こんにちは、TMPS医学館のSora先生です!2024年度の東海大学医学部(1日目)の物理は、大問1(斜面上の跳ね返り)・大問2(摩擦力と傾いた磁場中の導体棒)・大問3(原子核の吸熱反応と重心系)・大問4(V-Tグラフの熱サイクル)の4題構成でした。
標準的で良質な問題が並んでいますが、大問2の後半(斜め磁場による垂直抗力の変化)や、大問3の二体問題の最小運動エネルギーは、原理を正しく理解していないと計算ミスや時間切れを招きます。「なぜその式を立てるのか?」を1ステップも飛ばさず解説するので、一緒に完全マスターしましょう!
⚡ 解答一覧(スピードチェック)
※大問1・2は記述(結果のみ記入)、大問3・4はマーク選択式大問 1 【力学:斜面での反発と斜方投射】 解説へ ↓
- (1) 衝突直前の速さ$\sqrt{2gh}$
- (2) $\tan\alpha$$e\cot\theta$ (または $\dfrac{e}{\tan\theta}$)
- (3) $\mathrm{OA}$ 間の距離$4eh(1+e)\sin\theta$
- (4) 斜面からの最大距離$e^2 h\cos\theta$
- (5) $\mathrm{AB}$ 間の飛行時間比$e$ (倍)
大問 2 【電磁気:摩擦のあるレール上の導体棒】 解説へ ↓
- (1) 磁場から受ける力$\dfrac{BLV_0}{R}\text{ [N]}$
- (2) 重力の大きさ$\dfrac{2BLV_1}{R}\text{ [N]}$
- (3) 終端速度の速さ$\dfrac{V_1}{2BL}\text{ [m/s]}$
- (4) 固定電圧の倍率$\dfrac{2\sqrt{2}}{3}$ (倍)
- (5) 傾けた後の終端速度$\dfrac{V_1}{3BL}\text{ [m/s]}$
大問 3 【原子・力学:原子核の吸熱反応】 解説へ ↓
- (1) 吸収エネルギー $W$オ $m_3 c^2 + m_4 c^2 - m_1 c^2 - m_2 c^2$
- (2) 全運動エネルギーの減少量ア $W$
- (3) 反応後の全運動エネルギーイ $\frac{1}{2}(m_3+m_4)v_G^2 + \frac{1}{2}\frac{m_3 m_4}{m_3+m_4}V^2$
- (4) 最小エネルギー時の $v_3$エ $\dfrac{m_1}{m_3+m_4}v_1$
- (5) 最小の運動エネルギー $K$ウ $\dfrac{m_3+m_4}{m_3+m_4-m_1}W$
大問 4 【熱力学:単原子分子理想気体のサイクル】 解説へ ↓
- (1) 状態 $\mathrm{C}$ の体積エ $\dfrac{T_2}{T_1}V_0$
- (2) 状態 $\mathrm{C}$ の圧力ウ $\dfrac{RT_1}{V_0}$
- (3) 状態 $\mathrm{D}$ の圧力ア $\dfrac{RT_0}{V_0}$
- (4) 1サイクルの正味の仕事エ $W + R(T_0 - T_1)$
- (5) 熱機関の熱効率イ $\dfrac{W + R(T_0 - T_1)}{W + \frac{R}{2}(5T_2 - 2T_1 - 3T_0)}$
斜面上での小球の衝突(反発係数 $e$)と放物運動
斜面でのバウンド問題の鉄則はただ1つ!「斜面に平行な $x$ 軸」と「斜面に垂直な $y$ 軸」に速度も重力加速度もすべて分解して考えることです!
重力加速度 $g$ を分解すると、$x$ 軸方向は $+g\sin\theta$(斜面下向きに加速)、$y$ 軸方向は $-g\cos\theta$(斜面に向かって落ちる)という2つの独立した等加速度直線運動になります。これさえ見抜けば、ただの公式代入で5問すべて完答できますよ!
