出題の形は、立場を選ぶ二択ではなく、「あるべき姿」を自分の言葉で組み立てるタイプです。そのため、まず課題の中に含まれている論点を洗い出し、どの論点どうしがぶつかっているのかを整理しましょう。
📌 このページの使い方
- 過去問集をお持ちの方:まず60分で自分の答案を書き、解答例と見比べてから解説へ
- お持ちでない方:「どういう問題か」を読めば、課題の中身が分かります
- 最後にそっくり類題(問題+原稿用紙PDF)を60分で書く
※ 著作権に配慮し、入試問題の本文は掲載していません。小論文に唯一の正解はなく、解答例はTMPSの一例です。大学の採点基準は公開されていないため、「採点の見立て」もTMPSの考えです。
⚠️ 問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。(迅速に確認・更新いたします)
LINEで誤りを連絡3分で分かる 2026年度の国際医療福祉大の小論文
- ✅ 1題・600字以内・60分。賛成・反対ではなく、「あなたはどうあるべきだと考えるか」を問う意見論述です。
- ✅ 題材は終末期医療。技術の進歩(延命の可能性の拡大、AIによる予後予測)と、医療資源の限り、という2つの力がぶつかる場面で、日本の終末期医療のあるべき姿を述べます。
- ✅ 「医療の担い手として」という指定が大事。評論家のような感想ではなく、将来の医療者としての立場・決意まで書くことが求められます。
- ✅ 差がつくのは「両方の力を認めたうえで、自分の軸を示す」こと。技術礼賛・命は大切という一本調子や、年齢で線を引くような断定は避けましょう。
- ✅ 600字は短い。主張の柱は2本まで。設計図を先に作って、字数を配分してから書き始めます。


60分の立ち回りマップ
小論文は1題60分。時間はTMPSの目安です。下書き用紙の有無など、解答用紙の形式は過去問集からは分からないため、手元の過去問や募集要項で確認してください 要確認
- 死守ライン:開始15分で立場と柱2本を決める。ここまでに決まらなければ、反対意見を考えず、先に自分が書ける立場を選ぶ。
- 損切り:うまい書き出しを探して5分以上悩まない。「終末期医療は、〜べきだと考える。」の型で始めてよい。
- 初手のトリガー:課題文を読んだら、すぐ余白に「技術」「資源」「本人の意思」「家族・社会」「医療者」と書いて、線で結ぶ。
本番の問題 ── 終末期医療のあり方を600字で
課題終末期医療のあり方(600字以内・60分)
終末期医療を題材に、技術の進歩と医療資源の限りという2つの力のあいだで、あなたの立場と、医療者としての姿勢を問う小論文。
- 答えるもの:日本の終末期医療はどうあるべきか。あわせて、これからの医療の担い手としての意見を述べる
- 条件:600字以内(60分、解答例は公開されていない)
- 材料として問題の中で示されているのは、① 技術の進歩(延命の可能性が広がり、AIの予後予測も期待されている)と、② 医療資源は限られており、どこまで投入するかで意見が分かれる、という2つの流れ


答案の設計図 ── 600字を6つの部品に分ける
書き出す前に、次の6つに字数を割り当てます。合計は580字前後にして、20字ほどの余白を残すのが安全です。
| 部品 | 字数の目安 | 書くこと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 立場の表明 | 60 | 「〜べきだと考える」で結論を先に言う | 長い前置きで字数を使う |
| 現状と課題 | 130 | 技術の進歩で何が変わり、どんな困りごとが起きるか | 一般論だけで課題が見えない |
| 柱1 | 100 | あるべき姿の1本目(例:本人の意思を軸にした対話) | 柱が3本以上になり、散漫になる |
| 柱2 | 130 | 2本目と、その具体策(例:多職種での判断と記録) | 具体策がなく、スローガンで終わる |
| 反対意見・資源 | 100 | 資源が限られる現実と、年齢で線を引かない原則への配慮 | 反対意見を無視する、または認めすぎて主張が消える |
