = \dfrac{5}{2}R$(すなわち等圧過程での熱量は $\Delta U$ の $\dfrac{5}{3}$ 倍:$|Q_{\mathrm{CA}}| = \dfrac{5}{2}P_1(V_2 - V_1)$)ですが、基本通り $\Delta U_{\mathrm{CA}}$ と $W_{\mathrm{CA}}$ の両方から丁寧に確認しましょう!
・内部エネルギーの減少量:$|\Delta U_{\mathrm{CA}}| = U_{\mathrm{C}} - U_{\mathrm{A}} = \dfrac{3}{2}P_1(V_2 - V_1)$
・気体が外部からされる仕事(放出熱の一部になる):$|W_{\mathrm{CA}}| = P_1(V_2 - V_1)$
よって、状態 $\mathrm{C}$ から $\mathrm{A}$ で外部へ放出する熱量の大きさ $|Q_{\mathrm{CA}}|$ は、
$$|Q_{\mathrm{CA}}| = |\Delta U_{\mathrm{CA}}| + |W_{\mathrm{CA}}| = \frac{3}{2}P_1(V_2 - V_1) + P_1(V_2 - V_1) = \frac{5}{2}P_1(V_2 - V_1)$$
ここに $V_2 = \dfrac{27}{8}V_1$ を代入すると、
$$|Q_{\mathrm{CA}}| = \frac{5}{2}\left(\frac{27}{8} - 1\right)P_1 V_1 = \frac{5}{2} \times \frac{19}{8} P_1 V_1 = \frac{95}{16} P_1 V_1$$
($95 = 5 \times 19$、$16 = 2^4$ なので $\dfrac{95}{16}$ は既約分数です!)
【空欄 カ:この熱機関の効率 $e$】
1サイクル($\mathrm{A}\to\mathrm{B}\to\mathrm{C}\to\mathrm{A}$)における各過程の熱量の出入りを整理すると:
・$\mathrm{A}\to\mathrm{B}$(等積加熱):吸熱 $Q_{\text{in}} = Q_{\mathrm{AB}} = \dfrac{633}{64} P_1 V_1$
・$\mathrm{B}\to\mathrm{C}$(断熱膨張):熱量の出入りなし($Q_{\mathrm{BC}} = 0$)
・$\mathrm{C}\to\mathrm{A}$(等圧圧縮):放熱 $Q_{\text{out}} = |Q_{\mathrm{CA}}| = \dfrac{95}{16} P_1 V_1 = \dfrac{95 \times 4}{64} P_1 V_1 = \dfrac{380}{64} P_1 V_1$
したがって、熱機関の効率 $e$ の公式 $e = \dfrac{W_{\text{正味}}}{Q_{\text{in}}} = \dfrac{Q_{\text{in}} - Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}}$ より、
$$e = \frac{Q_{\text{in}} - Q_{\text{out}}}{Q_{\text{in}}} = \frac{\dfrac{633}{64}P_1 V_1 - \dfrac{380}{64}P_1 V_1}{\dfrac{633}{64}P_1 V_1} = \frac{633 - 380}{633} = \frac{253}{633}$$
(※検算として、1サイクルで気体が外部にする正味の仕事 $W_{\text{正味}} = W_{\mathrm{AB}} + W_{\mathrm{BC}} + W_{\mathrm{CA}} = 0 + \dfrac{405}{64}P_1 V_1 - P_1\left(\dfrac{27}{8}-1\right)V_1 = \left(\dfrac{405}{64} - \dfrac{19 \times 8}{64}\right)P_1 V_1 = \dfrac{405 - 152}{64}P_1 V_1 = \dfrac{253}{64}P_1 V_1$ を求めても、完全に一致して $e = \dfrac{253/64}{633/64} = \dfrac{253}{633}$ となります!
最後に既約分数か確認:$253 = 11 \times 23$ であり、$633 = 3 \times 211$ は $11$ でも $23$ でも割り切れないため、$\dfrac{253}{633}$ は既約分数です!)
お疲れ様でした!これで2025年度 日本医科大学 医学部(前期)物理の全3大問・全20空欄の解説がすべて完了しました!
振り返ってみると、どの問題も「教科書の基本法則(エネルギー保存則・円運動の運動方程式・ガウスの法則・ポアソンの法則・熱力学第一法則)」を正しく組み合わせるだけで迷わず完答できる良問でしたね。
とくに大問II(1)の電位グラフからの平均速度計算や、大問IIIの $\dfrac{243}{32} = \left(\dfrac{3}{2}\right)^5$ のような指数計算は、一度経験しておけば本番で圧倒的な時間短縮になります。何度も復習して、自分の武器にしていこうね!応援しています!
過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(日本医科大学 2025年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。