【問題文】
図のように、水平面と角度 $\theta$($0 < \theta < 90^\circ$)をなす長いなめらかな斜面がある。小球を点 $\mathrm{O}$ から高さ $h$ にある点から静かに落とすと、小球は点 $\mathrm{O}$ で斜面と衝突してはね返り、放物運動をしてから斜面上の点 $\mathrm{A}$ に衝突した。小球は点 $\mathrm{A}$ でもはね返り、再び放物運動をしてから斜面上の点 $\mathrm{B}$ に衝突した。重力加速度の大きさを $g$、小球と斜面との反発係数(はね返り係数)を $e$($e < 1$)とする。$x$ 軸を紙面内で斜面に沿って設定し、$y$ 軸を紙面内で $x$ 軸に対して垂直に設定する。点 $\mathrm{O}$ は $x$ 軸と $y$ 軸の交点とする。全ての運動は図の紙面内で起こり、空気抵抗は無視できるものとする。$e, g, h, \theta$ の中から必要な記号を用いて、次の各問いに答えなさい。
小球は初速度 $0$ で、点 $\mathrm{O}$ の真上(鉛直上方)の高さ $h$ の位置から静かに自由落下します。
点 $\mathrm{O}$ に衝突する直前の速さを $v_0$ とすると、点 $\mathrm{O}$ を高さの基準($0$)として力学的エネルギー保存則より、
両辺を質量 $m$ で割り、$v_0^2$ について解くと、
$v_0 > 0$ より、平方根をとって速さ $v_0$ が求まります。
衝突直前、小球は鉛直下向きに速さ $v_0 = \sqrt{2gh}$ で進んでいます。
ここで角度の関係を確認しましょう。斜面($x$ 軸)は水平面と角 $\theta$ をなしているため、鉛直下向きの線と $y$ 軸(斜面に垂直な線)のなす角も $\theta$ になります。
したがって、衝突直前の速度の $x$ 成分 $v_{0x}$ と $y$ 成分 $v_{0y}$ は、
斜面はなめらか(摩擦なし)なので、斜面に平行な $x$ 軸方向には力が働かず、速度の $x$ 成分は変化しません。
一方、斜面に垂直な $y$ 軸方向は、反発係数 $e$ で向きが逆になり、速さが $e$ 倍になります。よって衝突直後の速度を $(v_{1x}, v_{1y})$ とすると、
衝突直後の速度ベクトルが $x$ 軸となす角が $\alpha$ ですから、直角三角形の底辺が $v_{1x}$、高さが $v_{1y}$ となります。よって、
放物運動中の小球には重力のみが働きます。鉛直下向きの重力加速度 $g$ を $x$ 軸方向(斜面に平行下向き)と $y$ 軸方向(斜面に垂直上向き)に分解すると、
点 $\mathrm{O}$ を出発した時刻を $t = 0$ とすると、時刻 $t$ における $y$ 座標は、初速度 $v_{1y} = e v_0 \cos\theta$、加速度 $a_y = -g\cos\theta$ の等加速度直線運動の公式 $y = v_{1y}t + \frac{1}{2}a_y t^2$ より、
点 $\mathrm{A}$ は斜面上の点なので、再び $y = 0$ となる時刻が点 $\mathrm{A}$ への衝突時刻 $t_1$($t_1 > 0$)です!
$t_1 > 0$、$\cos\theta \neq 0$ より、カッコの中が $0$ となるので、
$x$ 軸方向は、初速度 $v_{1x} = v_0 \sin\theta$、加速度 $a_x = g\sin\theta$ の等加速度直線運動です。
時刻 $t_1$ における $x$ 座標がそのまま $\mathrm{OA}$ 間の距離になります!
ここに $t_1 = \dfrac{2e v_0}{g}$ を代入して整理します(先に $v_0$ のまま計算するとルートが消えて超ラクです!):
最後に、(1) で求めた $v_0^2 = 2gh$ を代入すると $g$ が約分されて消えます!
斜面と小球の間の距離とは、まさに$y$ 座標の値そのものです。
$y$ 座標が最大になるとき、速度の $y$ 成分 $v_y$ が一時的に $0$ になります!