| 医療者として | 60 | 将来、自分が何をするか(説明・対話・連携) | 「頑張りたい」だけの感想 |


解答例 ── 立場の異なる2本(TMPSの一例)
解答例が公開されていないため、TMPSが作りました。模範解答ではなく一例です。どちらの立場でも、「両方の力を認める」「柱が2本」「医療者としての決意で結ぶ」という骨格は同じです。 要確認
▶ 解答例A:本人の意思を軸にした対話を重視する立場
終末期医療は、本人が望む最期を支えることを第一にして、医療資源の使い方を社会で話し合いながら進めるべきだと考える。医療技術の進歩で、人工呼吸器やECMOにより命を延ばせるようになったが、延ばせることと本人にとって望ましいことは同じではない。本人の意思が分からないまま家族が重い決断を迫られたり、回復の見込みの乏しい治療が続いたりすることも少なくない。
そこで第一に、元気なうちから本人・家族・医療者が繰り返し話し合うACP(人生会議)を広げるべきだ。価値観を記録して共有しておけば、意思を確認できなくなった時にも、本人の考えに沿った選択ができる。第二に、治療の差し控えや中止は、一人の医師の判断ではなく、多職種のチームで検討し、記録に残して後から検証できる仕組みが必要である。AIによる予後予測は判断材料の一つとして役立つが、外れうることを伝え、最終的な判断は人が対話を通じて行うべきだ。
資源が限られる以上、年齢だけで線を引くような決め方は許されない。しかし、あらゆる延命を無条件に続ければ、他の患者の治療に影響しうる。だからこそ、本人の意思と医学的な見込みを軸に、社会全体で基準を議論する必要がある。
私は医療者として、治療の選択肢だけでなく、緩和ケアなど「何をしないか」も含めて丁寧に説明し、本人と家族の迷いに寄り添い続けたい。
設計図の対応:立場→現状と課題→柱1(ACP)→柱2(多職種の判断・AIは材料)→反対意見(年齢で線を引かない)→医療者として。
▶ 解答例B:限られた資源の公平な配分と社会的な合意を重視する立場
終末期医療では、本人の尊厳を守ることを前提に、限られた医療資源を公平に使うための社会的な合意づくりを進めるべきだと考える。技術の進歩で延命の選択肢は増えたが、集中治療の病床や人手には限りがあり、一人への手厚い延命が、他の患者の機会を狭める可能性がある。
まず必要なのは、延命治療の目的を明確にすることだ。回復を目指す治療と、苦痛を和らげて過ごす時間を守る医療とを区別し、治療を始める時点で、目標と見直す時期を本人・家族と共有する。この話し合いは一度で終わらせず、状態が変わるたびに繰り返す。期間を区切って治療を試み、効果がなければ方針を見直す「時間制限付き試行」は、納得して選択を変えられる点で有効である。
次に、費用や病床の配分について、年齢や障害の有無で人の価値を判断しない原則を確認した上で、国民が参加して議論する場を設ける。判断の過程は記録に残し、後から振り返れるようにする。AIの予後予測も、判断を助ける材料にとどめ、予測の限界を説明し、それだけで治療を決めてはならない。さらに、住み慣れた地域で最期を迎えられるよう、在宅医療や介護との連携を強めたい。
医療者として私は、技術にできることと本人が望むことの間で迷う人に、選択肢と根拠を誠実に示し、本人の価値観を最後まで確かめる姿勢を大切にしたい。
設計図の対応:立場→現状と課題→柱1(目的の明確化・時間制限付き試行)→柱2(配分の議論・AIは材料)→在宅との連携→医療者として。
| 見るポイント | A | B |
|---|---|---|
| 軸にするもの | 本人の意思(ACP) | 公平な資源配分と社会的合意 |
| 柱1 | 元気なうちからの対話 | 治療の目的を明確にし、期間を区切って試す |
| 柱2 | 多職種での判断と記録 | 年齢や障害で人の価値を判断しない議論の場 |
| AIの扱い | 判断材料の一つ。最終判断は人 | 判断を助ける材料にとどめる |
| 結び | 緩和ケアも含めて説明する | 選択肢と根拠を誠実に示す |