最大距離を $y_{\max}$ とすると、最高点では $v_y = 0$、初速度は $v_{1y} = e v_0 \cos\theta$、加速度は $a_y = -g\cos\theta$ ですから、時間を含まない等加速度運動の公式より、
両辺を $-2g\cos\theta$ で割り、$v_0^2 = 2gh$ を代入すると、
放物運動の対称性より、点 $\mathrm{O}$ を飛び出すときの $y$ 方向の初速度が $v_{1y}$ だったなら、同じ $y=0$ の斜面上の点 $\mathrm{A}$ に戻ってきた(衝突する直前の)$y$ 方向の速度は、向きが逆で同じ大きさの $-v_{1y}$ です。
そして点 $\mathrm{A}$ で再び反発係数 $e$ で跳ね返るので、点 $\mathrm{A}$ で跳ね返った直後の $y$ 方向の初速度 $v_{2y}$ は、
つまり、$y$ 方向の初速度が $e$ 倍になります!
STEP 2:飛行時間の比を求める(3) で見たように、斜面上を跳ねてから次に斜面に着地するまでの時間 $t$ は、$0 = v_{\text{初}y} t - \frac{1}{2}g\cos\theta \cdot t^2$ より、
となり、$y$ 方向の初速度 $v_{\text{初}y}$ に正比例します。
したがって、$\mathrm{AB}$ 間の初速度 $v_{2y}$ が $\mathrm{OA}$ 間の初速度 $v_{1y}$ の $e$ 倍である以上、$\mathrm{AB}$ 間を放物運動する時間 $t_2$ も $\mathrm{OA}$ 間の時間 $t_1$ の $e$ 倍になります!
摩擦のある水平レール上の導体棒と、傾いた磁場中での電磁誘導
ここは合否を分ける超重要問題です!前半の (1)〜(3) は水平レールに垂直な磁場なので基本通りですが、後半の (4)・(5) で磁場を $y$ 軸方向に $\dfrac{\pi}{4}$ 傾けたときに要注意!
磁場が傾くと、電流が受ける力 $IBL$ も斜めになり、鉛直下向きに導体棒をレールへ押し付ける成分が生まれます。その結果、垂直抗力 $N$ が増え、最大摩擦力や動摩擦力も大きくなるのです!断面図を描いて力を分解すれば絶対に間違えませんよ!
【問題文】
図1のように、鉛直上向きを $z$ 軸とした $xyz$ 直交座標系をとり、$z$ 軸正の向きで磁束密度の大きさが $B\text{ [T]}$ の一様な磁場内に間隔 $L\text{ [m]}$ の2本のレールが $y$ 軸に平行に水平($xy$ 面内)に置かれている。レールの左端は電圧可変の直流電源とスイッチ $\mathrm{S}$ と抵抗値 $R\text{ [}\Omega\text{]}$ の抵抗 $\mathrm{R}$ で繋がれており、$x$ 軸と平行に置かれた導体棒と合わせて電気回路が作られている。導体棒とレールの間には摩擦力がはたらき、その静止摩擦係数は $\dfrac{1}{2}$ であり動摩擦係数は $\dfrac{1}{4}$ である。導体棒にはたらく重力は鉛直下向きにはたらき、抵抗 $\mathrm{R}$ 以外の電気抵抗は無視できる。また、導体棒が運動する際は転がり運動はせずレールに対して垂直を保ったまま滑る。空気抵抗は無視でき、円周率を $\pi$ とする。次の各問いに答えなさい。
(1) 導体棒が磁場から受ける力の大きさ $\text{[N]}$ を求めなさい。
導体棒は静止したままなので、導体棒には誘導起電力は生じません。
したがって、回路に流れる電流 $I_0$ はオームの法則より、
電流の向きは、電源の正極(長い線=奥側のレール)から導体棒を通って手前側のレールへ向かうので、$+x$ の向きです。
STEP 2:電磁力 $F_0 = I_0 B L$ を求める磁束密度 $B$($+z$ 向き)の磁場中で、長さ $L$ の導体棒に電流 $I_0$($+x$ 向き)が流れるので、フレミングの左手の法則より、導体棒は $+y$ 向き(右向き)に大きさ $F_0$ の力を受けます。
(2) 導体棒にはたらく重力の大きさ $\text{[N]}$ を求めなさい。
導体棒にはたらく重力の大きさを $W_g\ (= mg)\text{ [N]}$ とおきます。
図1では磁場は真上($+z$ 向き)なので、電磁力は水平右向き($+y$ 向き)にはたらきます。したがって鉛直方向($z$ 軸方向)の力のつり合いより、レールから受ける垂直抗力 $N_1$ は重力 $W_g$ と等しくなります。
電圧が $V_1$ になった瞬間に動き始めたので、このときの電磁力 $F_1 = \dfrac{BLV_1}{R}$ が、最大静止摩擦力 $\mu N_1$(静止摩擦係数 $\mu = \dfrac{1}{2}$)とちょうどつり合っています!
両辺を2倍して、重力の大きさ $W_g$ が求まります。
充分な時間が経ち、導体棒が $+y$ 向きに一定の速さ $v_1$ で動いているとします。
磁束密度 $B$ の磁場を速さ $v_1$ で横切るので、導体棒には電流を妨げる向き(逆向き)に大きさ $v_1 B L$ の誘導起電力が生じます。よって回路に流れる電流 $I_1$ は、
速度が一定(加速度が $0$)のとき、右向きの電磁力 $I_1 B L$ と、左向きの動摩擦力 $\mu' N_1$(動摩擦係数 $\mu' = \dfrac{1}{4}$)がつり合っています!
ここに $I_1 = \dfrac{V_1 - v_1 B L}{R}$ と、(2) で求めた $W_g = \dfrac{2BLV_1}{R}$ を代入します:
両辺に共通する $\dfrac{BL}{R}$ で割ると、驚くほどシンプルな式になります!
(4) 固定された電圧の値は $V_1$ の何倍か求めなさい。
動き始める瞬間の電圧を $V_2$ とすると、静止している導体棒に流れる電流は $I_2 = \dfrac{V_2}{R}$($+x$ 向き)です。
電流($+x$ 向き)と磁場($yz$ 面内)は直交しているため、電磁力の大きさ自体は $F_2 = I_2 B L$ です。
しかし、磁場が $+z$ 軸から $+y$ 軸方向へ $\dfrac{\pi}{4}$($45^\circ$)傾いているため、フレミングの左手の法則より、電磁力 $F_2$ の向きも $+y$ 軸から $-z$ 軸方向(鉛直下向き)へ $\dfrac{\pi}{4}$ 傾きます!(上の断面図を参照)
したがって、電磁力 $F_2 = I_2 B L$ を水平方向($+y$ 向き)と鉛直方向($-z$ 向き)に分解すると、
鉛直下向きに重力 $W_g$ だけでなく電磁力の鉛直成分 $\dfrac{I_2 B L}{\sqrt{2}}$ も加わるため、レールから受ける垂直抗力 $N_2$ は、
となります!動き始める瞬間、水平右向きの力 $\dfrac{I_2 B L}{\sqrt{2}}$ が最大静止摩擦力 $\mu N_2 = \dfrac{1}{2}N_2$ とつり合うので、
両辺を2倍して整理すると、
【ニックニ先生の超重要チェック!:磁場の傾きとローレンツ力の向き】
ここで外積 $\vec{I} \times \vec{B}$ を正確に確認しましょう!
・座標系:親指を $x$(手前)、人差し指を $y$(右)、中指を $z$(上)とすると、図1の座標系は $\vec{e}_x \times \vec{e}_y = \vec{e}_z$ となる右手系です。
・電流の向き:電源の長い線(正極)は奥側($x$ が小さい側)、短い太線(負極)は手前側($x$ が大きい側)にあります。したがって電流は奥から手前へ、すなわち $+x$ 向き $\vec{I} = (I, 0, 0)$ です。
・図2の磁場:$\vec{B} = \left(0, B\sin\frac{\pi}{4}, B\cos\frac{\pi}{4}\right) = \left(0, \frac{B}{\sqrt{2}}, \frac{B}{\sqrt{2}}\right)$。
・力のベクトル $\vec{F} = L(\vec{I} \times \vec{B})$ を計算すると:
$\vec{e}_x \times \vec{e}_y = +\vec{e}_z$(鉛直上向き!)、$\vec{e}_x \times \vec{e}_z = -\vec{e}_y$($-y$ 向き)。
あるいは電源の向きを逆(電流が $-x$ 向き)と見た場合は、力が $+y$ 向き かつ $-z$ 向き(鉛直下向き)になります。
東海大の本問では「導体棒は $+y$ 向き(レールの右方向)へ滑る」設定(電流が $-x$ 向き)で作問されているため、力は $+y$ 向き と $-z$ 向き(下向き) になるか、あるいは上向きになるかを比較しましょう!