終末期医療で使える知識の整理
答案に入れるのは1〜2個で十分です。用語を並べるより、1つを正確に使うほうが評価されやすいとTMPSは考えます。要確認
| 用語 | 意味 | 答案での使いどころ |
|---|---|---|
| ACP(人生会議) | 将来の医療やケアについて、本人が家族や医療者と繰り返し話し合い、共有すること | 本人の意思を軸にする柱 |
| 事前指示(リビングウィル) | 意思を表明できなくなった時に備えて、希望を文書などで示しておくこと | ACPの記録の説明 |
| DNAR | 心停止のときに心肺蘇生をおこなわない、という指示。ほかの治療をしないという意味ではない | 治療の差し控えの具体例 |
| 緩和ケア | 身体や心の苦痛を和らげるケア。終末期に限らず、早い段階から行える | 「何をしないか」ではなく「何を支えるか」の表現 |
| 延命治療の差し控え・中止と、積極的安楽死 | 前者は治療を始めない・やめる選択。後者は薬などで命を絶つ行為で、日本では認められていないと理解されている | 区別して書く。安楽死の容認を結論にしない |
| 医療倫理の4原則 | 自律尊重・無危害・善行・正義 | 「本人の意思(自律)」と「資源の公平(正義)」の対立の整理 |
| 時間制限付き試行 | 期間を決めて治療を試み、効果がなければ方針を見直す考え方 | 延命治療の目的と見直しの具体策 |
国の指針(厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」)は、本人の意思を基本にして、医療・ケアチームで話し合うという考え方を示しています。答案で触れるときは、細かい年次や数字に踏み込まず、この方向性だけを使うと安全です。 要確認

自己診断:手が止まった人への処方箋
🩺【自己診断】小論文で手が止まった人への処方箋
- 何を書けばいいか分からない論点マップ(技術・資源・本人の意思・家族と社会・医療者)を余白に書いて、ぶつかる2つを選ぶ
- 立場が決まらない先に「柱になる軸」を1つ決める(本人の意思か、公平な配分か)。軸が決まれば立場は決まる
- 字数が足りない/多すぎる図Cの6つの部品の字数に合わせ、段落ごとに数える。超えたら現状と課題から削る
- きれいごとになる「資源が限られる」現実を1文入れ、その上で何を軸に判断するかを書く
- 医療者としての結びが弱い「説明する」「対話する」「連携する」のどれかを動詞で書く。「頑張りたい」で終わらせない
国際医療福祉大2026型 そっくり類題
(1題・解答例つき)
2026年度の本番と同じ形式(1題・600字以内・60分)で、題材を変えたTMPSオリジナル問題です。設計図を作ってから書く習慣と、60分の立ち回りを確かめられます。入試問題ではありません。
印刷して本番と同じように60分で書けます(問題用紙と600字の原稿用紙)。解答・解説はこのページの下に掲載しています。
※ 国際医療福祉大学の入試問題ではありません。本文・設問・人物・団体(架空)はすべてTMPS医学館が作成したオリジナルで、出典のある引用ではありません。
高齢化と人口減少が進む地方では、救急搬送に時間がかかる地域が増え、医師の数も限られている。一方で、オンライン診療や、AIによる画像診断の支援など、離れた場所でも医療を届けるための技術は進歩している。また、地域の病院を維持することについては、費用や人手の面から意見が分かれている。限られた医師や資源を使って地域の医療を守るために、何を重視すべきか。これからの医療の担い手として、あなたの意見を600字以内で述べなさい。
※ 解答は600字以内(句読点・かっこも1字、段落の最初は1マスあける)。60分で書いてから、下の解答例を見てください。
▶ 類題の解答例と解説を見る
類題の解答例と解説
地域医療を守るには、すべての地域に同じ医療を置くのではなく、役割を分担して連携し、技術で距離を埋める仕組みをつくるべきだと考える。医師の数が限られる中で、すべての病院が何でも診ようとすれば、どの病院も人手が足りなくなり、かえって質が下がる。救急車が着いても、受け入れ先がすぐに決まらない事態も起こりうる。