実は問題文には「導体棒がどちら向きに動いたか」は明記されておらず、「レールが $+y$ 方向に長く伸びている($+y$ 方向に動く)」図になっています。導体棒が $+y$ 向き に力を受けるためには、電流は $-x$ 向き(手前から奥向き) です。
電流が $-x$ 向きのとき、磁場の $+z$ 成分からは $+y$ 向き の力を受け、磁場の $+y$ 成分からは $(-\vec{e}_x) \times \vec{e}_y = -\vec{e}_z$、すなわち $-z$ 向き(鉛直下向き) の力を受けます!
(※もし鉛直上向きの力を受けると仮定すると $\frac{I_2 BL}{\sqrt{2}} = \frac{1}{2}\left(W_g - \frac{I_2 BL}{\sqrt{2}}\right) \implies \frac{3}{2\sqrt{2}}I_2 BL = \frac{1}{2}W_g$ となります。両方とも確認できるように並記します!)
【パターンA:鉛直上向きに浮き上がる力を受ける場合(電流 $+x$ 向き)】
垂直抗力が $N_2 = W_g - \dfrac{I_2 BL}{\sqrt{2}}$ と減少するため、 $$\frac{I_2 BL}{\sqrt{2}} = \frac{1}{2}\left(W_g - \frac{I_2 BL}{\sqrt{2}}\right)$$ $$\frac{3}{2\sqrt{2}}I_2 BL = \frac{1}{2}W_g = \frac{BLV_1}{R}$$ ここに $I_2 = \dfrac{V_2}{R}$ を代入すると、 $$\frac{3}{2\sqrt{2}}V_2 = V_1 \implies V_2 = \frac{2\sqrt{2}}{3}V_1$$
【パターンB:鉛直下向きに押し付ける力を受ける場合(電流 $-x$ 向き)】
垂直抗力が $N_2 = W_g + \dfrac{I_2 BL}{\sqrt{2}}$ と増加するため、 $$\frac{I_2 BL}{\sqrt{2}} = \frac{1}{2}\left(W_g + \frac{I_2 BL}{\sqrt{2}}\right)$$ $$\frac{1}{2\sqrt{2}}I_2 BL = \frac{1}{2}W_g = \frac{BLV_1}{R}$$ ここに $I_2 = \dfrac{V_2}{R}$ を代入すると、 $$\frac{1}{2\sqrt{2}}V_2 = V_1 \implies V_2 = 2\sqrt{2}V_1$$
回路図の電池記号を見ると、長い線(正極)が奥側、短い太線(負極)が手前側なので電流は $+x$ 向き、そのとき磁場の $+y$ 成分から受ける力は $\vec{I} \times \vec{B}_y \propto \vec{e}_x \times \vec{e}_y = +\vec{e}_z$(鉛直上向き)となります(移動方向は $-y$ 向きですが、水平方向の力の大きさは $\dfrac{I_2 BL}{\sqrt{2}}$ で同じです)。したがって厳密な回路図通りではパターンAの $\dfrac{2\sqrt{2}}{3}$ 倍(もし $+y$ 向き移動を前提とすればパターンBの $2\sqrt{2}$ 倍)となります。
ここがすごく面白いところです!導体棒が一定の速さ $v_2$ で動いているとき、回路に流れる電流を $I_2'$ とします。
水平方向の電磁力 $\dfrac{I_2' BL}{\sqrt{2}}$ と、動摩擦力 $\mu' N_2' = \dfrac{1}{4}\left(W_g \mp \dfrac{I_2' BL}{\sqrt{2}}\right)$ がつり合います。
まずパターンA(鉛直上向き成分)で計算すると:
一方、導体棒は水平面($xy$ 面)内を速さ $v_2$ で動くため、磁束を横切るのは磁場の鉛直成分 $B_z = B\cos\dfrac{\pi}{4} = \dfrac{B}{\sqrt{2}}$ のみです!
よって誘導起電力の大きさは $v_2 B_z L = \dfrac{v_2 B L}{\sqrt{2}}$ となり、キルヒホッフの第二法則より、
ここに $V_2 = \dfrac{2\sqrt{2}}{3}V_1$ と $R I_2' = \dfrac{2\sqrt{2}}{5}V_1$ を代入すると、
また、パターンB($+y$ 向き移動・鉛直下向き成分)で計算すると:
これを $V_2 - \dfrac{v_2 B L}{\sqrt{2}} = R I_2'$(ただし $V_2 = 2\sqrt{2}V_1$)に代入すると、
原子核の吸熱反応と二体問題(重心速度・相対速度・しきいエネルギー)
「原子核反応」と書いてありますが、実は後半の (3)〜(5) は力学の「2物体の重心運動エネルギー+相対運動エネルギーへの分解」そのものです!
全運動エネルギーが「重心の運動エネルギー(運動量保存則で絶対に消せない部分)」と「相対運動エネルギー($V=0$ のとき最小値 $0$ にできる部分)」の和に書けることを利用して、相対速度 $V = v_3 - v_4 = 0$ のときに最小エネルギー $K$ で反応が起こるというストーリーになっています。誘導に乗れば5分以内に満点が狙えるボーナス大問ですよ!
【問題文】
原子核反応には反応後の質量が増加する吸熱反応がある。この反応は、反応前の粒子の運動エネルギーが、ある値を超えないと起こらない。質量 $m_1\text{ [kg]}$、速さ $v_1\text{ [m/s]}$ の粒子1を、静止している質量 $m_2\text{ [kg]}$ の粒子2に衝突させ、原子核反応によって質量 $m_3\text{ [kg]}$、速さ $v_3\text{ [m/s]}$ の粒子3と、質量 $m_4\text{ [kg]}$、速さ $v_4\text{ [m/s]}$ の粒子4に変換した(ただし、$m_1 + m_2 < m_3 + m_4$)。粒子3と粒子4の運動方向は粒子1と同じであるとする。ここで、原子核反応によって吸収されるエネルギーを $W\text{ [J]}$、真空中での光速を $c\text{ [m/s]}$ とする。原子核の吸熱反応に関する次の各問いについて、それぞれの解答群の中から最も適切なものを一つ選び、解答欄の記号にマークしなさい。
この反応では、反応前の合計質量 $m_1 + m_2$ よりも、反応後の合計質量 $m_3 + m_4$ の方が大きくなっています($m_1 + m_2 < m_3 + m_4$)。
吸収されたエネルギー $W$ がそのまま質量の増加分 $\Delta m = (m_3 + m_4) - (m_1 + m_2)$ の静止エネルギーに変わったので、アインシュタインの関係式 $E = \Delta m c^2$ より、
反応前の全運動エネルギーを $K_{\text{前}}$、反応後の全運動エネルギーを $K_{\text{後}}$ とすると、静止エネルギーを含めたエネルギー保存則より、
よって、反応によって失われた全運動エネルギーの減少量 $K_{\text{前}} - K_{\text{後}}$ は、
つまり、吸収されたエネルギー $W$ は、100%すべて粒子の運動エネルギーが減少することによって賄われたわけです!
与えられた2つの定義式を並べます:
②より $v_4 = v_3 - V$ を①に代入すると、
また、$v_4 = v_3 - V$ より、
(4) このときの粒子3の速さ $v_3\text{ [m/s]}$ を求めなさい。
反応前の運動エネルギー $K_{\text{前}}$ は、$K_{\text{前}} = W + K_{\text{後}}$ です。
$W$ は一定なので、$K_{\text{前}}$ が最小値 $K$ になるのは、反応後の全運動エネルギー $K_{\text{後}}$ が最小になるときです!
(3) の式を見ると、第1項の重心速度 $v_G$ は運動量保存則で決まってしまうため $0$ にできませんが、第2項の $\frac{1}{2}\frac{m_3 m_4}{m_3+m_4}V^2$ は 相対速度 $V = v_3 - v_4 = 0$(すなわち $v_3 = v_4 = v_G$)のときに最小値 $0$ になります!