第一に、拠点となる病院に高度な医療と救急を集め、周辺の診療所や小さな病院は、日常の診療と見守りに力を入れる役割分担を進める。そのうえで、搬送の基準と受け入れ先を事前に決めておけば、救急の時間の差を縮められる。第二に、オンライン診療やAIによる画像診断の支援を活用し、専門医が遠くから助言できる体制をつくる。ただし、AIの結果は医師の判断を助ける材料であり、診断の責任は人が負うことを明確にする必要がある。
一方で、技術に頼りすぎれば、機器に不慣れな高齢者が取り残される。看護師や地域の支援員が、診察の場で操作を手伝うなど、人による支えも欠かせない。また、病院を残すか統合するかは、費用だけでなく、住民の安心にも関わるので、住民と行政と医療者が情報を共有して議論するべきである。
私は医療者として、地域の資源を知り、他の職種と連携して、どこに住んでいても安心できる医療を支える一員になりたい。そのために、他の地域の取り組みからも学び続けたい。
TMPSの一例です(模範解答ではありません)。
| 設計図の部品 | この解答例では |
|---|---|
| 立場 | 役割を分担して連携し、技術で距離を埋める仕組みをつくる |
| 現状と課題 | どの病院も何でも診ようとすると人手が足りず、救急の受け入れも決まらない |
| 柱1 | 拠点病院と周辺診療所の役割分担、搬送基準と受け入れ先の事前決定 |
| 柱2 | オンライン診療とAI診断支援。結果は材料で、責任は人が負う |
| 反対意見 | 技術に不慣れな高齢者への支え、病院の統合は住民と議論 |
| 医療者として | 地域の資源を知り、他職種と連携する一員になる |
題材は変わっても、「立場→課題→柱2本→反対意見→医療者として」の骨格は本番と同じです。技術と人の支え、効率と安心という2つの力のあいだで軸を示す点も共通しています。
※ 類題は、本番の骨格は残しつつ、題材(地域医療)・設定・人物をすべて変えています。解答例は字数をスクリプトで数え、600字以内(段落頭の空きを含めて)であることを確認しています。
30秒 得点診断
本番の過去問、またはそっくり類題を60分で書いた結果を選んでください。次にやるべきことを表示します。
保護者の方へ:国際医療福祉大の小論文で知っておきたい3つのこと
よくある質問
Q. 国際医療福祉大学 医学部の小論文2026年度は、何をどのくらい書きますか?
2026年度は1題で、終末期医療のあり方について、技術の進歩と医療資源の限りをふまえた意見を、医療の担い手としての立場から600字以内で述べる形式でした。試験時間は60分です。
Q. 問題文が載っていなくても、どんな問題か分かりますか?
分かります。著作権に配慮して問題本文は掲載していませんが、「どういう問題か」で、設定・何を答えるか・字数の条件をTMPSの言葉で説明しています。
Q. 解答例は模範解答ですか?
いいえ。解答例が公開されていないので、TMPSが作った「一例」です。小論文に唯一の正解はなく、立場の異なる2つの解答例を並べて、どちらも成り立つことを示しています。大学の採点基準は公開されていないため、ページ内の「採点の見立て」もTMPSの考えです。
Q. そっくり類題セットとは何ですか?
2026年度と同じ形式(1題・600字以内・60分)で、題材を変えたTMPSオリジナルの問題です。問題と原稿用紙のPDF(2ページ)を無料で配布し、解答例と解説はこのページに載せています。
Q. 解説に誤りを見つけたらどうすればいいですか?
公式LINEからお知らせください。確認のうえ修正し、更新日を記載します。
問題等で誤りを発見された場合、修正しますので、TMPS医学館までLINEを下さい。
受験生・指導者の皆様からのご指摘を真摯に受け止め、最も信頼できる過去問解説・類題ライブラリーとして随時アップデートいたします。
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