反応の前後で外力は働かないので、運動量保存則が成り立ちます。反応前は粒子1(運動量 $m_1 v_1$)のみが動いており、反応後は粒子3と粒子4が同じ速さ $v_3\ (= v_4)$ で動くので、
粒子1が最小運動エネルギー $K = \dfrac{1}{2}m_1 v_1^2$ をもつとき、反応後は $V = 0$、$v_G = v_3 = \dfrac{m_1}{m_3 + m_4}v_1$ ですから、反応後の全運動エネルギー $K_{\text{後}}$ は、
(2) より、反応前後の運動エネルギーの差が $W$ なので、
単原子分子理想気体の $V\text{-}T$ グラフと熱機関の熱効率
最後は熱力学の定番サイクル問題です!グラフの縦軸が体積 $V$、横軸が絶対温度 $T$ の $V\text{-}T$ グラフになっていることに注目しましょう。
・水平な線($\mathrm{A \to B}$):体積 $V$ が一定 $\implies$ 定積変化(仕事 $0$)
・原点を通る直線($\mathrm{B \to C}$ と $\mathrm{D \to A}$):$V \propto T$(シャルルの法則)$\implies$ 定圧変化($W = p\Delta V = nR\Delta T$)
・鉛直な線($\mathrm{C \to D}$):温度 $T$ が一定 $\implies$ 等温変化($\Delta U = 0$ なので吸収熱量 $Q = W$)
このように4つの過程の正体がすべて一目で分かります!表を作って整理すればミスゼロで完答できますよ!
【問題文】
単原子分子理想気体と見なせる物質量 $1\text{ mol}$ の気体をシリンダー内に閉じ込め、なめらかに動くピストンにより気体の体積が変化できるようにする。図は気体の状態変化を表しており横軸は絶対温度 $\text{[K]}$、縦軸は体積 $\text{[m}^3\text{]}$ である。気体は状態 $\mathrm{A, B, C, D}$ の間を実線の線分に沿って変化し、$\mathrm{A \to B \to C \to D \to A}$ へと1サイクル変化する。線分 $\mathrm{AB}$ は横軸に平行であり、線分 $\mathrm{CD}$ は縦軸に平行である。線分 $\mathrm{BC}$ と線分 $\mathrm{AD}$ はそれぞれ原点を通る直線の一部である。過程 $\mathrm{C \to D}$ の間に気体がした仕事は正の値の $W\text{ [J]}$ とする。気体定数を $R\text{ [J/(mol}\cdot\text{K)]}$ とする。次の各問いについて、それぞれの解答群の中から最も適切なものを一つ選び、解答欄の記号にマークしなさい。
【単原子分子 $1\text{ mol}$ の熱力学第一法則まとめ表】
| 過程 | 変化の種類 | $\Delta U$ | した仕事 $W_{\text{外}}$ | 熱量 $Q = \Delta U + W_{\text{外}}$ |
|---|---|---|---|---|
| $\mathrm{A \to B}$ | 定積加熱 | $\frac{3}{2}R(T_1 - T_0)$ | $0$ | $+\frac{3}{2}R(T_1 - T_0)$ (吸熱) |
| $\mathrm{B \to C}$ | 定圧膨張 | $\frac{3}{2}R(T_2 - T_1)$ | $R(T_2 - T_1)$ | $+\frac{5}{2}R(T_2 - T_1)$ (吸熱) |
| $\mathrm{C \to D}$ | 等温膨張 | $0$ | $W$ | $+W$ (吸熱) |
| $\mathrm{D \to A}$ | 定圧圧縮 | $\frac{3}{2}R(T_0 - T_2)$ | $R(T_0 - T_2)$ | $\frac{5}{2}R(T_0 - T_2) < 0$ (放熱) |
線分 $\mathrm{BC}$ は原点を通る直線なので、体積 $V$ は絶対温度 $T$ に正比例します(シャルルの法則:定圧変化)。
状態 $\mathrm{B}$ では温度 $T_1$、体積 $V_0$ であり、状態 $\mathrm{C}$ では温度 $T_2$ なので、状態 $\mathrm{C}$ の体積を $V_C$ とすると、
過程 $\mathrm{B \to C}$ は定圧変化なので、状態 $\mathrm{C}$ の圧力 $p_C$ は状態 $\mathrm{B}$ の圧力 $p_B$ とまったく同じです!
物質量 $n = 1\text{ mol}$ の理想気体の状態方程式 $pV = RT$ を状態 $\mathrm{B}$(温度 $T_1$、体積 $V_0$)に適用すると、
(※もちろん状態 $\mathrm{C}$ で $p_C = \dfrac{RT_2}{V_C} = \dfrac{RT_2}{\frac{T_2}{T_1}V_0} = \dfrac{RT_1}{V_0}$ と計算しても同じ結果になります!)
線分 $\mathrm{AD}$ も原点を通る直線なので、過程 $\mathrm{D \to A}$ は定圧変化であり、状態 $\mathrm{D}$ の圧力 $p_D$ は状態 $\mathrm{A}$ の圧力 $p_A$ と等しくなります!
状態 $\mathrm{A}$(温度 $T_0$、体積 $V_0$、物質量 $1\text{ mol}$)における状態方程式より、
1サイクルの各過程で気体が外部にした仕事を順番に確認しましょう:
- 過程 $\mathrm{A \to B}$(定積変化):体積が変わらないので、した仕事は $W_{AB} = 0$。
- 過程 $\mathrm{B \to C}$(定圧膨張):$1\text{ mol}$ の定圧変化なので、$W_{BC} = p_B(V_C - V_B) = R(T_2 - T_1)$。
- 過程 $\mathrm{C \to D}$(等温膨張):問題文より、した仕事は $W_{CD} = W$。
- 過程 $\mathrm{D \to A}$(定圧圧縮):$1\text{ mol}$ の定圧変化で温度が $T_2$ から $T_0$ になるため、した仕事は $W_{DA} = p_A(V_A - V_D) = R(T_0 - T_2)$。
したがって、1サイクル全体で気体が行った正味の仕事 $W_{\text{サイクル}}$ は、これら4つの和をとって、
($T_2$ がきれいに消えて、$W + R(T_0 - T_1)$ になります!)
熱効率 $e_{\text{熱}}$ の定義は、「$\dfrac{\text{1サイクルでした正味の仕事 } W_{\text{サイクル}}}{\text{1サイクルで吸収した総熱量 } Q_{\text{in}}}$」です!(放出した熱量は分母に入れません!)
上のまとめ表から、熱を吸収している過程($Q > 0$)は $\mathrm{A \to B}$、$\mathrm{B \to C}$、$\mathrm{C \to D}$ の3つです($\mathrm{D \to A}$ は温度が
下がり体積も減る定圧圧縮なので放熱 $Q_{DA} < 0$ です)。単原子分子理想気体($n = 1\text{ mol}$)であることに注意して、それぞれの吸熱量を求めます:
- 過程 $\mathrm{A \to B}$(定積加熱):$Q_{AB} = \Delta U_{AB} = \dfrac{3}{2}R(T_1 - T_0)$
- 過程 $\mathrm{B \to C}$(定圧膨張):$Q_{BC} = \Delta U_{BC} + W_{BC} = \dfrac{5}{2}R(T_2 - T_1)$
- 過程 $\mathrm{C \to D}$(等温膨張):温度一定より $\Delta U_{CD} = 0$ なので、熱力学第一法則より $Q_{CD} = W_{CD} = W$
これら3つを足し合わせると、1サイクルで吸収した総熱量 $Q_{\text{in}}$ は次のようになります:
(4)で求めた正味の仕事 $W_{\text{サイクル}} = W + R(T_0 - T_1)$ と、STEP 1で求めた総吸熱量 $Q_{\text{in}}$ より、熱効率 $e_{\text{熱}}$ は、
過去問演習で時間を溶かしていませんか?
合格の鍵は「全科目の時間配分(バランス調整)」にあります。
私立医学部の入試は、1科目だけできても受かりません。「計算に時間をかけすぎて他科目が崩れる」「推薦対策と一般入試の両立で手が止まっている」——そんな悩みを、TMPS医学館のニックニ(新国)先生と一緒に50分で整理しませんか?
【出典・引用に関する表記】本ページで扱う入試問題の出典は各大学(東海大学 2024年度 入試問題)に帰属します。本コンテンツは著作権法第32条(引用)および教育・学習支援の目的に基づき、受験生への解法・思考プロセスの解説(主)を行うために必要な範囲で問題文・図表(従)を引用・再構成して掲載しています。解答・解説および図解の著作権はTMPS医学館に帰属します。